私は、埼玉県八潮市で県道が陥没しトラックが転倒した事故について、下水道事業の広域化と独立採算を推進してきた国の責任を追及しました。
陥没事故現場のすぐ下流にある中川流域の下水道処理施設は、全国に約2200ある下水道事業の中で9番目に大規模で、現場の八潮市の下水管は口径4.75メートルと巨大です。下水管を利用する120万人の住民生活に影響が出ています。
私は、「大規模施設で下水管の破損が起きれば住民に多大な負担がかかることが明らかになった」と指摘し、「国が下水道事業の広域化を推進してきたのではないか」と質問。総務省は広域化・共同化を要請してきたと認めました。
私は「国は、大規模施設に着目した点検基準を定めていたのか」と質問。国土交通省は「点検については地方公共団体の判断で、適切に行うこととされている」と答弁。私は「国の責任は重大だ」と批判しました。
また、国が下水道事業への「公営企業会計の適用」を推進した結果、受益者負担の原則に基づく独立採算で下水道事業を運営することとなったのではないかと質問。総務省は、公営企業会計の適用を要請してきたと認め、独立採算が原則だと答えました。
私は「事故の復旧工事の費用を、下水道料金という形で迷惑をこうむっている住民に負担を転嫁することがあってはならない」と迫りました。
復旧工事にかかる費用負担について、総務省と国交省は明確な答弁を避け、赤澤亮正経済財政担当大臣は「まずは事業主体が検討するもの」と述べるに留まりました。
下水道 広域化・独立採算推進/八潮陥没 国に責任/衆院委で塩川議員
「しんぶん赤旗」2月13日・2面より
日本共産党の塩川鉄也議員は12日の衆院内閣委員会で、埼玉県八潮市で県道が陥没しトラックが転落した事故について、下水道事業の広域化と独立採算を推進してきた国の責任を追及しました。
陥没事故現場のすぐ下流にある中川流域の下水道処理施設は、全国に2200ある下水道事業の中で9番目に大規模で、現場の八潮市の下水道管は口径4・75メートルと巨大。下水道を利用する120万人の住民生活に影響が出ています。
塩川氏は「大規模施設で下水道管の破損が起きれば住民に多大な負担がかかることが明らかになった」と強調し、国が下水道事業の広域化を推進してきたことを確認しました。
塩川氏が「国交省は大規模施設に着目した点検基準を定めていたのか」とただすと、国交省の松原英憲官房審議官は「点検については地方公共団体の判断で適切に行うこととされている」と答弁。塩川氏は「国の責任は重大だ」と批判しました。
また、国が下水道事業への「公営企業会計の適用」を推進したため、下水道事業は住民による受益者負担の原則に基づき、独立採算で運営されていると指摘。「事故の復旧工事の費用を、下水道料金という形で迷惑を被っている住民に負担を転嫁することがあってはならない」と迫りました。
復旧工事にかかる費用負担について、国交省と総務省は明確な答弁を避け、赤沢亮正経済財政担当相は「まずは事業主体が検討するものだ」と述べるにとどめました。
「議事録」
第217回通常国会 令和7年2月12日(水曜日)内閣委員会 第3号
○塩川委員 日本共産党の塩川鉄也です。
今日は、最初に、埼玉県八潮市における下水道管破損に伴う道路陥没事故についてお尋ねをいたします。
官房長官にまず御質問いたします。
転落したトラックのドライバーの方の救出に全力を注いでいただきたい。陥没現場近くの住民に避難要請が行われ、工事の影響で避難生活も長期に及ぶ状況となっています。下水道を利用する市民の方百二十万人に対して、お風呂や洗濯を始めとした排水の頻度を下げるなど、下水道の使用自粛を二週間にわたり要請をし、今日やっとそれが解除となったところであります。一時、固定電話や光通信のインターネットが利用できなくなるなどの複合的な被害も生じております。
官房長官にお尋ねしますが、このように、住民生活に重大な負担を強いることになった、このような事態を国としてはどう受け止めておられますか。
○林国務大臣 今委員からお話がありましたように、八潮市で発生した道路陥没事故、これは、事故に巻き込まれましたトラックドライバーの救出作業や応急復旧作業のため、埼玉県において関係十二市町の百二十万人の住民の皆様に対し、下水道の使用自粛をお願いしてきたものでございます。
