【内閣委員会】特殊詐欺被害額、5年で12倍に/対策予算の抜本的増額を

 特殊詐欺の対策強化を目的とした犯罪収益移転防止法改正案の採決を行い、全会一致で可決しました。私は質疑で、拡大する特殊詐欺の被害を防止するため、対策予算の増額を求めました。

 私は、2021年から25年の特殊詐欺の認知件数が14498件から43000件と3倍に、被害額は282億円から3257億円と約12倍に増加したことを確認し、特殊詐欺対策の広報・啓発予算の推移を質問しました。警察庁は「21年度以降は1億6000万円で変わっていない」と答弁。私は「特殊詐欺の認知件数、被害額ともに大幅に拡大しているのに予算額を増額しないのか」と追及。あかま二郎国家公安委員長は「どのような広報・啓発が有効かを踏まえて予算額を検討する」と述べるに留まりました。私は「抜本的な増額が必要だ」と強調しました。

 私は貧困問題に取り組む識者による「若者が『闇バイト』に走る背景には、そもそも勤労によって十分な報酬を得ることが難しい一方、働かずに所得を増大させていく者たちもいて、『まじめに働くのがばかばかしい』という感覚がある」との指摘を紹介し、「アベノミクスの下、大企業・大株主が富を増やす一方で、労働者の実質賃金はマイナスになり、負担増だけが強いられる。こういった政治の転換こそ『闇バイト』をなくしていく大きな力になる」と主張しました。

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特殊詐欺対策予算増を/衆院内閣委/塩川氏「被害防げ」

「しんぶん赤旗」6月1日・2面より

 特殊詐欺対策強化を目的とした犯罪収益移転防止法改正案が29日の衆院内閣委員会で全会一致で可決しました。日本共産党の塩川鉄也議員は質疑で、拡大する被害を防止するため、対策予算の増額を求めました。

 塩川氏は、2021~25年の特殊詐欺の認知件数が1万4498件から4万3000件へと3倍に、被害額は282億円から3257億円へと約12倍に増加したことを確認した上で、特殊詐欺対策の広報・啓発予算の推移を質問すると警察庁は「21年度以降は1億6000万円で変わっていない」と答弁。塩川氏は「特殊詐欺の認知件数、被害額ともに大幅に拡大しているのに予算額を増額しないのか」と追及しました。赤間二郎国家公安委員長は「どのような広報・啓発が有効かを踏まえて予算額を検討する」と述べるにとどめました。塩川氏は「抜本的な増額が必要だ」と強調しました。

 塩川氏は、貧困問題に取り組む識者による「若者が『闇バイト』に走る背景には、そもそも勤労によって十分な報酬を得ることが難しい一方、働かずに所得を増大させていく者たちもいて、『まじめに働くのがばかばかしい』という感覚がある」との指摘を紹介。「アベノミクスの下、大企業・大株主が富を増やす一方で、労働者の実質賃金はマイナスになり、負担増だけが強いられる。こういった政治の転換こそ『闇バイト』をなくしていく大きな力になる」と主張しました。


「議事録」

第221回特別国会 令和8年5月29日(金曜日)内閣委員会 第16号

○塩川委員 日本共産党の塩川鉄也です。

 犯罪収益移転防止法改正案について質問をいたします。

 資料をお配りしておりますが、二〇二五年の特殊詐欺の認知件数は四万三千件、被害額は三千二百五十七億円に上ります。二〇一六年は、一万四千百五十四件、四百七億円。ここから大幅に増加をしております。

 極めて重大な事態で、様々な対策を取っているにもかかわらず被害件数、被害額が増えている理由の一つに、特殊詐欺の新たな手口、形態が次から次へと生み出されているということがあります。

 特殊詐欺の手口、形態について、警察庁として幾つに区分しているのか、そのうち、この十年間で新たに区分した手口、形態はどんなものがあるのかについてお答えください。

○大濱政府参考人 お答えいたします。

 警察庁におきましては、特殊詐欺の被害の全体像や犯行手口の特徴をより分かりやすくお示しし、広報啓発を始めとする諸対策に役立てるため、現在、特殊詐欺を十三種類の手口に区分しております。

 そのうち、平成三十年、二〇一八年にキャッシュカード詐欺盗、令和二年、二〇二〇年に預貯金詐欺、令和八年、二〇二六年に偽警察詐欺が、この十年間で新たに特殊詐欺の手口として追加されたものでございます。

