【政治改革特別委員会】企業・団体献金全面禁止こそ/国民主権侵害する賄賂

 各党が意見表明を行いました。私は「今国会の重要な課題は、裏金事件の全容を解明し、その政治責任を明らかにし、金権腐敗の根を断つ抜本的改革を実現することだ」と主張しました。

 私は、「問題の核心は、企業・団体献金の全面禁止だ」と強調。「そもそも企業献金は本質的に政治を買収する賄賂。企業献金は国民主権と相いれず、国民が主権者として政治に参加する権利を侵害するものだ」と主張しました。

 30年前の「政治改革」について、政治とカネの問題を選挙制度の問題にすり替えて小選挙区制を導入し、「政党支部への献金」「政治資金パーティー券の購入」という二つの「抜け道」をつくって企業・団体献金を温存、政党助成金との二重取りを認めたことの失敗は明らかだと指摘。「企業・団体献金を全面禁止し、抜け道は完全にふさがなければならない」と強調するとともに、「政党助成制度の廃止を一体として行うことが必要だ」と主張しました。

 また、私は、法改正では「秘書・事務方のせいにして政治家が罪を免れることを許さないため、議員・政治家の責任をきびしく問う仕組みが必要だ」と主張。収支報告書が翌年11月末まで見ることができない等の現行を改め、早期に公開し、報告書要旨を官報などで公的に永久に残し、国民が直接チェックできるようにすべきだと述べました。

 立憲・維新など各党が、企業・団体献金の禁止に言及する中で、自公両党は一切触れず、自民党は居直りました。

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発言要旨は、以下のとおりです。


 今国会の重要な課題は、裏金事件の全容を解明し、その政治責任を明らかにし、金権腐敗の根を断つ抜本的改革を実現することです。これは、当委員会に課せられた任務であります。

 裏金事件は、自民党の主要派閥が、政治資金パーティーを通じて、組織的に、大規模に、長期間にわたり、収支報告書の不記載・虚偽記載という政治資金規正法違反の犯罪行為をおこなっていたものです。自民党政治の底知れない腐敗構造を露呈したものであります。
その中でも安倍派は、巨額の裏金をつくり、突出しています。長期に政権を握り、「数の力」で強権的な政治を進めてきた安倍派を支えていたのが、巨額の裏金だったことは、許しがたいことです。

 この前代未聞の金権腐敗事件に国民の批判と怒りが沸騰したのは当然です。

 ところが、自民党はいまだに自ら真相を解明することができず、この間、衆参の政治倫理審査会に出席した派閥幹部たちは、誰が、いつから、どれだけの裏金をつくったのか、裏金を何に使ったのか、肝心な点は何も明らかにしませんでした。にもかかわらず、自民党はきわめて甘い党内処分と派閥解消で幕引きしようとしています。真相解明にフタをすることは、断じて許されません。

 政治資金規正法は、政治資金の収支を、国民の不断の監視と批判の下におくことによって、政治活動の公明と公正を確保し、民主政治の健全な発達に寄与するとしています。収支報告書の不記載・虚偽記載は、法の根幹にふれる悪質なものであり、国民に対する背信行為であり、民主主義の根幹を脅かすものに他なりません。

 国会の責任で、キーパーソンの森元総理をはじめ関与した政治家の証人喚問をおこない、その全容を徹底解明し、その政治責任を明らかにしなければなりません。

 金権腐敗根絶の核心問題は、企業・団体献金の全面禁止です。

 日本共産党は、すでに、パーティー券購入も含め企業・団体による寄附を全面禁止することを柱とする法案を国会に提出しています。配付資料は、わが党の法案の大綱です。

 いま「政治改革」と言う時、1990年代の「政治改革」の検証が必要です。

 30年前、リクルート事件をはじめ相次ぐ金権腐敗政治に国民の厳しい批判が向けられました。

 1993年8月、細川総理は「企業・団体献金については、廃止の方向に踏み切る」と述べました。ところが「政治改革」と称して行われたのは、政治とカネの問題を選挙制度の問題にすり替えて小選挙区制を導入し、「政党支部への献金」「政治資金パーティー券の購入」という二つの「抜け穴」をつくって企業・団体献金を温存し、政党助成金との二重取りを認めることでした。わが党は、この重大な問題点を当時から指摘し、いわゆる「政治改革4法案」に反対してきました。

 派閥の政治資金パーティーは、派閥への企業・団体献金を禁止した1999年法改正以降、急増しています。パーティー収入に頼る派閥において、幹部になるほどノルマが増え、多数購入してもらうには企業に依存することとなり、企業との癒着を深める構造になっています。企業・団体献金が、パーティー券購入に形を変え、今も大がかりに行われているのであります。

