私は、選管による選挙執行事務ミスの激増問題について質問しました。
私は、「選挙は民主主義の根幹で、主権者・国民の参政権の問題であり、不正があれば選挙無効になりかねず、ひいては選挙権を行使できなくなる」と指摘したうえで、「選挙執行にあたって最も重要なことは、公正で間違いがあってはならないこと」と強調。
2004年と22年の参院選における管理執行上問題となった行為の件数は、04年が63件22年が224件へ、15年余りで3倍以上に急増しています。
私が、選挙ミスが増えているのはなぜかとただすと、村上誠一郎総務相は「多くは単純ミスや思い込み等によるもの」と答弁。
私は、参院選では非拘束式名簿方式を導入した01年以降に比例代表の候補者で得票ゼロになった例が少なくとも16件あるとの報道や、解散から公示まで短期間だった24年総選挙では不在者投票で受け付けた票の入れ忘れなどがあったことを示し、「有権者が投票した票が消える事案が全国各地で起こっていることに、危機感を持つべきだ」と批判。
さらに、私は、開票所経費は抑えられ、開票所は大幅に減り、開票所の事務従事者数は激減し、経費積算の前提となる開票時間の基準が減らされていることを指摘。
参院選においては基準時間以内に終了した開票所は4割しかなく、この基準を維持することが開票のプレッシャーになりミスにつながっていると強調。
抜本的に見直し信頼される選挙の開票事務にするよう求めました。
「議事録」
第217回通常国会 令和7年5月15日(木曜日)政治改革に関する特別委員会 第15号
○塩川委員 日本共産党の塩川鉄也です。
前回の質疑に続いて、選挙執行事務に関連して質問をいたします。
選挙は民主主義の根幹であり、主権者である国民の参政権の問題であります。不正があれば選挙の正当性が失われることになり、選挙無効になりかねないので、ひいては選挙権を行使できなくなる。二〇一九年、当時の石田大臣は私の質問に対し、選挙は民主主義の根幹をなすものであることから、適正な管理、執行により選挙の公正を確保することは極めて重要であると答弁しております。
村上大臣にお尋ねいたします。選挙執行に当たって最も重要なことは公正で、間違いがあってはならないということだと思いますが、確認したいと思います。
○村上国務大臣 お答えいたします。
選挙は民主主義の根幹を成すものであることから、適切な管理、執行により選挙の公正を確保することは極めて重要であると考えております。
○塩川委員 石田大臣と同じ答弁だったわけですけれども。
投票用紙の交付ミスや不在者投票の運用の誤りなど、管理執行上問題となった行為、いわゆる選挙事務ミスについてお尋ねをします。総務省にお聞きしますが、二〇二四年の総選挙については集計中とのことですので、二〇〇四年の参議院選挙と二〇二二年の参議院選挙における管理執行上問題となった行為というのはそれぞれ何件あるでしょうか。
○笠置政府参考人 総務省では、国政選挙や統一地方選挙の際に各都道府県選管から管理執行上問題となった事項について報告をいただいております。御指摘の平成十六年、二〇〇四年及び令和四年、二〇二二年の参院選において管理執行上問題となった事項として報告のあった件数は、平成十六年、二〇〇四年が六十三件、令和四年、二〇二二年が二百二十四件であります。
○塩川委員 参議院選挙では、十五年余りで六十三件が二百二十四件と三倍以上、四倍近くに急増しております。二〇一五年、私の質問に対して当時の高市大臣は、選挙事務に携わった職員が不正を行うという事案が発生したことで、選挙への信頼を揺るがしかねない、ゆゆしきことと述べ、しっかりと注意喚起していくと答弁をしました。一九年の質問では、当時の石田大臣は、改めて通知を発出し、研修に選管OBを派遣する制度を新設するなどと述べております。
村上大臣にお聞きしますが、しかしながら、二〇一九年参院選でのこのような管理執行上問題となった行為二百件が三年後の二二年参院選では二百二十四件で、引き続き増えているわけです。こういった選挙ミスが増えている理由は何なのか、この点についてお答えください。
〔委員長退席、後藤(祐)委員長代理着席〕
○村上国務大臣 国政選挙等におきまして管理執行上問題となった事項としましては、投票用紙の交付誤りや、本人確認を十分に行わないまま投票用紙の交付を行うことなど、多くは単純ミスや思い込み等によるものであると考えております。
