私は、政府のグローバル・スタートアップ・キャンパス構想(GSC構想)の運営法人を設立する科学技術・イノベーション活性化法改正案について、基礎研究の経費が削減されてきた深刻な実態を告発し「基礎研究なしには、技術やイノベーションは進まない」と主張しました。
私は、GSC運営法人が「先端技術の研究開発や事業化を支援」するとしていることについて「事業化を念頭に置かない基礎研究への支援は行わないのか」と質しました。内閣府は「事業化の将来性、可能性を見極めながら判断する」として、事業化を念頭に置かない基礎研究への支援は行わないと認めました。
私は同法に基づくイノベーション支援の特定新技術補助金は、2010年度の1710億円から25年度は4653億円に急増する一方で、基礎研究の経費となる国立大学法人運営費交付金は、04年の法人化後20年間で1400億円以上削減され、物価が上昇する中でさらに実質目減りしていると追及。文部科学省は「実質的に目減りしている。国立大学からは、大変苦労しているという声を聞いている」と認めつつ「昨年比で188億円増額した」と答弁。私は「伸びはわずか1.7%だ。物価や人件費の上昇に追い付いていない」と指摘。歴代ノーベル賞受賞者が「基礎研究への支援が必要だ」と口々に強調していることを紹介して、財界の要求で実用化など産業界の目先の利益に役立つ研究への支援を重視する政府の科学技術政策が、自由ですそ野が広い基礎研究を阻害してきたと指摘。GSC構想もその一つだと批判し、基礎研究の経費の抜本的な拡充こそ行うようと求めました。
小野田内閣府担当大臣は「非常に重要だ。拡充していかなければならない」と答えたのに対し、私は「これまでの政策に対する反省はあるのか」と追及。小野田大臣は「反省のもとに、研究費を確保していこうという思いだ」と答弁。私は経団連が「大学改革」を前提に研究経費の増額を提言していることを紹介し、大学の権限を制約し、自由ですそ野の広い研究を制限してきた「大学改革」を見直すべきだと強調しました。
基礎研究費拡充が必要/衆院内閣委/塩川氏、科学技術法改定案で主張
日本共産党の塩川鉄也議員は19日の衆院内閣委員会で、政府の「グローバル・スタートアップ・キャンパス(GSC)構想」の運営法人を設立する科学技術・イノベーション活性化法改定案を巡り、基礎研究経費の削減による深刻な実態を告発し、「基礎研究なしには、技術やイノベーション(革新)は進まない」と主張しました。
塩川氏は、改定案はGSC運営法人が「先端技術の実用化研究開発や事業化を支援」するとしているが、「事業化しない基礎研究への支援は対象外か」と質問。内閣府の木村聡審議官は「事業化の将来性、可能性を見極めながら判断する」として、事業化が念頭にない基礎研究は支援の対象外だと事実上認めました。
塩川氏は同改定案に基づくイノベーション支援のための特定新技術補助金は2010年度の1710億円から25年度の4653億円へと急増する一方、基礎研究の経費となる国立大学法人運営費交付金は、法人化後20年間で1400億円以上減り、物価高騰の中、実質的にさらに目減りしていると追及。文部科学省の先崎卓歩審議官も目減りしていると認めました。
塩川氏は歴代ノーベル賞受賞者が「基礎研究への支援が必要だ」と口々に強調していると指摘。財界要求で実用化など産業界に役立つ研究のみを支援してきた政府の科学技術政策が、自由ですそ野が広い基礎研究を阻害してきたとして、GSC構想もその一つだと批判。基礎研究経費こそ抜本的に拡充すべきだと求めました。
小野田紀美科学技術政策担当相が「非常に重要だ。拡充していかなければならない」と答えたのに対し、塩川氏は「これまでの政策への反省はあるのか」と追及。小野田担当相は「反省のもとに、研究費を確保していこうという思いだ」と答弁しました。
塩川氏は大学の自由ですそ野の広い研究を制限してきた「大学改革」を是正せよと主張しました。
「議事録」
第221回特別国会 令和8年6月19日(金曜日)内閣委員会 第21号
○塩川委員 日本共産党の塩川鉄也です。
科技イノベ法案について質問をいたします。
スタートアップに関連をするイノベーション推進に係る予算の推移を確認したいと思います。
科技イノベ活性化法に基づくSBIR制度として、特定新技術補助金があります。国等の特定新技術補助金等について、二〇一〇年度以降、五年ごとの交付額を明らかにしていただけますか。
○井上政府参考人 お答え申し上げます。
今御指摘の特定新技術補助金の支出額でございます。
二〇一〇年度から五年ごとでまいりますが、二〇一〇年度に千七百十・四億円、二〇一五年度に千七百二十四・〇億円、二〇二〇年度に千八百九・〇億円、二〇二五年度に四千六百五十三・七億円となってございます。
○塩川委員 二〇二〇年度千八百九億、それが二〇二五年度ですと四千六百五十四億円と、急増しているわけであります。イノベーションとなれば大盤振る舞いということであります。
GSC運営法人は、ディープテック分野において、国内外の大学等の成果を基にした先端技術の実用化研究開発や事業化を支援をするということです。そうしますと、事業化を対象としない基礎研究への支援というのは、この運営法人の対象外ということでしょうか。
○木村政府参考人 お答え申し上げます。
ただいまの御質問であります基礎研究の支援でございます。
