【内閣委員会】コロナ感染急拡大/医療ひっ迫/五輪中止し、命と暮らしを守る活動に全力を

 新型コロナウイルスの新規感染者数が急増し、首都圏で病床ひっ迫の懸念が広がっている事態をあげ、「今からでも東京オリンピックは中止して、コロナから命と暮らしを守る活動に全力をあげるべきだ」と主張し、臨時国会を開くよう求めました。

 私は、東京都の新規感染者数が過去最多を更新し、1週間前と比べて入院患者は2864人で1.2倍、自宅療養者は6277人で1.7倍、入院・療養等調整中は3403人で2倍に増えていることを指摘。東京都は都内の医療機関にコロナ病床の確保、通常診療制限の検討などを要請した。通常医療が圧迫される事態に至っているとの認識での対応が必要だと迫りました。

 西村康稔担当大臣は「現時点でもかなりひっ迫しつつある」と認めつつ「コロナへの対応と一般医療を両立できるよう、感染拡大を抑えることに全力を挙げる」と述べるにとどまり、具体的な対策は示しませんでした。

 私は、人流抑制と言って国民に自粛を求めながら、五輪で人流を促進していることを指摘。五輪という世界最大の式典を行うのは大きな矛盾だ。これでコロナ対策への国民の協力を得られるのかとただしました。

 西村大臣は「都内の人流は一定の減少をみている」などと答弁。

 私は、政府分科会の尾身茂会長が同内閣委の中で「(人流抑制は)期待されるレベルに至っていない」と述べていることをあげ、宣言の抑制効果が発揮されていないと、政府の姿勢を批判しました。

 私は、飲食店の営業時間短縮などにかかる協力金の支給について、政府が『先払い』を決めたものの、それ以前の協力金が未払いになっていることを指摘。今後『先払い』とともに、これまでの未払い分をただちに支給できるよう改善すべきだと迫りました。

