【内閣委員会】子ども子育て支援法案についての集中審議

 子ども子育て支援法案は、与党の審議・採決強行によって、野党の質疑は一度も行われませんでした。野党の要求により、子ども子育て支援法に関する集中審議が実現しました。

 私は、法律案要綱の誤りについて追及。子ども子育て支援法改正案の法律案要綱において、「市町村子ども・子育て支援事業計画」と記載すべきところを「市町村子ども・子育て支援計画」としていたことについて、誤りではないかと質問。

 松山大臣は「可能な限り簡素化し、わかりやすく説明するということだったが、そうなっていないという指摘は真摯に受け止めたい」と答弁。

 私は「誤りを誤りと認めない政府の態度が、国会と政府の信頼関係を損ない、国民の政府不信を大きくするものとなっている。いまからでも誤りを認め反省すべきだ」と指摘しました。

 また、2016年度からスタートした企業主導型保育事業について質問。児童育成協会の立ち入り調査で、職員の配置や保育内容について改善すべき事項が多数あることを確認。保育士の人数が足りていない時間帯があるとか、昼寝の際にうつぶせ寝にさせたままだった、給食のアレルギー対応のマニュアルがなかったなど問題点が指摘されています。

 認可外であり、保育所よりも職員資格等の面で緩和されているとか、設置や運営に市町村の関与が少ない。企業主導型保育事業は、保育料が応能負担ではない。低所得者世帯が利用できない可能性があるなど問題点を指摘しました。

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「議事録」
<第196通常国会 2018年04月04日 内閣委員会 7号>

○塩川委員 日本共産党の塩川鉄也です。
 この委員会におきましては、政府の国会に提出する文書が改ざんをされていた、こういうことに対して議論の前提が損なわれているという野党の主張、要求、それを棚上げにして審議を一方的に行った、そういう中での不正常な状況が生まれた、その正常化の過程ということで、きょうは、質問ができなかった子ども・子育て支援法改正案の内容、また少子化対策に関連して質問をしたいと思います。
 最初に、この子ども・子育て支援法改正案の法律案要綱の誤りについてお尋ねをいたします。
 子ども・子育て支援法改正案の法律案の要綱において、市町村子ども・子育て支援事業計画と記載すべきところを市町村子ども・子育て支援計画としていたことについて、誤りではないかと指摘をしました。そのことについて、内閣府のまとめた見解を読み上げていただけますか。

○小野田政府参考人 読み上げさせていただきます。
 子ども・子育て支援法上の市町村子ども・子育て支援事業計画という名称について、今回の法律案要綱において市町村子ども・子育て支援計画という名称を用いているのは、可能な限り簡素化し、わかりやすく説明するという法律案要綱の観点によるものであり、他の法律案要綱においても、一部を省略したり言いかえたりする例は複数見られるところです。
 他方、国の基本指針では市町村子ども・子育て支援事業計画という表現を用いており、また、地方自治体において、他の子供にかかわる計画と一体として、子ども・子育て支援計画という名称を策定している例も見られるところ、簡素化、わかりやすさにつながっていないとの御指摘をいただいたことについては、真摯に受けとめているところです。
 三月二十日の衆議院内閣委員会理事懇談会において、当該表現が不正確ではないかとの御指摘、地方自治体の中には、子ども・子育て支援計画として、子供にかかわる二つ以上の計画を一体として策定している例もあること、子ども・子育て支援法に基づく施策等を記述するものとして、閣議決定されている少子化社会対策白書では略称として事業計画と記載していること、これまでの子ども・子育て支援法に係る法律案要綱には市町村子ども・子育て支援計画との記載はないこと、をいただいたことは重く受けとめているところであり、今後、法律案要綱を作成するに当たっては、このような御指摘をいただくことのないよう、より適切な表現を用いるよう配慮してまいります。

