同法は、国境付近の離島のうち人口減少が著しい離島を特定有人国境離島として指定し、航路・航空路の運賃の引き下げ、農水産物の輸送コストの抑制、雇用機会の拡充などの振興策を講じるものです。改正案は2026年度末に期限が切れる現行法を10年間延長するとともに、特定有人国境離島に新たに6島を追加します。
私は、同法に基づく交付金により、離島住民の航路運賃が約4割下がるなどの実績を確認。改正案の附則にある5年後見直し検討規定について「特定有人国境離島の追加は含まれるのか」と問うと、法案提出者の武部新衆院議員は「追加も含まれうる」と答弁しました。
私は、新たに特定有人国境離島に指定される山形県酒田市の飛島で、昨年末に海が荒れ、飛島―酒田間の航路の定期便が長期間にわたって止まった事例を紹介。「島が孤立して、島民の生活基盤を揺るがす事態となった」として、「交付金とともに離島振興法等の関連法制の拡充強化を」と強調。法案提出者の鈴木英敬衆院議員は「交付金の拡充強化や離島関連施策を強力に推し進めるよう政府に働きかける」と答えました。
私は、同法に基づく基本方針に、国の行政機関の施設の設置として「自衛隊部隊の増強」が盛り込まれている点は問題だと指摘し、「国境をめぐる問題の解決にあたっては、憲法九条の精神にのっとり、対話を通じた外交交渉によって平和的に解決すべきだ」と主張しました。
離島振興の拡充を提起/有人国境特措法改正案/塩川氏質疑/衆院内閣委
有人国境離島特措法改正案は6月25日の衆院本会議で賛成多数で可決しました。日本共産党は賛成しました。同法は、国境付近にある人口減少が著しい離島を特定有人国境離島に指定し、航路・航空路の運賃の引き下げ、農水産物の輸送コストの抑制、雇用機会の拡充などの振興策を講じるもの。改正案は、2026年度末に期限が切れる現行法を10年間延長し、特定有人国境離島に6島を追加します。
日本共産党の塩川鉄也議員は同24日の衆院内閣委員会での同改正案の採決に先立つ質疑で、離島住民の航路運賃が同法に基づく交付金によって約4割下がるなどの成果があったと内閣府に認めさせたうえで、改正案付則にある5年後見直し検討規定に「特定有人国境離島の追加は含まれるのか」と質問。法案提出者の武部新衆院議員(自民)は「追加も含まれうる」と答弁しました。
塩川氏は、新たに指定される飛島(山形県酒田市)では、昨年末に海が荒れ、飛島―酒田間の定期船が長期間欠航し、「島が孤立して島民の生活基盤を揺るがす事態となった」として、「交付金とともに離島振興法等の関連法制の拡充強化を」と提起。提出者の鈴木英敬衆院議員(自民)は「交付金の拡充強化や離島関連施策を強力に推し進めるよう政府に働きかける」と答えました。
塩川氏は、同法に基づく基本方針に、国の行政施設の設置として「自衛隊部隊の増強」が盛り込まれたのは問題だとして、「国境を巡る問題の解決に当たっては、憲法9条の精神にのっとり、対話を通じた外交交渉によって平和的に解決すべきだ」と主張しました。
「議事録」
第221回特別国会 令和8年6月24日(水曜日)内閣委員会 第22号
○塩川委員 日本共産党の塩川鉄也です。
有人国境離島法改正案について質問をいたします。
我が党は、有人国境離島法の改正案に賛成をするものであります。
今回の法律案の改正の背景として、有人国境離島地域は、有人国境離島法の施行以降、人口の社会減が一定程度抑制されている一方、人口減少や高齢化が全国と比して厳しい状況にあるなど、依然として多岐にわたる課題を抱えているとしております。
有人国境離島法の成果をどう評価をするか、課題は何か、それを踏まえて、今回の改正の趣旨について御説明ください。
○長谷川委員 塩川鉄也委員にお答えをいたします。
有人国境離島法は、有人国境離島地域が我が国の領海、排他的経済水域等を適切に管理するための活動の拠点として重要な機能を果たせるよう、平成二十八年に議員立法により制定されたものでございます。翌平成二十九年の法施行以降、国及び地方公共団体によりその管理と地域社会維持に係る施策が進められてまいりました。
法施行から約九年が経過いたしますが、これまで特定有人国境離島地域において、法制定前に年間二千人程度ありました社会減が法制定後は一千四百人程度の減に改善しておりますほか、幾つかの特定有人国境離島市町村では社会増も達成しているなど、特定有人国境離島地域の人口の社会減が一定程度抑制されており、本法律には一定の成果があったものと認識をしております。
