【内閣委員会】誘導音の信号機増やせ/視覚障害者安全な移動へ

 視覚障害者のための交通安全対策について質問しました。

 私は、視覚障害者付加装置(「ピヨピヨ」「カッコー」などの誘導音が出る信号機)とエスコートゾーン(横断歩道上の点字ブロック状の突起)の設置割合はそれぞれ全国の信号機の10・2%、1・5%にとどまっていると指摘。

 警察庁の早川智之交通局長は「まだまだ足らない」と認めました。しかし、設置予算は減らされているのが現状です。

 私は抜本的に設置数を引き上げるための予算措置を求めました。

 都道府県警が選定する視覚障害者の移動上の安全性を確保することが“特に必要であると認められる部分”がゼロの都道府県も存在するなど、選定箇所自体十分とは言えません。

 私が「視覚障害者からの要望があればさらに選定箇所を増やすべきだ」と求ると、早川局長は「“特に必要であると認められる部分”に限らず要望を踏まえて設置について検討していく」と答えました。

 「ピヨピヨ」「カッコー」の音が夜間早朝などには鳴らない設定のため、視覚障害者が事故に遭うケースも続いています。私は単純に音を切るのではなく、工夫した措置による対策を要求。

 松村祥史国家公安委員長は「指摘を重く受け止め警察を指導していきたい」と応じました。

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「議事録」

第213回通常国会 令和6年5月22日(水曜日) 内閣委員会 第15号

○塩川委員 日本共産党の塩川鉄也です。

 私は、今日は、視覚障害者の方の道路交通安全対策、特に交差点の交通安全対策について、松村国家公安委員会委員長にお尋ねをいたします。

 道路交通法の第七条は、道路を通行する歩行者等に対して、信号機の信号に従う義務を課しております。違反をすれば罰則を科すものとなっております。

 しかし、視覚障害者の方は、信号機の信号を視覚情報としては認識できませんので、そのままの信号に従うことは困難であります。視覚障害者の方が信号機の信号を認識できるように必要な設備を整備することは、道路交通管理者が直ちに行うべき仕事ではないのか。この点についてお答えください。

○松村国務大臣 委員御指摘のように、視覚障害者の方々は信号機の信号を認識することができないと認識をいたしておりまして、こうした方々が道路を安全かつ円滑に横断できるように交通安全施設を整備することは大変重要であり、警察として不断に取り組むべき課題であると認識をいたしております。

 具体的には、先生も聞かれたことがあるかと思いますが、ピヨピヨ、カッコー、こういった音により、信号が青であることをお知らせする音響信号機や、横断歩道に点字誘導ブロックをつけまして横断歩道であることを分かりやすくしたところのエスコートゾーンなどの整備を推進をしているところでございます。

 引き続き、視覚障害者の方々の道路横断の際の安全と円滑を確保するため、その御要望も踏まえまして、交通安全施設の整備を推進するよう警察を指導してまいりたいと考えております。

    〔委員長退席、中山委員長代理着席〕

○塩川委員 視覚障害者の方の交差点の安全対策も不断に取り組むということを強調されました。

 具体策として、ピヨピヨ、カッコーとエスコートゾーンのお話がありましたけれども、配付資料でも紹介をしているところであります。

 視覚障害者の方にとって必要な情報というのは、横断歩道の場所が分かること、信号機の信号が青か、これが音のシグナルとして分かるということ、また、渡るべき横断歩道の方向が分かるということが必要であります。

 そのときに、視覚障害者の団体の方の強い御要望は、最もこれらの情報の提供が可能な設備である、音響機能を持った視覚障害者用付加装置、今お話があった、いわゆるピヨピヨ、カッコーと、横断歩道における点字ブロックに当たるエスコートゾーンの普及であります。

 配付資料の左側がピヨピヨ、カッコーですが、この図でいうと、SPの二というのが手前の信号でカッコーと鳴って、横断歩道の向こう側においてはカカッコーと鳴く。カッコー、カカッコー、カッコー、カカッコーということですし、SPの三とSPの四でいえば、ピヨと、向こう側でピヨピヨと鳴る。そうしますと、こちらでピヨで向こうでピヨピヨですから、横断歩道の方角、渡る方向が明らかになる。こういうことが行われているのがピヨピヨ、カッコーであります。