 西村大臣は「大変重要な指摘だ。自治体をサポートしながら、迅速に支給が行えるよう取り組んでいきたい」と答えました。


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「議事録」

<第204通常国会 2021年7月28日 内閣委員会 第34号>

○塩川委員 日本共産党の塩川鉄也です。
 東京都など、首都圏で新規感染者数が急増しております。昨日の東京都の新規感染者数は、過去最多の二千八百四十八人となりました。東京都の二十七日の入院、療養者の状況を見ると、入院患者は二千八百六十四人で、一週間前の一・二倍、第四波のピークを既に超えております。自宅療養者が六千二百七十七人で、一・七倍に増えております。入院、療養の調整中という方が三千四百三人で、二倍にこの一週間で増えています。しかしながら、宿泊療養者の数は僅かに増えただけであります。
 この宿泊療養施設のキャパシティーが、現状、上限に達しているのではないのか、入院、療養等調整中の感染者を含め、医療的ケアが不十分な状況にある自宅療養者の重症化が強く懸念される事態ではないのか、このことを思いますが、大臣の見解をお聞かせください。
○西村国務大臣 私どもも、東京の病床の状況、特に非常に危機感を持って見ているところでありまして、厚労省を中心に、東京都と連携しながら、病床の確保など対応しているところでありますが、御指摘のように、コロナに感染された方、患者さんについては、入院の必要性の判断を、年齢や、あるいは基礎疾患の有無なども含めて、症状なども含めて判断を行って、入院が必要でないと判断された方については、あとは家族構成なども、家庭内感染も増えておりますので、家族構成などを考慮した上で、宿泊療養か自宅療養といった療養場所の選定を行っているものと承知をしております。
 御指摘の宿泊療養施設につきましては、七月二十六日時点で二千九百四十室を確保しておりまして、過去最多であります千七百九十九人の受入れを行っているというふうに聞いております。
 そして、まさに感染状況を見ますと、約七割が三十代以下ということで、非常に若い世代が多いということで、独り暮らしの方なども多いということから、自宅での療養も多くなっているというふうに聞いております。
 こうして、ホテル、宿泊施設などで療養される方、あるいは自宅で療養される方々につきましては、症状に変化があった場合に速やかに把握して必要な医療につないでいくということが何より重要であります、急変することもございますので。
 この辺り、保健所で定期的に健康観察を行い、また医師会とも協力しながら対応されているというふうに聞いておりますが、症状が変化した場合に備えて、患者さんからの連絡や相談に対応する体制を構築をしてきております。
 東京都におきましては、自宅療養者に対する往診、訪問看護、こうした取組として、症状が悪化した場合の自宅療養者への往診も医師会そして民間事業者にも委託をしているというふうに承知をしております。こうした委託料など、厚労省からの緊急包括支援交付金などを活用することを可能としているところであります。
 いずれにしましても、感染状況、病床の状況をしっかりと共有しながら、必要な支援を行って、国民の皆さんの、都民の皆さんの命を守るべく、全力を挙げていきたいというふうに考えております。
○塩川委員 自宅療養者の数が非常に増えている中で、保健所の負荷が大変大きくなっている、往診などの話もありますけれども、十分カバーし切れないような今の危機的な状況にあるという認識というのが必要であります。
 その上で、重症者用の病床確保数に占める重症者数の割合は二十六日時点で五八・二%となっており、ステージ4に相当するという深刻な事態であります。医療提供体制の逼迫の危機に直面しているのではないのか、この点についての大臣の認識をお尋ねします。
○西村国務大臣 ワクチン接種が進む中で、高齢者の重症化、そして、そもそも感染者数含めて、かなり抑制されてきております。
 他方で、東京を中心に、全国そうなんですけれども、若者の新規感染が非常に増えております。また、四十代、五十代の入院者数、そして、その方々が中等症から重症になる例も増加をしてきております。まさに、医療機関への負荷、これを何とか抑えなきゃいけない、先手先手で医療提供体制を確保していく必要があるというふうに考えております。
 御指摘のように、重症者病床、これは国基準でいきますと、ICUやハイケアユニットなどに入っておられる方でいえば五〇%を超えておりますが、東京都基準の、いわゆる人工呼吸器を装着している、あるいはECMOを装着している基準でいいますと二〇%程度というふうに聞いております。
 いずれにしても、人工呼吸器は装着しないけれどもICUなどに入っておられる方もおられますし、また、いわゆる四十代、五十代で、中等症で、先ほど尾身先生からもありました、ネーザルハイフローと言われる高流量の酸素を投入することが必要な中等症の重い方々が増えておりますので、こういった状況を都と共有しながら、厚労省を中心に必要な体制確保に全力を挙げているところであります。
