【政治改革に関する特別委員会】公選法の複雑な規制を抜本的に見直すこと必要、政治改革特の参考人質疑

 選挙運動について参考人質疑が行われ、質問しました。

 私は「国民・有権者の自由な選挙運動を妨げている規制をなくし、国民が主権者として自らの代表を選び、政治に気軽に多面的に参加できるよう、複雑な現行法を見直す抜本的な見直しが必要だ」と主張しました。

 昨年の都知事選では過去最多の56人が立候補し、ポスター掲示場の区画が足りず、一部のポスターがクリアファイルで掲示されました。

 私は、立候補の公平からの問題があると同時に、「有権者に候補者の情報や政策がきちんと伝わったと言えるか」と質問。

 東京都選管事務局の織田選挙課長は「法令の範囲内で最善の策を講じた」と述べました。一方、元総務省選挙部長の選挙制度実務研究会の大泉会長は、掲示板の区画は全員部あるべきだとし、「(選管には)候補者が平等に争える環境を整えることが求められる」と述べました。

 また、私は、選挙の公正性を担保するためにも、選挙事務に従事する選挙管理委員会の人員の拡充が欠かせない、と強調。

 兵庫県選管の永田委員長は、人員不足で昨年の知事選でも苦労したと述べ「今後増やしていかなければならない」と増員を要望しました。

 大泉氏は「公選法の知識を十分に備えたベテラン職員が減ってきている」と現状を危惧しました。

衆議院TV・ビデオライブラリから見る


複雑な公選法 見直せ/衆院特委/塩川議員、選管増員求める

「しんぶん赤旗」2月21日・2面より

 衆院政治改革特別委員会は20日、選挙運動について参考人質疑を行い、日本共産党の塩川鉄也議員が質疑に立ちました。塩川氏は「国民・有権者の自由な選挙活動を妨げている規制をなくし、国民が主権者として自らの代表を選び、政治に積極的に参加し、選挙に気軽に多面的に参加できるよう、複雑な現行法を見直す抜本的な見直しが必要だ」と主張しました。

 過去最多の56人が立候補した昨年の都知事選ではポスター掲示板の区画が足りず、一部のポスターがクリアファイルで掲示されました。塩川氏は、立候補の公平から問題があると同時に「有権者に候補者の情報や政策がきちんと伝わったと言えるのか」と質問。東京都選挙管理委員会事務局の織田祐輔選挙課長は「法令の範囲内で最善の策を講じた」と述べましたが、元総務省選挙部長で選挙制度実務研究会の大泉淳一会長は、掲示板の区画は全員分あるべきだとし、「(選管には)候補者が平等に争える環境を整えることが求められる」と述べました。

 塩川氏は、選挙の公正性を担保するためにも、選挙事務に従事する選挙管理委員会の人員の拡充が欠かせないと指摘。兵庫県選管の永田秀一委員長は、人員不足で昨年の県知事選挙でも苦労したと述べ、「今後、増やしていかなければならない」と増員を要望しました。大泉氏は「公選法の知識を十分に備えたベテラン職員が減ってきている」と現状を危惧しました。

 同委では自民、立憲民主党などが同日提出した、選挙ポスターに品位保持規定を設ける公選法改定案などの趣旨説明が行われました。


「議事録」

第217回通常国会 令和7年2月20日(木曜日)政治改革に関する特別委員会 第3号

○塩川委員 日本共産党の塩川鉄也です。

 参考人のお三方には貴重な御意見を賜り、ありがとうございます。

 最初に、三人の参考人の皆さんにそれぞれお答えいただきたいと思います。

 日本の公職選挙法ですけれども、べからず法と言われますように、立候補や選挙運動に様々な規制が設けられており、民主主義や国民の参政権の保障の点から重大な問題があると考えております。選挙運動を包括的に禁止して、例外的に許容するという体系になっております。そのため、選挙の主体が候補者、政党となり、選挙運動を行うための手段や方法が厳しく制限され、複雑で、いわばプロでなければ選挙運動ができないような仕組みになっている現状です。

 だからこそ、国民、有権者が主体的に選挙、政治に関わりやすくする、国民、有権者の自由な選挙活動を妨げている規制をなくす、国民が主権者として自らの代表を選び、政治に積極的に参加をし、選挙に気軽に多面的に参加できるよう、複雑な現行公選法を抜本的に見直すことが必要だと考えますが、それぞれのお考えをお聞かせください。織田参考人、永田参考人、大泉参考人の順番でお願いをいたします。

○織田参考人 先ほども申し上げたとおり、選挙管理委員会の一員でございまして、公職選挙法に基づき執行しております。また、大変申し訳ございませんが、諸先輩方に比べて、私、まだ浅いものでございますので、全体像を把握できていない部分もあるかもしれません。

