【内閣委員会】PFASの汚染源特定し原因者負担求めよ/全国10の自衛隊施設の汚染明らかに

 私は、栃木県内の下野市や宇都宮市で、発がん性が指摘される有機化合物PFASによる汚染が相次いで検出されている問題についてただしました。

 私は、上水に使用している地下水が汚染された下野市は、国に対し新たな水源井戸や浄化施設等の経費への支援を要望しているとして、対応を質しました。国土交通省は新たな水源井戸については財政支援可能としつつ、浄化施設については給水人口の要件が5万人未満となっているため、下野市は対象とならないと答弁しました。私は、下野市の給水人口は約5万7000人だと指摘し、「それで要件から外れて、被害を被っている住民に水道料金という形で負担を転嫁するのはおかしい」と強調しました。

 私は、汚染源を特定し原因者負担を求めていくことが重要だと述べ、防衛省に対し、防衛省・自衛隊施設における自己水源の水質結果について質問。防衛省は、小平(260ナノグラム)、東立川(343ナノグラム)、伊丹(53ナノグラム)、大久保(64ナノグラム)、宇都宮(112ナノグラム)、航空自衛隊の岐阜(86ナノグラム)、芦屋(2800ナノグラム)、府中(245ナノグラム)、山田分屯基地(58ナノグラム)、新田原(560ナノグラム)の施設の水源から暫定目標値を超えるPFOS・PFOAが検出されたと答えました。私は、宇都宮駐屯地の北にある北宇都宮駐屯地では、専用水道がありながらも使用していないという理由で調査が行われていないことを確認。「宇都宮駐屯地や北宇都宮駐屯地が汚染源である疑いがある」としてPFOSを含む泡消火薬剤の保管・使用実績や土壌調査を求めました。

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10基地PFAS目標値超/自衛隊 塩川氏に防衛省答弁

「しんぶん赤旗」4月12日・4面より

 発がん性などが指摘される有機フッ素化合物(PFAS=ピーファス)を巡り、防衛省は9日の衆院内閣委員会で、自衛隊10基地で国の暫定目標値(1リットルあたり50ナノグラム)を超えていたことを明らかにしました。日本共産党の塩川鉄也議員の質問に答えました。

 防衛省が今年3月までに基地内の水源を調査。目標値を超えていたと明らかにしたのは、陸自の小平(東京都)、東立川(同)、伊丹(兵庫県)、大久保(京都府)、宇都宮(栃木県)各駐屯地、空自の岐阜(岐阜県)、芦屋(福岡県)、府中(東京都)、新田原(宮崎県)各基地、山田分屯基地(岩手県)です。最も多かったのが芦屋の2800ナノグラムで、目標値の56倍に達しています。

 また、塩川氏は上水に使用している地下水がPFASに汚染された栃木県下野市は、水源井戸や浄化施設等の経費への支援を要望しているとして、対応をただしました。国土交通省は新たな水源井戸については財政支援可能としつつ、浄化施設については給水人口の要件が5万人未満となっており、下野市は対象外だと答弁しました。塩川氏は、下野市の給水人口は約5万7000人だと指摘し、「それで要件から外れて、被害を受けている住民に水道料金という形で負担を転嫁するのはおかしい」と強調しました。

 塩川氏は、宇都宮駐屯地や北宇都宮駐屯地が汚染源の可能性があると述べ、北宇都宮では、専用水道がありながらも使用していないという理由で調査が行われていないことを確認。両基地でPFOSを含む泡消火薬剤の保管・使用実績や土壌調査を求めました。


「議事録」

第217回通常国会 令和7年4月9日(水曜日)内閣委員会 第12号

○塩川委員 日本共産党の塩川鉄也です。

 発がん性が指摘をされる化学物質である有機化合物、PFASの汚染が全国で問題となっております。

 栃木県の下野市では、上水に地下水を使用しておりますが、二か所の井戸で国の暫定目標値を超えるPFASが検出をされました。市は、臨時給水所の開設や新たな井戸の掘削などの対応に追われております。

