【本会議】権力分立の破壊招く/検察庁法改定

 最大の問題は憲法の基本原理である権力分立を破壊する検察庁法改正案を入れ込んだことだ―― 内閣による検察人事への介入を恒常化する検察庁法改定案を含む国家公務員法等改定案が、衆院で審議入りし、質疑にたちました。

 私は、発端は安倍政権が1月に黒川弘務東京高検検事長の定年を、検察庁法の63歳退官の規定を踏みにじり延長させる閣議決定をしたことだ、と指摘。戦後、日本国憲法のもとで制定された検察庁法が退官年齢を定めたのは、検察官人事への政治の恣意的な介入を阻止し、検察官の独立性確保のためだと強調しました。

 検察庁法の立法趣旨や『国公法の定年制度は検察官に適用されない』とのこれまでの政府見解に照らして閣議決定が違法であることは明らかだ。昨年10月に確定していた改正案は、検察官の定年退官を65歳に引き上げ、63歳からは役職につかないというものだったのに、違法な閣議決定につじつまを合わせるため検察官の役職定年に例外を設け、内閣が認める時は63歳を超えても、さらには退官年齢(65歳)を超えても検事長などのまま勤務させることができるという抜け穴まで設けたもので許されない。黒川氏の定年延長を決めた閣議決定と検察庁法改定案は撤回すべきだと求めました。

 菅義偉官房長官は、閣議決定も法案も撤回の必要はないと強弁しました。

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検察庁法改定案、国家公務員法改定案への質問の要旨は以下の通りです。

 新型コロナウイルス感染症対策について野党は一貫して、全国民に10万円の給付金支給をと求めてきました。所得制限を設けず、ただちに給付金支給に踏み出すべきです。

 国家公務員法等改正案の最大の問題は、憲法の基本原理である権力分立を破壊する検察庁法改正案を入れ込んでいることです。コロナ対策に全力を尽くすべきさなかに火事場泥棒的に押し通すことなど許されません。

 発端は、安倍政権が1月31日、黒川弘務東京高検検事長の定年を、検察庁法の規定をふみにじり、国公法の勤務延長制度を根拠として延長させる閣議決定にあります。これは、1981年以来、「国公法の定年制度は検察官に適用されない」とする政府見解を投げ捨てるものです。

 そもそも検察庁法が検察官の退官年齢を定めたのは、検察官が強大な権限を持っていることから、その人事への政治の恣意(しい)的な介入を阻止し、検察の独立性を確保するためです。

 重大なのは、この違法な黒川氏の定年延長の閣議決定による解釈変更につじつまを合わせるために検察庁法を「改正」しようとしていることです。

 昨年10月に内閣法制局の審査を完了していた改正案は、検察官の定年退官を65歳に引き上げ、63歳からは役職につかないというものでした。ところが法案は、検察官の役職定年に例外を設け、内閣が認めるときは、退官年齢も超えて検事長や次長検事などのまま勤務させることができるという抜け穴まで設けたのです。

 「桜を見る会」や前法相への家宅捜索が問題になる中で提出されたのを見ても、政権の保身を図るためであることは明らかです。検察官を官邸に従属させ、刑事司法の独立と公正、権力分立を脅かす国家権力私物化は断じて認められません。

 国公法改正案は、国家公務員の定年を60歳から段階的に65歳に引き上げます。60歳を超える職員の給与を7割に引き下げるとしていますが、根拠を示せない給与の切り下げは、地方公務員などの定年延長のあしき先例になりませんか。

