私は、埼玉県八潮市で発生した下水道道路陥没事故の復旧工事への財政支援と、営業に影響を受けた事業者への補償を求めると共に、下水道事業を民間にゆだねる「ウォーターPPP(官民連携)」の押し付けをやめるよう政府に迫りました。
私は国土交通省に設置された「下水道等に起因する大規模な道路陥没事故を踏まえた対策検討委員会」の家田仁委員長が「120万人が長期にわたって影響を受けているのは、自然災害でいえば激甚災害に相当するような重大な事態だ」と述べていることを指摘し、「国が下水道事業の広域化を推進してきたのに、大規模施設に着目した点検基準を定めていなかった責任は重大だ」と批判。復旧工事への財政支援を求めました。
村上誠一郎総務大臣は「下水道の建設改良費に対して地方交付税措置を講じている」と述べ、国土交通省は「一般論として、『改築』に対する交付金措置はある。財政支援を行えるよう検討していく」と答えました。
私は「予防保全の観点から『改築』だけでなく『修繕』も対象とすべきではないか」と追及。国交省は「まずは本件に対する財政支援をしっかり検討していく」と答えるに留まりました。
私は埼玉県から国に出されている要望書の中で「下水道事業に対する国の財政支援については、ウォーターPPPを前提条件としない制度設計を求める」としていることを紹介し、PPP/PFIには民間の利益追求による安全のためのコスト削減や、自治体における技術継承が困難になる、情報開示の後退による監視機能の低下、などの問題点があると指摘。「PPPの押し付けはやめよ」と主張しました。
国交省は「令和9年度以降、防災安全交付金などを活用した下水道管の改築にあたってウォーターPPP導入を決定済みであることを交付要件とすることで導入促進を図っている」と拒否しました。
私は、国の地方行革指針により下水道事業に従事する職員数が減り「維持管理や技術継承を困難にしている」として、PPPなどの民間委託方針を撤回し、必要な職員を配置する地方財政措置が必要だと主張しました。
下水道にPPPを強制/衆院予算委分科会/塩川議員が批判
日本共産党の塩川鉄也議員は27日の衆院予算委員会分科会で、埼玉県八潮市で発生した下水道破損に伴う道路陥没事故の復旧工事などへの財政支援や、営業に影響を受けた事業者への補償を求め、下水道事業を民間に委ねる「ウオーターPPP(官民連携)」の押しつけをやめるよう政府に迫りました。
塩川氏は、国土交通省の検討委員会の家田仁委員長が「120万人が長期にわたって影響を受けているのは激甚災害に相当するような重大な事態だ」と述べていると指摘し、「国が下水道事業の広域化を推進してきたのに、大規模施設に着目した点検基準を定めていなかった責任は重大だ」と批判。復旧工事への財政支援を求めました。
村上誠一郎総務相は「下水道の建設改良費に対して下水道事業債を活用する場合、地方交付税措置を講じている」と答弁。国交省は「一般論として改築に対する交付金措置はある。財政支援を行えるよう検討していく」と答えました。
塩川氏は「下水道に対する国の財政支援についてはウオーターPPPを前提条件としない制度設計を」と求める埼玉県の要望書を紹介し、▽民間の利益追求による安全のためのコストの削減▽自治体における技術継承が困難▽情報開示の後退による監視機能の低下―などの問題点を指摘し、「押しつけはやめよ」と批判しました。国交省は「2027年度以降、下水道の改築にあたってウオーターPPP導入を決定済みであることを交付要件としている」と拒否しました。
塩川氏は、国の地方行革指針により下水道事業に従事する職員数が減り「維持管理や技術継承を困難にしてきている」とし、民間委託方針を撤回し、必要な職員を配置する地方財政措置を行えと主張しました。
「議事録」
第217回通常国会 令和7年2月27日(木曜日)予算委員会第二分科会 第1号
○塩川分科員 日本共産党の塩川鉄也です。
今日は、まず、埼玉県八潮市の下水道破損に伴う道路陥没事故について質問をいたします。
現地におけるトラックドライバーの方の救出に是非とも御尽力をいただきたい。また、陥没事故現場のすぐ下流にあります中川流域の下水道処理施設は、全国に二千二百ある下水道事業の中で九番目という大規模な施設であります。下水道を利用する百二十万人の住民生活に深刻な影響が出ました。事故現場周辺の住民の方は、下水の臭いや工事の騒音にも悩まされております。上流部では、下水の河川への放流が継続をし、流域住民の生活環境を害するものとなっております。
このような大規模施設で下水道管の破損が起きれば住民に多大な負担がかかることが明らかになりました。この間、国が下水道事業の広域化を推進してきたのに、大規模施設に着目した点検基準を定めていなかった責任は重大であります。
