第180 通常国会 2012/1/24~2012/9/8 日付:2012-07-27 |
構造改革特区法改定案が委員会で採決され、日本共産党を除く各党の賛成多数で可決された。
構造改革特区は、地方公共団体からの申請にもとづき地域限定の規制緩和や撤廃を行い、全国に特区を拡大していく仕組み。2002年に成立し、5年ごとに延長されてきた。改定案はさらに5年間延長するもの。
地域の特性を生かし、住民が主役となって地域産業振興の力となる特例措置は必要だ。しかし、社会保障や教育、労働安全衛生、環境保全に不可欠な規制の緩和でナショナルミニマムや安全基準の後退につながる特例措置は認められない。構造改革特区のあり方が「全国展開ありき」となっている。その背景にある財界の利益を優先する規制緩和万能論の政策こそ転換すべきだ―――と採決に先立ち反対討論。
特区制度規制緩和/全国展開なぜ急ぐ
構造改革特区で行われた規制緩和がまともな検証もないまま全国に拡大されている。特区制度の基本的な仕組みに重大な問題がある。
特別養護老人ホーム等の設置基準の緩和について、現行では原則、耐火建築物(2階、地下に居室等を設けない場合は準耐火建築物も可)が義務付けられている。特区では一定の条件を満たせば木造などの準耐火建築でも2階、地下に居室等を設けることが可能となり、全国展開されることが決まっている。
この特区事業は全国で1例しかない。全国11自治体に対する総務省調査でも多くの疑問の声があがっている。なぜ全国展開を急ぐのか。
厚労省の西藤公司審議官は「安全性が担保されるなら全国展開も可能であるとした」と答弁。
これまで全国展開となった特区事業は70件にのぼる一方、存続は3件、廃止はゼロ件しかない。全国展開ありきとなる構造改革特区の評価の仕組み自体に問題がある。国民の批判が強い株式会社の学校や医療機関への参入については、全国展開となるまで評価委員会が何度も審議を繰り返している。規制緩和だけを目的に評価がされている。
川端達夫内閣担当相は「特区は全部、全国展開しなくてはならないという方向でやっているわけではない」と述べるにとどまった。
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