【政治改革に関する特別委員会】「企業・団体献金は禁止を」参考人質疑

 衆院政治改革特別委員会は、企業・団体献金に関して、参考人質疑を行い、私が質問に立ちました。

 小林節氏(慶應大学名誉教授)は「企業献金は本質において買収であるから、露骨に公共の福祉に反し、禁止すべきだ」と陳述。私は「企業・団体献金は、国民の参政権を侵害するものではないか」と質問。小林氏は「金持ちか有力者が、法人のカネを持って、権力を持っている側に献金、結果的に大企業に有利な税制が行われている。本来1人1票のはずのものが、これでは昔の制限選挙と同じで、歴史に逆行する」と述べました。

 また、私は、90年代の「政治改革」において、政治家個人への企業・団体献金を禁止としながら、政党支部とパーティー券購入という2つの穴が空いたと指摘。「当時から、このような議論があったのではないか」と質問したのに対し、当時、細川総理秘書官を務めていた成田憲彦氏(駿河台大学名誉教授)は「当然予見されていた」、「当時から、当然懸念があった」と説明しました。

 さらに私は、政治資金の公開について、質問。昨年の法改定による収支報告書「要旨」廃止について、中北浩爾氏(中央大学教授)は、「後々、検証可能性を損なう。避けていただきたい」と昨年の審議でも指摘したと述べ、「思いは全く変わっていない」と強調。その上で、今回の自民党案が、要旨を廃止したまま、一部の収支報告書の高額寄附だけを公表することについて、収支報告書の無期限公開の必要性を述べました。

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企業献金は歴史に逆行/塩川氏に参考人禁止主張/衆院政治改革特委

「しんぶん赤旗」3月19日・2面より

 衆院政治改革特別委員会は17日、企業・団体献金に関して参考人質疑を行い、日本共産党の塩川鉄也議員が質問に立ちました。

 小林節・慶応大学名誉教授は「企業献金は本質において買収であるから、露骨に公共の福祉に反し、禁止すべきだ」と陳述しました。塩川氏は「企業・団体献金は、国民の参政権を侵害するものではないか」と質問。小林氏は「金持ちか有力者が、法人のカネを持って、権力を持っている側に献金し、結果的に大企業に有利な税制が行われている。本来1人1票のはずのものが、これでは昔の制限選挙と同じで、歴史に逆行する」と述べました。

 また、塩川氏は、1990年代の「政治改革」において、政治家個人への企業・団体献金を禁止としながら、政党支部とパーティー券購入という二つの穴が開いたと指摘。「当時から、このような議論があったのではないか」と質問したのに対し、当時、細川護熙首相秘書官を務めていた成田憲彦・駿河台大学名誉教授は「当然予見されていた」、「当時から、当然懸念があった」と説明しました。


「議事録」

第217回通常国会 令和7年3月17日(月曜日)政治改革に関する特別委員会 第8号

○塩川委員 日本共産党の塩川鉄也です。

 四人の参考人の皆様、今日は貴重な御意見を賜り、ありがとうございます。

 最初に、中北参考人にお尋ねをいたします。

 冒頭の意見陳述の中で、公開の徹底のお話をされておられました。その中で、公開期間の三年から無期限への延長をということでお話があり、その点、研究上も有用だということもコメントとしてあったところは、そのとおりだと思っております。

 そもそも、収支報告書の要旨の問題について、その公表義務について、これが削除をされるということがこの間行われたわけですけれども、このことについてはどのようにお考えになっておられるのかについて教えていただけないでしょうか。

○中北参考人 お答え申し上げます。

 昨年、参議院に維新の推薦で参考人として出席させていただきました。その際にも申し述べたように、要旨の廃止ということは、後々、検証可能性というのを損なってしまうということになりますので、研究者の端くれとして、これはどうにか避けていただけないかという話をさせていただきました。その思いは全く変わっておりません。

 確かにコストはかかるかもしれないけれども、この点については、与野党しっかり議論していただければというふうに個人的には思っております。

 以上でございます。

○塩川委員 ありがとうございます。

 そうしますと、自民党の公開強化法案というのが、一階、二階、三階というお話がありましたけれども、一階、二階部分というのが、三年でそもそも公表はなくなってしまう、これまであった要旨も作らないということになると、この三階建てそのものが成り立つのかといった点でも、こういった要旨の廃止の問題をそのままにしたこの自民党の案についてどうお考えなのか、お聞かせください。

