深刻な事態が続く能登半島地震液状化被害に対する支援策について質しました。
私は、岸田文雄首相が3月28日の記者会見で「被災地への復興基金設置の取り組みを進める」と述べたことに触れ、「(熊本地震で実施した)復興基金を具体化していくということか」と質問。
林芳正官房長官は「現在、総務省を中心に検討を進めている」と答えました。
私は、国土交通省が、2月の予算分科会での私の質問を受けて、「面的な液状化対策と建物の耐震化を一体的に行うことが必須」だとしたことは重要だと指摘。耐震改修に必要な住宅の傾斜修復も対象に含む最大120万円の補助「住宅・建築物安全ストック形成事業」について、「被災自治体の判断を尊重して、弾力的な運用を行うべきだ」と強調しました。
国土交通省は「地方公共団体の評価を第一に考えたい」と答えました。
私は、液状化被害に対する支援策として
①災害救助法に基づく応急修理制度
②ストック形成事業
③面的な液状化対策を支援する「液状化被害防止事業」と「効果促進事業」
④自治体の独自支援策などと合わせて一体的に活用できる取り組み
が必要だと強調。
復興基金の具体化とともに、石川県の6市町に限定されている地域福祉推進支援臨時特例交付金の対象拡大、被災者生活再建支援制度の最大600万円以上への拡大を強く求めました。
「議事録」
第213回通常国会 令和6年4月17日(水曜日) 内閣委員会 第11号
○塩川委員 日本共産党の塩川鉄也です。
今日は、能登半島地震の液状化被害対策について質問をいたします。
この液状化被害についてですが、国交省の被害状況調査によりますと、二月二十八日時点で液状化被害の被災件数は、石川県でおよそ三千五百件、また富山県では二千件、新潟県では九千五百件に及ぶといいます。調査は継続中でもあり、奥能登地域などの被害状況などはまだ把握がされておりません。更に被災件数、被害状況が広がる見込みという点でも極めて重大であります。
各地でもいまだに被災が継続しているような状況でありまして、新潟市などでは、いまだにトイレが使えない、仮設トイレを自費でレンタルして使っているんだけれども、行政の支援はないままだという声ですとか、また、半壊認定だったけれども、夫婦とも定年を迎えており、傾きを直すのに数百万円かかるので修理を諦めたといった声も寄せられているところであります。深刻な事態が続いているということであります。
そこで、官房長官にお尋ねいたします。
岸田総理は、三月二十八日、予算成立後の記者会見で、今年度予備費の活用に向けて、被災地への復興基金設置の取組を進めますと述べましたが、これは復興基金を実施する指示を出したということでしょうか。
○林国務大臣 復興基金でございますが、極めて大きな災害が発生いたしまして、復興に相当の期間を要すると見込まれ、各年度の措置では対応が難しい、こういった場合に、個別の国庫補助を補って、国の制度の隙間の事業について対応する例外的な措置として実施するものでございます。よって、まずは国による支援策、これをスピード感を持って充実させて実施していく、これがまず第一だと考えております。その上で、今、塩川委員からございましたように、三月二十八日に総理が会見で述べておられたとおり、被災地の被害状況を踏まえて、復興基金設置の取組を進めていくということにしておりますので、現在、総務省を中心に検討を進めているというふうに承知をしております。
○塩川委員 復興基金設置の取組を進めるということで、総務省を中心に検討を進めているということです。
そうなりますと、この復興基金の規模ですとか、対象地域ですとか、要件などについて具体化をしていくということでしょうか。
○林国務大臣 復興基金、どういうものかというのは先ほど御答弁したとおりでございますので、今申し上げましたとおり、被災地の被害状況を踏まえて、この設置の取組を進めていくということで、詳細は、先ほど申し上げたように、まさに今、総務省を中心に検討を進めておるところでございます。
○塩川委員 是非、具体化をしていただきたいと思います。
やはり、国の施策の隙間といいますけれども、実際には被災者、被災地において必要な支援策というのが余りにも現状届いていない、不十分だという状況のときに、復興基金という形で、自治体がまさにその裁量できちっと対応できるような、そういうスキームを復興基金としてつくるということは極めて重要な点であります。
