自民党派閥の裏金問題について「自民党ぐるみの組織的犯罪行為だ。全容解明し、政治責任を明らかにして、金権腐敗の根を断つ抜本改革を実現すべきだ」と迫りました。
裏金問題に深くかかわると報道される森喜朗元総理大臣について、私は、森氏が岸田総理からの電話で裏金のことを聞かれていないとインタビューで述べていると指摘し、「国民にウソをついたのか」とただしました。
岸田総理は「森元総理が直接関連しているかどうか、確認することはできなかった」「森元総理への再聴取は考えていない」と答弁するのみ。
私は「森氏との電話の中身は答えない。記録もない。同席者もいない。これで真相解明できるはずがない」と批判し、自民党総裁として森元総理に対して証人喚問に応じるよう求めよと迫りました。
私は、自民党の政治資金規正法改正案が「肝心かなめの企業・団体献金の禁止がない」と批判。裏金の原資である派閥の政治資金パーティー収入について、「形をかえた企業・団体献金だ。なぜ禁止しないのか」と追及。
岸田総理は、企業・団体献金を「全面的に禁止する理由はない」と強弁し、1970年の最高裁判決を持ち出し、「企業にも、憲法上の政治活動の自由の一環として寄附の自由を有する」、「多様な出し手による様々な収入を確保することは重要だ」と開き直りました。
これに対し、私は「選挙権を持たない企業から多額の献金を受けとることは国民主権をないがしろにするものだ」「企業による献金は、本質的に賄賂だ」と強調し、財界本位に政治を歪める役割を果たしてきた歴史を告発。
この20年間で、大企業が求める法人税減税は30%から23.2%に引き下げられる一方、消費税は5%から10%へ増税され、自民党への企業・団体献金は約464億円に上ると指摘。「企業・団体献金が賄賂となり、財界・大企業の利益を優先し、国民生活を顧みない政治腐敗を生み出しているのは明らかだ」と批判しました。
また、私は、「企業・団体献金の全面禁止とともに、政党助成金制度が問われている」と提起。1990年代の「政治改革」は、企業・団体献金をなくす代わりに政党助成金を導入するとしましたが、いまだに「二重取り」を続けていると批判。
制度導入以来、各党に支払われた政党助成金は約9250億円に上り、そのううち約4450億円が自民党に支払われています。自民党は、運営資金の63%、3分の2を税金に依存する「官営政党」になっていると指摘。
私は「税金にどっぷり浸かっていることが自民党の堕落を生み出している」と厳しく批判し、金権腐敗政治を一掃するため、企業・団体献金の全面禁止と政党助成金の廃止を主張しました。
「議事録」
第213回通常国会 令和6年5月20日(月曜日) 予算委員会 第18号
○塩川委員 日本共産党の塩川鉄也です。
我が党のしんぶん赤旗の報道を端緒としました自民党の裏金問題は、まさに自民党ぐるみの組織的犯罪行為と言わなければなりません。その全容解明をし、政治責任を明らかにし、金権腐敗の根を絶つ抜本的改革を実現することが必要であります。
四月、我が党の小池書記局長の質問に、岸田総理は、真相究明の努力は続けなければならないと述べましたが、その努力をしたのかが問われております。裏金問題に深く関わるとされている森元総理について、岸田総理は、直接電話をかける形で事情をお聞きした、しかしながら、引き続き森元総理の具体的な関与については確認できていないと述べておりましたが、その後の文芸春秋のインタビューによりますと、森元総理は岸田総理から裏金のことを聞かれていないという話であります。これでは国民にうそをついたということになりはしませんか。
○岸田内閣総理大臣 私は、森元総理に対する聴取、国民の関心を踏まえて、いつからこうしたシステムがスタートしたか等について直接お伺いいたしました。それを国会において私は申し上げているわけであります。
これは週刊誌の記事一つ一つに……(発言する者あり)週刊誌、月刊誌、雑誌の記事の一つ一つについて申し上げることは控えますが、私自身、国会において確信を持って答弁をさせていただいています。是非こうした取組については国会においてもしっかり御理解いただきたいと思っておりますし、また、こうした事実の解明については、これから公判においても審理が行われます。こうした国会の、審理の状況も踏まえながら、事実の解明に向けて強い関心を持って臨んでいかなければならないと考えております。
○塩川委員 どっちが本当のことを言っているのかというのを明らかにしなくちゃいけないわけですよ。安倍派だった山本一太群馬県知事も、裏金事件については、森さんが知らないはずがないと発言をしております。
森元総理の電話について、中身は答えない、記録もない、同席者もいない、こういったことでは真相解明ができるはずがありません。電話ではらちが明かないんですから、森元総理に対して自民党総裁として国会に証人喚問として出席を求めるべきではありませんか。
○岸田内閣総理大臣 先ほど申し上げたように、私自身、国民の皆さんの関心を踏まえて、森元総理に電話で聴取をいたしました。その上で、森元総理が今回の事案に直接関連しているかどうか、この点について事実として確認することはできなかったと申し上げております。
