【内閣委員会】住民主導の交通安全対策/国からの技術的、財政的支援強化を

 私は、地域住民が主体となって交通安全対策に取り組む千葉県船橋市習志野台8丁目町会の取組を紹介し、国からの技術的、財政的支援を強めるよう求めました。

 国土交通省は、生活道路に速度抑制のためのハンプや狭さくといった物理的デバイスを円滑に導入した先進事例として習志野台8丁目をあげています。私は、8丁目町会の取組の特徴について質問。国交省は「住民の方々自身が町歩き点検するなど住民主導で合意形成を図ったことだ」と答えました。

 私は、8丁目町会に現地視察した際に聞いた「近隣の日本大学理工学部の専門家からの協力・アドバイスが力になった」との声を紹介し、他の地域でも取組を進めるために、道路管理者や住民に対して国が専門家を紹介することが有効だと主張。国交省は「自治体を通じて要請があれば専門家を紹介している」と答えました。

 私は、物理的デバイスの設置に対する国交省の補助制度について、「例えば国交省の基準ではハンプの高さは10cmとなっているが、騒音や振動対策としてより低い高さで導入した場合でも対象となるのか」と質問。国交省は「対象となる。地域の方々の理解を得るのは重要だ」と答えました。私は、住民合意を取組の要にしていくことが重要だと強調しました。

衆議院TV・ビデオライブラリから見る


「議事録」

第217回通常国会 令和7年5月21日(水曜日)内閣委員会 第22号

○塩川委員 日本共産党の塩川鉄也です。

 先週に続きまして、生活道路の交通安全対策についてお尋ねをいたします。

 三原大臣に質問いたします。

 交通安全白書では、生活道路における人優先の安全、安心な徒歩空間の整備を掲げております。生活道路の交通環境の整備に当たっては、生活道路を利用する地域住民の参加が欠かせません。地域住民が主体となった生活道路の交通安全対策を推進することが求められているのではないのか、この点についてお答えください。

○三原国務大臣 生活道路の交通環境の整備に当たりましては、地域住民が主体的に参加することが極めて重要であると認識しております。

 現行の第十一次交通安全基本計画におきましても、生活道路における各種対策を実施していく上では、対策着手段階からの一貫した住民の関わりが重要であるというふうにされております。

 なお、内閣府におきましては、令和八年度から開始いたします第十二次交通安全基本計画の策定作業、これを進めているところでありまして、こちらにおきましても、委員御指摘の地域住民の参加の観点、こうしたものも十分考慮してまいりたいと考えております。

○塩川委員 交通安全基本計画の策定の内容についても触れていただきました。地域住民の主体的な参加が欠かせないということであります。

 国交省にお聞きします。ゾーン30プラスの取組の推進に向けた国交省の支援策について確認します。

 国交省は、生活道路への物理的デバイス設置における合意形成のための参考資料を作成しております。物理的デバイスの設置に当たって地域の方々と合意形成がうまくいかないという声があることを踏まえ、生活道路の交通安全対策を円滑に進めた全国の九つの地域の合意形成事例を紹介しております。

 その一つに、船橋市の習志野台八丁目町会の例が紹介されております。私も先日伺ってまいりました。この習志野台八丁目町会の取組の特徴は何なのかについて御説明ください。

○佐々木政府参考人 お答え申し上げます。

 ただいま御指摘いただきました船橋市の習志野台八丁目町会の取組につきましては、大型商業施設の建設を契機といたしまして、懸念される生活道路への通過交通の流入等を防ぐため、狭窄、イメージハンプなどの交通安全対策を実施した事例でございます。

 この事例の特徴といたしましては、地域住民から成る地元町会が中心となりまして有識者への相談を行い、また、住民の方々自身が町歩き点検等を行うといったことを行いました。これら住民が主導となって合意形成を図ったという点が特徴だと認識しております。

○塩川委員 この習志野台八丁目町会の役員の方の話を伺いました。大型店の出店を機に生活道路の交通安全対策を進めようと、町会として、住民アンケートや、またヒヤリ・ハット調査なども行ってきたということで、船橋市や警察、専門家と連携して、住民合意の努力と対策の具体化に取り組んできたとお聞きしました。

