【内閣委員会】麻生氏は謝罪・辞任を/セクハラ暴言をただす

 福田淳一前財務事務次官のセクハラをめぐる麻生太郎財務相の「男の番(記者)に代えればいい」「セクハラ罪はない」などの暴言についてただしました。

 麻生氏はセクハラが人権侵害だという認識が欠落しているのではないか――と政府の認識をただした。

 野田聖子・男女共同参画担当相は「発言の真意は本人に確認を」などと答えました。

 取材担当記者を男性のみにすればいいとの麻生氏の発言は「妥当ではない」とする答弁書が4月27日に閣議決定されている。政府の認識を改めて尋ねたのに対し、野田氏は「妥当ではない」と答えました。

 財務省が4月27日にセクハラを認定したものの、麻生氏は同日午前の記者会見で「セクハラ行為は断定できない」と述べていた。麻生氏は、福田氏のセクハラ行為を認めていない。麻生氏の発言は二次三次の被害を生じさせるもので、閣僚として不適格だ。麻生氏は謝罪して辞任すべきで、安倍首相の任命責任も問われる。

衆議院TV・ビデオライブラリから見る 


「議事録」

<第196通常国会 2018年05月09日 内閣委員会 14号>

○塩川委員 日本共産党の塩川鉄也です。
 財務省のセクシュアルハラスメント問題について質問をいたします。
 最初に財務省にお尋ねしますが、福田財務事務次官のセクハラ問題について、財務省としてはどのように認識をしているのか、この点についてまず伺います。

○矢野政府参考人 お答えを申し上げます。
 この問題につきましては、麻生大臣がかねてから、セクハラは被害女性の尊厳や人権を侵害する行為であって決して許されるものではないと、会見でも当初から述べておられますし、また、内にあっては、局長以上を集めて、セクハラ、パワハラは決して許されないんだと厳しく申し渡されてというふうに、内外に宣誓をされて、ただ、事実認識が双方で食い違ったものですから、そしてまた、被害者とされる方の認識をお聞きすることができなかったということがありましたので、事実認定のデュープロセスに入るということが必要となって、いろいろそのプロセスについての御批判をいただいたりいたしましたけれども、最終的には確認をさせていただくことが辛うじてできましたので、その認定をさせていただき、処分を最も厳しいところにさせていただいたということでございます。
 世の中をお騒がせして、大変申しわけなかったと思っております。

○塩川委員 財務省としては、福田氏からテレビ朝日の女性社員に対するセクハラ行為があったとの判断に至ったということでよろしいですね。

○矢野政府参考人 セクハラの定義についていろいろございますけれども、私どもは、そこはもう大臣が、これが事実であれば完全にアウトだというところからスタートして、音声云々といったことも全部すっ飛ばして、それが事実であるかを調査したわけですけれども、結果的には、御指摘のとおり、セクハラがあったという事実認定をして、判断をして処分をしたということです。

○塩川委員 セクハラ行為という重大な人権侵害が行われたという認識は、財務省としては当然持っているということでよろしいですか。

○矢野政府参考人 先ほど御答弁させていただきましたとおり、大臣はかねてから、セクハラは被害女性の尊厳や人権を侵害する行為であって決して許されるものではない、こういうことを答弁でも何度も述べておられますので、私ども、そういう認識でおります。

○塩川委員 セクハラ行為という重大な人権侵害があったということを認めるものであり、加害者である福田氏は、事実を認めて謝罪をすべきであります。
 このセクシュアルハラスメントは、その地位を利用し、性的な言動を通じて相手を性的な物扱いするものであり、権力の濫用であります。性的な物扱いをされた女性は、立場が弱いために告発しにくいという二重の困難を強いられるものとなります。だからこそ、職場の監督者、組織の長の責任は極めて重大であります。財務省の事務方トップがセクハラ問題を起こしたということは、財務省という組織のあり方そのものが問われる問題であります。その点で、財務省の長である麻生財務大臣の発言は看過できません。
 菅官房長官、野田大臣にお尋ねをいたします。
 資料でお配りしたんですけれども、東京新聞の四月二十九日付で、顔写真があるところですけれども、麻生財務大臣の発言ということで、吹き出しの形で紹介されています。
 一番上を飛ばして、二つ目からですけれども、被害を受けた本人が申し出てこなければどうしようもないとか、加害者と言われている福田の人権はなしってわけですかとか、答え、セクハラ認定がまだ出ている段階ではないので女性に何も言うことはないとか、福田氏が女性にはめられて訴えているのではないかという意見もある。さらには、矢野官房長、写真が出ていますけれども、四月二十七日の午後には記者会見もしているわけですが、その日の午前中では、麻生大臣は、セクハラ行為は断定できないという言い方もしていたということであります。
 お二方にお尋ねしますけれども、こういったように、麻生大臣は、これ以外にも、男の番にかえればいい、男の番記者にかえればよいとか、セクハラ罪という罪はないなどという発言を重ねております。麻生大臣が、このような人権尊重と相入れない発言を繰り返していることについて、菅長官、野田大臣の率直な感想をまずお聞きしたいと思います。