長期的な国家の礎となる基礎研究は、実用化により大きな経済的、社会的インパクトの創出が見込まれることから、長期的かつ集中的に支援することが重要なものと認識しております。
こうした研究につきましても、グローバルな研究開発及び事業化の経験を有し目利き力のある人材がベンチャーディレクターとして、事業化の将来性そして可能性を見極めながら、適切に研究テーマの設定あるいはそのプロジェクトマネジメント上必要な判断を行っていくというふうに考えてございます。
○塩川委員 GSC運営法人は、事業化を念頭に置かない基礎研究への支援は行わないということですね。
○木村政府参考人 一気通貫の流れの中で必要とあれば、基礎的な研究、その中には実用化を当初は対象としていないものもあるかもしれませんが、成果として大きなインパクトが見込まれる、そんな判断ができれば支援の対象にもなる可能性があると考えております。
○塩川委員 事業化は念頭に置かない基礎研究だけというようなことであれば支援の対象にはならないということであります。
ノーベル物理学賞受賞者で元学術会議会長である梶田隆章東大卓越教授は、基礎研究なくして技術やイノベーションは進まないことを政府は理解してほしいと述べておられます。
そこで、基礎研究の経費について確認をいたします。
基礎研究の経費となる国立大学法人運営費交付金の推移についてですが、文科省の「運営費交付金を取り巻く現状について」の資料の「国立大学法人運営費交付金減少による影響」が指摘をしているように、消費者物価指数が上昇する一方、交付金予算額は横ばいであり、実質目減りしている。これが実態ではありませんか。
○先崎政府参考人 お答え申し上げます。
消費者物価指数、令和四年度以降の四年間で約一〇%上昇する一方で、国立大学法人運営費交付金は横ばいとなっておりまして、実質的に目減りが生じていると。各国立大学からは、大変苦労されながら運用しているという声も聞いているところでございます。
国立大学における教育研究活動の充実等を図るため、国立大学運営費交付金の拡充をしっかりと図っていく必要があると考えております。
○塩川委員 目減りが生じているということであります。お手元の配付しております資料にも、真ん中の部分にそういうことも記載をされております。
その下の部分ですけれども、文科省の「運営費交付金を取り巻く現状について」における教員一人当たりの研究費の減少の事例の紹介をしてもらえますか。
○先崎政府参考人 お答え申し上げます。
御指摘の事例でございます。
B大学の事例は、国立大学が法人化した平成十六年度と令和七年度を比較したものでございますが、主に理工系の実験系では年額五十八万円から十八万円、主に人文社会系の非実験系では年額三十五万円から十万円に減少しておりまして、法人化時から見ますと七割の減少ということでございます。
また、C大学の事例でございます。令和五年度と令和六年度の、調査ができる直近の一年間を比較したものでございますが、実験系では四十二万から二十七万、非実験系では二十二万から十四万の減少ということでございまして、三五%の減少ということでございます。
令和八年度予算におきましては、平成二十九年度以来の九年ぶりで実質的に過去最大の増額となります対前年度比百八十八億円増額の一兆九百七十一億円を計上し、また、令和七年度補正予算においても、運営費交付金四百二十一億円を含む四百八十六億円を計上して、物価上昇等を踏まえて、当初予算と補正予算を合わせた必要な予算を確保しているところでございます。
さらに、本年三月に閣議決定されました第七期科学技術・イノベーション基本計画におきましては、国立大学運営費交付金の大幅な拡充を図るという文言が盛り込まれたところでございまして、文科省としても、それを踏まえて、今後ともしっかりとその拡充に取り組んでいきたいというふうに考えております。
○塩川委員 基礎研究の経費の削減は深刻な事態ということが、ここでも浮き彫りです。
今、運営費交付金の経費について、今年度は昨年度に比べて百八十八億円の増と。増そのものは結構ですけれども、伸びは一・七%ですから、人件費上昇、また物価上昇を考えたら、とても足りないということが実態であります。
あわせて、科研費の推移についてもお聞きします。
二〇一三年の値を一〇〇として、為替レートと消費者物価指数を用いた科研費一課題当たりの平均配分額について、直近では幾つになっているのか、この点についてお答えください。
○生田政府参考人 お答え申し上げます。
国際通貨基金、IMFが公表している為替やアメリカの消費者物価指数を適用した科研費一課題当たりの平均配分額については、為替の年平均については、二〇一三年が一ドル約九十八円に対し二〇二四年が一ドル約百五十一円、アメリカの消費者物価指数の年平均については、二〇一三年を一としたとき、二〇二四年が約一・四であり、ドルに換算した科研費一課題当たりの平均配分実質額は、二〇一三年度を一〇〇としたとき、二〇二四年度は約四三となります。
○塩川委員 二〇一三年を一〇〇とした場合に二〇二四年度は四三ということで、半分以下ということで、このような科研費の配分額が大きく後退しているというのも深刻な事態であります。