また、国が下水道事業への公営企業会計の適用を推進したため、下水道事業は、住民による受益者負担の原則に基づき、独立採算で運営をされております。事故の復旧工事の費用を、下水道料金という形で迷惑を被っている住民に負担を転嫁することがあってはならない。
そこで、まず国交省にお尋ねをします。埼玉県は、八潮市における道路陥没事故に係る中央幹線復旧対策工事の事業費四十億円、それ以外に、応急復旧に十・五億円の経費としております。埼玉県から国への要望書においては、応急復旧及び本復旧に対し、国からの財政的支援を要請しておりますが、これにどう応える考えでしょうか。
○松原政府参考人 お答え申し上げます。
国土交通省では、救助活動や下水道の応急復旧が速やかに進むよう、現地に専門家を派遣するとともに、陥没箇所の水位を低下させるため排水ポンプ車を派遣するなど、最大限の支援を行っています。
また、復旧に向けては、復旧工法の検討に関して埼玉県が設置した有識者委員会に国土交通省の職員も参加するなど、関係機関と連携して取組を進めているところでございますが、財政支援については、復旧工事の内容などを踏まえつつ、しっかりと支援できるよう検討してまいります。
○塩川分科員 改築においては、これは社会資本整備交付金の交付、そういう対象にもなるということは、それでよろしいでしょうか。
○松原政府参考人 繰り返しになりますが、復旧工事の内容などを踏まえながら、しっかり支援できるよう検討してまいります。
○塩川分科員 改築の場合は交付金の補助対象にはなる。
○松原政府参考人 一般論として申し上げれば、改築に関する交付金の措置というのがございます。
○塩川分科員 また、この場合、改築に当たるかどうかというところも含めてあると思うんですけれども、実際には、改築ではなく修繕という形で対応する場合もあるかもしれない。でも、そういった修繕については現行交付金の対象外だというふうに聞いているんですが、こういった大規模な施設の破損が生じているといった点についても、将来に向けては、予防保全の観点からも、これはやはり修繕についても補助対象とする、そういうことが実際の対応を迅速に行うことにつながるんじゃないのか、予防保全の観点からも、修繕も補助対象とする、そういうことも考えるべきではないかと思いますが、いかがですか。
○松原政府参考人 まずは、本件に関する財政支援についてしっかり支援できるよう検討を進めてまいりたいと考えております。
○塩川分科員 国交省が検討委員会を立ち上げました。政策研究大学院大学の家田仁先生が委員長をされておりますが、家田委員長が、その会議の場で、百二十万人という人数は一つの大都市、これが非常に長期にわたって影響を受けているというのは、自然災害でいえば激甚災害に相当するような重大な事態だと述べておられました。
そういう点でいえば、復旧工事に対して、そういう意味では、激甚災害相当というのであれば、補助のかさ上げを行うとか、こういった国としての特別な財政支援をこの際きちんと考え、具体化をすべきではありませんか。
○松原政府参考人 本件について、まだ復旧工法の検討なども進めているところでございますし、そうした内容も踏まえながら、まずは、本件についてどうやって支援できるのか、そこのところをしっかり検討していきたいと考えております。
○塩川分科員 特別な事態、事例ということで、県から国への、財政的な支援が具体的に要望されているわけですから、それにどう応えるのかということについては、県ともよく連携もしながらということでありますけれども、しかるべき対処を求めたいと思っております。
実際に、こういった下水道管の事故において、下水の排出を抑制してほしいという県からの要請があるわけであります。ですから、飲食店など、事業者の方への影響も大変大きなものがありました。
お近くのラーメン屋さんなどでは、いろいろ料理を提供するにしてみても、どうしても水洗いが必要になるような油を使用する料理とかというのを控えなくちゃならない。県の下水道自粛要請に応えて、鍋や皿を洗うのに大量の水が必要ないため物などについては、こういうのは控える、注文については申し訳ないけれどもとお断りをするということなんかも含めて、事業者の方々に大きな影響が出ているわけであります。
こういった営業に影響を受けた事業者への補償が必要ですが、この点については、国としてはどう対応されるのか。
○松原政府参考人 営業に影響を受けた事業者への支援についてのお尋ねにつきましては、国土交通省としてはコメントを差し控えさせていただければと思います。
