【内閣委員会】科学技術イノベ活性化法改正案/軍事偏重の研究開発の危険

 私は、科学技術・イノベーション活性化法改正案の質疑に立ちました。法案は、政府が進める「グローバル・スタートアップ・キャンパス構想」(GSC構想)を実施する認可法人として「先端技術研究成果活用推進機構」(以下、機構)を設立しようというものです。

 GSC構想とは、大学や研究機関等が保有するAIや量子技術等の先端技術(いわゆるディープテック)に関する研究成果の事業化を狙って、国が支援して、研究者やスタートアップ、投資家などの繋がり(いわゆるエコシステム)を作ろうとするもの。特徴は、研究開発から事業化までを支援する拠点を、目黒・渋谷区にまたがる東京ドーム半分ほどの国有地に整備することです。

 私は、軍民両用のデュアルユースや軍事優先のイノベーションで軍事偏重の技術開発が進む危険を追及しました。

 私は政府の今年5月の「スタートアップ(新興企業)総力創出パッケージ」は「防衛力の強化」や防衛省の関与を強調していると指摘。政府の分科会で有識者が「防衛需要が技術開発を生む」などと述べていることも示し、スタートアップの推進に「防衛力の強化」を持ち出した背景には、5年間で2倍の11兆円となった大軍拡予算があるのではないかと質問。内閣官房は(スタートアップの)スケールアップのためのものだ、と答弁したのに対し私は「研究開発が軍事依存になる」と批判しました。

 私はGSC構想の基本方針が「隣接する防衛省の研究所等とも連携」と明記し、連携先に、兵器開発の抜本的強化のための「防衛イノベーション科学技術研究所」などを想定していることを確認。政府がGSC構想の運営法人のガバナンスイメージとして例示している米国のDARPAは、米国防総省内部の資金配分や、革新的軍事技術に対する研究支援を行う組織であり、「ここに運営法人の性格が表れている」と追及しました。

 内閣府はGSC構想の支援対象には、デュアルユース技術も含まれうると認めたのに対し、私は、軍事力強化のDARPAをモデルに科学技術の軍事化を進めることになり「軍事偏重の技術開発となる」と強調しました。

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研究開発 軍事偏重の危険/衆院内閣委/科学技術イノベ法改定案/塩川氏追及

「しんぶん赤旗」6月19日・2面より

 日本共産党の塩川鉄也議員は17日の衆院内閣委員会で、政府の「グローバル・スタートアップ・キャンパス(GSC)構想」の運営法人を設立する科学技術・イノベーション活性化法改定案について、デュアルユース(軍民両用)や軍事優先のイノベーション(革新)で軍事偏重の技術開発が進む危険を追及しました。

 塩川氏は、政府が5月に打ち出した「スタートアップ総力創出パッケージ」は「防衛力の強化」や防衛省の関与を強調し、政府の分科会でも有識者が「防衛需要が技術開発を生む」などと述べていると指摘。スタートアップの推進に「防衛力の強化」を持ち出した背景には5年間で2倍の11兆円となった大軍拡予算があるのではと質問しました。

 内閣官房の鈴木恭人日本成長戦略本部事務局次長は、スタートアップのスケールアップ(規模拡大)のためだと答弁。塩川氏は「研究開発が軍事依存になる」と批判しました。

 質疑を通じて、GSC構想の基本方針に「隣接する防衛省の研究所等とも連携」すると明記し、連携先には、兵器開発の抜本的強化のための「防衛イノベーション科学技術研究所」などを想定していることが明らかになりました。

 塩川氏は、政府が同構想の運営法人のガバナンスイメージとして例示している米国の国防高等研究計画局(DARPA)は、米国防総省内部の資金配分や革新的軍事技術に対する研究支援を行う組織で、「ここに運営法人の性格が表れている」と追及。内閣府の木村直人審議官は、同構想の支援対象にはデュアルユース技術が含まれる場合も「あり得る」と認めました。

