【内閣委員会】政権中枢に民間企業出身の非常勤職員が増加/財界言いなりの政治の歪みをつくる人事制度の抜本改正を

 この間、取り上げている民間企業出身の非常勤職員の官民癒着問題について質問しました。

 民間企業出身者が国家公務員の非常勤職員として、政権中枢の内閣官房や内閣府で政策の企画立案を行っている事例が増加しています。

 内閣官房では課長補佐・係長クラスの非常勤職員の給与は250万円(年)程度。これまで政府は、私の追及に対し、出身元企業からの給与補てんを否定していません。

 一方で、官民人事交流法では、出身元企業の業務に従事することや給与補てんを禁止する等、公務の公正性を確保するための規制を定めています。

 人事院人材局長は、常勤と非常勤で違いがあり、非常勤は兼業がみとられていると答弁。

 私は、非常勤職員の場合も、出身企業から給与補てんを受けていれば、公務の公正性に疑念が生じると批判。

 また、梶山国家公務員担当大臣(当時)が、2017年にこの問題について「検討課題だ」と答弁していたことにふれ、規制の進捗について追及。

 武田国家公務員担当大臣は「人事管理運営方針」へ注意喚起を記載したと述べ、「非常勤は様々な形態があり、一律の規制は難しい」と答えました。

 このような背景には、経団連による「政策の企画・立案の中枢に積極的に関与できるように」「内閣官房や内閣府への民間人登用を増やす」とした提言(2015年)がある。

 財界・大企業中心の政治の歪みをつくる、このような人事制度は抜本的に見直すべきだ。

衆議院TV・ビデオライブラリから見る


「議事録」

<第200通常国会 2019年10月30日 内閣委員会 3号>

○松本委員長 次に、塩川鉄也君。

○塩川委員 日本共産党の塩川鉄也です。
 人事院勧告にかかわって質問をいたします。
 最初に、人事院総裁にお尋ねをいたします。
 官民人事交流についてでありますが、この官民人事交流制度で、交流採用の雇用継続型というのがあります。民間企業から官の方にいらっしゃる、そういった場合について、民間企業の身分をそのまま持ったまま仕事につかれるという形ですけれども、この雇用継続型における服務や給与に関する規制はどうなっているのか、そのような規制を行っている理由は何なのか、この点についてお答えをいただきたい。

○一宮政府特別補佐人 官民人事交流法に基づく交流採用は、人材の育成と組織の活性化を目的として行われているものであり、公正性や透明性の確保を図りつつ、円滑な交流に資するような仕組みとしております。
 具体的には、外部有識者で構成される交流審査会の意見を聞いて、許認可関係のある企業との交流制限などを定めた交流基準を設け、人事交流の実施に当たっては、参加企業の公募などによる公正な手続、交流元企業と密接な関係にある官職への配置制限、給与補填の禁止などの制限を課しております。
 さらに、交流状況の、国会及び内閣に対する年次報告などを行っているところでございます。

○塩川委員 公務の公正性、透明性の確保という観点で、許認可業務についての官職につくことの禁止や給与の補填の禁止、それが行われているということです。年次報告も行うということです。そういう点で、出身企業からの給与補填は認めない。それは、公務の公正性、透明性を確保するためだということであります。
 そこで、重ねてお尋ねしますけれども、私、この間、国家公務員が霞が関、特に官邸、内閣官房、内閣府に多数、非常勤職員として出向しておられるということを取り上げてきたわけですけれども、資料にもありますように、民間企業出身者が国家公務員の非常勤職員として政権中枢の内閣官房や内閣府で勤務する事例が増加をしております。
 人事院総裁にお尋ねしますが、こういった民間企業からの出向者の方ですけれども、例えばこの前取り上げたIT室の場合でも、非常勤職員で、給与は係長クラスで日額九千七百五十円、課長補佐クラスで一万一千百五十円。年間二百四十日勤務だったら、それぞれ、二百三十四万とか二百六十七万円とか、年収二百万円台という話になるわけです。
 そうなると、実際、そういう方々が民間企業から官の方に出向に来るという場合に、では、二百万円台の年収でやれるかというと、そうはならないわけで、そこには当然、出向元企業に身を置いているわけですから、給与の補填が行われているんじゃないのかという話が出てくるわけです。実際にやりとりをしてみても、出向元企業、出身企業から給与の補填を受けているということを政府の方も否定していないわけです。
 人事院総裁にお尋ねしたいのは、こういうように出身企業から給与の補填を受けている場合というのは、非常勤職員の場合であれ、公務の公正性に疑念が生じるんじゃありませんか。