 総人件費抑制政策の下での定年延長は、給与引き下げと新規採用抑制によるいびつな年齢別構成を生み出すことになります。同政策は撤回すべきです。


「議事録」

<第201通常国会 2020年4月16日 本会議 19号>

○塩川鉄也君 日本共産党を代表し、質問します。(拍手)
 冒頭、新型コロナウイルス感染症対策について伺います。
 日本共産党を始め野党は、一貫して、全ての国民に十万円の給付金支給を求めてきました。今や、与党幹部からも同じ要求が出されています。
 安倍総理が述べたという、方向性を持って検討するとは、どういうことですか。所得制限を設けず、全ての国民に十万円の給付金支給に直ちに踏み出すべきではありませんか。官房長官の答弁を求めます。
 議題の国家公務員法等改正案の最大の問題は、憲法の基本原理である権力分立を破壊する検察庁法改正案を入れ込んだことです。コロナ感染症対策に全力を尽くすべきさなかに火事場泥棒的に押し通そうなど、断じて許されない暴挙であります。
 発端は、安倍政権が、本年一月三十一日、黒川弘務東京高検検事長の定年について、検察庁法の満六十三歳退官の規定を踏みにじり、国家公務員法の勤務延長制度を根拠として延長させる閣議決定を行ったことです。
 この閣議決定は、一九八一年に国家公務員に定年制度を導入して以来、国公法の定年制度は検察官に適用されないと一貫して示してきた政府見解を投げ捨てるものであり、断じて許されません。
 そもそも、戦後、日本国憲法のもとで制定された検察庁法が検察官の退官年齢を定めたのは、検察官が起訴権限を独占し、時に総理大臣の訴追も行うという強大な権限を持っていることから、検察官人事への政治の恣意的な介入を阻止し、検察の独立性を確保するためです。このことは、一九四七年の法制定時から明確にされています。
 検察庁法の立法趣旨、国公法の政府見解に照らして、黒川氏の定年延長の閣議決定が違法であることは明らかです。
 重大なのは、この違法な解釈変更につじつまを合わせるため、検察庁法を改正しようとしていることです。
 昨年十月に内閣法制局の審査を完了していた改正案は、検察官の定年退官を六十五歳に引き上げ、六十三歳からは役職につかないというものでした。
 ところが、法案は、検察官の役職定年に例外を設け、内閣が認めるときは、六十三歳を超えて、さらには退官年齢も超えて、検事長や次長検事などのまま勤務させることができるという抜け穴まで設けました。
 まさに、内閣による検察人事への露骨な介入を恒常化するもので、許されません。
 安倍総理自身が桜を見る会の問題で刑事告発され、広島地検による前法務大臣らへの家宅捜索のさなかに提出されたことを見ても、本案が政権の保身を図るためのものであることは明らかであります。
 検察官を官邸に従属させ、刑事司法の独立と公正、権力分立を脅かす、国家権力の私物化であり、断じて認められません。
 黒川検事長の定年延長を決めた閣議決定及び検察庁法改正案は撤回すべきではありませんか。官房長官の答弁を求めます。
 次に、国公法改正案についてです。
 本案は、国家公務員の高齢期職員の活用を図り、年金受給年齢との接続のため、六十歳の定年を段階的に六十五歳へと引き上げるとしています。
 六十歳を超える職員の給与を七割に引き下げるとしていますが、政府が給与七割の根拠としている厚労省調査は、再雇用が八割を占めるデータをもとにしています。雇用が継続する定年延長後の給与について、再雇用を参考にするのは、根拠となり得ないのではありませんか。
 きちんとした根拠を示せない給与の切下げは、地方公務員や民間企業の労働者が定年延長した場合、あしき先例になりはしませんか。
 背景には、公務の人員と給与の削減を推進してきた総人件費抑制政策があります。このもとでの定年延長は、給与引下げと新規採用抑制によるいびつな年齢別構成を生み出すことになります。総人件費抑制政策は撤回し、定員管理を柔軟に運用し、必要な定員を確保する仕組みに改めるべきではありませんか。
 また、本法案には、能力や実績に基づいた人事評価を徹底し、給与に適切に反映することを求める附則が盛り込まれました。このような人事評価制度の徹底は、内閣人事局による幹部職員人事の一元管理と相まって、全体の奉仕者としての公務員制度をゆがめ、時の政権にそんたくする公務員を生み出す仕組みになるのではありませんか。
 答弁を求め、質問を終わります。(拍手)

【内閣委員会】新型コロナ/緊急事態宣言の根拠データ/西村大臣が示す

 西村康稔担当大臣は私の質問に答え、新型コロナウィルスの感染者数の倍増する時間(倍加時間)と感染経路をたどれない「孤発例」の割合について、「緊急事態宣言」発令の7都府県と北海道・愛知・京都の数値を、政府として初めて明らかにしました。

 西村担当相が答弁した緊急事態宣言時の今月7日時点での7都府県の倍加時間と孤発例割合は次の通りです。また、宣言が出されなかった3道府県の数値も明らかにしました。

▽東京=倍加時間5日、孤発例割合68%
▽大阪= 同 6・6日、同48%
▽埼玉= 同 5・4日、同54%
▽千葉= 同 11・5日、同39%
▽神奈川=同 5・9日、同59%
▽兵庫= 同 11・5日、同33%
▽福岡= 同 2・9日、同72%
▽北海道=同 51・6日、同61%
▽愛知= 同 23・5日、同27%
▽京都= 同 4・9日、同33%

 政府対策本部は、累計の感染者数とともに、「倍加時間」や「孤発例」割合を、緊急事態宣言発令の判断材料にしたとしています。

 感染拡大防止対策への国民の理解と協力を得るためには科学的根拠と情報開示は不可欠です。


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「議事録」

<第201通常国会 2020年4月15日 内閣委員会 7号>

○塩川委員 地域経済にかかわって、新型コロナウイルス感染症に関して何問か、大臣、お尋ねします。
 緊急事態宣言が発動、発出をされました。その緊急事態宣言の発動の判断要素、判断材料として、倍加時間、あるいは感染経路が不明の感染者数、孤発例と言っているそうですけれども、これについて、緊急事態宣言を公示をした七都府県がどういう数字なのか、また、累積の感染者数も多い北海道、京都、愛知ではそれぞれどうなっているのかについてお示しください。

○西村国務大臣 御指摘のように、緊急事態宣言を判断するに当たっては、専門家の皆さんは、それぞれの地域の患者数に加えて、倍加していくそのスピード、拡大のスピードですね、それとクラスターの状況、それから、感染源がわからない、いわゆる孤発例と言われている、リンクが追えない感染者の数、こういった感染の状況、あわせて、医療体制とか地域の経済圏、生活圏、特性、こういったものも見て、さまざまな分析をされているところであります。
 御指摘の北海道、愛知、京都でありますけれども、北海道は、直近七日の倍加時間、これは緊急事態宣言を発出した時点のものでありますけれども、五十一・六日で、感染経路不明が六一%、愛知県は二十三・五日が倍加期間で、経路不明は二七%、京都府は四・九日でありますが、感染経路不明が三三%であったところでございます。

○塩川委員 済みません、七都府県の数字もお願いできますか。

○西村国務大臣 東京都が五日で、不明が六八%、大阪府は六・六日で四八%、埼玉県は五・四日で五四%、千葉県は十一・五日で三九%、神奈川は五・九日で五九%、兵庫県は十一・五日で三三%、福岡県は二・九日で七二%という数字であります。