○菅国務大臣 まず、御指摘のような麻生大臣の一連の発言については、御本人から必要に応じて説明がなされるものだと思いますけれども、麻生大臣はかねてから、セクハラは被害女性の尊厳や人権を侵害する行為であり決して許されるものではないと発言をされていることも承知をしています。
 また、福田事務次官のセクハラ問題についても、任命権者である麻生財務大臣が、当初から、報道が事実であれば、セクハラという意味ではアウトだ、こう明言した上で、そうした認識に立って調査の指揮をとって、その結果を踏まえて、四月二十七日に減給相当の処分を行ったものであるというふうに承知をしております。
 いずれにしろ、財務省の事務方トップである事務次官がこのような問題を起こしたということは甚だ遺憾であります。今後、政府に対する国民の信頼が得られるよう、国家公務員が改めてみずからの職務を認識し、一層の緊張感を持って職務を遂行することができるように徹底してまいりたい、このように考えております。

○野田国務大臣 お答えいたします。
 麻生大臣の発言の真意については、御本人に確認していただければと思っています。
 何度も何度も申し上げていますけれども、しかしながら、セクハラというのは人権侵害でありまして、これは女性のといいますけれども、いろいろ調査をさせていただくと、男性もセクハラの被害者であることもあります。そういった意味では、これから女性の活躍ということで、安倍内閣が多くの女性たちとともに社会の中で活躍できるような土壌をつくるということは、更に多くの女性たちが、男性が占有していたと思われる職場でともにパートナーとして働く機会がふえていくわけですね。つまり、このまま放置しておくと、やはりその案件数はふえていくということが明らかだと思います。
 そういった意味では、今回、福田次官の案件については非常に遺憾でありますし、これからこういうことが決して起きないように、今回不備であったところを全部精査して、次のフェーズにつながっていくように取り組んでいきたいと思っています。

○塩川委員 福田氏の問題は問題として問われるわけですけれども、麻生大臣の問題に今なっているということが問われているわけで、本人に確認してほしいというにとどまらない問題だということであります。
 財務省にお尋ねしますけれども、麻生大臣は、先ほど言ったように、男の番にかえればいいとかという発言をしているということについて、四月二十日の逢坂議員提出の質問主意書を見ますと、「「次官の番をみんな男にすれば解決する話なんだよ」という発言は、福田財務事務次官の取材担当記者を男性のみにすべきであるとの主張であり、日本国憲法第十四条に反するのではないか。」という問いに対して、政府はどのように答弁書で述べておりますか。

○矢野政府参考人 お答え申し上げます。
 先月二十七日に閣議決定された政府の答弁書では、「お尋ねについては、妥当なことであるとは考えていない。」というふうに答弁をしております。麻生大臣も、記者会見において、そのことを追認しておられます。

○塩川委員 ですから、政府への質問主意書、答弁書でも、このような、男の番記者にかえればいい、次官の番をみんな男にすれば解決する話なんだということは、妥当なことであるとは考えていないという答弁書になっているわけですよね。
 ですから、そういう点でも、麻生大臣がこういったセクハラの問題について、重大な人権侵害だという認識が欠落しているんじゃないか。この点について、もう一回、官房長官と野田大臣、それぞれ答えてもらえますか。

