【内閣委員会】政府の中枢に非常勤職員/出向元から給与補てん/官民癒着の疑念

 内閣官房IT総合戦略室における官民癒着の問題について質問しました。

 政府の説明によれば、IT戦略室の実員数153人のうち、NTTや富士通など民間企業からの出向者の非常勤職員は76人います(19年1月1日時点)。

●非常勤職員の待遇と給与補てん
 「出向者」の給与について確認すると、内閣官房は「係長クラスで年収約230万円。課長補佐クラスで270万円(年間240日勤務の場合)」と答弁しました。

 出向者は出向元企業から給与補てんを受けているのではないか、と質問。

 内閣官房は否定しませんでした。

●政府の情報システム運用経費の受注実績
 政府の情報システムの運用経費受注実績(2017年度)上位の企業グループ、受注額合計、全体に占める割合を質問。

 内閣官房はNTTグループ1044億円(25%)、富士通グループ661億円(16%)、日立グループ558億円(11%)、三菱グループ337億円(9%)、NECグループ335億円(8%)と答弁し、上位5グループで全体の4分の3を占めることが明らかになりました。

●給与補てんと官民癒着への批判
 情報システム関連事業の受注企業出身者が、出身企業から給与補てんを受けて、政策の企画立案を行うIT戦略室に勤務しているのは、官民癒着の批判を免れない、と追及。

 平井卓也IT政策担当相は「情報システムの受注実績のある企業出身者は、その担当としないなど規制をかけている」と答弁しました。

 癒着の疑念をよぶ根幹は給与の補てん。この問題にメスを入れることが必要だ。

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「議事録」

<第198通常国会 2018年04月24日 内閣委員会 14号>

○塩川委員 それでは、IT戦略についてお尋ねをいたします。
 世界最先端デジタル国家創造宣言・官民データ活用推進基本計画、IT戦略についてですが、このIT戦略の文章を見ていて、「抜本改革推進のための体制拡充と機能強化」の項目が挙がっている。これは、この前のときに平井大臣に冒頭のところでお尋ねをしたところの続きになるわけですけれども、IT総合戦略本部を支える事務局である内閣官房情報通信技術総合戦略室、IT総合戦略室の規模が不十分であり、外部人材登用に当たっての処遇にも課題があるとの指摘がされており、IT総合戦略室の機能と体制の強化に向け、平成三十年度から順次、関係省庁からの人的資源の貢献などの一層の協力を得るとともに、外部のすぐれた人材の活用のための所要の処遇改善などの環境整備について検討を行うとあります。
 このIT総合戦略室の規模が不十分とはどういうことかという質問に対して、平井大臣は、ITやデータ、セキュリティーなどに関する最先端の知見を持つ人材の確保が必要だけれども、専門家は引く手あまただし、役所の給料が安いことが課題だという答弁でございました。
 そこで、事務方にお尋ねしますが、IT総合戦略室の機能と体制の強化に向け、平成三十年度、つまり昨年度から順次、関係省庁からの人的資源の貢献などの一層の協力を得るとあるわけですが、これはどうするものだったのか、実際どうしたのか、その点についてお答えいただけますか。

○向井政府参考人 お答えいたします。
 IT総合戦略室は、昨年、平成三十年でございますが、六月に閣議決定されたIT戦略や未来投資戦略、骨太の方針に基づきまして、政府情報システム予算・調達の一元化を含めたプロジェクト管理の強化に向けた検討や、引っ越し等のワンストップ化加速など、我が国のデジタル化を大きく前進させるプロジェクトを実施することとなっております。
 このように業務が質、量ともに増大する中、関係省庁による協力を要請いたしまして、昨年の夏の異動期には、室長代理、いわゆる副CIO、私もそうですが、ここで答弁しているIT室は皆、私以外の人間はそのときに来た人間でございますが、室長代理である幹部職員を含む計十三名の職員、また、平成三十一年に入ってからも、管理職を含む計六名の職員をIT総合戦略室に新たに入っていただいたところでございます。

○塩川委員 内閣官房が企画立案、総合調整を行うということで、各府省から人を集める。聞くところによると人狩りというそうですけれども、送り出す役所の方はなかなか大変な思いで送り出しているという点で、人を集めてやっているという話になるわけです。
 もう一つ、これは役所の中の話ですけれども、外部人材登用に当たっての処遇にも課題があるという指摘で、この前の大臣の答弁でも給料の話があったわけですけれども、ここで言っている外部人材というのはどなたを指しているのか。政府のCIO補佐官もありますし、民間企業からの出向者ということでIT室の資料にもあるわけですけれども、この外部人材というのはどの範囲の方を指しているのか、その上で、処遇にも課題があるというその課題は何かについてお聞きします。