○塩川委員 そういう数字を見ますと、やはり具体的な根拠を示して緊急事態宣言の発動をしていくという、数値をぜひ明らかにしていただきたい。
 ですから、七都府県だけでいいのかという議論も当然ありますし、七都府県でいいのかといった点も含めて、お話しになったような累積感染者数もそうですけれども、倍加時間やクラスターの状況や孤発例、それから、お話しになった医療体制や地域の生活圏、経済圏を踏まえての発動といった点を総合的に判断してということでありますけれども、こういう数字を明らかにすることによって多くの皆さんが緊急事態宣言の意味をしっかりと把握をするといった点では、ぜひとも国民の理解と協力を得るための科学的根拠と情報開示が不可欠だということを申し上げたい。
 この点で、宣言の解除とかコロナ終息の判断要素としても極めて重要だという点で、しっかりやはり緊急事態宣言の発動の段階でそのことを明らかにしてほしいと思います。
 その上で、もう一点お聞きしたいのが、四月十一日のコロナの対策本部会議で安倍総理が、夜の繁華街においての感染の確認を踏まえて、緊急事態宣言発出地域のみならず、強い自粛要請を行うことを求めるということがありました。
 その際に、こういった繁華街の接客を伴う飲食店について、行かないでくださいねという要請なんですけれども、それと同時に、そういうクラスターが発生する懸念がある、そういった繁華街の接客を伴う飲食店等について、休業してもらうということが効果的ではないのか。であれば、安心して休業できるように休業補償を行うということが、まさにこの政府の要請とかみ合った形で行う点になる。この点についての大臣のお考えをお聞かせください。

○西村国務大臣 御指摘のように、外出自粛を全都道府県で、今、特に夜の繁華街については自粛していただくようにお願いしているところでございまして、飲食店におかれましては大変厳しい状況にあるというふうに認識をいたしております。
 そのために、政府としても、こうした事業者に対して全力を挙げて支援をしていきたいというふうに考えておりまして、補正予算の中で、中堅・中小企業は二百万円、これは幅広くいろいろな事業者に使っていただくようにというふうに今制度設計しております、個人事業者も百万円を上限に、フリーランスの方など含めて対応もしていきたいと思っておりますが、まさに過去に例のない現金給付を行うこととしておりますし、無利子、無担保の融資の拡充、あるいは非正規も含めて、また、業種を問わず雇用調整助成金の拡充、それから固定資産税、ことしはもう払わなくていいということでありますので、そういった措置、あるいはさまざまな社会保険料、その他の税の延納措置、こういった措置を通じて、全力を挙げて地域における飲食業を支援してまいりたいというふうに考えておりますし、また、地方自治体に対して、地方創生臨時交付金一兆円と緊急包括支援交付金一千四百九十億円を盛り込もうと考えております。
 地域の事情に応じて、それぞれの地域の経済を支える中小企業の皆さんへの支援を、こうした資金も活用していただきながら自由度を持って行っていただけるように、制度設計を具体的に進めていきたいというふうに考えているところでございます。

○塩川委員 外出自粛、休業要請によって損失をこうむっている事業者、個人に対して、しっかりと生活と営業を支える補償を行うことが最も感染症の拡大防止対策につながるということを申し上げて、質問を終わります。

【内閣委員会】独占禁止法特例法案に反対/地銀に合併圧力

 地域銀行の合併などを独占禁止法の適用から外す特例法案の質疑・採決が行われ、自民、公明などの賛成多数で可決されました。日本共産党は反対しました。

 銀行の合併は、独禁法に基づき、不当な金利引き上げや貸し渋り・貸しはがし等利用者に不利益をもたらさないよう、公正取引委員会が判断を行っています。

 私は、政府の未来投資会議で公正取引委員会委員長が「経営統合は市場における競争が実質的に制限される場合があり・・・消費者や事業者に対するサービス水準の低下につながる恐れがある」と述べていたと指摘。

 公取委の粕渕功経済取引局長は、「独禁法の適用範囲縮小は慎重な判断が必要」としつつ、法案には理解を示しました。

 私は、金融庁による銀行経営維持の観点からの合併判断とは違い、利用者利益を守る立場からの独禁法に基づく合併判断・対応が必要と主張しました。

 また、地方の金融機関の経営悪化について、アベノミクスを支える日銀の金融緩和政策によるマイナス金利が、銀行の収益悪化をもたらした根本原因だと強調しました。

 西村康稔経済再生担当大臣は「日銀が適切に判断しており、それぞれの地域経済に効果があった」「安倍政権の経済政策が地銀を追い込んでいるわけではない」などと答弁。

 私は、地域経済の立て直しに失敗し続けてきた政府に責任が問われている、と批判しました。

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「議事録」(質疑)

<第201通常国会 2020年4月15日 内閣委員会 7号>

○塩川委員 日本共産党の塩川鉄也です。
 独禁法特例法案について、地域銀行の合併に関して質問いたします。
 最初に、公正取引委員会にお尋ねをいたします。
 独占禁止法は、株式保有や合併等の企業結合により競争を実質的に制限することとなる場合には、その企業結合を禁止しております。この理由は何なのかについて、簡単に御説明いただけますか。

○粕渕政府参考人 お答え申し上げます。
 独占禁止法におきましては、いわゆる一定の取引分野における競争を実質的に制限することとなる企業結合、これは禁止をされております。
 これは、この禁止されていることにつきましては、利用者の選択肢が実質的に制限される、こういうようなことが生じるおそれがあるということから、企業結合、このようなものについて、そのようなものに該当する場合には禁止するということにされているものでございます。

○塩川委員 今御答弁ありましたように、利用者の選択肢が制限される。経営統合というのが、市場における競争が実質的に制限される場合があり、消費者や事業者に対するサービス水準の低下につながるおそれがあるということだということで、それでよろしいでしょうか。

○粕渕政府参考人 お答え申し上げます。
 繰り返しになりますけれども、独禁法におきましては、一定の取引分野における競争を実質的に制限することとなる企業結合、これが禁止されております。
 その趣旨につきましては、一つには、このような利用者の選択肢が実質的に制限されることになる、こういう懸念があるものですから、企業結合が禁止されるという場合があるというものでございます。

○塩川委員 西村大臣にお尋ねします。
 今回の独禁法特例法案は、主務大臣の認可を受けて行う地域銀行の合併等には独禁法の規定は適用しないという法案であります。
 地域銀行の経営統合、合併について、ガイドラインの見直しなど、独禁法を適用する措置をとるのではなくて、独禁法を適用除外する今回の特例法という形で措置をしたその理由は何なのかについてお答えください。

