【内閣委員会】飲食店への圧力/法律を踏み越えた横暴なやり方/西村大臣の辞任求める

 政府が酒の提供停止に応じない飲食店に対し、金融機関や酒類販売事業者から圧力をかけさせようとした問題をとりあげ、法律を踏み越えた横暴なやり方で非常に悪質だと西村康稔経済再生担当大臣の辞任を要求し、菅義偉首相が国会で説明するよう求めました。

 私は、政府による飲食店対策の強化策(①金融機関に対する融資先飲食店への働きかけの依頼、②飲食店をメディアや広告で扱う際、飲食店の順守状況に留意するよう依頼の検討、③酒類販売事業者に対する休業要請等に応じない飲食店との取引停止依頼)について、どれもコロナ特措法に基づかない措置だと指摘。金融機関や国税庁という、事業者に対して強い立場の組織を使って飲食店に圧力をかけさせる、法律を踏み越えた横暴なやり方は極めて悪質だと追及。

 西村大臣は「金融機関と酒類販売事業者への事務連絡は撤回した。何か働きかけを行うことは考えていない」「メディア等に対し具体的な検討を進めていることはない」としつつ、法を逸脱したことへの反省は述べませんでした。

 私は、混乱を招いた大臣の責任は極めて重い。コロナ対策の司令塔としての役割を果たしていないと批判し、辞任を求めました。

 西村大臣は「コロナ感染拡大防止に全力で取り組み責任を果たしていきたい」と応じませんでした。

 私は、菅総理の責任を追及。今回の措置は基本的対処方針にある飲食店対策の更なる強化を踏まえたものかと質問。

 西村大臣はその通りだと認めました。

 私は、基本的対処方針を決める対策本部の責任者である菅総理の責任が厳しく問われると指摘し、菅総理は国会で説明せよと要求。

 必要なのは、飲食店に対して規制に見合った補償を行うことだ。それでこそ安心して休業要請にこたえることができると強調し、持続化給付金、家賃支援給付金の再支給を行うよう主張しました。