 先日、現地を訪問し、お話を伺ってまいりました。臨時給水所には、一週間に二回来ているという男性の方がいらっしゃいまして、二リットルのペットボトル十二本を抱えて給水に来ておられました。いつまでこんなことが続くのか、汚染源はどうなっているのかということを訴えておられました。

 また、付近の女性の方は、浄水器を買った人が近所でもたくさんいる、うちのは七万円くらいだった、市の補助があるけれども一万円ということでもあり、また、定期的にフィルター交換をしなければいけませんので、それに年間一万数千円かかると言われているという話をしておられました。

 大変な御苦労もある状況でありますし、下野市では畑に農業用の井戸を使用する、農作物への影響も懸念されているということも伺っているところです。

 そこで、国交省にお尋ねしますけれども、上水に使用している地下水がPFASに汚染された下野市は、水道水に関する対策への財政支援を要望しております。新たな水源井戸や浄化施設、緊急連絡管の整備、また水質検査、市民が購入する浄水器への補助及び臨時給水所設置に要する経費等の支援を国として行うことを考えてもらいたいと思いますが、いかがでしょうか。

○松原政府参考人 お答え申し上げます。

 水道施設の整備や水質検査等を含め、水道事業の経営に要する経費については水道料金収入により賄うことが原則ではございます。

 その上で、施設整備に係る支援として、経営条件を判断する指標である資本単価に関する要件や給水人口に関する要件を満たす水道事業者等に対しまして、御指摘の新たな水源井戸や浄化施設、緊急連絡管の整備への財政支援を行うことができることとなっております。

○塩川委員 下野市の場合には、それが要件としては整っているということなんでしょうか。

○松原政府参考人 お答え申し上げます。

 浄化施設については、給水人口の要件を満たしていないものと承知しております。

 現在、環境省において、水道水中のPFAS及びPFOAの水道水質基準への引上げなどについてパブリックコメントを行ったところであり、今春を目途に方向性を取りまとめ、水道法に基づく省令を改正し、令和八年四月一日に施行する予定と聞いております。

 国土交通省としましては、このようなPFASに関する状況も踏まえつつ、引き続き必要な対応の検討を進めてまいります。

○塩川委員 そのようなパブコメを踏まえた対応として、その給水人口の要件などを変更するということがあるということなんでしょうか。

○松原政府参考人 お答え申し上げます。

 繰り返しになりますけれども、引き続き必要な対応の検討を進めてまいります。

○塩川委員 下野市は、やはりこういったPFASの汚染の問題、市民の皆さんから不安の声もあるということで、高度浄化施設を含めて対策を検討中と伺っております。

 補助メニューの話、給水人口の要件に届いていないという、対象とならない要件となっているということですけれども、この給水人口の要件というのは五万人とお聞きしています。下野市の給水人口というのは五万七千九百二十四人ということで、そういう意味では、それで要件から外れてしまうということで、被害を被っている住民の皆さんに結局水道料金という形で負担を転嫁をするというのはおかしいんじゃないのかという点でも、財政力が決して大きいとは言えない自治体に対して、要件緩和をしっかりと踏み込んで考えるべきではないのか。その点についてもう一度。

○松原政府参考人 お答え申し上げます。

 水道事業の経営に要する経費については水道料金で賄うことが原則でございますが、地形や水源等の条件により施設整備費が割高になるなど、経営条件が厳しい水道事業等を対象に財政支援を行っているところでございます。

 このため、資本単価要件や給水人口要件というものを設けているところではございますけれども、いずれにいたしましても、国土交通省としましては、PFASに関する状況も踏まえつつ、必要な対応の検討を進めてまいります。

○塩川委員 PFASというこれまでにない要件との関係でも、それに見合ったような支援策、国の財政措置を行う、このことを強く求めておくものであります。希望する市民の方への血液検査に対する財政支援を行うことなども必要なことだと思っております。