○西村国務大臣 今も公取委から答弁がありましたけれども、独禁法というのは非常に重い法律でございます。
 今回、地域における基盤的なサービスを維持する、地域住民の利便性の向上にも資するということを目的としながら、一方で、不当な不利益が利用者に対して生じないということを前提としてこの法律をつくるものでございます。
 まさに、公正な競争を担保するという重い法律の例外を設けるということで、十年という時限的な措置もしているところであります。こうした時限的措置を恒久法である独禁法本体に位置づけることはなじまないとの判断のもと、独禁法本体は改正することとはしておらず、また、独禁法上、競争を実質的に制限するような合併等については認められないこととされておりますので、ガイドラインの見直しでは対応できない場合が生じ得るということでありまして、こうした考えのもとで、人口減少下における地域の基盤サービス維持という政策目的を達成すべく、特例法を制定することは必要というふうに判断したものでございます。

○塩川委員 ガイドラインの見直しでは対応できないというお話でしたけれども、公正取引委員会にお尋ねします。
 法案が提出される前の、二〇一九年四月三日の未来投資会議において、杉本公正取引委員会委員長は、経営統合は、場合によっては市場における競争が実質的に制限される場合がある、消費者や事業者に対するサービス水準の低下につながることになるおそれがあると述べておりました。
 公正取引委員会は、地域銀行の経営統合、合併については独禁法上の判断が必要だとしていたのではありませんか。

○粕渕政府参考人 お答え申し上げます。
 先ほど申しましたとおり、独占禁止法は、利用者の選択肢が実質的に制限されることとなる企業結合を禁止しているところでございまして、一般論として申し上げますと、独禁法に特例を設けることによってその適用範囲が縮小されることについては、慎重な判断が必要というように考えております。
 一方、本法案につきましては、人口減少等に伴う経営悪化が進むなど、現下の地銀や乗り合いバスをめぐる状況に鑑み、地域における基盤的なサービスを維持するという政策目的の達成に向けて提出されたものと承知しております。
 そのような基盤的サービスを維持するために経営統合が不可欠であると事業所管官庁が判断するのであれば、かかる判断を尊重する仕組みとして、利用者に対して不当な不利益が生じることがないということを前提として独占禁止法の適用を除外することについては、公正取引委員会としても十分に理解のところだというように考えておるところでございます。

○塩川委員 独禁法の適用の範囲を縮小するということについては慎重にという話でありますが、ただ、基盤的サービスの維持という政策目的があって、事業官庁、主務官庁の判断で、不利益がないということ、こういうことを前提に適用除外ということはあり得るという説明であります。
 しかし、杉本委員長は、その未来投資会議で続けて、構造的な需要の減少により、複数の地方銀行による競争の維持が困難として、経営統合により地域における地方銀行が例えば一行となるような場合にも、金融制度の所管官庁である金融庁が金融というインフラ的サービスの維持のために統合が不可欠と判断するのであれば、そういった判断を取り上げながら独禁法上の判断を行っていくということも可能と述べていたわけです。
 金融庁による銀行経営の維持、それによるサービスの維持という観点からの経営統合判断があったとしても、公正取引委員会として、利用者利益の観点から独禁法上の判断を行うということは必要だとしていたのではありませんか。

○粕渕政府参考人 お答え申し上げます。
 繰り返しになりますけれども、一般論として申し上げますと、独禁法に特例を設けることによってその適用範囲が縮小されることについては、慎重な判断が必要であるというように考えております。
 一方、本法案につきましては、主務大臣が、認可に際して公正取引委員会に協議することとされております。
 公正取引委員会におきましては、この協議において、競争当局としての知見や専門性に基づいて、合併等により競争がなくなることにより利用者に不当な不利益が生じることがないかどうかという観点を中心に意見を述べることとなっております。
 また、認可後におきましても、利用者に不当な不利益が生じることなどの問題が生じた場合には、公正取引委員会は、主務大臣に対して是正命令を行うよう請求することができるとされております。
 本法案におきましては、このような公正取引委員会に対する協議等を通じて、地域における基盤的サービスの維持とともに、利用者の利益の確保を図るものとされておりまして、このような制度の枠組みの中で独禁法の適用を除外するということにつきましては、公正取引委員会としても十分理解できるものだというように考えております。

○塩川委員 公取委の協議、そういう中に、話がありましたけれども、そこに企業結合については入ってこないわけですよ。
 ですから、企業結合の禁止といった独禁法上のそういう立場から、企業結合によっての利用者への不利益が及ばないように、企業結合の観点から、利用者利益を守っていく、そういう独禁法上の判断を行うということは、金融庁のサービスの維持とは違う角度から担保するということがそもそも必要なんじゃないのか。
 そういう仕組みとして、金融庁とは別に、公正取引委員会が企業結合という立場から、利用者利益を守るという立場で対応するということが必要なんじゃないですか。

○粕渕政府参考人 お答え申します。
 繰り返しになりますけれども、本法案におきましては、認可に際して公正取引委員会に協議することとなっております。
 公正取引委員会は、この協議におきまして、公正取引委員会としての知見あるいは専門性に基づいて、合併等により競争がなくなることによって利用者に不当な不利益が生じることがないのかどうか、こういう意見を申し上げることができることとなっております。
 そういう意味で、私どもとしては、このような公正取引委員会に対する協議を通じて利用者の利益の確保等が図られるものというふうに考えているところでございます。

