日付:2013-03-29 |
国土交通省の宿利正史前事務次官が元幹部職員の天下りで口利きをおこなったとして、政府の再就職等監視委員会が国家公務員法違反と認定していたことがわかった。この問題は内閣委員会で、“玉突き”ОB人事という天下りあっせん疑惑を国会で追及、厳格な調査と、天下りそのものの禁止を求めていたもの。
【内閣委員会】国交天下り/深まる疑惑/全部で7ルート/事務次官の関与で新証拠(2011年10月26日)
【内閣委員会】玉突き天下りあっせん疑惑/国交省の調査を(2011年7月29日)
監視委は、国家公務員の天下りを規制する政府の第三者機関。2007年の改正国会公務員法成立によって、設置され、12年3月の活動開始以来、違法認定は初めて。
監視委によると、宿利前次官は国交審議官だった11年2月上旬ごろ、審議官室で同省所管の財団法人「海技振興センター」の理事長(元関東運輸局長)に対し、同センターの常務理事(元船員中央労働委員会事務局長)が「替わるらしいですね」とポストに空きができるかどうかを問い合わせた。さらに、同月中旬ごろ、「日本小型船舶検査機構」の業務担当理事(元大臣官房付)が仕事を探していることを伝え、この業務担当理事は、同年4月、同センターの常務理事に就任した。
これは、職員の天下りを目的とする営利企業などとの情報交換を禁じた国家公務員法第106条2項に違反している。
同センターの常務理事だったОBは、同年6月、「日本冷蔵倉庫協会」の理事長に就任。一連の人事は、同年2月2日、国交省の九州運輸局次長が、日本小型船舶検査機構の業務担当理事に現役出向したことから始まる“玉突き”だった。
また、監視委は、宿利氏が同年3月初めには、2回にわたって、社団法人「日本民営鉄道協会」の当時の理事長(元関東運輸局長)を審議官室に呼んで退任を促していたとし、これも国家公務員法違反と認定した。
約3カ月後の同年5月26日、「日本自動車販売協会連合会」の常務理事を退任した元運輸安全政策審議官が、翌27日、日本民営鉄道協会の理事長に就任している。
これら宿利氏の口利き関与を再三、国会で追及。枝野幸男官房長官(当時)は「国交省の政務三役でしっかり調査させたい」と答弁したが、同省は同年8月、「再就職あっせん行為はあったとは認められない」とする調査結果を公表していた。
今回、監視委は、「今回のような事案の発生は公務に対する国民の信頼を大きく揺るがす」との委員長談話を発表。太田昭宏国交相に対し、職員や元職員に口利き禁止の周知徹底を図るよう求めた。
違法行為を否認した国交省の身内の調査委員会による、お手盛りの調査結果を、第三者機関である再就職等監視委員会が正したのは当然だが、それは、私が国会で追及した一連の天下りあっせん疑惑の一部にすぎない。国交省は、真摯(しんし)に反省して、改めて調査を行うべきだ。政官業の癒着を根絶するためには、あっせん行為ではなく、天下りそのものを禁止すべきだ。
この問題で、TBSテレビ「みのもんたのサタデーずばッと」からインタビューを受け、3月30日に放映された。