○二宮政府参考人 お答え申し上げます。
 先般の内閣委員会で大臣から御答弁申し上げましたとおり、IT総合戦略室の業務を遂行していくに当たりまして、社会全体のデジタル化に対応するありとあらゆる最先端の知見が必要となってきているところでございまして、省庁の出身者の知見だけでは対応が難しいという課題認識のもと、IT戦略におきまして、外部のすぐれた人材の活用について検討を行うとしたものでございます。
 ここで申し上げますすぐれた外部人材と申しますのは、データやセキュリティーを含め、情報通信技術についての最先端の専門的な知見を有する人材を指しているところでございまして、現行制度のもとで申し上げますと、政府CIO補佐官が該当するものと考えているところでございます。

○塩川委員 最先端の専門知見を有する方ということで、政府のCIO補佐官を指しているという話ですけれども、そうしますと、民間企業からの出向者の方もかなりの人数いらっしゃるんですが、その方たちというのはどういう理由でいらっしゃっているんでしょうか。

○二宮政府参考人 お答え申し上げます。
 今申し上げましたとおり、ITの分野は非常に変化が激しゅうございまして、さまざまな民間の知見も含めて、ともに協働しながら作業を進めることでよりよい成果を上げていくということが重要でございまして、政府の職員のみでは必ずしも十分でないところを、それを補う意味で民間の方々の御協力を仰いでいるところでございます。

○塩川委員 そういう点では、政府の職員だけでは足りない、補う意味合いで、変化の激しいこういう分野での民間の知見が必要だということです。
 それで、戻るんですけれども、外部人材という点で、政府CIO補佐官の話だということでお話があったわけですが、外部のすぐれた人材の活用のための所要の処遇改善などの環境整備について検討を行うとあるんですけれども、これはどうしているんでしょうか。

○二宮政府参考人 お答え申し上げます。
 政府CIO補佐官といたしましては、クラウドを始めとした最先端の情報システムの設計、開発、プロジェクトマネジメントといった専門性を有する人材が採用されているところでございます。
 その給与体系には一定の幅がございますので、私どもの取組といたしましては、非常勤職員の給与の号俸を更に上げることなどにつきまして、関係機関と連携して検討を進め、よりよい人材が確保できるように努めているところでございます。

○塩川委員 ということは非常勤なんですよね。ですから、今の高度ITの専門家と言われる政府CIO補佐官の身分や待遇について確認したいんですけれども、政府CIO補佐官の身分は非常勤ということでよろしいか、報酬はどのように定めておられるのか、それを今回見直すということであればどうすることになっているのか、その点について説明していただけますか。

○二宮政府参考人 お答え申し上げます。
 委員御指摘のとおり、政府CIO補佐官は非常勤の国家公務員でございます。その給与につきましては三段階ほどございまして、初任の政府CIO補佐官の給与は、一日当たりでは四万三百四十円。なお、年収につきましては、補佐官の勤務日数は個々人で異なりますが、一律には申し上げることが難しいところではございますけれども、仮に週五日勤務で年間の勤務日数を二百四十日というふうに単純の計算をいたしますと、約九百七十万円ほどでございます。

○塩川委員 これは、号俸を更に上げていく、何かそれはもう具体的にされているんですか。

○二宮政府参考人 お答え申し上げます。
 今申し上げましたとおり、号俸は三段階ございまして、その三段階ごとに一定数の補佐官が張りついているということでございますけれども、これは当然、裏側には予算が関係してございますので、それぞれの号俸の補佐官の数をふやすべく、関係機関と連携しながら検討を進めているというところでございます。

○塩川委員 最先端の知見をお持ちの方が九百七十万というのは、この妥当性はいかがかというのは率直に思うわけですけれども、政府CIO補佐官の方は、もともとの所属先の企業、役員の方なんかも当然いらっしゃると思うんですけれども、その身分を持って非常勤で働いているということになるんでしょうかね。

○二宮政府参考人 お答え申し上げます。
 非常勤と申しましても、企業若しくは事業体に属して業務を行っている方もいらっしゃれば、独立して若しくは単独で政府CIOとして御貢献いただいている方もいらっしゃいます。人によって異なります。