○塩川委員 大臣にお尋ねしますが、経営統合、合併は、市場における競争が実質的に制限される場合があり、消費者や事業者に対するサービス水準の低下につながることになるおそれがあります。利用者利益の観点に立てば、経営統合という手法だけではなく、経営統合以外の手法も残すことが必要であります。
 今回の法案は、地域銀行の経営統合を優先する立場から、経営統合以外の手法を退けるものであり、そのことにより競争が実質的に制限され、消費者、事業者の選択肢が事実上失われる事態が生ずる懸念が拭えないと思いますが、その点、いかがでしょうか。

○西村国務大臣 地域銀行は、人口減少など構造的な変化や地域経済のそうした変化に直面しておりまして、まさに貸出しの利ざやも、以前から比べると低下傾向にある。足元では、顧客向けサービス、利益で約半数が赤字になるなど、経営の厳しさを増している中であります。まさに地銀においては、新しいビジネスのモデルを模索をしている状況だというふうに思っております。
 地域における基盤的サービスを維持する観点から今回の特例法を提出に至ったものでありますけれども、地銀においては、本法案の活用も選択肢として考えていただいて、できるだけ早期に持続可能なビジネスモデルの確立に向けた取組を進め、将来にわたって、地域における、持続的にサービスを提供していただきたいというふうに考えているところであります。

○塩川委員 地方における構造変化に直面をしている、そういう中で利ざやの低下傾向ですとか地域銀行の経営が非常に悪化をしているという話がありましたけれども、そういう点でいえば、そもそも安倍政権のもとで地域金融機関の収益が急激に悪化をしているわけです。アベノミクスを支えるための日銀の金融緩和政策で金利がマイナスまで下がり、国債の運用や貸出しで十分な利益が確保できなかった、これがその地域銀行の経営悪化の要因なんじゃないですか。
 その点についてはどのようにお考えですか。

○西村国務大臣 金融政策におきましては、日本銀行におきまして適切に判断をされて取り組まれていると思います。特にこの間の大胆な金融緩和は、日本経済をデフレから脱却すべく、それぞれの地域も経済を活性化してきた、そうした効果はあったものというふうに理解をしております。
 安倍政権においても、一極集中是正に向けてさまざまな施策を講じてきているところであります。地域においては、人口減少という大きな変化に直面する中で、この金融緩和によって、もちろん利ざやが減少していること、これは当然そうでありますけれども、いわば人口減少の中で、むしろこの地銀が新しいビジネスモデルを構築をしていく、それをむしろ背中を押しているような面もあると思います。これは、持続的にサービスを維持してもらうために、さまざまな知恵を働かせながらビジネスモデルをつくっていく、その今過程にあるというふうに思っております。
 そういう意味で、安倍政権の経済政策が何か地銀を追い込んでいるわけではなくて、経済全体の変化の中で、地域銀行がそれぞれ新しいビジネスモデルを模索しなきゃいけない、模索している、そういう状況にあるというふうに認識をいたしております。

○塩川委員 異次元の金融緩和のもとで、地域銀行における収益がやはり確保できなくなっているということは明らかであります。
 新しいビジネスモデルを探せという話ですけれども、この間、金融庁は、金融システムリポートなどを通じて地域金融機関の経営危機をあおり、銀行の合併や人件費などのリストラ、人材紹介など他業への展開を迫ってまいりました。本法案もその一環と言わざるを得ません。
 金融庁は、地域銀行の本業の利益の悪化の原因を、企業数や人口の減少等、構造的な要因による貸出需要の減少と言っていますが、これはもう二十年前から言ってきた話であって、地域経済の立て直しに失敗し続けてきた今の政府の責任が問われているということです。
 独禁法に抜け道を設けて、地域銀行に経営統合の圧力をかける方法は間違っているということを申し上げておきます。


「議事録」(反対討論)

<第201通常国会 2020年4月15日 内閣委員会 7号>

○塩川委員 日本共産党を代表し、独禁法特例法案に反対の討論を行います。
 独禁法は、公正かつ自由な競争を促進することで一般消費者の利益を確保するとともに、国民経済の民主的で健全な発達を促進することを目的としています。
 銀行の経営統合、合併について言えば、不当な金利引上げや、貸し渋り、貸し剥がし、手数料引上げで利用者に不利益をもたらすことがないよう、公正取引委員会が判断を行っています。
 本案は、金融庁に監督権限を与え、モニタリングし、是正措置を行い、利用者への不当な不利益を回避できるとしています。しかし、取引銀行が一つしかない状況で、中小零細業者、地域住民は、銀行が決めた融資金利や各種金融サービスの手数料などを受け入れざるを得ない懸念が生まれます。この懸念は公取自身も認めていたことであり、公正取引委員会として、独禁法上の判断を行うことが必要だとの見解を示していたのです。しかし、官邸の未来投資会議での議論を受け、法案が提出されました。
 本案は、地銀の経営統合を優先することで他の手法を退け、競争が実質的に制限されるものです。消費者、事業者の選択肢が事実上失われかねません。これでは利用者へのサービス水準の低下や不利益をもたらすことは否定できません。
 この間、金融庁は、地域金融機関の経営危機をあおり、経営統合のメリットを並べ立て、人件費や店舗統廃合などのリストラ、人材紹介など他業への展開を迫るなどといった政策を進めています。この方向が失敗だということは、二十年前に金融機関の経営統廃合を強引に進めた小泉・竹中路線を見れば明らかです。
 またもや、地銀合併を進めても、資金需要の減少や低金利などといった構造的な課題は抜本的に解決せず、地域経済の問題を先送りしているだけです。地方経済の立て直しに失敗し続けてきた自民党政権のツケを中小・小規模事業者、地域住民や銀行労働者に押しつけることは認められません。
 地方の金融機関が収益が悪化した根本原因は、アベノミクスを支える日銀の金融緩和策によりマイナス金利となり、銀行の本業である貸出しなどで利益が確保できなくなったことにあります。いわばアベノミクスによる犠牲をこうむっているのです。
 このような異常な金融緩和政策を続けておきながら、銀行の生き残り策として独禁法の抜け穴を設けて地域銀行の統廃合の圧力をかけるという法案には反対を表明し、討論を終わります。

