【政治改革に関する特別委員会】企業・団体献金禁止に背を向ける自民党の姿あらわ

 政治改革に関連する各党の9法案を審議。企業・団体献金の禁止に背を向ける自民党の姿勢があらわになりました。

 私は、自民党から、企業・団体献金の基本的考え方を問われ、政治資金は主権者である「国民の浄財」で支えられるもので、国民一人ひとりの政党への寄付は、国民の選挙権・投票権と結びついた「国民固有の権利」だと指摘。一方「企業・団体献金は本質的に政治を買収する賄賂で、国民の参政権を侵害する」と批判し、「営利目的の企業が巨額の金の力で政治に影響を与えれば、政治が大企業に向けたものになる」「国民主権を貫くためにも禁止が必要だ」と答弁しました。

 私が、各党に企業・団体献金の禁止について問うと、立憲民主党の吉田晴美議員は「企業・団体献金が腐敗や癒着の温床となり、政策決定を歪めてきた」として禁止を主張。維新の会の池下卓議員も、抜け道を作ることなく禁止すべきだと主張しました。

 一方、自民党の小泉進次郎議員は「企業献金が悪で、個人献金は善との立場はとらない」と、禁止しない考えを表明。さらに、小泉氏は、自民党だけが禁止に反対ではなく「禁止するという立憲案も『政治団体を除く』としており一部禁止だ」と述べました。

 これに対し、私は「2000年以降、企業・団体が政治団体に献金することは、すでに禁止だ。そもそも企業・団体献金が政治団体を通じて流れる仕組みはない」と反論しました。

 公明党の中川康弘議員は「学者の見解も諸説ある」とし広く意見を聞いて判断・検討すると主張。国民民主党の臼木秀剛議員も「透明性を高める」と主張するばかりでした。

 また、私は、元会計責任者の有罪が確定している岸田派の裏金事件を追及。法案提出者で元岸田派の木原誠二議員は「派閥の幹部でも役員でもなく知る立場にない」と答弁を避けました。私は、疑惑解明にフタをして政治改革を語る資格はない、と強調しました。

 

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企業・団体献金は賄賂/衆院特別委/塩川氏主張、自民は禁止拒む

「しんぶん赤旗」12月13日・1面より

 衆院政治改革特別委員会は12日、各党の政治改革関連9法案を審議しました。

 日本共産党の塩川鉄也国対委員長は、自民党から企業・団体献金の基本的考え方を問われ、政治資金は主権者である「国民の浄財」で支えられるもので、国民一人ひとりの政党への寄付は国民の選挙権・投票権と結びついた「国民固有の権利」だと指摘。「企業・団体献金は本質的に政治を買収する賄賂で、国民の参政権を侵害する」と批判し、「営利目的の企業が巨額の金の力で政治に影響を与えれば、政治が大企業に向けたものになる」「国民主権を貫くためにも禁止が必要だ」と答弁しました。

 塩川氏が企業・団体献金禁止について問うと、立憲民主党の吉田晴美議員は「企業・団体献金が腐敗や癒着の温床となり政策決定をゆがめてきた」と禁止を主張。日本維新の会の池下卓議員も、抜け道をつくらず禁止すべきだと主張しました。

 自民党の小泉進次郎議員は「企業献金が悪で、個人献金は善との立場はとらない」などと禁止を拒否。「禁止するという立憲案も『政治団体を除く』としており一部禁止だ」と述べました。塩川氏は「2000年以降、企業・団体が政治団体に献金することは、すでに禁止だ。そもそも企業・団体献金が政治団体を通じて流れる仕組みはない」と反論しました。

 公明党の中川康洋議員は「学者の見解も諸説ある」と主張。国民民主党の臼木秀剛議員も「透明性を高める」と主張するだけでした。

 塩川氏は、元会計責任者の有罪が確定している岸田派の裏金事件を追及。法案提出者で元岸田派の木原誠二議員は「派閥の幹部でも役員でもなく知る立場にない」と答弁を拒否。塩川氏は、疑惑解明にフタをして政治改革を語る資格はないと強調しました。


「議事録」

第216回臨時国会 令和6年12月12日(木曜日)政治改革に関する特別委員会 第4号

○塩川委員 日本共産党の塩川鉄也です。

 この臨時国会の最大の焦点は、総選挙での国民の審判に応え、裏金事件の真相解明と金権腐敗の一掃に国会がどう取り組むかにあります。裏金事件の全容解明が求められております。そもそも、裏金事件の全容解明を行わずに総選挙を行ったわけですから、是非、この臨時国会で真相解明を行うことが不可欠だということを申し上げたいと思います。