 あわせて、エスコートゾーンは、横断歩道上に設置をする点字ブロック状の突起ということで、こういったことによって、皆さん、位置を把握をされ、横断歩道を利用されるということになります。

 ですから、このピヨピヨ、カッコーとエスコートゾーンを組み合わせれば、横断歩道の場所が分かり、信号機の信号が青かどうかも分かり、渡るべき横断歩道の方向が分かる。こういったことについて是非大きく進めることが必要だと思います。

 その際に、結構、主道路の方を横切るときにカッコーで、従道路を横切るときにはピヨピヨとかとあるんですが、ただ、全国では、都道府県警によって違いがあって、東西と南北だったりというのもあって、若干、不統一があるんですね。それぞれの県の中では統一はされているんでしょうけれども、遠くに移動されるような場合などは、違うなと思うようなこともあるので、その辺の工夫、改善も必要だということを申し上げておきたいと思います。

 そこで、全国の信号機数と視覚障害者用の付加装置、このピヨピヨ、カッコー、エスコートゾーンの設置数は幾つなのか、また、全国の信号機数に対するそれぞれの割合は何%か、お答えください。

○早川政府参考人 お答えいたします。

 令和四年度末現在で、全国に約二十万七千基の信号機がございます。このうち、約二万一千基にピヨピヨ、カッコーといった音が出る視覚障害者用付加装置が整備されております。また、全国に約三千か所のエスコートゾーンが整備されております。これらを全国の信号機数約二十万七千基で割りますと、その占める割合は、視覚障害者用付加装置は約一〇・二%、エスコートゾーンは約一・五%となります。

○塩川委員 ピヨピヨ、カッコーは一〇・二%、エスコートゾーンは僅か一・五%です。これは余りにも少な過ぎるんじゃないでしょうか。

○早川政府参考人 お答えいたします。

 警察におきましては、バリアフリー法に基づきまして、あるいはそれ以前から、こうした視覚障害者用付加装置あるいはエスコートゾーンの整備を進めているところでおります。まだまだ足らないところはございますが、その整備に努めてまいりたいと考えております。

○塩川委員 まだまだ少ないから整備に努めていきたいと言うんですけれども、予算がどうかということなんですよ。全体はまだまだ余りにも少な過ぎるということがありますけれども、このピヨピヨ、カッコーとエスコートゾーンの整備の事業費というのは増えているんでしょうか。過去五年間ぐらいの増減について示してください。

○早川政府参考人 お答えいたします。

 視覚障害者用付加装置とエスコートゾーンの整備に関しましては、国費により五割の補助を行っております。

 その補助金の予算額につきましては、各年度、増減はありますが、最近では約三億円から四億八千万円の間で推移をしております。例えばでありますが、令和元年度は、視覚障害者用付加装置は約三億三千万円、エスコートゾーンは約五千万円の計約三億八千万円、これは補助金の額でありますが、それから令和五年度は、視覚障害者用付加装置は約二億五千万円、エスコートゾーンは約二億三千万円の計約四億八千万円、それから令和六年度でありますが、視覚障害者用付加装置は約一億七千万円、エスコートゾーンは約一億四千万円の計約三億円となっているところでございます。

○塩川委員 配付資料の三枚目に、予算の推移で、各年度の当初予算額を出してあります。

 これで見てもらえば分かるように、ピヨピヨ、カッコーは、この五、六年で六・六億が三・三億に半分に減り、エスコートゾーンは、二三年度に向けては増えているんですけれども、二四年度、今年度の予算はまた大きく落ち込んでいるんですよね。

 全体の普及が少ないにもかかわらず予算を減らすというのは、全く逆方向だと思うんですよ。こんなことでいいんですか。

○早川政府参考人 お答えいたします。

 予算の関係でありますが、先ほど御答弁申し上げたとおり、補助金の予算額というのは年によって変動がございます。ただ、令和三年度から五年計画で、いわゆるエスコートゾーン、あるいは視覚障害者用付加装置の整備を行っておりまして、その計画目標というものを我々は持っているところでございます。それを達成するように努力していきたいと考えております。