○塩川委員 わかりやすく説明するということで、事業という言葉だけを落とすということだったわけですけれども。
 大体、法案を読むときには、まず法律案要綱に目を通す、その上で条文を見ますけれども、法律案要綱に子ども・子育て支援計画とあるところを、条文には子ども・子育て支援事業計画となっていて、この子ども・子育て支援計画と子ども・子育て支援事業計画は別物なのかどうなのかとまず最初に困惑したというのが率直なところであるわけです。
 実際には、わかりやすく説明するどころか、かえって誤解を与えるものになっていたというのが実態だということです。
 具体的にお尋ねをします。
 内閣府は、地方自治体の中には、子ども・子育て支援事業計画について、子ども・子育て支援計画と表記している例があると指摘をしています。内閣府が私に対して示したのは、甲府市と大阪市の事例でありました。
 この二つの自治体の子ども・子育て支援計画というのは、子ども・子育て支援法に基づく市町村子ども・子育て支援事業計画を指すのですか。

○小野田政府参考人 お答えいたします。
 地方自治体の中には、子ども・子育て支援計画という名称の計画を策定している例がございますが、これらの計画につきましては、市町村子ども・子育て支援事業計画と他の子供にかかわる計画を一体のものとして策定しているものであり、市町村子ども・子育て支援事業計画と一致するものではございませんが、市町村子ども・子育て支援事業計画に必要な事項は包含しているものと考えてございます。

○塩川委員 いや、小野田さんは私に説明に来たときに、甲府市とそれから大阪市の事例を紹介をして、この市町村の子ども・子育て支援事業計画のところは支援計画となっていますと言ったじゃないですか。違うでしょう。

○小野田政府参考人 お答えいたします。
 言葉足らずで、まことに申しわけございませんでした。
 例えば、甲府市もお示しさせていただきましたけれども、甲府市は、子ども・子育て支援法に基づいて市町村が策定する子ども・子育て支援事業計画と、改正次世代育成支援対策推進法に基づく次世代育成支援行動計画を一体のものとして策定しますということになってございまして、恐縮でございますが、我々としましては、子ども・子育て支援事業計画がその中に包含されているということでちょっと御説明をさせていただきましたが、言葉足らずでございました。

○塩川委員 いや、言葉足らずじゃなくて、説明そのものが間違っているんですよ。
 二つの法律のそれぞれの計画を一本にしたものを甲府市も大阪市も子ども・子育て支援計画としていたんですよ。何でこれが、子ども・子育て支援法に基づく子ども・子育て支援事業計画をわかりやすく説明した例になるんですか。違うでしょう。

○小野田政府参考人 御答弁させていただきます。
 恐縮でございます、繰り返しになりますけれども、その自治体の計画の中に市町村子ども・子育て支援事業計画に必要な事項が含まれている、包含されているということで御説明をさせていただいた次第でございます。

○塩川委員 逆に言うと、支援計画となっている、それが子ども・子育て支援法に基づく事業計画だけかと思ったら次世代育成の方も入っているわけだから、これはかえって混乱するのは当たり前じゃないですか。何でそんな説明が通るのか。とんでもない話ですよ。
 その上で、この法律案の要綱そのものは、閣議決定したものではありません、内閣府が作成をした文書ですけれども、この子ども・子育て支援制度について、閣議決定した文書としては少子化対策白書があります。これまでの少子化対策白書において、子ども・子育て支援計画という名称は使われているんですか、わかりやすく説明するということで。

○小野田政府参考人 お答えいたします。
 現時点では確認できておりません。

○塩川委員 確認って、問いで投げているわけですよ。
 実際に子ども・子育て支援法に基づく子ども・子育て支援事業計画についての記載を見れば、平成二十六年度以降だと思いますけれども、二十六年度版、二十七年度版、二十八年度版に、子ども・子育て支援計画という用語で書いているというものはあるんですか。

○小野田政府参考人 その範囲内ではございません。

○塩川委員 では、その前にはあるんですか。

○小野田政府参考人 お答えいたします。
 確認できてございません。恐らくないと認識してございます。

○塩川委員 ですから、閣議決定されている少子化対策白書においては、子ども・子育て支援事業計画は、子ども・子育て支援事業計画と書いてあるか、又は子ども・子育て支援事業計画(以下「事業計画」という。)という略称で書いているんですよ。どこにも、子ども・子育て支援計画というのは、閣議決定した文書にはないんですよ。それが何でわかりやすく説明することになるのか。この点でも極めて重大です。
 そもそも、これまでの子ども・子育て支援法の、改正案を含めて出された法案について、その法律案の要綱に、市町村子ども・子育て支援計画を、市町村子ども・子育て支援事業計画をわかりやすく説明する用語として用いた例というのはあるんですか。