今まさに委員から御紹介いただいたように、国土交通省も協力して、一部の汚水について陥没箇所を迂回させるという応急的な対策を講じることによって、本日から使用自粛が解除されたということでございます。
救助に向けて、トラック運転席が特定をされ、その位置が確認されたことを踏まえて、応急復旧も兼ねた新たな下水道管の設置などが検討されておるということでございまして、一刻も早く救助活動、応急復旧が進むように、専門家の派遣など、引き続き最大限の協力を埼玉県等に対して行ってまいりたいと思っております。
そして、今回のようなことが再び起きないように再発防止策を講じる、これが重要でございまして、国土交通省におきまして、全国の下水道管理者に対して、同様箇所の緊急点検の実施を要請する、また、下水道の施設管理の在り方などを検討する有識者委員会を設置する、こういうことにいたしたところでございます。
政府として、今回の事故を重く受け止めて、有識者委員会の議論、また事故原因の調査結果を踏まえて、強靱な下水道を構築し、国民の安全、安心を確保できるように、必要な対応をしっかりと検討、実施してまいりたいと考えております。
○塩川委員 救出、応急復旧、また再発防止策のお話がありました。当然のことであります。
その上でやはり、こういった事態についての国の認識をお尋ねしているところで、この道路陥没箇所付近には、中川流域の下水道管だけがあるわけではありません。八潮市の下水道管もありますし、八潮市の雨水管もありますし、八潮市の用水路もある、工業用水路もある、八潮市の水道もある、東京ガスのガス管、NTTの通信管などが地下深くに、いわば複層的に集中をしているわけであります。ですから、こういった大規模な陥没となれば、地域のインフラ、ライフラインが機能しなくなる、そういう深刻な事態だ、こういう認識はお持ちでしょうか。
○林国務大臣 まさに今、委員が御指摘のあったことも含めて、今回このような事態が発生したわけでございますので、まさに、再発防止策と先ほど申し上げたとおりでございます。有識者委員会の議論、事故原因の調査結果、こうしたものを踏まえて再発防止、しっかりと考えていくということだろうというふうに思っております。
○塩川委員 そういった、地域におけるライフライン、インフラが全部機能しなくなる、そういう事態につながりかねない、そういうことを踏まえた原因の究明、また再発防止策が必要だということであります。
官房長官はここまでで結構でございます。
国交省にお尋ねしますけれども、この陥没事故現場のすぐ下流にあります中川流域の下水道処理施設、中川水循環センターというのは全国的にも大規模な処理施設ではないかと思いますが、どういった規模なのかについてお答えください。
○松原政府参考人 お答え申し上げます。
日本下水道協会が発行している最新の令和四年度版下水道統計によりますと、一日当たりの下水処理能力について、埼玉県の中川水循環センターは、全国の流域下水道で三番目、公共下水道を含めると九番目の規模の処理施設になっております。
○塩川委員 流域下水道というのは複数の市町村をまとめて処理をする、公共下水道というのは単一の市町村、二十三区などがその中心だと思いますけれども、こういった流域下水道、公共下水道、全部というと大体二千ぐらいになるんでしょうかね。数とか分かりますか。
○大岡委員長 ちょっと止めてください。
〔速記中止〕
○大岡委員長 起こしてください。
松原官房審議官。
○松原政府参考人 失礼いたしました。
二千二百でございます。
○塩川委員 二千二百ある下水道事業のうち、こういった処理能力、処理の規模という点でいいますと、全国九番目というのが中川の流域下水の位置づけになるわけであります。大変大きな規模でありまして、いわば突出して大きな下水道施設が中川水循環センターということになります。
下水処理施設に近接する八潮市の下水道管は口径四・七五メートルと巨大なものであり、破損すればその被害は広範囲に及ばざるを得ないというのが今回の事態を見ても明らかであります。
重ねてお尋ねしますが、国交省は今回の事故を受けて下水道管路の緊急点検を行いました。その目的は何でしょうか。
○松原政府参考人 お答え申し上げます。
