【議院運営委員会】内閣が役職を延長させることを容認/人事官候補の所信聴取

 政府が提示した国会同意人事案のうち、人事官候補である古屋浩明元人事院事務総長から所信を聴取しました。

 私は、古屋氏が給与局長時代に手掛けた「給与制度の総合的見直し」が、一般職国家公務員の給与を引き下げ、勤務地と年齢による賃金格差をつくるものであり、人事院の労働基本権制約の代償機能としての役割を否定するものだとして見解をただしました。

 古屋氏は「状況に応じた対応だった」と正当化しました。

 また、私は、東京高検検事長の定年延長に関して、人事院は1981年の国会答弁で示した「検察官の定年については検察庁法で定められており、国家公務員法の定年制は適用されない」との立場を維持してきたのではないか、と質問。

 古屋参考人は「当時は適用されないとの立場だった」と認めつつ「法解釈は法務省に委ねられている」と述べました。

 私は、今国会に提出されている国家公務員の定年を引上げる国公法改正案において、検察庁法そのものを書き換えて「内閣が定める事由」があるときには役職を延長させることができる規定を盛り込んでいるのは重大。今後、黒川氏のような政治判断での勤務延長がまかり通ることになりはしないか、と質問。

 古屋参考人は「任命権者である内閣が役職を延長させることは自然な対応ではないか」と容認する立場を明らかにしました。


「議事録」

<第201通常国会 2020年3月25日 議院運営委員会 14号>

○塩川委員 日本共産党の塩川鉄也です。
 古屋浩明参考人にお尋ねをいたします。
 古屋参考人が人事院事務総局給与局長のときに行った施策の一つに、給与制度の総合的見直しがございます。職務給の原則や地域経済への影響を考慮せず、地域の民間賃金の水準に公務員賃金を合わせて地域間格差を拡大するものであり、また、五十歳代後半層の給与を引き下げるものとして、我が党も批判をいたしました。
 給与制度の総合的見直しは、職務給原則を損ない、勤務地と年齢による賃金格差をつくるものであり、人事院の労働基本権制約の代償機能としての役割を否定するものではないのか。この点についてのお考えをお聞かせください。

○古屋参考人 平成二十七年度から三年かけて、給与の総合見直しというのを実施したところでございます。
 これは、当時、国家公務員給与をめぐる諸課題の解決ということで、一つは地域間の給与配分のあり方、それから世代間の給与配分のあり方、職務、勤務実績に応じた給与配分のあり方ということについて課題があったということでございまして、全国共通の基本給について二%引き下げた中で、改めて地域間の配分の見直しを行うというようなこと。それから、世代間の見直し、先ほどもありましたけれども、若年層を厚くし、高齢層の方については少し削減率を高くするというようなことの見直しを行い、民間の賃金カーブとのバランスをとったということでございます。
 国家公務員法におきましては、職務給の原則が述べられているところでございますが、地域の事情を考慮して支給する給与種目というのも規定がございます。そういう意味では、地域手当を支給する、俸給を補完するという形の地域手当については職務給の原則に反するものではないというふうに考えているところでございます。
 また、民間賃金の低い地域における官民の実情を踏まえると、先ほどの地域手当の配分というのも、状況に応じた、まさに情勢適応の原則に沿った対応ということでありまして、労働基本権制約の代償機能としての役割は果たしているものではないかというふうに考えているところでございます。

○塩川委員 次に、国家公務員の定年延長に関連して、国公法と検察庁法の関係についてお聞きします。
 検察庁法には検察官の定年延長は規定されておりません。今回、黒川東京高検検事長の定年延長、勤務延長に当たって、国家公務員法の規定を使って定年延長を認めるとしました。
 しかし、人事院は、国家公務員に定年制を導入する国公法改正に係る一九八一年の国会答弁で、検察官と大学教官については現在既に定年が定められている、今回の定年制は適用されないとしておりました。
 人事院はこの立場を維持してきたのではないでしょうか。

○古屋参考人 国家公務員法は一般職の公務員全体に原則として適用になるということでございますが、その中で、特例法が設けられれば特例法が優先されるという関係でございます。
 そういう関係で、確かに、今、引用された部分、導入当初につきましてはそういう解釈でされていたというふうに我々も認識しておりました。
 ただ、特別法の解釈等につきましては、これは検察庁法ということでございますので、法務省の方でその解釈等について整理するというのが一般法と特別法との関係ということになろうかと思います。
 そういう意味で、この部分については法務省さんの整理ということになろうかと思います。

○塩川委員 検察官は準司法の仕事に当たる。同時に、定年の年の前の日に退官をするという仕組みと一般の公務員との関係の違いというのは当然あるわけです。
 そういった点でも、これを一律に引っ張ってくるというのは納得のいくものではないと思っておりますし、今回の黒川東京高検検事長の定年延長というのは、これはやはり違法なんじゃないかと率直に思いますが、改めて、いかがでしょうか。

○古屋参考人 繰り返しで恐縮ですけれども、そこの解釈については、特別法を担当する法務省の解釈によるということでございまして、人事院として中身について申し述べるということは適当ではないというふうに考えております。

○塩川委員 検察官の勤務延長の解釈変更とつじつまを合わせるために、今回の国家公務員の定年引上げの国公法改定案においては、検察庁法そのものを書きかえて勤務延長規定を盛り込むとしているのは極めて重大であります。その際、国公法改定案では、事務次官などの幹部が役職定年を迎えてもそのポストにいられる場合は人事院規則で定めるとしているのに対し、検察庁法の改定案では、次長検事や検事長が引き続きとどまれるのは内閣が定める事由があると認めるときとしております。
 国家公務員一般については人事院規則、それに対して、次長検事、検事長は内閣が定める。そういう点では、今後、黒川氏のような、政治判断での勤務延長がまかり通ることになりはしないか。公務の公正性という観点で、どのようにお考えか、お尋ねいたします。

○古屋参考人 先ほどのかなり繰り返しになるかと思いますけれども、国家公務員法のいわば適用除外して特別な措置を行うという中において、どのような手続を行うのかということは別途定めるということで、その一部分だけ捉えて、どうかというのは難しいのかなと。
 ですから、内閣の任命になる検事長等についてそのような手続をとるということは、当然というところまでいくかどうかはわかりませんけれども、自然な対応ではないかというふうには考えております。
 いずれにしても、そこの、特別法の対応の中における判断でございまして、基本的には、私どもの方といいますか人事院の方で申し述べるものではないのではないかというふうに考えております。

○塩川委員 時間が参りましたので、終わります。

 

===自由質疑===

○塩川委員 日本共産党の塩川鉄也です。
 この間、大企業などの民間企業出身者が、非常勤の国家公務員として、企画立案、総合調整機能を担う内閣官房で勤務する事例が増加をしています。第二次安倍政権以降、七年間で九十三人が百六十八人と、ほぼ二倍にふえております。
 個々の企業や業界の利害にかかわる事務も当然含まれているわけです。人事院の所管する官民人事交流法は、公務の公正性を担保するため、出身元企業における業務の従事や給与の補填を禁止していますが、政府は、内閣官房の非常勤職員が出身企業の仕事に従事していることや給与の補填を受けていることを否定しておりません。
 非常勤職員として雇用することで公務の公正性が損なわれているのではないのか、この点についてのお考えをお聞かせください。

○古屋参考人 官民人事交流法については、まさにそのような規制を設けているということでございます。
 また、非常勤職員につきましても、民間企業出身者を採用するという場合には、公務の公正性を確保して、官民癒着等の疑念を抱かせることのないようにする必要があるだろうというふうに考えております。
 したがいまして、当然、国家公務員としての各種の服務規律というものはあるわけですから、この服務規律の遵守は当然のこと、職員の配置や従事する業務というものについても各省において十分慎重に対応していただく必要があるだろうし、また、これについては、人事院としても、必要があれば指導を行うということをしていきたいというふうに考えております。

リチウムイオン電池でノーベル化学賞/吉野彰さんを衆議院でお祝い

 リチウムイオン電池の開発でノーベル化学賞を受賞した吉野彰さん。衆議院で受賞をお祝いする行事が行われました。

 吉野彰さんは「受賞理由となったサスティナブル社会実現のために今後とも努力していきたい。エネルギーの地産地消に貢献したい」と語りました。

北関東ブロックいっせい宣伝/埼玉・川越市内で訴え

 北関東ブロックいっせい宣伝行動。川越市内で守屋県議、川口市議と訴えました。

 新型コロナの感染症対策に全力を挙げるとともに、経済危機への抜本的な対策を訴え。消費税5%減税の実現を!

 緊急事態を口実とした改憲は許せない。

 森友公文書改ざん問題が改めて焦点になっている。加計学園問題、桜を見る会、そして黒川東京高検検事長の定年延長など、安倍首相の国政私物化が極まっている。

 安倍政権退陣、野党連合政権の実現をめざして頑張りたい。日本共産党の躍進にお力をお貸しください。


コロナ対策/財政支援を/埼玉/北関東いっせい宣伝

「しんぶん赤旗」3月22日付・地方ワイド版より

 埼玉県の各地で20日、日本共産党の北関東プロックいっせい宣伝が行われました。川越市の川越駅東口クレアモール前と本川越駅東口では、塩川鉄也衆院議員や守屋裕子県議、川口知子市議が訴えました。

 塩川氏は、新型コロナウイルスによってりーマン・ショック以上といわれる経済危機になった原因は、消費税増税にあると指摘し、抜本的な財政支援や消費税5%への減税を求めていくと強調。森友学園問題にも言及し、「亡くなった職貝の手記を読めば、財務省が公文書改ざんを現場に押しつけたのは明らか。その大本には安倍首相の発言がある。国政を私物化してきた責任が問われる」と訴えました。

 守屋氏は、宣伝前に市内の商店を訪問し新型コロナの影響を調査したところ、先行きがわからない不安を抱いていたと紹介し、「不安解決のため、知事への申し入れなどを行い、暮らしを守る防波堤となって頑張っていく」と力を込めました。

 川口氏は「市内在住の妊婦に1人あたり10枚のマスク配布が決まった」と紹介しました。

 

「売上げが2~3割落ち」「客は半分以下」/新型コロナの影響を調査/埼玉・川越市の商店街

 川越市内の商店街で新型コロナウイルス感染症による営業への影響について調査。守屋県議、川口市議と一緒。

 多数の観光客で賑わう一番街でも「買い物をしてくれる外国人観光客や中高年の顧客が来てくれない。売上げが2~3割落ちている。資金繰りも考えているが相談窓口がわからない」。

 駅前の居酒屋では「2月半ば以降、客は半分以下。一日2、3人のときもあった。金を借りたとしてもいつ返せるか」。

 一方、住宅街のケーキ屋さんでは「今はそんなに影響は感じていないが、今後どうなっていくのか不安」と語っていた。

 業種によって影響も違う。大胆かつきめ細かい支援が必要だ。まずは生き延びるための融資。負担を軽減するための税・社会保険料の猶予・減免。給付金など減収補填のための財政措置を求めていきたい。


販売激減/食っていけない/埼玉・川越

商店街悲痛/塩川議員「政府に対策強く要求」

「しんぶん赤旗」3月24日付・首都圏版より

 日本共産党の塩川鉄也衆院議貝は20日、新型コロナウイルス調査のため、埼玉県川越市で守屋裕子県議、川口知子市議らと商店を訪問しました。

 書籍販売の男性は「普段とは客層が全然違う。外国人観光客や比較的年齢の高い層が減り、若者ばかり。本を買う人が少なく、売り上げは悪い」と話します。

 飲食関係店の男性は「業務上マスクが必須な上、花粉症にかかっていることもあり、普段はマスクを何度か取り替えていた。今は大事に使わざるを得ない」と訴えました。

 居酒屋の男性は「融資を受けられればありかたいが、返せるかわからない」「売り上げは半分以下。食っていけない。半年も続けばどうなるか。45年やってるが、ここまで追い詰められたのは初めてだ」と嘆きました。