 また、SNS型投資詐欺とSNS型ロマンス詐欺につきましては、令和五年、二〇二三年に、特殊詐欺とは別に位置づけ、統計を取り始めたところ、最近の手口の実態等を踏まえまして、これらを令和八年、二〇二六年から特殊詐欺の手口として新たに位置づけたものでございます。

○塩川委員 二〇〇四年、オレオレ詐欺の被害拡大を機に、警察庁は特殊詐欺の手口ごとの区分を始めました。当時は、オレオレ詐欺と架空料金請求詐欺、融資保証金詐欺の三区分でしたが、それが今では十三区分にもなっております。

 その十三の区分のうち、今紹介してもらいましたように、この十年に新たに五つの手口が追加をされております。被害を防ぐ方策の一つとして、被害が拡大している特殊詐欺の新たな手口などについての広報啓発が重要であると考えます。

 二〇一九年度から、警察庁の特殊詐欺撲滅に向けた広報啓発事業が行われています。二〇一九年度から今年度までの当初予算額の推移を示していただけますか。

○山田政府参考人 お答えいたします。

 特殊詐欺の広報啓発に係る警察庁の予算についてですが、二〇一九年度、令和元年度につきましては約四千九百万円、令和二年度については約一億一千百万円、令和三年度につきましては約一億六千二百万円、令和四年度から今年度までは一億六千万円を当初予算として計上しているところでございます。

○塩川委員 今御紹介いただきましたように、二〇一九年度で四千九百万、二〇二〇年度で一億一千百万円ですが、二〇二一年度に一億六千二百万円になってから予算額が変わっておりません。

 二〇二一年と直近の二〇二五年の特殊詐欺の認知件数と被害額はそれぞれ幾らでしょうか。この間に何倍に増えているのかについて御説明ください。

○大濱政府参考人 お答えいたします。

 お尋ねの特殊詐欺の認知件数と被害額につきましては、令和三年、二〇二一年においては、認知件数が一万四千四百九十八件、被害額が約二百八十二億円、令和七年、二〇二五年におきましては、SNS型投資詐欺及びSNS型ロマンス詐欺を含みますが、認知件数が四万三千件、被害額が約三千二百五十七億円でございます。

 お尋ねの、令和七年、二〇二五年の被害状況を令和三年、二〇二一年と比較いたしますと、認知件数につきましては約三倍、被害額につきましては約十二倍に増加しております。

○塩川委員 このように、二〇二一年から二〇二五年を比較をすると、特殊詐欺の認知件数は三倍、それから被害額は十二倍。その一方で、広報啓発の予算は変わらないまま。

 あかま委員長にお尋ねします。

 特殊詐欺の被害が近年急速に拡大しているにもかかわらず、警察庁の特殊詐欺の広報啓発事業の予算を増やしていないというのはなぜなんでしょうか。

○あかま国務大臣 まず、大前提として、特殊詐欺の被害、これは依然として高い水準で推移していること、また、今お話のあったこの五年の比較の中で、被害額また件数、それぞれ相当伸びていること、これは憂慮する状況であると認識しています。

 また、特殊詐欺の被害拡大を防止するための広報啓発活動、これは、予算を活用して、動画、ポスター、リーフレットなどなど広報ツールの製作、ウェブサイト又は各種SNSを活用した情報発信を実施しております。

 あわせて、予算を伴う広報啓発活動に加えて、予算を必要としない官民連携であるとか、関係機関、関係団体との協働した施策を進めるなど、様々な工夫を凝らして、被害を未然に防止するための広報啓発活動を推し進めております。

 引き続き、必要な予算の確保に努めつつ、警察以外の事業者であるとか、関係機関等の協力を得ながら、より効果的な広報啓発によって特殊詐欺対策を推し進めていくよう警察を指導してまいりたいというふうに思っております。

○塩川委員 この五年で特殊詐欺の被害額が十二倍にもなっているのに、そのことについて広く、被害を受けないようにというしっかりとしたアナウンスを行う、もちろん、いろいろなところで官民でやっているわけですけれども、でも、やはり警察庁として行う広報啓発の予算が変わらないままというのは、これは率直に言っておかしいんじゃないかと思うんですが、そういうふうにお思いになりませんか。

