【政治改革特別委員会】政策活動費を合法化、温存する自民党案

 私は、自民党の政治資金規正法改正案について、規正法の趣旨に反する脱法的な「政策活動費」を合法化し、温存するものだと追及しました。

 私は、政策活動費について、岸田総理が、3月の衆院予算委員会で「法律に基づいて認められている」と新たな解釈を持ち出したことを指摘。一方、自民党提案者は「現行法令上の定めがない」と答弁しており、食い違いをただすと、岸田総理は「法で認められていることと、規定されることは別物。今回の法案で法定化する」と答えました。

 まさに、政治活動費が脱法行為であることを認める答弁であり、岸田総理の答弁を合わせるために「脱法的な政策活動費を合法化するための法案だ」と厳しく批判しました。

 さらに、「政策活動費のすべての支出に、領収書などの保存・提出・公開を義務付けるのか」と追及。

 自民党の鈴木馨介議員は「様々な考慮が必要なこともあり、今後各党間での協議を行う」と述べるだけ。

 私は「裏金を合理化する口実ともなった政策活動費は廃止しかない」と迫りました。

 また、自民党案の政治資金監査の強化に関し、この間の事件をみても、現行の監査制度が意味をなさないことを露呈していると指摘。

 私は「政治資金は、公開して国民の不断の監視と批判の下におき、国民の判断に委ねることが基本だ。真相究明も行わず、第三者機関に政治資金の監査のルール作りまで丸投げすることは許されない」と批判しました。


規正法改定案/政策活動費を合法化/衆院特別委/塩川氏が追及

「しんぶん赤旗」6月7日・2面より

 私は5日の衆院政治改革特別委員会で、自民党の政治資金規正法改定案は同法の趣旨に反する脱法的な「政策活動費」を合法化し、温存するものだと追及しました。

 私は、岸田文雄首相が3月の衆院予算委で政策活動費は「法律に基づいて認められている」との新たな解釈を持ち出していたと指摘。一方、自民案の提出者は「現行法令上の定めがない」と答弁しているとして「食い違っている」とただしました。

 岸田首相は「法で認められていることと、規定されることは別物。今回の法案で法定化する」と答えました。

 私は、政策活動費が脱法行為だと認める答弁だとして、岸田首相の発言に合わせるために脱法的な政策活動費を合法化するものだと厳しく批判しました。

 さらに「政策活動費の全ての支出について領収書などの保存、提出、公開を義務付けるのか」と追及。自民党の鈴木馨祐議員は「さまざまな考慮が必要なこともあり今後各党間での協議を行う」と述べるだけ。私は「裏金を合理化する口実ともなった政策活動費は廃止しかない」と迫りました。

 また、自民案の政治資金監査の強化にかんし、この間の事件でも現行の監査制度が意味をなさないことが露呈していると指摘。「政治資金は、公開して国民の不断の監視と批判のもとに置き、国民の判断にゆだねることが基本だ。真相究明も行わず、第三者機関に政治資金の監査のルールづくりまで丸投げすることは許されない」と批判しました。


「議事録」

第213回通常国会 令和6年6月5日(水曜日) 政治改革に関する特別委員会 第8号

○塩川委員 日本共産党の塩川鉄也です。

 質問いたします。

 最初は自民党案の提出者にお尋ねしますけれども、今回、修正案を撤回して再修正案を出されたということですが、昨日の十一時二十分の理事会のときに、その再修正案についてのいわば未定稿のものが出された。それに基づいて質問通告をしたわけですけれども、質問準備をしている中で、夕方に届いた最終版を見ると、大きな変更があるわけですよ。

 昨日の理事会のときには、ハネの部分が若干残りますということを言っていたのが、ハネどころじゃないという点では、この再修正案の未定稿と最終版に幾つもあった変更点、これについて簡単に説明してもらえますか。

○鈴木(馨)委員 今回の再修正案につきましては、基本的には五十万円のところを削るということ、そして、そういったことを中心といたしまして、その実質的な機能といたしましては、まさにハネ、あるいは関連する改正というところが未定稿との違いというふうに承知しております。

○塩川委員 今日の朝の理事会で法制局から説明がありましたけれども、十三条の二の第三項、第四項は、元々は未定稿段階の準用というものを適用の読替規定に変更するという、いわば手続についての重要な変更が行われているわけですよ。ハネじゃないんですよ。

 それと、附則の第十四条のところには、元々未定稿には同項の報告書とあって、同項がどこなのかが書いていないんですよ。全くの間違いなんです。こういう間違った未定稿で質問をしろということ自身がおかしいんじゃないでしょうか。

 これは法制局の、事務方の責任じゃありません。岸田総理が、やはり今国会で何としても成立させるんだ、こんなことで、採決先にありきの拙速な作業をし、そして拙速な審議を行ってきた。余りにもひどい。これでまともな議論ができるはずはない。だから、今日の採決日程なんかはとんでもないということをまず最初に申し上げておくものであります。