 塩川氏は「消費税増税に加え、新型コロナが営業に影響を与えていると実感した。特に飲食店に大きな影響がある。社会保険料の減免や金融支援など、財政措置含め、商売が生き延びられるよう抜本的対策を強く求めていく」と強調しました。

憲政記念館の拡充、公文書管理の改善とルールづくりを/国立公文書館議連

 国立公文書館議連に参加。

 国民共有の知的資源である公文書を粗末に扱う安倍政権を批判。

 行政府の公文書管理の改善を求めるとともに、立法府の公文書管理のルールをつくることを提案。議会事務局の議院行政文書だけでなく、議員立法の立案過程などの立法調査文書のルールを策定することが必要だ。

 立法府公文書館としての憲政記念館の拡充も重要だ。

【内閣委員会】カジノ疑惑払拭できぬ/推進者受け入れは問題

 カジノ管理委員会事務局が統合型リゾート(IR)を推進する立場のコンサルタント業者から職員を受け入れている問題で政府の姿勢をただしました。

 私は1月31日の同内閣委員会で、コンサル出身の職員がカジノ管理委員会事務局の非常勤職員として雇われ、出身元企業の身分を持ち、出身元企業からの給与補てんも認められている事実を示し、カジノ事業者にとって有利なルール作りが行われる疑念があると追及していました。

 その後の政府の対応をただしたのに対し、武田良太カジノ管理委員会担当相は「(非常勤職員として雇っていた)公認会計士、弁護士を特定任期付職員として採用するための公募をした。特定任期付職員は出身元企業と兼業関係が生じず、給与も全額国が支給する」と答弁。

 私が、これまでの非常勤職員ではカジノ規制にあたっての透明性・中立性に問題があったと認めるものだ、と追及したのに対し、武田氏は「国民の疑念を払しょくしていかなければならない」と述べるにとどめました。

 特定任期付職員として雇ったとしても退職後に元の職場に戻ることができる。疑念を拭い去ることはできない。カジノ管理委員会には規制側と推進側の役所間の人事交流を規制する「ノーリターンルール」もない。カジノ管理委員会がカジノ推進機関になりかねない。野党のカジノ廃止法案の審議を求めました。

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「議事録」

<第201通常国会 2020年3月18日 内閣委員会 4号>

○塩川委員 カジノについて質問をいたします。
 委員長に申し上げますけれども、このカジノの問題についての汚職、あきもと司議員に係るさまざまな疑惑の問題があるわけであります。しっかりとやはり国会として真相究明を行う、政治的道義的責任を問われる問題でありますので、これを国会でしっかり行う必要があるんじゃないのか。あきもと司議員に国会で説明していただきたいと思いますが、その点についてお取り計らいいただけないでしょうか。

○松本委員長 後ほど、理事会で協議いたします。

○塩川委員 そこで、カジノ管理委員会の会議におきまして、IR整備基本方針案に対する検討事項が示されています。その一つとして、国や地方自治体の職員とIR事業者との接触ルールの必要性を指摘をしておりました。
 このカジノ管理委員会がこのような指摘を行った理由は何か、その内容は何か、武田大臣の方からお答えください。

○武田国務大臣 一月二十三日の日に、第二回の管理委員会が開催されました。その中において、IR基本方針についての議論がなされたわけでありますが、その議論の中で、ある委員の方から、国民の理解というものを得てこのカジノという事業を推進していくのであるならば、当然、透明性、公正性というのは、これは最低条件、前提条件となっていくわけですね。その中で、国や地方公共団体の職員が事業者と会う、このことに対する接触ルールというものをしっかりと基本方針の中に盛り込んで明確化していくべきだという意見が出されたものと承知をいたしております。

○塩川委員 公正性、透明性が保持されるように国、地方の職員との接触ルールが必要だという指摘があった、そういう指摘を行うきっかけというのは何だったんですか。

○武田国務大臣 きっかけについては、その委員に聞いていただかなくちゃ私はわからないと思うんですけれども、やはり国民の信頼を得るという意味で、変な疑念を抱かれないような環境を整備する上で必要と思ったのではないかなと私は推察しております。

○塩川委員 カジノ管理委員会の第二回会議の議事録の要旨、議事概要を見ると、贈収賄等の不正行為によってIRの推進における公正性、透明性に疑念が抱かれることがないようにという前提、まさになぜということが書かれて、それはそういうことですよね。

○武田国務大臣 とにかく、国民から変な疑念を抱かれないようにという思いがあったのではないかなと思います。それは委員が発言されたことであって、私が発言したことではないので、予断は余り許されないものと思います。

○塩川委員 いや、出していただいた議事概要にそのように書かれていたというのは、ちょっと事務方でもよければ確認してほしいんですが。

○並木政府参考人 先生の御指摘の部分について、開催状況の中で、議事要旨の中で特にそのような記述は……

○松本委員長 大きな声で。

○並木政府参考人 済みません。
 見当たらないと思っておるんですけれども。

○塩川委員 いや、ホームページに公開をしている議事概要じゃないんですよ。実際の議事要旨を要求をして出してもらったんです。出してもらっているんです。そこには、今言ったように、贈収賄等の不正行為によって云々ということが書いてあるんですよ。

○並木政府参考人 私がお答え申し上げましたのはホームページに公表した議事要旨でございまして、今先生の御指摘の資料について、今ちょっと手元にございませんので、申しわけございません。

○塩川委員 もともと第二回の会議でやりとりする中身を明らかにしてくれということで要求して、その資料を出してもらっているんですよ。当然、それ前提の質問になるじゃないですか。
 いずれにせよ、そういった会議資料が出ているわけであります。そういう点でも、実際にあきもと議員に係るそういった疑惑の問題について懸念がある中での、接触ルールを設けるといったのが基本方針案に対するカジノ管理委員会からの指摘だった。
 そこで、赤羽大臣にお尋ねをいたします。
 こういった基本方針案に対するカジノ管理委員会からの指摘があるわけですけれども、この場合、じゃ、国の職員というのはそもそもどういう人なのか、その範囲。それから、IR事業者の範囲というのはどういうものなのか。その点については、これは赤羽大臣の方だと言われたんですけれども、お答えいただけますか。

○赤羽国務大臣 今の接触ルール云々につきましては、もともとIRの基本方針案についても、国とか自治体が公平性、透明性の確保を徹底すべきという旨は各所にちりばめておりますが、そもそも今回は、あきもとさん云々というよりも、初めてカジノというものを解禁するに当たってはそうしたものは当然必要だ、そして、具体的には、自治体が事業者を選定していくなど、具体の手続が始まる段階であるから、基本方針の最終のところには、国会での指摘もございましたので、そうした接触ルールはつくらなければいけないということでございます。
 これは、実は国もそう思っておりましたが、それぞれの手を挙げている地方自治体も自主的に、それは当然だと思いますが、やはり自分たちの身を律して、疑惑が出ないようにということで、実は、手を挙げている地方自治体も、それぞれの独自の接触ルール、いわゆる接触ルールをつくっているということでございます。
 ただ、そこについて国として統一的にというより、今考えているのは、最低限この項目は入れて地方自治体の接触ルールを決めてくださいよというようなことをどういう項目にするかといった議論をしているということが一つと、国につきましても、今ちょっと直接お答えできないんですけれども、接触ルールの対象をどの役職者にするかとか、そうしたことも議論をしているところでございます。
 私も何回か答弁をしておりますが、国会での審議をしっかり受けとめるべきだということでございまして、実は、接触ルールだけではなくて、基本方針案そのものについても建設的な御指摘もございまして、もちろん、カジノ管理委員会からもさまざまな意見をいただいておりますので、そうしたことを踏まえて、結果としてしっかり説明責任がつくような、また透明性、公平性が担保できるようないいものにしていこうということで、今、作業中でございます。具体的には、プロセス、経過段階でございますので、ちょっとこの場では申し上げることができない、しっかり検討していくということでございます。

○塩川委員 検討中ということですけれども、少なくとも、IR事業者の範囲がどんなものなのかとか、単にIR、カジノを中心でやるような事業者だけではなくて、カジノにかかわるような、ゲームの機器にかかわるような事業者なんかもありますし、そういった範囲というのは、何らか示せるものというのはないんですか。

○赤羽国務大臣 同じことになるんですけれども、今ここで申し上げることはできませんが、塩川委員からもそうした御意見があったということはしっかりと銘記をしながら検討をしていきたいと思っております。

○塩川委員 一月二十三日のカジノ管理委員会の第二回会議からもう二カ月近くがたっているわけで、こういった議論がどうなっているのか、何も明確になっていないという点で、公正性、透明性を保持するルールづくりが本当に行われるのかという率直な疑念があるということを申し上げておくものです。
 それで、接触ルールをつくるというのであれば、今後の話じゃなくて、これまではどうだったかということについてしっかりと検証する必要があるんじゃないのか。過去の国の職員と事業者との接触についてどういうことになっていたのか。例えば、中川真室長などが海外のカジノ出張などもずっと行ってきたわけで、IR推進室とこれまでの事業者との接触について実態把握をし、検証すべきじゃないかと思いますが、この点はいかがですか。

○赤羽国務大臣 IR事務局は、二〇一七年三月に組織が設置されました。それから今日に至りますまで、IR事務局の幹部並びに事務局員が海外へ出張していること全てについて報告は受けておりまして、海外の規制当局との会議への出席が十回ですとか、IR施設の視察等を通じた必要な情報収集が三回とか、これは幹部についてでございますが、そうしたことが明確になっております。
 これらの出張はいずれも適正な手続にのっとって行われたものでございまして、国民の皆様に疑念を抱かせるようなものではなかったと承知をしております。

○塩川委員 既にカジノ整備法によってカジノ企業に都合のいい仕組みというのはつくられてきています。公営ギャンブルでは認めていない顧客への貸付業務をカジノでは解禁するとか、一万五千平米というカジノ面積の上限規制が外されるなど、カジノ企業の要求に沿った仕組みがつくられてきた。だからこそ、これまでの立案過程においてどういった接触があったのかということを、改めて実態の把握、調査、検証をすべきだということを申し上げておくものです。
 そして、一月の三十一日の予算委員会で、私は、カジノ規制の中核を担う行政組織として新設されたカジノ管理委員会の事務局が、カジノを推進する立場のコンサル業者から職員を受け入れており、カジノ事業者の都合でルールがつくられるのではないかと指摘をしました。
 そこで、武田大臣にお尋ねしますが、カジノ管理委員会事務局に、あずさ、あるいはPwCあらた有限責任監査法人の公認会計士が勤務をしております。両監査法人が、IRに関する知見や実績を売りに、地方自治体によるIR誘致支援業務を行ってきています。
 この大手監査法人の公認会計士三人が非常勤の国家公務員としてカジノ管理委員会に出向し、その給与は年収約二百八十一万円程度。政府統計によれば、大手法人の公認会計士の平均年収は千二百万円ですから、出向元の法人から給与の補填を受けているんじゃないのか。そうすると、カジノ業者の都合に合わせたルールがつくられるんじゃないのか、公平公正が問われるということを指摘をしたわけです。
 このカジノ管理委員会事務局において、監査法人あるいは法律事務所から出向して勤務している非常勤職員については、その後どのように対応されたのか、お尋ねをします。

