【政治改革に関する特別委員会・自由討議】自民党を助ける国民民主党を批判

 企業・団体献金をめぐる与野党の法案を審議している政治改革特別委員会で、自由討議が行われ、私は、企業・団体献金禁止の立場に立たない国民民主党の姿勢を批判しました。

 日本共産党をはじめ、ほとんどの野党が、企業・団体献金の禁止で一致しています。

 一方、国民民主党は、公明党とともに、禁止ではなく献金上限額の規制や受取政党支部の制限を主張。野党提出の法案が、企業・団体献金禁止に抜け道があるかのように述べ、企業・団体献金に固執する自民党を助けています。

 私は、1990年代当時から「抜け道」と指摘されていた企業・団体による「政党支部への献金」「政治資金パーティー券購入」という2つの抜け道を塞ぐことこそ求められていると強調。

 国民民主党が、「政治団体」を通じた企業・団体献金の抜け道があると主張していることに対し、そもそも現行法においても、迂回献金や寄附者を偽る虚偽記載は違法。共産党の参院提出法案は、すべての政治団体に対し企業・団体献金の受け取りを禁じ、企業・団体による寄附のあっせんも禁止しており、抜け道となり得ないと強調しました。

 また、国民民主党はガバナンス規程を設ける政党法制定を提案しています。

 私は、「政党の組織・運営とは政党の在り方そのものであり、それを届け出て許可を受けるとなれば、結社の自由からして重大な問題だ」と指摘。

 「あたかも野党の法案に穴があるようなことを言って、企業・団体献金を温存することがあってはならない」と主張しました。

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国民民主 自民に助け舟/企業・団体献金禁止法案/塩川氏が批判/衆院政治改革特委

「しんぶん赤旗」3月30日・2面より

 企業・団体献金を巡る与野党の法案を審議している衆院政治改革特別委員会で28日、日本共産党の塩川鉄也議員は、企業・団体献金禁止の立場に立たない国民民主党を批判しました。

 日本共産党をはじめとするほとんどの野党は、企業・団体献金の禁止で一致しています。一方、国民民主は、公明党とともに禁止ではなく献金上限額の規制や、受け取り支部の制限を主張。野党提出の法案が企業・団体献金禁止に抜け道があるかのように描き、企業・団体献金に固執する自民党を助けています。

 塩川氏は、1990年代当時から「抜け道」と指摘されていた「政党支部への献金」「パーティー券購入」という二つの道をふさぐことこそ求められていると主張しました。国民民主が「政治団体」を通じた企業・団体献金の抜け道があると主張していることに対し、そもそも現行法においても迂回(うかい)献金や寄付者を偽る虚偽記載は違法だと指摘。共産党の参院提出法案は、全ての政治団体に対し企業・団体献金の受け取りを禁じ、企業・団体による寄付のあっせんも禁止しており、抜け道となり得ないと強調しました。

 また国民民主は、ガバナンス規定を設ける政党法制定を提案しています。塩川氏は「政党の組織・運営とは政党のあり方そのものであり、それを届け出て許可を受けるとなれば、結社の自由からして重大な問題だ」と指摘。「あたかも野党の法案に穴があるようなことを言って、企業・団体献金を温存することがあってはならない」と強調しました。


「議事録」

第217回通常国会 令和7年3月28日(金曜日)政治改革に関する特別委員会 第12号

○塩川委員 日本共産党の塩川鉄也です。

 この間、参考人質疑でも、企業・団体献金の禁止につきまして、政党支部への献金、パーティー券購入の二つの抜け道についての歴史的な経緯の話も出されたところであります。政党支部への献金、パーティー券購入の二つの抜け道を塞ぐことこそ政治改革に求められているときであります。

 参考人質疑で成田参考人は、政党支部を通じた政治家個人への企業・団体献金へという抜け道について、細川内閣で実際に整理した法律ですが、考え出したのは自民党で、その前に自民党法案が出たときにそういう仕組みを導入しまして、それで細川内閣でもその仕組みを受け継いだ、こういうことです、自民党側の事情は要するに政党助成なり献金を受けるのが本部だけだと地方議員が困るというんですね、それで地方議員の資金を手当てするためにどうしても政党支部が必要になるという考え方でした、当時から政党支部がいろいろ使われるということは当然予見されておりましたという話でありました。