 塩川氏は、軍事力強化のDARPAをモデルに科学技術の軍事化を進めることになり「軍事偏重の技術開発となる」と厳しく批判しました。


「議事録」

第221回特別国会 令和8年6月17日(水曜日)内閣委員会 第20号

○塩川委員 日本共産党の塩川鉄也です。

 科技イノベ法案について質問をいたします。

 まず、スタートアップ支援に関してですけれども、二〇二二年十一月のスタートアップ育成五か年計画には防衛省に関する記述はありませんでした。一方、今年五月のスタートアップ総力創出パッケージでは、「防衛力強化とスタートアップによるイノベーション創出の好循環を生み出すため、防衛省と経産省が連携して研究開発から調達まで一貫した支援を開始する。」と、防衛力の強化や防衛省の関与を強調しております。

 スタートアップ推進に関して、防衛力の強化や防衛省の関与を強調するようになったのはなぜでしょうか。

○鈴木政府参考人 お答えいたします。

 今委員御指摘いただきましたスタートアップ総力創出パッケージにつきましては、先月、日本成長戦略会議の下で設置されましたスタートアップ政策推進分科会において取りまとめたところでございますが、このパッケージの中では、スタートアップのスケールアップ、それからディープテックスタートアップの支援、そして地域経済社会を担うスタートアップの創出、育成という三本の柱から、スタートアップの育成の五か年計画につきまして抜本強化する施策を示したというところでございます。

 このパッケージを取りまとめる過程で、分科会での議論におきまして、構成員の委員の皆様方から、米国等で防衛分野を始めとした公共需要から先端技術が開発され、大きく成長するスタートアップの創出につながったという多くの事例、あるいはそういう傾向について御指摘があったというところでございます。

 こうした御指摘を踏まえまして、スタートアップ総力創出パッケージにおきまして、SBIR制度を抜本強化し、防衛分野を含めたディープテックスタートアップの研究開発支援、そして政府調達を強化する支援策を盛り込んだというところでございます。

○塩川委員 分科会の構成員の意見を踏まえてという話でした。

 今年二月からの日本成長戦略会議の政策推進分科会の有識者会議の意見を見ると、防衛需要、それから防衛に対する危機感というものが技術開発を生み、その結果としてスタートアップが生まれていって、それを政府が株式の保有等で支えているのがアメリカの実態だが、日本でもそういうスタートアップ推進政策をやる必要がある、このように述べる方や、また、タイミングを合わせて防衛予算が非常に大きくなるということで、それがスタートアップに適正に投資がなされ、新しい研究開発、技術が出てくると述べております。

 防衛需要、つまり軍拡予算がスタートアップ推進に役立つという意見であり、スタートアップ推進に関して防衛力の強化や防衛省の関与を強調するようになったのは、この五か年間で軍事費を二倍の十一兆円にした、こういう大軍拡予算があったからではありませんか。

○鈴木政府参考人 私ども、委員の先生方がどういう意図、背景を基にそのような発言をされたかというところについてまではお答えすることができませんけれども、私どもとしては、先ほど申し上げましたとおり、スタートアップ育成五か年計画を改正して、それを抜本強化する、このためにまずは日本成長戦略本部で委員会を立ち上げたというところで、その過程の中で、まさにディープテックの創出、それから支援、そしてスケールアップをするためにどうすることが適切かということについて委員の皆様方にお諮りしたところ、そのような御意見をいただいたというところでございます。

○塩川委員 五か年計画のときには防衛省の関与の話はありませんでした。その直後から、GDP比二%という防衛費、軍事費にしていく、そういう大軍拡があるので、いわばそれに便乗すると言うのもあれですけれども、こういった軍拡予算をてこにスタートアップ推進を図るんだということが今回のこのパッケージの中に盛り込まれているということであります。

 軍拡予算を使ってスタートアップ推進を図る、このこと自身、研究開発が軍事依存になりかねないのではないのかといった危惧を強く覚えるものであります。

 次に、グローバル・スタートアップ・キャンパス構想についてですが、その基本方針において、このGSCの事業展開に当たって、文科省、経産省、防衛省等関係省庁の協力と、防衛省を特記しております。

