【選挙制度協議会】有識者2人が定数削減を批判、「小選挙区制の弊害」も認める

 衆議院のあり方について有識者2人から意見を聴取し、質疑を行いました。出席した有識者2人とも議員定数の削減を批判しました。

 陳述の中で、竹中治堅・政策研究大学院大教授は「身を切る改革」について「議員を『特権階級』と扱うのは、議員と国民の間に対立を生み支持拡大する一つの手法」と批判したうえで、議員数は歴史的にも世界的にも少なく、「すでに議員が少ないので国民と議員の接触の機会が少ない。減らせばますます議員が遠い存在になる。悪循環になる」と指摘し、議員数の増員を提案しました。

 中北浩爾・中央大教授も議員数が少ないことを指摘し「定数削減を一方的に進めていくことは望ましくない」「定数増も一考に値する」と述べました。

 私は、2016年の定数削減の際、有識者協議会が定数削減の「積極的な理由や理論的根拠は見出し難い」と答申し、審議においても「定数削減に合理的根拠なし」が明白となったことを示し、「立法府が積み重ねてきた到達点を反故にして、定数削減を強行しようとしている」と批判しました。

 また、私は小選挙区制が、得票率と獲得議席に著しい乖離をつくること、1票の格差是正のため区割が毎回行われることなどの弊害を指摘。これに対し、中北氏は「同意見だ。多党化の流れの中で、無理くり小選挙区制を導入して民意を集約することは適切ではない」「頻繁な区割り変更は政党・政治家と有権者の関係が切断される」と述べました。

衆議院TV・ビデオライブラリから見る


議員定数削減は悪循環/衆院選挙制度協議会/有識者が批判

「しんぶん赤旗」5月22日・2面

 衆院選挙制度協議会は21日、衆議院のあり方について有識者2人から意見を聴取し、質疑を行いました。出席した有識者2人とも議員定数の削減を批判しました。

 竹中治堅・政策研究大学院大教授は陳述で、「身を切る改革」について「議員を『特権階級』と扱うのは、議員と国民の間に対立を生み支持拡大する一つの手法」と批判しました。議員数は歴史的にも世界的にも少なく「すでに議員が少ないので国民と議員の接触の機会が少ない。減らせばますます議員が遠い存在になる。悪循環になる」と指摘。議員数の増員を提案しました。

 中北浩爾・中央大教授も議員数の少なさを指摘し「定数削減を一方的に進めていくことは望ましくない」「定数増も一考に値する」と述べました。

 日本共産党の塩川鉄也議員は、2016年の定数削減の際、有識者協議会が定数削減の「積極的な理由や理論的根拠は見いだし難い」と答申し、審議でも「定数削減に合理的根拠なし」が明白となったことを示し、「立法府が積み重ねてきた到達点をほごにして、定数削減を強行しようとしている」と批判しました。

 塩川氏はまた、得票率と獲得議席に著しい乖離(かいり)を生み、「1票の格差」是正のための区割り変更が毎回行われるなど小選挙区制の弊害を指摘。中北氏は「同意見だ。多党化の流れの中で、無理くり小選挙区制を導入して民意を集約することは適切ではない」「頻繁な区割り変更は政党・政治家と有権者の関係が切断される」と述べました。


「議事録」

第221回特別国会 令和8年5月21日(木曜日) 第3回衆議院選挙制度に関する協議会

○塩川協議員 日本共産党の塩川鉄也です。お二方から貴重な御意見を賜り、ありがとうございます。

 お二方にそれぞれ二問お尋ねしようと思うんですけれども、一つは小選挙区制のことであります。

 冒頭の陳述で中北先生から、単純小選挙区制は反対だ、政治の不安定化、人材の確保が困難になるという趣旨のお話がありました。竹中先生は、単純小選挙区制を目指すべきというお話をいただいたところです。

 私は、小選挙区制に伴う課題として、得票率と獲得議席に著しい乖離をつくり出すことになるのではないか。また、一票の較差を解消するために毎回小選挙区の区割り変更が必要となって、これが候補者、有権者にとっても大きな負担となる。そういった課題があると思うんですが、小選挙区固有のこういった問題点、弊害についてのお考えをお二方からそれぞれお聞かせいただければと思います。