総務省としましては、このような事務的ミスの発生を避けるためにも、各選挙管理委員会において、選挙事務に従事する応援職員に対する研修の実施等により、個々の事務の目的や必要性について十分に確認いただくことが重要と考えております。
今後、参院選に向けた全国の担当者会議におきましてその徹底を要請するとともに、実務に精通した者を派遣する管理執行アドバイザー制度や、各選挙管理委員会における研修の徹底などを通じて、選挙の厳正な管理、執行に万全を期すよう取り組んでまいりたい、そのように考えております。
○塩川委員 単純ミス、事務的なミスがあるんだと言うんですけれども、ではそれが何で増えたのかというところが問題だと思います。同じことが繰り返されるだけじゃなくて、増えているわけですから。
そういった点で、参議院選挙の場合に、比例代表選挙は非拘束名簿式、二〇二二年の立候補者数は百七十八人であります。この人数の候補者の個人名票をそれぞれ集計して、政党名票と合わせて各政党の得票数とし、当選者数を決め、個人名票が多い順に当選者が決まる。さらに、優先的に当選する特定枠も加わりました。候補者数が多く、複雑で膨大な開票作業が行われております。
参議院選挙で非拘束名簿式を導入した二〇〇一年以降、比例代表の候補者で得票ゼロでトラブルになったというのが少なくとも十六件あるとの報道があります。
○後藤(祐)委員長代理 今恐らく急用で大臣が退席されましたが、大臣に対する質問を予定するのであれば止めますが。(塩川委員「次があるものですから、止めてもらえれば」と呼ぶ)では、一旦止めます。
速記を止めてください。
〔速記中止〕
〔後藤(祐)委員長代理退席、委員長着席〕
○渡辺委員長 速記を起こしてください。
塩川君。
○塩川委員 もう一問お答えいただいてから中座ということで事前に了解をしておったものですから。(村上国務大臣「済みませんでした」と呼ぶ)いえいえ。
このように、得票ゼロという開票区が比例代表の個人名であったという例というのが十六件あるとの報道もありました。
我が党の山下芳生参議院議員も、二〇一九年の参院選で大阪府堺市美原区でゼロ票となっておりました。その後、山下議員に投票した有権者の方々が、自分の一票はどこに行ったのかと訴えられたところであります。山下議員がこの問題を参議院の倫選特でも取り上げたところですけれども、自分の願いを託して一票を投じた有権者が、票が消えてしまったと、憲法に保障された参政権を侵害されたことに強い憤りを感じておられたということで、票が消えてしまったという方の中には、お年が百歳の方で、二人の方に介助してもらって投票所に行って投票した、その方なども、一票の重みを忘れないでほしい、こういうことを訴えておられたそうであります。このように、国民の参政権が侵害をされる、こういった事態は絶対にあってはならないことであります。
有権者が託した一票の重みを受け止めるべきだ、そういった際に、先ほどはミスが増えたのはなぜかということをお聞きしたんですが、今回は、何で選挙ミスがなくならないのか、こういったことについて大臣のお考えをお聞かせください。
○村上国務大臣 先ほどは失礼いたしました、許可が出たもので行ったので。
繰り返しになるんですけれども、総務省としましては、このような事務的ミスの発生を避けるためにも応援職員に対して研修の実施等により個々の事務の目的や必要性について一生懸命やっているつもりなんですが、やはりどうしても応援の方をいっぱい頼むこともありまして、残念ながらそういう申し訳ないミスが多々起こっているのではないかと思います。
○塩川委員 要するに、こういったミスというのが参議院選挙だけではなくて衆議院選挙においても、二〇〇五年の六十四件が二一年の二百九十六件と激増しているわけです。二〇二四年の総選挙の場合には解散から公示までが非常に短期間であった、こういった点で不在者投票の入れ忘れや投票用紙の二重交付などが全国で相次ぎました。