 谷口参考人は政党支部について九三年当時の山花大臣の答弁を引用されて、山花大臣が今ある県本部とか支部、総支部の数よりは少なくなることが常識的な流れと答弁した際に、我が党の東中議員が、都道府県や市町村単位でつくることができる、二つ以上の市町村単位や都道府県単位でもつくることができるから無数につくることができると批判をしたわけであります。谷口参考人に当時から数千の政党支部をつくり抜け道ができることは明らかだったのではないかと尋ねたところ、御指摘のとおりかと存じますと述べておられました。

 また、パーティー券購入という抜け道についても成田参考人は、当時から当然そういう懸念はございました、正直申し上げて一遍に全ての蛇口を止めるわけにはいかないということでパーティーは許されたわけですが、その後当然そういうものは整理されていくべきだというふうに考えられていた、少なくとも連立政権ではそういうふうに考えていたということでございますと述べておられました。

 一九九〇年代の政治改革におきまして、先日私も質疑しましたけれども、政治家個人についての企業・団体献金、金の流れが疑念を招くので政党中心にするんだというのが改革の趣旨だということだったんですが、実際には政治家個人への企業・団体献金を禁止しながら政党支部とパーティー券購入という二つの抜け道ができたということであります。政党中心というのが政治改革の趣旨であれば、少なくともこの二つの抜け道を塞ぐ必要があるのではないのか。この点について自民党提出者にまず伺います。

○長谷川(淳)議員 お答えいたします。

 まず一点目、政党支部についてでございます。

 政党の支部は、政党組織の一部でございます。本部と一体となって政党の政治活動を行っております。我が党は、党所属の国会議員、都道府県議会議員、市区町村議員を含めると五千名近い議員を有しております。地域をそれぞれくまなく活動し、民意を酌んで政策に反映させ、党勢を拡大していくために、選挙区ごと、地域ごと、職域ごとに支部をきめ細かく組織しています。

 我が党は、国民政党であるがゆえに、支部においても地域に根差した政党活動を幅広く行うために、その活動に必要な資金について、法律で定められた量的、質的制限の範囲内で資金の拠出を受けているところでございます。いわば抜け穴という指摘は当たらないというふうに思います。政党のそれぞれの支部についてもそれぞれに、地域ごとに、政党ごとに異なっています。そうした地方の御意見も十分に踏まえる必要もあると思います。

 次に、企業、団体によるパーティー券購入についてでございます。

 これまでも、政治資金パーティーにつきましては、対価の支払いの上限の設定や、大口購入者の氏名公開を含めた収支公開の仕組みが設けられてきたところでございます。さらに、昨年の政治資金規正法の第一弾の改正において、収支報告書における政治資金パーティーの対価の支払いをした者の氏名等の公開基準額を二十万円超から五万円超に引き下げる措置が講じられたところでございます。

 政治資金パーティーについても、日頃の政治活動の報告、あるいは政策に対する考え方などを聞いていただく、そうした支援していただく方の交流の場としての役割もございます。何より、政治資金パーティーの開催収入は、政党機関紙などの発行収入と同じく事業収入として適切に行われているものと承知をしています。したがいまして、委員御指摘のような、企業・団体献金の抜け道、抜け穴といった評価は当たらないものと考えております。

○塩川委員 パーティーの収入につきましては、その八割、大きな金額が企業、団体による購入というのが明らかになっているところです。元々派閥において個別に献金を受けていたものができなくなった、そういう中でパーティーにという形での移行をしてきた、その流れが裏金問題になっているわけですから。そもそも、政治家個人への金の流れの二つの抜け道という流れの中でこういった裏金問題にもつながっているという、その反省を踏まえても、この穴を塞ぐことこそ必要なのに、その姿勢がないというのが自民党だということであります。政党支部についても同様のことが言えるわけであります。

