【政治改革に関する特別委員会】選挙ポスター品位保持法案など可決

 選挙ポスターに品位保持規定を盛り込む公職選挙法改正案を可決しました。

 昨年の都知事選を受け、この改正案は、公営掲示板の選挙ポスターに関し、品位を損なう内容を記載してはならないとし、候補者の氏名記載を義務化、営業宣伝した場合の罰則を規定しました。

 私は、今検討すべきは、選挙運動の規制強化ではなく自由の拡大だと主張。「国民が主権者として、自らの代表を選び、政治に積極的に参加し、選挙に気軽に多面的に参加できるよう、複雑な公選法を抜本的に見直すべきだ」と強調しました。

 私は、現行法においても選挙管理委員会が常に選挙の啓発と周知徹底を図ることが規定されており、日常的に広く選挙違反事例などを周知することで、選挙を弄ぶ行為をさせないことにつながると指摘。

 その上で、選管の役割は重要だと述べ、選挙に関する経費を確認。総務省の笠置選挙部長は、選挙啓発にかかる予算について1996年度は約23億円、2021年度は約1億円であると答弁。私は「あまりにも減額されすぎている」と批判し、法案提出者に見解を問いました。

 自民党の鈴木英敬議員は「額の多寡だけでは判断できない」としながら「少ないと言わざるを得ない」と認めました。

 私は、選管の人員不足についても取り上げ、「選挙権・参政権は国民主権・議会制民主主義の根幹をなすもの。選挙に関する経費と人員を大きく増加すべきだ」と強調しました。

 今日の委員会では、いわゆる候補者カーの規格やいわゆる候補者ポスターの大きさを統一する公選法改正案も、全会一致で可決しました。

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公選法改正案が可決/衆院委/共産党など賛成多数/抜本的見直し 塩川氏が要求

「しんぶん赤旗」2月26日・2面より

 選挙ポスターに品位保持規定を新設する公職選挙法改正案が25日の衆院政治改革特別委員会で、自民、立憲民主、日本共産党などの賛成多数で可決されました。

 昨年の都知事選をうけ改正案は公営掲示板の選挙ポスターに関し、品位を損なう内容を記載してはならないとし、候補者の氏名記載を義務付け、営業宣伝した場合には罰金を科すと規定しています。

 日本共産党の塩川鉄也議員は質疑で、今検討するべきは、選挙運動の規制強化ではなく自由の拡大だと主張。国民が主権者として、自らの代表者を選び、政治に積極的に参加し、選挙に気軽に多面的に参加できるよう、複雑な公選法を抜本的に見直すべきだと強調しました。

 現行法においても選挙管理委員会が常に制度の啓発と周知徹底を図ることが規定されており、日常的に広く選挙違反事例などを周知することで、選挙をもてあそぶ行為をさせないことにつながると述べました。

 塩川氏は選管の役割は重要だと指摘し、選挙に関する経費を確認。総務省の笠置隆範選挙部長は、選挙啓発にかかる予算が1996年度は約23億円、21年度は約1億円だと答弁。塩川氏は「減額され過ぎている」と述べ、法案提出者に見解を問いました。自民党の鈴木英敬議員は「額の多寡だけでは判断できない」としながら「少ないと言わざるを得ない」と認めました。

 塩川氏は、選管の人員不足についても取り上げ、「選挙権・参政権は、国民主権・議会制民主主義の根幹をなすもの。選挙に関する経費と人員を大きく増加すべきだ」と訴えました。

 同委では、いわゆる候補者カーの規格や、いわゆる候補者ポスターの大きさを統一する公選法改正案も、全会一致で可決されました。


「議事録」

第217回通常国会 令和7年2月25日(火曜日)政治改革に関する特別委員会 第4号

○塩川委員 日本共産党の塩川鉄也です。

 公選法改正案について質問いたします。

 まず、都知事選のポスター問題に関連してですけれども、都知事選の結果を見ましても、選挙を弄ぶ者に対して有権者は賢明な判断をされたと受け止めております。

 現行では、ポスターは公営掲示板にしか貼れません。選挙期間に入ると、候補者名が入ったビラやポスターというのは極端に減るというのが日本の選挙であり、だから公営掲示板にいわゆるプレミア感がつくという状況になる。こうした規制を撤廃すれば公営掲示板の希少価値はなくなり、いわゆる選挙ビジネスなるものも成り立たないと言えると思います。今検討すべきは、規制を強化して選挙を特別な一部の人だけのものにするのではなく、主権者である国民、有権者の選挙権行使のために選挙運動の自由を拡大すべきだと考えますが、提出者からお答えをいただきたい。