 自民党案の提出者の方にお尋ねをいたします。

 この自民党の裏金問題についてですが、誰がいつから何のために行ったのか、裏金は何に使ったのか、このことは明らかになっているんでしょうか。

○小泉(進)議員 おはようございます。本日もよろしくお願いいたします。

 まず、政治家同士の議論の場ですから一言申し上げておきますと、今回、今、塩川先生は裏金という形を使っていますけれども、いわゆる不記載ですね。この不記載の問題で、自民党自身も大変重く受け止めて、そして、先般の衆議院選挙においては、対象となった議員は全て重複立候補を禁止。中には非公認の対象者もいたわけです。

 そういった中で、この委員会でも、そういった環境の中でも勝ち上がって、地元の皆さんから、もう一回頑張れ、そういうふうに押し上げられた方もいる中で、ただ、この問題は、やはり制度としても、与野党で共通点を見出しながら、政治の信頼回復を果たしていこうではないかということで、この委員会で今議論をしていると思いますので、そんな思いで、前向きに議論の積み重ねを今日から委員会の場でさせていただければと思います。

 今お尋ねのあった、いわゆる収支報告書への不記載等の問題について、事実関係に関しては、第三者である検察により厳正な捜査が行われて、法と証拠に基づいて、刑事事件として取り上げるべきものは立件をされてきたところです。

 また、自民党においても、党役員を中心に、外部の弁護士も交えて、関係議員や選挙区支部長などからヒアリングを行うなど、事実関係の把握、解明に努めて、既に弁護士による報告書も公表をしているところです。

 それ以上のことについては、私は知る立場にはありませんので、お答えは差し控えさせていただきます。

○塩川委員 検察の場合には、これは刑事事件に相当するものだけの範囲でありまして、その点についても、その範囲が三つの派閥に限られているという点もあります。

 そもそも、まさに安倍派、二階派、岸田派を足すだけでも自民党の議員の過半数に及ぶわけですし、また、五年前以前にはそういった裏金のキックバックもあったんじゃないのか、こういったことはその他の派閥においても問題となってきた。麻生派の例などもあるわけであります。

 そういったときに、そもそも、誰がいつから何のために行ったのか、こういうことについて調査していないんじゃないですか。今お話しになった、弁護士なども入った党の調査報告の中では、調査項目として、誰がいつから何のために行ったのか、そういう調査項目は入っているんですか。

○小泉(進)議員 弁護士がまとめた報告書の中には様々項目がありますけれども、今、塩川委員から、裏金、何に使ったんだという、不記載ですね、不記載、何に使ったのかという、ここは正確にやらせていただきますけれども、この弁護士がまとめた報告書によれば、聞き取り対象者の述べた還付金等の主な使途、これは塩川先生ももう既に見られている上での質問だと思いますので、お分かりいただいた上での質問だと思いますが、委員会のメンバーの皆さんはそこまで見ていないかもしれませんので、あえてここで申し上げれば、その使途は、会合費、研修会の施設経費、懇親費用、小口現金、事務所費、車両購入費、書籍代、人件費、通信費、手土産代、備品・消耗品費、弁当代、リース代、旅費・交通費、翌年以降の派閥のパーティー券購入費用と記載をされています。

 この弁護士の報告書は公表させていただいているところであります。

○塩川委員 いや、私が質問したのは、その調査報告書における質問項目として、誰がいつから何のために始めたのか、そういう調査項目、質問項目があるのかということなんです。お答えください。

○小泉(進)議員 弁護士による報告書の中で、誰がいつからかということも含めて、まさに検察はもう既に捜査をして、刑事事件として取り上げるべきものは立件もされてきて、我が党においても、事実関係の把握と解明に努めて、弁護士による報告書も作成をして公表をして、そして今、この時点にある。

 ただ、今、塩川先生がおっしゃるようなことも含めて、それ以上のことについて私が知っているかと言われれば、私は知りません。そこの中で、今、私はお答えする立場にありますが、現時点でお答えできることについては、このように公表されたものの中で分かっていることはこういうことですと。

 そして、そこで終わらずに、制度の上でも、今まで不十分だ、また、国民の皆さんから信頼を得られない、政治の金の不透明な流れを断ち切らなければならない、そういった思いで、今回の中で、政策活動費の法律上の廃止、そして、我々だけで見るのはどうだろうかということで、第三者機関の設置、こういったことについても法案を提出した上で議論をさせていただきたいというふうに思っているので、是非御理解をいただければと思います。

○塩川委員 誰がいつから何のために行ったのかというのが質問項目であるのかについてお答えがない。ないからなんですよ。

 この質問項目を見ても、調査事項とすれば、派閥のパーティーに関して収入の記載漏れがありましたか、ありませんでしたか、あれば五年分を書いてくださいというだけなんですよ。誰がいつから何のためというのは、そもそも自民党は調査もしていないんですよ。それでどうして全容解明を行うことができるのか。こういうことが国民から厳しく批判をされている、このことをしっかりと受け止めるべきであります。