 その上で、やはり、汚染源を特定をし、原因者負担を求めていく、この立場が求められていると思います。

 そこで、下野市で暫定目標値を超える地下水が検出された二か所の水源というのは、下野市の北部に当たり、その北側には陸上自衛隊の宇都宮駐屯地があります。その宇都宮駐屯地内の井戸水からも暫定目標値を超えるPFASが検出をされています。

 油火災の消火のためにPFAS含有の泡消火薬剤を使用してきた。消火訓練なども恒常的に行われてきているわけであります。そういった点で、汚染源としての疑いもあるということで、防衛省の方にお尋ねしますが、防衛省・自衛隊施設における飲用に供している自己水源の水道施設についてPFOS等の水質検査を行ったと承知をしておりますが、その結果について、自治体に報告した事例に関連してお尋ねします。

 自治体に報告した自衛隊の施設の名称と、そこで検出をされたPFOS、PFOAの調査結果のデータ、この二点について、それぞれお答えいただけますか。

○森田政府参考人 お答え申し上げます。

 防衛省としましては、今議員から御指摘ありましたように、隊員等の飲料水の安全確保の観点から、全国の自衛隊施設のうち、隊員の飲用に供する自衛隊施設内の水源を対象としまして、PFOS及びPFOAの調査を今年三月まで実施をいたしました。

 その結果、全国で合計十施設の水源から暫定目標値を超えるPFOS及びPFOAが検出されておりまして、これらの施設におきましては、井戸の運用を停止し、給水口に浄水器を設置するなど、対策を講じてございます。

 また、この調査の結果につきましては、関係自治体及び国土交通省へ情報提供を行っております。

 これらの水源につきましては、自衛隊施設内で使用する専用水道の独自水源でございまして、部外飲用水への供給をしているものではございません。

 具体的な駐屯地名というお尋ねだったと思いますけれども、陸上自衛隊の小平、東立川、伊丹、大久保、宇都宮、航空自衛隊の岐阜、芦屋、府中、山田分屯基地それから新田原、以上十か所でございます。(塩川委員「PFASの数値を。大きい値でいいです」と呼ぶ)数値、失礼しました。

 五十三ナノグラムから、一番大きなもので二千八百ナノグラムでございます。(塩川委員「いや、個別の十の駐屯地ごとに」と呼ぶ)はい。

 まず、岐阜基地におきましては、最大の検出値が八十六ナノグラム、小平におきましては二百六十ナノグラム、東立川におきましては三百四十三ナノグラム、伊丹におきまして五十三ナノグラム、山田分屯基地におきまして五十八ナノグラム、芦屋基地におきまして二千八百ナノグラム、府中基地におきまして二百四十五ナノグラム、新田原基地におきまして五百六十ナノグラム、大久保駐屯地におきまして六十四ナノグラム、宇都宮駐屯地におきまして百十二ナノグラムでございます。

○塩川委員 十の自衛隊施設で暫定目標値を超えるPFASが検出をされております。

 このように、多数の自衛隊施設でPFASが検出をされております。これ以外にも、海上自衛隊の下総航空基地などにおいても、基地内の排水口の三地点で暫定目標値を超えるPFASが検出をされております。浜松基地周辺でも暫定目標値を超えるPFASの検出の事例なども紹介はされているところであります。こういった、全国の自衛隊の施設においてPFASが検出をされるような状況がある。

 あわせて、宇都宮駐屯地の北側には北宇都宮駐屯地もあるんですけれども、この北宇都宮駐屯地内にも専用水道があると承知をしておりますが、これのPFASの検査実績というのはあるんでしょうか。

○茂籠政府参考人 お答えいたします。

 今御質問のありました北宇都宮駐屯地の専用水道につきましては、駐屯地の水量の全量を水道用水供給事業から受水をしているために、PFOS及びPFOAの検査をした実績はございません。

