自民党の裏金問題を追及し、岸田派の政治資金収支報告書への不記載のうち、政治資金パーティー収入以外でも不記載があったことが明らかになりました。
岸田派では政治資金収支報告書への不記載額が3059万円(2018~20年)にのぼり、元会計責任者の有罪が確定しています。岸田文雄首相や同派座長だった林芳正官房長官は、これまでの答弁で、不記載の要因の一つとして、18年分の不記載額1322万円のうち558万円について寄付の取り消し要請があったと説明しています。
私は、岸田派が3年間分の政治資金収支報告書の訂正をした1月18日の6日後に、同派前会長の古賀誠元幹事長が代表を務める古賀誠筑後誠山会が政治資金収支報告書の訂正で19年以前からの繰越額558万円を追加したことを挙げ、「この取り消し要請は、古賀事務所に対するものか」とただしました。
林官房長官は「18年の寄付について、同年中に寄付者から取り消しの申し出があり返金した」と認めつつ、相手が誰かなど「他の政治団体について答える立場にない」として明らかにしませんでした。
私が558万円は、パーティー収入以外の収入かと重ねてただすと、林氏は「(558万円については)パーティー収入ではない」と認めました。
私は、岸田首相が「(岸田派の不記載分は)パーティー専用の口座に残っており、ほかに流用したわけではないから裏金ではない」と強弁してきたが、「パーティー収入とは別のお金のやり取りがあったのであれば、きちんと説明がされないままになっている」と批判し、岸田派についても裏金事件の徹底した真相解明が必要だと強調しました。
「議事録」
第213回国会 令和6年4月10日(水曜日) 内閣委員会 第9号
○塩川委員 日本共産党の塩川鉄也です。
今日は、岸田派の裏金問題について質問をいたします。
二月十六日の内閣委員会で、林官房長官は、宏池会座長の立場にあった者としてということで、宏池政策研究会、岸田派の裏金問題についてお答えになっておられます。
岸田派の派閥収支報告書の不記載の要因について、このときの質疑で林官房長官が三点を指摘をしているわけですが、一つは、どの議員の紹介によるパーティー券収入か不明な場合には判明するまで収支報告書への記載を保留するという事務手続を取っていたということ、二つ目に、銀行への入金履歴を手書きで転記する際に転記ミスを起こして収支報告書への記載漏れがあったということ、三つ目に、二〇一八年の千三百二十二万円の収入不記載について、五百五十八万円は寄附の取消し要請があったということでありました。
その内容についてお聞きします。
まず、どの議員の紹介によるパーティー券収入か不明な場合には判明するまで収支報告書への記載を保留するという事務手続を取っていたということですが、岸田派の政治資金パーティーにおいては、パーティー専用の口座を恒常的に設けていたということですので、一つの口座によって、過去のパーティーを含め、出入金の記録は確認できるのではないかと考えます。
そこで、二〇一八年から二二年の各年において、誰が振り込んだのか、これは明らかにできるんじゃないでしょうか。その点についてお答えいただけますか。
○林国務大臣 今御指摘がございましたように、宏池会による政治資金パーティーにおきましては、専用口座を恒常的に設けていたところでございます。当該口座の入出金の全てを把握しているわけではございませんが、宏池会のパーティー券を購入した個々の方々から振り込みがなされているほか、パーティー券の売上げを預かった個々の議員事務所からの振り込み等があった、そういうものと承知をしております。
○塩川委員 パーティーを購入した個々の方から振り込みもあったし、個々の議員の事務所からの振り込みもあった、それが口座にとどまっていた分としてあったということでよろしいですか。
○林国務大臣 お尋ねは、どういう振り込みがあったかということでございますので、個々の方々からの振り込み、またパーティー券の売上げを預かった個々の議員の事務所から振り込みがあったということでございます。
○塩川委員 それがここで言っている、保留する、保留分のお金として、個々の事務所から来た振り込み先というのは個々の議員が特定できるので、保留分にならないんじゃないかと思うんですが、そこはどうなんですか。
○林国務大臣 宏池会におきましては、前会計責任者の不確かな会計知識に基づきまして、どの議員の紹介によるパーティー券収入か不明な場合に判明するまで収支報告書への記載を保留するという事務手続が取られていたということで不記載が生じたと聞いております。