○鈴木(英)議員 塩川議員にお答えをいたします。

 委員御指摘のとおり、選挙運動や政治活動、なるべく規制や制限を設けることなく候補者が自由に活動することができる環境を担保していくということが望ましい、その基本的な方向性については共感をするところであります。

 その上で、昨年七月の東京都知事選挙は、ポスター掲示場に、品位を著しく欠くもの、選挙と関係のない営業宣伝用と思われるものなど、選挙運動のために使用されるものと言い難いポスターが掲示される問題が生じ、選挙の適正な実施が阻害される事態が起こっています。

 そこで、本法案は、このような最近における選挙運動用ポスターをめぐる状況に鑑み、政治活動、選挙運動の自由にも配慮しながら選挙の適正な実施の確保に資するための措置を講ずるものであり、必要かつ合理的な制限であると思料します。

○塩川委員 基本的な考え方をまず伺ったわけですが、国民、有権者が主体的に選挙や政治に関わりやすくする、国民、有権者の自由な選挙活動を妨げている規制をなくす、国民が主権者として自らの代表を選び、政治に積極的に参加をし、選挙に気軽に多面的に参加できるよう、複雑な現行公選法を抜本的に見直すことが必要だ、この機会にその議論を大きく前に進めていくべきだと考えております。

 都知事選で問題となった卑わいなポスターは、都条例で警告、撤去されました。東京十五区補選での妨害行為は、公選法の選挙の自由妨害罪が適用されました。絶対に許されない行為には現行法で厳格に対応するのが筋であります。

 一方で、捜査機関による違法行為の取締りだけを強化すればよいのか。

 この点で、公選法の第六条第一項では選挙管理委員会による常時啓発、周知徹底を明記しております。選挙が公明かつ適正に行われるように、選管はあらゆる機会を通じて有権者の政治常識の向上に努める常時啓発を行うとともに、特に投票方法や選挙違反など選挙に関する情報を有権者に周知させなければならないとあります。逐条解説によれば、単に告示等の管理行為を的確に執行するというだけでなく、あらゆる機会を通じてその周知を図らなければならないとあります。候補者だけでなく広く有権者に、選挙とは何か、どういう行為が選挙違反かということを日常的に周知することが、選挙を弄ぶような行為をさせないことにもつながると考えます。

 提出者にお尋ねしますが、今回の事案も受けて、選管の常時啓発、周知徹底の重要性、その課題をどう受け止めておられますか。

○鈴木(英)議員 塩川議員に御答弁いたします。

 委員御指摘のとおり、選挙に関する啓発、周知、これは極めて重要であるというふうに考えております。

 我々提出者としましても、現在も所要の額が確保された上で適切に一定の啓発、周知が執行されていると承知しておりますけれども、今後とも時代に即した不断の改善や工夫がなされ、効果的な常時啓発、周知徹底が行われることを期待するものです。

 私が三重県知事時代に三重県選挙管理委員会は、全国の中でもかなり早い方だったと思いますけれども、AIチャットボットを入れて質問しやすいように、県民の皆さんとか有権者の皆さんが質問とか疑問を解消しやすいような、そんな工夫も三重県選挙管理委員会はやっておりましたので、時代に合わせて不断の改善をしっかりしながら常時啓発、周知徹底を行っていきたいと思います。

○塩川委員 常時啓発、周知徹底が極めて重要、所要の額が確保されているのではないのかという話もありましたけれども。

 そこで、総務省に確認をいたします。選管の役割は極めて重要であります。そのための経費がどうなっているのか。選挙啓発に係る予算の推移で、一九九六年と二〇二一年の額を比較するとそれぞれ幾らになるのかについて御説明ください。

○笠置政府参考人 お尋ねの選挙啓発に係る予算額でございます。常時啓発関係で申し上げますと、一九九六年度、平成八年度でございますが、明るい選挙推進費として二十三億八千百四十七万円、二〇二一年度は、令和三年度でございますが、名称がちょっと変わってございますが、参加・実践等を通じた政治意識の向上に要する経費といたしまして一億一千七百六万円となってございます。

○塩川委員 二十三億が一億円余りということで、大きく金額が減少している。これは、具体的にはどんなものが減ったということなんでしょうか。

○笠置政府参考人 手元に資料はございませんので確定的なものを申し上げることはできませんけれども、明るい選挙推進協議会といった団体がございますが、そうした団体への支援といったものを平成八年度はやっておったわけでございますが、他団体への補助といったものの予算額が減ってきているということがございまして、だんだん減ってきているということだと思います。

○塩川委員 常時啓発や周知徹底の重要性ということに鑑みても余りにも減額され過ぎているんじゃないのかと思うんですが、その点、総務省はどうか。また、提出者はどうお考えか。

