自転車関連事故は2020年からの3年間で4666件増加、23年には72339件となり、全交通事故に占める割合も同様に増加しています。特に東京の増加が顕著で、4117件増加し全交通事故に占める割合も5割近くとなっています。また、全国における電動アシスト自転車の事故は同時期に2642件から5712件と倍以上になっています。
私は、こうした現状を指摘、その要因を問いましたが、具体的な答弁はありませんでした。
私が「詳細な分析を行うべき」と迫ったのに対し、松村国家公安委員長は「事故の発生状況を多角的に分析し活用していきたい」と述べました。
また、私は、道路環境の整備改善が必要であるとして構造物で分離した自転車道の整備や生活道路における自動車の速度規制を求めました。
国土交通省は整備を進めたいと述べ、松村国家公安委員長は「ゾーン30プラスなどの整備を推進しており、各所と連携して歩行者と自転車の安全確保に努める」と答えました。
自転車の重大な交通違反にも反則金を課すことや車庫証明ステッカーの廃止が主な内容の道交法・車庫法改正案は、衆院内閣委において全会一致で可決しました。
※ゾーン30プラス=30km/hの速度規制とハンプやスラロームなど物理的デバイスとの組合せにより交通安全の向上を図る区域
「議事録」
第213回国会 令和6年4月12日(金曜日) 内閣委員会 第10号
○塩川委員 日本共産党の塩川鉄也です。
道路交通法改正案について質問をいたします。
この間、自転車関連事故は増加傾向にあるということで、全交通事故に占める割合も増加をし、二〇二二年では二三・三%に高まっています。ただ、二〇〇四年以降減少傾向にあったものが、二〇二〇年の六万七千六百七十三件を境に増加に転じ、二〇二三年は七万二千三百三十九件へと増えております。三年間で四千六百六十六件増加をしているんですが、この間、増加をしている理由は何なのかについて御説明をいただきたい。
○早川政府参考人 お答えいたします。
全国における、令和二年、二〇二〇年でありますが、これと令和五年、二〇二三年の自転車関連事故の発生状況を比較いたしますと、自転車単独の事故の増加が目立っているほか、通勤や通学、貨物の際の事故が比較的増加をしている状況にございます。
このように自転車関連事故が増加しているのは、平成二十八年、二〇一六年になりますが、自転車活用推進法の制定以降、自転車活用推進に向けた取組が進められていることや、国民のライフスタイルや交通活動の変化により、自転車利用のニーズが高まっている、こういったことが要因として挙げられるものと考えております。
○塩川委員 自転車単独の話とか、通勤通学の話とかありましたけれども、それだけだと理由もよく分からないわけで、ニーズが高まっているというんですが、自転車の台数そのものは減ってきているんですよね、全体としては。ですから、そういった点でもちょっと理由がよく分からないというのが現状であります。
こういった増加をしている自転車関連事故でも、東京都の増加が顕著で、この同じ三年間で、全国が四千六百六十六件の増加なんですが、東京都が四千百十七件ということで、全国の事故増加の大宗が東京都となっておりますが、これはなぜなんでしょうか。
○早川政府参考人 お答えいたします。
御指摘のとおり、令和五年中の全国における自転車関連事故は令和二年と比べまして四千六百六十六件増加をしているところ、そのうち、御指摘のとおり、四千百十七件が東京都内における増加となっております。
東京における令和二年と令和五年の自転車関連事故の発生状況を東京以外の地域と比較いたしますと、東京では単独での事故あるいは貨物の際の事故が大きく増加している、これに対しまして、東京以外の地域では減少している、こういう特徴が見られるところでございます。
○塩川委員 東京都における交通事故について、そもそも、全交通事故に占める自転車関連事故の割合というのは東京は高いと思うんですけれども、五割ぐらいと承知しているんですけれども、ちょっとその数字を教えていただきたいのと、さっき、単独と貨物が多いと言うんですけれども、何でそういうのが多くなってきているのかという理由について、もう一歩踏み込んで教えてもらえませんか。
○早川政府参考人 お答えいたします。
失礼いたしました。先ほど、私、貨物と申し上げましたが、買物の誤りでございました。(塩川委員「その前のところも」と呼ぶ)はい。訂正させていただきたいと思います。