国土交通省としては、復旧工事に向けた財政支援について、しっかり支援できるよう検討してまいりたいと考えております。
○塩川分科員 村上大臣、どうでしょうか。
実際、事業者の方がいろいろな影響を受けている、補償が必要じゃないかという声というのは上がっているわけです。
この前、県議会でも、埼玉県側からは、こういった損失の補填については、全容がある程度明らかになり次第速やかに予算を含めて適切に対応していきたいと述べているそうですけれども、是非、国としても、しかるべき支援、対応策を考えていただきたいと思うんですが、大臣のお立場でお答えできることがあれば。
○村上国務大臣 我々としましては、復旧に要する経費につきましては、下水道の道路の建設改良費に対して下水道事業債を活用する場合には、いろいろな地方交付税措置等を講じているんですが、その事故における損失については、我々の管轄ではないような気がしますので、ちょっとコメントは差し控えたいと思います。
○塩川分科員 具体的な損失の補償などについて、やはり目配りをしていくということは必要じゃないかなと思うんですが、その辺のお考えだけでも。
○村上国務大臣 私も法学部出身ですが、法的な因果関係が例えば総務省に対してあるのかどうかという面では、私は今のこの事件においてはないような気がしますので、そこら辺はまた別の担当の方でお考えいただけたらと思います。
○塩川分科員 後でも少しやり取りしますが、やはり、企業会計に移行する、そういったことについて総務省が促してきたという経緯の中で、広域化も行われた中での大規模なこういった破損が生じている、そういう経緯なども含めて、国全体としても、しかるべき補償に当たっての対処が必要ではないのかということは申し上げておきます。
今、若干お答えもあったんですけれども、大臣に重ねて伺いますが、埼玉県から国への要望書では、今回の応急復旧及び本復旧に際しては、関係地方公共団体の負担も多大になることから、一般会計の負担が生じる場合は、地方交付税による財政措置など、地方公共団体及び住民負担の軽減を図るよう要請をしておりますが、これにどうお応えいただけるでしょうか。
○村上国務大臣 先ほどちょっと触れましたけれども、復旧に要する経費につきましては、総務省におきまして、下水道の道路の建設改良費に対しましては、下水道事業債を活用する場合、その元利償還金の一部に地方交付税措置を講じております。
今後とも、埼玉県と連携して、この地方財政措置の活用について対応していきたい、そういうふうに考えております。
○塩川分科員 国の責任も問われる今回の下水管事故について、その負担を国が責任を持って対処すべきだということを申し上げておきます。
続けて国交省にお尋ねしますが、下水道事業に関して、国は民間委託の推進を図り、PPP、PFI事業の推進を図ってきております。
今回のこの事故に当たっての埼玉県の国への要望書では、現在、国が推進しているウォーターPPPについては、インフラの長期にわたる更新にめどがつくまでは、慎重に検討していただくようお願いします、また、下水道に対する国の財政的支援については、ウォーターPPPを前提条件としない制度設計を再考いただくようお願いしますと、国によるウォーターPPPの推進に対して慎重な対応を求めております。
国は、汚水管の改築に係る国費支援に関して、ウォーターPPP導入を決定済みであることを令和九年度以降に要件化するとしております。つまり、ウォーターPPPを導入しなければ国の交付金は出しませんよという脅しのようなやり方、これは許されるものではありません。このようなウォーターPPPの押しつけはやめるべきではありませんか。
○松原政府参考人 お答え申し上げます。
人口減少が進み、自治体の下水道事業を担う職員の方々が減少などする中で、ウォーターPPPという官民連携の取組は、地方公共団体が最終的な責任を持つことを前提に、民間の人材や技術力の活用によりまして、下水道施設の維持管理や更新を長期的観点から効果的に進められるなどのメリットがあり、下水道の基盤強化に向けた有効な施策であると認識しております。
そのため、国土交通省におきましては、下水道事業を将来にわたって持続可能なものとするために、委員御指摘ございました、令和九年度以降、防災・安全交付金などを活用した下水道管の改築に当たって、ウォーターPPPの導入を決定済みであることを交付要件とし、その導入促進を図っているところでございます。
地域の実情に即したウォーターPPPの推進が下水道施設の更新の加速化や下水道事業の持続性の向上につながるよう、引き続き、自治体の御意見などを伺いながら、よりよい制度づくりに努めてまいります。
