会計検査院の検査官候補者(田中弥生氏)に対する質疑を行いました。
会計検査院の独立性、国のすべての経費について検査対象にしていることの意義について、米国政府のFMS(対外有償軍事援助)や森友学園問題を挙げて質しました。
「議事録」
<第198通常国会 2019年05月23日 議院運営委員会 25号>
○塩川委員 日本共産党の塩川鉄也です。
検査官候補者の田中弥生さんにお尋ねをいたします。
最初に、憲法第九十条の意義についてお聞きします。
憲法第九十条においては、「国の収入支出の決算は、すべて毎年会計検査院がこれを検査し、」と規定をしております。
戦前、機密費は調査対象から除外をされ、軍事関係費は旧会計検査院法の適用が除外をされ、ふえる軍関係経費等を検査できなかった。このような反省から、日本国憲法は全てを対象とするとして、このような例外を認めないことを明らかにしたものであります。この点についての田中さんの認識を伺いたいと思います。
○田中参考人 会計検査院は、おっしゃるとおり、内閣から独立した地位を有し、憲法九十条に規定された組織でありまして、会計検査院法に規定されたものは全て検査の対象になるというふうに承知しております。
また、それを厳正に検査を行うために、検査の観点を定めて、そして報告の方法も定め、検査を行っているというふうに承知しております。
○塩川委員 会計検査院が内閣から独立した地位を持つ、その立場から、全て検査の対象となるということでの役割のお話をいただきました。
その点で、防衛費の検査についてであります。
憲法は、前文で「政府の行為によつて再び戦争の惨禍が起ることのないやうにすることを決意し、」と明記し、財政民主主義を確立しております。これは、過去の戦争で、戦費調達のために大量の国債を発行し、国家財政と国民生活を破綻させた、その痛苦の体験を踏まえてのものであります。
そこでお尋ねしますが、この間、アメリカ政府の武器輸出政策であるFMS、対外有償軍事援助が急増しております。第二次安倍政権以降、FMSによる武器購入は約七倍となっております。
このFMSについて会計検査院はきちんとチェックできるのだろうか、この点についてのお考えをお聞かせいただけないでしょうか。
○田中参考人 FMSに関する御質問というふうに承知いたしました。
会計検査院法、法律に基づけば、全てのものを審査するわけですので、これも検査の対象になっているというふうには承知しておりますが、ただ、このFMSの具体については、まだ外のものですので、詳細を存じ上げませんので、申しわけないのですが、検査の対象になるというところまででとどめておきたいと思います。
仮に国会の御同意を得て検査官に任じられた場合には、二人の検査官と議論をした上で、この状況についてどうなっているのかということも確認をした上で進めてまいりたいと存じます。
○塩川委員 田中さんは、財政制度等審議会の臨時委員をこの十年来お務めと承知をしております。
財政制度審議会においても、このFMSの議論、指摘が行われております。FMS調達については、価格上昇要因の未把握、把握できない等の課題があるとの指摘があります。
このような、財政審でも議論をしていますFMS調達の、財政審の指摘でいえば価格上昇要因の未把握等の課題がある、こういう点については、田中さんは何らかの見解をお示しにならなかったのでしょうか。
○田中参考人 この調達の問題につきましては、私は、このときには意見を表明しておりません。
○塩川委員 このFMSの場合には、価格だけではなく、納期もアメリカ次第という点が問題となってきたわけであります。
このようなFMS調達というのは、憲法にも規定をされている財政民主主義の原則と相入れないのではないのかと考えますが、お考えはいかがでしょうか。
○田中参考人 御質問ありがとうございます。
この点についても、まだ詳細を存じ上げませんので、仮に検査官に任じられた場合には、詳細の説明を受けて、検討してまいりたいと存じます。
○塩川委員 時間が参りましたので、終わります。
○塩川委員 日本共産党の塩川鉄也です。
学校法人森友学園への国有地売却問題に関する会計検査院報告書に関連してお尋ねをいたします。参議院が国会法第百五条の規定に基づき要請したものであります。
会計検査院は、約八億円の値引きの根拠となったごみ撤去費について、十分な根拠が確認できないと指摘をしました。
しかしながら、昨年五月、我が党が明らかにした航空局長と理財局長との意見交換概要という会合記録によると、財務省と国交省が、ごみ撤去費の八億円について、過大だと受け取られないように、会計検査院には金額でなく重さを記入させようとしたやりとりが記録をされておりました。
会計検査院は、検査報告書を公表する三カ月前に、報告書原案を財務省と国交省に渡しておりました。そして、結果として、検査院報告には金額が盛り込まれませんでした。
会計検査院法第一条では、「会計検査院は、内閣に対し独立の地位を有する。」としております。しかし、森友報告をめぐる会計検査院の対応は、その独立性に国民が疑念を抱く事態となっているのではないのか。お考えをお聞かせください。
○田中参考人 森友学園の問題、そして一連の省庁の対応、また、会計検査院が改ざん文書を見抜くことができなかったということについては、まさに御批判のとおりで、私も一国民として非常に残念に思う次第であります。
またこういうことがあってはなりませんので、今後は体制の強化に努めていく必要があるのではないかと思います。