一方、有人国境離島地域と全国を比べますと、人口減少や高齢化が全国と比して厳しい状況にあり、持続的な有人国境離島の社会維持には引き続き課題があると考えております。
このため、有人国境離島地域が、現下の諸課題を克服し、今後もその役割を安定的かつ継続的に果たせるよう、同法の有効期限の十年間の延長を行うとともに、都道県の責務及び滞在型観光の促進に係る規定の追加、特定有人国境離島地域の追加などの所要の改正を行うこととしたいと考え、本改正案を提出したものであります。
○塩川委員 社会減の一定程度の抑制を図るという点での成果とともに、やはり課題は残されているということでの今回の法改正と承知しました。
この間、自然的、社会的に条件不利性の高い特定有人国境離島に対し交付金が措置をされて、離島住民の方の航路や航空路の運賃が三割、四割引き下げられるという支援策が行われてきたことは重要であります。
この特定有人国境離島地域社会維持推進交付金の対象となる特定有人国境離島地域について、その選定基準はそもそもどのようなもので、その選定基準は、今回新たに追加をされたことについて、これまでと違うものなのか、この点をお聞きするものであります。そういう点では、選定基準についてお尋ねをいたします。
○武部委員 特定有人国境離島地域については、有人国境離島法第二条第二項におきまして、有人国境離島地域のうち、継続的な居住が可能となる環境の整備を図ることがその地域社会を維持するために特に必要と認められる地域を本法律の別表に定めることとされております。
その必要性を判断するに当たりましては、本法の制定時も今回も、人口、距離を勘案した上で、その地域社会の維持を図るための施策が特に必要な地域であるかを総合的に検討を行ったところでございます。今申し上げたとおり、その必要性の考え方については、本法の制定時と今回で変更はございません。
今回、天売島・焼尻島、粟島、飛島、新島・式根島については、法施行後十年を経て、現行法で既に定められている特定有人国境離島地域と同程度に厳しい状況に置かれていることから、同地域に追加し、地域社会の維持を図るための施策を実施する必要があると判断したものであります。
○塩川委員 これまでと同等の選定基準ということであります。
同時に、やはり、困難性が増しているような離島も残されているところであります。今回の改正で、検討条項として、改正法の施行後五年を経過した場合に、施行状況について検討を加え、その結果に基づいた必要な措置を講ずる旨を附則に書いております。施行後五年の見直しにおいて、特定有人国境離島地域の追加をするということもあり得るんでしょうか。
○武部委員 今般、社会経済情勢の変化や有人国境離島地域の実情を踏まえまして、必要な見直しを柔軟に行うことができるよう、五年後検討に関する規定を設けております。
見直しの内容については、特定有人国境離島地域の追加も含め、改正法の施行後五年時点での状況を踏まえまして具体的に検討していくことになると考えております。
○塩川委員 追加も含め、検討ということであります。
内閣府にお尋ねします。
特定有人国境離島地域社会維持推進交付金の成果について説明ください。
○舟本政府参考人 お答え申し上げます。
御指摘の交付金は、内閣府が所管しております交付金でございます。
特定有人国境離島地域の地方自治体などが主体となって行います離島住民向けの航路、航空路運賃の低廉化事業や、農水産品の輸送費の支援事業、また雇用機会の拡充への支援事業等の実施に要する経費の一部を負担する交付金でございます。
御質問の交付金の成果でございます。
運賃の低廉化事業につきましては、離島住民の離島と本土との往来に必要な航路、航空路の運賃を平均で約四割から五割、この成果として引き下げられているところでございます。令和六年度では、約二百三十万回御利用いただいているところでございます。
輸送費の支援事業につきましてでございます。農水産品のうち、生鮮品の国境離島地域から本土への移出とその原材料の離島への移入に係る経費の支援を実施しております。令和六年度では、各地域の農協、漁協を始めとする四百四十の事業者に御活用いただいているところでございます。
また、雇用機会の拡充事業についてでございます。民間事業者等が雇用増に寄与する創業、事業拡大を行う場合に必要な設備費や人件費の支援を実施しております。令和六年度では約百六十件の事業への支援を行っておりまして、これまで、法施行後八年間の累計で二千五百人を超える新規の雇用が生まれているものと承知してございます。