○塩川分科員 PFIを含むPPPの事業に当たって、元々その発祥のイギリスなどでも、もうPFI事業についてはやめましょうと大きな見直しの議論が起こっているときに、周回遅れでこれを進めようとしているのが日本の事業でありますから、こういう点について、今、こういった具体の事項にも関わる要望が県からも上がっているようなときに、見直しこそ必要であります。
埼玉県は、県議会における答弁でも、PPPの導入に当たっては、モニタリングや情報開示、災害時の対応など様々な課題があると、PPPに関する懸念を述べております。
国交省にお尋ねしますが、ウォーターPPPの一つである管理・更新一体マネジメント方式では、契約時に見積もった工事費や維持管理費を削減できた場合などに削減分をシェアするプロフィットシェアの導入を掲げております。これは、民間の利益追求によって、安全のためのコスト、維持管理費の削減、それがもうけになる、こういった安全のためのコストが削減されることになりはしないのか、こういうことを覚えるわけですが、その点についてはいかがでしょうか。
○松原政府参考人 お答え申し上げます。
官民連携を導入した場合でも、下水道管理者は地方公共団体でございまして、地方公共団体が事業の最終責任を負った上で実施することとされておりまして、民間事業者が提供するサービス内容や水準、災害対応等の安全、安心に関する役割分担といった管理運営の内容については、契約で明確に規定することとなっております。
また、地方公共団体は、民間事業者が契約に従い適正かつ確実にサービスを提供しているか、実施状況を定期的にモニタリングすることとしております。モニタリングの結果、求める基準を満たさない場合には、地方公共団体が民間事業者に対して速やかに改善の指示などをすることも可能でございます。
なお、官民連携の取組につきましては、これまで大きな問題は生じていないと聞いておりまして、事業が適切に実施されているものと認識しているところでございます。
○塩川分科員 契約に基づいて、元の基準について妥当かどうかのモニタリングをするというんですけれども、その元の基準そのものが妥当だったのかということが、是正するというのができないというのがPFI、PPP事業の問題点であるわけで、初期設定について問題があったときに、じゃ、それをしかるべく是正できるのかといったことで、民間の利益との関係でもその点が非常に課題となっているところであります。
官民連携のPFI、PPP事業のメリットとして、民間の人材や技術力の活用ということがありますけれども、自治体側にそういった技術継承が困難になるんじゃないのかという懸念の声があるわけですよ。
埼玉県も検討会議を行っておりますが、これまで、ウォーターPPPを含めた検討を行う会議において、委員の方の意見としても、ウォーターPPPを導入し始めると埼玉県の中にノウハウが残らなくなってしまうのではないか、例えば十年間発注して、民間企業も営利目的でやっているので、そこで何か問題があったとき、やはり違う事業者に委託したいとなったときに、県の方にノウハウが残らないとなかなか苦しいことになる、事業者を別に変えようと思ったときに、自治体側にノウハウ、技術、技能、蓄積がなければ、そういった新たに切り替えることについても困難さが伴うという意見も出ておりましたし、ウォーターPPPについては、他の地方公共団体でも技術継承がしっかりできるかというところが大きな懸念として挙げられている、このように危惧の声が上がっているわけであります。
このような、PPPなど民間委託が進むことで自治体における技術継承が困難となるのではないか、こういう危惧については、国としてはどのように受け止めておられますか。
○松原政府参考人 ウォーターPPPについては、自治体の技術系職員を始めとした下水道事業を担う方々が減少する中で、下水道の基盤強化に向けた有効な施策であると認識しておるところでございます。
また、官民連携においても、地方公共団体が責任を持って下水道事業を適切に行うために、議員御指摘のとおり、地方公共団体職員の技術承継は重要だと考えております。
官民連携の事例におきましては、先ほども申し上げたモニタリングの実施により、民間事業者が提供するサービス内容や水準が契約どおりに適切に行われているのかを確認するほか、地方公共団体の職員が運営状況などについて民間事業者と定期的に打合せや報告徴収を行っております。
さらに、地方公共団体の職員の方が民間事業者による事業運営に関する研修に参加し、技術やノウハウの共有を図る取組や、民間に委託する処理区を限定して、地方公共団体の職員が事業を行う部分を残すなどによりまして、地方公共団体における技術承継のための工夫をしていると承知しております。