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「議事録」

<第204通常国会 2021年7月14日 内閣委員会 第33号>

○塩川委員 日本共産党の塩川鉄也です。
 西村大臣にお尋ねをいたします。
 七月八日のコロナ対策の政府方針「飲食店対策(更なる強化)について」の、飲食店対策のための関係機関への依頼の点についてであります。
 ここには、金融機関に対して、融資先の飲食店への特措法に基づく要請、命令の遵守等の働きかけを依頼するとあります。撤回したとはいいますけれども、そもそも違法な優越的地位の濫用を政府が唆すようなやり方は極めておかしい。おかしいとは思わなかったんですか。
○西村国務大臣 お答え申し上げます。
 金融機関を通じた働きかけにつきましては、まさに事業者の皆さんと金融機関の間で日常の対話、コミュニケーションを行っている機会が通常ございますので、そうした機会を活用して、金融機関から事業者の皆様方に感染拡大防止徹底の呼びかけを依頼をするという趣旨で、私ども、関係省庁と調整の上で関係省庁に依頼をしたものでございました。
 融資の制限などを求めるものではありませんけれども、優越的地位の濫用など様々な御指摘を、当たるのではないかという、そうした御指摘もいただきましたので、特に飲食店の皆様に御不安を与えてしまいましたので、そうしたことを重く受け止めまして、働きかけを行わないということにしたところでございます。
○塩川委員 事務連絡の文書は撤回したということですけれども、金融機関に対して、融資先の飲食店への働きかけ、これそのものは一般的なお願いとして行うということなんですか。
○西村国務大臣 私ども、撤回をいたしましたので、何か今回関係省庁から金融機関に働きかけを行うことは一切いたしませんし、したがって、私どもの施策に基づいて金融機関が取引先、融資先に何かされるということは想定をしておりません。
○塩川委員 優越的な地位の濫用、こういうことを背景にした違法な対応そのものが問われるということを申し上げておきます。
 次に、この飲食店対策のための関係機関への依頼では、酒類販売事業者に対して、酒類の提供停止を伴う休業要請等に応じない飲食店との取引を停止するよう依頼するとあります。国税庁が酒類業中央団体連絡協議会各組合に対して、酒類の提供停止を伴う休業要請等に応じない飲食店との酒類の取引停止を求める事務連絡文書を発出しましたが、これも昨日撤回をしたということであります。
 この点について、取引停止を求める事務連絡文書は撤回をしたけれども、取引停止をお願いするというような趣旨は変わらず伝えていく、一般的なお願いとして考えているということもありませんか。
○西村国務大臣 酒類販売の事業者の皆様に対して、様々御協力いただいている中で、このような通知を、事務連絡を行うことによって様々御不安を与えてしまいましたので、この事務連絡は廃止、撤回をするということにさせていただきました。したがって、何か働きかけを行う、一般的な呼びかけを行うということは考えておりません。
○塩川委員 営業の自由を侵害するものでありますし、撤回は当然であります。
 国税庁が許認可という強い権限を背景に酒販業者に圧力をかけて、取引停止という脅しをかけるような形で飲食店に言うことを聞かせようというのも極めて筋が悪いと思うんですが、こういうことについての反省というのはあるんでしょうか。
○西村国務大臣 まさに私どもコロナ室と国税庁の間で調整をして、その上で行ったものではありましたけれども、業界の皆様方からまた様々な御指摘もいただきました。
 特に、取引の安定であるとか、あるいは事業の継続とか、そして憲法で保障されております営業の自由もございます。様々な御指摘をいただく中で、私ども重く受け止め、そして、酒販業界の皆様方に本当に不安をお与えしてしまいましたので、反省をし撤回をさせていただきました。まさに申し訳なく、本当に申し訳なく思っております。
 そういう意味で、今回の対応は適切ではなかったということで撤回をさせていただいたということでございます。
○塩川委員 そういったところにそもそも思いが至らないというところが問題だということを言わざるを得ません。
 それから、この飲食店対策のための関係機関への依頼では、さらに、飲食店をメディアや広告で扱う際、飲食店の遵守状況に留意するよう依頼を検討とあります。こういう中で、例えば、報道などでは、飲食店の予約サイトなどの利用者に店の対応を告げ口することを奨励しようとするものではないかという指摘もありますが、こういうことも考えていたんでしょうか。
○西村国務大臣 特措法に基づいて、都道府県が、要請に応じていただけない場合に文書で要請を更にし、それでも駄目な場合に命令という措置ができることになっておりますが、こうした要請や命令の措置を行った場合に公表ができるという規定がございますので、都道府県知事が判断してそういったことを行った場合に公表した場合に、そうしたことが周知の事実になってまいりますので、そうした状況を踏まえて何らかの対応ができないかということを検討する旨を申し上げたところでありますが、何か具体的に今の段階で決めているわけでもございませんし、検討を進めているわけでもございませんけれども、当然のことでありますが、報道の自由とか表現の自由がございますので、それに介入するといった趣旨のものではないということでございます。
○塩川委員 飲食店の予約サイトなどの利用者に店の対応を告げ口するようなことを奨励する、こういうことは検討もしていないということですか。
