【内閣委員会】ケア労働者の賃上げは国の責任/達成時期明示して全産業平均並に

 私は、国が決める介護や保育などの公定価格を大幅に引き上げ、介護職員や保育士の賃金を全産業平均並みにするよう強く求めました。

 私は「公定価格は国が決めるものだ。賃上げに対する国の責任を果たせ」と強調。政府の骨太の方針2025でも「政府自身が、物価上昇を上回る賃金上昇の実現に向けて率先すべく、公定価格の引き上げに取り組む」とあると指摘し、現状を確認。厚生労働省は、2024年の介護職員の賃金は全産業平均と比べて8万3000円の差があり、こども家庭庁は、同じく2024年の保育士の賃金は全産業平均より5万7000円低いと答えました。私は「いずれも23年より格差が開いている」と指摘し、政府が「多職種とそん色のない処遇改善を目指す」としていることについて、「いつまでに全産業平均に並ぶ賃金にするという目標をもっているのか」と質問。厚労省とこども家庭庁は具体的な時期を示しませんでした。私は「目標達成時期を明示し、そこに向かって毎年積み上げていくということをしなければ、全産業平均には届かない」と批判。城内実賃上げ環境整備担当大臣は「格差を解消していくのは非常に大事な視点だ」としつつ、目標の達成時期については答えませんでした。私は「ケア労働者の方が、若い人も定着をして、その専門性にふさわしい仕事をしていけるよう処遇改善が必要だ。国の責任で大幅賃上げを行うべきだ」と強調しました。

衆議院TV・ビデオライブラリから見る


介護・保育士賃上げ求める/衆院内閣委/塩川氏が強調

「しんぶん赤旗」12月6日・4面より

 日本共産党の塩川鉄也議員は3日の衆院内閣委員会で、介護や保育などの公定価格を大幅に引き上げ、介護職員や保育士の賃金を全産業平均並みに上げるよう強く求めました。

 塩川氏は「公定価格は国が決めるものだ。賃上げに対する国の責任を果たせ」と要求。政府の「骨太の方針2025」でも「政府自身が、物価上昇を上回る賃金上昇の実現に向けて率先すべく公定価格の引き上げに取り組む」と明記していると指摘し、現状をただしました。

 2024年の全産業の平均賃金との比較について、厚生労働省の林俊宏審議官が介護職員は8万3000円も少なく、こども家庭庁の竹林悟史審議官が保育士は5万7000円も少ないとそれぞれ認めました。塩川氏は「いずれも23年より格差が開いている」と指摘し、政府は「他職種と遜色のない」処遇改善を目指すとしているが、「いつまでに全産業平均に並ぶ賃金にするのか」と追及。林、竹林両審議官は、具体的な時期を示せませんでした。

 塩川氏は「目標達成時期を明示し、そこに向かって毎年積み上げていかなければ、全産業平均に届かない」と批判。城内実賃上げ環境整備担当相は「格差を解消していくのは重要な視点だ」としながら、賃金格差解消の目標達成時期は明らかにしませんでした。

 塩川氏は「国の責任で専門職にふさわしい大幅賃上げを行うべきだ」と強調しました。


「議事録」

第219回臨時国会 令和7年12月3日(水曜日)内閣委員会 第5号

○塩川委員 日本共産党の塩川鉄也です。

 介護職員や保育士の賃上げについてお尋ねをいたします。

 城内大臣に質問します。

 骨太方針の二〇二五では、二〇二九年度までの五年間で、日本経済全体で年一%程度の実質賃金上昇、すなわち、持続的、安定的な物価上昇の下、物価上昇を一%上回る賃金上昇をノルムとして定着させるとして、政府自身が、物価上昇を上回る賃金上昇の実現に向けて率先すべく、以下の三つの取組を総合的に実施するということを述べたうち、その一つの取組として、「公定価格(医療・介護・保育・福祉等)の引上げ」とあります。この閣議決定は引き継いでいるんでしょうか。

○城内国務大臣 塩川委員にお答えいたします。

 お尋ねの公定価格の引上げにつきましては、骨太方針二〇二五におきまして、公定価格、医療、介護、保育、福祉等の公定価格の引上げを省庁横断的に推進することとしており、政府としてその方針に変更はございません。

○塩川委員 省庁横断的に行う、変更はないということで、この医療、介護、保育、福祉等の公定価格の引上げについて、この骨太方針にもあるように、物価上昇プラス一%以上となる、こういう措置を行うということでよろしいですか。

○城内国務大臣 お答えします。

 今後の診療報酬等の公定価格につきましては、賃上げそして物価高を適切に反映させる方針としておりまして、関係省庁において適切に対応することというふうに承知しております。

 また、経済対策におきましては、こうした報酬改定等の時期を待たず、医療機関や介護施設等の経営の改善や職員の方々の処遇改善につながる措置を行い、効果を前倒しすることとした経緯がございます。