国土交通省といたしましては、持続可能な下水道事業に向けまして、職員の技術継承の重要性やその事例について、ガイドラインなどで地方公共団体に周知、情報提供してまいります。
○塩川分科員 しかし、実際に下水道事業における職員数というのは大幅に減ってきているというのがこれまでの推移であります。
大臣にお尋ねいたしますが、下水道事業において国が広域化、民間活用を推進したことによって、下水道事業に従事する職員数は大幅に削減をされてきました。下水道職員数は、一九九五年の約四万七千人から、二〇二三年には約二万七千人へと激減をしております。埼玉県においても、二〇〇四年の二百四十八人から二〇二四年の二百二十九人へとの減少もあります。こういったことが下水道事業の維持管理や技術、技能継承を困難にしてきているのではないのか。その背景に、地方行革指針などを踏まえた、総務省が自治体職員における技能労務職員の正規採用の抑制や業務の民間委託を進めたことが今回のような事故の遠因となっているのではないのか。ここの点について、大臣、お答えください。
○村上国務大臣 御承知のように、埼玉県八潮市における今回の道路陥没事故につきましては、事故原因に係る調査が進められているというふうに承知しております。
また、技能労務職員を含む自治体の定員につきましては、各自治体において、行政の合理化、能率化を図るとともに、行政課題に的確に対応できるよう、地域の実情を踏まえつつ、適正な定員管理に努めていただくことが重要と考えております。
一方で、下水道事業については、事業に従事する職員数が減少傾向にある中で、将来にわたり持続可能な経営を確保するための取組を進めることが全国的な課題となっております。
このために、総務省としましては、中長期的な経営の基本計画である経営戦略を適切に策定、改定しながら、計画的に組織、人材の強化を図りつつ、業務効率化にも取り組むよう自治体に助言してまいったところであります。引き続き適切に対応してまいりたい、そういうふうに考えております。
○塩川分科員 技能労務職員については、民間水準と比べると給与も高いからそれを下げろとか民間委託をしろとか、これを推進してきたのは総務省であるわけですから、その結果としてこういった下水道職員の現場の職員数の減少にもつながっているし、そのことが技術、技能継承を困難にして、実際の建設のときにいたようなスタッフが今はほかの部署に移って、維持管理に従事するような専門職員が減らされて、実際配置がされていないとかいう現場の実態を踏まえたときにも、こういった技能労務職員を減らすようなそういったリストラを進めてきた国の姿勢というのは厳しく問われる。こういったことを大本から改めて、必要な職員を配置する地方財政措置というのを求めたいと思っています。
下水道事業におけるウォーターPPPの推進が、民間の利益追求によって安全のためのコストが削減をされる、また、自治体における技術継承が困難となる、さらには、情報開示の後退によって監視機能の低下といった重大な危惧が生じる。宮城県の問題などでもそのことが指摘をされております。こういった国の交付金を脅しの材料にしたウォーターPPPの押しつけはやめるべきだということを申し上げておきます。
残りの時間で、米軍所沢通信基地内の火災問題についてお尋ねします。
昨年十二月二十日午後一時過ぎ、米軍所沢通信基地内で火災が発生し、埼玉西部消防組合の消火活動により午後三時過ぎに鎮火をしましたが、基地内の約一ヘクタールの草地が焼損しました。火災は、基地北側中心部から美原中学校東のアンテナ周辺まで広がり、西側フェンスに沿った歩道部分まで焼け広がりました。
美原中学校では、休み時間中、煙を吸わないように校舎に戻るとか、下校の際は米軍通信基地を避けるなどの対応が取られ、市民生活にも大きな影響がありました。
米軍の要請により、埼玉西部消防組合が基地内に立ち入り消火活動を行いましたが、火災原因の究明に自治体消防は関与しておりません。地域住民の生活に多大な影響を及ぼしかねない火災だったのに、鎮火に当たった地元自治体消防が火災原因究明に関与できないのはおかしいのではないのか、総務大臣としてお答えください。
○村上国務大臣 米軍の所沢通信施設につきましては、地元消防当局である埼玉西部消防局と米軍横田基地との間で消防相互応援協定を締結し、万が一の火災等の発生に備えているものと承知しております。
今般の火災においても当該協定に基づき消火活動が行われたものと認識しておりまして、火災の原因究明についてでありますが、日米地位協定において合衆国側は、その施設・区域内において、それらの設定、運営、警護及び管理のための必要な全ての措置を取ることができることとされております。