【「しんぶん赤旗」掲載】新型コロナ問題/現金給付、速やかに/塩川・梅村氏ら聞き取り/群馬

「しんぶん赤旗」4月14日付・首都圏版より

草津温泉観光協会・市川会長と
草津町・黒岩町長と

 日本共産党の塩川鉄也衆議院議員、梅村さえこ衆院北関東比例予定候補、伊藤たつや衆院群馬5区候補、伊藤祐司群馬県議会議員は11日、群馬県草津町と嬬恋(つまごい)村を訪問し、新型コロナウイルス感染症の影響を聞き取りました。

 草津温泉のある草津町では、屋台骨である観光業で4月以降の人出が9割減になるといいます。

 町では、観光業は資金がショートしやすいため、保証料を町で持つ融資の仕組みを金融機関と共同で作り。固定資産税や住民税、水道料金などを1年間猶予するなど、3月中に各種対応策を打ち出しました。黒岩信忠町長は「国の雇用調整助成金等の施策も便いたいが、簡単な手続きで迅速な給付が必要」と語ります。

 草津温泉観光協会の市川薫会長は「町の9割の人が観光業で食べている。いつ終息するか先が見えない。雇用を守るためにも、借入ではなく現金給付を速やかに行ってほしい」と訴えました。

 嬬恋村では、去年の長雨や台風19号、浅間山の噴火の影轡で大きな損害を受け、多くの人が借入金でしのいでいるといいます。

 日本共産党の伊藤洋子村議も同席して、嬬恋村観光協会の岡村径郎会長と、キャベツ農家の佐藤梅仁さんに聞きました。

 岡村会長は「観光業は資金がひっ迫している。これ以上の借入は難しいので。最大額の現金給付を簡単な手続きで迅速にお願いしたい」と訴えます。

 佐藤さんは「農繁期の人手は技能実習生が頼りだが、コロナ問題の影響で来日の見通しか立たない」といいます。

 塩川議員らは「手続きを簡素化し迅速に現金給付などの支援を行うよう、国にも地方自治体にも求めていく。人手不足についても、国内での調逹も含め支緩を要請していく」と応じました。

嬬恋村のキャベツ畑で佐藤さんと
嬬恋村観光協会・岡村会長と

台風19号・都幾川被害/追及受け、国交省が「決壊」と発表

 国土交通省は、昨年10月に発生した台風19号による都幾川の堤防被害について、「越水(※1)」と発表していたものを、「決壊」と修正しました。

 私は3月18日の内閣委員会での質問で、発災直後に調査に入った際に撮影した堤防がそっくり流されている写真を示し、国交省の認識が越水ということでは住民の方は納得がいかないのではないか。国交省の誠実さが問われる問題であって、放置することは認められない、と追及。今回の措置はこの質問を受けての対応です。

 

 本日、国土交通省の担当者が国会事務所に来室。秘書が説明を受けました。担当者はご指摘を踏まえ、本日、関東地方整備局で「決壊」と発表した。

 また、同様の個所が他にないか、関東・東北・北陸の他の河川について調査を行った。その結果、都幾川右岸でも新たに決壊か所が見つかったため、そちらも公表した。現在打ち出している対策に加え、新たな対策が必要かどうかについては、堤防調査委員会に諮り、専門家の方に検討していただいているところ」との説明でした。

 事実に基づいた治水対策を進めるために、今後も頑張ります。

(※1)越水:川の水が堤防を越えてあふれ出したが、堤防そのものは残っている状態

【議院運営委員会】補償なき「緊急事態宣言」では感染拡大を防げない

 新型コロナウイルス感染症緊急事態宣言について、安倍首相から報告を受け、質疑を行いました。

 私が、感染防止のための自粛要請によって経済的損失を被る事業者等への補償を行ってこそ、感染拡大防止対策が実効性あるものとなると、迫ると。安倍晋三首相は「個別の損失を直接補償することは現実的ではない」と直接補償を拒否しました。

 私が、規模が大きいから困難なのか、個別の損失の直接補償そのものがだめなのかと、ただすと。安倍首相は、さまざまな事業活動があることを理由に、「自粛を要請している方に限り補償することはバランスを欠く」と答弁しました。

 密閉・密集・密接の『三つの密』の場所にしっかりと自粛を要請することで感染拡大防止対策の実効性が上がる。感染拡大防止という公共の利益のために、営業自粛を実施する事業者に対して損失補償をすることは国民の理解を得られる。自粛要請と一体の補償を実施すべきだと求めました。

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「議事録」

<第201通常国会 2020年4月7日 議院運営委員会 18号>

○塩川委員 日本共産党の塩川鉄也です。
 緊急事態宣言発出に当たって、安倍総理に質問いたします。
 きょうは、自粛要請と一体に補償を行うことを求める立場で御質問いたします。
 コロナ感染拡大を防止するための外出自粛要請、休校要請、イベント自粛要請によって経済的損失をこうむる事業者等に対する補償を行ってこそ感染拡大防止対策が実効性あるものとなるのではないのか、このように考えますが、いかがでしょうか。

○安倍内閣総理大臣 自粛要請によって生ずる個別の損失に対する補償については、直接の自粛要請の対象となっていない分野においても売上げや発注の減によって甚大な影響が生じていることも勘案しますと、政府として、さまざまな事業活動の中で発生する民間事業者や個人の方々の個別の損失を直接補償することは現実的ではないと考えています。
 しかしながら、実際に、今の状況の中において多くの中小企業、そして小規模事業者の皆様が事業の継続に大変な支障を来しておられるということは、私たちも十分に承知をしております。その中で何とか歯を食いしばって頑張っておられる方々に、何としても事業を継続していただかなければならない。そのために、これまでにない無利子無担保融資など強力な四十五兆円を超える資金繰り支援、そして本邦初となる総額二十六兆円の税、社会保険料の大胆な猶予制度、さらには史上初めての事業者向けの最大二百万円の現金給付など、政策を総動員して事業の継続を後押しし、雇用を守り抜いていく考えであります。
 そして、なるべくこうした資金が必要としている方々にスピーディーに届くように我々も全力を尽くしていきたい、こう考えております。

