政府が提出した皇室典範改定案の採決が10日の衆院本会議で強行され、自民党と中道改革連合、日本維新の会、国民民主党、参政党などの賛成多数で可決しました。日本共産党などは反対しました。(関連2面・全文4面)
私は同日の衆院議院運営委員会で反対を表明し、天皇の制度は憲法の条項と精神に基づいて広く国民的議論をすべき問題だとして、わずか3時間の質疑での採決強行に強く抗議しました。
憲法は天皇の地位は「主権の存する日本国民の総意に基く」としており、ほとんどの世論調査で女性天皇を認めるべきが多数だと指摘。男系男子での継承を不動の原則とし「旧宮家」の一般国民である男子を皇族の養子に迎えるとする法案は「『国民の総意』に背く」と断じました。
また、多様な性を持つ人々で構成される国民の「統合の象徴」である天皇を男性に限定する合理的理由はどこにもないと指摘しました。
政府や自民党は「歴史と伝統」と強調するが、現憲法では旧憲法の「万世一系」「神聖ニシテ侵スベカラズ」という天皇主権は否定されたと指摘。「男系男子」固執の姿勢は「家制度」で男子を産むことを強制し、女性を苦しめてきた日本社会の姿と重なり、女性差別を助長すると批判しました。
さらに、法案には、皇位継承全体会議参加の衆参13会派のうち5会派が反対し「立法府の総意」ではないと強調。政府は皇族数確保策といいながら、養子の子の男子に皇位継承権を認める規定を盛り込んでおり「国会と国民を愚弄(ぐろう)するやり方だ」と批判しました。
「旧宮家」は戦後、自ら皇籍を離れた人々で、養子を禁じる現皇室典範を覆して養子にするのは矛盾だと指摘。一般国民として生まれ育った人々を特別な身分の皇族にすることは憲法が禁じる「門地による差別」に抵触すると述べ、「旧宮家」の男系男子の子孫を養子候補とする新たな特別身分をつくるものだと批判しました。
法案は、現天皇との共通の祖先が約600年前までさかのぼる「旧宮家」からの養子に生まれた男子が天皇になれる一方、現天皇の子の女性皇族やその子は天皇になれない仕組みです。
私は、女性皇族は天皇になる資格がないのに皇室行事を担う皇族数確保のためだけに皇室を離れられないと指摘。女性・女系天皇の道を閉ざす法案は撤回すべきだと要求しました。
皇室典範改定/「男系男子」固執やめよ/塩川氏「女性差別助長する」/衆院議運委
「しんぶん赤旗」7月11日・2面より
日本共産党の塩川鉄也議員は10日の衆院議院運営委員会で質問に立ち、男系男子による皇位継承を不動の原則にし、養子皇族の男子に天皇になる資格を与える皇室典範改定案は矛盾だらけであることを明らかにしました。
塩川氏は、女性天皇、女系天皇の問題を正面から議論すべきだと提起。多様な性を持つ国民の「統合の象徴」と憲法が定める天皇を男性に限定する合理的な理由はないと主張し、「なぜ女性ではダメなのか。なぜ男系男子にこだわるのか」とただしました。
木原稔官房長官は「男系継承が古来例外なく維持されてきたことの重みなどを踏まえ」現典範は男系男子による継承を規定しているなどと答弁しました。
塩川氏は、日本国憲法の第2条は、戦前の大日本帝国憲法にあった、男系男子を意味する「皇男子孫」が継承するという文言を削除したと指摘。1946年の憲法制定議会で当時の金森徳次郎国務大臣は削除した理由について、「男女の区別については法律問題として自由に考えてよろしいという立場」と答弁しており、「女性天皇の検討も議論もせずに、女性天皇の道を閉ざす高市政権の姿勢は、80年前の議論からも後退している」と批判しました。
法案が養子の対象とする旧11宮家は47年に自らの意思で皇籍を離脱し一般国民となった人々だと指摘。現典範にのっとり皇室を離れた人の子孫を皇族に戻すため、養子禁止規定を覆すことは大きな矛盾だと追及しました。また、旧11宮家の男系男子と今の天皇は「いったい何親等の隔たりがあるのか」と質問。宮内庁の緒方禎己次長は「36から38親等の隔たりがある」と答えました。
塩川氏は、600年前の室町時代までさかのぼる遠い血筋の人を養子にするのは、2005年の政府有識者会議の報告書が広く国民の理解と支持を得るのは困難だと否定していると強調しました。さらに、一般国民として生まれ育ってきた旧宮家の人々を特別な身分である皇族にすることは、「憲法14条1項が否定した門地による差別に抵触する」と強調。そのうえ、法案は旧宮家の男系男子の子孫を将来にわたり養子候補とするもので、準皇族ともいうべき新たな特別身分をつくるものだと批判しました。
