イラン情勢について、中東問題を専門とする田中浩一郎慶應義塾大学大学院教授が、米国・イスラエルによるイラン攻撃について、「国際法上の観点から違法な軍事攻撃だ」と主張しました。
田中氏は、昨年6月イスラエルが単独でイランへの軍事攻撃を始めた際は、日本政府はイスラエルを厳しく非難した一方、今回の攻撃については一切批判していないとして、「この不整合は日本の信頼を損なうことになる」と指摘しました。一方イランによる周辺国への報復攻撃には自制を求めました。
私は、昨年6月と今回の攻撃に対する、日本政府の対応の違いと問題点について質問しました。田中氏は「アメリカによる攻撃が加わっていることが、法的な評価を差し控える、非難をしないところに繋がっている」と答弁。「日米同盟最重要であるという一極に集中しているがゆえに、少しでもそれを危うくする環境を作りたくないということだろう」と指摘しました。
「議事録」
第221回特別国会 令和8年3月10日(火曜日)予算委員会公聴会 第1号
○塩川委員 日本共産党の塩川鉄也です。
公述人の皆さんには、貴重な御意見をいただき、本当にありがとうございます。
最初に、田中公述人にお尋ねをいたします。
先ほどの冒頭の意見陳述や、また質疑の中で、アメリカ、イスラエルのイランに対する武力攻撃について、国際法違反であり、その際の日本の政府の対応について、昨年六月のイスラエルによるイラン攻撃について岩屋大臣が強く非難したということも紹介をされて、今回も非難をすべきだった、また、今回の場合について、外交の途上だったにもかかわらず武力攻撃を行ったことについても、そういった点についての批判もすべきだったということをおっしゃっておられました。
そうしますと、昨年の六月と今回のとを対比をしたときの違い、日本政府の対応の違いというのは何があるのかということについてお話しいただけないでしょうか。
○田中公述人 御質問ありがとうございます。
あくまでも外形的な相違ということをベースにお話を申し上げますと、去年の六月の段階で最初にイスラエルが攻撃をした際には非難がありました。しかし、その十日後に米国も参戦して攻撃したことに関しては非難はなかったんですね。
今回は、イスラエルと米軍がほぼ同時に入って、若干イスラエルが早いんですけれども、ほぼ同時に起きているということで、去年の六月のときの二度目の攻撃、すなわちアメリカによる攻撃が加わっているということが、今回の法的な評価を差し控える、その他もろもろ、非難をしないというところにつながっているものだと私は理解しています。
○塩川委員 アメリカが関わると法的な評価をしないというのはなぜなのか、その問題点も含めて御説明いただけないでしょうか。
○田中公述人 これもあくまでも私の臆測ではありますけれども、日米同盟は最重要であるという、そこの一極にやはり集中しているがゆえに、少しでもそれを危うくするような環境をつくりたくないということだろうと思います。
また、現状においては、トランプ大統領が、ちょっとでも何かしらか気に入らないような言動をどこからかされると、これは国内でも国外でも、国際関係においてもあると、とてつもないしっぺ返しをしてくる。例えば関税の話とかを持ち出したりすること。あるいは、例えばスペインの例でいいますと、貿易関係とかを全部断絶するとかですね。そういうことを言うような言動に対して、やはり非常に神経質になっているがゆえの対応ではないかと見ています。
○塩川委員 続けて、スペインのお話がありましたが、スペイン政府としては、やはり、国内の基地の使用を米軍機には認めないとかいうことを含めて、国際法違反を厳しく批判して、アメリカのイラン攻撃に反対をしております。アメリカの同盟国でも立場の違いがあるわけです。
こういった、アメリカの同盟国において、でも立場の違いがある、その対応の違いというのはどこにあるのか、どこからくるのか、その点についてはいかがでしょうか。
○田中公述人 スペインの場合には、NATOという集団安全保障体制の下にあるので、スペイン一国がどう対応するかということでNATO全体を壊すことが恐らくアメリカとしてはできないという対応も、スペインが、強硬と言うと変ですね、強い立場で発言することを可能にしているんだろうと思います。