○武田国務大臣 三十一日に私が答弁に立ったときに、まず、日本で行われる初めての事業であり、その要領だとか、どういった形にするだとかいう知見がない状況の中でこれを進めるためには、やはりその道を知った人の力が必要となってくるということは申し述べさせていただきました。
 事務局においては、厳格なカジノ規制というものを立案する上で必要な能力、経験に着目し、公認会計士、弁護士を民間非常職員として雇用をしてまいったのは事実であります。
 カジノ管理委員会事務局に勤務している民間非常勤職員については、厳格な守秘義務が課せられていることなどから、委員会の職務の中立性、公正性には問題ないものと考えておりますが、事務局の人員についても、国民の信頼の一層の確保に向けた対応を行うべきであるという問題意識について、私の方からも事務方に強く要請をいたしたところであります。
 管理委員会においては、管理委員会が正式に発足し、新年度から、一定の増員を含め、本格的に業務を行う体制となること、また、今後、新たな接触ルールも盛り込んだ基本方針が決定、公表され、自治体、事業者による準備作業が本格化していく中、中立性、公正性の確保に一層の配慮が必要となることを踏まえ、新年度を区切りに、これら専門的職員の雇用形態についても変更を行うこととし、公認会計士、弁護士を特定任期つき職員として採用するための公募を行ったところであります。
 今後、カジノ管理委員会事務局で勤務する公認会計士、弁護士は特定任期つき職員として採用され、それまで在籍していた民間企業との兼業関係は生じない状況となってまいります。
 また、常勤の国家公務員として、給与も全額国が支給することになりまして、一層強固に中立性、公正性というものが確保されるものになろうか、このように存じております。

○塩川委員 今までの非常勤職員ではなく特定任期つき職員ということで、任期付職員法に基づく常勤の任期つき職員ということになるわけですが、そうしますと、非常勤職員ではなく特定任期つき職員としたのは、兼業関係は生じない、給与を全額国が払う、つまり、給与の補填を民間法人から受けないということになるということですから、これは、やはりカジノのコンサル業務を行っている監査法人に在籍をしたまま給与補填も可能となる非常勤職員では、カジノ規制に当たっての透明性、中立性に問題があるという認識ということですね。

○武田国務大臣 先ほども申しましたように、カジノをやる上での知見というものを我々は求めておったわけでありまして、その中において、先生の方から、また何人かの方から、この問題について指摘を受けました。先ほどの答弁でも申し上げましたとおり、国民の信頼を得てこの事業というものを推進を図っていく、そのためには疑念というものを払拭していかなくてはならないということもこの中に含まれておる、このように認識しております。

○塩川委員 こういった非常勤職員において、兼業が可能、出身元の法人から給与補填を可能とするといった点において、やはり透明性、中立性に問題があるというのを認めるものだということになります。でも、この特定任期つき職員というのは……(武田国務大臣「認めていないです」と呼ぶ)いえいえ、まさに今言ったように、兼業関係は生じない、給与を全額国が払うといったことにはっきりあらわれているわけであります。
 そこで、特定任期つき職員は、退職後、もとの監査法人に戻ることはできますか。

○武田国務大臣 当然、国家公務員ですから、やめた後も守秘義務というのは伴うわけでありますけれども、やめた後の人生についてまでは我々は拘束することはできない、こういうふうに思っております。

○塩川委員 カジノコンサルの監査法人からカジノ管理委員会に来て仕事をした後、また出身監査法人に戻るという点で、私は、率直に、カジノ事業者に有利なルールをつくることになるのではないのかという疑念を拭い去ることはできません。
 もう一つ取り上げたいのが役所間の問題ですけれども、この法律をつくるに当たって、IR推進会議の取りまとめの文書がありますけれども、その中で、カジノ管理委員会は、いわゆる三条委員会として独立性を有し、IR推進、振興に係る他の関係行政機関とは一線を画すとしております。
 ということであれば、このカジノ管理委員会とIR推進側の官庁の人事交流も規制がされてしかるべきではないかと考えますが、いかがですか。

○武田国務大臣 カジノ管理委員会は、IR整備法により、カジノ規制を公正中立に実施する行政委員会として設置されたものであり、利害関係者等は排除され、独立した職権行使が保障された委員長及び委員により構成されているものであります。この事務局職員についても、このような高い独立性を有する委員会の指揮命令のもとで具体的実務を遂行するものであり、カジノ規制の公正性、中立性は十分に確保されるものと考えております。
 したがって、管理委員会の事務局職員について、他省庁との間で行われる人事交流に制限を設ける必要は、これはないというふうに考えております。
 むしろ、管理委員会が担うカジノ規制の内容は多岐にわたり、また専門的な知見を必要とすることから、厳格な規制を実現するためには、幅広い業務の特性に応じた人材を、官民を問わず、府省にもとらわれず、各分野から確保した事務局を構成し、委員会を補佐していく必要がある、このように思っております。

○塩川委員 カジノ管理委員会は、独立性を有し、IR推進、振興に係る他の関係行政機関とは一線を画すということで言うのであれば、やはり人事交流についての一定の規制というのはあってしかるべきだ。
 世界最高水準の規制という、カジノについてですけれども、同じことを言っていたのが原子力規制、どちらも怪しい話ですけれども、少なくとも原子力規制庁では、職員が原子力利用推進側の行政組織に配置転換するのを禁止をするノーリターンルールがあるんですよ。
 カジノ管理委員会事務局に同様の規定を設ける、それでこそ、まさに中立公正、信頼性を担保できるんじゃないですか。

○武田国務大臣 同じ三条委員会、規制庁についてのお話がありましたが、従来、原子力を推進する経産省に規制を担う機関が属することにより利益相反が生じた、要するに、事業も規制も経産省が全部担っておったというところで利益相反が生じたわけであって、このカジノ管理委員会というのは高い独立性を確保しております。その事業については国交大臣のもとで、そして、我々は規制、監督をする役割と、これは明確にすみ分けをしておるということを御理解いただきたいと思います。
 原子力規制庁とは、ちょっと質を異にするものだと思います。

○塩川委員 いや、そんなことはないんですよ。
 もともと、これまでの事務局がどうだったか。カジノ管理委員会の設立準備室の事務局メンバーとIR整備推進室の事務局メンバーは重なっていたでしょう、カジノ管理委員会が発足するまでは。違いますか。

○武田国務大臣 発足してからは違います。

○塩川委員 カジノ管理委員会発足前は、併任で、規制と推進と、それぞれの事務局を同じ人がやっていたということですよね。

○並木政府参考人 お答え申し上げます。
 御指摘の点につきましては、発足前についてはそのような状況があったことは事実でございますけれども、カジノ管理委員会におきましては、先ほど大臣から答弁がございましたとおり、IR整備法によりまして高い独立性が保障された委員長及び委員により構成される委員会のもとで、事務局職員はその委員会の指揮命令のもとで実務を遂行することとなりますので、御指摘のような問題は生じないものと考えておるところでございます。

○塩川委員 いや、武田大臣が、原子力規制の話で、推進の経産省の中にいたからそれを明確に切り分ける、規制のためにノーリターンルールだというんだけれども、もともと、カジノについても、カジノ管理委員会、規制側と、それからIR整備推進室という推進側は、大体事務局メンバーは同じ人たちがやっていた、そういう背景、経緯を考えても、しっかりとやはり区分けをするという意味でもノーリターンルールというのはあってしかるべきじゃないのか。そういうものもないということでは、このカジノ管理委員会の規制のあり方そのものが妥当性が疑われるということを言わざるを得ません。
 IR推進会議の取りまとめには、国会に対し、適時適切に報告を行うべきとあります。
 委員長にお願いですけれども、ぜひカジノ管理委員会の委員長、委員会に出席いただいて、お答えいただきたい。事務方じゃなくて、また大臣ではなくて、実際に合議制機関のトップであるカジノ管理委員会の委員長にしっかりと国会で答弁してもらうということが、信頼性ということであればまさに必要なことではないのか。そういった取組について、ぜひお取り計らいいただきたいと思います。

○松本委員長 塩川鉄也先生出席の理事会で、後ほど、検討させていただきます。

○塩川委員 カジノ規制というカジノ管理委員会が実際にはカジノ推進なんじゃないのかといった点が問われているわけで、人の不幸で金もうけを行うカジノというのは要らない、野党のカジノ廃止法案の審議、可決を求めるものであります。
 時間が参りましたので、終わります。ありがとうございました。

【内閣委員会】台風19号被害/都幾川堤防/「越水」ではなく「決壊」/誠実に被害と向き合え

 昨年10月に発生した台風19号の被害にあった、埼玉県東松山市を流れる都幾川の堤防の被害状況について質問しました。

 国土交通省は、都幾川葛袋地点の被害を「越水(川の水が堤防を越えてあふれ出したが、堤防そのものは残っている状態)」と発表しています。

 私は被災翌日に現場調査に入った際に撮影した写真(写真下↓)を示して、当該箇所の堤防はえぐられ、そっくり流されている。これは「越水」ではなく「堤防決壊」ではないか、と質問。

 御法川信英国土交通副大臣は「調査報告は現地の事務所(荒川上流河川事務所)が行ったもので、越水と整理されているが、塩川議員からの指摘もあるので、現地事務所に改めて被災状況を分析・検討させていきたい」と答えました。

 私は、当該箇所のすぐ下流部には民家も田畑もあり、浸水被害を被っている。国交省の認識が越水ということでは住民の方は納得がいかないのではないか。国交省の誠実さが問われる問題であって、放置することは認められない、と強調した。

 赤羽一嘉国交大臣は「再調査をし、正すべきは正していきたい」と答えました。

 私はまた、当該堤防の一部区間では「危機管理型ハード対策(※1↓)」が取られており、対策が施された区間では堤防の一部がえぐられているものの決壊に至っていない。この対策をさらに進め、堤防全体を鎧のように補強する耐越水堤防の実施に踏み出すべきだ、と主張した。

 御法川副大臣は「有識者会議を設置し、堤防強化に向けた検討を進めていく」と答弁しました。塩川議員は「もともとダムを優先して、耐越水堤防をやってこなかったことが問題だ」と強調しました。

※1:危機管理型ハード対策=堤防の天端(てんば)のアスファルト保護や裏法尻(うらのりじり)のブロック補強を行うもの。仮に越水が生じても決壊に至るまでの時間を長引かせる効果を狙ったもの。

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「議事録」

<第201通常国会 2020年3月18日 内閣委員会 4号>

○塩川委員 続けて、治水対策に関連してお尋ねをいたします。
 昨年十月の台風十九号の豪雨災害は、全国各地に甚大な被害をもたらしました。河川の堤防の決壊や越水、溢水などが多数生じたところです。私の地元の埼玉でも、例えば東松山市内で都幾川などの堤防の被害があったわけです。
 資料をお配りさせていただきました。国交省の資料一枚目にありますように、台風十九号による被災状況、荒川水系入間川直轄区間ということで、国交省の直轄の区間ですけれども、ここで、ごらんいただいてわかるように、赤い線で四角く囲っているところが三カ所ありますが、これがそれぞれ決壊場所で、赤いバツ印がついているところです。一方、左上のところを見ていただきますと、越水ということで、東松山市葛袋地先ということで、越水の表記があるところです。
 私は、発災の翌日に現地に調査に入りました。現場を見てきたところです。そうしますと、写真も撮ったんですが、三枚目を見ていただくと、これが葛袋の場所に当たります。ごらんいただいたように、堤防が大きくえぐられているということが見ていただけると思います。
 これは二枚目の資料に、これは国交省の荒川上流河川事務所の速報ですけれども、上の写真にあるように、都幾川が右から左手の方に流れている、その左岸側で、右上に、越水箇所と赤い楕円が記してあるところというのがまさにこの三枚目の写真のところなんです。
 国交省にお尋ねします。御法川副大臣にお尋ねいたしますが、この都幾川左岸の国直轄区間の堤防がえぐられて、そっくり流されている状況というのは写真で見ていただけると思います。この現場を国交省は越水としているんですが、これは堤防の決壊ではないんですか。