 なお、御質問の物価上昇を一%程度上回る賃金上昇が、日本経済全体で二〇二九年度までの五年間で持続的、安定的な物価上昇の下、物価上昇を一%程度上回る賃金上昇をノルムとして定着させることを、委員御指摘の点がこれを意味するものでありましたら、これは中長期的に達成すべき目標でありまして、今回の経済対策のみで達成されるものではないというふうに考えております。

 いずれにしましても、今後も、物価動向あるいは賃上げの状況等を踏まえまして、診療報酬改定等で必要な対応をしていくものと認識しておりまして、適切にそれに従って措置されるものというふうに考えております。

○塩川委員 暮らしを考えた場合には、物価上昇を上回るような賃上げがなければ暮らしていけないわけですから、それにふさわしいような、傾向としてというだけじゃなくて、毎年度毎年度それを達成するんだと。公定価格というのは国が決めるわけですから、責任を持って、政府の責任として行うということを改めて強く求めていくものであります。

 このように、公定価格の引上げを行うということなんですが、国のやる気が問われる課題であって、医療機関などに伺うと、ボーナスをカットするといったような現状もあるわけです。本当に深刻な実態で、ですから転職をされる方もいる。そういった方々が、同じ医療機関の関係ではなくて他産業に転職をする、それほどまでやはり賃金の問題、処遇が深刻だということに対して、しっかりと受け止めた改善策を国の責任で行えということを強く求めたいと思います。

 同時に、全産業平均と格差のある介護や保育などの職種における他職種と遜色のない賃金への大幅引上げが必要であります。

 厚労省にお尋ねしますが、総合経済対策では、介護分野について、「介護職員の賃金は改善してきたものの、他産業とはまだ差があり、人材不足が厳しい状況にあるため、他職種と遜色のない処遇改善に向けて、令和八年度介護報酬改定において、必要な対応を行うこととし、報酬改定の時期を待たず、人材流出を防ぐための緊急的対応として、賃上げ・職場環境改善の支援を行う。」とあります。

 他産業とはまだ差があると述べていますが、介護職員と全産業平均との格差は、現状どのようになっておりますか。

○林政府参考人 お答えいたします。

 お尋ねの介護職員の給与水準でございますけれども、賃金構造基本統計調査によりますと、介護職員の平均の賞与込み給与につきましては、平成二十年六月時点で二十五・五万円でございまして、全産業平均との差はこの時点で十・六万円ございました。その後、累次の処遇改善の取組等の成果によりまして、その差は縮小傾向にはあります。

 直近の統計で把握可能な令和六年六月時点では、これは令和六年度の介護報酬改定による効果はまだ十分反映されていない時点ではございますけれども、介護職員の給与三十・三万円となっております。これは、全産業平均との差は八・三万円という状況でございまして、依然として差がある状況であると認識してございます。

○塩川委員 過去の二十万円という話もありましたけれども、最近の数字でいいますと、二〇二二年では六・八万円、二〇二三年は六・九万円、そして、今、二〇二四年、お答えをいただいた八・三万円と、この三年間を見ても格差が開いているわけなんです。

 物価上昇に見合うような措置が行われていないということを含めて、介護報酬の不十分さの問題、政府の施策の不十分さの問題ということを指摘しなければなりません。

 他職種と遜色のないという、こういった措置をいつまでに行うのか。いつまでに、他職種と遜色のない、全産業平均に並ぶ賃金にするのか、この目標達成時期は持っておりますか。

○林政府参考人 お答えいたします。

 御指摘のように、賃上げで、最近、他産業が先行している状況でございまして、差はまだあり、人材の引き合い状況となっております。依然として人手不足が厳しい状況にあるという状況を踏まえまして、介護職員について、他職種と遜色のない処遇改善に取り組むことは引き続き喫緊の課題であると認識しております。

 こうした状況を踏まえまして、先ほども御紹介いただきました経済対策を踏まえまして、令和七年度補正予算案に、介護分野の賃上げ、環境改善に向けた支援を盛り込んだところでございまして、まずはこうした支援を通じて、経営安定、現場で働く幅広い職種の方々の賃上げにつながるよう取り組み、さらに、令和八年度報酬改定においても、介護職員を始めとする介護分野の職員の他職種と遜色のない処遇改善に向けて予算編成過程で取り組んでいく所存でございますが、具体的にいつまでという目標を政府として持っているものではございません。

○塩川委員 いつまでという目標がないんですよ。それじゃ、目標もなしに、毎年毎年積み上げても、目標を達成できるかどうか分からないわけですから。いつまでに達成しますよと、それを踏まえた措置を毎年毎年積み上げるということ、これをやらなければ、実際に、遜色のない、そういった賃金に届かないままなんじゃないですか。どうですか。

○林政府参考人 お答えいたします。

 具体的な処遇改善の水準につきましては、他産業との人材の引き合いの状況、職務内容、職責、人材に求められる資質、専門性などなどを踏まえました多角的な検討が必要な問題でありまして、繰り返しでございますが、現時点で政府として具体の目標を掲げているものではございません。