 ただ、いろいろと勉強して、選挙を執行していく中で、公職選挙法もいろいろ過去に見直しが行われ、インターネット選挙についてもガイドラインが出るなど、時代に即しての見直しというのが行われてきているというところを我々も感じ取っているところでございます。

 先ほどと繰り返しになりますけれども、時代にそぐわない部分というのは、昨今のSNSを始めとしたインターネットの普及に対しては、非常にスピードが速いので、追いかけている部分もあると思いますので、是非先生方のお力で、必要な見直しがあれば是非していただき、また、その運用がしっかりとできるように、具体的な事例、対象となるものを明示いただければありがたいというふうに考えてございます。

○永田参考人 今回、SNSを発信した候補者なんですが、これの立候補を認めないようにしたらどうかというような、そんな意見もあったんですけれども、我々としましては、立候補の届出に必要な書類をちゃんとそろえて出してくれば受理せざるを得ないというようなことになっていますので、内面的なことで、例えば他の候補を応援するために出るんだというようなことは、我々としてもちょっと分かりませんので、その辺も含めまして、立候補をどういうふうに制限するかということは非常に難しい問題だ、そのように考えておるところでございます。

 しかし、そういうことにつきましても、今回の選挙ではいろいろな方から批判もいただきましたし、そういう中で我々もしっかりとそれを受け止めて今後対応していきたいというふうに思っているところでございますが、現行法ではそれがやはり限界があると思うんですよ。ですから、やはり法の整備をしっかりしていただいて、我々は条例を制定、おとつい本会議が始まっていますけれども、そこでもいろいろな意見の開陳がなされておりますし、我々としてもちゃんとした選挙ができるようにということで、県としても例えば今回の補正予算の中でも一千万ほどの補正を積むということで、知事からそういう提案も出されております。

 ですから、そういうようなことも含めまして、我々独自として兵庫県としても条例としてどういうことをしたらいいかということをずっと検討して、大学の先生とか弁護士の方とか四人ほど入っていただいてそういう検討委員会も設けておりまして、その中でいろいろな、今後どういうふうな形で選挙ができるのかというような話合いを今していただいているところですので、まだ具体的な形のものが出ていませんが、しかし、今、定例の県議会も開かれていますので、そういう中でおいおいそういう回答が出てくるんじゃないかな、そのように思っておりますし、また、そういうふうにしていかないと今後の選挙にプラスにならないというふうに思っていますので、まずそういう方向づけに我々も一生懸命努力したいと思っております。

○大泉参考人 今の選挙法が制限だらけではないかということで、いろいろ御批判があることは十分承知しております。

 教科書的になってしまいますけれども、選挙運動に制限が課せられているのは、財力の差によって力が変わってきてはいけないということとか、金のかからない選挙制度にするためにこういうふうになっていたんだと説明されておりますし、それぞれの候補者あるいは政治団体などの持っている資源が違う、人がたくさんいるところもあれば、お金がたくさん、たくさんはないかもしれませんけれども、お金でやるのを面倒が見られるというようなところがある、いろいろな中での、その均衡を取ったところで現在の公選法があるんじゃないか。ただ、ちょっと古い時代にできたものではございますけれども、そういうもので今の公選法があるんじゃないかと認識をしております。

 その中で、SNS、インターネットによる選挙運動は、そこは風穴を空けてほぼ自由になったわけでございますけれども、今度は逆に今回のような規制の必要性が語られてきているようなところもありますので、そこら辺は最終的には全てを含めて国会、立法府の中でお決めいただければ一番いいんじゃないかと思います。

○塩川委員 ありがとうございます。

 次に、都知事選のポスターに関連して織田参考人と大泉参考人にお尋ねいたします。

 都知事選において、ポスター掲示板の区画が足りない、クリアファイルによって掲示をするということが起こりました。事前に区画が足りないということは指摘をされていたところですけれども、このような対応になったということで、そうしますと、元々アクリル板という話も報道で聞きましたけれども、それがクリアファイルになったというような経緯として説明を聞きましたが、立候補の公平の点からいった場合にやはり差があったんじゃないのか、有権者に候補者の情報や政策がきちんと伝わったと言えるのか、その点についてお考えをお聞かせください。

○織田参考人 ポスター掲示場の外周区画を活用したということにつきましては、今御指摘にあったものというのは、先ほど私の説明には入っていなかった内容もございましたけれども、端的に言いますと、候補者数が大幅に増加した理由としては、特定の団体が候補者を大量に立てようとしたというところも大きく影響してございます。その立てる数については、古くは、最初は二百と言ったり、百と言ったり、五十と言ったり、その後も二転三転して数字が変わる中で実際の候補者の名前が出ない、ただのつかみ数字だけを弄した、そういうようなお話で聞きました。また、別の団体も五十名くらいの候補者を立てるというような情報もありまして、選管としましては、ありとあらゆる情報をしっかりと吟味して備えてまいったところでございます。