○御法川副大臣 塩川先生御指摘の箇所につきましては、約四百メートルの区間で越水が発生したものとして、国土交通省の災害情報で整理がなされているところでございます。
 この災害情報というのは、河川など施設の管理者が被害の状況を調査、報告したものを国土交通省で取りまとめたものでございまして、直轄河川の調査、報告は現地の事務所が行っているところでございます。
 令和元年東日本台風では、入間川流域において複数箇所で越水や決壊が発生した中、先生御指摘の箇所につきましては、一連の区間が越水していたことから、現地事務所からは越水のみが報告をされておりますけれども、施設の被害状況もあわせて報告をすることがより正確な報告であったものと認識をしてございます。

○塩川委員 現地事務所が越水としたんだけれども、これはもう堤防の決壊ということでよろしいですか。

○御法川副大臣 今申し上げましたけれども、御指摘の箇所につきましては、施設被害も含めて報告することがより正確な報告であったというふうに認識をしてございます。
 先生から写真の御提示もございましたし、御指摘の箇所の被災状況が決壊かどうかにつきましては、現地事務所に被災直後の状況を改めて分析をさせた上で、被災状況を確認、そして検討をさせていただきたいというふうに思います。

○塩川委員 十月の災害なわけなんです。でも、現状まで越水のままなんですよ。
 この場所というのは、二枚目の写真にもありますように、右手の方の下流部分というのは、田畑、もちろん民家もあります、そこが浸水被害をこうむっているわけですね。そういったときに、国交省の認識が、決壊じゃありません、越水ですと通されると、それは地元的にも納得がいかないような話じゃないでしょうか。国交省としてのまさに誠実さが問われる問題であって、こういう問題をやはり放置するというのは断じて認められない。
 こんなことになったことについて、改めて御法川副大臣、いかがですか。

○御法川副大臣 越水区間の氾濫発生情報につきましては、これは適切に発表されているとともに、被災後は、他の箇所と同様に、速やかに応急復旧対策を行っているところでございます。
 また、六月の出水期までには、堤防高の確保と一定の補強対策を完了する予定でございます。
 さらに、御指摘の箇所につきましては、令和元年東日本台風と同じ雨が降っても川の方から水があふれないように、上流側の県管理区間とあわせて堤防を整備するとともに、河道掘削を実施し、一日も早い被災地の復興に努めてまいりたいというふうに思います。

○塩川委員 改めて分析したいという話ですから、これは実態をしっかり把握をして、それにふさわしい対策をしっかりとるということを求めたいと思います。
 赤羽大臣、感想があれば。

○赤羽国務大臣 誤解があってはいけないんですけれども、現場の復旧復興の対応自体は、報告がちょっと仮に誤ったとしても、状況では変わりがないということなんです。
 ややもすると、越水の場合と決壊の場合だと復旧工事の仕方が違うんじゃないかというようなことを思われる方もいらっしゃると思いますけれども、現実には、このことについては、被害の程度に合わせて復旧復興をした。それは、地元の被災自治体の皆さんも認識をしていただいていると思いますので。
 いずれにしても、間違いであれば訂正しなければいけないと思いますから、先ほど御法川副大臣が御答弁しましたように、しっかりと国土交通省として、御指摘いただきましたので、再調査をして、正すべきは正すということにしたいと思います。

○塩川委員 現場に私はその後も行きましたけれども、巻きと言われるように、全体にコンクリートブロックをかけるような、そういう応急復旧の措置もありますし、実際に本復旧の取組なんかも行われているということは聞いております。ただ、前提となる認識の問題としてこれでいいのかということは、正すべき点はしっかり正していただきたいということを改めて申し上げておきます。
 あわせて、資料の二枚目に下の写真があるんですけれども、この都幾川堤防の一部区間では、危機管理型のハード対策というのがとられていました。この二枚目の資料の下ですけれども、決壊までの時間を少しでも引き延ばすように、堤防の天端のアスファルト保護や、堤防裏のり尻のブロック補強を行うものであります。写真にあるように、一部侵食はされていますけれども、決壊には至っておりません。先ほど指摘をした堤防決壊箇所には、この危機管理型のハード対策は施されていなかった。
 こういったことについて、国交省としてはどのように受けとめておられるのか。

○御法川副大臣 今御指摘がございましたハード対策でございますけれども、まさに塩川先生がおっしゃったとおり、被災現場の一部にあるわけでございますが、この区間では、昨年の台風においての越流に耐えまして、決壊には至っておりません。このことは、技術的検討を目的とした有識者から成る検討会の方にも報告をしてございます。
 このハード対策が何でやっていなかったんだという話でございますけれども、このハード対策につきましては、氾濫リスクが高いにもかかわらず、当面の間、堤防等の整備の予定がない区間で実施をするということになってございます。
 既に堤防強化を行っていた区間は、高さや幅が不足するものの、暫定的な堤防があって、当面は整備の予定がなかったのに対し、これより上流側の区間については、更に上流側の県管理区間を含め、堤防がない、いわゆる無堤部であったために、堤防の新設が計画をされておりまして、その整備時期は県と調整をし、決めることとしておりました。
 御指摘の箇所については、仮に早期に堤防が整備されることとなれば、これに伴って施設の機能が新設される堤防に移ることとなるため、危機管理型ハード対策は実施しておらないということでございます。

○塩川委員 国直轄の部分は堤防なんですよ。上流の県管理の方に行くと、いわば無堤防のところも当然出てくるんですが、堤防があるところで、でも、この対応をしていなかったといったことについて、それでよかったのかということが問われていることは申し上げておきたいと思います。
 こういった危機管理型ハード対策の効果もあるということは、そのとおりだと思います。その上で、そうであれば、やはりもう一歩進んで、耐越水堤防と言われるような天端の舗装、補強、それから裏のり尻のブロックの強化にとどまらず、堤防全体をいわばよろいのように補強する耐越水堤防、この実施に踏み出すときじゃないのか。この点についてはいかがですか。

○御法川副大臣 危機管理型のハード対策のみならず、もっとやったらいいじゃないかという御提言でございますけれども、先生御存じのアーマーレビーであったり、さまざまな方法があるわけでございますけれども、現在、越水に対して決壊しにくい堤防強化策について、有識者から成る検討会を設置し、先ほど申し上げました御意見をいただいているところでございまして、アスファルト、コンクリートブロック、シート等、さまざまな材料や工法の活用を含め、さらなる堤防強化に向けた検討を進めてまいりたいというふうに思います。

○塩川委員 アーマーレビーの話がありましたけれども、もともとダムを優先してアーマーレビーをやってこなかったというところに問題があるということを最後に申し上げて、この質問は一つの区切りにしたいと思います。
 御都合があるようでしたら、御法川副大臣も御退席いただいて結構であります。

・・・中略(別質疑)・・・

○赤羽国務大臣 まず、先ほどの御法川さんの、ちょっと一点だけ簡潔に、治水対策についてちょっと発言の機会がなかったみたいなので。
 近年の気候変動によって、水害とか災害が激甚化、頻発化しております。ですから、今、省内で、そうした気候変動にあわせてどれだけ被害がどうなるかといったことをしっかり分析しながら、抜本的な治水対策を行っております。
 それで、先ほど県のところはだめだったじゃないかという御指摘もありました。これは全くそうで、国と県と市、流域全体を見てしっかり計画的に、上部ではなるべくダムや遊水地を使って、水を下流に流さない、堤防の強化は下流からしっかり計画的にやっていく。これは市に任せると、自分の市から先にやると、強化された周辺のところに水が当たるみたいなことがあって、なかなか難しいところもありますので、そうしたことをやろうとしているわけでございますので、今後ともしっかりやっていこう、これが先ほどの答えです。

【内閣委員会】新型コロナ/緊急事態宣言/専門家判断といいながら政府が主導

 新型コロナウイルス感染症を対象に加えた改正新型インフルエンザ特別措置法について質問。

 特措法は、緊急事態宣言を出す要件について、政府が「国民の生命及び健康に著しく重大な被害を与えるおそれ」があり「全国的かつ急速なまん延により国民生活及び国民経済に甚大な影響を及ぼし、又はそのおそれがある」と判断した場合と定めています。

 私は「おそれがある」とはどのような状況か、と質問。

 西村康稔担当大臣は「特措法施行令6条で定めており、感染経路が特定できない場合などだ」と答弁しました。

 私は、現状でも経路が特定できない患者がいる。要件を満たしているということか、と追及。

 西村大臣は「頭を悩ませているところだ。政令を素直に読めばそういう印象を持つが、法律で全国的と生活・経済に甚大な影響を及ぼすことを要件と定めている」と述べ、要件があいまいであることを認め「専門家の意見を聞いて判断する」と繰り返しました。

 私は、専門家の意見を聞く場合に、緊急事態の要件に合致するかどうかの判断要素を政府対策本部長(総理大臣)が示すことになっているのか、と質問。

 西村担当大臣は「いろいろなデータ、材料を示しながら専門家の意見を尊重してく」と答えました。

 私は、専門家の意見を聞くお膳立ても政府が行う仕組みだ。判断の前提となるたたき台まで政府が出すとなると、政府の一存で緊急事態宣言が行われる懸念がぬぐえない、と批判しました。

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「議事録」

<第201通常国会 2020年3月18日 内閣委員会 4号>

○塩川委員 日本共産党の塩川鉄也です。
 最初に、新型インフル等特措法の改正の部分について西村大臣にお尋ねをいたします。
 やはり、私権の制限を伴う緊急事態宣言、それへの要件がどうなのかといった点というのは極めて重要な点だと思っております。そういう点でも、新型コロナウイルスの感染症の状況がどうなっていくのか、それがどういう判断で、どういった措置を行っていくのかというのをちょっと確認的にまずお聞きしたいんですが、最初に、新型コロナウイルス感染症の現状認識、今の実態、これについてはどういうふうになっているのか、この点について御説明をいただけないでしょうか。

○西村国務大臣 お答え申し上げます。
 三月九日の専門家会議におきまして、爆発的な感染拡大には進んでおらず、一定程度持ちこたえている、そういう状況であるものの、同時に、依然として警戒を緩めることはできないとの見解が示されております。その見解を踏まえて、大規模なイベントなどの自粛なりを、安倍総理から、十日間程度続けていただくようにということをお願いをしたところであります。まさに国内の急速な感染拡大を回避するために重要な時期に来ているというふうに認識をいたしております。
 あすにでも専門家会議を開いて、その後のこの自粛の成果、特に、北海道で先駆けて学校休校をやり、外出の自粛等を行っていますので、その成果がどの程度出ているのかということを検証していただいて、今の状況を御確認いただきたいと思っておりますけれども、他方で、昨日、専門家会議の方からは、緊急提言のような形で、欧米で、特にヨーロッパで感染が急速に拡大をしているという中で、入国に一定の制限を加えるべきではないかという趣旨の提言もいただいております。日本は何とか持ちこたえている状態でありますけれども、ヨーロッパで特に感染が拡大が広がっているというふうに認識をいたしております。

○塩川委員 何とか持ちこたえているけれども、警戒の手を緩めてはいけないという話ですけれども、もう少しひもといていただくとどうか。
 例えば、参議院の審議の際に、西村大臣の答弁の中で、この現状認識ということで、国内の複数地域で感染経路が明らかでない患者が発生してきている、一部地域には小規模患者のクラスターが把握され、感染の拡大のおそれがある、このように述べたというのは、まさに現状認識として述べておられたということでよろしいでしょうか。

○西村国務大臣 はい。
 さらに、クラスターの状況については、昨日十七日の十二時の時点で、クラスターの数は十三、都道府県は八でありますけれども、したがって、そういう患者が広がっているクラスターがあるということと、何人かの感染の経路がわからない人も出てきているという状況でございます。