そういう点でも、熊本地震は、発災から復興基金、補正予算まで半年ということでしたけれども、間を置かずに実施をするということは当然必要だと思いますので、速やかに対応するということが求められていると思うんですが、その際に、予備費ではなくて本来補正予算で対応する話なんじゃないのか。こういった問題について、やはり、様々な知恵を結集してつくる上では、国会審議を通じてよりよいものにしていくといった点でも、復興基金について、熊本地震と同様な補正予算の対応こそ求められているんじゃないか。この点についてお答えいただきたいと思います。
○林国務大臣 先ほど申し上げましたように、復興基金、例外的な措置ということでございます。
まさに、総理がおっしゃられたように、状況を踏まえながら取組を進めていくということで、今検討を総務省を中心にやっているところでございますので、どういったような財源でやっていくかも含めて検討を進めているということでございます。
○塩川委員 予備費の活用に向けてという中での、この復興基金設置の取組を進めますと。こういう経緯を踏まえて、やはり補正予算で対応すべきものだということを重ねて申し上げるものです。
液状化被害対策に関して、国、自治体が連携して総合的な対策を行うことが必要であります。国においても、内閣府防災や、国交省、総務省などが連携をして、被災自治体の要望に応えた支援策の具体化を求めていきたいと思います。
官房長官、ここで御退席いただいて結構です。
続いて、国交省にお尋ねいたします。
私、二月の予算委員会の分科会で液状化対策を取り上げて、地盤改良の工事開始まで時間がかかり過ぎると、地盤改良を待ち切れずに再建した家や、ジャッキアップして傾きを直した家も出てくる、住宅再建に温度差が生じ、液状化防止事業に対する住民の合意が困難になる、個人宅の宅地復旧支援と面的な地盤改良工事という二段階ある工事について、一体的な支援策を早期に打ち出す必要があると指摘をしました。
こういった議論も受け、三月の二十二日、政府は、能登半島地震により被災した宅地の安全確保支援を打ち出しました。そこでは、液状化による被害を受けた建物、宅地の安全性確保を図るためには、面的な液状化対策と建物の耐震化を一体的に行うことが必須としている点は重要であります。
そこで、国交省にお尋ねいたします。
住宅・建築物安全ストック形成事業について、これは液状化で傾いた住宅の補修に活用できるんでしょうか。
○佐々木政府参考人 お答え申し上げます。
今回の能登半島地震では、多くの住宅が液状化の被害を受けており、傾斜した住宅の補修、復旧が大きな課題になっているものと私どもとしても承知しております。
このため、被災者が住宅の耐震改修工事とそれに必要な修復を行う場合に、委員御指摘の住宅・建築物安全ストック形成事業を活用することで最大百二十万円の定額補助を受けられることを明確にし、地方公共団体にもお示しさせていただいたところです。
この支援制度では、耐震診断の結果、住宅の傾斜や損壊により倒壊の危険性があると地方公共団体が判断すれば、その支援の対象となるものと考えております。
○塩川委員 耐震診断の結果、耐震性がない、倒壊のおそれがある、そういう話ですけれども、耐震性があるかどうかという判断はどのように行うのか。傾いていても耐震性があると判断すると、活用できないということなんでしょうか。
○佐々木政府参考人 お答え申し上げます。
一般的には、一般診断法というもので、図面とその状況を目視によって確認することによって必要な構造力があるかどうかということを確認することになっておりますが、そのほかにも、地域の実情ですとか、あるいは図面がないといった場合には公共団体が定める方法に基づいてということが可能になっております。
公共団体がどのように行うのか、これは公共団体さんそれぞれのお定めになった内規のようなものがございますが、例えば、地盤の状況を確認していただいて、その上で、劣化が激しい、あるいはその上に載っているコンクリート台がひび割れしている、そういったような状況も確認して、それを評点のようにつけていただいて耐震性を評価する、そういう方法を取っておる公共団体もございます。
そのように、それぞれ公共団体が実情に応じて評価されるというように考えております。
○塩川委員 自治体がそれぞれの状況に応じて判断をするという点では、被災自治体の判断を尊重して弾力的な運用を是非図っていただきたいと思いますが、その点についても改めて一言お願いします。
