第190 通常国会 2016/1/4~2016/6/1 日付:2016-06-20 |
(1)原発の再稼働が前提となっている温暖化対策推進法改定案について追及
政府の「地球温暖化対策計画案」では2030年度の総発電電力量に占める原発の割合を20~22%としている。原発を20%とするには30基を稼働率8割で動かす必要がある。40年超の老朽原発の稼働が前提だ。
温暖化対策計画について議論するには東電原発事故の総括こそ必要だ。事故費用を質問。現時点での政府の試算は、賠償6・4兆円、事故収束・廃炉費用2・2兆円、除染3兆円、中間貯蔵施設1・1兆円。合計で約13兆円に上ることが明らかになった。
この天文学的な損害は、原発のリスクを示している。この事故費用は、加害者の東電が負わず、電気料金や税金という形で国民が負うことになっている。理不尽だ。
丸川珠代環境相は、エネルギー政策は経産省の所管だとして「コメントは差し控える」などと答弁した。
高齢者の健康悪化、子どもたちの健康への不安など双葉町の原発事故被害者の声を紹介、甚大な被害を生み出した原発の再稼働を前提としている『地球温暖化対策』は撤回すべきだ。(4月19日、環境委員会)
(2)原発事故除染費用負担に応じない東電を批判
除染費用は、除染特措法に基づき、環境省が原因者である東電に請求し東電が負担することとなっている。2013年12月に閣議決定された『福島復興加速化指針』では、東電の費用負担の責任があいまいになっている。閣議決定以降に計画された帰還困難区域の除染費用について、東電は支払に応じていない。費用負担の責任は東電にある。廣瀬社長は「除染特措法と閣議決定に基づき対応する」、丸川環境大臣は「閣議決定について東電と協議する」と述べるに留まった。(4月19日、環境委員会)
(3)福島第一原発、防潮堤強化策がないことを告発
東京電力福島第1原発の津波対策の問題点を指摘し、政府の対応を追及。
福島第1原発は新規制基準に準じて策定された検討用津波の高さが26.3メートルであるにもかかわらず、現在設置されている防潮堤は東北地方太平洋沖地震後の緊急対応として14.2メートルの津波を想定して設置されたもの。
26メートルの津波に対応した防潮堤の強化策をただしたのに対し、原子力規制委員会の田中俊一委員長は、防潮堤の強化策がないことを認め、「(26メートルの津波に対する)防潮堤を造ることは現実的にあそこの場所では極めて困難。浸水防止というより汚染水の大量漏えいを防止する対策を求めている」と答弁した。
東電の評価でも26メートルの津波が来た場合、タービン建屋の外壁が壊れるとされている。政府の対応は、老朽化、地震、津波、爆発事故による建物の劣化を想定していない。
さらに、新たな防潮堤を造らないことに地元への説明もない。地元住民の不安を拡大するだけだ。あらゆる手段を取る立場で、防潮堤の強化をしっかり行うことを求めた。(5月24日、環境委員会)
(4)福島第一原発労働者の労働条件改善の取り組み
1)福島第一原発作業員の危険手当と同原発事故による除染費用負担について追及。福島第一原発の作業員の労働条件の改善をはかる危険手当の増額について東電に確認。廣瀬東電社長は、マスク着用は2万円、アノラック着用は3万円であることを認め「タングステンベスト着用の作業は4万円」と答えた。
現場からは危険手当が払われていないとの声が届いている。待遇改善のためには、賃上げ額を掴むことが必要だ。アンケート項目に追加すればすぐにできる。廣瀬社長は「労働契約の内容について確認する」と述べるに留まった。(4月19日、環境委員会)
2)福島第一原発の労働者が使用している構内専用服は、重装備のタイベック防護服よりも通気性が悪く、かえって暑いといいます。このことを国会でただしたところ「今後、夏用の構内専用服に切り替える」と答弁。東電も対応せざるを得なかったようです。
廃炉作業がすすむ東電福島第一原発では、日々7千人が働いています。困難な作業で事故や熱中症が相次ぎ、放射線被ばくによる健康への不安も大きい。
東電は、構内に救急医療室を設けていますが、ある下請企業では「どこで怪我したのかと聞かれるから救急医療室は使うな」と指示が出ているとのこと。労災隠しは許されません。厚労省が新たに下請企業を含めた全労働者の健康相談窓口を東電福島第一原発付近に設けるとしたことについて質問。厚労省は「東電に相談しにくい内容であっても、相談できるように窓口を設置したい」と答弁。(5月24日、環境委員会)