○塩川委員 人によって異なるけれども、企業に所属している方もいらっしゃるということです。
 次に、民間企業からの出向者という方がいらっしゃるわけですけれども、その方の身分は非常勤ということでよろしいか、給与はどんな状況なのか、この点についてお答えいただけますか。

○二宮政府参考人 お答え申し上げます。
 委員御指摘のとおり、民間出身の参事官補佐や主査につきましては、非常勤の国家公務員でございます。
 その給与水準でございますけれども、参事官補佐の給与は一日当たり一万一千百五十円、主査の給与は一日当たり九千七百五十円、年収につきましては、仮に週五日勤務で年間の勤務日数を二百四十日ということで単純計算をさせていただきますと、参事官補佐で約二百七十万円、主査で約二百三十万円でございます。

○塩川委員 ですから、課長補佐、係長クラスということですけれども、単純に言って、年収ベースでいうと二百五十万円前後という話になるわけですね。
 年収が二百三十万とか二百七十万という方なんですけれども、出向者ということですから、出向元企業に在籍をしているわけです。そうしますと、出身企業から給与の補填を受けているんでしょうか。出向元企業で勤務する、そういうことも行っているんでしょうか。

○二宮政府参考人 お答え申し上げます。
 民間出身者が出向元の企業から給与を受けているかどうかにつきましては、当室としては把握をしてございません。
 また、勤務時間以外において出向元の企業で勤務をしているかどうかについても把握をしておりませんけれども、非常勤職員につきましては、制度上、兼業を行うことは可能と認識してございます。
 なお、いずれにしましても、当室での勤務時間の前後など、勤務時間外につきましても、非常勤職員を含めた職員には、兼職の有無にかかわらず、公正な職務の遂行の維持、公務の信用保持の観点から、守秘義務、信用失墜行為の禁止など、国家公務員法の服務に関する規定が適用されてございまして、その遵守を徹底することで適正な運用の確保を行っているところでございます。

○塩川委員 もう一回ちょっと戻るんですけれども、出向者ということなので、出向元企業に在籍をしているわけですね。

○二宮政府参考人 御指摘のとおりでございます。

○塩川委員 そうしますと、出向元企業にすれば、大事な社員をIT室に送るということになるわけですよ。そういったときに、あんたの給料は向こうの非常勤職員の二百三十万円ですよというのは余りにもつれない話であって、そもそもそんなことで行くかという話は当然出るわけですね。ですから、当然それは、会社側にすれば、非常勤職員の給与ともともとの出向元企業における給与の差分を補填する措置というのは行っているのが普通ですよね。そう思いませんか。

○二宮政府参考人 お答え申し上げます。
 繰り返しになりますけれども、民間出身者が出向元の企業から給与を受けているかどうかにつきましては、私どもIT室としては把握してございません。

○塩川委員 これは、やはり誰からお給料をもらっているかは一番肝心なところなんですよ。この実態だと、公務、IT室、役所からもらっているものよりも、実際には企業側から補填を受けている方が大きいという実態というのが推測されるわけですね。その場合に公務の公正性がどうなのかということが問われてくるわけです。
 そこで、非常勤の場合には兼業が可能だという説明でしたけれども、内閣人事局に聞きますが、非常勤で兼業が認められる理由というのは何なんでしょうか。

○植田政府参考人 お答えいたします。
 常勤職員が報酬を得て兼業を行う場合には、国家公務員法第百四条に基づき、各省各庁の長及び内閣総理大臣の許可を要することとされておりますが、一方で、非常勤職員については、従事する職務や勤務条件も多様であるところでありますけれども、総じて勤務が臨時的であり、勤務時間の設定や職務の内容などから職務専念義務などに与える影響が比較的少ないと考えられることから、国家公務員法第百四条の適用がないこととしているところでございます。

○塩川委員 臨時的、職務専念義務の程度が低いという話ですけれども、実際には内閣官房の内閣官房副長官補のもとにある分室のまさに筆頭格になっているIT室なわけですよ。そのIT室というのは、まさに企画立案、総合調整なんです。単なる補助事務じゃないんですよ。補助事務じゃない。
 そういう点でも、非常に基幹的な中枢の業務を担っている人たちなんですよね。そういう人たちが実際には出向元企業から受けている報酬の方が大きいといった場合に、公務の公正性が問われるんじゃないかという問題が出てくるわけです。
 それで、人事院にお尋ねいたします。
 このように、出向元企業の身分を持ちながら公務で働く、こういうスキームについては、官民人事交流制度の交流採用、雇用継続型というのがあるわけです。この制度における服務や給与に関する規制はどうなっているのか、そして、その理由は何なのかについて説明してください。