それから、御質問のありました東京都における全交通事故に占める自転車関連事故の割合につきましては、過去三年間を見ますと、令和三年、二〇二一年は四三・六%、令和四年、二〇二二年は四六・〇%、令和五年、二〇二三年は四六・三%、こういう数字となっております。
それから、東京都における自転車関連事故の増加の背景につきましては、なかなか具体的な理由を申し上げることは、様々な理由が考えられますが、少し難しいことでありますけれども、その背景として、一つは、シェアリング自転車の普及、あるいは新型コロナウイルス感染症の影響による人々のライフスタイルや活動の変化、こういう変化も影響しているのではないかと考えているところでございます。
○塩川委員 是非、その辺の分析をしっかりやっていただきたいと思うんですよ。特に、東京で事故件数が非常に増加をしているといった背景に、そもそも自転車事故の割合が半分ということがあるでしょう。そういった際に、シェアリング自転車の普及ですとか、この点での東京都における自転車事故の分析が必要だということを申し上げておきます。
また、自転車台数全体は減少傾向にあるんですが、その中で増加をしているのが電動アシスト自転車であります。この電動アシスト自転車の販売台数の推移がどうなっているのか、経産省からお答えいただきたいんですが、二〇〇七年から五年刻みで二〇二二年まで、どのぐらいの台数でしょうか。
○田中政府参考人 お答え申し上げます。
電動アシスト自転車の販売台数の推移でございますけれども、経済産業省の生産動態統計の工場出荷台数ベースで見ますと、二〇〇一年以降増加傾向にありまして、二〇〇七年で見れば約二十五万台、二〇一二年では約三十九万台、二〇一七年には約六十二万台、二〇二二年には約七十九万台となっております。
○塩川委員 国内における出荷台数、それを販売台数ということでカウントしているということですけれども、電動アシスト自転車について、二〇〇七年以降五年刻みでいうと、二十五万、三十九万、六十二万、七十九万と大幅に増えております。電動アシスト自転車の国内年間販売台数は、この十五年間で三倍に拡大をしております。
その増加の理由は何なのか、分かりますか。
○田中政府参考人 お答え申し上げます。
電動アシスト自転車が増加している理由としては、例えば、電動アシスト自転車が市場に登場してから三十年余りが経過いたしまして、消費者においてその利便性が認知され、浸透してきたこと、加えまして、電動アシスト自転車のバッテリーの性能向上など、自転車メーカーにおける製品開発の努力が進められてきたことなどが増加の背景にあると考えております。
○塩川委員 そうはいっても、値段が八万円とか十万円ぐらいとかの、かなり金額も大きいので、そういった点でのニーズがどういうふうになっているのかということについては、今の話からよく酌み取ることができませんでした。
経産省は、都市部では、子育て世代の利用だけでなく、シェアサイクル、宅配業務用など様々な電動アシスト車が見られるようになってきたとあります。そういったニーズもあるということで、子育て世代の利用だけじゃなくて、シェアサイクルや宅配業務用といった用途の広がりが背景にあるのではないかと考えられます。
次に、電動アシスト自転車の交通事故件数の推移について、この十年近くについて、二〇一四年以降、二〇一七、二〇二〇、二〇二三年で、その数字をお答えいただけますか。
○早川政府参考人 お答えいたします。
電動アシスト自転車が関連する交通事故件数でありますが、平成二十六年、二〇一四年は千三百十九件、平成二十九年、二〇一七年は千九百八十八件、令和二年、二〇二〇年は二千六百四十二件、昨年は五千七百十二件、こういう状況になっております。
○塩川委員 この十年近くで四倍以上に増加をしております。この三年間でも二倍以上に増えているわけであります。
ただし、子供を乗せた自転車事故が増えているわけじゃないんですね。電動アシスト車に限定した調査はないんですけれども、子供を乗せた自転車の事故件数は、二〇一四年が八百六十二件、二〇一七年が七百四十三件、二〇二〇年が四百九十四件、二〇二三年五百二十八件ということです。
では、何で増えているのかというところなんですが、電動アシスト自転車は、車両が重く、転倒がしやすい、低速だと不安定である一方、加速が強く、スピードが出やすい機能となっています。
こういった電動アシスト自転車の増加というのが自転車関連事故の増加にも影響を与えていないのかどうか、その点についてはどうでしょうか。
○早川政府参考人 お答えいたします。