○小野田政府参考人 お答えいたします。
 市町村子ども・子育て支援事業計画は、平成二十四年に制定されました子ども・子育て支援法により初めて規定されたものでございます。その後、企業主導型保育の創設等を主たる内容とし、平成二十八年に子ども・子育て支援法の改正を行いましたが、平成二十四年の法制定時、平成二十八年の法改正時のいずれにおいても、子ども・子育て支援計画と表記した例はございません。

○塩川委員 大臣にお尋ねします。
 今、確認をしたように、地方で、子ども・子育て支援事業計画について、子ども・子育て支援計画というわかりやすい説明で書いているという例はあると言ったんだけれども、それは二つの法律に基づく二つの計画を一緒にしているもので、だから、これを子ども・子育て支援法に基づく事業計画のわかりやすい説明なんと言ったら、かえって混乱するのは当たり前じゃないですか。閣議決定した文書でも子ども・子育て支援事業計画とあるわけですし、過去の子ども・子育て支援法の法案についての法律案要綱でもそういう用語の説明はないわけです。
 これはもう率直に、わかりやすいどころか誤解を招くしかなかったわけですから、誤りは誤りとして、素直に認めたらどうかと思いますが、いかがですか。

○松山国務大臣 お答えいたします。
 今回の法律案要綱におきましては、可能な限り簡素化し、わかりやすく説明するということから、こういう名称を使ったということでございますが、しかし、先生御指摘のように、簡素化、わかりやすさにつながっていないという、御指摘いただいたことについては、真摯に受けとめているところでございます。
 今後、法律案要綱作成に当たっては、このような指摘をいただくことのないように、より適切に表現を用いるよう配慮してまいります。

○塩川委員 誤りは誤りとして認めるということでこそ、信頼をかち得るということが言えると思います。
 この国会、冒頭で言いましたように、国会に出した文書を改ざんして持ってくる、まさに国会の行政監視機能、これを冒涜するようなことが行われてきたわけで、国会と政府の関係が問われているんですよ。今回のこの白表紙につけている法律案の要綱については、まさに国会への説明のペーパーとして出されているもので、それが間違っているのを間違いとも認めないという態度でいいのかということが問われなければなりませんし、こういった、誤りを誤りと認めない政府の態度というのが国会と政府の信頼関係を損ない、国民の政府不信を大きくするものとなっているということを厳しく指摘をしなければならない。今からでも誤りを認めて、反省すべきものであります。
 加えるならば、今後、法案としてもう既に出されているPFI法案の要綱にも間違いがあったという話ですから、何をやっているのかと。極めて重大だということは厳しく指摘をしておかなければなりません。
 それでは次に、企業主導型保育事業についてお尋ねをいたします。
 二〇一六年度からスタートした企業主導型保育事業でありますけれども、その運営形態についてもさまざまな意見も寄せられているところであります。
 この企業主導型保育事業について、どのように保育の質を確保するのか、この点について御説明ください。

○小野田政府参考人 お答えいたします。
 子供の健やかな育ちを図るためには、保育の質の確保は非常に重要と認識してございます。企業主導型保育施設につきましては、児童福祉法に基づく認可外保育施設として、都道府県が原則年一回以上、立入調査などを行っております。
 また、企業主導型保育事業の実務を担う公益財団法人児童育成協会におきまして、全ての施設を対象に原則年一回、立入調査をしてございます。さらには、通報等を受け、必要に応じ抜き打ち調査を行ったり、午睡、お昼寝時の抜き打ち調査を実施してございます。
 これらにより、保育の実施状況などを確認し、改善が必要な施設に対しましては、改善報告を求めるとともに、しっかりと指導を行っているところでございます。
 今後とも、こうした立入調査などを通じまして、保育の質の確保が図られるよう取り組んでまいります。

○塩川委員 立入調査、抜き打ち調査、そういう中での改善報告を求めることや指導を行うということであります。
 ここで、二〇一七年度の上半期において、この児童育成協会における立入調査の実施状況が報告をされております。この児童育成協会の立入調査の実施状況の内容について、説明をしていただけますか。