○塩川委員 クラスターが、そういうのが広がっているということと、感染経路が明らかでない患者が発生してきて、それが複数地域で生まれてきているという状況です。
 それで、新型インフル特措法の改正では、新型コロナウイルス感染症の蔓延のおそれが高いと認めるときに政府対策本部を設置します、以降の一連の措置に進むわけですけれども、この蔓延のおそれが高いと認めるときというのはどういう状況なのかについて、改めて確認したいと思います。

○西村国務大臣 この蔓延のおそれが高いと認めるときについては、厚生労働大臣において専門家の意見を聞いて適切に判断されるというふうに考えておりますが、御指摘の、どういう状況なのかということにつきましては、先ほど申し上げたクラスターの数とか、その大きさというか広がりというか、そういったこと、それから感染経路など、感染拡大の状況を踏まえて検討がなされて、専門家がそうした検討を行い、その御意見を聞いて、厚生労働大臣において適切に判断されるものというふうに考えております。

○塩川委員 この点についても、蔓延のおそれが高いと認めるときということで、参議院、この法案の審議の際の西村大臣の答弁に、国内で相当数の都道府県で患者クラスターが確認されるなど、現状よりも更に感染が拡大をして、今後の国内での流行が抑えられなくなった状況と述べている。これが、蔓延のおそれが高いと認めるときということでよろしいですか。

○西村国務大臣 そのように答弁をさせていただきました。
 さらに、今申し上げたように、クラスターの数、その広がりとか大きさ、そして感染経路など、そうした感染拡大の状況を踏まえて専門家は判断され、そして、それを聞いて、厚生労働大臣において判断されるというふうに考えております。

○塩川委員 そうしますと、現状認識と、この蔓延のおそれが高いと認めるときというものの違いがよくわからないんですけれども、どこが違うんですか。

○西村国務大臣 まさに専門家の皆さんが三月九日にもおっしゃっているように、爆発的な感染拡大には進んでおらず、一定程度持ちこたえているという状況でありますし、これは、今後急速な拡大につながっていくのか、それとも終息していくのか、何とか持ちこたえているという状況でありますので、この点も専門家の皆さんの御意見を賜りたいというふうに考えているところであります。

○塩川委員 持ちこたえていると。
 では、持ちこたえられない状況というのはどういう状況を指しているのかが聞きたいんですが。

○西村国務大臣 感染者の数は日々ふえておりますし、クラスターの数もふえてきているところでありますけれども、専門家の御判断、九日の御判断は、それでも持ちこたえているという状況の御判断をいただきました。これはまさに、私どもが何か政治的に、恣意的に判断するべき話ではなくて、私が、これで、こう思っているという、そういうふうに答えるべき話ではなくて、専門家の皆さんに御判断いただいて、それを尊重して、それを聞いて、厚生労働大臣において判断されるべきことだというふうに考えております。

○塩川委員 蔓延のおそれが高いと認めるときという話で、参議院側の参考人質疑の議論なんかも聞いていますと、感染のリンクを追うことができない状態があちこちに生まれている、そういう状況として把握をしているんですが、それは間違いですかね。

○西村国務大臣 先ほども申し上げましたとおり、クラスターがどのぐらいの数で、どういうものがどのぐらいの大きさで広がってきているのかということも大事な要素だと思いますし、それから、感染経路が追えない人が出てきて、追えない患者さんがたくさん出てきているというのは、これはもうどういうふうに広がっているか追えない状態なわけでありますから、これも、感染経路というのも大事な視点だというふうに認識をしております。
 いずれにしましても、そうしたことを踏まえて、状況、データを踏まえて、専門家において判断をされるというのが適切であるというふうに考えております。

○塩川委員 そうしますと、国内で相当数の都道府県で患者クラスターが確認されるなど、現状よりも更に感染が拡大するといった場合に、では、相当数の都道府県という、相当数が幾つぐらいなのかとかという何らかの指標があるのかどうかとか、国内での流行が抑えられなくなった状況というのはどういうことを指しているのかとか、なかなか判然としないんですが、その辺は何らか示される指標とかというのはあるものなんでしょうか。

○西村国務大臣 ここも、私どもが何か数字なり基準を設定しているわけではございません。専門家の皆様の判断、この感染の拡大のスピードがどうなっているのか。欧米の推移を見ていましても、あるところからやはり急速にふえる角度が上がって、どっとふえていくところが、今ふえている国はあります。そうではなく、持ちこたえている日本のような、横ばいから少しふえているような国もあります。
 ですので、これは、先ほど申し上げたようなクラスターの数、状況、そして感染経路、こういったものを総合的に判断されて、専門家においてそうした判断がなされ、それを踏まえて厚生労働大臣が判断していくというものであるというふうに考えております。

○塩川委員 その場合、クラスターの問題ですとか感染経路の問題のお話があったんですけれども、やはり、そうはいっても、厚労大臣がそういう事態を認定するといった場合に、状況認識として、なかなか、こうだという指標として見えてこないという場合に、政府の裁量での認定という点についてやはり懸念があるところです。
 その上で、この緊急事態の要件についてですが、政令も踏まえて、緊急事態の要件がどのようなものかについての御説明をいただけますか。

○西村国務大臣 この特措法では、緊急事態宣言の要件として、国民の生命及び健康に著しく重大な被害を与えるおそれがある新型インフルエンザ等が国内で発生しというのが一つの要件で、もう一つが、全国的かつ急速な蔓延により国民生活及び国民経済に甚大な影響を及ぼし、又はそのおそれがある事態が発生したと認めるときに緊急事態宣言を発出するというふうにされております。
 そして、その具体的な要件が政令に落ちておりまして、政令、新型インフルエンザ等対策特別措置法の施行令第六条でありますけれども、二つの項目がございます。
 一つが、新型インフルエンザ等にかかった場合における肺炎、多臓器不全、脳症等の症例の発生頻度が、季節性のインフルエンザにかかった場合に比して、比べて相当程度高いと認められるものであり、二番目に、新型インフルエンザ等に感染し、又は感染したおそれがある経路が特定できない場合、又は新型インフルエンザ等を公衆に蔓延させるおそれがある行動をとっていた場合その他の新型インフルエンザ等の感染が拡大していると疑うに足りる正当な理由のある場合、こういうふうにされているところであります。
 この要件に該当するかどうかの判断については、既に閣議決定しております政府行動計画におきまして、専門家で構成されます基本的対処方針等諮問委員会、専門家の集まりであります諮問委員会に諮問をして、判断をしていくということになっております。

○塩川委員 政令を引用していただいて、重篤性、感染性と二つの内容についてのお話をいただきました。
 その場合に、現状認識で、冒頭確認しましたように、国内の複数地域で感染経路が明らかでない患者が発生してきているということだったわけですけれども、国内の複数地域で感染経路が明らかでない患者が発生してきているという現状認識と、今ここで言う緊急事態の要件としての感染経路が特定できない場合というのは、一致するというか重なる認識ではないのかと思ったんですが、そこはどうなんですか。

○西村国務大臣 その点、私も非常に頭を悩ませているところであるんですけれども、政令だけを素直に読みますと、こういう感染した経路が特定できない場合が一例でもあれば、何か緊急事態宣言の要件に当たるかのように読めるわけでありますけれども、実は、法律の方の条文を読むと、全国的かつ急速な蔓延により国民生活及び国民経済に甚大な影響を及ぼすか、又はそのおそれがあるということで、ここに全国的かつ急速な蔓延というのがかかっておりますので、政令だけを読めば、これは直ちに緊急事態宣言にいけるんじゃないかと読めますけれども、法律の方とあわせて読めば、全国的かつ急速な蔓延になっているのか、あるいはそのおそれがあるのかというところを判断をすると。
 そのことについては、我々が何か恣意的に、政治的に判断をするということではなくて、専門家の意見を聞いて判断をするということにしておりますし、専門家の皆さんの中には、テレビでいろいろな専門家がたくさんおられます、我々が聞いている専門家会議とは異なる方もたくさんおられますけれども、意見もいろいろ割れておられるように思いますけれども、法律を素直に読めばそういう印象を持ちますけれども、しかし、全国的かつ急速な蔓延によって何か影響が及ぶ、あるいは及ぶおそれがあるというところで、専門家の御意見をしっかり聞いて、それを尊重して判断をしていきたいというふうに考えているところでございます。

○塩川委員 全国的かつ急速な蔓延というのは、では、どういう状況なのかという話がまたかぶるわけですけれども、そういう点でも、いずれの場合でも、感染のリンクが追えるか追えないかというのは重要な要素だと思うんですけれども、その程度がどこまでなのかというのがなかなか見えてこない、現状認識と蔓延のおそれが高いと認めるときと緊急事態の要件と。その点での指標というのがなかなか見えてこないということがあります。
 もちろん、重篤性の問題などについても、ウイルスの致死率の話でいえば、分母が変わると当然値も変わりますし、年齢、また、高齢であれば高いとかということにもなりますから、そのとり方でもいろいろなこともあるわけで、何をどうとるのかといったことが要件となってくるという点では、非常に曖昧だということを言わざるを得ません。
 その上で、政府行動計画の話なんですが、政府行動計画には、政府対策本部長から基本的対処方針等諮問委員会に対し、新型インフルエンザ等緊急事態の要件に該当するかどうかについて、公示案として諮問するとあります。
 これは、政府対策本部長、総理大臣が基本的対処方針等諮問委員会に諮問する公示案というのは、緊急事態措置を実施すべき期間とか区域とか概要の案を諮問するだけではなくて、この緊急事態の要件の案といいますか、緊急事態の要件の判断のための要素、これも示すということなんですか。

○西村国務大臣 委員まさに御指摘のとおり、この緊急事態宣言の発出に際しては、閣議決定をしております政府行動計画に基づきまして、そこに書かれておりますので、基本的対処方針等諮問委員会に対して、これらの要件に該当するかどうかについて、公示案として諮問するということとされているところであります。
 当然、専門家の皆さんでありますので、この公示案の策定に際しても、感染拡大の状況などを踏まえて、こうした皆さんの御意見を聞きながら原案を作成していくということになるというふうに考えております。

○塩川委員 ですから、緊急事態の要件に該当するかどうか、その要件の判断のための要素も政府対策本部長が諮問委員会に示すということですよね。

○西村国務大臣 今想定しておりますのは、いきなりどんと開いて公示案を示すというよりかは、日々状況は、もしそういう事態に近づいてくれば切迫してきていると思いますので、専門家の皆さんに集まっていただくのか、個別にお話を伺うのか、やり方はいろいろあると思いますけれども、少なくとも、専門家の皆さんの御意見も聞きながら、こういう状況になっているというデータを示し、そして、専門家の皆さんの御判断を仰ぎながら、その中で、我々が勝手に公示案をつくるということではなくて、そういったことをお示しをしながら公示案をつくっていくということになるというふうに考えております。

○塩川委員 期間とか区域と概要の案を諮問するというのはあるわけですけれども、その前段として、緊急事態に当たるかどうかという、その緊急事態の要件の判断要素、そういうのもいわば素案として提示をするということではないんですか。

○西村国務大臣 公示案の中にどこまで書き込むかというのは、まだそこまで詰めておりませんけれども、しかし、専門家の皆さんに御判断いただくための当然材料はお示しをして、そして、そこで御判断をいただくということになるというふうに思います。

○塩川委員 緊急事態の要件の判断要素について、材料ということをおっしゃいましたが、政府対策本部長、総理大臣が示すということになります。
 そうなりますと、緊急事態の公示に当たって、政治的に判断するのではなくて、専門家の判断で云々とあるんですが、しかし、前提となるたたき台の方は政府の方から出すということになると、当然、それが要素として尊重される、政府の一存で緊急事態が宣言されるといった懸念は拭えないんですが、その点はどうでしょうか。