同様の規模の下水道管において同様の事態が生じないように緊急に調査するためでございます。
○塩川委員 同様の規模の下水道管についての調査ということですけれども、要するに、下水の処理量が大きくて大口径の下水道管路という、大規模施設に着目をして緊急点検をするというものであります。
そこで、ちょっと関連してお聞きしたいのが、この緊急点検対象というのが流域下水道だけなんですよ。公共下水道が入っていないんですけれども、これはどういうことなんでしょうか。
○松原政府参考人 流域下水道につきましては、複数の市町村の汚水を集める基幹的な下水道施設でございまして、事故が起こった際に、一般的な公共水道と比較しまして、住民生活や社会経済活動に大きな影響を及ぼすことが想定されることから、流域下水道を対象とすることといたしました。
また、あわせて、全国の下水道管理者に対しましては、緊急点検にかかわらず、下水道管路施設の適切な点検、維持管理を実施するよう周知しているところでございます。
○塩川委員 流域下水道に限る必要はないと思うんですよね。今のお話の中でも、流域下水道は特に埼玉が規模が大きくて、荒川左岸、荒川右岸、そして中川、これが流域下水道のトップスリーですけれども、それよりも規模が大きい公共下水道もあるわけです。
同じように大口径とかで処理をするということであれば、同様の調査の対象にしてしかるべきだと思うんです。外す理由が分からないんですが。
○松原政府参考人 国土交通省といたしましては、事故原因の、埼玉県の方を中心に行われます調査結果ですとか、今般設置することといたしました有識者委員会での議論なども踏まえまして、必要な対応を検討、実施してまいりたいと考えております。
○塩川委員 答えていないんですけれども、流量や口径の大きい、そういった公共下水道の管路についても点検対象にすべきだということは申し上げておきます。
それから、このような大規模施設で下水道管の破損が起きれば、住民生活に多大な負担がかかることになります。今回のことがそのことを明らかにしました。国は、大規模施設に着目をした点検基準を法定、義務づけているんでしょうか。
○松原政府参考人 お答え申し上げます。
平成二十七年の改正下水道法に基づきまして、下水道の維持修繕基準を創設し、全ての下水道施設について適切な時期に点検することとなっております。そのうち、腐食のおそれの大きい箇所については五年に一回以上の頻度で点検することとしておりまして、こうした点検につきましては、地方公共団体において、下水道の構造や下水道に流入する下水の量などを勘案しまして、適切な時期や頻度で適切な方法により行うこととされております。
国土交通省といたしましては、今回このような事故が起こったことを重く受け止めまして、委員の方からもお話にありました委員会において、大規模な下水道の点検手法の見直しを始め、施設管理の在り方などについて検討することとして、委員会を設置することとしているところでございます。
埼玉県による事故原因の調査結果や委員会での議論を踏まえながら、必要な対応をしっかり検討、実施してまいります。
○塩川委員 腐食のおそれの大きい場所ということで、段差があるですとか、そういったことを幾つか、点検の手法についての例示もガイドラインで行っているところなんですけれども、こういった大規模施設がこのように破損すれば流域の住民の皆さんに多大な影響が出る、そういう点でも、大規模だという施設に着目をして、そもそも点検対象にしておく必要があったんじゃないのかということであります。
破損事故となれば被害が甚大となる大規模施設に着目した点検基準を改めて義務づける必要があると思いますけれども、義務づけていなかった国の責任は極めて重大ではありませんか。
○松原政府参考人 繰り返しになりますが、点検については、地方公共団体において、下水道の構造等を勘案しながら、適切な時期や頻度で適切な方法により行うこととされているところでございます。
いずれにいたしましても、先ほど申し上げた有識者による委員会、この中で、施設管理の在り方、これについては検討いたしまして、必要な対応をしっかり検討、実施してまいりたいと考えております。
