【内閣委員会】国家情報会議設置法案参考人質疑/違法な情報収集に反省なし/人権侵害拡大の危険

 政府のインテリジェンス(情報活動)の司令塔機能を強化する「国家情報会議」設置法案の参考人質疑を行い、私が質問しました。

 法案は、情報コミュニティ省庁(警察庁、公安調査庁、防衛省、外務省など情報収集等を行う省庁)の司令塔として「国家情報会議」と「国家情報局」を設置し、内閣と情報コミュニティ省庁の一体化を推進するもの。

 私は情報コミュニティ省庁を構成する情報機関による市民監視の実例と、無反省な政府の姿勢を示し、このようなもとでの情報機関の強化について見解を質しました。

 参考人の齋藤裕弁護士は、イラク戦争時に自衛隊派遣に反対する市民運動を自衛隊情報保全隊が幅広く監視していた事件では、違法判決が出され、国は賠償金を支払ったものの、具体的なプライバシー侵害対策を取ったか一切言わず「まったく反省していたい」と強調し、同様の市民監視が続けられていると疑われても仕方ないと指摘しました。また、警察が市民運動を行う市民の個人情報を収集し、民間企業に提供したことが違法と断じられ、個人情報の抹消が命じられた「大垣事件」では、警察は判決後も市民運動監視自体をやめるとは言っておらず、情報を削除したかもまったく検証できない状況だと批判しました。

 私は、法案によって、情報機関が集めた情報が集約されるとどのような人権侵害の懸念があるか、と質問。斉藤弁護士は、自身の名前が自衛隊などに共有・流通され訴訟となった事件を挙げ、こうしたことを許す法制度がない下でも個人情報の流通は行われていると指摘。情報を集約・分析することを目的とした「国家情報会議」と「国家情報局」が設置されることで、違法収集された情報が各省庁への配布などによって共有され、これまで各省内にとどめていた情報が他省庁へ流通する危険があると指摘しました。

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プライバシー侵害悪化/国家情報会議設置法案/参考人が指摘/衆院内閣委で塩川氏が質問

「しんぶん赤旗」4月17日・2面より

 衆院内閣委員会は16日、政府のインテリジェンス(情報活動)の司令塔機能を強化する「国家情報会議」設置法案の参考人質疑を行いました。日本共産党の塩川鉄也議員が質問しました。

 法案は、情報コミュニティ(警察庁や公安調査庁、防衛省など情報収集等を行う省庁)の司令塔として「国家情報会議」と「国家情報局」を設置し、内閣と情報コミュニティの一体化を推進するもの。塩川氏は情報コミュニティを構成する機関による市民監視の実例と無反省な政府の姿勢を示し、このようなもとでの情報機関の強化に関する見解をただしました。

 参考人の齋藤裕弁護士は、イラク戦争時に自衛隊派遣に反対する市民運動を幅広く監視していた「自衛隊情報保全隊市民監視事件」では違法判決が出され、国は賠償金を払ったが、具体的なプライバシー侵害対策をとったかは一切言わず「まったく反省していない」と強調。同様の市民監視が続けられていると疑われても仕方がないと指摘しました。

 警察が市民運動を行う市民の個人情報を収集・提供したことが違法と断じられ、個人情報の抹消が命じられた「大垣事件」では、警察は判決後も市民運動監視自体をやめるとは言っておらず、情報を削除したかもまったく検証できない状況だと批判しました。

 塩川氏は法案によって、情報機関が集めた情報が集約されるとどのような人権侵害の懸念があるか質問。齋藤氏は、自身の名前が自衛隊などに共有・流通され訴訟となった事件を挙げ、こうしたことを許す法制度がない現在でも個人情報の流通は行われていると指摘。情報を集約・分析することを目的とした「国家情報会議」と「国家情報局」の設置で、違法収集された情報が各省庁への配布などによって共有され、これまで各省庁内にとどめていた情報が他省庁へ流通する危険があると指摘しました。