○あかま国務大臣 被害額が十二倍、件数が三倍という話、この五年間でと。

 もちろん、それに準じて予算を、では三倍、十二倍がいいのかといったら、それもまた別の議論があるのかもしれませんが、十分な予算というものが獲得され、より効果的な広報啓発に努めてまいるよう警察を指導してまいりたい、そう思っています。

○塩川委員 いや、被害が十二倍になっているのに広報啓発の予算を増やさない、そういう判断というのは、これはおかしくないですか。

○あかま国務大臣 必要な予算を確保しながら、どのような形の広報啓発がより効果的で、また詐欺被害の抑止に効果があるのか、寄り寄りまた吟味しながら、また、必要であれば予算を確保するよう指導してまいりたいと思います。

○塩川委員 必要であれば予算を確保したいということで、増やさないということもあり得るということなんですか。

○あかま国務大臣 どのような形の広報啓発が有効なのか、それを踏まえて、また、それによってどのような額の予算が必要になるのか、これを検討するように指導してまいりたいということでございます。

○塩川委員 様々な対策をしっかり取ると同時に、少なくともやはり警察庁としての広報啓発を行っていくという点で、この額というのは被害状況を考えたときに余りにも不十分だということは申し上げ、抜本的な予算を確保するという点であかま委員長にも御奮闘いただきたいということであります。

 それで、被害防止対策とともに、やはりトクリュウなどに対する対策をしっかりと行っていくと同時に、受け子、出し子、かけ子などの闇バイトで若者が加害者となることがないような対策も必要だと考えます。

 あかま委員長にお尋ねしますが、若者が闇バイトという行動に走る、その社会的な背景にはどんなものがあるとお考えでしょうか。

○あかま国務大臣 闇バイトに若者が加担する背景、これは様々な要因が考えられるのかもしれません。

 ただ、警察における検挙の事例等々から確認できることとして、まず、若者がいわゆる闇バイトの募集情報に触れる、こういったこと、又は、先輩、知人から誘われるなどというきっかけもあるのかもしれません。また、事の重大性を認識することがない、場合によってはSNSで流れてくるバイト情報、それに対するリテラシーという話なのかもしれません。また、遊興費を得たいというそういった欲望という部分もまた若者の間にあるのかもしれません。様々な動機からアルバイト感覚で犯罪に加担してしまう、そうした実態。

 それらが、どのような社会的な構造だとか、地域なのか、また教育なのか、どういったところから起因するのか、これもまた様々な各種団体、関係省庁と様々連携をしながら総体的な取組を推進するようにしていく必要があると思っています。

○塩川委員 様々な要因があるというのは本当にそのとおりだと思いますが、そこはやはり分け入って何が問題なのかを明らかにしていくということが必要だと考えます。

 NHKがNHKスペシャルで紹介した番組がありましたけれども、少年院の在院者を対象とした闇バイトの実態調査を行ったということです。回答した少年五百八十七人中百十八人が闇バイトをしたことがあると回答したということであります。

 何があれば闇バイトに手を出さずに済んだのかと聞くと、給料が高く物価が安い世の中とか、こんなちゃんとしない政治や悪い方向に行ってしまう日本じゃなければ闇バイトなんかしないとか、高校生でもちゃんとしたバイトがあれば闇バイトに手を出さなかったなど、約五割がお金や真っ当な仕事と回答し、次いで、約三割が健全な家族や友人関係だと回答しております。

 こういった貧困問題での支援の取組を行っておりますPOSSEという団体がありますが、その元代表でもある今野晴貴氏によりますと、闇バイトの背景には貧困問題がある。しかし、それだけじゃなくて、そもそも勤労によって十分な報酬を得ることが難しくて、それが将来にわたる諦めとなっているということ。また、もう一方では、働かずに所得を大きく増大をさせる、労働の努力とは無関係に資産を通じて富を獲得させていく者たちへの羨望と憎悪があるのではないのかと。

 真面目に働くのがばかばかしいという感覚、これを犯罪組織が利用しているといったときに、この間、アベノミクスの下で大企業や大株主が富を大幅に蓄積する一方で、働く労働者、勤労者は賃金は実質賃金がマイナスになり、負担増だけが強いられる。こういった政治の転換こそ、こういった闇バイトなどの犯罪をなくしていく大きな力にもなっていくということを申し上げて、質問を終わります。