この間、ノーベル賞受賞者の皆さんは口々に基礎研究を強調しておられます。ノーベル生理学・医学賞を受賞した坂口志文大阪大特任教授は、ノーベル賞選考委員会は基礎研究を高く評価した、基礎研究への支援が必要だと訴えたい、このように述べ、同じく、ノーベル化学賞を受賞した北川進京都大特別教授も、研究成果の社会への実装化には二十五年はかかり、長期の支援が必要だ、政府には、より基礎的な研究への支援を増やすよう何度も勧めてきたと述べております。
大臣にお尋ねします。
イノベーション推進ということを掲げておりますけれども、基礎研究の予算が細っている。幾らイノベーションの予算を増やしても、基礎研究なくして技術やイノベーションは進まない。その点で、これまで基礎研究の経費を削ってきたことへの反省はありますか。
○小野田国務大臣 基礎研究の重要さというのは、本当に、ノーベル賞を取られた先生方も、おっしゃるとおり口々にされておりますし、我々としても非常に認識しております。
これをやはり減らしてきたことが研究力の低下につながったのではないかという反省を基に、第七期科学技術・イノベーション基本計画においても、こういった基礎研究に資する運営費交付金だとか科研費をしっかり確保していこうというところは私たちの思いとして出ているところなので、まだちょっとしか増えていないじゃないかという御指摘ではあったんですけれども、ここが非常に重要だということは我々も強く認識しています。
○塩川委員 基礎研究を削ってきた、特に、その中心となるような国立大学法人の運営費交付金、これを大幅に削減をしてきたということは間違いだったということでよろしいですか。
○小野田国務大臣 済みません、交付金担当大臣ではないので、私がどこまで言えるかというところではあるんですが、ただ、これが非常に重要なもので、今後拡充していかなくてはいけないという思いは先生と同じです。
○塩川委員 これまでの削減について反省があったのかどうかというのは、率直に、今のお話では受け止め切れないということがあるところであります。
そういう意味では、やはり、イノベーション推進というお立場ではありますけれども、でも、基礎研究は重要だ、増やしていかなくちゃいけないというふうにおっしゃっております。でも、国立大学の運営費交付金が、法人化後の二十年間で一三%減少しております。
この点でも、運営費交付金こそ大幅に増やしていく、倍増ぐらいが必要なんじゃないかと率直に思いますが、いかがでしょうか。
○小野田国務大臣 基礎研究に係る運営費交付金を増やしていくことは非常に重要だという認識はもちろんございます。
ただ、基礎研究の予算を削ってイノベーションにやるわけでもなく、イノベーションの予算を削って基礎研究というわけでもなく、どっちも大切なので、せっかく基礎研究の結果生まれたすばらしいものが、種のまま、そのまま眠ってしまうのももったいないですし、それぞれに必要なところにしっかり投資をしていくということで、研究者の皆様のわくわくも支えていきたいし、経済的な発展も支えていきたいと思っております。
○塩川委員 高市総理が経団連からの提言を受けた際に、このような研究費について実質的に倍増することを目指すとかと言っているんですが、本当にそういうふうにする、なるということなんでしょうか。
○小野田国務大臣 済みません、たしか、ちょっと今確認できないんですけれども、実質倍増するというふうに言っていたというふうに記憶をしておりまして、ただ、今のままではいけなくて、これを倍増というぐらい増やしていくんだという意気込みは、政府一丸となっての思いだというふうに思っております。
○塩川委員 高市総理の研究費の実質倍増表明というのは、経団連の科学技術立国戦略の提言を受けての発言であります。率直に言って、経団連など財界の目先の要求に基づく、応用とか実用化とか産業化に役立つ研究のみを支援してきたという政府の科学技術政策が、自由で裾野が広い基礎研究を阻害をしてきたのではないのか。今回のGSC構想というのも、その一つということになるのではないでしょうか。
経団連の提言では、前提として大学改革が必要だと言っています。この間、自民党政権は、国立大学の法人化、教授会権限の剥奪、運営費交付金の削減、外部資金の獲得競争を強いるなど、大学の自由な研究を阻害する予算削減や権限制約を行ってきました。これでは自由で豊かな基礎研究ができるはずがない。イノベーションということを強調されるのであれば、まさに基礎研究を担う大学の自由な研究を阻害してきた大学改革そのものも是正することが必要ではありませんか。
○小野田国務大臣 済みません、なかなか大学改革についても私がどこまで答えられるかというところではあるんですが、産業につながるもの、もちろん事業化につながるものが大切というのも分かりますが、そうではなくて、研究者の方々の、何でこうなるんだろうとか、面白いとか、興味から始まるわくわく、これによる研究等というのもとても価値があるもので、大切なものだというふうに思っておりますし、自由な基礎研究が大事というのも先生と同じ認識でございますので、しっかりと支えていけるように、政府全体となって取り組んでいきたいと思います。
○塩川委員 高市総理の発言というのも、本当に基礎研究を増やすのかという趣旨に読み取れないところも多々あるところでもあります。
自由で裾野の広い基礎研究なくして技術やイノベーションは進まないということを改めて申し上げて、質問を終わります。