「議事録」

第221回特別国会 令和8年4月16日(木曜日)内閣委員会 第5号

○塩川委員 日本共産党の塩川鉄也です。

 四人の参考人の皆様には、貴重な御意見を賜り、ありがとうございます。

 三谷参考人にお伺いいたします。

 資料の三ページ目に、情報機関の国際比較の図がございます。ここで、日本、現在のところに、二重丸と、それから三角のところがあるわけですけれども、国外ヒューミントの三角のところ、それから全体調整の三角のところ、これは三谷参考人のお考えでは、何が満たされれば二重丸になるのか、何が欠けているのか、その点についてのお考えをお聞かせいただけますか。

○三谷参考人 お答えいたします。

 まず、三角をつけましたのは二つでございまして、CTU―J、国際テロ情報収集ユニットの部分に三角がついておる、それから内閣情報調査室に、全体調整という部分で三角がついておる、こういうことでございます。

 まず、内閣情報調査室の三角につきましては、今御検討いただいているこの法案でもって総合調整権が与えられるという形で、二重丸になるということであろうかと思います。

 次に、国外ヒューミント、人的情報の部分のテロユニットの三角でありますが、これは、国際テロという極めて限られた部分でのヒューミント組織でございますので、それを拡大する、ほかの項目も対象としていくことで対外情報ヒューミント機関となった瞬間に二重丸になる。これはまだ少しかかるのかなと個人的には思っております。

 以上です。

○塩川委員 ありがとうございます。

 それと、委員会の審議の中で、内閣情報調査室の構成について私も質問をし、答弁もいただいております。各、警察庁や防衛省、また財務省等々、それぞれの関係機関からの出向がかなり多いということの構図、構成というのも分かったわけですけれども、その中で、警察庁について、この四月一日でいえば、約百八十人が内調に出向している、その中には都道府県警からの人が非常に多いということだったんですが、こういった都道府県警から内調に出向している人が多いというのはなぜなのか、どのような仕事に従事しておられるのかについて、情報官としての経験から教えていただけますか。

○三谷参考人 ありていに申し上げまして、十五年以上前に、多くの人材を都道府県警から得ておったという記憶が実はございません。特定府県から、特定の業務について、かなりの人間に来ていただいたことも逆に確かでございます。じゃ、どこが多かったのかといいますと、これまた構成上の秘密に当たってしまう可能性があるので、ちょっと今答弁をちゅうちょしておりますが、各都道府県ごとにそれぞれの特性がございます、得意技がございます、その得意技に従って来ていただいていたというのが、私、現職当時の状況でございます。

 今日に関しては、私から答弁申し上げるのは僭越でございますし、その能力もございません。

 以上でございます。

○塩川委員 ありがとうございます。

 次に、三谷参考人と小林参考人に伺います。

 元内閣情報官で国家安全保障局長も務めた北村滋氏におきまして、著作の中で、内閣情報調査室を統括する内閣情報官の機能の一つとして日米同盟の陰の庇護者としての役割というのを挙げて、内閣情報官は日米安保体制に確実に組み込まれ、それを支える有力な支柱としての役割を期待されていると述べておられます。

 内調に関わっておられるお二方について、このような北村滋氏が述べていることと同じような認識をお持ちなのか、その点について教えてください。

○三谷参考人 北村元情報官のその言葉に関しましては、私も彼の本で読んだ記憶はございます。ございますが、どのことを指してそう言っているのかというのは、私、個人的には、にわかに判断しかねるわけでございます。

 一方で、当時を思い起こしますと、通常の情報交換、意見交換、あるいは、更に言うと人脈形成ということにおきまして、アメリカその他の国と真剣につき合わせていただいたのも事実でございます。それをもって下支えと言っているのかどうか、これまた私が判断するのは僭越かと存じます。

 以上です。

○小林参考人 御質問ありがとうございます。

 ただいま御指摘のありました北村元情報官の著作につきましては、私は御本人とは違いますので、果たしてどういう御意図でそういうことを書かれたのかということは、私としては、なかなか推察することは困難でございます。