○小野田政府参考人 お答えいたします。
 企業主導型保育施設につきましては、先ほど申し上げましたとおり、年一回、全ての施設に立入調査を行うこととしており、平成二十九年度四月から九月までの上半期に、まず四百三十二施設に立入調査を実施いたしました。その結果、三百三施設に対し、職員配置や保育内容に関しまして、改善すべき項目を文書で指摘をしたところでございます。
 主な指摘事項といたしましては、保育計画等の整備をすることなどがございますが、文書指摘に対しては、全ての施設から改善報告が提出されているところでございます。指摘事項に対するフォローアップを含め、しっかりと指導を行ってまいりたいと考えてございます。

○塩川委員 ちょっと数字の確認で、そもそも、その分母となる施設が幾つで、そのうち立入調査をやったのが四百三十二と言いましたかね。ちょっと、もう一回確認を。

○小野田政府参考人 お答えいたします。
 企業主導型保育事業は二十八年度から始まった制度でございまして、事実上は、その運営は二十九年度から始まっているところでございます。
 二十九年度中に運営している施設は八百二十四施設ございまして、原則年一回の立入りということでございますので、この八百二十四施設が対象になってきます。そのうち、先ほど申し上げました上半期には四百三十二施設、割合では五二・四%でございますが、四百三十二施設に対しまして立入調査を実施したということでございます。

○塩川委員 そういった主な指摘事項として、保育計画等を整備することとかという話もありました。乳幼児の健康診断を実施することですとか、嘱託医との契約を締結することなども挙げられているんですが、そうはいっても、この四百二十三のうち三百三施設について改善すべき項目を文書で示したということでいいますと、七割の施設には改善すべき項目を示しているということで、保育の質の問題についての懸念の声が上がるのではないかと思うんですが、この点についてはどのように受けとめておられるのか。

○小野田政府参考人 お答えいたします。
 確かに、三百三施設というのは、決して少ない数ではないというふうに認識してございます。
 繰り返しでございますけれども、指摘事項につきましては、全ての施設から改善報告が提出されているところであります。指摘事項についてはしっかりと今後もフォローアップをしてまいりたいと思いますし、今後とも、まさにしっかりと立入調査も含めてやっていくこと、また、その結果をしっかりと公表していくこと、こうしたことに心がけたいと思ってございます。

○塩川委員 大臣にお尋ねいたします。
 今言った、保育の質の低下への懸念の声が上がっている。保育士の人数が足りていない時間帯があるですとか、昼寝の際にうつ伏せ寝にさせたままだったとか、給食のアレルギー対応のマニュアルがなかったなどの問題点が指摘をされたといいます。改めて、こういった懸念に対して、大臣としてどのように受けとめておられるのかをお尋ねしたいと思います。

○松山国務大臣 先ほど、政府参考人からも答弁させていただきましたけれども、全ての施設に原則として年に一回の立入調査、あるいは通報等を受けた抜き打ち調査、あるいは午睡時の抜き打ち調査など実施をしているところですが、御指摘のように、七割のところで指摘されたということでございました。文書の指摘を行った施設については、既に全ての施設において改善報告がなされておりますが、さらに、この改善報告の受領にとどまることなく、指摘事項が改善しているかどうかを確認する観点からも、改善すべき指摘の多かった施設などについては、必要に応じて抜き打ち調査を実施することといたしております。
 引き続き、この企業主導型保育事業における保育の質の確保にしっかりと努めてまいりたいと思います。

○塩川委員 企業主導型については、認可外であり、保育所よりも職員資格等の面で緩和がされているとか、設置や運営に市町村の関与が限られている問題、企業主導型保育事業については保育料が応能負担ではない、そういった問題で低所得者世帯が利用しにくい可能性も出ている、そういう点での運営面、安全面での懸念もある、こういった点についてやはり率直に指摘をしなければならないということを申し上げておくものであります。今回の法改正によってこれを更に広げるということについての率直な懸念というのを申し上げておくものです。
 その上で、この企業主導型保育事業の地域枠の定員については、国の基本方針を改正をし、市町村が確保すべき整備量に含めることができるとする予定と聞いていますけれども、この辺はどのようになっているんでしょうか。

○小野田政府参考人 お答えいたします。
 この四月から、企業主導型保育事業のうち地域枠、これは地域のお子様の受入れ枠でございますけれども、この地域枠につきましては、自治体の事業計画の中に入れて、全体を自治体の方で管理していくということができるというふうにさせていただいたところでございます。