○中北参考人 お答え申し上げます。

 今お話にあったように、一階部分、二階部分があって三階部分があるということになりますので、仮にデジタル情報による提出が幅広い形で義務づけられ、そしてデータベースとして記録され、その上に例えば公開強化法案みたいな三階建てがあるということになっておりますので、そもそも論として、やはり、公開期限の三年というところに今決まっているところをどうするのか。それが、もちろん、公開期限がかなり無期限とかになってくれば要旨の問題がそもそも発生しないわけでありますので、こういったところをトータルに考えていく。

 その一方で、これまでの公開の在り方については、個人名、住所が特定される、ずっとさらされ続ける、こういった問題もありましたので、こういったところ全体で、与野党で協議をしていただきたいというふうに考えております。

○塩川委員 ありがとうございます。

 次に、谷口参考人にお尋ねをいたします。

 意見陳述のところで、企業・団体献金を受ける政党支部の限定のお話がございました。その際に、一九九三年の十月二十日の山花大臣の答弁を引用されたところですけれども、これはちょうど我が党の東中光雄議員の質疑における山花大臣の答弁と聞いております。その際、山花大臣が、今ある県本部とか支部、総支部の数よりは少なくなることが常識的な流れということを答弁では言っておられましたけれども、我が党の東中議員は、都道府県や市町村単位でつくることができるじゃないか、そうなれば、全部数え上げれば三千六百八十一にもなるし、二つ以上の市町村単位や都道府県単位でもつくることができるから、更に、いわば無数につくることができるということが可能だということを取り上げていたところです。

 ですから、当時から、このように数千の政党支部をつくって、そこから政治家個人が企業・団体献金を受け取るという抜け道ができることは明らかだったのではないかと考えますが、その点についてはいかがでしょうか。

○谷口参考人 御指摘のとおりかと存じます。更につけ加えるのであれば、参議院の側では、今度は自民党の関根則之議員から同様の質疑がなされておりまして、そこでもやはり、これは山花大臣ではなく佐藤観樹自治大臣であったかというふうに記憶をしておりますが、やはり同様の答弁がなされた。この二つの答弁によって穴が空いてしまったというのが私の認識でございます。

○塩川委員 ですから、政治家個人への企業・団体献金を禁止と言いながら、当時から、こういった政党支部を通じてということで穴が空いていたという話であります。

 その点、成田参考人にこの点でお尋ねしたいんですけれども、この三十年前の政治改革の議論において、こういった、政党支部を通じた政治家個人への企業・団体献金へという抜け道、こういうことが想定されていたのではないかと考えるわけですが、この点についてはいかがでしょうか。

○成田参考人 先ほど、規正法の二十一条の四で政党支部が政党である法的仕組みを申し上げました。これは、細川内閣で実際に成立した法律ですが、考え出したのは自民党で、その前に、自民党法案が出たときにそういう仕組みを導入しまして、それで細川内閣でもその仕組みを受け継いだ、こういうことです。

 それで、自民党側の事情は、要するに、政党助成なり献金を受けるのが本部だけだと、地方議員が困るというんですね。それで、地方議員の資金を手当てをするためにどうしても政党支部が必要になるという考え方でした。今後検討されるときにも、地方議員の資金をどうするかということをやはり同時にクリアしていく必要があるんじゃないかというふうに考えております。

 当時から、政党支部がいろいろ使われるということは当然予見されておりました。

○塩川委員 ありがとうございます。

 それともう一つ、実際のパーティーについてですけれども、九〇年代にこのパーティーの仕組み、収支報告にも明らかにするような、そういうことが行われたわけですけれども、それが実際には企業・団体献金の迂回路として使われるような、そういう実態というのがあったわけであります。実質、政治資金パーティー、自民党の場合など、八割ぐらいが企業、団体からというのは、これまでの収支報告書の公開の経緯を見ても、見て取れるわけです。

 そういった点で、九〇年代における政治改革において、政治家個人への企業・団体献金は禁止したといっても、実際には政党支部を通じて穴が空き、また、パーティー券収入という形を通じても穴が空いている、そういったことが、当時からそういう議論はあったのではないかと思うんですが、その点について、成田参考人はいかがでしょうか。