 そういう点でも派閥のパーティーの在り方が問われたわけでありますので、今日出席いただいている方の中で、岸田派でありました木原さんと国光さん、麻生派であります牧島さんについて、それぞれ、派閥パーティーでのノルマがどのぐらいで、またキックバックがどうだったのかということについてお答えをいただけますか。

○木原(誠)議員 塩川委員にお答えをいたします。

 まず、私、旧宏池政策研究会、宏池会に所属をしておりました。宏池会では、例年、派閥のパーティー、政策集団のパーティーを行い、我々所属国会議員がそれぞれの支援者に御協力をお願いをしてきた、こういうことでございます。

 その際、御質問の一つはノルマということでありますが、ノルマ等は、いわゆるペナルティーがあるような形でのノルマというものは特段ございません。それぞれの議員に、それぞれ最大限努力をするようにということでお話があったというふうに理解をしてございます。

 その上で、キックバックというお言葉を使われましたが、これは、日本語辞典等を引きますと、不正な報酬やリベート、こう書いてあります。私は、そうした形のキックバックというものは受けたことはございません。その上で、派閥からどのようないわゆる還付を受けていたかということを、数字を申し上げます。令和元年二十万円、令和二年五十万円、令和三年百五十四万円、令和四年ゼロ円、令和五年ゼロ円でございます。

 このキックバックという言葉は極めて印象が悪い。私はそのようなことを一切しておりませんし、今申し上げた数字は派閥の政策集団側の収支報告書にも、私の収支報告書にも明確に記載をしているところでありますので、その点、是非御理解いただければと思います。

○国光議員 お答えを申し上げます。

 先ほどの木原議員と同じくでございますが、私の方は、収支報告書に記載させていただいているものに関しましては、令和元年が二百十万円、令和二年が三百六十六万円、令和三年が三百万円、令和四年が七百六万円、令和五年が三十四万円でございます。それ以外につきましての趣旨は、木原議員と同様でございます。

○塩川委員 牧島さんはいらっしゃらないですか。(発言する者あり)ちょっと、事前に伺っていなかったものですから。

 それでは、引き続き木原議員にお尋ねしたいんですけれども、ノルマについて、目標ということで、これは同じ岸田派でありました林官房長官が私とのやり取りの中で、努力目標ではあるけれども、自分のその目標というのは百枚二百万円だとおっしゃっておりました。

 木原議員自身のいわゆる派閥のパーティーにおける努力目標というのはお幾らだったんでしょうか。

○木原(誠)議員 林当時の官房長官でしょうか、外務大臣でしょうか、お答えになった答弁だというふうに思います。

 これも正確にお話しいただいた方がいいと思いますが、林議員は、官房長官は、その時点で自分は座長という立場であったので百万円というノルマ的なものがあったと。しかし、その他の議員についてはそれぞれ努力目標を最大限頑張ってもらうというものであったというふうに御答弁をされていると承知をしています。

 私は、宏池会の幹部でもありませんし、役員でもありませんので、何か事前にこれを努力目標でやりなさいということを言われたことはございません。ただ、私も所属議員でありますので、最大限努力をし、結果として先ほどのような、還付という言葉がいいのかなというふうに思いますが、還付を収支報告書に計上させていただいた、こういうことでございます。

 したがって、努力目標が幾らであったかということは、私自身は実は承知をしてございません。

○塩川委員 先ほど答弁で、林官房長官、百万というか百枚。(木原(誠)議員「百枚です」と呼ぶ)百枚ですよね、百枚二百万円ということで答弁を私の方も受けたところです。

 そういう点では、派閥のパーティーがどんなふうに運営されているのかといった全体像を明らかにするということもやはりこの問題を教訓化する上で極めて重要で、幹部クラスがどうで、そうでない方がどうでとか、そういう全体像を明らかにしてこそ、やはり国民の皆さんの信に堪える、そういった在り方につながると思いますので、これは是非、個々の皆さんの都合ではなく、全体として派閥の関係者の皆さんが明らかにする、自民党として明らかにしていくべき問題だと思います。

 そういう点でいいますと、岸田派の裏金問題につきましても有罪判決が確定をしたところであります。

 この岸田派の派閥収支報告書の不記載について、二〇一八年の一千三百二十二万円の不記載のうち五百五十八万円は寄附の取消し要請があった分だということを林官房長官が答弁で述べております。同年中に寄附者からの申出があり、寄附を取り消して、同年中に返金を行っていたものなんだということですけれども、この寄附者が誰なのか、どのような経緯で行われたのか、それがなぜ不記載となったのか、こういうことについて教えていただけないでしょうか。

