【政治改革に関する特別委員会】企業・団体献金規制の立法府の議論の積み重ね

 私は、企業・団体献金を規制する国会での議論の積み重ねを無視し、いまだに企業・団体献金に固執する自民党をただしました。

 政治資金規正法は1948年の制定以来、度重なる贈収賄事件を受け、政府の審議会も繰り返し「企業・団体献金の禁止」「資金は個人に限る」と答申してきました。

 75年にようやく、企業・団体献金の質的規制と量的規制を導入。

 私は、▼補助金受注企業や赤字会社、外国人からの献金禁止、▼献金額の上限規制、▼政党・政治資金団体以外への企業・団体献金を禁止する受領者規制などが、設けられてきた理由について質問。

 総務省選挙部長は、「補助金受注企業が、国などと特別な関係を維持・強固にすることを目的とする寄附を防止するため」「株主に利益配当もできない会社が寄付することは適当ではないため」「外国の勢力によって影響を受けることを未然に防ぐため」、「量的規制は、巨額の政治資金が政治の腐敗・癒着に結びつきやすいため」、「受領者制限は、政治資金の調達を政党中心にするため」であったと答弁しました。

 私は「この議論の積み重ねをどう考えるか」と質問。

 自民党の小泉進次郎議員は「企業・団体献金の完全な禁止を目指す趣旨の議論をしてきたわけではない」などと答弁。

 私は「そもそも、一連の法改正のきっかけは自民党の不祥事だ」と批判し、企業・団体献金の禁止に踏み出すべきだと強調しました。

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議論積み重ねを無視/衆院政治改革特委/企業・団体献金規制/塩川氏が批判

「しんぶん赤旗」3月27日・2面より

 衆院政治改革特別委員会は26日、企業・団体献金を巡る与野党の法案について質疑を行いました。日本共産党の塩川鉄也議員は、企業・団体献金を規制する立法措置を積み重ねてきた国会の議論を無視し、いまだに企業献金に固執する自民党をただしました。

 政治資金規正法については1948年の制定以来、自民党の度重なる贈収賄事件を受け、政府の審議会も繰り返し「企業・団体献金の禁止」「資金は個人献金に限る」と答申。75年にようやく企業・団体献金に量的規制と質的規制が導入されました。

 塩川氏は、▽国から補助金を受けている会社、赤字会社、外国人からの献金禁止▽献金額の上限▽政党・政治資金団体以外への献金を禁止する受領者規制―などが設けられてきた理由について質問。総務省の笠置隆範選挙部長は「補助金受注企業が国などと特別な関係を維持・強固にすることを目的に寄付することを防止するため」「株主に利益配当もできない会社が寄付することは適当でない」「外国の勢力によって影響を受けることを未然に防止するため」だと説明。量的規制は巨額の政治資金が政治の腐敗・癒着に結びつきやすいために設けられ、受領者制限は政治資金の調達を政党中心にするためだったと答弁しました。

 塩川氏は「この議論の積み重ねをどう考えるのか」と質問。自民党の小泉進次郎議員は「企業・団体献金の完全な禁止をめざす趣旨の議論をしてきたわけではない」などと答弁しました。塩川氏は「そもそも一連の法改正のきっかけは自民党の不祥事だ」と批判し、企業・団体献金禁止に踏み出すべきだと強調しました。


「議事録」

第217回通常国会 令和7年3月26日(水曜日)政治改革に関する特別委員会 第11号

○塩川委員 日本共産党の塩川鉄也です。

 法案提出者にお尋ねをいたします。

 前回の質疑で、政治資金規正法の基本理念にある国民の浄財について議論をいたしました。政治献金は国民の政治参加の一つで、参政権に結びついた国民の権利であり、国民の代表を選ぶ選挙権、投票権といった参政権は憲法十五条で国民固有の権利としており、ここには企業、団体は含まれないと私も述べたところであります。

 一方で、自民党提出者は、企業、団体が政党に寄附を行うことは憲法第二十一条に基づく政治活動の自由の一環として認められている、自然人たる国民と同様に政治活動の自由、そして判例にもありますように政治活動の自由の一環として政治資金の寄附の自由も有する、一方で納税の義務も負っている、また、八幡製鉄の最高裁判決では、憲法上は公共の福祉に反しない限り会社といえども政治資金の寄附の自由を有すると言わざるを得ず、これをもって国民の参政権を侵害するとなす論旨は採用の限りでないというふうに判示されていると述べておられます。