 その上で、私自身、内閣情報調査室に数年間勤務いたしました、内閣情報分析官という仕事をいたしました。そのときに自分が考えていたことを申し上げれば、法令、それから内部規則で定められた内閣情報分析官の職務を果たす、それ以上でもそれ以下でもなかったというふうに認識をしております。

 以上でございます。

○塩川委員 ありがとうございます。

 大澤参考人にお尋ねいたします。

 冒頭の陳述の中で、膨大なデータを収集、蓄積、分析する能力の構築ということで、統合データベースの運用に必要なソブリンクラウドの構築について指摘をされておられます。

 そこでお聞きしたいんですが、三月十九日の日米首脳会談におきまして、アメリカ側の、ホワイトハウスのファクトシートにおいて、ソブリンクラウドのところが出ておりました。米国は、二国間の情報共有、計画及び調整を強化するため、政府データを対象とした安全なソブリンクラウドプラットフォームを開発する日本の決意を歓迎したというふうに述べているところですが、これは、アメリカ側は日本のどのような取組を評価したということを述べているのか、その辺についての知見を教えていただけないでしょうか。

○大澤参考人 ありがとうございます。

 政府間のやり取りについてはちょっと知る立場にございませんので、想定でございますけれども、ソブリンクラウドでデータセンターをつくる、今でも日本国内にアマゾンとかグーグルがデータセンターを持っておりますので、今は民間の利用ということになりますが、今度、政府のデータを入れる、セキュリティーの水準の高い、かつそこから国外に、外にデータが漏れないようにというようなルールを決めた上でソブリンクラウドをつくるというのは、多分、日本政府の中でも初めての試みということになります。こういったクラウドセンターのOSですとか基盤、セキュリティーのソフトウェアというのはやはりアメリカ製が多うございますので、当然アメリカ製の導入を念頭に置いておかないとそういうクラウドセンターはなかなかできませんので、そういうやり取りがあったものというふうに推察をいたしております。

○塩川委員 ありがとうございます。

 齋藤参考人にお尋ねいたします。

 冒頭の陳述でも、この法案による人権侵害の懸念のお話をいただきました。ここでも紹介もされておりましたけれども、自衛隊の情報保全隊の市民監視事件、当委員会でも私も取り上げたところですが、このような情報保全隊の違法な市民監視、個人情報収集について、率直に言って反省もなければ謝罪もなかった。こういった違法に収集された情報の削除も明言しない、こういった対応についてどのように受け止めておられるかということと、こういう状況の下でのこのようなインテリジェンス機関の強化というのはいかがかと思うんですが、その点についてお話しいただけないでしょうか。

○齋藤参考人 ありがとうございます。

 まさに今おっしゃられたとおり、情報保全隊の訴訟の中では、一部についてだけ違法だという判決が出たわけでございます。防衛省の答弁というのは、それがごく一部であることを非常に強調したような答弁であったと思いますし、更に言えば、じゃ、金は払ったけれども、それ以外に何か、教育以外の具体的な対策をやったかというと何も出てこないわけですから、全く反省していない。ですから、同じような市民監視はやっているというふうに疑われても仕方がないんだろうと思います。そのような形で、政府に反対する市民の情報が組織的に集められている。

 そのような中で情報共有をする仕組みをつくるということになると、違法に集められた市民の情報が情報共有されるということになりますので、それはプライバシーの侵害を悪化させる、そういうことになるんだろうと考えております。

○塩川委員 ありがとうございます。

 続いて齋藤参考人に伺いますが、大垣警察の市民監視事件がございます。名古屋高裁が警察の個人情報収集と中部電力小会社への情報提供を違法として個人情報の抹消を命じたものですが、警察は原告に対して、判決を重く受け止めると言っているだけであります。こういった警察の対応をどう考えるか、また、違法に収集された個人情報の抹消が適切に行われたと言えるのか、この点についてのお考えをお聞かせください。