 東京都においては、医療機関に対して、最大確保病床六千四百六床の受入れ可能体制の確保と更なる増床要請を行ったものと聞いております。国としても、厚労省を中心にしっかりと支援を行いながら、重症病床はもとより一般病床も含めて確保でき、都民の皆さんの命を守れるように全力を挙げていければというふうに考えております。
○塩川委員 東京都での増床の要請の話がありました。
 東京では二十六日に、都内の医療機関に対して、コロナ患者用の病床を更に確保する要請をしております。救急医療の縮小や停止、予定手術の延期、診療機能の縮小など、通常診療の制限も検討するよう求めています。
 西村大臣、通常医療が圧迫されるような事態に今至っている、こういう認識での対応が必要ということだと思いますが、いかがですか。
○西村国務大臣 今後、様々な事態に備えて、いざ感染者の数の増加が続き、そして、まさに中等症から重症化する、この四十代、五十代の入院される方、あるいは重症者が増えた場合に備えてこうした要請を東京都で行っているというふうに承知をしております。
 現時点でもかなり逼迫しつつありますけれども、コロナへの対応と一般の医療と、何とか両立できるように、まずはこの感染の拡大を抑えていくこと、このことに全力を挙げていきたいというふうに考えております。
○塩川委員 現時点でもかなり逼迫をしている、それが更に深刻な状況になりかねない。既に医療機関は多数の業務が重くのしかかっております。
 NHKの報道でも、墨田区の曳舟病院の話で、コロナの中等症までの患者受入れに加えて、救急外来、発熱外来、ワクチン接種、ホテル療養者への対応と、できることは全てやっているとして、その上にオリンピックで何かあれば対応しないといけないという話でありました。
 これ以上医療機関に負荷をかけない対策が必要であります。PCR検査の抜本的拡大やワクチンの迅速、安全な接種、医療スタッフの確保、医療機関への減収補填など財政措置をしっかりと行うことを強く求めるとともに、オリンピックそのものについても今こそ問い直すことが必要だと。
 助かる命も助けられないかもしれないという医療危機の事態のときにオリンピックが行われております。
 オリンピックは、国内の人流を促進して感染を拡大する懸念があります。政府は、一方で人流抑制といって国民に自粛を求めながら、他方でオリンピックという世界最大の祭典を行うというのは大きな矛盾であります。これではコロナ対策への国民の協力を得ることができないのではありませんか。
○西村国務大臣 オリンピック・パラリンピック、今オリンピックが開かれておりますけれども、この開催に当たりましては、組織委員会そして自治体などで検討された結果、その多くを無観客で実施するということで承知をしております。現にそういうふうに実施をされているものというふうに理解をしております。さらに、来日する大会関係者の数も大幅に削減をし、関係者の家族も帯同しないということで聞いております。
 また、経済界も、この間の人流を減らすという観点から、テレワーク、時差出勤なども行ってくれておりまして、私からも改めてこのことも経済界にお願いをしております。
 さらに、首都高速のロードプライシングによって、大会期間中、千円値上げなどの対応、これによって都内に入ってくる車の量も抑制をし、都内の人流については、これまでの緊急事態宣言のときに比べると落ち幅は少ないですけれども、それでも一定の減少を見ているところであります。
 いずれにしましても、国民の皆さんにも御協力いただいて、何とか、先ほどの医療のお話でもそうであります、まさに医療提供体制を確保していく上でも何とか感染を抑えていかなきゃなりませんので、オリンピックについても、自宅で家族かあるいはいつもいる仲間と少人数で観戦、応援をしていただければということをお願いできればと思っております。
○塩川委員 人流は一定の減少をしているという話です。菅総理も、人流は減少している、五輪中止については、それはないと発言をしておられます。しかしながら、先ほど尾身理事長も、人流減少は期待される水準には至っていないと述べておられました。
 車の流入制限やテレワークの実施での努力はありますが、宣言の抑制効果が発揮されておりません。デルタ株の影響もあり、感染者の減少に至らない可能性もあります。
 テレビで若者の声として、自分たちの行事は潰れたのにオリンピックはやっていいんだ、オリンピックをやっているなら出てもいいのかなとなるという声がありました。これは、オリンピック実施が市民の行動抑制に対する矛盾したメッセージになっているということではありませんか。
○西村国務大臣 国民の皆様には、オリンピックの開催を含め、また政府の対応を含め、様々な御意見があるものというふうに理解をしております。
 また、このコロナへの対応が、昨年から考えればもう一年半にも及ぶ中で、自粛あるいは様々な時短の要請など行ってくる中で、自粛疲れということも含めて、本当に私ども、どうやって御協力をいただけるのか、特に飲食店の皆さんも、多くの皆さんが協力をいただいている中で、どうしても協力いただけない店舗もある、この不公平感なども根強くあるわけでございます。