○笠置政府参考人 確かに、平成八年度の二十三億に比べますと、現状といいますか、令和三年度で一億二千万弱ということでございますが、こちらにつきましては、通常の啓発予算というのは徐々に減ってきておったわけでございますが、たしか平成二十八年に、十八歳選挙権といったものが出た際に高校一年生に対して副読本といいますか副教材といったものを配付しようということで、下がってきていたものを、平成二十七年以降少し、盛り返したと言ったら表現があれかもしれませんけれども、盛り返して一億数千万円の台になってございます。この中でも、限られた財源の中でございますが、知恵を絞りながら啓発に努めてまいりたいというふうに考えてございます。

○鈴木(英)議員 おっしゃっていただいたように、選挙の公正な管理、執行、あるいは選挙に関する啓発、周知、これは大変重要であります。そのために必要な予算、人員はしっかり確保しなければならないというふうに思っていますが。

 予算については今お話があったところで、必要な予算というのは幾らなのか、額が多ければいいということでもないし、先ほど私はAIチャットボットの話をしましたが、効果的な周知啓発がちゃんとできる予算を、必要な予算を確保するということが大事だと思いますので、テクノロジーの進展、そういうことなどを踏まえながら所要の額をしっかり確保することが大事だと思います。

○塩川委員 二十三億が一億はどうかというのは率直なところなんですが、それは少ないとお考えですか。

○鈴木(英)議員 繰り返しになりますけれども、額の多寡だけではなかなか判断できないものの、感覚的にはまあ少ないなと言わざるを得ないのかなと思いますけれども、額だけでは判断できないというのが我々の考えであります。

○塩川委員 まあ少ないなという受け止めは、そのとおりだと思いますが。

 国政選挙の執行経費について見れば、二〇一三年の基準法改定により大幅に引き下げられて、この間、我が党は経費基準を引き上げよと要求してきた中で、若干の微増にはなっていますけれども、全体に引き下げられてきた影響は大変大きいものがあります。総務省にもう一点確認で、国政選挙の執行経費基準法で、ポスター掲示場の経費の基準というのは二〇〇七年の基準以降どういう傾向にあるのか。この点について御説明ください。

○笠置政府参考人 執行経費基準法におけますポスター掲示場の基準額でございますが、こちらは、掲示場一か所当たりの所要額につきまして、各種統計資料や実際の選挙の執行状況などを踏まえて定めているところでございます。

 例えば、区画数九以上十三未満の掲示場を市が設置する場合の基準額について申し上げますと、二〇〇七年度、平成十九年度は一万五千七百五十円、二〇一三年度、平成二十五年度でございますが、こちらが一万五千二百二十五円、二〇一六年度、平成二十八年度、二〇一九年度、令和元年度でございますが、いずれも一万五千六百六十円、二〇二二年度、令和四年度につきましては一万七千五十円となってございます。

○塩川委員 全体として下がってきて、この間少し持ち直してきているという状況ですけれども。

 この辺は、例えば、区画数が多いような部分では増額となっているんだけれども、区画数が少ないような場合には減額の状況というのも一方であるわけであります。そういった点で、東京都の選管が今回の都知事選で公営掲示板の区画についてクリアファイル対応をしたということについても、これは都知事選ですから国政選挙の執行経費基準法の対象ではありませんけれども、全体として、経費負担削減、コスト抑制、そういう中での問題が背景にあるのではないのか。こういう点には留意をする必要があると考えております。このように政治と金の話になりますと民主主義のコストという話をされるわけですが、こういった啓発費や選挙経費こそ、きちんとお金をかけるべきものだと考えております。選挙に係る経費は十分に確保すべきだということを申し上げておきたいと思います。

 もう一点、選管の体制、人員の問題であります。全国の都道府県選管や市町村選管の人員は少なく、兼任や非正規が増えていると聞きます。

 私が受け取っております全国市区選挙管理委員会連合会の資料によれば、二〇一七年四月末時点で、人口四十万人以上の市では平均して選管職員が十人ほどおり、専任職員だけの自治体がほとんどですが、人口五万人未満になると選管職員数は平均三人ほどで、多くの自治体が兼任職員だけとなっています。総務課や議会事務局のスタッフの方が兼務をしていると。今、それから八年が経過しているので、更に状況は悪くなっていると考えております。総務省がこういう実態を把握してほしいということも資料でも要求しているわけですが、なかなか現場の方が大変だということで、そういった実態そのものが現時点でどうなっているのかがリアルに分からないという状況がある。こういったことについてもしっかりと把握をする、その上での対策が必要ではないのか。