○木原(誠)議員 先ほども申し上げましたが、私、派閥の幹部でもありませんし、役員でもありませんので、その件について承知する立場にはございません。

 既にこの件については、座長あるいは当時の事務総長が説明をされているものと承知をしておりますので、是非それを御参照いただければと思います。

○塩川委員 いや、派閥の一員であった、そういう立場からも、この派閥の問題、有罪が確定したようなこういう刑事事件について全体像を明らかにし、解明をし、国民にその旨を示していくということが求められているんじゃないかと思うんです。こういった問題についても、疑問が疑問のままで残っている。

 この点についても、この五百五十八万円というのが、古賀元自民党幹事長が代表を務める古賀誠筑後誠山会に、このような記載漏れについての収支報告書の訂正が行われている。その金額が五百五十八万円と符合しているという点でも、この寄附の取消し要請というのが、この古賀事務所へのお金の返還、言い方を変えればキックバックにも当たるのではないかという疑いの問題などは、これはきちんと明らかにする必要があると考えますが、改めて、いかがでしょうか。

○木原(誠)議員 繰り返しの答弁で恐縮ですが、宏池会はもう今解散をしておりますが、当時五十人弱のメンバーであります。この五十人弱のメンバーがそれぞれの立場で派閥に関わっておりますので、もちろん、その派閥にあった問題について関心を持ち、そしてそのことについて反省をするということは、これは重要だというふうに思いますが、その説明責任については、やはり当時の幹部の皆さん、とりわけ座長、会長、そして事務総長、こうした皆さんが責任を持ってお答えをされるべきものだ、このように思います。

 私がここで、何も知らない私が臆測に基づいて何か答弁することは、かえって混乱を招くことだと思いますので、御容赦いただければと思います。

○塩川委員 派閥の関係者として、実態を明らかにするという立場で臨む必要があるのではないかということを申し上げているわけであります。

 岸田派については、二〇二〇年の収支報告書の訂正で、派閥パーティー収入額が八百九十六万円増加しているのに、購入者数は二千二百十八人のままで変わらないという点が指摘をされて、これは、岸田前総理や、また林官房長官も精査を続けているという答弁で、この問題もずっと精査のままなんですよ。こういった問題も何ら明らかにしないということでは全容解明などということには当然ならないわけで、裏金の不透明なお金の流れはいまだに明らかにされていないといったことでは、国民の信頼を得ることはできないということを申し上げておきます。

 その上で、この裏金の問題に関わって、そもそも、裏金の原資となっているのはパーティーの収入であって、その大半が企業、団体からのもの、つまり形を変えた企業・団体献金にほかなりません。

 そこで、自民党の提出者にお尋ねをいたしますが、三十年前の政治改革は、政治と金の問題を選挙制度の問題にすり替えて小選挙区制を導入をし、政党支部への献金、そして政治資金パーティー券の購入という二つの抜け道をつくって、企業・団体献金を温存した、これが裏金問題の大本にあるのではないのか、裏金問題の解決のためにはこの二つの抜け道を塞ぐことが必要ではないかと考えますが、お答えください。

○小泉(進)議員 塩川先生から三十年前のという話がありましたけれども、今般の政治改革の議論のきっかけとなった自民党自身の派閥の政治資金パーティーをめぐる不適切な会計処理の問題は、収支の公開に関する現行法を遵守できなかったことが問題でありまして、企業・団体献金自体が問題であったわけではありません。ですので、御指摘のような、三十年前の政治改革が問題の大本だという御指摘は、我々としてはそうは考えてはおりません。

 ただ、その上で、自民党としては、党のガバナンスの改革、ガバナンスコード、こういったものを改正をするなど、また、派閥を禁止、そして通常国会では政治資金規正法を改正をする、こういったことなどをやってまいりました。ですので、企業・団体献金については、これからまさに委員会でも議論が幅広く各党からも行われると思いますが、我々自民党としては、企業による献金が全て悪で、個人による献金が全て善なのだ、こういった立場は取りません。

○塩川委員 まさにその点が焦点になってくるのがこの政治改革の議論だということであります。

 自民党案に企業・団体献金の禁止が入っていないのは、自民党は企業献金が悪で個人献金が善という立場に立っていない、そういうことでのお答えがありました。

 その点で、ほかの党の皆さんについてもお尋ねをいたします。

 立憲民主党の提出者の方にお尋ねします。今回、企業・団体献金禁止の法案を提出したのはなぜなのか、その点についてお答えください。

○吉田(は)議員 お答え申し上げます。

 これまでも、多額の企業・団体献金が腐敗や癒着構造の温床となってきました。国民のための政策を実行するためには、特定の企業、団体によって政治、政策決定がゆがめられてはなりません。