 そこで、政策活動費についてお尋ねをいたします。

 規正法の九条一項二号においては、会計帳簿の記載の規定が置かれております。全ての支出、当該政治団体のためにその代表者又は会計責任者と意思を通じてされた支出を含む、並びに支出を受けた者の氏名及び住所並びにその支出の目的、金額及び年月日を会計帳簿に記載しなければならないとしております。つまり、渡し切りを含め、会計帳簿に必要事項を記載しなければならないと規定しております。

 自民党案の提出者は、政策活動費については現行の法令上の定義が定められていないと答弁をしております。そうなると、政策活動費の現在の自民党のような支出の在り方というのは、規正法の趣旨にそもそも反しているのではないのか。この点、お答えください。

○勝目委員 お答え申し上げます。

 先日来御説明させていただいておりますとおり、我が党におきます政策活動費でありますけれども、党勢拡大、政策立案、そして調査研究という三つの目的で、党に代わって、役職者の職責に応じて支給をされている、党から議員個人に対する支出として行われているということでありまして、また、当該支出をしているということについては、これは収支報告書にも計上、記載をしているところであります。

 そして、今回の政治資金規正法の改正、これは本則の十三条の二の方の改正におきまして、それについて、また項目ごとに、かつ年月を記載するという形で透明性の向上を図っているということであります。

 あわせまして、このような経費が必要だという理由でありますけれども、これも先日来御説明をさせていただいておりますとおり、受け手のプライバシー、営業の秘密、あるいは我が党の方向性が外国勢力に見られたらいけないという、そういったもろもろの観点を鑑みましてこのような経費を必要としているということでありますけれども、透明性の向上、これが必要だということに鑑みて、今回の改正を御提案させていただいているところであります。

○塩川委員 規正法に反する脱法的な政策活動費について、これを合法化しようというのが今回の法案だ。若干、備考欄に項目とか金額とか年月を書くとしても、それ以上のものはないわけですよ。これでどうして、規正法の趣旨に立った、国民の前に公開を図っていく、こういったことにかなうのか。全く中身が伴っていないということを言わざるを得ません。

 再修正案では、第十三条の二第三項に、政党から国会議員及び国政候補者への五万円未満の支出に関する記載事項の追加が規定をされています。

 収支報告書は、全ての支出について、五万円以上のものは支出先の氏名、住所、支出の目的、金額、年月日を記載することになっておりますが、この改正では、適用除外だった五万円未満についても、政党から国会議員等への同様の記載をするというものであります。

 しかしながら、お尋ねしますが、自民党においては、自民党の言う政策活動費について、五万円未満の支出は実際にはこれまでなかったので、五万円未満の支出の記載を求められても、自民党にとっては新たに記載するものというのは何もないということになるんじゃないですか。

○鈴木(馨)委員 私どもとしては、これまで様々な支出におきまして適切な対応を、これは党内のガバナンスも含めて、行ってきたところであります。

 五万円以下ということで今言及がありましたが、例えば、これは我々も精査しなきゃ分かりませんが、恐らく、いわゆる遊説旅費等のところではそういった支出もあった可能性がありますので、そういったものについては新たに対象となるという理解であります。

○塩川委員 政策活動費についてはどうですか。

○鈴木(馨)委員 これはこの委員会でもずっと申し上げておりますが、我が党においては、これまで、政策活動費ということでいえば、その規模の支出はありません。

 そういったことでいうと、我々としては、当初五十万円ということで、なぜそこで切ったかというと、これはあり得ないからということでありましたが、この度、様々な御指摘をいただいて、そこの修正をしたところであります。

 そういったことでいうと、御指摘の五万円以下ということが政策活動費としてこれまであったかということは、なかったと思いますし、今後あり得るかというと、そういったことも想定はされないということであります。

○塩川委員 今問題となっている政策活動費について、二〇二二年の自民党の収支報告書を見ても、五万円未満の支出はありません。最も少ない支出は百五十万円ですから、この再修正で五万円未満について新たに収支報告書に記載するようになっても、自民党にとって、政策活動費については何の変更もない、痛くもかゆくもないというのが今回の再修正の中身だと言わなければなりません。

 続いて、附則の第十四条についてお尋ねをいたします。

 政策活動費の支出の上限金額については、上限の目安もないんでしょうか。政党ごとに上限額も変更されるということもあるということなんでしょうか。

○鈴木(馨)委員 これもこれまで委員会で御答弁申し上げておりますが、今後、各党の間での協議ということになりますが、当然、それは各党においても、活動の規模であったり、そういったものが異なるということも考えていく必要があるとは思います。その上で、各党の中でそういった議論を進めた結果として、適切な検討がされることを期待しております。

○塩川委員 適切な検討ということで、何も決まったものはない。結局、政策活動費を必要としている自民党と維新が二人で相談して決めるということでしかないということを言わざるを得ません。