○成田参考人 当時から当然、そういう懸念はございました。

 それで、パーティーにつきましては、しかし、その前は大変無秩序で、誰でも、個人であろうと、誰であろうともパーティーをやることができて、非常にパーティーが乱立しましたので、政治改革、これは細川内閣だけではありません、その前のいわゆる緊急政治改革、与野党合意でやった部分が多いんですけれども、パーティーを秩序立てるという意味で政治団体がやるとか、それから、最初は五十万以上、細川内閣は五万超でしたけれども、自民党との合意で二十万超を公表するというような、一応秩序はつくりました。

 ただ、正直申し上げて、一遍に全ての蛇口を止めるわけにはいかないということでパーティーは許されたわけですが、その後、当然そういうものは整理されていくべきだというふうに考えられていた、少なくとも連立政権ではそういうふうに考えていたということでございます。

○塩川委員 ありがとうございます。

 小林参考人にお尋ねをいたします。

 小林先生がお書きになったものの中で、経済力がある人たちの政治的影響力を強める企業・団体献金自体が、一人一票という民主主義の大前提に反する、法律で全面禁止するべきだと述べておられました。

 企業・団体献金というのが、国民の参政権、選挙権を侵害するものではないのか、このように私は考えますが、小林参考人の御意見を伺いたいと思います。

○小林参考人 全く明白なことなんですけれども、要するに、民主主義というのは、全ての人間が対等であるという前提で、そして、生身の自然人の持っている実力で議論し合って、投票を重ねながら調整していく。そこに、自然人の道具にすぎない法人をつくることができる、あるいは管理することができる、いわば金持ちか有力者が、更に法人の金を持って、大体、共産党に献金する大企業はないと思うんですけれども、権力を持っている側に献金して、そして、結果的に大企業に有利な税制が現に行われているというようなことじゃないですか。これは細かな立証は要らないと思うんですね。

 そういう意味で、結局は、本来ワン・マン・ワン・ボートのはずのものが、要するに、お金持ちはプラスアルファの力を持って、これじゃ昔の制限選挙と同じで、歴史に逆行するということを申し上げたわけであります。

 以上です。

○塩川委員 ありがとうございます。

 続けて小林参考人に伺いますが、日本経団連が政策評価というのを政党に対して行っております。拝見すれば、そのメインが自民党であることは当然明らかなわけですけれども、こういった政策評価に基づいて企業に政治献金の呼びかけを行っている、日本経団連の政策評価に基づく企業献金の会員企業などへの呼びかけという、この在り方についてはどのように受け止めておられるでしょうか。

○小林参考人 もちろん、経団連も許されている公的存在で、それは、政治に対して政策評価するのは、これまた正当な権利だと思うんですね。

 ただ、それに従って、企業に額まで割り振っていますよね。これは余計なことでありまして、要するに、我々にとって有利な政策をして、そうでない人も世の中にはいっぱいいるわけですよ、有利な政治をしてくれた方たちに、じゃ、まさにお礼のためにお金を献上する、こんなのは全く、お代官様と御用商人の世界ですよ。こういう構造が今国民に飽きられて、いろいろな政治的変動が起きているじゃないですか。

 ですから、ここはきちんとした方がいいと私は思います。

 以上です。

○塩川委員 ありがとうございます。

 もう一問、小林参考人にお尋ねをいたします。

 昨年の法律の改定で、外国人、外国法人等によるパーティー券購入を禁止したわけですけれども、一方で、日本法人で五年以上上場している外資系企業については企業・団体献金禁止の対象から除外するということがこの間行われてまいりました。

 これはやはり、外国人等の献金は国家主権に関わると言いながら、特例を設けて献金もパーティー券購入も温存してきた。日本法人で五年以上上場している外資系企業をこういう企業・団体献金禁止の対象から除外をするといった対応については、どのように受け止めておられるでしょうか。

○小林参考人 自民党らしくないと私は思うんですけれどもね。

 まさに今、トランプのおかげで戦国乱世状態になっているじゃないですか、世界が。国家主権ということで、非常にきちんと言ってきたのは自由民主党だと思うんですね。私はそれは賛成なんです。そういう意味で、どの国でも、外国の政治的介入というのはよろしくないというのが当たり前の話じゃないですか。主権国家なんですから、国民主権国家なんですから。

 だから、そういう意味では、そこは何か別の動機が入っちゃったのかなと。例えば、でも、お金を下さるからいいわ、この人たちは、であったとしたら、誠に日本国として情けないことだと思います。

 以上です。

○塩川委員 時間が参りましたので、終わります。

 ありがとうございました。