○塩川委員 ですから、大規模施設に着目をした点検の基準をしっかりと定めていくということがそもそも欠落していたということが今回の事態にもつながっているわけで、その責任を重く受け止めていただきたい。その上で、必要な対策を取ることを強く求めるものであります。
総務省にお尋ねします。
国は、下水道事業に関し、広域化の推進を図ってきたのではありませんか。
○清田政府参考人 お答え申し上げます。
下水道事業につきましては、人口減少などによる使用料収入の減少や、施設、管路等の老朽化に伴う更新需要の増大、職員数の減少などによりその経営環境が厳しさを増してきており、効率的な事業運営が一層求められているところでございます。このため、関係省庁が連携し、各都道府県に対し、広域化・共同化計画の策定を要請するなどしてまいりました。
なお、計画の策定に当たりましては、維持管理業務の共同化や人材育成の共同化などのソフト面での取組や、ハード面での取組について検討するよう求めてきたところでございます。
○塩川委員 下水道事業に広域化、共同化を要請をしてきた。このように、下水道事業に関し広域化、共同化を要請しておきながら、大規模施設に着目した点検基準もなく、それも義務づけることがなくこういった事故につながったという、やはり国の責任というふうに当然問われる問題であります。
重ねて総務省にお尋ねしますが、国は、地方公営企業法の任意適用であります下水道事業に対し、公営企業会計の適用を推進してきたのではありませんか。
○清田政府参考人 公営企業につきましては、先ほども申し上げましたが、人口減少等による料金収入の減少、施設、管路等の老朽化に伴う更新需要の増大などにより経営環境が厳しさを増している中、必要な住民サービスを将来にわたり安定的に提供していくためには、公営企業会計を適用して、資産や経営の状況等を的確に把握することが必要と考えております。特に下水道事業につきましては、資産の規模が大きく、住民生活に密着したサービスを提供しており、公営企業会計適用の必要性が高いことから、重点的に取組をお願いをしてきたところでございます。
○塩川委員 任意適用でありながら、下水道事業に公営企業会計の適用を推し進めてきたのが国であります。
こういった公営企業会計によりますと、これは、住民負担による受益者負担の原則に基づいて、独立採算で下水道事業を運営するということになりますね。
○清田政府参考人 下水道事業を含む地方公営企業につきましては、法令の規定に基づき、一般会計などが負担することとされている経費を除き、独立採算によることを原則としているところでございます。
なお、今回の埼玉県の事故の関係につきましては、現在事故原因に係る調査が進められているものと承知しておりまして、復旧工事の具体的な費用負担の在り方については、まずは事業主体において検討されるものと認識しているところでございます。
○塩川委員 独立採算で行うということですから、基本、流域の住民の皆さんの下水道料金に転嫁をするということになるわけですね。そうすると、今回のような陥没事故の復旧工事の経費もこの迷惑を被っている流域住民の皆さんに下水道料金で転嫁をするということになるわけですね。
○清田政府参考人 下水道事業につきましては、従来より一般会計からも下水処理に係る費用については一定程度の負担というのはしておりまして、全てが料金収入による対応となっているわけではないところでございます。
今回の件につきましては、その費用負担の在り方については、今後事業主体において検討されるものだというふうに認識しているところでございます。
○塩川委員 ですから、総務省がこういった公営企業会計について繰り出し基準、一般会計から特別会計にお金を入れる、そういった繰り出し基準を策定しているわけですが、そういう中に、今回のような陥没事故に相当するような復旧工事、これを繰り出し基準上明記しているのか。一般会計から特別会計に入れるという仕組みはあるんですか。
○清田政府参考人 総務省から地方公共団体に対しお示ししております繰り出し基準につきましては、御指摘の流域下水道、分流式の流域下水道についてでございますけれども、施設に要する資本費のうち、その経営に伴う収入をもって充てることができないと認められるものに相当する額について繰り出すという基準を通知しているところでございます。