○西村国務大臣 私たちは、緊急事態宣言をやりたいと思っているわけではなくて、できればそういう事態にはなってほしくないと思っております。しかし、本当に全国的にかつ急速な蔓延の状態が仮に進んだ場合には、これは、国民の命を、生命を守るという観点から、こうしたことも考えなきゃいけない。
 ただ、それも、もちろん、突然に来るケースもあるかもしれません、突然感染が広がるというケースもあるかもしれませんけれども、今の状況ですと、毎日何人か広がっていき、クラスターもふえていく中で、何とか持ちこたえている状況で、できれば終息に向けて何とかできないかということで全力を挙げているところでありますけれども。
 そうした状況は、今も日々専門家の皆さんにお示しも、これは厚生労働省の方からいろいろ状況についてはお示しし、そうした中で、きのうは、欧米で広がっているから、ヨーロッパで特に広がっているから、それに対して対処すべきだという提言をいただいたところでありますし、日々いろいろなデータをお見せをしながらやってきております。
 特に、緊急事態宣言を出すという段には、これは、附帯決議もいただいておりますし、我々は専門家の意見をしっかり聞いて、私権の制約につながる措置があり得るということでありますから、そうしたことも頭に置きながら、適切に判断しなきゃいけないというふうに思っているところでありますので、いろいろなデータ、材料を示しながら、やりとりをしながら、専門家の御意見をしっかりとお聞きし、それを尊重して判断をしていくということだと思います。

○塩川委員 緊急事態の要件が曖昧だということを指摘をしました。専門家の意見を聞くという場であっても、そのお膳立ては政府側が行うというスキームという点で私は疑念があるわけです。全国一律休校について安倍総理は、私の責任で判断したと述べたわけで、同じことが繰り返されるんじゃないのか、政府の裁量で緊急事態が発動される懸念があるということを申し上げておきます。
 西村大臣、ここまでで結構ですので。ありがとうございました。

新型コロナ政府・与野党連絡協議会と政府の補正予算・法案は分けて対応/野国連

 野党国対委員長連絡会開く。

1)新型コロナウイルス感染症対策の政府・与野党連絡協議会について、各党の政策担当者が中心となって対応することを確認。生活に密着したリアリティのある対策を求めていくことに。この協議会の措置と政府の補正予算・法案は分けて対応し、国会の行政監視機能はしっかり果たしていく。

2)森友公文書検証チームを立ち上げる。週刊誌報道は、財務省調査報告の嘘を示すものになっている。安倍首相の責任が問われる。


穀田氏「首相答弁追及」/野党国対委員長が会合

「しんぶん赤旗」3月19日付・2面より

 日本共産党、立憲民主党と国民民主党などの野党共同会派の国対委員長は18日、国会内で国対委員長連絡会を開き、森友疑惑の公文書改ざんに関与して自殺した近畿財務局職員の遺書全文を『週刊文春』(3月26日号)が報じ、遺族が大阪地裁に提訴したことを受けて、野党として森友問題の検証チームを立ち上げることを確認しました。

 会合後の記者会見で穀田氏は、「単に佐川宣寿・元財務省理財局長の問題ではなく、ことの発端は安倍首相が2018年2月17日に“私や妻が関係していたなら、首相も議員も辞める”と答弁したことにある。この答弁を契機に、公文書の改ざん、隠ぺい、破棄が行われた。これらの点について追及していきたい」と表明しました。

 また会合では、新型コロナウイルス感染症対策で設置される政府・与野党による協議会について、各党政策責任者で対応することを確認しました。

緊急経済提言/自民党に申し入れ

 穀田国対委員長とともに、志位委員長が発表した経済危機に対処する緊急経済提言を自民党に申し入れ、安倍首相に届けることを要請しました。

 森山国対委員長は「考え方は全く一緒。経済への影響などリーマンショックより大きい。安倍首相に届けたい」と述べました。

 穀田氏は「党首会談を行って、衆知を集めることが必要だ」と提案。森山氏は「予算が済んだらすぐご相談しようと思っている」と答えました。穀田氏は「わが党は、来年度予算の修正を提案している」と早期の対応を求めました。


 日本共産党の志位和夫委員長が12日の記者会見で発表した緊急経済提言は以下の通りです。

国民生活の緊急防衛、家計・中小企業への強力な支援を

志位和夫

 日本経済はいま、消費税大増税による打撃に、新型コロナウイルス感染症による打撃が加わって、深刻な大不況に陥りつつある。

 昨年10~12月期のGDP(国内総生産)は、マイナス7・1%となったが、これは新型コロナの影響が出る前の数値であり、今年に入ってからの景気悪化はさらに深刻な落ち込みを示していることは、各種の指標からも明らかである。

 さらに、重大なことは、新型コロナの打撃が世界各国に及び、世界経済が重大な危機に直面していることである。それもリーマン・ショックの時などと違い、金融面だけでなく、実体経済そのものの深刻な後退の危機が起こっていることである。

 こうしたもとで、感染拡大防止によって国民の命と健康を守ることに最大の力をそそぎつつ、現下の経済危機からどうやって国民生活を防衛していくか、政治の責任が厳しく問われている。

 日本共産党は、政府が次の二つの基本姿勢に立って大胆な経済政策をとることを、強く求める。

 1、新型コロナの影響から緊急に国民生活を防衛するあらゆる手だてをとる。

 2、外需依存がいよいよできなくなるもと、内需・家計・中小企業支援に力を集中する。

(1)新型コロナの影響から緊急に国民生活を防衛する

●中小企業をはじめとする企業倒産とリストラ・失業の連鎖を起こさないことを経済政策の大きな目標に据える。

 ――中小企業への無担保・無利子の融資を、当面、リーマン・ショックの時なみの20兆円の枠を確保する。政府の無担保・無利子融資は5000億円であまりに小さい。

 ――雇用調整助成金は最大10分の10の補助にする。現在の助成率は北海道だけ5分の4、あとは平時の3分の2だが、「10分の10」にすべきである。その財源は積立金が十二分にある(1兆4000億円)。

 ――新型コロナを口実にしたリストラ、首切り、内定取り消しなどを行わないよう、指導すること。

●フリーランスをはじめ雇用保険の対象にならずに働いている人への所得補償制度を緊急につくる。

 ――政府の対策は「休校によって仕事に行けなくなった人」だけが対象で、1日4100円にすぎない。対象と額を抜本的に拡大し、フリーランスなどへの休業の所得補償制度を緊急につくる。

●休校要請、イベント自粛要請など、政府の要請にともなって仕事や収入を奪われた人や事業者には、国の責任でそれを補償することを、大原則にすえ実行する。

 ――イベント中止要請が、演劇、芸能、音楽などにもたらした実害は、文化の公共性も重視し、全面的に補償する。

(2)内需・家計・中小企業支援に力を集中する

 これまでのような外需頼みの経済政策は、世界経済全体で実体経済の後退が起こっているもとで、いよいよ成り立たなくなっている。こうしたもと、内需、とりわけ家計と中小企業支援に思い切って力を集中した経済政策が必要である。

●消費税5%への緊急減税を本格的に検討し、実行することを強く求める。

 ――「景気対策のために減税、反対するつもりはない」(麻生財務相)という声が、政府部内からも出ている。現下の大不況の原因をつくったのは消費税増税であり、これを緊急に5%に減税することは、消費を下支えし、国民の所得を増やし、低所得者と中間層への力強い支援策となる。政府が、この経済危機に立ち向かう強い姿勢を示すうえでも、最も有効な対策である。

●国保料をはじめ社会保険料の緊急減免、納税の緊急猶予などの措置をとる。

 ――仕事がなくなり、所得が急減している自営業者やフリーランスへの支援として、災害時に行っているような国保料の緊急減免を行う。自治体の判断で実施し、財源は国が保障する。

 ――中小企業の社会保険料も、同様の考え方で、緊急減免を行う。

 ――社会保険料や所得税・消費税の納税の猶予、延滞料金の減免を行う。

●大企業の内部留保を働く人の賃金、中小企業への単価の引き上げに活用する。

 ――労働界から、「大企業は、将来の危機を理由に、内部留保を積み上げてきた。今回のコロナ拡大という危機にその内部留保を活用すべきだ」(連合会長)などの声が出ているが、当然の声である。

 460兆円にのぼる内部留保をもつ大企業が、コロナ危機を理由に、賃下げ・リストラ・中小企業切り捨てなどを行うことは許されない。巨額の内部留保を、働く人の賃上げ、中小企業への単価の引き上げなどに活用し、庶民の暮らしと営業を守る社会的責任を果たすよう、政府として強く要請を行うことを求める。

(3)「予備費の枠内」でなく、来年度予算の抜本修正によって財源を確保する

 安倍政権が10日に発表した第2次緊急対策は、「予備費の枠内」という大前提でつくられているために、規模があまりに小さく、対応があまりに狭いということに最大の問題がある。

 「予備費の枠内」というのは、まったく合理性がない。予算編成後に起きた緊急事態に対応するのは当然であり、無修正での成立にこだわる理由はどこにもない。

 4月になって、予算案成立後に、補正予算をつくるというのは、あまりに国会を軽視したやり方である。来年度予算の抜本修正によって財源を確保する、大胆な財政的措置を緊急にとるべきである。

事実に基づかない森法相発言/政府の正式な見解を/野国連

 野党国対委員長連絡会開く。

 参院予算委員会における森法務大臣の発言を巡って協議。

 東日本大震災時の検察の活動について、事実に基づかない発言が問題となっている。大臣としての資格が問われている。

 この件について、政府に正式な見解を求めることとした。


森法相/暴言を撤回/野党が徹底追及

「しんぶん赤旗」3月13日付・2面より 

 日本共産党と、立憲民主党、国民民主党などの共同会派の国対委員長は12日、「東日本大震災のとき検察官は最初に逃げた」などという森雅子法相の暴言は「法相としての資格にかかわる重大問題だ」として、国会内で断続的に会談を開き、「森氏は政治責任をとるべきだ」と政府・与党に求めました。森法相は同日、「結果として事実と異なる発言をした」として、発言を撤回し謝罪しました。安倍晋三首相は、記者団にたいし森法相を厳重注意したことを明らかにしました。

 森法相は9日の参院予算委員会で、検察官の定年延長問題をめぐる質疑で、「東日本大震災のとき、検察官は福島県いわき市から国民が、市民が避難していない中で、最初に逃げた。そのとき身柄を拘束している十数人の方を理由なく釈放して逃げた」と答弁。野党は、森法相が自ら所管する検察行政について事実無根の暴言を繰り返したことは重大だとして参院予算委、衆院法務委で厳しく追及していました。

 森法相は安倍首相から厳重注意を受けた後、記者団に「結果として、法務省が確認した事実と異なる発言をした。誠に不適切なものであったと、真摯(しんし)に反省し、発言を撤回して深くおわびする」と述べました。

 一方、安倍首相は厳重注意をしたことを明らかにしましたが、自らの任命責任には一言も触れず、森法相には「今後より一層緊張感をもって、職務を果たしてもらいたい」と述べるにとどまりました。

 日本共産党の穀田恵二国対委員長は同日の代議士会で、「森氏の発言は謝罪・撤回だけでは済まず、法相としての資格が問われる問題だ。引き続き追及していく」と表明しました。

【内閣委員会】インフル特措法改定案/衆院委可決/共産党は反対/私権制限の歯止め曖昧

 新型コロナウイルス感染症を新型インフルエンザ等対策特別措置法の対象に加える改定法案が、内閣委員会で採決され、自民、公明、維新と、立憲民主党などの共同会派の賛成多数で可決。日本共産党は反対しました。