○塩川委員 いや、だから、他産業との差を埋める気がないんじゃないのかということも疑わざるを得ないわけであります。

 十二月二日に財政制度審議会が建議を出しました。この財政審の建議において、介護分野の職員の処遇改善に関して、「目指すべき賃上げ率・額については、現状、介護分野の事業所は小規模であることを踏まえて、介護職員の賃金の比較対象として、同様の規模の企業の従業員の賃金を参照することも検討する必要がある。」としております。

 つまり、介護職員の賃上げ目標について、全産業平均、他職種と遜色のない、そういう賃金水準ではなくて、中小・小規模事業者との比較での賃金、これと検討する必要があるということなんですが、そういう検討を行っているんですか。

○林政府参考人 お答えいたします。

 御指摘の資料は財政審議会の資料ということでございまして、私としてお答えできる内容ではございません。

○塩川委員 こんな話が出ているときに、しっかりとした目標、達成時期を示していく、それなしには人手不足も解消しない、処遇の改善につながらない、このことこそしっかり行えということを求めます。国の責任で、専門職にふさわしい大幅賃上げを行うべきであります。

 次に、こども家庭庁、保育士の処遇改善について聞きます。

 全産業平均と保育士の賃金の格差はどうなっているのか、過去五年間の推移を明らかにしてください。

○竹林政府参考人 お答え申し上げます。

 厚生労働省の賃金構造基本統計調査におきまして、月収換算の職種別の平均賃金を見ますと、二〇二〇年では保育士三十・三万円、全産業平均三十五・二万円と比べ四・九万円の差、二〇二一年では保育士三十・九万円、全産業平均三十五・五万円と比べ四・六万円の差、二〇二二年では保育士三十一・九万円、全産業平均三十六・一万円と比べて四・二万円の差、二〇二三年では保育士は三十二・一万円、全産業平均の三十六・九万円と比べ四・八万円の差、二〇二四年では保育士は三十二・九万円、全産業平均三十八・六万円と比べ五・七万円の差となっております。

 直近では差が広がっているものの、処遇改善に取り組み始めた二〇一二年度の差額八・七万円と比べまして、差は改善しているところでございます。

○塩川委員 いや、だから、直近でいえば開いているんですよ。ですから、やはり政府の措置が非常に不十分だということがそこにもはっきり表れているわけです。

 同じように、保育士の賃金について、政府は全産業平均にするという目標は持っているんでしょうか。

○竹林政府参考人 お答え申し上げます。

 保育士等の処遇改善につきましては、令和七年度補正予算案では五・三%の改善を計上しており、これを含め、平成二十五年度以降では、累計で約三九%の改善を図ることとしたところでございます。

 こうした中、昨年十二月に公表いたしました保育政策の新たな方向性では、保育士等の処遇改善につきまして、他職種と遜色ない処遇の実現を掲げております。これにつきまして、具体的な職種や数値目標を設定しているものではございませんが、全産業平均の賃金も一つの目安としているところでございます。

○塩川委員 全産業平均も目安の一つとしているということなんですが、そうすると、いつまでに保育士の賃金を全産業平均にしようと考えているんですか。

○竹林政府参考人 お答え申し上げます。

 ほかの各職種の賃金も毎年引き上がっている中ですので時期を明示することは困難でございますけれども、いずれにしても、こども未来戦略に基づきまして、民間給与動向を踏まえた更なる処遇改善に取り組んでいくこととしております。

○塩川委員 時期を明示するのは困難と。同じ話なんですよ、いつまでに達成するという達成時期もないのに、毎年毎年の積み重ねというのがどの程度なのかという検証もできないわけですから。こういったケア労働者の皆さんの本当の現場の御苦労に報いるような、本当に、その仕事に若い皆さんも定着をして、専門職にふさわしい仕事をしていく、こういうことが実現するような賃上げ、処遇改善こそ必要です。

 今、介護それから保育の話、聞いてもらったと思うんですが、大臣、要するに、こういった格差が拡大をしているような賃金の状況について、公定価格という国の制度でやっているわけですから、こういった点について労働者の格差解消の達成時期を示す、こういった対応が必要なんじゃないのか。その辺について是非、大臣、お答えください。

○城内国務大臣 お答えします。

 塩川委員御指摘のとおり、こういった賃金の格差を解消するということ、これは非常に重要な視点だというふうに思っておりますが、ただ、その時期、具体的な時期云々については、今後しっかり検討していくことは必要だと思いますが、この時点で具体的な目安、目標をお示しすることは、現段階では、適切かどうかも含めて、検討する必要があると思いますので。

 ただ、御指摘のとおり、こういう格差を解消していくということは、これは公定価格でありますので、ここは非常に重要な視点だというふうに認識しております。

○塩川委員 是非、この保育政策の新たな方向性、去年出したのも四年間なんですよ、だったら、少なくとも四年間で達成するとか、そういうのは言える話だと思うんですよ、公定価格という国が責任を持って決めている制度の下での賃金なんですから。

 しっかりとした、全産業平均に並ぶような、そういう取組を求めたいと思いますし、保育については、実態に合わせて公定価格制度と配置基準の抜本的な改善を求めて、質問を終わります。