 そこで、質問通告の順番を変えて、一九七〇年の最高裁判決に関する問いからお尋ねします。

 このように自民党の提出者は一九七〇年の最高裁判決を述べておりますが、後段部分が入っていないわけですね。一九七〇年の最高裁判決は、大企業による巨額の寄附は金権政治の弊を生むべく、また、もし有力株主が外国人であるときは外国による政治干渉となる危険もあり、さらに豊富潤沢な政治資金は政治の腐敗を醸成するというのであるが、その指摘するような弊害に対処する方途は差し当たり立法政策にまつべきであると述べているわけです。そこで、自民党提出者にお尋ねしますが、この一九七〇年の最高裁判決は企業・団体献金の弊害を認め、その対策は立法政策にまつべきと述べており、企業・団体献金禁止の立法を否定していないと考えますが、改めて見解を聞かせていただきたいと思います。

○長谷川(淳)議員 お答えをいたします。

 八幡製鉄事件最高裁判決における御指摘の判決文のくだりでございます。正確には、上告人が指摘するところによると大企業による巨額な寄附は金権政治の弊を生むべくという文脈でございます。あくまでも上告人の主張を引用するものであって、最高裁が御指摘のような弊害を認定したわけではないというふうに私どもは受け止めております。

 その上で、最高裁はニュートラルに、以降、その指摘するような弊害に対処する方途は差し当たり立法政策にまつべきことであってとしておりまして、すなわち、弊害という立法事実が存在する範囲内において、公共の福祉による制約の必要性、合理性が認める範囲内で制約するというふうに私どもは認識をしています。

 判決が示された昭和四十五年以降、累次の政治資金規正法の改正が行われたことは委員御指摘のとおりでございます。加えて、今回、企業・団体献金について禁止という最大限の制約を課す立法事実は我々としては見出すことができないと考えているところでございます。

○塩川委員 立法政策にまつべきと。既にこの間、戦後の歴史においても、政治資金規正法に関して企業・団体献金を規制する、そういう措置が行われてきているということがあるわけであります。

 昨年の委員会でも議論しましたけれども、一九四八年の政治資金規正法制定以降、様々な企業・団体献金規制の立法措置が行われてまいりました。

 戦後、昭和電工事件や造船疑獄などがあり、一九六一年、当時の池田勇人総理の諮問を受け、第一次選挙制度審議会は、会社、労働組合その他の団体が選挙又は政治活動に関し寄附をすることは禁止すべきものであると答申しております。六三年の二次審におきましても、選挙資金及び政治資金についての寄附は個人に限る、会社、労働組合その他の団体からの寄附は禁止するという第一次審議会の答申を再確認するものとすると答申しております。さらに、黒い霧事件もあり、六七年の第五次審では、政党はおおむね五か年を目途として個人献金と党費によりその運営を行うと答申しております。そういう中で、ようやく企業・団体献金に量的規制や質的規制が盛り込まれたのが一九七五年の改正であります。

 総務省にお尋ねいたします。一九七五年の法改正で、企業・団体献金に対し、補助金等を受けている会社や赤字会社、外国法人等からの献金禁止などの質的制限を加えた理由は何か、お答えください。

○笠置政府参考人 一九七五年、昭和五十年でございますけれども、昭和五十年の政治資金規正法改正によりまして、一定の補助金等の受給企業による寄附の禁止、あるいは赤字企業による寄附の禁止等のいわゆる質的制限の規定が設けられたところでございますが、改正案の提案理由におきましては、最近における国民世論の動向と政党政治の現状とを考慮しつつ、現実に即した政治資金の授受の規制、政治資金の収支の公開の強化、個人の拠出する政治資金に対する課税上の優遇措置などを講ずることにより政治活動の公明と公正を図るべくこの法律案を提出することとしたと述べられております。

○塩川委員 いや、個々に聞いているんですけれども。補助金等を受けている会社、赤字会社、外国法人、これらについて献金禁止などの質的制限を加えた理由はそれぞれどういうふうに説明していますか。

○渡辺委員長 速記を止めてください。

    〔速記中止〕

○渡辺委員長 速記を起こしてください。

 笠置政府参考人。

○笠置政府参考人 大変失礼しました、まず補助金等受給企業からの政治献金の禁止、これは昭和五十年改正ということでございますが、こちらにつきましては、国から補助金等や出資等を受けている会社その他の法人が補助金等を受けていることにより国と特別な関係に立ち、その特別な関係を維持又は強固にすることを目的として不明朗な政治活動に関する寄附がなされるおそれがあるということで、それを防止しようという趣旨でございます。