報道によれば、大阪府豊中市では不在者投票で受け付けた比例代表の五百二十五票を投票箱に入れ忘れていずれも無効になるとか、大阪府の富田林市でも不在者投票を執行室の保管庫に入れたまま投票を締め切り比例代表の三十二票が無効になるとか、川崎市ではパソコンの充電切れで投票システムが一時停止し約二十人が投票できなかったとか、有権者が投票した票が消えてしまう、無効にされてしまう、これが全国各地で起こっているということに危機感を持つべきであります。
しかも、二〇一〇年代に現憲法下で起こらなかったことが三件も立て続けに起こりました。国政選挙における選管による開票不正であります。一三年参院選での高松市選管の不正開票事件や、一四年総選挙での仙台市選挙管理委員会の不正開票。また、一七年の総選挙では、甲賀市の選管が、投票総数より開票した票数が少なかったために白票の水増しでつじつまを合わせて、見つかった未集計の投票用紙を焼却処分していた。甲賀市選管の不正に関わり四百票の投票用紙を焼却した元総務課長はインタビューで、国政選挙では職員のプレッシャーが大きい、他の市町の開票状況も気になる、正確さは当たり前で速さが問われると答えております。何度も指摘してきていることですが、こういう事件の背景に、開票時間の短縮を求める、そういうプレッシャーがあったことは明らかだと思います。
基礎的な数字を確認しますけれども、一九九五年と二〇二二年の参院選時の開票所総数はそれぞれ幾つか、何か所減少したかを確認します。
○笠置政府参考人 参院選における開票所数でございます。平成七年、一九九五年は三千四百十か所、令和四年、二〇二二年は千八百九十七か所となってございます。
平成七年と令和四年を比較すると、開票所の減少数は千五百十三か所となってございます。
開票区は原則市町村単位、政令市の場合は区でございますが、そういった単位でございますので、市町村合併によりその数は減少しているということでございます。
○塩川委員 この二十五年間で開票所は四四%も減少しております。
現行の非拘束名簿方式が導入された二〇〇一年と直近二〇二二年の参院選時の開票所事務従事者の総数、これはそれぞれ何人でしょうか。
○笠置政府参考人 開票所事務従事者数でございますが、平成十三年、二〇〇一年は三十三万四百十三人、令和四年、二〇二二年は二十万九千九百二十三人となっています。
○塩川委員 二〇〇一年は三十三万人、二二年は二十一万人、開票所の事務従事者というのがこの二十年間で大幅に減少しているわけであります。
そして、国政選挙経費の基準額積算の前提となる開票時間の基準がどんどん減らされている。現行の基準は、準備、撤去の時間も含めて四・五時間となっています。二〇〇四年の改定までは、参院選の基準は六・五時間だったわけであります。二〇二二年の参議院選挙において四・五時間以内と六・五時間以内に開票終了している開票所の割合がそれぞれどうなっているのかについてお示しください。
○笠置政府参考人 令和四年の参院選におきまして、四・五時間以内に開票が終了した開票所の比率は約四一%、六・五時間以内に開票が終了した開票所の比率は約八三%となっています。
○塩川委員 開票時間の基準、現行の四・五時間以内にそれぞれ開票終了しているのは四割しかないんですよ。昔の基準の六・五時間に照らしても八二・六%ということですから、この開票時間の基準というのがもう実態に合っていないということを言わなければなりません。
今国会提出の執行経費法案でも開票時間基準が四・五時間のままです。四割しか終わっていないのに何で四・五時間のままにしているんですか。
○笠置政府参考人 令和四年の参院選の実態調査をしたところでございます。全ての開票所の平均開票時間が四時間五十分でございました。令和元年の平均開票時間は四時間四十五分、平成二十八年参院選の平均開票時間は四時間五十分と大差がなかったことから、現行の基準時間、四時間半を維持することとしたところでございます。
○塩川委員 時間が参りましたので終わりますけれども、四割の開票所しか達成していない開票時間の基準を四・五時間のままにしているということが開票時間のプレッシャーにつながって、ミスにつながっている、こういう問題があるということは真摯に受け止めるべきであります。開票所経費は抑えられ、開票所は大幅に減り、開票所の事務従事者数は激減をし、開票時間の基準は短時間のまま、こういった基準そのものを抜本的に見直して本当に信頼される選挙の開票事務を行わせていく、このことを強く求めて、質問を終わります。