男系男子による皇位継承に固執する皇族養子は矛盾だらけだとし、「かつての家制度のもとで男の子を産むことを強制し、多くの女性たちを苦しめてきた日本社会の姿と重なる」と指摘。「現在の日本社会における女性差別を助長するものだ」と批判しました。
塩川氏は同日の衆院内閣委員会で、養子縁組が行われる際に第三者の関与やマッチングのルールがあるのかをただしました。木原官房長官は決めていないと答弁。塩川氏は、政治家などが養子縁組に関与し、天皇の制度の政治利用を引き起こすことに危惧を示しました。
「女性天皇なぜダメ?」質問見て思わず拍手
「しんぶん赤旗」7月11日・2面より
日本共産党の塩川鉄也議員が10日の衆院議員運営委員会で行った皇室典範改定案への質問をテレビなどで視聴した人たちから、電話やメールなどで党本部に相次ぎ感想が寄せられています。
三重県の男性は「大変素晴らしかった。感動しました。塩川さんの言う通り、女性天皇を認めるべきです」と強調。テレビで視聴しながら思わず拍手をしたという女性は「なんで女性天皇ではだめなんですか? という率直な質問が良かった。そうそう、そこが聞きたいと感じた」と感想を寄せました。
中道改革連合、国民民主党、チームみらいなどの議員に続き、塩川氏の質問を視聴したという男性は「塩川議員だけが、日本国憲法を基本中の基本に質問していた」と指摘。埼玉県の女性は「本当に細かく調べていて、科学的な質問だった。これが共産党のいいところ」と述べました。
皇室典範改定 衆院で強行/「国民の総意」を踏みにじる暴挙
衆院議院運営委員会は10日、皇室典範改定案をわずか3時間の審議で採決し、本会議に緊急上程しました。法案はその日のうちに衆院を通過しました。男系男子による皇位継承を「不動の原則」とする法案を、与野党の全体会議で積み重ねられてきた議論を踏みにじる形で提出し、成立ありきで強行する暴挙です。
天皇の制度は、憲法の条項と精神に基づき、国民的合意のもとで慎重に検討されるべき重大な問題です。憲法1条が定めるとおり、天皇の地位は「主権の存する日本国民の総意に基く」ものであり、拙速な議論は許されません。
女性天皇閉ざす
しかし、政府が提出した改定案は、旧宮家の男系男子を養子として皇室に迎える内容を盛り込む一方で、女性天皇の可能性を閉ざしています。女性・女系天皇を支持する世論が多数を占める中、これを押し通すことは「国民の総意」を踏みにじるものです。
しかも、衆参正副議長のもとで設置された全会派参加の全体会議では、「皇族数の確保」を主眼に議論が行われており、「皇位継承」については議題から切り離されていました。ところが、政府の提出した改定案に、皇位継承に関わる仕組みが突如、盛り込まれたことで、「立法府の総意」は完全に崩されました。自民党内からも「国会の総意にも基づかない内容であれば、憲法の精神に反することになりはしないだろうか」(船田元・衆院議員)との異論が出ています。
国民的議論こそ
中道改革連合は、採決にあたり付帯決議案に「女性天皇の是非や女性宮家創設の検討」を盛り込むよう修正を求め、与党は応じませんでした。それでも、中道は「将来の皇位継承の在り方について、立法府の検討を先取りしたり縛る趣旨ではない」との政府答弁を理由に「一定の担保が得られた」(小川淳也代表)として賛成へと転じました。
しかし、党内から「付帯決議の解釈について良い答弁が得られたとしても、男系男子に固執している改正案に1ミリも変化は生じない」(西村智奈美副代表)との批判が噴出し、本会議で採決を退席する議員も出ました。参院では立憲民主党が反対方針を固めており、およそ「立法府の総意」とは言いがたい状況です。
このまま成立を許せば、将来に大きな禍根を残すことになります。政府は法案を撤回し、国民的議論に立ち返るべきです。
皇室典範改定案/塩川議員の発言/衆院議院運営委
「しんぶん赤旗」7月11日・4面より
日本共産党の塩川鉄也議員が10日の衆院議院運営委員会で行った、皇室典範改定案に対する発言は次の通りです。