 企業・団体献金は、一九九四年に成立した政治資金規正法改正でまず政治家個人に対するものが禁止、そして、二〇〇〇年には政治家の資金管理団体に対するものも禁止されました。しかし、その後も政党への献金は引き続き認められたことから、政党支部経由の献金がまだまかり通っております。また、企業・団体献金の代替として政治資金パーティーが引き続き認められておりまして、自民党派閥によるパーティー収入の裏金問題につながっております。

 企業・団体献金の全面禁止は、一九九四年以来、三十年近くの懸案事項となっておりまして、国民の政治に対する信頼を回復するためには、今こそ、資金力に物を言わせて政策決定をゆがめるこの企業・団体献金を禁止し、個人献金を中心に移行していくべきであると考え、本法案を提出した次第でございます。

○塩川委員 有志の会の提出者の方にも同様の質問をお願いいたします。

○緒方議員 これは、政治がどちらを向いて政治を行っていくかということと関わっていると思います。業界から億単位でお金をもらえば、それは配慮したくなるということだろうと思います。そういうことをしっかりと防いでいくということが私は大事だと思いますし、今回の法案、必ずしもパーフェクトであるとは思いませんけれども、これを端緒として、しっかりと政治の在り方を考えていくきっかけになればと思っております。

○塩川委員 国民民主党と公明党にお尋ねいたします。

 今回の法案の中で、国民の信頼の回復を図るために、政治資金の透明化の法案を提出をしておられます。国民の信頼回復のためには企業・団体献金の禁止が必要ではないかと思いますが、企業・団体献金の禁止についてのお考えをお聞かせください。

○臼木議員 御質問いただき、ありがとうございます。

 私たち国民民主党は、政治資金規正法についての考え方としましては、まさに法が定めているとおり、透明性を高めるというところにあると考えております。我々は、徹底的な透明化を主張し、今回も法案を提出をさせていただきました。

 あくまでも、制限の制ではなく、正していき、国民の皆様の不断の監視の下に置くということが法の趣旨でございますので、そのために必要な制度を我々は法文化し、皆様の下に御審議をいただきたいと提出をさせていただいております。

○中川(康)議員 御答弁申し上げます。

 塩川委員がまさしくおっしゃるとおり、我が党は、政治に対する国民の信頼の回復を図るため、政治資金監視委員会の設置及び政治資金の透明性を確保するための法案を、今回、国民民主党とともに提出をいたしております。

 ただ、企業・団体献金の禁止につきましては、最高裁判例や、また憲法学者や政治学者など学識経験者の見解も諸説分かれていることから、まずはこれら学識経験者の考えなどを広く聴取し、判断、検討されていくものと考えます。

 いずれにいたしましても、我が党といたしましては、本委員会で御審議をいただいております、この政治資金監視委員会を設置する法案の成立に注力をしてまいりたいと考えております。

 以上でございます。

○塩川委員 次に、維新の会の方に、企業・団体献金禁止の必要性についてお尋ねをいたします。

○池下議員 御質問ありがとうございます。

 我が党も、一九九四年に開始されました政党助成制度につきましては、企業・団体献金の廃止とセットで議論されていたと認識しております。にもかかわらず、企業、団体から政党への寄附は許されるという抜け穴がありまして、結局、実態は以前と変わらないということになっております。

 今こそ企業・団体献金は、政党に対するものも含みまして、抜け道をつくることなく、例外なく禁止する立法措置を講じなければならないと考えています。

 また、裏金問題では、パーティー券の販売が企業・団体献金の代わりにされているということも浮き彫りになっております。第二百十四回国会で提出した我が党の案にも規定していたように、企業、団体による政治資金パーティーの対価の支払いについても献金と同様に禁止すべきだと考えております。

 以上です。

○塩川委員 今、一通りお尋ねをしまして、企業・団体献金の禁止について明確に反対の立場の党は自由民主党ということであります。

 意見表明の際に、自民党は、我が党が政治に対する国民の信頼を失う事態を引き起こしたことに対し、党所属国会議員の一人として国民の皆さんに深くおわび申し上げますと述べておりましたけれども、この点、まさに世論調査でもそのことが示されている。そのポイントで、四月の世論調査において、企業・団体献金については利益誘導につながりかねないから認めない方がよいが七九%。総選挙後の世論調査でも、政治資金規正法改正で企業・団体献金の禁止を盛り込むべきとの回答が共同通信で六七・三%、JNNで六四%、六割を超えるというものになっております。

 このように、企業・団体献金の害悪が国民の共通認識となっている。企業・団体献金は禁止せよというのが国民の声だ。

 自民党の提出者にお尋ねしますが、このような、企業・団体献金は禁止をせよという国民の声にこそ応えるべきではありませんか。

○小泉(進)議員 そういった声は真摯に向き合っていかなければなりませんし、その上で、企業の献金が全て悪で、個人の献金が全て善だということの立場は我々は取りませんということも併せて丁寧に説明をし、御理解をいただく努力が必要だと思っています。