 文科省、経産省が出てくるのは分かるんですけれども、防衛省を三つ目の役所として取り上げている。その後の記述にも、「隣接する防衛省の研究所等とも連携。」とわざわざ書いてあります。

 この隣接する防衛省の研究所等とは、どのような機関を指すのか、艦艇装備研究所や防衛イノベーション科学技術研究所などを指すのか、どのような連携を行うのか、お答えください。

○木村政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘の基本方針におきましては、周辺コミュニティーとの連携という観点から、隣接する防衛省の研究所等とも連携するという記載がございます。

 これは、周辺に所在する艦艇装備研究所、防衛イノベーション科学技術研究所のほか、近隣の大学なども念頭に置いているところでございます。そして、御指摘の周辺コミュニティーとの連携に関しましては、例えば、拠点整備の工事における、隣接する艦艇装備研究所への影響の局限化のための調整、あるいは周辺住環境への配慮などを行うことを想定してございます。

 このように、拠点の整備に当たっては、周辺コミュニティーとの連携を図ってまいりたいと考えてございます。

○塩川委員 周辺コミュニティー、大学の話がありましたけれども、ここの記述のところには出てこないので、まさに具体的には防衛省の研究所等との連携ということの記述になっているわけであります。

 恵比寿にあります防衛イノベーション科学技術研究所とも連携をということです。スタートアップ総力創出パッケージには、「防衛イノベーション科学技術研究所を通じた防衛イノベーションや画期的な装備品等を生み出す取組も推進する。」とあります。

 防衛省にお尋ねします。

 この防衛イノベーション科学技術研究所とはどのような組織か。そこには、DARPAの取組を参考とするとしていますが、DARPAとはどのような組織か、このDARPAを参考にするのはなぜなのか、この点についてお答えください。

○嶺政府参考人 お答え申し上げます。

 防衛イノベーション科学技術研究所は、防衛イノベーションや画期的な装備品を生み出す機能を抜本的に強化するために、変化の速い様々な技術から防衛力の強化又は社会の変革につながる機能、技術をスピード重視で創出するため、令和六年十月に新設された研究所でございます。

 お尋ねのありました米国のDARPAでございますけれども、これにつきましては、任期つきのプログラムマネジャーが責任者として研究を推進、管理する手法等によりまして、インターネットやGPSのような防衛分野にとどまらない、社会をも変革するような革新的な研究成果を生み出している、そういう研究開発機関であると承知しておるところでございます。

 防衛イノベーション科学技術研究所におきましても、防衛イノベーションや画期的な防衛装備品を生み出す機能を抜本的に強化するために、こうした取組を参考として、外部からプログラムマネジャーを採用することで、プログラムマネジャーが持つ防衛用途に必ずしも限らない民生分野の科学技術に関する豊富な知見や経験を、自由な発想の下、最大限活用するということとしておるところでございます。

○塩川委員 DARPAを参考にするということですが、DARPAについて余り詳しい説明をいただけなかったんですけれども。

 確認ですけれども、このDARPAというのは、国防総省内部の資金配分機関であって、国家安全保障のための革新的技術に対する研究支援を行う、基礎研究と応用研究のギャップを埋める、ハイリスク・ハイペイオフ研究への支援に特化をしている、そういう組織と承知しておりますが、それでよろしいでしょうか。

○嶺政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘のとおりでございます。

○塩川委員 内閣府にお聞きしますが、「グローバル・スタートアップ・キャンパス構想の概要について」でも、運営法人のガバナンスイメージとしてDARPAを例示をしております。このようなアメリカの国防総省内部の資金配分機関を例示をしているのは、なぜでしょうか。

○木村政府参考人 お答え申し上げます。

 新たに設立する運営法人の組織体制につきましては、ディープテック分野の研究開発から事業化支援、国際展開まで一気通貫の支援を担うに当たり、迅速な意思決定を柔軟かつ機動的に行うことができるような体制を構築することが重要であると認識しております。