皇室典範改定案に反対の発言を行います。
第一に、天皇の制度の問題は、憲法の条項と精神に基づいて、広く国民的な議論をすべき問題であるにもかかわらず、本日わずか3時間の質疑で採決を強行しようとしていることに強く抗議するものです。
日本国憲法第1条は、天皇の地位は「主権の存する国民の総意に基く」としていますが、高市政権が提出した皇室典範改定案は「国民の総意」を得ているとは到底いえません。
どの世論調査でも女性天皇を認めるべきという意見が多数です。にもかかわらず、法案が男系男子による皇位継承を不動の原則とし、旧宮家の一般国民である男子を皇族の養子に迎える案を進めようとしていることに、国民は疑問の声をあげています。
朝日新聞の社説は「立法府の総意でも国民の総意でもない、わきおこる異論や批判を顧みない姿は、極めて異常である」とし、読売新聞の社説は「数を頼んで一気呵成(かせい)に成立を図るといった乱暴な行為は許されない」と反対をかかげ、毎日、日経の全国紙や多くの地方紙、歴史学、憲法などの専門家からも批判の声が噴出しています。
国民の反対、懸念の声を無視して、「国民の総意」に背くものといわねばなりません。
第二に、日本国憲法のもとで、多様な性をもつ人々によって構成されている日本国民の統合の「象徴」である天皇を、男性に限定する合理的理由はどこにもありません。女性天皇を認めることは、日本国憲法の条項と精神にてらして合理性をもつものです。
政府や自民党は「わが国の歴史と伝統」を強調しますが、戦前の大日本帝国憲法の「万世一系ノ天皇之ヲ統治ス」「天皇ハ神聖ニシテ侵スベカラズ」という天皇主権は否定され根本的に転換しています。日本国憲法第2条は、皇位を世襲のものとしていますが、戦前の「皇男子孫」継承は削除され、戦前とは大きく変わっています。
にもかかわらず、男系男子による皇位継承を不動の原則として固執する政府の姿勢は、かつての「家制度」のもとで、男の子を産むことを強制し、多くの女性たちを苦しめてきた日本社会の姿と重なるものです。現在の日本社会における女性差別を助長するものといわねばなりません。
第三に、政府は今回の法案は立法府の総意にもとづくといますが、全体会議に参加した衆参13会派のうち5会派が反対しており、「立法府の総意」ではありません。
しかも、政府は、皇位継承の問題とは切り離した皇族数の確保策といいながら、養子の子の男子が皇位継承資格を持つとする規定を盛りこみました。国会と国民を愚弄(ぐろう)するやり方であり、断じて許されません。
法案の「旧宮家」の男系男子を皇族の養子に迎える案は矛盾に満ちています。
対象とする旧宮家は80年前、現典範にもとづき自らの意思で皇籍を離れた人々であり、皇族の養子を禁止する現行の皇室典範の規定を覆してまで養子とすることは大きな矛盾です。旧宮家だからといって、一般国民として生まれ育ってきた人々を特別な身分である皇族にすることは、憲法14条1項が否定した「門地による差別」に抵触します。旧宮家の男系男子の子孫を将来にわたって養子候補とし、準皇族ともいうべき新たな特別身分をつくるもので憲法に反します。
しかも、旧宮家と今の天皇との共通の祖先は約600年前の室町時代までさかのぼります。はるか遠い血筋の男系男子の養子の男子には天皇になる資格を与える一方で、今の天皇の子である女性皇族やその子は天皇になる資格を与えないものです。
こうした養子縁組案は2005年の政府有識者会議の報告書で、「国民の理解と支持、安定性、伝統のいずれの視点から見ても問題点があり、採用することは極めて困難である」と否定されています。
さらに、法案は、女性皇族が結婚後も皇室から離れられないことを原則としています。女性皇族は天皇になる資格がないのに、皇室の行事を担うのに必要な皇族数を確保するためだけに皇族として拘束される、まさに「2級皇族」のような扱いをするものといわねばなりません。
今回の法案の本質は、女性天皇・女系天皇の道を閉ざそうというものであり、到底容認できません。
日本共産党は、本案を撤回し、あらためて有識者、憲法学者などの参考人の意見を聴取し、国民の声を聞く公聴会、広く国民的な議論を行い、「国民の総意」を形成する努力をすることこそ国会の責務であることを強調し、反対の発言をおわります。