○矢野政府参考人 麻生大臣につきましては、先ほども御答弁させていただきましたけれども、かねてより、セクハラは被害女性の尊厳や人権を侵害する行為であって決して許されるものではないと、繰り返し答弁をしておられます。省内におきましても、局長クラスを集めて、セクハラ、パワハラは決して許されないんだと、厳しく、全員起立させて申し渡されたところでございます。
 けさのテレビなんかでも、セクハラ罪云々という言葉につきまして、それを総括して、人権侵害ではないというのはとんでもないという報道などがされておりますけれども、大臣は、セクハラはしてもいいという趣旨では言っておられませんので、それは罪刑法定主義について言っておられるのであって、セクハラについての問題意識は極めてきついということは申し上げさせていただきたいと存じます。

○塩川委員 いや、そんな、大臣の言葉が宙に浮いたような説明を受けても、全く納得できませんよ。
 このような答弁書に踏まえてあるように、男の番記者にかえればいいということについて、妥当なことであるとは考えていないと。これは、男女共同参画社会の形成との関係でもこういうことが認められないという趣旨での答弁書になっているわけですよね。
 そのことについて、率直に、麻生大臣の一連の発言というのが重大な人権侵害だという、セクハラについての認識が欠落しているんじゃないかと率直に問われていると思うので、改めてお答えください。

○菅国務大臣 まさに答弁書で答えているとおりであります。
 それと同時に、実は、この報道があった当初に、大臣が最初に言ったのは、セクハラという意味で、事実であればそこはアウトだ、ここは明確に大臣は言っています。私も、報道を見まして非常に厳しいと思ったものですから、大臣にそこは確認をいたしております。
 また、今、政府委員から話がありましたけれども、セクハラは被害女性の尊厳や人権を侵害する行為で決して許される話ではない、そういうことも麻生大臣は言っておりますし、また、この処分の際の麻生大臣の発言として、福田前次官から特段の反論又は反証がない限り、テレビ朝日で明らかにしておられる内容を前提にして事実認定を行うこととさせていただいて、セクハラの行為があったということで処分を行った、こうしたことも麻生総理は言っていることも事実でありますので、そうしたこともぜひ御理解をいただければと思います。

○野田国務大臣 麻生大臣の発言について、主意書で妥当ではないということでありますから、妥当ではないと。
 とにかく、この問題については、私は女性活躍の担当大臣ですから、私自身が責任を持って、こういう大臣職にあっても、十二分にセクハラの御理解が行き届いていなかったなとするならば、そういうところも踏まえて、しっかりと、先ほど申し上げたような予防、対応、そして再発防止について、しっかりと、皆さんが惑うことなくコンセンサスが得られるよう取り組んでいきたいと思っています。

○塩川委員 私は、問われているのは、麻生大臣が本当に福田氏のセクハラ行為を事実と認定をしているのかどうかというところ、そこに疑念があるという問題なんですよ。
 ですから、処分をしたという財務省の、二十七日の午前中に麻生大臣は、セクハラ行為は断定できないと述べていた。また、五月四日の、役所に対して品位を傷つけたとか、いろいろな表現があるだろうが、そういった意味で処分したと述べているということで、役所に迷惑をかけたから処分したのであって、セクハラ行為で処分したと認めていないと受け取れるような、そういう発言もしているわけですよね。その点がまさに問われているんじゃないでしょうか。
 私、そういう点でも、こういった事実認定そのものに、認めているのかどうかはっきり伺うことができないような発言を繰り返すこと自身が、二次被害を生むような問題になっているということなんです。
 野田大臣にお尋ねしますけれども、こういったセクハラ行為を認めないような、セクハラの被害者を批判するような発言というのは、二次、三次の被害を生じることになるんじゃないですか。

○野田国務大臣 まず、私は、冒頭、調査について疑義を唱えました。その後、財務省の方でも、そのことを受けとめていただいて、後、調査の結果を出されました。その結果がセクハラと認定されて、セクハラであるということで、そういうペナルティーが発表されたわけです。
 これは、財務省というよりも、財務大臣のもとの財務省が調査をした結果だと、私自身は受けとめているところです。

○塩川委員 相手を不快にさせる性的な言動を行えば、セクハラ行為に当たります。
 こういった発言を繰り返す麻生大臣というのは、福田氏のセクハラ行為を本当に認めているのか、このことがまさに問われているわけで、麻生大臣・副総理は、財務省の長として、閣僚として不適格だと言わざるを得ない。
 麻生大臣は謝罪をして、財務大臣を辞任すべきだ、その麻生氏を適材適所と言って擁護してきた安倍総理の任命責任が厳しく問われるということを申し上げて、質問を終わります。