 今答弁でもありましたけれども、たまたますぐそばに日大の理工学部がありまして、そこに交通システム工学科というのが置かれていて、その大学の方に直接町会として連絡を取ってお願いしたところ、専門家の方の協力を得ることができたということでありました。交通量の調査や分析、対策案の提示など、貴重なアドバイスを受けたということであります。

 国交省にお聞きしますが、国として、このような道路管理者や住民に対し、専門家の紹介、あっせん、これをきちっと行っていく必要があるのではないのか、この点についてお答えください。

○佐々木政府参考人 ただいま御指摘いただきましたとおり、有識者の方々の御意見を聞きながら進めることというのは非常に重要だと考えております。

 国土交通省といたしましては、ゾーン30プラスの技術的支援の一つとしまして、地方公共団体を通じて有識者派遣の要請があった場合には、的確な課題把握や対策メニューの技術的相談ができるように、有識者の紹介やあっせんを実施しております。

○塩川委員 ですから、自治会や町会など住民の皆さんの方から、自治体、市役所などを通じて国交省に要望すれば、専門家を紹介してもらう、こういう仕組みということで受け止めました。

 そんな際に、国交省の技術支援の一つとして、ETC二・〇によるビッグデータの分析結果の提供とあるわけですけれども、どのようなデータをどのように提供することを具体的に行っているのか、この点について御説明ください。

○佐々木政府参考人 お答え申し上げます。

 今御指摘いただきましたとおり、ETC二・〇のデータを活用して、加工したデータを御提供させていただいております。

 ETC二・〇のデータといたしまして、自動車の走行速度、加速度、あるいは走行経路などが分かります。こうしたものを加工することによりまして、地域内の速度超過割合、車の走った走行台数の中でどれだけ速度超過をしたのかという割合、あるいは急ブレーキ回数を多く用いた箇所、そして抜け道利用などの潜在的な危険がある箇所、こうしたものを整理、抽出したものを御提供させていただいております。

○塩川委員 住民の皆さんが実感をしている、この辺は危ない通りだなといったことをデータで確認をしながら分析を行っていく、それを踏まえて具体的な対策につなげていくという点でも、技術支援の一つとしてのこのようなビッグデータの活用は重要なことだと思っております。

 国交省として、このような技術支援については、その他に、物理的デバイスの整備に関する技術情報の提供ですとか、ハンプにつきましても貸出しをするような、こういう仕組みなどもあるということですので、こういう支援策がきちっと地に足が着いた形で進められていくことを求めていきたいと思います。

 次に、国交省の財政支援について伺いますが、ゾーン30プラスに係る財政支援として、交通安全対策補助制度(地区内連携)ということで紹介をされておりますけれども、この制度というのはどのような補助制度になるんでしょうか。

○佐々木政府参考人 生活道路の交通安全対策は、地域の合意形成に基づきまして進めることが大変重要であると私どもとしても認識しております。

 交通安全対策補助制度の地域内連携につきましては、生活道路の面的な対策を計画的かつ集中的に実施できるよう、一定の区域において、関係住民の代表者、関係行政機関、これらの方々の合意に基づき実施される交通安全対策に対して財政的な支援を行うものです。

 具体的には、速度低下や流入抑制を促すためのハンプや防護柵の設置などの対策について、国が地方公共団体に対しまして補助を行っておるところでございます。

○塩川委員 このような交通安全対策補助制度、地区内連携についてですけれども、この制度については、ゾーン30プラスはもちろん、ゾーン30の場合でも、それにも入っていない、指定となっていない地域においても、要件に合えば財政支援の対象となるということでよろしいでしょうか。

○佐々木政府参考人 御指摘のとおり、この補助金につきましては、ゾーン30の指定にかかわらず、地域の合意形成に基づく面的な対策を実施するなどの補助要件に合致していれば補助の対象となります。

○塩川委員 それで、令和五年度から始まっているこの補助制度なんですけれども、ちょっと時間の関係で予算措置状況については割愛しますけれども、私がこの間お話を聞いてきたさいたま市ですとか船橋市の場合には、生活道路の交通安全対策として防災・安全交付金を使っている例が多いんです。