パーティー券がどの議員との関係での売上げであるかということでございますが、振り込み時にパーティー券の番号を記載していただいたり、パーティー券の売上げを預かった議員事務所がまとめて振り込みをしたりすることなどにより確認をしていたと承知をしておりますが、振り込み時のパーティー券番号の誤記それから記載漏れ等によって、どの議員の紹介によるパーティー券収入なのか不明なものが一部生じた、そういうふうに聞いております。
○塩川委員 その誤記、記載漏れについて保留分としてずっとあったということについて、本来であればその腑分けが必要なわけですけれども、そういうことについて、されないままでいたということでしょうか。
○林国務大臣 委員が腑分けとおっしゃるのはどういうことか、明らかに、ちょっと理解したかどうか分かりませんが、まさに、議員の事務所がまとめて振り込みをすればどの議員かは分かるということでございますが、それ以外の方でもパーティー券の番号を記載していただければ分かるということですが、先ほど申し上げましたように、振り込み時のパーティー券番号の誤記、記載漏れ等によって、どの議員の紹介によるパーティー券収入か不明なもの、これが生じたということでございます。
○塩川委員 いずれにしても、購入者が支払っているお金があるわけですから、誤記や記載漏れがあったとしても、誰が振り込んだのかということについては、購入者が振り込んだ分については、これは特定できるはずなので、保留分になっているものであっても、購入者が振り込んだ分については明らかで、名前が分かるわけですよね。
ですから、そういったものについて、収支報告書の記載、公表事項となっている二十万円を超えるような、そういうものというのも出てきていていいはずなんですけれども、そういうのが見えないというのは、そもそもきちんとした照合をこの間の詳細な実態調査の中で行っていないということでしょうか。
○林国務大臣 まさに、前会計責任者の不確かな会計知識に基づいて、どの議員の紹介によるパーティー券収入か不明な場合には判明するまで収支報告書への記載を保留する、こういう事務手続が取られていたということでございます。
○塩川委員 ですから、その実態というのがまだ、いまだに分からないままなのでお聞きしているんですが、明確なお答えがありませんでした。
その上で、二〇一八年の略式起訴に係る千三百二十二万円、その内数として、寄附の取消し要請というのがあって、五百五十八万円だという答弁だったわけですが、この寄附の取消し要請というのは何なのか、相手方というのは誰なのか、その点について御説明ください。
○林国務大臣 御指摘のありました寄附の取消しでございますが、二〇一八年、すなわち平成三十年でございますが、この二〇一八年中に行われた寄附につきまして、同年中に寄附者からの申出があり、寄附を取り消して、同年中に返金を行っていたものでございます。
なお、宏池会としては寄附を受ける立場でございますので、寄附の取消し理由についてはお答えする立場にはないと考えます。
また、誰の寄附を幾ら取り消したのかということにつきましては、プライバシーにも関わるものであることから、お答えは差し控えさせていただきます。
○塩川委員 パーティー収入について虚偽記入があったということがずっと言われているんですけれども、この二〇一八年の寄附について、同年中に取消し要請があり取り消したというのは、パーティー収入とは別ということですね。
○林国務大臣 先ほど申し上げましたように、寄附の取消し、寄附があって、寄附について、同年中にその寄附者からの申出があって、寄附を取り消したということでございます。
○塩川委員 ですから、派閥のパーティーの収入とは関係ないお金ということですよね。
○林国務大臣 先ほどお答えしたとおりでございまして、これがどういう、先ほどの区分になっていたかというのは、詳細は承知をしておりません。
○塩川委員 いやいや、この前の答弁のときにも、派閥のパーティー収入で不明な分の金額の保留分については、二〇一八年については林官房長官は七百六十四万円と答弁しているんですよ。ですから、全体として不記載が千三百二十二万円、そのうち、パーティーかパーティー券についての不明分が七百六十四万、その差額の五百五十八万円が寄附の取消し要請分ということですから、パーティー収入とは別ということははっきりしていると思うんですが、そういうことですよね。