一方、日本の場合には、片務的な日米同盟しかないということで、そこに大きな瑕疵がやはりある、借りがあるという立場からの対応になっているんだろうと思っています。
○塩川委員 ありがとうございました。
次に、堀公述人にお尋ねをいたします。
堀公述人におかれては、社会保障政策についてのお話をいただきました。
高市首相の施政方針演説を見ていますと、社会保障政策についてのまとまった部分というのはないんですよね、どうかと思いましたけれども。一方で、責任ある積極財政ということを強調されておられて、これまでの政策の在り方を根本的に転換する本丸として責任ある積極財政と述べているんですが、この責任ある積極財政と社会保障政策の関係について、お考えのところをお示しいただけないでしょうか。
○堀公述人 責任ある財政、経済成長を進めなければ、社会保障、経済成長をすることで所得が増えて、そしてそれによって負担することもできる、それで給付をよくするという、その好循環を進めるという意味では積極財政という考え方もあり得るとは思っています。ただ、具体的に実際どうなるかは正直まだ分からないところもありますので、この先を見ていきたいなというふうに思っております。
今回、社会保障に関してだけ見る限りは、かなり、内容を見て精査して、丁寧に適正化、よい意味で適正化も図っているところもあるのではないかというふうに思っております。ですので、そういう意味では、責任あるというところが全うされようとしているところは見られるのではないかというふうには思います。
ただ、先ほどもお話ししましたように、一政権の問題ではなく、より長期的に続く構造的な課題に関しては、恐らく、今回の予算であるとか、短期的に対応するようなことではないと思いますので、そちらについて考えたときには、やはり新たな財源確保というのは非常に重要な課題になってくるというふうに認識をしております。
○塩川委員 ありがとうございます。
次に、小幡公述人に伺います。
高市首相の責任ある積極財政なんですけれども、この責任ある積極財政とはいかなるものかについてのお考えをお聞かせいただきたいのと、どう評価するのかという点について伺います。
○小幡公述人 積極財政という言葉自体は気合を示したものだけですので、全く評価はどうしていいか分かりません。
○塩川委員 そういう一連の施策の中で、複数年度の投資の話もありました。小幡公述人自身も、一旦始めたら引けない悪い癖を助長するとか、形式的にでも毎年チェックしていれば引くきっかけは存在する、一年の損失で食い止められるというお話をされておりました。
今回、関連の法案として特例公債法案が出ております。五年間の期間延長を目指すものですけれども、こういった、五年とかというまとまった格好での対応となるこの特例公債法案についてはどのように評価しておられるでしょうか。
○小幡公述人 冒頭のお話でも申し上げたとおり、私はこう見えても財務省出身ではあるんですが、特例公債かどうかということは関係ないというふうに思います。つまり、特例公債、必要なときは出す、それで何をやるかということですね。
例えば、先ほどの例でいえば、こういうイランへの侵攻が起きて、原油価格を始め、昨日のお話でいえば、ナフサという産業にとっての要となるようなものがなくなるというときには、特例公債でも何でも必要なものは出したらいい。ただ、一バレル六十ドルで、円安だけでガソリンが日本だけ上がっているという状況のときに、それは、財源は特例国債だろうが、財源がどこにあろうが、そこで財政支出するというのは適切でないというふうに考えます。
それは、つまり、資金調達の手段とは関係なく、支出の中身の問題で、いい支出を今までそんなにしていない以上、規模を大きくするというのは、それだけ言われますと反対せざるを得ないというふうに思います。
○塩川委員 以前は、特例公債法案、毎年毎年やっていたものを、民主党政権以降、五年に一回ですとか束ねてやるような形になった。そういう在り方についてはどのようにお考えでしょうか。
