【政治改革特別委員会】政策活動費・自民案/廃止どころか合法化

 自民党の裏金事件を受けた政治資金規正法改定案の審議が行われました。私は、自民党が当日提出した「修正案」は政策活動費を合法化するものだと批判し、廃止を求めました。
 
 私は「政党から政策活動費と称して政治家個人に支出された巨額の資金は、支出内容が全く不明瞭であり、収支をすべて明らかにするという規正法の趣旨に反するものだ」と指摘。自民党案は、現行法令上の定めがない政策活動費を「政党から個人への支出」として規定しており、「政策活動費を初めて法定化、合法化するものだ」と批判しました。
 
 私は、自民党案では、党幹事長などに多額の支出をしても収支報告書の備考欄に「組織活動費」「選挙活動費」「調査研究費」など大まかな項目ごとの支出金額・年月を記載するだけで、支出の目的は明らかにされないのかと質問。
 
 自民案提出者の鈴木馨祐議員が「(公開には)限界がある」と述べたのに対し、私は「現行の政治資金収支報告書に基づく支出の記載項目から大きく後退している。新たに政策活動費を法定化することで、支出の記載の在り方にダブルスタンダード(二重基準)をつくる内容だ」と批判しました。
 
 自民党が維新と合意した修正案では、政策活動費について、毎年の上限金額を設定し、10年後に「支出の状況」を公開する制度を検討するとしています。
 
 私は、「年間の上限金額はいくらか」「『支出の状況』とは何か」など制度の具体的な内容をただしましたが、鈴木氏は「各党と議論し、結論を得る」と繰り返し、答えませんでした。
 
 私は上限金額が大きく膨らむ可能性や、公開時に領収書と明細書がない場合があることを鈴木氏が否定しなかったと指摘。「政策活動費はきっぱりと廃止にすべきだ」と主張しました。
 
 理事会では、日本共産党が反対する中、与野党の理事が4日の採決を決めました。
 

政策活動費・自民案/廃止どころか合法化/衆院政治改革特委/塩川氏追及

「しんぶん赤旗」6月4日・1面より

 衆院政治改革特別委員会が3日開かれ、自民党の裏金事件を受けた政治資金規正法改定案の審議が行われました。私は、自民党が同日提出した「修正案」は政策活動費を合法化するものだと批判し、廃止を求めました。

 私は「政党から政策活動費と称して政治家個人に支出された巨額の資金は、支出内容が全く不明瞭で、収支を全て明らかにするという規正法の趣旨に反する」と指摘。自民党案は、現行法令上の定めがない政策活動費を「政党から個人への支出」として規定しており、「政策活動費を初めて法定化、合法化するものだ」と批判しました。

 私は自民案について、党幹事長などに多額の政策活動費を支出しても政治資金収支報告書の備考欄に「組織活動費」「選挙活動費」「調査研究費」など大まかな項目別に支出金額・年月を記載するだけで、支出の目的は明らかにされないのかと質問。自民案提出者の鈴木馨祐議員が「(公開には)限界がある」と述べたのに対し、私は「現行の収支報告書に基づく支出の記載項目から大きく後退している。新たに政策活動費を法定化することで支出の記載の在り方にダブルスタンダード(二重基準)をつくる内容だ」と批判しました。

 自民が維新と合意した修正案では、政策活動費について毎年の上限金額を設定し、10年後に「支出の状況」を公開する制度を検討するとしています。私は「年間の上限金額はいくらか」「『支出の状況』とは何か」など制度の具体的な内容をただしましたが、鈴木氏は「各党と議論し、結論を得る」と繰り返すのみ。私は、上限金額が大きく膨らむ可能性や、公開時に領収書と明細書がない場合があることを鈴木氏が否定しなかったと指摘し、「政策活動費はきっぱりと廃止にすべきだ」と主張しました。

 理事会では、日本共産党が反対する中、与野党の理事が4日の採決を決めました。

 

 
 


「議事録」

第213回通常国会 令和6年6月3日(月曜日) 政治改革に関する特別委員会 第7号

○塩川委員 日本共産党の塩川鉄也です。

 今の議論にあるように、全然審議を尽くされていないんですよ。それをあした採決するなんてとんでもない、あしたの本会議で緊急上程なんというのは断じて許されない、徹底した審議が必要だということをまず冒頭申し上げておきます。