○佐々木政府参考人 もちろん、公共団体が最もよく状況、実情を御承知のところだと思っておりますので、その評価を第一に考えたいと思っております。
○塩川委員 なかなか、現場からは使いにくいんじゃないかという声も出ているところですから、被災自治体の判断を尊重した弾力的な運用を求めたいと思います。
この事業については、一部損壊の場合でも可能なんでしょうか。
○佐々木政府参考人 先ほど申し上げましたとおり、液状化により傾斜や損壊が起きた住宅についても、この事業の対象となり得るものと考えております。
御指摘のように、一部損壊、これは罹災証明の判定だと思いますけれども、判定が一部損壊の場合であっても、先ほど申し上げたとおり、耐震診断の結果、住宅の傾斜や損壊により倒壊の危険性があると公共団体が判断したものであれば、この事業による支援を受けることが可能であります。
○塩川委員 この住宅・建築物安全ストック形成事業、宅地液状化防止事業との関係ですけれども、宅地液状化防止事業の着手前に住宅・建築物安全ストック形成事業を活用するということは可能だということでよろしいですか。
○佐々木政府参考人 お答え申し上げます。
可能であります。
○塩川委員 この宅地液状化防止事業についてですけれども、補助率四分の一を二分の一に引き上げました。あわせて、宅地液状化防止事業の実施に支障となる被災した地盤や基礎の復旧など、事業の実施に必要な準備工事について自治体が支援する場合に、効果促進事業として支援するということであります。
この効果促進事業というのは、被災者にとってはどのような支援となるんでしょうか。被災者の方にとっての、その上限額ですとか、負担の見込みというのはどのようになるんでしょうか。
○菊池政府参考人 お答えいたします。
効果促進事業は、被災者の方々が、液状化防止事業の事業エリア内において、液状化の再発防止のための工事の前に、支障となる宅地の地盤や住宅の基礎の復旧などを行う場合について、国と地方公共団体で最大三分の二の補助率で支援を行う事業です。
具体的には、液状化により被災した地盤や住宅の基礎などは、液状化の再発防止のための工事を行う際に更なる住宅の傾斜や宅地の陥没などを引き起こすなどの支障を生じるおそれがあるため、その復旧などを支援対象としております。
効果促進事業の具体的な補助の内容については、今後、上限額を含め、各地方公共団体において検討される仕組みとなっております。
国土交通省としては、地方公共団体からの相談に丁寧に対応し、液状化被害を受けた方々の生活再建が迅速に進むようにしっかりと支援してまいります。
以上でございます。
○塩川委員 被災者の本人負担分について、例えば自治体が負担をするとか、そういうことを妨げるものではないということでよろしいですか。
○菊池政府参考人 お答えいたします。
効果促進事業の具体的な補助の内容については、各地方公共団体において検討される仕組みとなっております。国の制度においては、国の負担が三分の一であることを定めているものであり、自治体が補助の内容を決めた場合には、地方負担の三分の一を超えて支援することは可能でございます。
以上でございます。
○塩川委員 この効果促進事業を先に行って、宅地液状化防止事業に進んでいくということも可能ということでよろしいでしょうか。
○菊池政府参考人 お答えいたします。
この事業は、宅地液状化防止事業の事業エリア内において行うものでございます。したがいまして、この宅地液状化防止事業の事業を行うエリア内において、その工事を行う前に行う事業でございますので、まずはやはり宅地液状化防止事業を実施するということが決まった後に使っていただくということになります。
○塩川委員 宅地液状化事業についてもすぐに進むわけではありませんから、事業の計画を変更して効果促進事業を行っていくということは考えられることだと思います。
やはり、液状化被害に対する支援策として、災害救助法の住宅応急修理や、また、今やり取りしました住宅・建築物安全ストック形成事業、宅地液状化防止事業とその効果促進事業、それに県や市町村の独自支援策などと併せて一体的に活用できる取組を求めるとともに、被災自治体からは、地域福祉推進支援臨時特例交付金について、石川県の六市町に限定せず、被災自治体に対し適用を求めております。
そのことを改めて求めたいと思いますし、被災者生活再建支援金制度については、是非、最大六百万円以上に引き上げる、対象を半壊、一部損壊にまで広げるということが必要だということを申し上げて、質問を終わります。