 現に、今各党からの表明がありましたけれども、この場は、よく立憲さんが公開と熟議と言いますけれども、この公開の場で今明らかになったことは、国民民主党さんは企業・団体献金の禁止とは言っていない、むしろ公開だ、透明性だ、これは我々と考え方は近いなということは分かるわけです。

 一方で、抜け穴なく完全にやめるべきだという維新の考え方を聞けば、じゃ、政治団体を除くとされている立憲さんの考え方と維新さんは違うなということが分かるわけです。

 ですので、今、企業・団体献金の問題については、自民党だけが禁止に反対だというふうにおっしゃっておりますが、やはり、各党がこの問題について立場が違うというのが、ある意味正確な理解なのではないでしょうか。

 私からすれば、立憲さんとかが出されているものも、企業・団体献金の一部禁止なのではないでしょうか。そして、維新さんはまさに全面禁止という理解もありますので、まさに、政治団体を除くという点などについて、労働組合の関係も含めて、どのようなことの上でお話をされているかということも併せて議論をされていかなければならない、そういうふうに考えております。

○塩川委員 国民民主党の提出者の方にお尋ねします。

 今、自民党の提出者の方が、企業・団体献金の禁止ではなくて、透明性の向上という立場で自民と国民民主は一緒だというふうにおっしゃられました。そこはそういう面もあるかもしれないですけれども、企業・団体献金の禁止そのものについて、それは反対だという点が自民党と一緒ということですか。

○臼木議員 御質問ありがとうございます。

 私も法案提出者としてこの場に立っておりますけれども、私たちは、徹底的な透明化を図るべきだということが、この政治資金規正の議論の在り方だということであります。そのために必要なものを法案として提出をさせていただいております。

 先ほど小泉議員おっしゃったように、各党、立場が違うということも我々承知しておりますので、我々としては、全党全会派で一致できる共通点を見出す努力はしていく。その一致できたところを全党一致で実行していくということは常々主張しておりますので、御理解賜れれば幸いです。

○塩川委員 今後、引き続きこの点は議論していきたいと思います。

 立憲民主党の提出者の方にお尋ねしたいんですが、完全禁止か、そうでない、一部禁止かみたいな話が出されました。政治団体を除くというのは、これは誤解というか、その趣旨について簡単に説明いただけますかね。

○大串(博)議員 私たちの企業・団体献金禁止法案に関して、企業、団体その他の団体、括弧、政治団体を除くと書かれているところが抜け穴ではないかというふうな言説をいただいておりますが、私たちは抜け穴をつくるつもりはございません。

 先ほど来提出者として御説明したように、私たちは、むしろ個人献金、個人の皆さんの政治参画を促していきたいと思っておりまして、様々な税制改革等も提案させていただいております。

 その中で、個人の方々が様々な思想、信条を持ち寄って政治団体を形成され、その政治団体から任意の中で献金をいただく、これはむしろ政治活動の自由ということで、あり得ることだというふうに思っておりまして、そのような意味での政治団体からの寄附はあり得るということで、私たちは、括弧、政治団体を除くというふうに書いています。

 ただ、企業が、企業の顔を隠して、強制的あるいは不当な形で、個人を装って政治団体を形成しているような場合はあってはならないということで、そのような条文も加えさせていただいているところでございます。

 その中身が足りないということであれば、いろいろな議論をいただきながら、更に精緻なものにするということもあり得る話だと思っておりますので、建設的な議論をお願いしたいと思います。

○塩川委員 元々、一九九九年の法改正で、企業、団体の献金、企業、団体からは政治団体は受けることは禁止になっているわけです。ですから、企業・団体献金が政治団体を通じて流れるという仕組みにはそもそもなっていないわけであります。その点を何か誤解されているようなお話というのは、きちっと我々としても説明を尽くす必要があると思っております。

 こういった点でも、本気でなくしていく。今、大串さんお話しになりましたように、業界団体や労働組合などが、それこそ強制加入、強制カンパをするような政治団体をつくる、そのこと自身は、まさに国民の思想、信条の自由を侵害する、あってはならない、認められないものですから、こういったことをきっぱりとやめさせる。

 そういうことを含めて、個人献金中心の政治資金の在り方ということこそ実現するために、何よりも政治をゆがめる大本の企業・団体献金の禁止こそ図るべきだということを求めていきたいと思っております。

 それで、石破総理は、今国会の所信表明演説で、さきの選挙結果は、主権者である国民の皆さんからの政治資金問題や改革姿勢に対する叱責であった、政治は国民のものとの原点に立ち返り、謙虚に、真摯に、誠実に国民と向き合いながら政治改革に取り組むと述べておりましたけれども、企業・団体献金については当然触れておられなかったわけであります。