 立憲民主党と日本維新の会にお聞きします。今回出されている法案におきまして、この二つの抜け道、抜け穴についてはしっかりと塞ぐことができるのか。この点についてお答えください。

○井坂議員 ありがとうございます。

 我々の野党共同案は、政党支部への企業・団体献金を禁止し、企業、団体によるパーティー券購入も禁止しておりますので、御指摘の二つの穴は塞がる案になっております。そのために法案を提出しておりますし、この委員会でその二つの穴を塞ぐ結論を出してまいりたい、そのように考えております。

○池下議員 御質問ありがとうございます。

 今の御答弁と同じでございますけれども、野党共同案では政党支部を含めた政党への企業・団体献金を禁止いたしまして、企業、団体によるパーティー券購入も禁止しているため、委員御指摘の二つの穴は塞がるものと考えております。しっかりと野党の皆さんとともにこの問題を解決していきたいと考えております。

○塩川委員 今、国民さん、公明さんから素案という形で出されているものを拝見しますと、企業・団体献金の全面禁止ではなく上限規制を行う、そういう中身を含むというものであります。

 改めて、全面禁止する、そういう法案を出してきた趣旨、理由、それは何なのかについて立憲民主党、日本維新の会からお聞きしたいと思います。

○井坂議員 企業・団体献金、一九九四年でまず個人に対するものは禁止された、二〇〇〇年には政治家の資金管理団体に対するものも禁止された。しかし、委員御指摘のように、結局は政党支部経由の献金がまかり通っており、献金の抜け道として政治資金パーティーが引き続き行われてきた、そしてまた、今回、自民党派閥によるパーティー収入の裏金問題で、今、日本の政治に対する信頼が地に落ちているわけであります。

 企業・団体献金の全面禁止は、一九九四年以来、三十年近くの懸案となっており、国民の政治に対する信頼を回復するためにも、今こそ、資金力に物を言わせて政策決定をゆがめる企業・団体献金を禁止して個人献金中心に移行していくべきであると考えております。

○池下議員 御質問にお答えいたします。

 私たちの共通する責務は、三十年前に、リクルート事件など、企業・団体献金が政治や政策をゆがめ収賄事件にまで発展した実態を踏まえまして細川当時の総理と河野洋平自民党総裁を始めとした諸先輩議員が懸命に取り組んだ、平成の政治改革に決着をつけることだと思っております。その中核にありますのはそのときに激変緩和として放置された抜け穴、すなわち会社、労働組合、職員団体その他の団体から政党と政治資金団体への寄附を完全に廃止することであります。

 平成六年に開始されました政党助成金制度も、政党助成金を導入する代わりに企業・団体献金を廃止するはずだったが、結果としてこの抜け穴のせいで企業・団体献金は存続いたしまして、政党助成金との二重取りとなりました。

 今こそいわゆる裏金事件に端を発する国民の政治不信を払拭し、真に国民の求める政治改革を実現するために、企業・団体献金は禁止する立法措置を講じなければならないと考えております。

○塩川委員 前回取り上げましたように、企業・団体献金を規制する立法措置を積み重ねてきたのがこの国会での議論であります。それを無視するように、いまだに企業献金に固執しているのが自民党の皆さんであります。そもそも、自民党の派閥パーティーを通じた裏金事件にとどまらず、リクルート事件やロッキード事件、黒い霧事件などなど、一連の法改正のきっかけは自民党の不祥事であるわけであります。

 今こそ企業・団体献金の全面禁止に踏み出すときだということを申し上げて、質問を終わります。


塩川委員 企業・団体献金の禁止は、立憲民主党、日本維新の会、れいわ新選組、有志の会など、ほとんどの野党が一致をしているところであります。

 国民民主党さんは意見表明で、形式的には個人献金の形を取りながら、その内実は企業・団体献金である可能性を一切排除することは現実的に考えて不可能という意見を述べられました。ただ、そもそも現行法においても、迂回献金や、寄附者を偽って収支報告書に記載することは虚偽記載であり、違法行為です。