 そこで、自民党の提出者にお尋ねいたします。

 最初に、政治資金収支報告書要旨の作成、公表義務の削除の件についてお尋ねをいたします。

 自民党案の提出者は、政治資金の透明性の向上を図ると繰り返し述べてまいりました。そこで、お聞きしますが、自民党案では官報又は都道府県の公報による政治資金収支報告書の要旨の公表義務を削除しております。収支報告書の要旨には、寄附者の氏名や寄附額を始め項目ごとの収入額や支出額など、収支報告書の根幹部分が記載をされております。収支報告書そのものは、総務省、都道府県選管での閲覧、インターネット公表されますが、三年たつと削除されて見られなくなってしまいます。過去に遡って収入額、支出額、寄附者名などを確認することができなくなる、これは透明性の向上どころか透明性の後退ではありませんか。

○本田議員 お答えいたします。

 改正案では、収支報告書に関するデジタル化を進展させ、国会議員関係政治団体のオンライン提出の義務化や、収支報告書のインターネット公表の義務化などを盛り込んでおります。

 また、委員御案内のとおりだと思いますけれども、現行法においては収支報告書をインターネットで公表する場合には収支報告書の要旨を公表する必要がないと定められており、この規定に基づき、現在、四十七都道府県中三十八道府県において収支報告書の要旨が廃止されている、そういう現状にございます。

 インターネットで公表された収支報告書は誰でも保存することができるにもかかわらず、要旨の公表を復活させることは、むしろこれらの都道府県における業務負担の増加につながると考えております。

 以上の観点から、収支報告書の要旨の公表を廃止したというところでございます。

○塩川委員 規正法というのは、国民の監視と批判の下に置く、政治資金を明らかにしていく、オープン、公開していく、その立場に立ったときに要旨の削除というのはまさに後退じゃありませんか。事務作業量の話じゃないんですよ。国民に対してやはりしっかりとした規正法に基づく情報の公開を行っていくということこそ必要で、これは明確な後退だと言わざるを得ません。

 要旨を使って三年より前の収支報告書が確認できたことで、自民党派閥への企業・団体献金禁止の法改正があった一九九九年に自民党派閥の政治資金パーティー収入が前年より三・六倍に増えたことが明らかになったわけであります。企業・団体献金が形を変えて政治資金パーティーになったことを浮き彫りにできたのも、収支報告書の要旨があったからこそであります。

 それを、二〇〇七年の法改定で収支報告書のネット公表を行っていれば要旨を作成、公表しなくてもよいとなった。これが問題で、今答弁があったように、実際、要旨作成、公表を取りやめた都道府県選管は三十八道府県に上るわけであります。

 要旨公表義務規定を取り去れば、政治資金の動きは全く分からなくなります。政治資金の透明性の向上どころか、収支報告書の公開の制度の重大な後退であります。要旨公表義務規定の削除はやめるべきではありませんか。

○本田議員 お答えいたします。

 要旨の削除をやめるべきではないかという御指摘、理解するところもあるんですけれども、現状において、現行法において収支報告書をインターネットで公表する場合には収支報告書の要旨を公表する必要がないと既に定められているところでございます。

○塩川委員 それが間違いなんですよ。そういうことをやったから後退になっているわけで、先ほども言ったように、政治資金を国民の監視と批判の下に置く、こういう規正法の趣旨に全く逆行するものであります。過去の不祥事をもみ消したいという発想じゃないでしょうか。

 このような、裏金を暴露されたくないというものであって、国民による政治資金の監視を妨げる法案と言わざるを得ません。政治資金収支報告書は公的に永久に残すことこそ必要であり、要旨公表義務規定の削除は撤回をすべきだと重ねて申し上げておくものであります。

 次に、寄附者の住所記載の変更についてお尋ねをいたします。

 附則の第五条第四項において寄附者の住所について市区町村名までとする収支報告書、住所限定報告書の提出を可能とする法改正を行うものとなっております。お尋ねしますが、このようになった場合に、総務省や都道府県選管における収支報告書の閲覧については、マスキングなどの加工をしていない収支報告書そのものは閲覧できるんでしょうか。

○本田議員 お答えいたします。

 委員御指摘の附則第五条第四項は、収支報告書とともに個人寄附者等の住所の一部を記載していない収支報告書を併せて提出した場合には、個人寄附者等の個人情報やプライバシーに配慮をして、インターネットによる公表に際しては住所が限定された報告書が公表されるということにしております。

 その上で、総務省や都道府県選管での収支報告書の閲覧については、インターネットのように時間、場所を選ばず直ちに閲覧できるような環境にはないため、従前どおり、住所が限定されない収支報告書についても閲覧の対象としております。

 また、総務大臣、都道府県選管は、住所が限定された報告書だけでなく、従来の収支報告書についても保存が義務づけられているため、情報公開法等に基づく情報公開の対象となると考えております。