 また、SNSで事実に基づかないような情報が流布されておりますけれども、実際に増設をする判断ができる段階では、それを超えるというような情報は我々は知り得なかった。その後になってしまったことによって、緊急避難措置としてああいった用品を使った対応をしたというところでございます。

 そして、一般の有権者の方々に対してそれが情報としてどのように捉えられたかというところにつきましては、緊急避難措置であるということで、全く同じような態様で貼られたというふうには、裁判の判決の中でも、そこまでは言えないかもしれないというようなお話をいただいております。

 ただ、そもそもポスター掲示場というのは、ポスターを貼れる人と貼れない人がいる、そういったものをちゃんと皆さんが平等に貼れるようにするということで備えられた、そういう設備でございますので、逐条解説の中でも、同じ一面にポスターを貼ることができるようにというような表現になっております。そこをしっかりと担保するという形で我々としては外周区画というものを設置させていただいた、そして、下地となるような用品を用意して少しでも遜色ないように見えるようにということをやりましたので、法令の範囲内で、ぎりぎり許容される範囲内の最善の策を取ったというふうに考えてございます。

○大泉参考人 今、織田参考人から大変な御苦労があったというふうに伺いました。ただ、御苦労を顧みずに言いますと、一般的に言えば、公選法の建前といいますのは、候補者が同様な条件で争うということになります、それを求められていると思いますので、そういう意味ではポスター掲示場は全員の分がなければいけないのかなと思っております。今、裁判になって判断を受けておりますが、また上告されているようでございますので、そういう中で、緊急避難であったかもしれませんけれども、基本的には候補者が平等に争えるように環境を整えていくのがまた求められるのかなと思っております。

○塩川委員 ありがとうございます。

 選管が公正な選挙を確保する、また候補者の選挙活動の自由も保障していく、それをもって有権者の参政権を保障する、そういう取組で日常的な活動も大変重要だと思っております。そういう点での選管による日常的な啓発の活動ですとか周知徹底の重要性というのが大変求められているところであります。

 そこで、お三方に、一言ずつで結構ですけれども、選挙の正当性や公正性を担保するためにも、管理や執行や啓発に係る経費と選挙事務に従事する人員を十分に確保すべきだと考えております。特に、人員の面でいきまして、都道府県選管がどれだけの体制かというのもありますし、市町村選管などはなかなかこれは人の確保も困難だということも聞いております。そういった選管における人員の確保の現状というのはどんな課題があるのか。我々としては、それをより拡充することこそ選挙をしっかりとしたものとしていく上でも欠かせないと思っているんですが、その点についてお考えをお聞かせいただけないでしょうか。順番でお願いいたします。

○織田参考人 人員の配置というのはなかなか難しいものでございまして、行政委員会でございますけれども、基本的には行政組織の一部ということで、全体の人員配置の考え方等も踏まえて配置されているものというふうに存じております。

 今お話があったように、例えば区市町村の選管においては、専任の職員がいるところ、専任プラス兼任がいるところ、ほぼ全員兼任になっているところ、そういったところは様々でございます。それはやはり年間の中で選挙又はその選挙に関わる事務に従事するというボリュームにもよりますので、一概には言えないことかなというふうに考えてございます。

 選挙の執行だけではなくて、政治団体の管理であるとか、都道府県であればそういったこともやっておりますし、一般の有権者の方に対する啓発などもやっておりますので、そういった業務量に応じて必要な人員が配置されるものと考えてございます。

○永田参考人 私どもの選挙で、今回は急な選挙だったものですからね。ですから、元々人員が足らないというか、ふだんは、別に選挙を毎日やっておるわけでもありませんので、人員の方も確かに足らないというふうに、私どももそのように認識をしております。しかし、今回の場合はそこへもってきて急な選挙ということになりましたので、誠に対応に苦労したんですが、しかし、そういう中でも、今回、人員のある程度の増加を私どもとしてしまして、一応、今回の選挙に対応したということになるんですが。

 全般的に言いますと、おっしゃるとおり本当に選挙管理委員会の委員というのは数が少なくて足りないというので、これはやはり今後何らかの形で増やしていかないといけないんじゃないか、そういう認識を私どもはしているところでございます。

○大泉参考人 今お二人の参考人からあったとおりが現状だと思いますし、私どもも、耳に入ってくる話は、選挙がいつもあるわけではないのでなかなか人員的に確保するのは難しいというような話は入ってまいります。また、特に最近では昔たくさんいたようなベテランの職員が大分減ってきて、人事ローテーションでなかなか難しくなってきているというようなお話も聞きますので、公選法の知識、プラスアルファの知識を備えた職員がちゃんといるようにしなければいけないと考えております。

 そういう中で、私どもの一般社団法人も選管からの質問の受付先みたいになっておりまして、そういう中で一助を、少しでもお助けになればというふうに活動しております。

○塩川委員 執行経費基準法の議論もありますので、参考にさせていただきたいと思います。

 本当にありがとうございました。