 我が党が参議院で提出している法案におきましては、このようなものについての抜け道にならないという点で、一つは、政党や政治資金団体、企業、労働組合その他の政治団体、全ての政治団体において企業、労働組合等の団体からの献金を受けることを禁止しております。第二に、企業や労働組合等による政治活動に関する寄附だけでなく、あらゆる寄附のあっせんも禁止をしております。よって、企業や労働組合等が、その従業員や組合員等から寄附を集めて政治団体に提供することはできないということです。その上で、業界団体や労働組合などが政治団体をつくり、構成員の強制加入や強制カンパを行っているなら思想、信条の自由の侵害であり、許されるものではありません。

 もう一つ、政党法に関連してですけれども、国民、公明の素案に、企業・団体献金は政党の組織、管理運営等に関する法制度に服さない政党に対するものを禁止する方向で検討とあります。政党法制定の考えと受け止めました。国民民主党さんは、政党のガバナンスを規定する政党法の制定を提案しておられます。

 その上で、例えば現行政党助成法や政党法人格付与法で、政党の名称、目的、主たる事務所の所在地、代表者の氏名、直近選挙の得票数、綱領、党則、所属議員の宣誓書などを中央選管に届け出、確認を受けております。これ以上何を届け出させるのかということがあります。外部監査といいますけれども、現行の政治資金監査制度が収支報告の適正の確保に全く意味を成さないものであるというのは、この間、当委員会でも私が指摘をしてきたところであります。監査人のチェックを受けたというお墨つきを得ようとするものにほかならない監査制度は必要ないと考えております。

 政党の組織や運営というのは政党の在り方そのものであります。それを届け出る、許可を受けるとなれば、結社の自由からして重大な問題であります。政党の政治活動の自由をないがしろにし、国家による政党に対する内部問題への介入、関与そのものと言わなければなりません。収支報告書は速やかにそのまま国民に公開することこそ徹底すべきであり、国民の監視を保障する仕組みこそ必要だということを申し上げたい。あたかも野党の法案に穴があるようなことで企業・団体献金を温存しようとするようなことがあっては決してならないということを申し上げておきます。

 その上で、国民民主党さんと公明党さんに、今の素案に基づいて自民党との間で実務者協議を始めたということで承知しております。実務者協議というのはどのようなことを行っていくことを考えているのか。当然協議を行っていくということであれば三月三十一日に期限を限る必要はないのではないのか、そういう立場に立っておられるのではないのかと思いますが、その点についてお聞かせください。

古川(元)委員 そもそも、政党法についてのところだけ、ちゃんとこれは正させていただきたいと思いますけれども、我々は結社の自由は大事だと思っています。ただ、巨額の政党交付金を受け取っている、やはりこれは公金ですから、その団体はそれなりのガバナンス規制に服すべきだと思うんですね。例えば私大とか何かで私学助成を受けているところは当然ガバナンス規制があって、例えば日大などはいろいろな不祥事が続いてガバナンスが機能不全だということで私学助成が止められた、そういう事実がありました。

 ですから、私たちは、自民党のいろいろな派閥の問題なんかは、私は元々は党としてのガバナンスが利いていないからこういう問題が起きたんだと思っています。ですから、やはりそういうところをしっかり、ガバナンス規制をちゃんと、政党交付金を受け取る以上はそこのガバナンスに服して、ガバナンス違反があれば政党交付金を止めたり減額できたりする、そういう形を取るべきだということは前から申し上げている。それだけ厳しいガバナンスを受けたところに限っては企業・団体献金は認めるけれども、それ以外は認めない。共産党さんは政党交付金を受け取っていないんですから別に政党法の規制を受けるところは、公金を受け取っていないところについては我々は何ら規制を設けるつもりはありませんので、そこのところは誤解しないでいただきたいと思います。

 実務者協議というのは、これはあくまで意見交換をしただけで、どこかほかの党ともやっていって、本来は我々は幅広く与野党が集まったところでやはり協議をして行き着くべきだと。そのときに我々の案をたたき台として使っていただきたいということで提案しているということです。