 これは、先日、参考人質疑でも人員不足の指摘がありました。兵庫県選管の永田参考人は、人員の方も確かに足らないと、人員の増加を要望されておられました。また、元選挙部長の大泉参考人は、ベテラン職員が減って公選法の知識、プラスアルファの知識を備えた職員がちゃんといるようにしなければいけないと述べておりました。

 特に、二〇一〇年代には、現憲法下でなかった開票不正が三回も起きております。選管が関わった選挙不正の事件、こういった開票不正以外にも、投票用紙の交付ミスなど、選挙事務ミスも激増しております。実際の選挙実務を担う市町村選管ではいわばぎりぎりのところで頑張っておられて苦労もしておられるという状況が、そこにも見えてくると思います。当然、ミスをしようと思ってやっているわけではありませんので、そういうことを本当に除くような、活動の上でも必要な職員の配置、増員が求められていると思っています。

 そこで、提出者にお尋ねをいたしますが、選挙の正当性、公正性を担保するためにも選挙事務に従事する人員が十分に確保されるべきだと考えておりますが、お考えをお聞かせいただきたい。

○鈴木(英)議員 塩川議員に答弁いたします。

 私の選挙区も十五の市と町、五市十町ありますけれども、一番大きいところで人口十二万程度でありますので、ほかは一万数千人とか一万を切っているところもあります。そういう中で、まさに塩川議員御指摘のような兼任で少人数でやっている選管の実情はありまして、現場における人員の不足感というのは極めて高いというふうに思っております。ですので、おっしゃっていただいた適正な管理、執行、また常時の啓発や周知、そういう観点からも必要な人員をしっかり確保していくことが重要であるというふうに考えております。

○塩川委員 この間、選挙権年齢の引下げやネット選挙運動の開始や小選挙区の区割りの変更など、選挙執行業務は大きく増えているという状況にあります。また、選管には政治資金の収支報告書に係る業務もあるわけであります。選管の役割はますます大きくなっている現状にある、そういうときに、選挙権、参政権が国民主権、議会制民主主義の根幹を成すものであって、民主主義の土台を決める選挙制度は国民の参政権に関わる重要な課題であるときに、この選挙に関する経費と人員を大きく確保する、増加させていく、このことが必要だということを強調しておきたいと思います。

 最後に、兵庫県知事選の二馬力選挙に関連して、そもそも他人を応援する二馬力選挙というのはあってはならないことであります。選挙運動にビラは何枚とか、ポスターは何枚とか、選挙カーは何台、政見放送はなどなど公選法では規制をしております。それを、ある候補者が二倍可能だということは認められないというのは当然のことであります。ただし、立候補の規制や候補者の発言内容の規制を行うということは参政権の保障や選挙の自由の点から問題があると考えています。このような問題点となっている二馬力選挙について、参考人質疑でも参考人の方から、どの選挙運動が二馬力選挙と言えるか判断しにくいという話がありました。

 提出者にお尋ねをいたします。兵庫県知事選は、連日のマスコミ報道など、注目された中での選挙でありました。今におきましても、県議会においての議論なども関連して行われているところであります。どんな事態が起こったのか、しっかりとした検証が必要だと考えますが、この点についての考えをお聞かせいただきたい。

○鈴木(英)議員 塩川議員に答弁させていただきます。

 兵庫県知事選挙につきましては、議員から御指摘の点も含め、様々な課題などが指摘をされていたものであります。したがいまして、それを踏まえて、どういうような対応をしていくべきなのか、それについてしっかりと各党各会派で議論をさせていただきたいというふうに思っております。

○塩川委員 現行の公選法は、選挙運動を包括的に禁止して、例外的に許容するという体系になっています。そのため、選挙の主体が候補者、政党となり、選挙運動を行うための手段や方法が厳しく制限され、複雑で、いわばプロでなければ選挙運動ができないような仕組みとなっている。

 こういったときに、ネット上とリアル上の選挙運動に落差が大きいということも問題であります。文書図画の規制の自由化や戸別訪問の解禁、立会演説会の復活等も見直すべきであります。さらに、被選挙権年齢の引下げ、供託金の引下げ、選挙期間の見直しも必要であります。政治活動に関して言えば、規制が設けられていること自体に問題があります。是非とも、附則に検討条項がありますけれども、書かれている例示もありますが、選挙運動規制全般にわたって検討を行っていくということが必要ではないのか。この点について最後に提出者にお答えいただいて、終わりにしたいと思います。

○鈴木(英)議員 委員御指摘の抜本的に見直すということについて、御指摘いただいたように、改正案の附則三項で検討、必要に応じ措置というふうに書いておりますので、委員の御指摘の点につきましても各党各会派において議論をしていくということになると思います。

○塩川委員 終わります。