▼2019年通常国会の取組み▼【3】警察 (1)警察法改定 人権侵害批判 (2)警察官と出版社の癒着 (3)道路交通行政

【3】警察

(1)警察法改定 人権侵害批判
【内閣委員会】人権侵害部署格上げ/警察法改定案を批判(2019/03/08)
 警察庁を組織改編して警備局に「警備運用部」を創設する警察法改定案について、国民の人権を侵害する活動を行ってきた警備課を格上げするものだと批判した。

 他省庁では政令が内部部局の設置を定めているのに対し、警察庁では法改定を必要としているのは、公権力を行使する警察組織だからだ。

 「部」に格上げする警備課の業務として、沖縄辺野古の米軍新基地建設の強行に抗議する住民を排除するための警視庁機動隊投入や、岐阜県警大垣署警備課による風力発電建設に対する住民運動監視など、国民の思想信条の自由、表現・集会の自由を侵害する活動を行ってきたのが警備課だと指摘。警備課の体制を強化する法案に反対を表明した。

(2)警察官と出版社の癒着
【内閣委員会】警察官と出版社癒着の解明を(2019/03/08)
 警察庁と17都道府県の警察官が昇任試験の対策問題集を出版する民間企業の依頼を受けて、問題や回答を執筆して現金を受け取っていた問題を取り上げ、真相究明を求めた。

 警察の昇任試験の対策問題集を出版する企業「EDU-COM」が、過去7年間で467人の警察官に総額1億円を超える執筆料を支払っていたことを、1月以降、一部マスメディアが報じている。

 私は、警察への信頼性の問題にもなってくる、しっかりと全面的に明らかにするべきだ――とただした。

 山本順三国家公安委員長は「現在、事実を確認中。早期に確認したうえで、適切な対処がされるよう、警察を指導していきたい」と答弁。

(3)道路交通行政
【内閣委員会】三芳スマートインターチェンジ/大型車導入やめよ/事故の懸念高まる(2019/03/13)
 埼玉県の関越自動車道三芳スマートインターチェンジにおいて大型車を通行可能にする計画について質問。

 国土交通省は三芳町に対して「主要なアクセス道路については、県や関係市町村と連携して安全対策を図ること」と異例の連結許可条件を出している。

 現行では三芳スマートICを通れるのは2tショートトラックまでなのに対し、大型車が通行可能になれば車長12mの10tトラックも通行可能になる。私は「2012年から18年におけるアクセス道路上の死亡事故件数と重傷事故件数は何件か」と質問。

 警察庁は「死亡が5件。重傷が34件」と答え、深刻な実態が明らかになった。

 私は、18年末に県道56号線で死亡事故が起きたばかり。こういったアクセス道路において、大型車の通行実施前に拡幅や歩道整備といった道路改良の計画はあるのか――と質問。

 国交省は「短期対策は交差点のカラー化などを行う」と答弁し、大型車通行実施前には道路改良計画がないことを認めた。

 私は、大型車両による事故の懸念がある、と追及。山本順三国家公安委員長は「管理者と地元自治体、警察で構成する調整会議で安全対策を検討している」と述べるに留まった。
 調整会議には警察も入っている。危ないものは危ないと指摘するべきだ。事故を防ぐ安全対策もないままの大型車導入は認められない。

【内閣委員会】信号機の音は命に係わる情報/視覚障害者の交通安全対策を(2019/05/15)
 視覚障害者の交通安全対策の強化を求めた。昨年12月、豊島区で視覚障害者男性が車にはねられ死亡した事故現場では、音響式信号機(ピヨピヨ、カッコー)がありながら、夜間から早朝は鳴らない設定になっていた。

 全国で20万機ある信号の設置状況について確認すると。音響式信号機は1割の約2万機、横断歩道上に点字ブロックがあるエスコートゾーンは2000カ所で1%しか整備されていないことが警察庁の答弁で明らかになった。

 警察庁は「地域住民の生活環境への影響を勘案し(設置を)判断している」「スマホで信号表示を知るシステムを開発した」と述べた。

 音響式信号機は(1)横断歩道の場所 (2)信号の色 (3)横断歩道の方向を示す標示の代わりとなるもの。視覚障害者のための音は、騒音ではなく命に係る情報だ。早朝夜間も信号機の音を切るのではなく音量調整など工夫して24時間対応にすべきだ。

 道路交通法7条が歩行者は信号に従う義務を課し、罰則も科している。信号を認識できなければ、その指示に従うこともできない。9割の信号で視覚障害者が認識できない状況を、警察は放置するのか――と質問。

 山本国家公安委員長は「視覚障害者の方の安全確保は我々の大きな責務。予算確保に努めたい」と答弁した。

【内閣委員会】信号機や道路標識の設置・改修などの費用/大幅減額が明らかに(2019/05/24)
 大津の園児死傷事故など始めとする重大な事故が相次ぎ、交通安全対策の強化が急がれていますが、信号機や道路標識の設置・改修などの費用である交通安全施設整備事業費が大幅に減少していることが明らかになった。

 私の質問に対し、警察庁の北村交通局長は国の補助事業の費用は「08年度が467億円、18年度が390億円」と10年間で77億円の減額、地方自治体の単独事業の費用は「98年度は970億円、18年度は540億円で、20年で44%の減額」であることを明らかにした。

 国の補助事業費について、警察庁が「この2年は増額。15年度から老朽化した信号の更新も補助している」と述べた。

 私は、更新補助は当然だが、信号機新設などに必要な予算が減っている――と批判。

 また、東京都においてはこの数年間、交通安全施設整備費の予算の執行率が7~8割になっている。国や地方の事業費が減少し、計上された予算も執行されてない現状がある。信号機の新設など生活道路の交通安全対策の予算を抜本的に拡充すべき――と要求。

 山本国家公安委員長は「必要な予算の確保に努めていきたい。議員から頂いた東京都の事業予算の不用額の資料を我々として重く受け止める」と答えた。

【内閣委員会】生活道路の交通安全/速度制限・歩行空間の確保のための対策を(2019/05/29)
 生活道路の交通安全対策が急務であると質した。日本の交通死亡事故は、5割超が歩行中と自転車乗用中の人とG7で突出して高く、生活道路での事故発生率は増加し、子どもや高齢者が犠牲になっている。

 政府の対策について、警察庁の北村博文交通局長は、衝突時に時速30Kmを超えると歩行者が致命傷を負う確率が急激に高まるとして、区域内の最高速度の30Km制限やハンプの設置などを行う「ゾーン30」を全国で3649カ所を整備したと答弁。

 国交省は危険個所を特定し、道路管理者(自治体など)と警察、住民が協議して安全対策を行う「生活道路対策エリア」(全国で907エリア)の整備を促進していると説明。

 標識など交通規制は警察が実施し、ハンプ・狭さく・スラロームなどの物理的対策は道路管理者が行うなど担当がそれぞれ異なっていることで、相互補完する関係にある「ゾーン30」と「生活道路対策エリア」が一致していない場所がある。

 山本順三国家公安委員長は「道路管理者と連携し、安全対策を講じるよう都道府県警察を指導したい」と答えた。

 生活道路・通学路での事故をなくすには、生活エリア内への通行車両の抑制、速度抑制、歩行空間の確保を図るために、交通規制と物理的手段の拡充をすることが必須であり、そのための予算措置が必要だ。