 自民党の提出者にお尋ねしますが、石破総理は十二月十日の予算委員会で、企業、団体の献金を禁ずるということは、私は少なくとも憲法二十一条には抵触すると思っておると答弁をしておりますが、この点については総理と同じ考えなんでしょうか。

○小泉(進)議員 御指摘の点でありますが、八幡製鉄政治献金事件の最高裁判決は、株式会社の政治資金の寄附の自由について、憲法上は公共の福祉に反しない限り認められるとして、必要最小限度の規制は認めているところではあります。

 しかし、これを完全に禁止してしまうことは、憲法上、法人にも保障される政治活動の自由、憲法二十一条の一項と相当な緊張関係をはらむものと考えております。石破総理もこれと同様の認識を述べられたものだと考えています。

○塩川委員 この議論のときには八幡製鉄献金事件の最高裁判決が持ち出されるところであります。

 この一九七〇年の最高裁判決は、後段で、大企業による巨額の寄附は金権政治の弊を生む、有力株主が外国人であるときは外国による政治干渉となる危険もある、豊富、潤沢な政治資金は政治の腐敗を醸成すると企業・団体献金の弊害を認め、このような弊害に対処する方途は、差し当たり、立法政策にまつべきと述べております。

 企業・団体献金禁止の立法を否定しないと思いますが、見解はいかがでしょうか。

○小泉(進)議員 確かに、委員が御指摘の八幡製鉄政治献金事件の最高裁判決は、株式会社の政治資金の寄附の自由について、弊害に対する方途は、差し当たり、立法政策にまつべきであって、憲法上は公共の福祉に反しない限り認められるとして、立法による必要最小限度の規制も認めています。

 しかし、先ほども申し上げましたが、弊害を解消するための必要最小限度の規制は認められるとしても、これを完全に禁止してしまうことは、憲法上、法人にも保障される政治活動の自由に照らして、相当に慎重な検討が必要なのではないかと考えています。

 このことを踏まえて、現行の政治資金規正法は、企業・団体献金について、その他政治団体への寄附の禁止にとどめているものと考えられます。

○塩川委員 この最高裁判決に関わって、九三年の衆議院の政治改革特別委員会に参考人として出席した元最高裁長官の岡原昌男氏が次のように述べておられます。

 判決について、自民党の中で非常にルーズに読み、その一部だけを読んで企業献金差し支えない、何ぼでもいい、こう解釈しておりますが、あれは違います、企業献金は、法人がその定款に基づかず、しかも株主の相当多数が反対する金の使い方で、これは非常に問題がある、本来営利団体である会社ですから、非取引行為、つまりもうけにならぬこと、これをやることは株主に対する背任になります、もし見返りを要求するような献金ですと涜職罪、汚職ですね、になるおそれがある、そういう性質を持ったものです、あの判決を基に取って、企業献金は何ぼでもいいというふうな考え方はやめてもらいたいとはっきりと述べておられます。

 さらに、岡原氏は我が党の吉井英勝議員への答弁で、企業献金があれだけ行き渡っている中では、違憲や違反と最高裁がやれるわけがないと述べ、あれは助けた判決、俗に我々助けた判決というものでございますと暴露をしておりますが、こういう指摘を自民党としてはどのように受け止めておられますか。

○小泉(進)議員 助けた判決かどうかについてというのは、コメントしようがないことではあります。そしてまた、企業・団体献金何ぼでもいいというその方の発言というのは、事実とは全く異なります。ちゃんと量的、質的制限が入ったルールの範囲内で我々としては企業・団体献金は公開の下認められるべきだという立場でありますし、今回も、何ぼでもいい、そんなことは全く言っておりません。

○塩川委員 この判決そのものはもう五十年以上前のものであります。その後、ロッキード事件やリクルート事件や佐川急便事件やゼネコン汚職等々とまさに金権腐敗政治が繰り返されてきたわけで、その都度、企業・団体献金の禁止の方向に踏み出そうと国会でも繰り返し議論が行われてきたわけであります。にもかかわらず、この五十年前の判決にしがみついて、企業・団体献金の禁止をしないということが、国民の参政権を侵害している実態から目をそらすものであり、立法府の積み重ねてきた議論を無視するものと言わざるを得ません。

 そもそも、企業の政治献金は本質的に政治を買収する賄賂であり、直ちに全面禁止すべきであります。国民一人一人が自ら支持する政党に寄附することは、主権者として政治に参加する権利そのもの、国民固有の権利であります。選挙権を持たない企業が献金することは国民主権と相入れず、国民の参政権を侵害するものであります。営利を目的とする企業が個人をはるかに超える巨額の金の力で政治に影響を与え、自己の利益を図れば、政治は大企業、財界に向けたものになってしまうことは明らかであります。自民党と企業との癒着によって政治がゆがめられた事例は枚挙にいとまがありません。