○塩川委員 離島団体からはこの交付金について評価をいただいているところでありますが、ただ、もっとより工夫して拡充強化を求める、そういう御意見も寄せられているところであります。
提出者にお尋ねしますが、この特定有人国境離島地域社会維持推進交付金の成果の評価と課題についてどのように考えるのか、また、それを踏まえてこの交付金の拡充強化、増額を図るべきではないのか、この点についてお答えください。
○吉田(宣)委員 御答弁申し上げます。
特定有人国境離島地域社会維持交付金は、今政府からも御答弁がございましたとおり、特定有人国境離島地域の離島住民向けの航路、それから航空路運賃の低廉化や輸送費の支援、雇用機会の拡充への支援等に活用をされてきております。
各自治体からも交付金制度の継続、充実、拡充を強く要望されるなど、本交付金は特定有人国境離島地域の社会維持になくてはならない役割を果たしてきたと考えております。
一方、昨今、航路、航空路の運賃の値上げがその頻度、値上げ幅共に増加しており、また設備費、また人件費といった事業コストも趨勢的に上昇をしているところでございます。
こうした中におきまして、国境離島住民の方に安心して生活をしていただき、継続的に事業活動をしていただくことが重要でございまして、そのために必要不可欠な交付金予算の確保、拡充が特に重要な課題であるというふうに考えております。
このような状況を踏まえて、特定有人国境離島地域社会維持推進交付金を通じた地域社会の維持のための施策を引き続き継続をさせていただくことに加えまして、今般の法改正のタイミングで、地域からの切実な要望などを踏まえて、必要な施策の拡充を行うよう、政府にしっかり働きかけてまいりたいと存じます。
○塩川委員 拡充強化、また増額を図るということで取り組んでいきたいと思います。
今回、新たに特定有人国境離島地域に追加される離島の一つとして、山形県酒田市の飛島があります。飛島では、この冬、海が荒れて、昨年の十二月の二十四日から一月十四日の年末年始にかけて、長期間にわたって飛島―酒田間の航路の定期便が停止をするという深刻な事態がありました。我が党の酒田の議員が議会でこの問題を取り上げて、長期欠航は、単なる交通の不便だけではなく、島が孤立をして島民の生活基盤を揺るがす事態となり、島民に多くの不安を与えたと訴えておりました。
交付金の拡充強化とともに、離島振興法、また関係法制の拡充強化も求められております。こういった支援を更に強めていく、そういう点で、離島振興法と一連の離島振興関連の法制度の拡充強化を図ることが必要ではないでしょうか。
○鈴木(英)委員 答弁を申し上げます。
今、塩川先生からおっしゃっていただいた事例は、私の選挙区も離島がありますので、非常に問題意識を共有するところであります。
その上で、離島振興法につきましては、令和四年の離島振興法の改正に当たって、離島の状況を踏まえて、医療、通信、生活環境整備、教育等の分野について配慮規定を充実させるとともに、日常生活に必要な環境の維持が図られるよう、小規模離島への配慮を新たに設けたところであります。
そして、今般の有人国境離島法の改正に当たりましても、離島自治体を始めとした関係者から、先ほどのことなんかも含めて、様々な、切実な御要望を頂戴したところでありまして、我々としましても、政府に対して、関係省庁が連携をし、離島振興施策の充実を図って、強力に推進するように求めてまいりたいと考えております。
○塩川委員 住み続けられる離島の実現のために、支援の強化を強く求めていきたいと思っております。
最後に、有人国境離島法に基づく基本方針には、国の行政機関の施設の設置として、自衛隊部隊の増強が盛り込まれている点は問題であります。
そもそも、歴史的にも、国境に接する離島は、国交が持たれるずっと以前から、人々の間で自由に交易、交流が行われ、文化が交わり、国と国を結ぶ豊かな地域として発展してきました。国境に接する離島の住民が望んでいることは、安全に漁業ができるような海にすることであって、平和の海、友好の海にするための協力の推進を図ることであります。
国境をめぐる問題の解決に当たっては、歴史的事実と道理に立ち、対話を通じた外交交渉によって平和的に解決すべきであり、憲法九条の精神にのっとった対応が求められます。決して、軍事的対応、日米同盟最優先といった対応ではない、このことを申し上げて、質問を終わります。