 特措法は、私権制限を伴う重大な決定の「緊急事態宣言」には専門家の意見聴取を定めておらず、宣言の発動要件も不明確です。

 私の追及に対し、西村康稔担当相は専門家の意見聴取を義務づけていないことについて「正直、この法律を読んだ時はそういう印象をもった」としつつ、「全体の体系をうけて専門家の意見を聞くことを担保している」と釈明。

 緊急事態宣言後に都道府県対策本部長(知事)が行う「要請」や「指示」は、どこの地域でいつまで「外出自粛」なのか、どのような施設でいつまで「使用制限・停止」されるのか法文上の規定はない。

 私は、知事の判断で恣意(しい)的な運用が行われるのではないか。こういった点での歯止めがないと指摘しました。

 さらに特措法は緊急事態宣言の前であっても知事に「公私の団体・個人に対し必要な協力の要請」ができる権限を与えています。

 私は、うがい・手洗いの奨励だけでなく、外出抑制やイベント開催についての検討の要請など、知事の判断で踏み込んだ措置をすることに歯止めがあるのかと追及。

 西村担当相は要請の内容が限定されていないと認めました。

 私は反対討論で、特措法の最大の問題点は、緊急事態宣言の発動で「外出自粛要請」や「学校・社会福祉施設・興行場等に使用等の制限・停止の要請・指示」などができ、私人の権利制限を行えること。特措法には制限がもたらす人権侵害の救済措置も経済的な補償もない。人権の幅広い制限をもたらし、その歯止めが極めて曖昧で問題だ。このような法案をわずか3時間で採決するなど許されない。安倍晋三首相が独断で全国一律休校を決定し、国民は強い不安を抱いている。安倍政権に緊急事態宣言の発動を可能とすることは断じて認められないと強調しました。


新型インフル特措法改定案、衆院内閣委員会での反対討論の要旨は以下の通り。

 本案は新型コロナウイルスを新型インフル特措法の対象に追加するものです。特措法の最大の問題点は、「外出の自粛要請」や「学校・社会福祉施設、興行場等に対し使用等の制限・停止の要請」さらには「指示」、土地所有者の同意なしに臨時医療施設開設のための土地使用も可能となる私権制限が行えるようになることです。

 これらは、憲法に保障された基本的人権を制約するものであり、経済活動にも大きな影響をもたらします。

 都道府県知事がこれらの私権制限の「要請」「指示」を行う出発点が、政府対策本部の本部長である首相による「緊急事態宣言」です。

 同「宣言」を発動する要件は不明確です。政府は「重篤である症例の発生頻度が相当程度高い」「全国的かつ急速なまん延」をあげていますが、「重篤」「まん延」の基準や誰が判断するかが曖昧です。

 政府行動計画や基本的対処方針を定める際には、「あらかじめ、専門家の意見を聞かなければならない」としながら、私権制限を伴う「宣言」決定には、専門家の意見聴取を義務づけていません。

 「外出の自粛」は、どこの地域で、いつまでなのか、各種施設の「使用制限」はどのような施設が対象で、いつまでなのかといった歯止めがなく、必要以上の私権制限の懸念がぬぐえません。

 制限がもたらす人権侵害に対する救済措置も経済的措置に対する補償もありません。

 「宣言」下では、「指定公共機関」のNHKも、首相から「必要な指示」を受けることとなっており、NHKの自主性・独立性を確保できず、国民の知る権利を脅かしかねません。

 特措法は、「宣言」前でも、都道府県知事に、「公私の団体・個人に対し、必要な協力の要請」を可能とする権限を与えています。この「要請」は、うがい手洗いの奨励にとどまらず、外出の抑制や大規模イベントの開催検討なども否定しておらず、歯止めがかかっていません。

 特措法は、市民の自由と人権の幅広い制限をもたらし、その歯止めが極めて曖昧なもので、問題があります。

 わずか3時間での採決など許されません。

 安倍首相が突如打ち出した一律休校は、専門家の意見も聞かず、首相が独断で決定したことに、国民は強い不安を抱いています。本案によって、安倍政権に緊急事態宣言の発動を可能とすることは認められません。

質疑 反対討論

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「議事録」(質疑)

<第201通常国会 2020年3月11日 内閣委員会 3号>

○塩川委員 日本共産党の塩川鉄也です。
 新型インフル特措法の改正案について質問をいたします。
 今回の法案は、この新型インフル特措法に新型コロナウイルス感染症対応を盛り込むものであります。
 そこで、まず、新型インフル特措法における緊急事態宣言に関してお尋ねをいたします。
 第三十二条に基づいて政府対策本部長が緊急事態宣言を行うときに、あらかじめ専門家の意見を聞くということを法定していない、それはなぜなんでしょうか。

○西村国務大臣 ちょっと、法制定時の話をもう一度よく吟味をしなきゃいけないかと思いますけれども、基本的に、この法律の体系の中で、基本的人権の尊重といいますか、第五条で、さまざまな措置をとるときには最小化しなきゃいけないという措置が盛り込まれておりますので、そういったことも含めて、しっかりとそこに縛りがかかっているということで私は理解をしているところでございます。

○塩川委員 いや、質問に答えていないんですが。
 何で、専門家の意見をあらかじめ聞かなければならないということが緊急事態宣言の場合にあってそうなっていないのか、規定されていないのか。そこはどうですか。

○西村国務大臣 先ほど申し上げた緊急事態宣言というのは非常に重い措置で、都道府県知事に相当強い権限、私権を制約する権限が与えられるということで、法律全体の中で、第五条の規定で基本的人権の尊重があり、さらに、この緊急事態宣言を出すことも含めて、この法律体系上は、政府行動計画をつくり、そして基本的対処方針をそれに基づいてつくるという法体系になっております。
 そして、その基本的対処方針を定めるときに、専門的な知識を有する者、学識経験者の意見を聞かなきゃならないということで、既に諮問委員会が設置をされているところでございます。
 そういう意味で、この大きな方針を定める、基本的対処方針を定めるときに専門家の意見を聞き、そして、それに基づいてさまざまのこの法律に基づく措置がとられるという意味では、大きな意味ではそこで専門家に意見を聞いているということでありますし、全体として基本的人権の尊重を図っているという理解でございます。

○塩川委員 今答弁が一部あったんですけれども、確認ですけれども、政府対策本部長が緊急事態宣言を行うときに、あらかじめ専門家の意見を聞くことは法定されていない、行動計画あるいは基本的対処方針においては聞きますねと。
 ですから、特措法では、政府行動計画を作成するときは、「あらかじめ、感染症に関する専門的な知識を有する者その他の学識経験者の意見を聴かなければならない。」と規定をしています。また、特措法では、政府行動計画に基づき基本的対処方針を定めるときは、「あらかじめ、感染症に関する専門的な知識を有する者その他の学識経験者の意見を聴かなければならない。」と規定をしています。
 そういう意味では、今お話しになったように、大きな方針、政府行動計画や基本的対処方針をつくるときには、あらかじめ専門家の意見を聞くことを義務づけているわけですけれども、やはり、まさに私権の制限、強い私権の制限を伴うような緊急事態宣言を行うときの要件はどうなっているのかといったときに、一番やはり問われる問題じゃないですか。まさにそのときに、何で、あらかじめ専門家の意見を聞かなければならないという義務づけがないのか、おかしいんじゃないですか。

○西村国務大臣 正直申し上げて、私も、最初にこの法律を読んだときは、そういう印象を持ったわけでございます。
 ただ、今申し上げたように、ちょっと法制局の資料をもう一度よく吟味しなきゃいけません、過去の立法者の意思を含めてですね。当時、民主党政権で、先ほど、中川大臣が担当大臣で法制を、制定されたわけでありますけれども、そのときのこともよく調べなきゃいけないと思いますが。
 まずは、基本的対処方針を定めるときに、大きな方針を決めるときに専門家の意見を聞いて、そのもとで緊急事態宣言も出される、その方針にのっとって出されるという理解では、全体としては聞いているということでありますし、それを補完する形で、まさに政府行動計画では、きちんと諮問委員会の意見を聞いて緊急事態宣言を行うことが定められているところでありまして、そういう意味で、この法律に基づいて行動計画をつくり、そしてその中で、緊急事態宣言を出すときには専門家の意見を聞かなければならない、聞くこととしているということに、政府は閣議決定をいたしておりますので、ある意味で、この法律の全体の体系を受けて、具体的に、そのような形で専門家の意見を聞くことを担保しているという整理になっていると思います。

○塩川委員 いや、強い私権の制限を伴う緊急事態宣言を行うという際に、その要件が妥当かどうかというところが問われているわけですよね。重篤性、感染性、この問題について、まさにあらかじめ専門家の意見を聞かなければならない。
 この特措法というのは緊急事態宣言を行うということが大きな柱の法律なんですから、その肝心なときに、あらかじめ専門家の意見を聞かなければいけないという義務づけが入っていないというのは、そもそもおかしいわけですよ。これはこのままでいいということでいいんですか。

○西村国務大臣 繰り返しになりますけれども、大きな体系としては、専門家の御意見をいただいて基本的対処方針をつくり、それに基づいて緊急事態宣言を出すという法体系になっております。
 その基本的対処方針をつくるのは、政府行動計画に基づいてつくることになっておりまして、その政府行動計画というのはこの法律でつくることになっておりますが、その政府行動計画の中で、きちんと、緊急事態宣言を発するときには、その要件に該当するかどうかの判断について、この諮問委員会たる専門家の意見をしっかり聞いて判断をするということになっておりますので、そういう意味で、法体系上は、そういう形で専門家の意見を聞くことは担保されているということでございます。

○塩川委員 強い私権の制限を伴うような緊急事態宣言を行う際に、あらかじめ専門家の知見をしっかりと聞かなければならないというところが、一番の肝のはずなんですよ。そこのところがここに盛り込まれていないという点が極めて重大で、それは、まさに今の安倍総理は、科学的知見を示さないまま政治的に判断をして、全国一斉休校を要請し、現場は大きな混乱が生じたわけであります。
 この緊急事態宣言を行う際に、あらかじめ専門家の意見を聞くことの義務づけがないということは、容認できないということを申し上げておきます。
 次に、この緊急事態宣言に基づき、都道府県対策本部長は、外出自粛の要請や、学校、社会福祉施設、興行場等の使用制限、停止の要請や指示ができるとされています。
 この要請の期間ですとか区域ですとか対象施設の範囲というのは、法文上の規定はもちろんないわけですけれども、どこでどのように定めるということなんでしょうか。

○西村国務大臣 御指摘は、本部が立ち上がった後、そして緊急事態宣言が出された後の四十五条の規定のことですね。
 この規定については、使用制限、停止の要請あるいは指示、こうしたことができるわけですけれども、その期間とかそれから範囲について、それをどの範囲で行うかということでありますけれども、確かに、ここも、都道府県知事は専門家の意見を聞くことにはなっていないんですけれども、法文上はなっていないんですが、法体系でいいますと、先ほど申し上げたように、全体の基本的対処方針が専門家の意見を聞き設定されて、そのもとで、内閣総理大臣たる政府対策本部長が総合調整を行うということで、都道府県知事ともさまざまな調整を行っていく中で、そうした専門家の考え方なども都道府県知事にはしっかりとお示ししながら対応していくことになるというのが実態だと思いますけれども、しかし、実際のところ、どういう形で進むかという御懸念も確かにあるかと思います。
 専門家の意見を伺いながら、私権の制限との関係も十分配慮して、適切に判断が行われるようにぜひしていきたいというふうに考えているところでございます。

○塩川委員 ですから、緊急事態宣言、二年とか一年とか、この話はこれとしてあるわけですけれども、実際に私権の制限を伴うような要請を行う際に、それはいつまで続くんですか、どの範囲にかかるんですか、こういうところについて明示的に示されるものがないと、これは多くの方々に懸念が生じるのは当然のことと思うんですが、それはいかがですか。