今回の件については、先ほど御答弁申し上げましたとおり、まずは事業主体においてその費用負担の在り方について今後検討されるものだというふうに認識しております。
○塩川委員 こういった復旧工事に、繰り出し基準上明記されているそういった内容に沿って一般会計を入れることができる、そういう仕組みはあるということでいいんですか。
○清田政府参考人 繰り出し基準上、流域下水道に要する資本費については、先ほど申し上げましたとおり、経営に伴う収入をもって充てることができないと認められるものに相当する額について、従来より、繰り出すことができるという通知を出させていただいているところでございます。
○塩川委員 復旧工事がそれに当たるかどうかなんですけれども。
○清田政府参考人 復旧工事の内容がどのような内容かどうかということはこれから御検討されるというふうに承知しておりますが、いわゆる資本費の部分については、一定額、これまでも、復旧工事のみならず、いわゆる資本費に充てる部分については一定額認められるというところは通知をさせていただいております。
○塩川委員 県の要望も今後出てくるでしょうから、その点について、やはりこういった繰り出し基準に基づいて、下水道料金という形で住民に転嫁をするような、そういうことでは納得が得られないということは重く受け止めていただきたい。
その上で、そうはいっても、県が金を一般会計から入れるというのも、元をたどれば県民の税金などが原資ですから、そういったことについても、改めて、こういった大規模な破損事故、陥没事故が起こった大本に国の対応、責任が問われているということで、やはり国としてそういった必要な国庫補助などを行うということが可能かどうかということについて国交省にお尋ねいたします。
○松原政府参考人 今後、埼玉県を中心に、事故原因に係る調査が進められるものと承知しております。また、埼玉県におきまして、二月二日に今回の事故に関する復旧工法について検討委員会を立ち上げておりまして、具体の復旧工法について検討が開始されているところでございまして、国土交通省の職員もここに委員として参加しているところでございます。
国土交通省といたしましては、事故原因の調査結果や復旧工事の内容などを踏まえまして、復旧工事についてどのような支援が可能であるか、検討してまいります。
○塩川委員 報道では、県として復旧工事の費用およそ四十億円を盛り込んだ補正予算案を県議会に提出するとのことであります。そういった下水道の復旧工事に国費として、例えば社会資本整備総合交付金とか防災・安全交付金とか、そういうものというのは手当てをし得るということでよろしいんですか。
○松原政府参考人 繰り返しになりますが、どのような支援が可能であるかは検討してまいりたいと思っております。
国土交通省といたしましては、速やかな復旧に向けて関係機関と連携しまして、できる限りのことをしっかりやってまいりたいというふうに考えております。
○塩川委員 国の責任を踏まえた必要な国庫補助を行うべきだということを求めておくものです。
赤澤大臣にお尋ねします。経済財政担当として、改革工程表を策定する責任者であります。
国は、改革工程表に基づいて、下水道事業への公営企業会計の適用促進をし、広域化、共同化を推進してきました。国が下水道事業の大規模化を推進したことで、百二十万人もの住民にこの事故によって負担を強いることになりました。しかも、下水道事業の独立採算化によって、迷惑を被っている住民に下水道料金という形で負担転嫁を求めるようなことは、こんなことはあってはならない。
こういうことでいいのかということが問われておりますが、大臣の認識をお尋ねいたします。
○赤澤国務大臣 委員御指摘のとおり、埼玉県において関係十二市町百二十万人の住民の皆様に下水道の使用自粛をお願いしてきたというのはまさにそのとおりで、私どもも大変重く受け止めております。
その上で、総務省から御答弁を申し上げたとおり、下水道事業については、人口減少や施設の老朽化など厳しい経営環境が見込まれる中にあって、サービスが将来にわたり安定的に提供されることを目指して、経営状況等を的確に把握するための公営企業会計の適用や、あるいは効率的な事業運営を推進するための広域化、共同化が図られてきたものと承知をしております。