 そこで、米国の国防省国防高等研究計画局、DARPAや、エネルギー高等研究計画局、ARPA―Eなどのイノベーションを担う海外組織におきましては、比較的コンパクトな組織の下で、プログラムマネジャーやプログラムディレクターに大きな裁量と責任を付与し、迅速かつ柔軟な意思決定を行う体制が取られているというふうに承知しておりまして、今回設立する運営法人の組織体制の参照事例として例示をしたものでございます。

○塩川委員 この国防総省内部の資金配分機関、あくまでも米軍、軍事のための組織、機関をいわばモデルにしているといったところに、今回の法人の持っている性格も表れてくるのではないかと言わざるを得ません。

 スタートアップ総力創出パッケージの防衛分野におけるデュアルユース、スタートアップエコシステム形成には、スタートアップ研究拠点の設置とありますが、この拠点というのはどこでしょうか。今日議論をしているフラッグシップ拠点というのも対象となるんでしょうか。

○嶺政府参考人 お答え申し上げます。

 スタートアップ企業が有する優れた技術や製品を防衛装備品に活用することは、新しい戦い方に対応するための技術的優越の確保、我が国の防衛生産・技術基盤の維持強化といった観点から極めて重要であると考えております。このような認識の下、防衛省としましては、スタートアップ活用促進のための様々な取組を進めているところでございます。

 このスタートアップ研究拠点は、スタートアップにセキュアな研究環境を提供することによりましてスタートアップ企業の参入促進及び迅速な事業立ち上げに資するものとして、既存施設の活用も含め検討を行っているところですが、現時点におきましては、場所も含め、具体的な計画はございません。

○塩川委員 内閣府にお聞きしますが、こういった、防衛省が言っているようなスタートアップ研究拠点の設置ということで、この新しいフラッグシップ拠点においても、入り得る、排除されていないという点はどうでしょうか。

○木村政府参考人 お答え申し上げます。

 GSC構想におきましては、ディープテック分野の研究開発や事業化を支援すること、これを目的としてございます。そして、その対象とする分野でございますけれども、特定の分野に限られるものではございませんで、研究成果の性質によっては防衛分野にも応用可能なデュアルユースの技術が含まれる場合もあり得るとは考えてございます。

 このフラッグシップ拠点におけるセキュリティーの確保でございますが、ディープテック分野の研究開発や事業化の促進の観点から非常に重要であると認識しております。このため、現在、拠点整備の基本的な方針である基本計画の策定に向けて、エリアの区分も含めて有識者会議で議論をしておりますけれども、利用目的やセキュリティー水準に応じた空間設計そして運用を行うことが必要であると考えております。

○塩川委員 防衛省のスタートアップ研究拠点の設置、置くということもあり得るという話です。

 最後に、大臣にお尋ねします。

 スタートアップ推進に関して、防衛力の強化や防衛省の関与を掲げ、そしてまた米国防総省のDARPAを参考にする、こういった機関、運営法人というのは、軍事偏重のイノベーションということになるのではありませんか。

○小野田国務大臣 先ほど参考人も、ディープテック分野の研究開発や事業化を支援することを目的としており、特定の分野に限定するものではなく、研究成果の性質によっては防衛分野にも応用可能なデュアルユース技術等が含まれる場合もあり得るというふうに御説明したかと思いますが、本構想は、防衛分野の研究開発を直接の目的とするものではなく、科学技術の研究成果を活用した新たな事業の創出、成長発展を促進する観点から取り組むものでありまして、研究セキュリティー・インテグリティー、輸出管理等の関係法令、制度を踏まえながら適切に対応していくことが重要であると考えております。

○塩川委員 防衛力の強化のDARPAをモデルにといった点でも、軍事優先のイノベーションで、軍事偏重の技術開発になる危惧が拭えないということを申し上げて、質問を終わります。