○林国務大臣 検察の処分も出ておるわけでございますが、検察がどのような判断でそういう処分をなされたのかということは私は承知しておらないわけでございますけれども、お尋ねの五百五十八万円分の寄附の取消し、これは平成三十年中に行われたものであって、五百五十八万円は令和元年以降には繰越しをしていないということでございます。したがって、不記載ということで検察から判断がなされているということでございます。
○塩川委員 ですから、二〇一八年の千三百二十二万円については、パーティー収入について保留分として口座に残っていた、まあ、その説明が妥当かどうかはあれにしても、パーティー収入の保留分というのが七百六十四万円で、寄附があったんだけれどもその年に取消しになったから、その分についてが五百五十八万円ですから、パーティー収入とは別なお金ということになるわけですから。
そういう意味では、この間、岸田総理自身も、パーティー収入については口座できちっと記録して、そのお金も残っていたんだから問題がないということを言っていたんですが、パーティー収入とは別なお金のやり取りがあったということであれば、それは非常に不透明だと。これについてのきちんとした説明がされないままで来ていると思うんですけれども、いかがですか。
○林国務大臣 パーティー収入については、先ほど委員からも御指摘のあった数字が不記載として検察の処分ということになっておりますし、お尋ねの五百五十八万円分の寄附の取消しというのは、先ほど申し上げましたように、平成三十年中に行われたものでございます。
寄附の取消しでございますので、パーティー収入ではないということだと思います。
○塩川委員 岸田派のかつての領袖である古賀誠元自民党幹事長が代表を務める古賀誠筑後誠山会は、一月に政治資金収支報告書の訂正を行っております。二〇一九年以前の収支に記載漏れがあったとして、報告書を訂正できる二〇年から二二年分について、前年からの繰越額として五百五十八万円を追加をしております。
岸田派の収支報告書の訂正が一月の十八日、古賀誠筑後誠山会の収支報告書の訂正は一月の二十四日ということになると、この寄附の取消し要請の五百五十八万円分というのは、古賀事務所に対するものということになるんじゃありませんか。
○林国務大臣 他の政治団体につきまして、私から何らかお答えする立場にはないと考えております。
○塩川委員 でも、個々の議員の収支報告書などについてもきちっと明らかにするということは、聞き取り調査などで行われてきているわけであります。
自らの派閥についてどういうお金の流れがあったのかということについて、これは当然のことながら、自民党の総裁でもあり岸田派の会長だった岸田総理としてきちんと説明されるのは当然でありますし、岸田派の座長でもあった林官房長官としても、そういう不透明なお金の流れについてきちんと説明をすべきじゃないでしょうか。
古賀誠さんの事務所と違うというんだったら、それはそれとしてあるわけですけれども、まさに身内といいますか関係者であるわけですから、そういう不透明なお金の流れがどうなっていたのかについて、これをきちんと説明することは最低限の政治的責任じゃありませんか。
この点について、改めてお答えください。
○林国務大臣 委員のお尋ねが宏池会とは別の政治団体についてのお尋ねでございましたので、他の政治団体については、私から何らかのお答えをする立場にはないとお答えしたところでございます。
○塩川委員 宏池政策研究会への寄附が行われているんですよ。そういう寄附があれば、それは当然のことながら、その金額からいってもきちっと記載されなければならないものであるわけで、そういった点でも、これは宏池政策研究会に係る収入としての寄附の話ですから、宏池政策研究会として、その関係者がきちんと説明するのは当然のことじゃないでしょうか。
そういうことを行わないで、これで政治的、道義的責任を果たしたということは言えない。そもそも、処分で、これで一件落着などとは当然言えないわけで、全容解明は岸田派においてもいまだ途上だということを申し上げなければなりません。徹底解明が必要であります。
岸田総裁、岸田派会長として処分なしというのは……
○星野委員長 申合せの時間が経過をしておりますので、おまとめください。
○塩川委員 真相解明を棚上げするものだと言わざるを得ないということを申し上げて、質問を終わります。