○塩川委員 大臣にお尋ねしますけれども、この企業主導型保育事業の地域枠の定員について保育の受皿整備に含めることができるといいますけれども、一方で、児童福祉法二十四条三項に基づく市町村の利用調整の対象外でもあると。市町村の保育の実施義務というのがこれで十分果たされるのか、形骸化しはしないのかと率直に思いますが、この点についての大臣の考えをお聞かせください。

○小野田政府参考人 お答えいたします。
 私どもといたしましては、できるということではございますけれども、市町村の計画の中に地域枠を入れることができるということになった関係で、自治体と企業主導型保育事業を展開する事業主あるいは協会との間の連携が一層進む、情報交換が一層進むというふうに考えてございます。

○塩川委員 保育の実施義務を果たせるのか、その際に、その整備量の増に含めるんだけれども、それについて直接市町村の関与するものではないという中で市町村の保育実施義務が果たされるのかという懸念について、大臣としてのお考えをお聞かせください。

○松山国務大臣 地域枠を設けているところでありますが、自治体としっかり連携をその辺はとって、また、今年度から自治体での事業計画を設けていきますので、その事業計画に沿って連携して取り組んでいきたいと思っております。

○塩川委員 関連して、待機児童対策協議会の問題です。
 この協議会を今度法定化をするということでありますけれども、もともとその議論のスタートの一つとなっているのが、あの規制改革推進会議での議論だったわけであります。保育の分野での市町村の上乗せ基準の見直しを議論をする、そういう場として協議会の設置を掲げる、そういう規制改革推進会議での提案があったわけですが、今回法定化をする協議会で、このような規制改革推進会議で挙げている市町村の上乗せ基準の見直しを議論をするということになるんでしょうか。

○成田政府参考人 お答え申し上げます。
 改正されました子ども・子育て支援法におきましては、昨年十一月の規制改革推進会議の第二次答申を踏まえ、保育園等の広域利用の推進など待機児童解消等の取組について都道府県が関係市区町村等と協議する場を設置できる旨を盛り込んでおります。
 答申では、協議会において市区町村が独自に定める人員配置基準等の検証を行うことも協議事項の一つとして盛り込まれておりますが、協議会での具体的な協議事項は、地域の実情に応じて各協議会においてお決めいただくものでございます。

○塩川委員 自治体の判断ということですけれども、しかし、厚労省そのものが通知を発出をして、このような市町村の上乗せ基準の見直しを要請しているわけですけれども、それによって引き下げた自治体というのはあるんでしょうか。

○成田政府参考人 お答え申し上げます。
 平成二十八年三月の緊急対策では、国の定める基準を上回る人員配置基準や面積基準を設定している市区町村において、国の基準を上回る部分を活用して、一人でも多くの児童を受け入れるよう、市区町村に対して要請したところでございます。
 この要請につきましては、国の定める人員配置等を満たしていることが前提であり、市区町村が保育の質を確保しながら、地域の待機児童の状況とあわせ考え、一人でも多くの子供の認可保育園への入所を可能にするという趣旨で行ったものでございます。
 これにつきまして、平成二十八年十月時点の調査では、緊急対策に参加している四百一市区町村のうち、百五十二市区町村において国の最低基準を上回る人員配置基準が設定されており、緊急対策の要請以降に、国の人員配置基準を上回る部分を活用して子供の受入れを実施した自治体はないと承知しております。また、同調査では、四百一市区町村のうち、百五十六市区町村において国の最低基準を上回る面積基準が設定されており、緊急対策の要請以降に、国の面積基準を上回る部分を活用して子供の受入れを実施した自治体はないと承知しております。

○塩川委員 こういった引下げを行った自治体はないということですけれども、なぜなんでしょうか。

○成田政府参考人 お答え申し上げます。
 緊急対策の要請以降に、国の人員配置基準を上回る部分を活用して子供の受入れ体制を実施した自治体がなかったのは、保育の質の低下への懸念など、各自治体が地域の実情を踏まえ判断した結果と考えております。

○塩川委員 保育の質の低下への懸念があるから、そういう国の要請であっても受けられませんよということであるわけです。そういったときに、また規制改革推進会議がこれを押しつけるようなやり方というのはとんでもない話であって、こういった保育の質が下がる基準の見直しは断じて認められるものではありません。
 そのような場に使うような協議会というのは当然認められないということも改めて指摘をしておくものであります。