○塩川委員 補償が困難だという、その理由がよくわからないんです。要するに、自粛要請による影響の規模が大きいのでその損失補償が困難と言っているのか、個別の損失の直接補償がそもそもだめということなのか、これはどちらなんでしょうか。

○安倍内閣総理大臣 最初に申し上げましたように、では、もし、例えば飲食店等々についてそういう要請をしたとすると、飲食店そのものだけではなくて、そこに仕入れをしている人たちもこれは当然大きな影響を受けていくわけであります。
 ですから、要請をした方々だけにその全額を補償するということは、これは、いわば他とのバランスの上においても現実的ではない、こう考えているところでございます。
 要は、大変経営が困難になっている方々にスピーディーに現金給付、あるいは必要な資金を提供できるようにしていくことが求められているのではないか、このように考えております。

○塩川委員 その補償の額そのものはいろいろ議論になるんでしょうけれども、今総理がおっしゃったように、直接の自粛要請の対象となっている飲食店とかという話がありました。直接の自粛要請の対象となっている分野の事業者に対して休業補償を行うということは、これは、感染拡大防止対策として実効性はあるんじゃないでしょうか。そこはどうですか。

○安倍内閣総理大臣 例えば飲食店、飲食店そのものは、今、自粛の対象としているわけではございませんが、例えばという言い方でお話をさせていただいたわけでございまして、例えばということでいえば、バーとかクラブ等々については、これは自粛を要請していくということになるわけでございますが、例えばそういうところだけではなくて、今言ったように、そこに納入している人たちも大きな影響を受けていくということもあり、ですから、それは自粛要請している方に限ってその額を補償するということはバランスを欠くものとなるんだろうと我々は思っているわけでございまして、今回のこのコロナウイルスの感染症の経済に対するインパクト、その中でさまざまなお願いをしているわけでありますが、これはかなり広く影響を及ぼしている。そういう方々に対して、できるだけ事業の継続をしていただけるような支援をしていくことが重要であろうと我々は考えたところでございます。

○塩川委員 ですから、三密の場となるような場所、感染拡大防止にとって重要な場所について、しっかりと自粛を要請することが感染拡大の防止対策としての実効性が上がるんじゃないかと。その点についてのお答えがないままなんですけれども、改めていかがですか。

○高木委員長 西村国務大臣、時間が経過しております。簡潔にお願いします。

○西村国務大臣 簡潔に申し上げます。
 国民皆さんの一人一人の努力によって全体として努力を重ね合わせながら、そして、みんなで負担を分かち合いながら、この感染症を封じ込めていこうと。
 そもそも法律はそういう体系になっておりますし、それぞれ、しかし、事業が大変な状況に置かれている方が出てきておられますから、我々としては、経済対策で、直接の助成金も含めて、それで、さまざまな事業、業態がありますから、補償ということではありませんが、実際に事業を継続していけるように、雇用を守っていけるように、しっかりと支援をしていきたいというふうに考えております。

○塩川委員 感染拡大防止という公共の利益のために営業自粛を実施する事業者に対して損失補償をするということは、国民の理解を得られると思います。実施すべきだということを申し上げて、質問を終わります。

【決算行政監視委員会】立法府における公文書管理・情報公開をさらに進めるべき

 この間、桜を見る会、森友学園疑惑、自衛隊日報隠ぺい問題など、安倍政権の公文書管理の在り方が問われている中、行政府の公文書管理の改善を求めるとともに、立法府(=国会)の公文書管理・情報公開のルールをつくることを提案してきました。

 公文書管理法では、各府省が行政文書ファイル等の管理を適切に行うため、行政文書ファイル等の分類、名称、保存期間、保存期間の満了する日、保存期間が満了したときの措置(移管又は廃棄)、保存場所その他の必要な事項を帳簿(行政文書ファイル管理簿)に記載し、一般の閲覧に供するとともに、インターネット等により公表しなければならないとしています。

 これに準じて、衆議院における「衆議院事務局文書取扱規程」の改正やガイドラインの策定がどうなっているか質問。

 岡田衆議院事務総長は、これまで行政府の行政文書ファイル管理簿に相当する文書ファイル管理簿は作成していなかったと述べ、「最近の文書管理をめぐる諸情勢を踏まえ、文書ファイル管理簿を作成することによって、総括文書管理者が組織全体の文書管理の状況を把握しやすくなり、より適切な指導監督等を行うことができる」として、昨年9月に規程を改定し文書ファイル管理簿を作成することとなったこと、「文書管理のルールの細目となるガイドラインの作成に向けて、現在、鋭意準備を進めている」と述べました。

 私が、今年1月の議院運営委員会庶務小委員会において、議院行政文書ファイル管理簿のインターネット公開を求めた件については、「御指摘を踏まえ、本年2月から、衆議院ホームページの情報公開のコーナーに掲載をしている」と答えました。

 また、規程で対象となっている文書について質問。

 岡田事務総長は、「衆議院における人事、予算、設備等についての庶務的、管理的な事務に関する文書は、内規に基づき、事務局限りの判断で開示」しているが、「立法や国政調査を始めとする衆議院の有するさまざまな権能や諸活動に関する文書は、事務局が議員や会派を補佐する立場で保有するもので、事務局限りの判断で開示することになじまないことから、あらかじめ対象から除いている」と答えました。

