第185 臨時国会 2013/10/15~2013/12/8 日付:2013-11-15 |
規制緩和や優遇税制などの大企業支援を行い“世界で一番企業が活動しやすい国”づくりを目指す「産業競争力強化法案」が、衆院経済産業委員会で採決され、賛成多数で可決された。自民・民主・公明3党により、法案修正が行われ、日本共産党は反対。日本維新の会とみんなの党は、「徹底的な規制の撤廃・緩和」を盛り込むことを求め反対した。
反対討論――矛盾深める大企業支援
いまだ法案の審議は尽くされていない。この20年間に政府が推進した規制緩和と構造改革は、大企業を「筋肉質」にしただけで、国民には貧困と格差しかもたらさなかった。大企業の競争力強化が国民全体の利益と一致しないばかりか対立するし、法案はこの矛盾をいっそう深める。
また、法案が大企業の首切り・リストラ支援法である産業活力再生法を継承した上、企業実証特例制度などの創設を突破口に、労働法制を含めた規制緩和の全国展開を狙うものだ。企業のビジネスのために、国民の暮らしや安全を損なうことは到底容認できない。
多国籍企業支援ではなく、国民の所得を増やし、中小企業を応援する方向に政策を切り替えてこそ、日本経済全体の発展につながる。
質疑――設備減税「税収に大穴」/国内投資にまわらず
産業競争力強化法案に伴う減税措置は国内設備投資には結びつかない。
法案は設備投資を促すため「生産性向上設備投資促進税制」を創設するとし、減収額を4400億円と見込んでいる。
これまで行った国内設備投資促進策の総括が必要だ。「外国子会社配当益金不算入制度」を例に挙げると――外国子会社から受ける配当などの額の95%を非課税所得とし、設備投資や雇用につながることを「期待」して2009年に導入。しかし、国内に還流した配当金は10年の3・13兆円から12年の3・27兆円と横ばいの一方、海外子会社の内部留保は0・15兆円から2・12兆円へ大幅に増えた。
リーマン・ショック以降、統計では国内設備投資が落ち込んだままである。配当益金を不算入にした額は毎年度約4兆円もの巨額で、巨大企業の国内外における内部留保を積みあげる支援策で、国と地方の税収に大穴があいただけだ。