○西村国務大臣 この四十五条の条文に書いておりますけれども、まさに、今回の場合は新型コロナウイルス感染症、これの潜伏期間とか治癒までの期間とか、今さまざま症例が出てきておりますので、今ある専門家会議の中でもいろいろ御議論があって一定の整理がなされつつありますけれども、そうしたものを考慮して一定の期間を定めて、利用の制限の要請なりを行っていくということでございます。
 ですので、そういう意味で、政府対策本部においてしっかりと専門家の意見を聞きながら、それを都道府県知事と調整をしながら、そうした期間を設定をし、そして、施設については、一定面積以上ということで政令指定がなされておりますので、政令指定に基づいて、ある程度推測はつくわけでありますけれども、そうした運用になっていくものというふうに思いますが、現在、今回の新型コロナウイルス感染症の対象となる適用の期間を、現在のところ一年。二年以内となっておりますけれども、一年というふうに考えておりますので、その一年以内の間で、こうした潜伏期間とか治癒までの期間などを考慮して都道府県知事が定めていくということになるものと思います。

○塩川委員 外出自粛の要請とか、一年なんという想定というのは、それ自身が極めて深刻な問題ですから、そういうことではなくて、実際に具体に措置を行う際に、その期間はどれぐらいなんですか、どの対象で行うんですか、そういったところについて法文上の限定がないという点で、先ほど大臣の答弁にも、知事が行うような場合にも専門家の意見を聞くことにはなっていないということになれば、場合によると、その知事の判断で恣意的な運用が行われるのではないか、こういった点での歯どめがないということも指摘をせざるを得ません。必要以上の私権制限が行われる懸念が生じるということを申し上げておきます。
 さらに、特措法では、緊急事態宣言の前であっても、第二十四条において、都道府県対策本部長の権限が規定をされております。
 第二十四条の第九項では、公私の団体、個人に対し、必要な協力の要請をすることができるとあります。
 この第二十四条第九項に基づく要請内容には、何らか限定というのはあるんですか。

○西村国務大臣 御指摘の法二十四条の九項、これにおきましては、御指摘のように、公私の団体、個人に対して協力の要請をすることができるということでありまして、具体的には、手洗い、うがいなど感染対策の広報活動においてボランティア団体への協力を要請すること、あるいは、学校、社会福祉施設での文化祭等のイベントを延期することなど感染対策を実施すること等への協力を要請すること、これを想定しているところでございます。

○塩川委員 手洗い、うがいですとか、それはよくわかる話なんですけれども、しかし、知事の判断でより踏み込んだ措置というのを要請というのも、行うことに何らかの歯どめがあるのかという問題なんですが。
 都道府県知事は、この特措法第二十四条第九項に基づき、例えば、学校等に限らず、職場を含め、広く感染対策の徹底の要請を行う、こういうこともやれるということですか。

○西村国務大臣 まさに、法人格の有無を問わずに、ボランティア団体とか、集会を行う任意団体などに対して、文化祭等のイベントを延期すること、あるいは施設の使用を極力制限することなど、感染対策を実施することを協力を要請することを想定しているわけであります。
 この法律を適用する段階というのは、まさに今回規定をさせていただいたように、蔓延のおそれが高いと認めるときでありますので、まさに、それをほっておくと、蔓延によって国民の生命、健康に重大な影響を及ぼし、そして国民生活、経済に大きな影響を及ぼすという事態が想定されるときでありますので、そういう、国民の命を守らなきゃいけないという要請と、それから、五条に書かれているように、私権の制約については最小限になるべき、基本的人権を尊重すべきという、この両方のバランスを適時適切に考えながら、どこまでの措置をやれば命を守れるのか、あるいはやり過ぎとならないのかということを常に考えながら判断をしていくということになると思います。

○塩川委員 そうしますと、緊急事態宣言の前の段階での、蔓延のおそれが高いと認められるとき、この新型コロナウイルス感染症対策が特措法で動き始めるという事態になった、そういうときには、第二十四条は、権限行使が知事は可能になるということであるわけだけれども、そうなりますと、蔓延のおそれが高いと認められるときといったことで、知事の権限行使は、外出の抑制とか、あるいは大規模イベントの中止といった要請というような、より踏み込んだ措置を行うということもあり得る。そこへの歯どめというのは何かあるんですか。

○西村国務大臣 まさに今回、法律改正をお願いして、新型コロナウイルス感染症をこの対象にするという上で、その次に、蔓延のおそれが高いと認められると厚労大臣が報告して、政府対策本部が立ち上がります。それによって幾つかの、先ほどおっしゃったような措置が適用できるようになります。
 その上に、次に、緊急事態宣言が発出されれば、更に強い権限が与えられるということでありますけれども、まさに、緊急事態宣言のときは、全国的かつ急速な蔓延により国民生活、国民経済に甚大な影響を及ぼし、又はそのおそれがあるという段階でありますので、当然、国民の命を守り、そして生活、経済を守っていく、特に生活を守っていくというところで、これは、やはり封じ込めるために必要な措置はとらなきゃいけないということでありますが、ただ、そのときも、五条にありますように、基本的人権の尊重がありますので、その措置は必要最小限ではならないということがかかってあるわけであります。
 したがいまして、基本的対処方針の中で、専門家の意見を聞きながら、そうした方針をしっかりと定めて、そして、それに基づいて適時適切に判断をしていくということでございます。

○塩川委員 要請内容に限定がないということであったわけですけれども、知事の判断でいわば私権制限を伴うような要請が行われることへの歯どめがないということになります。そういう点でも、このままの規定、条文でいいのかということが出てくるわけであります。
 二〇一二年の新型インフル特措法の審議における参議院の附帯決議があります。先ほど中川委員も紹介されておられましたが、第十七項の、新型インフルエンザ対策に係る不服申立て又は訴訟その他国民の権利利益の救済に関する制度については、本法施行後三年を目途として検討を加え、必要があると認めるときは、その結果に基づいて所要の措置を講ずることとある。これについては政府はどのように対応したのかをお聞きします。

○西村国務大臣 第十七項の項目でありますけれども、御指摘の項目につきましては、法の公布後、平成二十四年に開催されています新型インフルエンザ等対策有識者会議におきましても、行政不服審査法等で対応するという原則を示しており、その後もその方針に変更はなかったというふうに承知をしておりますが、いずれにしましても、附帯決議に書かれていることでもございます。今回の新型感染症の終息後には、改めてその課題についても検討を行いたいというふうに考えているところでございます。

○塩川委員 行政不服審査法という一般法での対応で済ます話ではない、まさに私権制限をもたらすような緊急事態宣言を行える、そういう特措法においての人権侵害に対する救済措置というのは、しっかりそこでとるべきだということであります。
 この緊急事態宣言の決定過程の記録の作成、保存、公開といった透明性の確保や科学的な知見を踏まえた専門家の事前の関与などが、保障する規定が盛り込まれていない法律です。私権制限を行う場合における人権侵害の救済措置や経済的被害への補償措置も規定をされておりません。
 法律の勝手な解釈を繰り返してきたのが安倍政権であり、安倍総理のもとで、国民の権利制限をもたらす特措法の改正は認められないということを申し上げて、質問を終わります。


「議事録」(反対討論)

<第201通常国会 2020年3月11日 内閣委員会 3号>

○塩川委員 日本共産党の塩川鉄也です。
 日本共産党を代表し、新型インフルエンザ特措法改正案に反対の討論を行います。
 本改正案は、新型コロナウイルスを二年間、インフル特措法の対象に追加をするものです。
 そもそも、特措法の最大の問題点は、外出の自粛要請や学校、社会福祉施設、興行場等に対し、使用等の制限、停止の要請、さらには指示、土地所有者の同意なしに臨時医療施設開設のための土地使用も可能とした私権制限が行えるようになることです。これらは、憲法に保障された移動の自由や集会の自由、表現の自由といった基本的人権を制約するものであり、経済活動にも大きな影響をもたらすものです。
 当該都道府県知事がこれらの私権制限の要請、指示を行う出発となるのが、政府対策本部の本部長である内閣総理大臣が行う緊急事態宣言です。
 緊急事態宣言を発動する要件は不明確です。政府は、重篤である症例の発生頻度が相当程度高い、全国的かつ急速な蔓延を挙げていますが、重篤、蔓延をいかなる基準で誰が判断するのか曖昧です。政府行動計画の作成や基本的対処方針を定める際にはあらかじめ専門家の意見を聞かなければならないとしながら、私権制限を伴う緊急事態宣言の決定には専門家の意見聴取を義務づけていないことは重大です。
 外出の自粛は、どこの地域で、いつまでなのか、各種施設の使用制限は、どのような施設が対象で、いつまでなのかといった歯どめはなく、必要以上の私権の制限が行われる懸念が拭えません。特措法には、これらの制限がもたらす人権侵害に対する救済措置はなく、経済的措置に対する補償もありません。
 緊急事態宣言のもとでは、指定公共機関のNHKも政府対策本部長の総理から必要な指示を受けることとなっており、NHKの自主性、独立性を確保できず、国民の知る権利を脅かしかねません。
 さらに、特措法は、緊急事態宣言の前であっても、都道府県対策本部長である知事に、公私の団体、個人に対し、必要な協力の要請を可能とする権限が与えられています。この要請は、うがい、手洗いの奨励にとどまらず、外出の抑制や大規模イベントの開催検討などが含まれることを否定しておらず、歯どめがかかっていません。
 特措法は、市民の自由と人権の幅広い制限をもたらし、その歯どめが極めて曖昧なもので、問題があります。そのような法案をわずか三時間で採決を行うなど、断じて許されません。
 安倍総理が突如打ち出した全国の学校の一斉休校の決定は、専門家の意見も聞かず総理の独断で決定したことに、国民は強い不安を抱いています。本案によって安倍政権に緊急事態宣言の発動を可能とすることは、断じて認められません。
 以上、反対の討論を終わります。

コロナ新法案/現行特措法は私権制限あいまい/徹底審議を/議運理事会

 議院運営委員会理事会開く。西村官房副長官が出席し、コロナ新法案について、明日閣議決定し、国会に提出すると説明。

 政府は、マスク配布など現行特措法に基づき、新型コロナウイルス感染症対策を行っており、新たに法律を作る立法事由がないこと。現行特措法は、私権制限があいまいであり、わが党は反対したことを指摘し、新法案には反対だと表明。

 日程ありきではなく、徹底審議を行えと求めました。


新型インフル特措法改定案/きょう提出/衆院議運理/「徹底審議求める」塩川氏が主張

「しんぶん赤旗」3月10日付・2面より

 西村明宏官房副長官は9日、衆院議院運営委員会理事会に出席し、新型コロナウイルス対策のため新型インフルエンザ特別措置法改定案を10日に閣議決定し、国会に提出すると説明しました。

 日本共産党の塩川鉄也議員は、新型コロナウイルス対策をめぐり、「現行法に基づいてマスクの配布などの対応を行ってきており、立法事由がない。現行の特措法は私権制限の要件などが曖昧(あいまい)であり、わが党は反対した。改定案にも反対だ」と指摘。「徹底審議を求める」と述べました。

 

新型コロナ対策費、大胆な財政出動を/2020年度予算案、衆院で可決/日本共産党は反対

 2020年度予算案が衆院で可決。わが党は反対を表明。

 来年度予算には、新型コロナ対策費は一円も計上されていない。予算修正による大胆な財政出動、感染症専門家の科学的知見を共有して抜本的打開策に取り組むことが必要。

 GDPの落ち込みなど景気悪化が深刻なのに「景気は緩やかに回復」などとんでもない!世界で広がる庶民減税の実施、消費税5%への引き下げを!

 8年連続の大軍拡予算は削減。456兆円の内部留保を積み上げる大企業への減税はやめて、富裕層とともに、応分の税の負担を求めるとき。