○塩川委員 確認ですけれども、情報公開請求については先ほど聞いていなかったものですから、情報公開請求についてもマスキングなどの加工をしていない収支報告書そのものの開示ができるということでよろしいですか。

○本田議員 はい、開示の対象になると考えております。

○塩川委員 この点、確認をいたしました。

 そもそも、総務省、都道府県選管においてしっかりと収支報告書そのものを閲覧できるようにすること、情報開示請求についても収支報告書そのものの開示を行う、このことは当然維持されるべきであって、プライバシー保護を口実にしたような政治資金の情報開示の後退は許されないということを申し上げておくものであります。

 そこで、政策活動費についてお尋ねをいたします。

 政党から政策活動費と称して政治家個人に支出された巨額の資金は、支出内容が全く不明瞭であり、収支を全て明らかにするという政治資金規正法の趣旨に反するものであります。

 この政策活動費というのは規正法においてはどのように規定をされているのか、その根拠は何かについてお尋ねいたします。

○鈴木(馨)議員 従来の政治資金規正法の中においては、政策活動費という、その言葉自体の定義ということはございません。

 今回、そういった中でいろいろな議論が、様々な議論が行われている中で、今回の改正後ということで申し上げれば、第十三条の二の第一項におきまして、政党に所属している衆議院議員又は参議院議員に係る公職の候補者は、当該政党からの支出、それが、一件当たりの金額、数回にわたってされたときはその合計金額としておりますが、五十万円を超えるものに限るものとし、別途人件費あるいは光熱水費その他の総務省令で定める経費の支出を除くというものでありますが、要は支出で金銭によるものを受けたときということで定義してございます。

○塩川委員 政策活動費については現行法令上の定めがないということで、今回、政策活動費を初めて法定化するものということであります。

 政策活動費をいわば合法化する規定ということでは、政党からの支出というのは、本来、政治家を経由せずに行って収支報告書に支出の項目や金額を書けばよいものであって、政治家経由の支払いは迂回献金ならぬ迂回支出と言わざるを得ない、このことは認められないということを申し上げておきます。

 そこで、いわゆる政策活動費の使途公開に関して修正前の自民党案において、政策活動費について、収支報告書を見ると、茂木幹事長に三千万円とか出てくるわけですね。使途公開の記載の仕方なんですけれども、例えば茂木幹事長への三千万円の支出を記載した収支報告書において、どんなふうに記載をすることになるのか。備考欄のところに、組織活動費とか選挙活動費とか調査研究費とか、そういった支出項目の範囲で金額と年月を記載するということですか。

○鈴木(馨)委員 今の御質問についてでありますが、同じ改正法の第十三条の二第一項の後段ということになりますが、今おっしゃられた支出につきましては、当該支出に係る同号の総務省令で定める項目別の金額及び年月を通知するということとしております。

 通知に基づいて記載をするということですから、要すれば、政治資金報告書の当該部分の基本的には備考欄において、支出がされた年月と項目、総務省令上、政治資金という世界においては支出項目というものが列挙限定されていますので、それぞれについて幾らあったのかということを記載するということを想定しております。

○塩川委員 規正法の省令で政治活動費については六項目ぐらい項がありますけれども、その範囲ということで、支出項目であって、支出の目的というのは入らないわけですよね。

○鈴木(馨)委員 項目ということでのここでの記載ということであります。

 趣旨としては、法令上どこまでできるのかというところ、今の現行法の中でかなりそこは我々としても工夫をしたところでありますけれども、なかなかそこは限界があるというところで項目ということとして、虚偽があれば当然そこは法令違反ということになりますので、そこは会計責任者に対しても責任が追及されるという状況になります。

 その上で、今、改正の修正案においても、第三者機関であったり、あるいは十年後ということでそこを更に補完していく、そういったことで考えてございます。

○塩川委員 我が党は、第三者機関じゃなくて、国民そのものにきちっと公表する、国民はやはり監視、批判、判断を行っていく、それを保障するという点で、先ほどの要旨の削除なんかはとんでもないということでもありますし。

 今のお話でも、支出項目はあるけれども、支出の目的がない。同様に言えば、年月日の日は入れないですとか、あるいは支出を受けた者の氏名や住所は入らないだとか、そういった点で、まさに現行の政治資金収支報告書に基づく支出の記載項目から大きく後退をさせている、新たに政策活動費というのを法定化することによってこういった支出の記載の在り方についてダブルスタンダードを作るというのが今回の法案の中身だということを言わざるを得ません。