○齋藤参考人 ありがとうございます。

 警察の方は判決を受け止めると言っているけれども、じゃ、ああいう市民運動を監視すること自体をもうやめますというふうに言っているわけでも何でもありませんので、やはり市民運動の監視というのがいまだになされている。しかも、違法でも何でもない市民運動の監視がなされている危険性は高いんだろうと思っております。

 情報の削除につきましても、こちらの方としては全く検証できないところであります。

 例えばドイツでいえば、情報コミッショナーが例えば安全保障上の問題になるような人たちのリストを見たりすることができるわけですけれども、本来であれば、日本でもそういう、個別事件についてきちんと、違法なことがなされていないか、違法なことがなされているとすれば、例えばそのリストに載っている名前を削除させる、削除されているかどうかチェックする、そういう第三者機関というのが本来は必要なんだろうというふうに思っております。

○塩川委員 重ねて齋藤参考人に伺います。

 資料の七ページのところで、インテリジェンス機関間での情報共有の仕組みであるため、インテリジェンス機関が違法に集めた個人情報などが共有されることになると指摘をしておられますが、その後、判例なども紹介されております。どういった形でこのような違法な個人情報が共有されるということになるのかについて御説明いただけますか。

○齋藤参考人 ありがとうございます。

 まず、そもそも、今の現状でも、インテリジェンス機関が違法に情報収集をしているわけでございます。今までですと、例えばこの新潟地裁の事例、これは実は私が原告になった事例ですけれども、私の名前が海上自衛隊とか内局とか、いろいろなところに流通していたんですね。特にそういうことを許す法制度がなくてもそんなことをやっているわけですよ。

 だから、今の時点でも多分、個人情報の流通というのはなされているんだと思うんですけれども、しかし、国家情報局、国家情報会議ができることによって、まさにこれは情報を集約する、情報を流通させることを目的としたものですから、違法に収集された情報というものが、例えば国家情報会議に上がってくることもあるかもしれない、そして各省庁に配付されることもあるかもしれない。そういう形で、今までだったら防衛庁とか防衛省の中だけで流通していたような情報がほかの省庁に飛び火する、そういうこともある可能性が疑われると思っております。

○塩川委員 ありがとうございます。

 最後に、齋藤参考人にもう一問伺います。

 この間、このような人権侵害の問題も踏まえて、独立した第三者機関のお話をいただきました。その点で、警察組織においては本来公安委員会がその役割を果たすわけですが、現状は、率直に言って、事務局も警察が担っているという形にあって、その独立性が厳しく問われている状況だと思います。

 警察組織の改革を行う上で、国家公安委員会が本来の機関としての役割を果たすような、そういった対応、また、そこに、監察、監視の機関などを担うような、そういうことを含めるような、警察における人権侵害をなくしていく、そういう対応の取組の必要性について、お考えをお聞かせいただけますか。

○齋藤参考人 ありがとうございます。

 私、弁護士でございますので、例えば、酒気帯び運転をして免許取消しが問題になっている人の手続におつき合いして公安委員会に行ったりするわけですけれども、ほとんど公安委員会の委員の人たちというのは実質的には関わっていないわけですね。警察官僚の人たちが全部処分している、全部実質的な判断をしている。公安委員会の人たちは何ら実質的な中身を知らないで、出てきたものを承諾するだけみたいな形で、かなり形骸化しているというふうに思っています。

 人選からして、警察の実務に詳しい人というのが選ばれていない。弁護士が選ばれる場合でも、検察官を務めた人が選ばれるという形で、かなり警察にシンパシーがある人か、あるいは警察実務を知らない人が公安委員会の委員をされているので、全然機能していないということなんだろうと思うんですね。

 ですから、恐らく公安委員会が実質的なチェックをするというのは余り期待できないので、そうであれば、やはり警察に限らず、インテリジェンス機関を横断的に監視する第三者機関、さらに、議会におけるインテリジェンス機関を統制する委員会、こういうものを設置する必要があるんだろうと考えております。

○塩川委員 終わります。ありがとうございました。