 もう一つは、議員定数の削減の問題であります。

 衆議院では、二〇一六年に衆議院の選挙制度調査会の答申が出されまして、そのときは五つ削るという話だったわけですけれども、それも踏まえて、衆議院議員定数について、国際比較や過去の経緯などからすると多いとは言えず、定数を削減する積極的な理由や理論的根拠は見出し難いと明確に書かれております。私は、それが衆議院、立法府の議論の到達点ではないかと受け止めております。

 ですから、民主党のときに八十議席削減というのはその前の話であって、二〇一六年を踏まえた定数の議論こそ必要ではないか。そういう点で、二〇一六年の衆議院選挙制度調査会における定数に係るこのような取りまとめについてどのように受け止めておられるのか。

 それと、議員定数に関わってもう一つ、議院内閣制の下で、特に、今、政務三役が八十人近く政府に入ることになります。ですから、立法府で立法府の権能を果たす議員の数はそこから差し引かれるという状況がある。そういうところに定数を削減することになれば、立法府にふさわしい権能を果たすことも後退させることになりはしないのか、こういった危惧も覚えておるものですから、その点について知見がございましたらお願いしたいと思っております。 

○中北浩爾君 御質問ありがとうございます。ほとんど同意見でございます。

 小選挙区制は、私は、一定程度、政治の安定といったことを含めて、民意の集約が必要であるということは確かですけれども、単純小選挙区制にするような条件は今はないのではないかというのが私の冒頭発言の趣旨でございます。それは余りにも政治が流動化してしまう。

 先ほど、政府に百人近く入るという話をされましたけれども、多分落選者だった人が一気にまた戻ってくるとなると、政権運営をそうした政党がうまくできるのかという問題にもなってきます。しかも、現状では政治が流動化している、多党化の流れがあるという中で、無理くり単純小選挙区制を導入していって民意の集約を図るというのは余り適切ではなく、政党数をある程度コントロールしていくような制度の方が望ましいのではないか。 

 もう一点、区割りの変更が頻繁に起きるという点は私も同感でして、区割りを変更すると、政党、政治家と有権者の間の関係性が切断されて、また、関係性が流動化していきますので、そういった観点からも頻繁な区割りを生じないような制度の方が望ましいと私も考えております。

 議員定数についても、根拠が不十分ではないかという点については、まさに御指摘のとおりでありまして、これは竹中参考人が様々な資料を御用意いただいて示されたとおりでありまして、やはり慎重に考えていくべき論点ではないかと感じております。

 以上でございます。 

○竹中治堅君 塩川先生、御質問ありがとうございました。

 まず、質問は多分三つあったと思うんです。小選挙区は死に票が多くなるのではないか、区割りが頻繁になってしまうのではないか、定数削減についてどう考えるのかということだったと思うんです。

 死に票が多くなるということは御指摘のとおりで、死に票は出てしまうと思うんですが、しかし、日本は参議院があるのでというのはもう既に御説明したとおりでございます。そちらで多様な民意は吸収すればいいと思っております。

 そして、先ほど申し上げなかったんですけれども、日本は参議院選挙が三年に一遍という非常な頻度でやってくるわけです。なので、ほかの諸外国に比べたら国政選挙の頻度が高いので、そこで多様な民意を吸収する機会は十分にある。極端な話、こんなに頻繁に国政選挙をやっている国はなかなかなくて、アメリカぐらいなもので、平均すると十八か月に一遍か十六か月に一遍やっている、というのは補足ですけれども、だから、民意を表明する機会は、参議院のことを考えたらすごくたくさんあるんです。そこで吸収すればいいのではないかというのが一つでございます。

 それから、区割りの変更問題でございますけれども、これは塩川先生がおっしゃるとおりの問題意識を私は共有しております。

 是非とも御覧になっていただきたいのが八ページの資料でございますけれども、仮に定数を五百まで戻した場合に、これを単純小選挙区でやった場合に、投票価値の較差は県間で一・四四まで抑えられます。ということは、多分、区割りを変更しなくても相当もつということではないかと思うので、要は、これは多分ここの協議会でもさんざん御指摘されていることだと思いますけれども、議員定数を増やせば増やすほど定数較差の是正、特に、県単位で、県の中で選挙区をつくらなければならないという制約の下では、定数を増やせば増やすほど較差問題の解消につながるので、そこをもう少しここで改めて強調させていただきたいと思います。

 そして、定数削減については、既にそういう報告書がまとめられているということでございますので、それについても、今日私もさんざんそれを改めて強調するようなことを申し上げたので、やはり定数削減には慎重にも慎重を期すべきだろうということを改めて繰り返させていただきたいと思います。

 ありがとうございました。