○西村国務大臣 私ども、やはり要請に応じていただけている飲食店とそうでない飲食店の不公平感もございますので、これは何とか解消し、そして多くのお店に協力をいただく、その上で感染拡大を防いでいく、そのために何ができるかということは常に考えております。
 その中で、今回、新たに協力金を早く支給をする仕組みなどを導入をしていくということで、できるだけ多くの皆様に御協力いただける、そうした環境をつくっていきたい、そのことに全力を挙げたいというふうに考えております。
 今の時点で、メディアなどに対して、あるいはネット上で、何か今回のこの対応の中で具体的な検討を進めているということではございません。
○塩川委員 いや、こういうことについて考えているということもなかったのか。予約サイトなどを使っての告げ口を奨励するようなこと、こういったことは考えていなかったということでありますか。
○西村国務大臣 別途、ガイドラインを守っていただくということで、第三者認証制度を各都道府県では進めていただいております。
 これは、こういうアクリル板を置いていただくとか、換気をよくするとか、マスクを奨励するとか、消毒とか、こういったこと、四要件を中心に各都道府県で認証制度を進めておりますので、それについて、進めるに当たって、様々な取組を進めていこうということは考えておりましたけれども、何か今回の飲食店の皆様の情報を集めるとか、そういったことで何かを考えていたわけではございません。
○塩川委員 飲食店の遵守状況に留意するよう依頼を検討という話ですから、遵守状況ですから、別に、違反をしてその公表とかということに限定されていないわけですから、そういう点での懸念が残るわけで、そもそも、こういった依頼そのものをもうやらない、撤回をする、そういうところははっきり言ってもらいたいんですが。
○西村国務大臣 様々な御指摘をいただいておりますし、まさに報道の自由とか表現の自由に介入する、そんな趣旨では全くございませんけれども、どういった対応ができるのかできないのか、このことについてはしっかりと考えたいと思います。
○塩川委員 飲食店等に対する要請、働きかけは、コロナ特措法に基づいて、法的根拠を持って、都道府県が実施主体となって行われております。もちろん、私どもは、罰則の点など問題点はあるということは指摘はしましたけれども、法律に基づき行うというのが基本であるのは当たり前のことであります。
 しかし、今回政府が行おうとした金融機関や酒販業者、メディアなどへの依頼というのは、どれも特措法に基づかない措置であります。金融機関や国税庁という事業者に対して強い立場の組織を使って飲食店に圧力をかけさせるという法律を踏み越えた横暴なやり方は、極めて悪質だと言わざるを得ません。そのことへの反省はあるんでしょうか。
○西村国務大臣 まさに御指摘のとおり、私ども、特に私自身、この責任者として、何とか多くの皆様に御協力をいただいて、この感染拡大を抑えていきたい。
 また、本当に厳しい中でも要請に応じて協力していただいている事業者がいる中で、他方、要請に応じていただけず、酒類を出されて、夜遅くまでにぎわって、大勢の人が集まっている、そしてマスクをせずに会話をしている。これは、東京都も見回りをし、呼びかけを行って、協力いただけるように対応してくれておりますけれども、そうした中で様々な情報も共有しておりますが、そうした店もたくさんある中で、不公平感もございます。
 何とかこれを御協力いただけないかという中で、様々な検討、議論をしていく中で、今回このような対応を考えたわけでありますけれども、御指摘のように、飲食店の皆様や酒販業界の皆様のお気持ちを十分踏まえることなく対応してしまった、そして不安を与えてしまったということでありますので撤回をさせていただいた。反省をし、本当に申し訳なく思っております。
 是非御協力いただけるように、飲食店の皆さんや酒販業界の皆様のお気持ちにも寄り添いながら、どうやって取り組めば御協力いただけるのか、そうしたことを引き続き私の立場でしっかりと考えていきたい。御協力いただける、そうした環境づくりに全力を挙げていきたいというふうに考えているところでございます。
○塩川委員 飲食店とか関係業者が非常に不安、怒りがあったというのは当然ですけれども、そこが問題ということよりも、そもそも、こういった法律を踏み越えるようなやり方を行っている、こういった横暴なやり方そのものが悪質であるわけであって、そのことへの反省がそもそも問われているということが聞こえてこないというところが問題であります。
 こんな大きな混乱を招いた大臣の責任は極めて重い、コロナ対策の司令塔の役割を果たしていないと言わざるを得ません。西村大臣はその職を辞任すべきではありませんか。
○西村国務大臣 御指摘のように、法律に基づいて行うというのは基本でございますので、私の担当しております特別措置法、特措法に基づいて、しっかりと都道府県知事と連携をして感染拡大を抑えていきたいというふうに考えております。
 そうした中で、今回の様々な働きかけについての私の発言あるいは対応につきましては、何とか多くの皆さんに御協力をいただいて感染を抑えたいという強い思いから出てきたものでありますけれども、特にその意図するところは感染防止を呼びかけていただくということでありまして、何か強制をするとか、そういったものではありませんでしたけれども、飲食店の皆さんや酒販業界の皆様に多くの不安を与えてしまいましたので、反省をし、取りやめることとしたところでございます。
 いずれにしましても、多くの皆様に御協力いただいて感染拡大防止を図っていくのが私の責務だと思っております。反省すべきところを反省しながらこのコロナの感染拡大防止に全力で取り組んでいく、そうすることで責任を果たしていきたいというふうに考えております。