○鈴木政府参考人 お答え申し上げます。
 官民人事交流法に基づきます交流採用でございますけれども、人材の育成と組織の活性化を目的として行われているものでございます。その公正性や透明性の確保を図りつつ、円滑な交流に資するような仕組みということでつくっておるところでございます。
 具体的に申し上げますと、外部有識者で構成される交流審査会の意見を聞きまして、許認可関係のある企業との交流制限などを定めた交流基準を設けてございますほか、人事交流の実施に当たりましては、参加企業の公募などによる公正な手続、交流元企業と密接な関係にある官職への配置制限、給与補填の禁止などの制限を課すとともに、交流状況につきまして国会及び内閣に対する年次報告などを行っているところでございます。
 こういった仕組みの理由につきましては、先ほど申し上げましたように、交流の公正性や透明性を確保するということでございます。

○塩川委員 今言ったように、出向元企業の身分を持ったまま公務で働く場合というのは、制度上は、官民人事交流制度の交流採用、雇用継続型となります。その場合に条件をつけている。もちろん許認可にかかわるような業務の官職につくことの禁止とかもあるんですが、出向元企業からの給与補填の禁止と言っているんですよね。そこが重要なポイントなんです。なぜそうかというと、公務の公正性の確保なんですよ。
 あわせて、この官民人事交流制度の交流採用、雇用継続型の場合は、出向元企業で働くということはできるんですか。

○鈴木政府参考人 お答え申し上げます。
 交流採用職員については、国の職務に従事するということでございますので、交流元企業の仕事をするということはできません。

○塩川委員 ですから、ここのところはわかりませんけれども、非常勤職員は五時間四十五分なんです、一日。ですから、朝、出勤前とか出勤の後とかを含めて、出向元企業との関係はどうなのかという点というのはまだ疑念としてありますし、何よりも、出向元企業から給与の補填を受けないというのがそもそもの官民人事交流制度のスキームになっている。
 大臣にお尋ねしますけれども、今言ったように、人事院が答弁しました官民人事交流制度と今回の非常勤職員の扱いの話ですけれども、民間企業に所属して国の機関で働いている点で同じなのに、一方の官民人事交流制度では、出身企業で勤務することや給与を受けることは禁止をされているわけですが、他方、政府の中枢である内閣官房で企画立案に参画をする非常勤職員の場合は、出身企業で働くことや給与を受け取ることについての制約がない。これはやはり制度上おかしいんじゃないか、公務の公正性に疑念が生じる事態ではないかと考えますが、大臣はいかがですか。

○平井国務大臣 まず、今のように最先端のプロジェクトに多くの人間が必要になる場合、各府省からの出向者だけでは足りず、政府CIOを含む民間出身の人材の参画を得ながら推進していくということだと思います。
 御指摘のとおり、民間の非常勤職員を受け入れることは、公務の公平性に疑念を抱かれることがないように十分留意することがやはり重要だと思います。
 そのため、IT総合戦略室においては、非常勤職員の採用に当たり、まず、国家公務員法の服務に関する規定に上乗せする形で、採用後、当該非常勤職員が現在又は過去二年間に属していた事業者については、当該非常勤職員が妥当性評価及び助言を行う調達案件には入札できない、政府情報システムの受注実績のある企業の出身者はその担当としないなどの厳格なルールを運用しております。
 ですから、出す方の企業にしてみても、出したら自分の企業にとってはマイナスになるというケースも十分にあるわけです。ですから、そこらのところは、さりとて、若い人たちはこういう最先端の現場で新しいプロジェクトに参画したいという意欲を持っていただける方々もおり、そういう方々と今現場をつくっているというふうに私は認識をしております。

○塩川委員 いろいろなルールをつくりました、上乗せもしていますという話なんですけれども、一番根幹は給与の話なんですよ。給与が実際にはその大半が出向元企業からもらっているといった際に、官民人事交流制度の方では、それは公務の公正性の確保にとっては問題だから、出向元からもらうことはだめよとしているわけです。
 それと対比をしても、まさに最先端の業務をやっているわけですから、そういった点で、出向元企業との実質的な官民癒着みたいな実態が起こり得るのではないのかといったことを懸念されるような給与の補填の仕組みを排除していないということ自身に、やはりこれは官民癒着の批判というのは免れないんじゃないでしょうか。