また、復旧工事の具体的な費用負担の在り方については、先ほど総務省から答弁したとおり、まずは事業主体において検討されるものと認識をしております。
その上で、国民の安心、安全を確保する中で下水道の老朽化対策は喫緊の課題であり、国土交通省において、全国の下水道管理者に対する緊急点検の実施要請や、下水道の施設管理の在り方などを検討する有識者委員会を設置することとしたところであり、今後、国土交通省において適切に対応されるものと承知をしております。
○塩川委員 重ねて赤澤大臣にお尋ねしますが、大野知事のテレビ番組の発言で、こういった下水道事業、こういう事故に伴うようなものについて、受益者負担でいいのか、そういう疑問を投げかけているわけです。大規模施設を推進しながら、大規模施設に着目をした法定点検を定めていない、公営企業会計を押しつけて、下水道料金という形で住民に負担転嫁をするというやり方はおかしいんじゃないのか、そういう認識は共有し得るものだと思うんですが、いかがでしょうか。
○赤澤国務大臣 委員御指摘の今回の事案について、私ども大変重く受け止めていることは間違いありません。
その上で、今後、埼玉県において原因究明が図られるものというふうに承知をしておりますし、あわせて、国土交通省において、緊急点検の要請に加えて、下水道の施設管理の在り方などを検討する有識者委員会を設置するとしておりますので、そこでまず御議論をいただいた上で、今後、国土交通省において適切に対応されるものと理解をしております。
○塩川委員 受益者負担という形で住民に負担転嫁をすべきではないといった点について、やはり国としてしっかりとした姿勢を示し、必要な対応策、財政措置を行うということを求めていきます。
公共事業そのものも、やはり、高規格道路や整備新幹線や大規模港湾など、大型開発、新規投資、新規事業優先ではなくて、安心、安全の防災・減災、老朽化対策に転換すべきだということを併せて申し上げておくものであります。
では、赤澤大臣はここまでで結構でございます。
続いて、道路交通安全対策について、坂井国家公安委員長にお尋ねをいたします。
警察庁は、二〇二四年七月に、横断歩道の白線の間隔、これを現行の四十五センチ程度から、一定の条件下で最大九十センチまで幅を拡大できることにしました。コスト削減をするという趣旨です。
そうなりますと、視覚障害者の方は、音はもちろん、白線の塗料の凹凸を足や白杖で感じるなど、横断歩道に関する情報を総合的に認識して道路を横断しております。四十五センチの白線、それを白杖や足で確認をしながら、横断歩道であることを確認をし、通行する、こういったことが、皆さんが気をつけておられるということです。
警察庁にお尋ねしますけれども、この横断歩道の白線間隔の拡大の導入場所、及びその際に視覚障害者に対しての対応を行っている機器であります音響式信号またエスコートゾーンの導入状況はどうか。お答えください。
○早川政府参考人 お答えいたします。
令和六年七月に、御指摘のとおり、いわゆる標識標示令が改正され、これまで四十五センチから五十センチメートルとされていた横断歩道の白線の設置間隔が最大九十センチメートルまで拡大できることとなりました。
その趣旨は、自動車のタイヤの通過位置を避けて白線を配置し、横断歩道をかすれにくくしようとするものであります。
本改正後、現時点までに、実際に白線の設置間隔を拡大した横断歩道は、仙台市青葉区、福島県福島市、広島市南区、横浜市神奈川区の四か所に設置されており、いずれの場所におきましても、ピヨピヨ、カッコーといった音により信号が青であることを知らせる音響信号機と、横断歩道に点字誘導ブロックをつけ、横断歩道であることを分かりやすくしたエスコートゾーンが整備されております。
○塩川委員 四か所で設置をされ、音響式信号またエスコートゾーンが設置されているということですが、その設置に当たって、視覚障害者の方に意見はお聞きになったんでしょうか。
○早川政府参考人 お答えいたします。
先ほど申しましたいわゆる標識標示令の改正に当たりまして、視覚障害者の方々が横断歩道を認識しにくくなるのではないかとの御意見が多く寄せられたことを踏まえまして、白線の設置間隔を拡大した横断歩道を設ける場合には、視覚障害者の安全に十分配意することとしております。