 何とか協力いただけるように、そうした皆さんにも寄り添いながら、また、多くの国民の皆さんに、自宅で観戦をし、家族で、あるいは少人数で、いつものメンバーと応援をしていただける、そうしたことに御協力いただけるように、本当に苦慮しながら取組を進めているところであります。
 何とか御協力をいただけるように、引き続き、丁寧に説明も行いながら、寄り添いながら対応していきたいというふうに考えております。
○塩川委員 今日の時点で、オリンピック選手十七人を始め、五輪関係者に百六十九人の感染者が出ております。WHOは、デルタ株がこれまでに百二十四か国で確認されたと二十一日に発表しておりますが、東京五輪の参加国、地域は二百六に上ります。つまり、デルタ株がまだ確認されていない国、地域からの参加者も多数いらっしゃいます。東京五輪で初めてデルタ株に接するという懸念、東京五輪が世界に感染を拡大させるスーパースプレッダーイベントとなる危惧は拭えません。
 国内国外コロナ感染拡大抑制策として、オリンピック中止という選択肢はないんでしょうか。
○梶尾政府参考人 東京大会に参加します大会関係者等につきましては、入国時の検査に加えて、入国前及び入国後の検査が義務づけられており、特にインドなどから東京大会に参加するアスリートなどにつきましては、出国前七日間及び入国後も十四日間、毎日検査を行うということと承知してございます。
 御指摘の陽性者数の数がございましたけれども、いずれもルールブック等で義務づけられた検査の中で判明したものというふうに承知してございます。
 また、入国時の空港検疫におきまして陽性者が確認された場合には、まず空港で機内濃厚接触候補者をそれ以外の方と区分をして、濃厚接触候補者については、分離の上で待機施設などの個室に待機させた上で、濃厚接触者と認定された場合は引き続き待機する取扱いとされておりますし、また、選手村で陽性者が確認された場合には、陽性者を選手村の外の療養施設などに搬送するとともに、濃厚接触者を速やかに特定をして、ほかの方との隔離を行うことでクラスターの発生防止に万全を期すということで承知してございます。
 さらに、来日する選手や大会関係者に対しまして、行動範囲を宿泊施設と用務先に限定するとともに、常にマスク着用、人との接触を最小限に抑える、東京大会に必要な用務が終了後すぐに帰国する、特定区域から離脱する際に検査を実施するなどとされておりまして、特定区域からの離脱後についても必要な感染症対策が講じられると聞いてございます。
 安心、安全を確保するために、陽性者への対応だけでなくて濃厚接触者への対応も適切に行うことが重要でございまして、引き続き、組織委員会において、関係自治体とも連携して、しっかりした対応が取られるものと承知してございます。
○塩川委員 バブル方式に穴があるということは、この間も指摘をされております。今からでもオリンピックは中止をして、コロナ対策を全力で取り組む、コロナから命と暮らしを守る活動に全力を挙げることを求めるものです。
 営業時間短縮等に係る感染拡大防止協力金についてお尋ねいたします。
 七月十二日以降の時短等の要請に応じた事業者に協力金の先払いをするものですが、それ以前の協力金が未払いになっております。今後の先払いとともに、これまでの未払い分を直ちに支給できるような改善策を図っていただきたい。いかがでしょうか。
○西村国務大臣 大変大事な御指摘だというふうに認識をしております。
 重立った都府県、これまで時短要請などを行ってきた都府県、特に緊急事態あるいは蔓延防止などを行ってきた都府県におけます時短要請に係る協力金の支給につきましては、一月から三月分については約九八%支給済みということで聞いております。また、四月に開始した要請、これに関する協力金についても約七割の給付を終えたと聞いておりますが、いずれも、少し不備があったりする、やり取りする場合もあるかと思いますので、これも急いで対応していただければと思っております。
 五月、六月分につきましては、各都道府県で順次対応しておりますけれども、例えば東京都、五月十二日から六月二十日分について、七月二十六日から申請の受付を開始しております。
 そして、今般の緊急事態の分は先週の七月十九日から開始をしておりますので、今般の早期給付の分とこれまでの分が並行して作業が行われているというふうに理解をしております。そのために必要な人員の確保、それを国から費用、事務費を手当てをしておりまして、人員体制、東京都の例でいいますと、六百人から千人に拡充して並行的に行っているということであります。
 いずれにしましても、自治体をサポートしながら迅速に支給が行えるよう取り組んでいきたいというふうに考えております。
○塩川委員 飲食店など、営業制限による減収に見合った十分な補償こそ必要であります。持続化給付金、家賃支援給付金の再支給を求めたい。
 この一年半、コロナで大きなダメージを受けた国民、事業者、地域を支援する抜本的な財政措置が必要だ、臨時国会を開いて総理自身が是非とも説明をしていただく、このことを強く求めて、質問を終わります。