 政治のゆがみを正して、国民主権を貫くためにも、企業・団体献金の禁止がどうしても必要ですので、我が党は、企業・団体献金、政党助成金を受け取らず、主権者である国民の皆さんに財政を依拠している党であります。だからこそ、裏金問題を徹底追及し、国民が主人公の政治を貫くことができる。この立場で、引き続き、企業・団体献金禁止を求めて質疑を重ねていきたいと思っています。

 次に、政策活動費についてでありますけれども、政策活動費は、収支報告書には党幹部の名前と金額が書かれているだけで、領収書がなく、使途が不透明なものであります。

 自民党を見ると、過去十年ほど年間十億円前後で続き、直近の二〇二三年では八億五千万円でしたが、参院選があった二〇二二年では十四億円、総選挙があった二〇二一年では十七億円となっております。選挙の年に多いということは、地盤培養と称して地方議員へのばらまきを含む、選挙のための闇金として使われていたのではないのかという疑いが生じます。

 同時に、領収書を残さない政策活動費の原資は、領収書を残さなければならない政党助成金以外ということですので、いわば企業・団体献金がその原資と見ざるを得ません。企業・団体献金を原資とし、選挙のために使う、金の流れを不透明にする、これはまさに派閥のパーティーの裏金と同じ話であって、政策活動費はいわばもう一つの裏金、そもそも裏金の本丸というべきものと言わなければなりません。

 自民党の提出者にお尋ねしますが、政策活動費というのはそもそも脱法行為で、収支を全て明らかにするという政治資金規正法の趣旨に反するものではありませんか。

○長谷川(淳)議員 お答えいたします。

 我が党における政策活動費は、党に代わって党勢拡大や政策立案、調査研究を行うために、党役職者の職責に応じて支出をしているものでございます。すなわち、政党本部から党役職者である党所属の国会議員に対してされる支出でございます。

 現行法には何ら抵触するものではないと考えておりますが、政治資金規正法の趣旨を踏まえまして、今回の改正案では、渡し切りによる経費支出を禁止することとしております。最終的な支出先の氏名等が収支報告書に記載されることになるよう、政党及び国会議員関係政治団体からの役職者又は構成員に対する渡し切りによる支出について、法律上、明確に今般の法律案で廃止することとし、その支出の透明化を図っているところでございます。

○塩川委員 通常国会の改定法について、自民党など与党が多数で押し切ったのが通常国会の議論だったわけですけれども、政策活動費について、政党からの支出というのはそもそも政治家を経由せずに行い、収支報告書に支出先や金額を書けばよいというのが基本であります。

 政治資金規正法は、政治資金の収支の公開などにより、政治活動の公明と公正を確保し、もって民主政治の健全な発達に寄与することを目的としており、使途が不透明な政策活動費そのものが脱法行為であります。だから、元々、政策活動費は政治資金規正法に規定もなかったわけであります。このことは、さきの通常国会の議論で自民党提案者も、定義がないと認めたところであります。

 自民党提出者にお尋ねいたしますけれども、このような、通常国会で成立をした改定政治資金規正法は、この不透明な政策活動費を新たにわざわざ法定化をした、そして温存する、そういうものだったということですね。

○長谷川(淳)議員 お答えいたします。

 さきの通常国会で成立した改正政治資金規正法で規定した第十三条の二でございます。政党から政党活動費のような国会議員への渡し切りの経費の支出が行われることを前提として、更にその先の具体的な使途について、項目別の金額とその支出の年月を収支報告書に記載されるものとして改正をしたことは事実でございます。

 今回の法案では、最終的な支出の氏名等が収支報告書に必ず記載されることになるよう、法律上、渡し切りによる構成員への支出を廃止することとして、今回、その支出の透明化を図ったところでございます。

○渡辺委員長 最後の質問にしてください。

○塩川委員 法改定の趣旨についてお尋ねしたんですけれども、その点についての直接のお答えがありませんでした。

 自民党の提案者の現行法令上の定義がないとの答弁と、岸田総理の法律に基づいて認められているとの答弁には大きな違いがある。その点をただしたのについても、現行の規正法上認められるということと、規定されていることは別物だと。今回の法案において政策活動費について法定化をする、規定を設けると答弁をしたということでは、そもそも政策活動費が脱法行為であるということを認める答弁だった。

 そういう点でも、こういった改定法で政策活動費を合法化をした、賛成する党の責任が厳しく問われるということで、それを踏まえた議論を今国会で行っていきたいと思います。

 質問を終わります。