    〔中山委員長代理退席、委員長着席〕

○塩川委員 予算が増えるどころか現状だと減っているという点について、抜本的な引上げこそ求められていると思います。

 松村委員長にお尋ねしますけれども、本当に、視覚障害者の方にとってみれば命に関わる情報なわけです。視覚によって情報が得られない、音を頼りにされている方々に、その音がないような状況で横断歩道を渡れというのは、本当に危険な状態にさらすことにもなりかねないといった点でも、必要な設備を設置をする。

 その点でも、一番求められているピヨピヨ、カッコーやエスコートゾーン、この抜本的な、設置を引き上げていく目標、そしてその財政措置、これこそ必要ではないかと思うんですが、委員長、お答えください。

○松村国務大臣 塩川委員におかれましては、この問題については数年前も御指摘をいただいて、山本国家公安委員長とのやり取りも、私、見させていただきましたが、しっかりとした目標を持って、その上で財源措置をやれというような御指摘があったかと思います。

 現在、そのことも踏まえまして、バリアフリー法の、基本法に基づきまして、私どもも、令和七年度末までに、音響信号機とエスコートゾーンを特に必要な箇所に一〇〇%整備することを目標に取組を進めているところでございます。まずは、この目標の達成に向けて取り組んでいくよう警察を指導してまいりたいと考えておりますし、具体的には、これまで、早川局長からも答弁がございましたが、令和三年度から始めました五か年の計画で、今二年が終了して、令和五年については今集計中でございますが、令和四年度末時点で、視覚障害者用の付加装置とエスコートゾーンの両者の整備を終えたのは五五・八%でございます。

 視覚障害者の方々の安全を確保することは重要であることは言うまでもございません。目標を達成するため、必要な予算を確保し、事業を推進していくように警察を指導してまいりたいと考えております。

○塩川委員 今お話しになったのは、バリアフリー法の基本方針に基づく、重点整備地区内の主要な生活関連経路を構成する道路のうちの、特に必要であると認められる部分についての計画であります。そういう意味では、非常に限られた範囲の中での達成状況で、二つ一緒にやっているのは半分ぐらいということですから、元々分母が小さいわけですよね。

 ですから、その選定箇所をやはり大きく増やしてもらうということがそもそも必要で、そういう点でも、この選定場所の基準に、視覚障害者からの要望や交通状況等を勘案して特に必要と認められる横断箇所については、信号機に音響機能を付加し、横断歩道にエスコートゾーンを設置するとしているので、視覚障害者からの要望があればこの選定箇所を更に増やす、こういうことをはっきりと示していただきたいと思うんですが、警察庁、いかがですか。

○早川政府参考人 お答えいたします。

 先生御指摘の、視覚障害者からの要望を考慮する場所というのは、バリアフリー法の中で、いわゆる音響式の信号やエスコートゾーンを整備をするというものでありまして、そういうことに関して、当然、その要望を踏まえて我々も必要箇所の検討を行っていきたいと考えていますし、バリアフリー法以外の場所につきましても、視覚障害者の方々の御意見、御要望を踏まえて、設置については検討してまいりたいと考えております。

○塩川委員 是非、視覚障害者の方の要望を踏まえた対策を求めたいと思います。

 それと、このピヨピヨ、カッコーにつきましても、夜間、早朝、音を切るということなんかも現にありまして、そのために横断の視覚障害者の方が亡くなられるという事故もこの間も続いております。そういう点でも、本当に音がまさに命に関わる情報なんだ、こういう観点で、こういった時間制限などについても、地域の住民の方々との話合い、同意も踏まえてですけれども、より工夫する措置によって、単純に音を切るということを行わない、こういう対策を是非とも工夫していただきたい。

 いろいろな知恵はありますので、その対策を是非求めたいということを一言委員長にお願いして、終わりたいと思います。

○松村国務大臣 御指摘も受け止めまして、しっかりと警察を指導してまいりたいと考えております。

○塩川委員 終わります。