 あと赤字会社ですね。

○渡辺委員長 速記を止めてください。

    〔速記中止〕

○渡辺委員長 速記を起こしてください。

 笠置政府参考人。

○笠置政府参考人 赤字会社につきましては、二十二条の四で規制をされてございますが、こちらにつきましては、会社が営利を目的とする企業体である以上、株主に対する利益配当もできないという経営状態にあるにもかかわらず政治活動に関する寄附をすることを許容するということは適当ではないこと、また、過去の事例から見てこのような赤字会社が寄附を行うことについては疑惑がつきまといがちなこと等の理由によって禁止措置を講じたということになってございます。(塩川委員「外国」と呼ぶ)外国、ちょっと待ってください。

○渡辺委員長 速記を止めてください。

    〔速記中止〕

○渡辺委員長 速記を起こしてください。

 笠置政府参考人。

○笠置政府参考人 外国人等からの寄附の禁止ということでございます。二十二条の五でございますが、こちらにつきましては、我が国の政治や選挙が外国人や外国の組織、外国の政府など外国の勢力によって影響を受けることを防止しようという趣旨でございます。大変失礼しました。

○塩川委員 質的制限ということで、補助金等を受けていて国や地方自治体との特別な関係に立っているという点での不明朗なことは許されないということであり、また、赤字企業の場合には配当もできないような経営状態なのに寄附するというのは許容できないよねということであり、外国勢力によって影響を受けることを未然に防止しよう。それぞれ、一九七五年におきまして企業・団体献金についての質的な制限を加えるという措置が取られてきました。

 引き続きお尋ねしますけれども、同じ一九七五年の法改正では企業・団体献金に上限を設ける量的制限を加えておりますけれども、その理由は何だったでしょうか。

○渡辺委員長 速記を止めてください。

    〔速記中止〕

○渡辺委員長 速記を起こしてください。

 笠置政府参考人。

○笠置政府参考人 昭和五十年の改正によりまして量的制限が設けられたところでございますが、こちらにつきましては、それ以前はそういった規定はなかったわけでございますが、巨額の政治資金の授受が政治の腐敗、癒着に結びつきやすいことから、寄附者の立場に着目して、寄附をそれぞれ相応な額に制限することとし、量的な面から規制をしようとしたものでございます。

○塩川委員 巨額の政治資金の授受が政治の腐敗、癒着に結びつきやすいことからということでの量的な制限で、その後、ロッキード事件やリクルート事件がありました。九〇年の第八次審でも、将来の姿としては政党の政治資金も個人の拠出により支えられるようになることが望ましいと答申をしております。

 そういうものも受けて、また総務省にお尋ねしますが、一九九四年の法改正で政党、政治資金団体、資金管理団体以外への企業・団体献金を禁止しましたけれども、企業・団体献金の受領者を制限したその理由は何かについて説明を求めます。

○笠置政府参考人 平成六年の政治資金規正法の改正でございますが、こちらは政党本位、政策本位の政治を目指し政党中心の政治資金制度に改めようとしたものであると認識しておりまして、これに伴いまして、企業・団体献金についても政党、政治資金団体及び資金管理団体に対するものに限るものとされたということでございます。

○塩川委員 その五年後の九九年の法改定で資金管理団体への企業・団体献金を禁止しております。企業・団体献金の受領者を制限した理由は何でしょうか。

○笠置政府参考人 政治家個人の資金管理団体に対する寄附の禁止ということでございますが、こちらは平成十一年の政治資金規正法の改正で禁止することとされたものでございますが、こちらは、先ほど述べました平成六年の改正法の附則第九条の趣旨にのっとりまして、政治家個人の資金管理団体に対する企業・団体献金について平成十二年一月一日から禁止をすることとされたものでございます。

○塩川委員 ですから、政党中心にといいながら、要するに政治家個人のはまずいよねという形での規制が成ったということと、九九年については派閥についてもこれは駄目だよねという形で、一連の規制がずっと加えられてきているわけであります。

 そこで、自民党と立憲民主党、日本維新の会の提出者の方にそれぞれ伺いますけれども、このように金による特別な関係を絶つ、疑惑を未然に防止するということで企業・団体献金の規制を行ってきた歴史があるわけですが、立法府における、企業・団体献金を制限し、禁止に係るこのような議論の積み重ねをどのように考えておられるでしょうか。