電動アシスト自転車を除く自転車が関連する交通事故件数、これは、令和五年中は六万六千九百七十二件発生しておりまして、令和二年と比べますと、千七百六十八件、二・七%の増加となっております。一方、電動アシスト自転車が関連する交通事故件数は、令和五年中と令和二年中を比較いたしますと、一一六・二%の増加となっております。
このように、電動アシスト自転車の関連事故の増加が一般の自転車の増加と比べまして顕著となっておりますが、その背景には、先ほど御指摘ありました、電動アシスト自転車の普及が一つはあるものと推測をしているところでございます。
○塩川委員 松村委員長にお尋ねします。
この間、自転車の事故が増えてきているといった点についての、やはり東京都で大きく増えているといったような特徴、あるいは電動アシスト車に関わるような、そういう点での事故の増加の特徴、こういうことを踏まえて、近年増加傾向にある自転車関連事故の詳細について是非とも分析をしていただきたいと思うんですが、お答えいただきたいと思います。
○松村国務大臣 やはり、事故の分析、それから、それに対する対応というのは重要であろうと思っております。
警察におきましては、年間の交通事故統計が取りまとめられた時期や、春と秋の交通安全運動実施時期など、機会を捉えまして交通事故分析を行っているところでございます。
自転車が関連する事故についても、御指摘のとおり、近年増加傾向にございますし、分析の一例を申し上げると、自転車乗車中の死者については、約半分が頭部を損傷しているにもかかわらず、頭部を損傷した死者のヘルメットの着用率は僅か八%にとどまっていることや、自転車と歩行者の事故で歩行者が死亡したり重傷を負ったケースにつきましても、約四割が歩道において発生しておりまして、自転車の運転者は二十五歳未満、歩行者は六十五歳以上が半数を占める、こういったことが分析結果として出ているところでもあります。
今後も、こうした悲惨な事故を一件でも減らすため、御指摘のような情報収集、分析、対応、こういったものを考えまして、発生状況を多角的に分析をいたしまして、その結果を踏まえまして、指導取締りや交通安全教育、交通環境の整備を推進するように生かしてまいりたいと考えております。
○塩川委員 是非、しっかりとした詳細分析を踏まえた、効果的な対策に生かす、そういう取組を求めたいと思います。
同時に、自転車利用に関する規制の強化だけではなくて、劣悪な道路環境の抜本的な整備環境が必要であります。やはり、幹線道路では構造物で分離した自転車道の確保をすることや、生活道路では自動車の通行抑制また速度制限などを進めることが必要だと思います。
この点について、松村委員長と国交省から答弁を求めたいと思います。
○長谷川政府参考人 お答え申し上げます。
自転車通行空間の整備に当たりましては、自動車の速度や交通量を踏まえて、自転車道や自転車専用通行帯、矢羽根型路面表示による車道混在型といった形態により整備を進めております。
一方で、用地買収を行って自転車道や自転車専用通行帯を整備していくには時間がかかることから、限られた道路空間の中で、中央分離帯や車線などを縮小して自転車道や自転車専用通行帯の空間を生み出す、道路空間の再配分の考え方などを盛り込むべく、安全で快適な自転車利用環境創出ガイドラインの改定作業を今警察庁とともに行っているところでありまして、引き続き、自転車通行空間の整備を着実に進めてまいりたいというふうに考えております。
○松村国務大臣 今国交省からも御答弁ございましたが、自転車道路の整備については、警察におきましても自転車の通行空間の確保を推進をしているところでございます。
御指摘の、生活道路の安全対策につきましては、歩行者や自転車の安全を確保するため、こうした道路におきまして、車両速度を抑制したり通過交通の排除を図ったりすることが大変重要であると認識をいたしておりまして、現在、警察におきましては、そうした生活道路におきまして、区域を定めて時速三十キロメートルの最高速度規制を行うゾーン30や、速度規制と道路管理者が設置する物理的デバイスとを組み合わせましたゾーン30プラス、こういったものの整備を推進しているところでございます。
引き続き、関係機関としっかり連携を図りつつ、歩行者や自転車の安全の確保に努めるよう警察を指導してまいりたいと考えております。
○塩川委員 ゾーン30、ゾーン30プラスの話がありました。こういった形での自動車の交通抑制を含めて……
○星野委員長 申合せの時間が経過しておりますので、御協力ください。
○塩川委員 安全対策に万全を期すという取組を強化していくことを求めて、質問を終わります。