○一宮政府特別補佐人 非常勤職員に民間企業出身者を採用する場合でも、公務の公正性を確保し、官民癒着等の疑念を抱かれることのないようにする必要はございます。
 非常勤職員につきましても、国家公務員としての各種の服務規律が課されておりますので、各府省において、服務規律を遵守させるとともに、職員の配置や従事する業務等に十分配慮するなど適切な運用を図るよう、人事院としても引き続き制度を周知徹底してまいりたいと思います。

○塩川委員 官民人事交流法、官民人事交流制度に基づいて、雇用継続型、民間企業の人が出向という格好で官の方に来るときには、官の方で給料を払います、民間からの給料はもらいませんという整理になっているわけです。それは公務の公正性、透明性を確保するためだという答弁ですから、非常勤職員の場合だって、当然、そこでは同様の考え方ではないでしょうか。
 非常勤職員という格好で民間企業の人が官に出向してくるといった場合に、給与補填をしていたら、公務の公正性に疑念が生じるんじゃないですか。違いますか。

○鈴木政府参考人 お答え申し上げます。
 非常勤職員につきましては、兼業規制など一部を除きまして、常勤と同様の厳格な服務義務が課されている。今、総裁が答弁申し上げたとおりでございます。
 ただ、兼業が規制されていないということでございますので、兼業として民間企業の業務に従事しますと、その対価としての給与を受け取るということは、これは制度上はあり得るものというふうに承知しております。

○塩川委員 ということは、出向で来ている民間企業の方が非常勤職員で官で働く。内閣官房や内閣府にもたくさんいらっしゃるわけですけれども、五時間四十五分ぐらいの勤務時間ですから、それ以外のところを民間企業に戻って仕事することも構わない、そういう部分については民間企業から給与の補填を受けても構わないということなんですね。

○鈴木政府参考人 お答え申し上げます。
 兼業につきましては、人事院の所管ではないということもあるわけでございますが、本務に支障がない範囲内で兼業が認められるということがありますれば、それは支障がない範囲内で働いておるわけでございますので、勤務の対価としての給与というのは、これは受け取ることはあり得るということだろうというふうに承知しております。

○塩川委員 官民人事交流制度の雇用継続型の場合には、出身元企業で働くことも認めませんという整理ですよね。

○鈴木政府参考人 お答え申し上げます。
 雇用継続型の官民人事交流で採用した職員につきましては、いかなる場合においても、交流元企業の事務事業に従事してはならないということになっておりますし、賃金を受け取ってはならないということになってございます。

○塩川委員 ですから、制度的には同じ話なんですよ。それが官民人事交流制度の雇用継続型なのか非常勤職員なのか、違いはあるけれども、形上は民間企業の人が出向で官の仕事をしているわけです。
 そういった際に、やはり、給料をもらっているとか出向元の企業で働いていたら、それは公務の公正性に疑念が生じる、公務の公正性が確保できないよという考え方で、同じじゃないですか。
 そういうことについて、要は、非常勤職員については兼業規制を課されていないからいいんですというのでは、ちょっと人事院の考え方としても納得いかないんですけれども。もう一回。

○鈴木政府参考人 お答え申し上げます。
 官民人事交流制度でございますけれども、人材の育成とそれから組織の活性化ということを目的に、民間企業の方も常勤職員に採用するということを可能とする制度をつくったものですから、常勤職員としてのそれなりの地位を得るということで、公務の公正性、透明性をしっかり確保する必要があるということで、厳しい規制を設けているということでございます。
 非常勤としての採用ということになりますと、おのずと常勤と非常勤ということで性格が違いますので、扱いの違いになってあらわれたというふうに承知してございます。