 このような交通安全対策補助制度の地区内連携と防災・安全交付金の制度との違いは何なのか、その点について説明いただけますか。

○佐々木政府参考人 お答え申し上げます。

 ただいま御説明をさせていただきました交通安全対策補助制度、地区内連携につきましては、関係者間の合意に基づきまして面的な交通安全対策を実施する個別地区に対しまして支援するというものでございます。

 これに対しまして、防災・安全交付金は、交通安全対策を含めて、各地域の課題に応じて地方公共団体が柔軟に活用することができる自由度の高い支援制度になっております。交付金の配分に当たりましては、通学路交通安全プログラムに基づくものや、未就学児が日常的に集団で移動する経路、必ずしも面的に限らず、一定の経路などについて行う交通安全対策に対しまして機動的に支援をすることができるものとなっております。

 国土交通省といたしましては、今後とも、この防災・安全交付金や個別補助制度も活用しまして、地域の御要望に応じて必要な支援を行ってまいります。

○塩川委員 防災・安全交付金について、課題に応じて、自由度の高い、そういった活用が可能だという話で、それはそれとして結構なんですけれども、交通安全対策補助制度の地区内連携について、使い勝手が悪いというようなことでは困るので、そういった点での工夫や措置や、該当の道路管理者の自治体に対してのアドバイスとかが必要なのではないかと思うんですが、利用促進に当たって必要な対策を行うべきではないかと思いますが、いかがでしょうか。

○佐々木政府参考人 お答え申し上げます。

 この補助金の活用の要件になっておりますのが、地域内の合意形成となっております。この合意に基づいて計画を作っていただくというところがやはり一つ大きなネックになっておるところもございますので、先ほど来お答えもさせていただいておりますが、有識者の紹介ですとか、あるいは、ハンプを設けるといっても、ハンプにも、騒音が出るといったような、住民の方々でも御意見は様々ありますので、試しに使っていただけるようなものを導入して、試行という形でやっていただくなど、合意形成を支援するように、私どもとしても、地域の方々の御意見を聞きながら、必要な、柔らかい、ソフトの対策になりますけれども、そういう配慮、支援をさせていただきたいと思っております。

○塩川委員 今、ハンプの話がありました。道路に高まりをすることによって速度抑制を図る。国交省のハンプの高さの基準は十センチというふうに承知しております。しかし、習志野台八丁目町内会でハンプを設置をした、船橋市として実施したわけですけれども、そのハンプの高さは、住民要望に基づいて八センチにしているということなんですね。

 ですから、国交省が一般に示している基準とは違うそういった高さにしているわけですけれども、こういった場合もこれらの事業の補助対象となるということで、どうなのか、お答えください。

○佐々木政府参考人 御指摘のとおり、国土交通省が定めた技術基準では、ハンプの高さは十センチを標準としております。

 ただし、先ほど来申し上げておりますが、地域の交通対策を進める上では皆さん方の御意見は非常に重要でございますので、ハンプが高いと、どうしても騒音が出るとか日常走行が不快になるといったような問題もございます。

 こうしたこともありますので、地域の方々の理解を得るために、必ずしも十センチじゃなくても交通安全対策補助の地区内連携の補助対象とさせていただいております。

○塩川委員 最後に、三原大臣にお尋ねします。

 やはり国のレベルにおきましても、国交省や警察庁や内閣府が連携して取り組んでいく、その基本に、冒頭お答えいただきましたように、住民の意思を尊重していく、住民の理解、合意を取組の要にしていくということが重要だ。

 そういう点でも、現場において、道路管理者の方や警察や、何よりも地元住民の方、こういった方々の意向を踏まえた、そういう住民合意につながるような技術的、財政的な支援が必要ではないかと思いますが、その点についてお答えいただければと思います。

○三原国務大臣 ゾーン30プラスを含む交通安全対策につきましては、国土交通省におきまして、今委員御質問がありましたように、住民合意につながるようなデータの分析結果の提供ですとかハンプの貸出しなど、そうした技術支援、そしてまた、住民等との合意に基づく交通安全対策補助といった財政支援などが行われているものと承知をしております。

 内閣府におきましても、こうした支援が十分に行われるように、国土交通省に、関係省庁に対してしっかりと働きかけをしていきたいというふうに考えております。

○塩川委員 地域住民が主体となった生活道路の交通安全対策が前に進めるように取組をお願いし、質問を終わります。