○二宮政府参考人 お答え申し上げます。
 大臣からの答弁の繰り返しになりますけれども、私どもIT総合戦略室におきましては、国家公務員法の服務にのっとるということは当然のことといたしまして、それに加える形で、調達案件に関連するような親元企業がある場合には、その出向者に対してはそういった業務につかせないというようなこと、さらには、受注実績のあるような企業の出身者にも政府情報システムの担当にはさせないというような、ある意味付加的な条件をつけて採用しているところでございますので、御懸念は当たらないものと考えてございます。

○塩川委員 一番の給与の話のところはお答えがないわけで、そこで疑念が生じるわけですから、そこのところをどうするのかといったことなしに、公務の公正性の確保ができたということにならない、癒着の批判というのは免れないということは申し上げておきます。
 その関連で、情報システム関連予算について数字を確認したいんですが、情報システム関連予算の整備経費と運用等経費について、二〇一五年度から二〇一九年度の予算の推移を確認したいと思います。

○二宮政府参考人 お答え申し上げます。
 情報システム関係予算は整備経費、運用等経費などから構成されているところでございますが、これまでの経費の推移につきましては、平成二十七年度から三十一年度までの整備経費が千三百八十九億円、千二百九十三億円、千四百五十八億円、千八百七十一億円、千九百三十九億円でございます。運用等経費につきましては、三千九百七十六億円、四千九十七億円、四千百七十六億円、四千三百十一億円、四千五百八十五億円でございます。

○塩川委員 この四年間で整備経費は一・四倍、運用等経費は一・二倍にふえているわけです。情報システム関連予算はどんどんふえているということなんです。これはこの先も同じような感じになるんでしょうかね。

○二宮政府参考人 お答え申し上げます。
 今後につきましては、行政のデジタル化がより一層進められる一方で、既存の経費の圧縮に努めていくこととしておるところでございますので、経費全体の見通しについて現時点で明確にお答えをすることは困難でございますけれども、引き続き、適切な情報システム関係予算となるように政府全体として対応してまいりたいと存じます。

○塩川委員 見通しについては確たるものはないということですけれども、実際、内訳がどうかということを教えてほしいんですが、例えば二〇一七年度の運用等経費が十億円以上の情報システムにかかわる行政事業レビューの抽出調査がありますけれども、この抽出一覧に基づいて、受注実績の上位五社の企業名と、受注額の合計と、全体に占める割合を確認したいと思います。

○二宮政府参考人 お答え申し上げます。
 上位五社は、NTTデータ、九百二十億円、二二%。富士通、六百六十一億円、一六%。日立製作所、四百四十億円、一一%。三菱電機、三百三十七億円、八%。日本電気、三百三十五億円、八%となってございます。

○塩川委員 上位五社で全体の三分の二を占めるという規模になります。
 これは企業グループでの数字というのは出せますかね。

○二宮政府参考人 お答え申し上げます。
 グループの帰属につきましては必ずしも明確でないところもございますけれども、前者の関係を整理するということではなく、支出額の合計の九〇%を占めます十七社について可能な範囲で整理したところを御紹介申し上げます。
 NTTグループ、千四十四億円、二五%。富士通グループ、六百六十一億円、一六%。日立グループ、五百五十八億円、一四%。三菱グループ、三百三十七億円、八%。NECグループ、三百三十五億円、八%でございます。

○塩川委員 ですから、上位五社のグループで合計すると四分の三相当になるわけです。
 先ほど言ったように、給与の補填を受けている。実態はどうかというのは検証が必要ですけれども、給与の補填を受けるという中での公務の公正性について疑念が生じるといった事態について考えたときに、情報システム関連事業の受注企業の出身者が出身企業から給与補填を受けてIT戦略室に勤務しているというのは、やはり率直に国民から見て官民癒着という批判は免れないのではないかと思いますが、大臣、改めてお答えいただけますか。

○平井国務大臣 公務の公平性に疑念を抱かれることのないようにしていくことが非常に今後とも重要だと思います。
 ただし、この分野の人材というのはそんなにふんだんにいるわけではないので、その中で規律をつくっていくというのに我々は大変知恵を使っているところでございます。
 そのあたりのことも今後とも疑念を抱かれないようにちゃんとやっていきたい、そのように思います。