○塩川委員 特措法を執行する立場でありながら、特措法を踏み越えるような、こういう横暴なやり方をやった、その責任が問われているわけですから、特措法を執行する立場のその責任を果たしていないということで、きっぱりと辞任をすべきだということを重ねて申し上げます。
 その点では、任命責任者でもあります菅総理自身の責任も問われざるを得ません。
 菅総理は、この飲食店対策として、金融機関など関係機関に依頼することについては説明を受けていたということですが、そのとおりですね。
○西村国務大臣 通常、閣僚間で議論する前に事務方から、感染状況や病床の状況、あるいは対策、都道府県との調整状況などを説明をすることになっておりまして、今回も、そうした中で、酒類の提供の停止に関連して、金融機関や卸売業者への働きかけについても触れられていたところでございます。
 ただ、閣僚間の議論におきましては、緊急事態宣言をどの期間やるのか、どの地域で対応するのか、あるいは、酒類の停止については協力いただいている飲食店の方々にとっては死活問題でありますので、必要な支援策は何か、先ほど申し上げましたように早期の支給をやる仕組みのこととか、あるいは多くの方々に要請していただける環境をどうつくっていくのか、こうしたところに議論は焦点が当たったわけでございまして、何か要請の具体的な内容について議論されたというふうには私は記憶をしておりません。
 私の責任で、内閣官房コロナ対策室と関係省庁の上で調整をして決めまして、協力依頼などを行ったところでございます。
○塩川委員 説明を受けたのに異論は述べなかったわけですから、結果として容認をしたことは明らかです。
 その上で、五大臣会合も踏まえて八日に改定した基本的対処方針では、緊急事態宣言下の飲食店等への要請に当たっては、関係機関とも連携し、休業要請及び営業時間の短縮等を徹底するための対策、体制の更なる強化を行うと、更なるという言葉を追加をした改定を行っております。
 今回の飲食店対策の更なる強化の方針というのは、この基本的対処方針に基づくということになりますね。
○西村国務大臣 お答え申し上げます。
 個別具体の政策を全て基本的対処方針に書き込んでいるわけではございませんけれども、根拠となるというか基本となる考え方をお示しをして、それに基づいて対策を行っているというところでございますので、御指摘の点は三十二ページの点だと思いますけれども、対策、体制の更なる強化、それから、二十二ページだったと思いますが、ここでも、飲食の場面に対する強化を図るということとされておりますので、こうしたことを踏まえて具体的な対策に取り組んだというところでございます。
○塩川委員 特措法に根拠もない措置を関係機関に依頼する、それを基本的対処方針に盛り込んだという点でも、基本的対処方針を決める対策本部の責任者である菅総理の責任が厳しく問われなければなりません。菅総理には国会で説明をしていただきたい、国会でしっかりとこういう問題についてただす、国民の前に明らかにする、このことを強く求めておくものであります。
 今必要なのは、飲食店に対して営業規制に見合った補償を行うことであります。それでこそ安心して休業要請などに応えることができるのではありませんか。
○西村国務大臣 御指摘のとおり、協力をいただくために、国会でも御審議をいただいて、規模別の協力金の仕組みを導入させていただきました。規模に応じて、緊急事態宣言の下の東京では、御協力に応じていただければ一日最低四万円の支援ということで、月額換算で百二十万円の支援、そして、規模の大きなところは最大一日二十万円の支援ですので、月額換算で六百万円の支援を協力金として行うこととしております。
 そして、これを更に早く、早期支給をする仕組みを導入すべく、今、それぞれの都道府県、特に東京都とも調整を進めているところでございます。
 必要な協力金をしっかりと早くお届けすることで、協力いただけるように、更に取り組んでいきたいというふうに考えております。
○塩川委員 それでは間に合わないというのが現場の実態であります。また、一時支援金や月次支援金についても、申請をしても支給されないような実態がある。事業者にとって、書類を何回出しても通らないという不備のループに陥っているというのが現場の声であります。
 こういう不備ループこそ是正をすべきでありますし、何よりも、宣言下の事業者だけでなく、コロナ禍の影響を受けた全ての事業者の支援が必要であります。
 持続化給付金、家賃支援給付金、これは既に実施をしたことがあるわけですから、やる気になればすぐに対応することができる。この持続化給付金、家賃支援給付金の再支給を直ちに行うべきだ、このことを強く求めたいと思いますが、いかがですか。
○西村国務大臣 協力金のできるだけ早期の支給、そして同時に、御指摘の月次支援金についてもできるだけ早くお手元に届くように、これは経産省において取り組んでいるものというふうに承知をしております。
 昨年四月、五月は、まさにコロナがどういうものか分からない中、全国を対象に緊急事態宣言を発出し、幅広く経済を止めましたので、多くの事業者が厳しい状況に置かれた。経済の落ち込みのGDPを見ましても、今年の一月―三月も、昨年の四―六月に比べると、それほど大きくなかったわけでございます。そうした状況の中で昨年は一律に給付というものを行ったわけでございますが、いずれにしましても、予備費四兆円、それから繰り越しました三十兆円の資金などございますので、必要な対策を機動的に、必要な事業者に届くように対応していきたいというふうに考えております。
○塩川委員 河野大臣、丸川大臣、申し訳ありません。時間が参りましたので、終わります。
 ありがとうございました。