こうしたことを踏まえますときに、私自身、再聴取等は考えていないわけでありますが、証人喚問等においては、当然のことながら、国会においてこれまでの経緯も踏まえて御判断されるものであると考えております。
○塩川委員 是非、森元総理に国会においでいただいて、しっかりと説明をしてもらうということこそ、自民党総裁として岸田総理が行うべき仕事だということを申し上げるものであります。それもしないということであれば、真相解明をする気がないと言われても仕方がありません。
総理がこんなことだから、衆議院の裏金議員四十四人も、政治倫理審査会に本当に出てくるのかと。出席をするという話が一つも出てこないじゃありませんか。真相解明に蓋をする自民党では、抜本的改革もできるはずがありません。
実際、岸田総理が政治と金の問題に対する抜本的解決策という自民党の政治資金規正法を見ても、肝腎要の企業・団体献金の禁止が入っておりません。裏金の原資である派閥の政治資金パーティー収入は、形を変えた企業・団体献金であります。
自民党派閥のパーティー収入は、一九九八年から九九年にかけて三・六倍に急増いたしました。それは、一九九九年に派閥への企業・団体献金が禁止されたことをきっかけに、派閥の政治資金パーティー収入という形で企業、団体からの献金を受け取るようになったからであります。
裏金問題の大本には企業・団体献金がある。なぜ自民党案に企業・団体献金の禁止が入っていないのか、お答えください。
○岸田内閣総理大臣 これも先ほどもお答えいたしましたが、政治団体の収入については、多様な考え方、あるいは多様な出し手による様々な収入を確保すること、これは、政策立案における中立性やバランスの確保において重要であると認識をしています。
そして、過去の政治改革大綱ですとか、あるいは最高裁判決にも、法人などの寄附を禁止する理由はない、あるいは、企業は憲法上の政治活動の自由の一環として寄附の自由を有する、こうした判断もされています。全面的に禁止する理由はなく、しかし、透明性の確保によって信頼性を高めていく、こうした取組は重要であるということを自民党としては考え、この自民党案を作成した次第であります。
○塩川委員 多様な出し手の話がありましたけれども、そもそも、こういった、主権者である国民に依拠した財政活動こそ求められているときに、選挙権を持たない企業から多額の献金を受け取っていること自身が国民主権をないがしろにしているということが問われているんじゃないでしょうか。
企業にも政治活動の自由があると言いますけれども、問われているのは企業献金の賄賂性の問題であります。実際には、寄附の自由の話ではなくて、賄賂政治の自由なのではないのか、このことが問われているわけであります。
パネルを御覧ください。
そもそも、企業の政治献金は、本質的に政治を買収する賄賂であります。リクルート事件など金権腐敗政治への国民の批判を受けて、財界団体の経団連は一九九九年に献金あっせんを中止しましたが、二〇〇三年に、露骨な政策買収である政党通信簿方式の企業献金を打ち出し、金も出せば口も出すと企業献金を復活しました。
この二十年間で、大企業の求める法人税減税は基本税率で三〇%から二三・二%に引き下げられ、一方で、国民にツケを回す消費税は五%から一〇%へと増税されました。この間、自民党への企業・団体献金は四百六十四億円。まさに、こういった大企業は過去最高益が相次ぎ、巨額の内部留保が積み上がる一方で、国民は賃金も年金も上がらず、塗炭の苦しみの中にあります。
企業・団体献金が賄賂となって財界、大企業の利益を優先し、国民生活を顧みないという政治の腐敗を生み出しているのは明らかではありませんか。
○岸田内閣総理大臣 先ほど、政策立案における中立性やバランスが大事だということを申し上げました。政治団体の収入という点においてもこのバランスは大事だと思いますが、そもそも、自民党の政策立案のプロセスを考えましても、一部の政治献金によって結果が左右されるというものではないと考えます。
なぜならば、一つの政策をつくるに当たって、選挙区において、あるいは様々な国民の声の中で求められた課題について、必要であれば有識者や関係省庁の議論を積み重ね、自民党としても何日も議論を行った上で、他党とも協議を行い、国会での議論も行い、その上で法案等が成立する、このプロセスを考えても、一部の企業、団体の献金が全体の政策を左右する、賄賂性がある、こういった指摘は当たらないと考えています。
そうした疑念を払拭するためにも、政治資金の透明性の確保、これは重要であると考えております。
○塩川委員 奥田経団連会長は、政治に口も出すが金も出すと、まさに政策を金で買うような話をしたことが問われている。
政治改革というなら、もう一つ問われているのが政党助成金であります。
自民党は、企業・団体献金はやめないまま政党助成金を受け取るという二重取りを続けていました。九千二百五十億円もの税金がばらまかれ、自民党はその半分の四千四百五十億円を懐に入れてきた。自民党の運営資金の六三%、三分の二が税金に依存する官営政党となっている。税金にどっぷりつかっていることが自民党の堕落を生み出しているのではないのか。
我が党は、このような企業・団体献金の禁止、政党助成金の廃止、このことを是非とも今国会で実現すべきだ、このことを申し上げて、質問を終わります。