○塩川委員 国民の不信を招くことがないような対応こそ求められているということを申し上げます。
 それと、関連して、内閣人事局にお尋ねしますが、内閣官房と内閣府における民間企業から非常勤で受け入れている職員数について、二〇〇一年度と二〇一八年度の人数を教えていただけますか。

○植田政府参考人 お答えいたします。
 内閣人事局などで調査いたしました民間から国への職員の受入れ状況におきましては、二〇〇一年八月十五日現在の非常勤職員は、内閣官房二十七人、内閣府五十六人でございまして、二〇一八年十月一日現在の非常勤職員は、内閣官房百七十五人、内閣府百六十七人となっているところでございます。

○塩川委員 省庁再編で新しい仕組みができた。当委員会でも内閣官房、内閣府の機能強化の問題を指摘をしましたけれども、二〇〇一年度から二〇一八年度の間で、内閣官房における民間企業から非常勤で受け入れている職員数は五倍にふえ、内閣府においては三倍という数字になっています。
 この数字は内閣人事局のところでホームページ上も確認できるんですけれども、個人名が特定されるような企業名は公表、集計していないというふうにお聞きしたんですが、それはそういうことでいいんですかね。

○植田政府参考人 大変申しわけございません。手元に資料がございませんので、後ほど御報告させていただきたいと存じます。

○塩川委員 IT室における非常勤職員の方の確認をしたときに、非常勤職員の人数と出身元企業の一覧と、数が合わなかったんですよ。民間企業からの非常勤職員の方が七十六人だったかな、それに対して、出身企業を書いているんですけれども、サイト上にも載っているんですが、それをIT室で切り出してもらったら五十ぐらいだったんですよね。差があるんですよ。その差は何だと言ったら、いや、個人名が特定されるような企業名だともうこの人となっちゃうから、それは外しているんだという説明が、これは内閣官房内閣人事局の指示なのかな、そういう仕組みで行われていると聞いたんですけれども、その事実関係を確認したいんですが。

○二宮政府参考人 お答え申し上げます。
 IT室から御説明申し上げた事実関係でございますけれども、政府CIO補佐官につきましては、特に個人名に結びつきやすい企業等、個人の企業とかいうことだとすれば特定されることになるわけでございますので、そういったものは省かせて、除かせていただいてございます。

○塩川委員 個人名が特定されるような企業名は外しているから、その人が非常勤でいるということも外しているということになるわけですよね。

○二宮政府参考人 お答え申し上げます。
 数につきましてはカウントしてございます。

○塩川委員 それで、確認してほしいんですが、内閣人事局が民間からの受入れ状況の一覧表をつくっているじゃないですか。あの中で、官房副長官補のところには百二十二人となっているんですよ、昨年の十月の時点のは。それも、私は企業名も数えましたが、百二十二でした。複数来ている人は二とか三とか書いてあるんですよ。だから対応しているんです、企業名。
 だから、個人名が推定されるような企業名のところを外しているとなったら、同じように非常勤の職員の数も外していないと合わないんですよ。そうじゃないんですか。

○二宮政府参考人 お答え申し上げます。
 内閣人事局の方の集計の仕方につきましては承知をしておりませんので、確認させていただいて回答させていただければと思います。

○塩川委員 確認して後で教えてください。
 最後に一問、内閣人事局、内閣官房にお尋ねしますが、こういったように、政策の企画立案や総合調整機能を担う内閣の中枢機関である内閣官房と内閣府において、民間企業に籍を置く非常勤職員が急増しています。公務の公正性に疑念が生じる事態であって、こういった内閣官房などの企画立案に従事する非常勤職員について官民癒着防止の規制を設ける考えはありませんか。

○植田政府参考人 お答えいたします。
 政府においては、複雑専門化する国の重要政策課題に対応するために、民間の専門的な知見を有する方の活用を進めてきておりまして、このため、内閣官房等においても、非常勤職員を含め、積極的にこれら職員の採用を行ってきているところでございます。
 非常勤職員の採用に当たっては、公務の公正性を確保するために原則公募とするとともに、服務規律の遵守や当該職員の配置、業務などに配慮しつつ、適切な人事運用に努めることとしておりまして、引き続き公務の公正性が損なわれることのないように努めてまいりたいというふうに思います。

○塩川委員 給与の補填という根幹問題にきちっとメスを入れるということが必要だということを申し上げて、きょうのところは質問を終わります。