○小幡公述人 特例公債というのは、元々やはり、昔でいえばその裏にちゃんと物が残る、今日、バランスシートの話、スライドというか紙には書いたんですけれどもお話しできなかったんですが。つまり、投資として残るものを出すときは、それは建設国債で出すから問題ありません。赤字国債というのは、負債だけ残る。
要は、バランスシートというのは負債があって資産があって、別にどれだけ負債が膨らんでも、いい資産が残っていれば何の問題もないです、バランスシートですから。いい社会が残っていれば何の問題もないです。ところが、特例公債がなぜ問題かというと、その年のために使ってしまって後世には何も残らない、ただ、こっちの負債は残ります、だから問題だということで、特に厳しい、基本的には禁止、毎年の法律が必要だということだったので。
それを緩めるというのは、やはり基本的にはガバナンスを緩めるということになりますので、望ましくはないというふうには考えます。
○塩川委員 今、危機管理投資、成長投資ということで高市政権が取り組んでいる一つに経済安全保障の分野があって、冒頭の陳述でも、経済安全保障は経済成長にマイナスというお話もされました。実際、十七成長分野への投資支援ということを掲げている高市政権ですけれども、そういった十七分野の成長分野への支援というのは意味がないというふうに受け止めてよろしいんでしょうか。
○小幡公述人 それも中身によるので、これからいい弾が出てくれば、いいのもある。例えば、十七分野と関係ありませんが、前政権かもしれませんけれども、ラピダスがありますけれども、これは賛否両論です。私は、ラピダスはうまくいかないと思っています。それはなぜかというと、日本国産とか北海道とかいろいろな制約条件をべたべたにつけて、オール・ジャパンで頑張るという、やはり思いが含まれてしまっているので、完全に制約条件なしのグローバル競争に大分ハンデを背負っているので、勝つ可能性はもちろんゼロじゃないんですけれども、どうしても、財政で、国でやるとなると、そういうものが入ってくるので難しい。
十七分野に関して言えば、今、何となく話題になっているのを並べたら十七あるという、まあ、全部ということなので、絞った方がいいとは思いますけれども、現時点では何がこれから始まるのやらという感じなので、中身次第ですし、分野を広げ過ぎているという意味では余り賛成できません。
○塩川委員 冒頭の陳述のところにも書かれておりました、軍事支出は経済にはマイナス、軍備、兵器輸出が国民を不幸にすることについて、もう一回、意味するところを御説明いただけないでしょうか。
○小幡公述人 これは共産党的な意味ではなくて、私、戦争には賛成も反対も申し上げなくて、戦争をしたければすればいいと思いますし、防衛が必要であればするんですよ。ただ、あたかも、軍需にやると需要が出て経済にプラスだみたいな話があるんですが、それは絶対にありません。
需要がないときに軍需で需要を出してGDPの数字が同じになったとしても、手元に残っている需要やお金のうち、軍需を百兆円つくってほかのものを百兆円つくらなかったわけですから、もし軍需がなければ、ほかのものを百兆円つくって、GDPなんだから、その百兆円が生活インフラになっていれば、そっちの方が圧倒的にいいわけですよね。
だから、第二次大戦、太平洋戦争の例を出すまでもなく、国民が生活を徹底的に我慢した上で同じGDPで戦争を戦う、そういう心意気は、ウクライナを見ていればそういう心意気が必要なときもあるとは思います。ただ、経済には明らかにマイナスで、生活には明らかにマイナスだ、そういうことでございます。
○塩川委員 ありがとうございます。
高橋公述人にお尋ねいたします。
メディアでの発言で拝見したんですけれども、消費減税のことですが、日本も他の先進国と同様に消費減税を経済状況に応じて行えばよいのではないのかと述べておられます。こういったように、他の国と同様の消費税減税を、経済状況に応じて下げるような場合、こういったことの必要性について御説明いただけないでしょうか。
○高橋公述人 消費税といえども経済政策ですから、経済状況に応じてやるというのはごく当たり前だと思うんですけれども、上げは絶対にオーケーだけれども下げはいけないとか、硬直的に考えることはないんじゃないかなというぐらいの趣旨であります。
○塩川委員 時間が参りました。
ありがとうございました。