 以上です。

○塩川委員 専用水道としてはあるけれども、それを実際に使用していない、そういうことで調査をしていないということですか。

○茂籠政府参考人 委員御指摘のとおりでございます。

○塩川委員 環境省、国交省の方で、専用水道について、独自水源を持っているようなところについての調査を呼びかけたわけですけれども、自衛隊施設の中でも調べたところもあるんだけれども、実際にそういった専用水道があっても、今は使っていないからということで調査をしていないと。でも、実際にどれだけの汚染が広がっているかということを改めて明らかにする上でも、しっかりとしたPFASの検査を行う必要があると思っております。

 宇都宮駐屯地では、過去、PFAS含有の泡消火薬剤を使用してきたわけであります。宇都宮駐屯地に接する下野市北部で高濃度のPFAS汚染があることを指摘をしましたが、宇都宮駐屯地が所在をする宇都宮市内においても、周辺の十か所以上から暫定目標値を超えるPFASが検出をされています。宇都宮市として独自に調査を行った結果がその大半を占めております。

 その汚染されている地域の北側には北宇都宮駐屯地もあるわけで、こういった、宇都宮駐屯地また北宇都宮駐屯地が汚染源ではないのかという疑いがあるわけですけれども、こういうことについて、防衛省としてはしかるべく確認をすべきではありませんか。

○森田政府参考人 お答え申し上げます。

 PFOS等につきましては、これまでも様々な用途に日本国内において使用されてきたものと承知をしておりまして、現時点におきまして、PFOS等の検出と自衛隊との因果関係について確たることを申し上げることは困難だと考えております。

 その上で、宇都宮駐屯地及び北宇都宮駐屯地におきまして、PFOSを含む泡消火剤につきましては、化審法に基づく規制対象となりました平成二十二年四月以降、消火訓練や実火災での使用はなく、部外への流出事案もないことを確認しております。

 また、令和二年度末までに、保有していたPFOS含有の泡消火剤につきましては処分しておりまして、現在は保有をしていないという状況でございます。

 また、PFOAを含むものにつきましても、規制対象になった以降は使用がなくて、部外への流出等は確認されておりません。また、現時点で保有はないという状況でございます。

○塩川委員 最後に大臣に伺います。

 今言ったように、規制、禁止前にどう使ったのかを明らかにすべきなのに、その点についてのまともな調査をしないというのでは、市民の不安を解消することができません。

 そもそも、こういったPFAS類についての認識、体内にも、環境中にも長期にわたって残り続けるものですし、その点で、食品安全委員会がPFAS摂取量の規制値を定めましたけれども、米欧の基準に比べても、数十倍から数百倍の緩い値となっています。これでは国民の安心、安全を確保することができないのではないのか。それを大本から正していくことが必要だと思うんですが、大臣の認識を伺います。

○伊東国務大臣 有機フッ素化合物、PFASにつきましては、内閣府食品安全委員会におきまして、昨年六月にリスク評価報告書が取りまとめられたところであります。

 評価に当たりましては、耐容一日摂取量について、諸外国において数値が低いものから高いものまである中で、特に欧米において用いた科学的知見も含めて、最新の科学的知見を専門家が一つ一つ丁寧に精査をいたしました。その上で、それらの科学的根拠が何を意味するのか、それだけの重みがあるのかなどを総合的に判断して、耐容一日摂取量を設定したところであります。

 報告書では、まず、この耐容一日摂取量を踏まえた対応を速やかに取るとともに、高い濃度が検出された媒体に対する対応を進めることの必要性につきましても強調されておりまして、現在リスク管理機関におきまして検討中のリスク管理措置が速やかに講じられることが何よりも重要である、このように考えております。

 以上であります。

○塩川委員 規制値を定める論文の選定について非常に疑問があるという声もあるところであります。抜本的な規制策の強化を求めて、質問を終わります。