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第193 通常国会 2017/1/20~2017/6/18
日付:2017-06-01
【議院運営委員会】天皇退位法案を可決/共産党は修正案提出、法案に賛成
現天皇の退位を可能にする天皇退位特例法案が、衆院議院運営委員会で採決され、全会一致で可決されました。自由党は採決を棄権しました。
日本共産党は「憲法規定に照らして法案の規定には問題点がある」として
(1)
立法理由として、「天皇陛下のお気持ち」に対する「国民の理解」と「共感」に言及した部分
(2)
天皇の「象徴としての公的な御活動」に言及した部分―の削除を求める修正案を提出。
日本共産党の修正案は否決されました。
質疑で、法案に「象徴としての公的な御活動」と天皇の公的行為が記述されていることを指摘。憲法学者から「国事行為」以外を法律で書くことに疑義が出されていることや、公的行為が天皇の政治利用につながると自民党が野党時代に国会で追及してきたことも示し、「公的行為が政治利用にならない担保がどこにあるのか」とただしました。
菅義偉官房長官は「公的行為は、さまざまな事情を勘案し、(政府が)判断していく」としか答えませんでした。
2013年、第2次安倍内閣のもとで、サンフランシスコ平和条約が発効した4月28日に政府主催で「主権回復を記念する式典」を開催し、天皇の出席を求めたことについて、「日本が実質的にアメリカの従属国とされ、沖縄にとっては『屈辱の日』に政府が式典をやり、天皇をひっぱりだすことは、まさに天皇の政治利用だ」と指摘。「退位の立法のなかに公的行為を書き込み、そのすべてを肯定することはやるべきではない」と主張しました。
以下、私の発言内容を紹介します。
日本共産党を代表して、天皇退位法案について発言します。
日本国憲法は、天皇の地位を主権の存する日本国民の総意に基づくものと規定し、天皇は、この憲法の定める国事行為のみを行い、国政に関する権能を有しないと規定しています。
天皇の退位の問題にあたって、私たちは、こうした憲法の規定を踏まえて、国民的な議論を進めることが何よりも大事であるとの考えを明らかにし、全国民を代表する国会で各党・各会派の代表が参加し、国権の最高機関として憲法の根本からよく議論することが大事だと述べてきました。
退位の問題については、個人の尊厳という日本国憲法の最も根本の精神に照らして考えるならば、一人の方に、どんなに高齢になっても仕事を続けるように求めるという現在のあり方については改革が必要であり、退位を認めるべきだという考えを当初から明らかにし、退位を認めるための立法を政治の責任で検討し、実現すべきだと表明してきました。
今回の立法は、現行憲法の『象徴』たる天皇の退位を初めて立法化することになるものです。したがって、その内容は、広く国民的議論をふまえ、憲法の規定に適合するものとすべきである、そういう見地で議論を進めることが大事だと述べてきました。
こうした見地で、政府提出の法案をみるときに、先ほど修正案を提案しましたように、二つの問題点があります。
一つは、退位を実現する理由を、「御活動を続けることが困難となることを深く案じておられる」という「天皇陛下のお気持ち」に対する「国民の理解」と「共感」においていることです。これは、間接的ではあっても、天皇の意思を法律に盛り込むことになりかねません。立法事実は、天皇の退位について国民が理解を示していることにおくべきだと思います。
もう一つは、「象徴としての公的な御活動」に言及していますが、「国政に関する権能を有しない」とされた天皇の政治利用の問題など、さまざまな議論がある、いわゆる天皇の公的行為を、退位の立法に書き込むべきではありません。これらについての修正を行い、憲法上の懸念を払拭すべきと考えます。天皇退位の立法を実現する本法案には賛成するものです。
この際、日本共産党の象徴天皇制に関する考え方についても述べておきたいと思います。日本共産党は、党の綱領で、現行憲法の前文を含む全条項を、すなわち、天皇条項を含む全条項を守る、特に平和的、民主的諸条項の完全実施をめざすとしています。「天皇条項については、『国政に関する権能を有しない』などの制限規定の厳格な実施を重視し、天皇の政治利用をはじめ、憲法の条項と精神からの逸脱を是正する」、こういう基本的な考え方を示しています。
最後に、日本国憲法前文は、「政府の行為によつて再び戦争の惨禍が起こることのないやうにすることを決意し、ここに主権が国民に存することを宣言」するとしています。先の侵略戦争の反省の上に立って、天皇は「国政に関する権能を有しない」と規定し、主権者国民が民主的政治を通じて平和と基本的人権を実現することをもとめたのが、憲法の核心であります。
今後の天皇制度の在り方については、この憲法にしたがって、広く国民的な議論をおこなうべきだということを述べて、発言をおわります。
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→「
議事録へ
」(質疑)
→「
議事録へ
」(修正案提出理由)
→「
議事録へ
」(発言)