その過程におきまして、視覚障害者の方々から、この設置場所、設置する際に御意見を伺っているところでございます。
○塩川委員 坂井国家公安委員長にお尋ねします。
やはり白線の間隔を広げるということについては、こういった視覚障害者の方について今までにない条件を強いることになるといった点で、音響式信号やエスコートゾーンといった視覚障害者に対して本当に安全を確保する、そういった装置と一体に行うことこそ必要で、こういった音響式信号やエスコートゾーンが設置されていないような場所に白線の間隔を空けるような、そういう措置は行うべきではないと考えますけれども、いかがでしょうか。
○坂井国務大臣 今局長から御答弁させていただきましたように、視覚障害者の皆様方から御意見を伺いながら、今四か所においてスタートしたところでございまして、委員御指摘のように、音響信号機、エスコートゾーンが設置されている場所について優先的に設置を検討し、設置後には、視覚障害者等の方々がこれから実際に横断歩道を横断していただくわけでございますので、そういった中で、今後も引き続き御意見を伺いながら対応してまいりたいと思っております。
○塩川委員 視覚障害者の方にとっては、音響式、そしてエスコートゾーンというのは、命を守る情報を提供する装置であります。しかしながら、音響式信号機というのは、全体の、二十万ある信号のうち二万機で、一割しかないんですね。また、音響式なのに時間制限が行われている、そういった信号機も多数あります。横断歩道上の点字ブロックでありますエスコートゾーンは、三千か所余りで、全横断歩道の〇・三%しかついておりません。
政府は、二〇二五年度中に、都道府県警察が特に必要とした箇所全てに音響機能、エスコートゾーンを設置する方針としておりますけれども、この特に必要とする箇所そのものが二千四百三か所で、大変少ないものであります。
音響式そしてエスコートゾーンの設置を大きく引き上げることを求めるとともに、白線間隔の拡大は、音響式信号、エスコートゾーンが設置されていない場所で行うべきではないということを重ねて申し上げておきます。
次に、歩車分離式の信号についてであります。
警察庁は、今般、指針を改定して、歩車、歩行者と車両の分離式信号、歩車分離式信号の整備を推進するとしておりますが、どのような中身でしょうか。
○早川政府参考人 お答えいたします。
歩車分離式信号につきましては、歩行者と車両の進路が交わることのないよう、歩行者が通行する時間と車両が通行する時間とを分離するというものでございまして、歩行者の安全確保に有効な手段であると考えております。
警察庁におきましては、平成十四年に歩車分離式信号に関する指針を作成し、その導入を推進してきたところであります。また、本年一月には、指針策定当時とは交通事故情勢や道路環境なども変化していることを踏まえまして、歩行者の安全を確保する観点から、歩車分離式信号の整備を一層推進するため、指針を見直したところでございます。
新たな指針では、死亡事故が発生した場合には歩車分離式信号の導入を必ず検討することとしたほか、通学路などにおきます歩車分離式信号の導入要件を緩和するなどしたところであります。
○塩川委員 この歩車分離式の導入というのは、事故対策に一定の効果があり、また、我が党も要求してきたものであります。しかしながら、視覚障害者の方への配慮が必要であります。音で判断して横断をしています視覚障害者の方は、自動車の音も判断材料であるわけですね。ですから、それが歩車分離式だと分からない。そうすると、青なのか赤なのかも分からない。
その点で、音響式信号機というのは、横断歩道の場所、信号の色、横断歩道の方向が分かるもので、視覚障害者のためにも、こういった音響式信号機というのは不可欠であります。
音というのは、騒音ではなく、命に関わる情報でありますので、こういったことについて必要な配慮を是非求めたい。坂井委員長に一言。
○坂井国務大臣 委員御指摘のように、歩車分離式信号は、安全確保に有効な手段であると認識をいたしております。歩車分離式信号の整備の推進に当たって、引き続き、視覚障害者の方々の安全に十分配慮するよう警察を指導してまいりたいと思います。
○塩川委員 視覚障害者の方にしっかり、声も聞き、配慮した対応を求めて、質問を終わります。