○小泉(進)議員 平成の政治改革におきましては、企業・団体献金を受け取れるのは政党、政治資金団体に限るという改正が行われたところ、これは政治資金の調達を政党を中心とするために行われたものでありますから、企業・団体献金を完全に禁止する趣旨ではないと承知しています。

 また、昭和五十年改正では、今、塩川先生御指摘のとおり、量的制限及び質的制限を設けたところ、この点については企業・団体献金だけでなく個人献金についても設けられたものと承知をしています。

 このように、立法府における企業・団体献金に関する議論の積み重ねを見ると、決して企業・団体献金の完全な禁止を目指すものとは言えず、しかも、この議論の積み重ねの中で、三十年前の政治改革についての事実認識に我々与野党で合意ができない、禁止を合意したものが三十年前のものではないという我々の、あと有識者の一次史料が二次史料を優先するということも合意できないという中で、改めてここで禁止とすることは私は議論の積み重ねを見ても誤りだと捉えていますので、公開を強化する、そういった方向性で積み重ねを更に重ねていく、これが私はあるべき姿ではないのかと思っております。

○井坂議員 ありがとうございます。

 先ほどの議論を聞いていて私も大変勉強になりましたが、一九七五年改正で、特別な関係ができてしまうとか、あるいは腐敗に結びつくとか影響を与える、そういう理由で献金が禁止をされて、そして九四年、九九年で、政党中心ということで、まず個人、そしてまた資金管理団体への献金が禁止をされた。ところが、その流れでいって結局政党への献金は引き続き認められていて、さらに政党支部経由の献金がまかり通ることになった結果、企業・団体献金の抜け道としてさらにはパーティーも引き続き認められて、それがまた今回の自民党派閥によるパーティー収入の裏金問題にもつながっている、こういう流れであります。

 企業・団体献金の禁止というのはこの間ずっと懸案になっており、しかも、政党には認めるといいながら結局、政党支部経由で個人にも、またパーティーを使って個人にもということがいまだに行われているというこの状況に対して、昨年末ようやくこの衆議院の政治改革特別委員会において、令和六年度末までに結論を得る、ここまで議論が積み重なってきたところであります。

 我々は五党派で企業・団体献金の禁止法案というものを提出しておりますので、きちんとした意思決定さえなされればこの年度末までに企業・団体献金禁止という結果が出せるというふうに議論の積み重ねからも考えております。

 以上です。

○池下議員 お答えいたします。

 今言っていただきました立法府における企業・団体献金の議論の積み重ね、これは非常に大事、重要であると考えております。また、我々も企業・団体献金の抜け道のパーティーの問題だったり様々議論があるかと思いますけれども、ただ、昨年の臨時国会で企業・団体献金の禁止法案については衆議院政治改革特別委員会において精力的に議論を行って令和六年度末までに結論を得るとの申合せを行ってから既に三か月が経過しております。この政治改革特別委員会の場でも各会派でかんかんがくがくの議論を行ってまいりました。その上で、企業・団体献金の禁止は三十年前の平成の政治改革に決着をつけるものでありまして、再度期限を切ったとしても延長の繰り返しになるのではないかという思いもあります。

 しかしながら、現在、国民、公明の両党案が提出されるやに聞いております。そうであれば、何年、何か月というわけにはいきませんが、数日程度は真摯に議論、協議をさせていただきたいと思っておりますし、また、日頃から公明、国民両党を含めた理事の皆様とも大変議論をさせていただいているところから、しっかりと結果を得られるようにしていきたいと考えております。

○塩川委員 政党中心といいながらも実際には政党支部という形、またパーティー券の購入といった形での、政治家個人への抜け道が二つも残されているということが大きな課題ということもありますし、政党中心といいながら、今回の自民党の裏金問題というのは、派閥の人員を全部足し上げれば自民党所属議員の過半数になるという点でいえば、まさに政党ぐるみの問題という点で、政党中心ということが本当に問われている、それが成り立っていないんじゃないのかということがまさに焦点となっているときですので、改めて企業・団体献金に踏み出していくその転機だということであります。

 そもそも一連のこういった法改正が行われるきっかけとなったのは、自民党の皆さんの不祥事がきっかけですから、そこへの反省がそもそも求められているということを強調したいと思います。

 八幡製鉄の最高裁判決についても、先日の参考人質疑で四人の参考人の皆さんがそれぞれ、八幡製鉄の最高裁判決で企業献金を合憲としているから企業・団体献金の禁止はできないと言った参考人は一人もいなかったわけでもありますので、こういうことは重く受け止めるべきだということを述べ、質問を終わります。