 その上で、こういったものについて、自民党案というのは、大きなブラックボックスはそのままに、中に間仕切りを入れただけというのが実態という点で、ガラス張りにするという規正法の趣旨に反するものと言わなければなりません。

 あわせて、修正案において、年間の政策活動費の上限金額ですけれども、維新案にあった政党交付金の一%あるいは五千万円の小さい方といったことなどの配慮を含めてどうなるのか。今、現行、直近の政策活動費の支出については十四億円余りと承知をしておりますけれども、その十四億円以上というのも排除されないのか。上限についてお答えください。

○鈴木(馨)委員 上限についてでありますが、先ほどほかの答弁で申し上げましたが、今後、上限額をどうしていくのか、この制度設計につきましては、先ほど申し上げたように、政治活動の自由への配慮、あるいは政党によって活動規模がまちまちということもあります、その中で、適正な規模がどうなのか、各党の皆様方と早急に議論し、検討させていただいて、結論を得られるように努力してまいるということでございます。

○塩川委員 それは、政党によって上限金額が違うということもあり得るということなんですか。

○鈴木(馨)委員 そういったことについても今後各党間での検討を行い、結論を得るものと承知しております。

○塩川委員 要するに自民党と維新で話し合って決めるような枠組みですよ、ほかの党は政策活動費をなくすと言っているわけですから。そういった点でも、政策活動費の上限金額について全く定めがないという点でも、十四億円以上になるということも排除されないということについても否定をされませんでした。そういう点でも極めて重大だと言わなければなりません。

 次に、修正案による十年後の政策活動費の支出の公開についてですけれども、修正案の条文で、支出の状況(これに係る領収書、明細書等を含む。)を公開するとありますけれども、この支出の状況というのは何なんですか。

○鈴木(馨)委員 支出の状況というのは、いわゆる使用状況、ここについて、領収書あるいは明細書等も含めた使用状況についてという趣旨であります。

○塩川委員 使用状況というのはどんなふうに明らかにされていくものなんですか。

○鈴木(馨)委員 ここについては、我々の修正案においては、十年後にそういったものを、領収書、明細書等を含めた使用状況について公開するものとして、その制度の具体的な内容については早期に検討が加えられ結論を得るということとしております。

○塩川委員 支出の状況についての説明がないままなんですけれども。(これに係る領収書、明細書等を含む。)とあるんですけれども、領収書、明細書を含むですから、領収書、明細書がない場合もあり得るということをいう表現と受け止めてよろしいですか。

○鈴木(馨)委員 一般論として申し上げれば、当然そこは、領収書、明細書等も含めて使用状況を公開すると書いてございますものでありますけれども、ただ、公開対象となる事項等については、今後、政治資金の透明性の確保と、各政党の活動と関わりのある個人のプライバシーや企業、団体の営業秘密の保護等とのバランスを図りながら、そういった公開対象についても各党で議論をしていくということと認識しています。

○塩川委員 ですから、領収書、明細書をつけない場合もあり得るということを含む表現ということでよろしいですか。

○鈴木(馨)委員 基本的には、我が党において、これまでの運用によれば、政党としての様々な活動、党勢拡大であったり、あるいは調査研究であったり、政策立案であったり、そういったものを代わってすることができる責任と、そういった判断ができる者に対しての支出、これがいわゆる政策活動費ということになっております。

 今回においては、その者から先の支出について対象とするということになっております。そういった意味においては、領収書等、そこについては基本的にはそういったものも含まれるという認識でおります。

○塩川委員 含まれるけれども、ない場合もあるんでしょう。

○鈴木(馨)委員 実際にどのような運用をしていくのか、あるいはどのような形での対応をしていくのか、ここについては、先ほど来申し上げておりますけれども、後に、各党間での様々な協議によるものと承知しています。

○塩川委員 ない場合もあるということを否定されませんでした。これでは、何の公開なのかということを言わざるを得ません。

 十年間は情報公開請求をしても開示しないということになるんでしょうか。

○鈴木(馨)委員 制度の具体的な中身については、繰り返しになりますが、ここについては、具体的な内容についての早期の検討、各党間での議論、検討をしていく、その上で結論を得るということであります。

○石田委員長 時間が参っております。

○塩川委員 ええ。

 維新案では情報公開を行わないとしております。そういう点でも、本当に闇の中に置くということを言わざるを得ません。

 政策活動費についてはきっぱりと廃止をする。そもそも、企業・団体献金、何も言っていない。聖域とするような企業・団体献金、許されない、きっぱりと禁止する。そのことを求めて、質問を終わります。