 自民党と、財界・大企業が企業・団体献金にしがみついてきたことの害悪は明らかです。
経団連は、1993年に献金あっせんを中止しましたが、2003年に、露骨な政策買収である政党通信簿方式の企業献金の促進策を打ち出し、“カネも出せば口も出す”と、企業献金を続けています。

 30年前の「政治改革」の失敗は明らかです。

 そもそも、企業の政治献金は、本質的に政治を買収する賄賂です。国民が、自ら支持する政党に寄附することは、主権者として政治に参加する権利そのものです。選挙権を持たない企業が献金することは国民主権と相いれず、国民の参政権を侵害するものです。
政治の歪みをただし、国民主権を貫くためにも、企業・団体献金を全面禁止し、抜け穴は完全にふさがなければなりません。

 日本共産党は、一貫して企業団体献金を受け取らず、企業団体献金の禁止を主張し、そのための法案を90年代から国会に提出し続けてきました。

 次に、罰則強化と政治資金の公開、透明化について述べます。

 1つは、秘書・事務方のせいにして政治家が罪を免れることを許さないため、議員・政治家の責任をきびしく問う仕組みが必要です。

 わが党の法案は、すべての政治団体の代表者に監督義務を明記し、会計責任者らが違反行為を行った際には、代表者にも同等の刑に処するとしています。公民権停止の期間の延長、罰則の強化も盛り込んでいます。「いわゆる連座制」という言葉が飛び交っていますが、肝心なのは、政治家の責任をどう問うかの具体的しくみです。

 2つは、政治資金の収支はそのまま、速やかに公開し、国民がチェックできるようにすることがきわめて重要です。

 そのため、収支報告書を迅速に公開する必要があります。これまでの法改定により、収支報告書は翌年11月末まで見ることができません。また、大半の都道府県選管が要旨を作成しなくなり、収支は直近3年分しかわからない状況になっています。

 わが党の法案は、収支報告書を早期に公開し、要旨作成の義務を課し、報告書要旨を官報や都道府県公報に掲載し、公的に永久に残すこととしています。また、収支報告書の情報公開開示請求に対して、要旨公開前は開示しないという法規定を廃止し、速やかに開示できるようにします。

 また、「政策活動費」は、禁止すべきです。政党から、政策活動費と称して政治家個人に支出された巨額の資金は、支出内容がまったく不明瞭であり、収支をすべて明らかにするという政治資金規正法の趣旨に反するものです。裏金が横行する背景となっていることも看過できません。

 第三者機関によるチェックという議論がありますが、現行制度として、「国会議員関係政治団体」の収支報告に「政治資金監査」制度が導入されています。しかし、この監査を受けていても、キックバック不記載が横行し、不明朗支出や白紙領収書の問題などが頻発しています。わが党は、この制度は「監査人のチェックを受けたという“お墨付き”を得ようとするものに他ならない」として導入に反対しましたが、実際の運用からも、こうした制度が何のチェック機能も果たさないことは明白です。

 最高のチェック者は国民です。政治資金の収支はそのまま、速やかに公開し、国民が直接チェックできるようにすればいいのであります。

 金権腐敗政治を根絶するためには、企業・団体献金の全面禁止と政党助成制度の廃止を一体として行うことが必要です。日本共産党は、政党助成金を一貫して受け取らず、政党助成法廃止法案を国会に提出しています。

 政治資金の拠出は、国民の政治参加の権利そのものです。これに反するのが政党助成制度であり、「思想・信条の自由」や「政党支持の自由」を侵かす、憲法違反の制度です。
法施行以降、約9250億円もの税金が、わが党以外の各政党にばらまかれ、企業・団体献金と政党助成金の二重取りが続いています。

 重大なことは、この制度が、きわめて深刻な形で「政党の堕落」をまねいていることです。多くの政党が運営資金の大半を政党助成金に依存する「官営」政党となっています。

 政党は、国民の中で活動し、国民の支持を得て、国民から「浄財」を集め、活動資金をつくることが基本です。その努力もせず税金頼みになっているから、カネへの感覚が麻痺し、腐敗政治を作り出す根源の一つとなっています。民主主義を壊すきわめて「有害」な税金の使い方である政党助成制度は、廃止すべきです。

 最後に、議員の処遇の問題について、申し述べます。「調査研究広報滞在費」旧文通費について、わが党は、使途・公開・返納のルールづくりを主張してきました。議院運営委員会において、各党間の協議を行い、実施に向けた結論を出すことが必要です。