日米地位協定の解釈につきましては所管外でありますので、日米地位協定の規定に基づき、在日米軍施設・区域への立入りについては、原則として米側の個別の同意が必要となるというふうに承知しております。
以上であります。
○塩川分科員 本当に地域にまで影響を及ぼしそうな、そういった火災であるにもかかわらず、実際に、それも消火活動を行ったのは自治体消防であるわけです。消防法に基づけば、当然、この火災原因の究明というのは自治体消防の責務として行われているわけなのに、米軍基地内であるがゆえに、その原因究明も自治体消防として明らかにすることができない。これは余りにもおかしいのではないのかということで。
過去にも、一九九〇年にもぼやがあって、それを受けて基地のフェンスに、下の方に消防ホースの貫通孔を作ったということもあったそうですから、米軍基地内には消火設備もないわけで、外務省、米軍基地内の火災の鎮火に当たった地元自治体消防が火災原因究明に関与する仕組み、必要じゃありませんか。
○熊谷政府参考人 お答え申し上げます。
日米地位協定第三条の1に基づきまして、米国は、在日米軍施設・区域内におきまして、それらの設定、運営、警護及び管理のため必要な全ての措置を取ることができるとされております。在日米軍施設・区域への日本側の立入りにつきましては、原則として米側の個別の同意が必要となるということでございます。したがいまして、地元自治体の消防当局による立入り、あるいは原因調査が一概に認められるものではないということでございます。
もっともでございますが、施設・区域の使用に当たりましては、在日米軍は、日米地位協定第三条の3に従いまして、公共の安全に妥当な考慮を払うという必要がございます。
外務省といたしましても、地元の自治体の御意向も踏まえつつ、関係省庁とも連携して、米側と緊密に協力してまいる所存でございます。
○塩川分科員 米軍基地内だと口が挟めないというのが前提になっている地位協定、その下で、地域住民が影響を受けかねない火災についても、その原因の究明について自治体消防が責任を持って行うことができない、これは余りにもおかしいということについて、結局、地位協定ですからという回答だけでは、これでは納得がされない。
例えば、二〇一五年八月に、米陸軍相模原補給廠内の倉庫において爆発を伴う火災が発生しました。事故現場は酸素ボンベ等が保管をされていた場所で、相模原市の消防局は、在日米陸軍からの依頼に基づき、消防隊員を出動させたわけであります。相模原市議会は、在日米陸軍に対して、原因究明に当たっては、最終的な調査結果を発表する前においても、適時適切な情報提供に努めることなどを要請しておりました。その後、在日米陸軍立会いの下、同市職員が基地内に立ち入り、酸素ボンベの保管場所や保管状況を現場確認しております。少なくとも、このような地元自治体の関与を保障すべきだ。
防衛省にお尋ねしますが、米軍と米軍基地所在自治体消防との間で消防相互応援協定が締結されている例があります。米軍所沢通信基地と埼玉西部消防組合は、消防相互応援協定を締結しておりますが、公表しておりません。横浜市や岩国市など、協定文書を公表しているところもあります。埼玉県内にある米軍基地である大和田通信所や、また、キャンプ朝霞など、全国の米軍基地と地元消防との消防相互応援協定はどうなっているか、明らかにしていただきたい。所沢通信基地の協定を始め、協定内容を公表すべきではありませんか。
○森田政府参考人 お答え申し上げます。
米軍基地と地元消防との消防相互応援協定につきまして、防衛省として網羅的に把握しているわけではございませんけれども、お尋ねの大和田通信所、キャンプ朝霞につきましては、地元の消防当局である朝霞地区一部事務組合と横田基地との間で消防相互応援協定が締結されているということを確認しております。
その上で、お尋ねの所沢、あるいは大和田、キャンプ朝霞に係る消防相互応援協定につきましては、米側に確認をしたところ、本協定は二者間で保有するものであり、公表を念頭に置いたものではない旨の回答があり、また、消防当局の方からも同様の認識が示されたところでございます。
このことから、防衛省からはその内容を明らかにすることができないことについては御理解願いたいと存じます。
○田所主査 申合せの時間が経過しましたので、御協力をお願いします。
○塩川分科員 明らかにしている、公表している自治体もあるわけですよ。そういった点においても、やはり地元の住民の暮らし、安全を守るためにも、こういった火災原因の究明に地元消防が関与する仕組みをつくることが必要ですし、そもそも、米軍特権を認めている日米地位協定の抜本改定を求めて、質問を終わります。