 再修正案では、「支出の状況に係る領収書、明細書等の公開(そのための保存及び提出を含む。)」とありますが、この公開については、収支報告書とは別の仕組みでの公開ということになるんでしょうか。

○勝目委員 お答え申し上げます。

 この附則十四条に記載をされているとおりでございまして、まさに「政治活動に関連してした支出の状況に係る領収書、明細書等の公開(そのための保存及び提出を含む。)をする」ということであります。その具体的な内容については、早期に検討が加えられ、結論を得るということになっておりますので、まさにそのとおりだということでございます。

○塩川委員 何も決まったものがないということでいうと、政策活動費の使用状況の公開、収支報告書に新たに記載をする、そういうことも明らかではないということになります。どんな別な仕組みができるのか、そういうことにもなるのかということも、現時点では分からないということであります。

 公開については、十年後は誰が公開するんですか。

○勝目委員 お答えを申し上げます。

 公開の具体的な内容については、早期に検討が加えられ、結論を得るものとするというのが附則十四条の規定でございます。

 今後、プライバシー等の保護の観点も含めて、早期に検討が加えられまして、その中で結論を得るということになるものと承知しております。

○塩川委員 だから、総務省、都道府県選管でないかもしれない。政党の公開だといった場合には、十年後になくなっている政党もたくさんあるわけですよ。まさに闇の中に葬られるというのがこの仕組みということになるんじゃないでしょうか。

 政策活動費の支出の全てについて領収書等の保存、提出、公開を義務づけることになるのか。政策活動費の支出の全てについて義務づけということになるんですか。

○鈴木(馨)委員 原則的にはそういった方向になると思います。

 その上で、もちろん、ただ一方で、プライバシーであったり、様々な考慮が必要なこともありますので、そういった点について適切な形をつくれるように、今後、各党間での協議を行っていきたいと思います。

○塩川委員 様々な考慮という点でいえば、まさにそこが抜け道になるということも言えるわけであります。墨塗りの話も今回の委員会の質疑でも行われてきているところであります。

 領収書等の公開の担保もありません。制度設計が全く不透明で、領収書の全面公開が行われるという保証はどこにもありません。政策活動費を合法化し、温存するものでしかない。裏金を合理化する口実ともなった政策活動費は廃止しかないということを申し上げておきます。

 最後に、自民党案は政治資金監査の強化を掲げておりますが、現行の政治資金監査制度がそもそも有効に機能していると言えるのか、このことが問われております。

 一昨年、政治資金制度を所管する寺田稔総務大臣の政治資金規正法違反の疑惑が大問題となりました。例えば、寺田氏の後援会が亡くなっている方をそのまま会計責任者にしていても、監査では問題なしとなっていた。また、領収書の宛名の追加記載疑惑があっても、法律上は問題はないと強弁をした。さらには、適正化委員会のQアンドAで望ましくないとしている、顧問税理士が関係五団体全ての監査人であることを指摘されても、好ましいかどうかはケース・バイ・ケースと、寺田大臣は開き直りの答弁でありました。

 こんなでたらめな実態で、政治資金監査制度が有効に機能していると言えるんですか。

○小倉議員 今回の外部監査の拡充というのは、これまで対象ではなかった収入面での外部監査を導入すること、そして、国会議員関係政治団体とみなされなかった政策研究団体についても、これを対象とすることで、外部監査を拡充いたしております。

 それと同時に、不記載や虚偽記入を防ぐためには、外部監査だけではなくて、そもそも、会計責任者と政治団体の代表者、これのコンプライアンスの向上が重要だと思っております。その点、我が党の案につきましては、代表者がしっかり会計責任者から話を聞いて、そして、その上で確認書を交付するという制度もございますし、それ以前も、定時、随時の確認を政治団体の代表者自身がするということでございますので、そういったことを組み合わせて、より虚偽記入や不記載を防ぐことにつながるもの、そういうふうに認識しております。

○塩川委員 現行の政治資金監査制度が有効に機能しているという点でのお話はありませんでした。

 そもそも、裏金問題でも監査制度が役割を果たしていなかった。ほかにも、不明朗支出や白紙領収書問題、河井夫妻が有罪となった巨額選挙買収事件などが相次ぎ、この制度が意味を成さないということを露呈しております。

 問題のある監査で個別に指導助言を受けた監査人は、過去八年間で二百七十六人にも上ります。制度上の逸脱のあった報告書の件数は三百七十件に上ります。政治資金監査制度は実務上も破綻していると言わなければなりません。結局、監査人のチェックを受けたというお墨つきを得ようとするだけの仕組みでしかない。

 政治資金は、政治団体がその収支を公開し、国民の不断の監視と批判の下に置き、国民の判断に委ねることが基本であります。収支はそのまま速やかに公表すればいいのであって、政治資金監査制度は必要がありません。

 真相究明も行わず、第三者機関に政治資金の監査のルール作りまで丸投げすることは許されない。要旨の削除などはとんでもない。このことを申し上げて、質問を終わります。