○塩川委員 いや、答弁になっていないということですが。
 武田大臣にお尋ねします。
 要するに、この間、内閣官房、内閣府にたくさんの人が非常勤職員で民間企業から出向してきておられます。その仕事というのは、内閣官房副長官補の分室にあるような専門的な仕事、まさに内閣の企画立案、総合調整を行うようなところに皆さんいらっしゃっているんですよ。補助事務とかじゃないんですよね。まさに政権中枢の企画立案を担うようなところに民間企業の人が出向者で来ているんです。ですから、そこで透明性、公正性の確保が求められるのは当然のことです。
 この点について、是正すべきじゃないかということをかつて梶山担当大臣のときにお尋ねをして、二〇一七年の十一月、十二月の質疑について、梶山大臣は検討課題とおっしゃいましたが、その後、どのような検討、対応をされたのかをお聞きします。

○武田国務大臣 委員が御指摘なのは、官民癒着防止、規制にかかわる問題だというふうに承知しております。
 平成三十年一月ですが、各府省の人事担当課長に対し、民間から採用する非常勤職員につきまして、まず、国家公務員の服務に関する規律を遵守させること、また、過去の職歴や所属機関等を勘案の上、当該職員の配置や従事する業務に配慮することなどにより、適切な人事運用に努めるよう注意喚起を行ってまいりました。
 その上で、同年三月、政府全体を通じた統一的な人事管理を推進するために、内閣総理大臣が決定する人事管理運営方針においてもその趣旨を明示し、各府省に通知したところであり、今後とも、機会を捉え、注意喚起を行うことなどにより、適切な人事運用の徹底に努めてまいりたいと思っております。

○塩川委員 そういった人事管理運営方針の話は、まあ、今まで言っていることを文字にしたという話であって、私が聞きたいのは、民間企業の方が非常勤職員として出向で官の方に行きます、政権中枢に行きます、そういったときに、民間企業から給与をもらっています、民間企業で働くことというのも妨げませんというのは、公務の公正性に疑念が生じるんじゃないですか、そこを何らかする必要があるんじゃないのか。
 給与補填の問題で何か言うというのはないんですか。

○武田国務大臣 とにかく、透明性を確保しながら信頼を得る仕事をしていかなくてはならないというのが大前提であります。
 非常勤職員は、民間の専門的な知見を活用するため採用しておるものでありますが、その従事する職務並びに各人の勤務形態もさまざまであります。このため、一律な規制を設けるというのではなくて、先ほど申し上げましたとおり、各府省に対し、それぞれの事情に応じて配置や業務への配慮などを行うよう求めてきたところであります。

○塩川委員 それぞれ各府省で対応というところなんですけれども、内閣官房、内閣府でこれだけ非常勤職員がふえているというのが非常に不思議でなりません。
 二〇〇一年の官邸機能強化の省庁再編後、内閣官房は定員が二倍になりましたけれども、その間、民間企業出身者が大幅にふえているわけです。何で、政権中枢の内閣官房や内閣府で非常勤職員として民間企業の方が働く例がふえているんでしょうか。
 私が提起したいのは、これは日本経団連の要望があるんですよ。二〇〇五年の四月に、「さらなる行政改革の推進に向けて 国家公務員制度改革を中心に」という提言を発表しました。「さらなる官民の交流促進」として、「民間から人材を受け入れる際には、その者が官の単なる補助的な存在として扱われるのではなく、政策の企画・立案の中枢に積極的に関与できるように、一定の任用枠を設けるなど、中途採用者の増加を促していく必要がある。特に内閣機能の強化の観点から、内閣官房や内閣府への民間人登用を増やすべきである。」と記述している。
 まさに、政策の企画立案の中枢である内閣官房や内閣府への民間人登用をふやすために、非常勤職員という形で民間企業出身者を官邸に送り込める、そういう仕組みをつくったんじゃないんですか。大臣、いかがですか。

○武田国務大臣 先ほどから言いますように、さまざまな形態、態様がありまして、一律に規制を設けるというのはちょっと難しい面がある、このように承知しております。

○塩川委員 いや、給与の補填はおかしいでしょうというところは何ら解決しないというのでは、まさにそこが肝ですから、それぞれの態様があるという問題じゃない。そこは共通している話なので。
 この非常勤職員の増加というのが、経団連の要求を具体化して、政権中枢に民間企業出身者を直接送り込むための仕組みであって、これは公務の公正性を疑うものですし、財界、大企業中心の政治のゆがみをつくる、こういう人事制度は抜本的に見直すべきだと申し上げて、質問を終わります。