 私は、衆議院法制局において立法や調査に関わる資料が、永久保存の文書、現用文書として適切に管理・保存していると確認したうえで、「議員活動は、まさに国民的には情報公開の対象として求められているところ。議員立法の立案過程や議員調査に係る立法調査文書についても、文書の管理、公開を図る必要がある」と強調。岡田事務総長は各会派間の議論にゆだねると述べました。

 議運委の公文書館小委員会において立法府の公文書の取り扱いについても検討することになっており、ぜひ国会において、立法府の公文書管理、情報公開の議論を前に進めていきたい。


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「議事録」

<第201通常国会 2020年4月6日 決算行政監視委員会第一分科会 1号>

○塩川分科員 続けて、立法府の公文書管理、情報公開について何点かお尋ねをいたします。
 昨年の九月に衆議院事務局文書取扱規程が改正され、文書ファイル管理簿を作成することとなりました。昨年九月のこの取扱規程の改正の理由、趣旨は何か、簡単に御説明ください。

○岡田事務総長 お答えいたします。
 衆議院事務局におきましても、文書ファイルの管理は行政府と同一の文書管理システムで行っておりますが、行政府の行政文書ファイル管理簿に相当する、その意味での文書ファイル管理簿については、これまで一覧性のある文書の形では作成をしておりませんでした。
 しかしながら、最近の文書管理をめぐる諸情勢を踏まえまして、文書ファイル管理簿を作成することによって、総括文書管理者が組織全体の文書管理の状況を把握しやすくなり、より適切な指導監督等を行うことができるものと考えて、今般の改正に至ったものでございます。

○塩川分科員 そういうのを踏まえて、今、行政府の方では公文書管理法のガイドラインをつくっております。このガイドラインに準じて、立法府の公文書管理のガイドラインの策定というのは行うんでしょうか。

○岡田事務総長 お答えいたします。
 昨今の公文書管理のさらなる適正化の流れを受けまして、衆議院事務局においても、文書管理のルールの細目となるガイドラインの作成に向けて、現在、鋭意準備を進めているところでございます。

○塩川分科員 衆議院における議院行政文書開示規程、情報公開ですね、に基づき、議院行政文書ファイル管理簿については情報公開窓口で公開をしてきました。
 私、一月の議院運営委員会の庶務小委員会で、議院行政文書ファイル管理簿のインターネット公開を求めましたが、この点についてはどのように対応されたでしょうか。

○岡田事務総長 お答えいたします。
 今御質問のございました庶務小委員会での御指摘を踏まえまして、本年二月から、衆議院ホームページの情報公開のコーナーに掲載をしてございます。

○塩川分科員 この議院行政文書開示規程には、「議院行政文書には、衆議院の立法及び調査に係る文書は含まれない。」とあります。ここで言う衆議院の立法及び調査に係る文書とはどのような文書なのかについて御説明ください。

○岡田事務総長 お答えいたします。
 衆議院事務局の情報公開制度は、衆議院における人事、予算、設備等についての庶務的、管理的な事務に関する文書について、内規に基づき、事務局限りの判断で開示を行っております。
 立法や国政調査を始めとする衆議院の有するさまざまな権能や衆議院の行う諸活動に関する文書は、事務局が議員や会派を補佐する立場で保有するものでございまして、事務局限りの判断で内規に基づいて開示することにはなじまないことから、あらかじめこの制度の対象からは除いているのが現状でございます。

○塩川分科員 この立法調査文書というのは、議員にかかわる活動等に係る文書、本会議や委員会等の運営に関する文書や議員の立法活動に関する文書、議員の調査活動に関する文書が、文書管理システムの中で、今、文書ファイル管理簿としても取り扱われることには入っているということです。
 こういった立法調査文書も情報公開の対象とすべきではないかと考えますが、この点はいかがですか。

○岡田事務総長 お答えいたします。
 文書管理に関しまして、衆議院事務局といたしましては、庶務的、管理的な文書のみならず、立法及び調査に関する文書につきましても、原則として、文書取扱規程の例により取り扱うこととしており、同規程に沿って適切に管理をしているところでございます。
 御指摘の情報公開に関しましては、議員の活動に係る立法及び調査に関する文書の取扱いは、議院運営委員会の先生方の協議も踏まえまして対応すべきものと考えております。

○塩川分科員 衆議院の法制局にお尋ねします。
 衆議院法制局の立法関係資料、調査関係資料は、これは公文書としての管理はされているんでしょうか。

○橘法制局長 塩川先生にお答え申し上げます。
 私どもの保有する立法及び調査関係資料につきましては、議員立法の政策決定過程に関する公文書といたしまして、法制局長決定の内規である資料整理要領に基づいて管理、保存しているところでございます。
 この立法調査関係資料には、実は二つの性格がございまして、一つは、立法意思の形成過程に関する永久保存の文書として大切に保存しなければならないという側面、他方では、立案事例に関する先例的資料として日々の職務遂行の中で日常的にいつでも参照できるようにしなければならないといった側面の二つでございます。
 このような観点から、それぞれ担当部局ごとに整理、保管させるとともに、各部局を超えた全局的な参照の便宜にも資するよう、統一ルールとして資料整理要領を定めているところでございます。
 現在の資料整理要領は、平成二十七年に、資料の電子ファイル化の流れに鑑みて全面的に改訂したものでございますけれども、引き続き、日々の職務遂行の中で不断の改善を図りつつ、先生方を法制的に補佐する組織として適切な管理、保存に努めてまいりたいと存じております。

○塩川分科員 衆議院法制局の立法調査関係資料は、永久保存の文書、また現用文書として使われているということですけれども、しかし、そもそも議員にかかわる活動というのは、まさに国民的には情報公開の対象として求められているところでありますし、公文書管理としてもきちんと管理、作成、そして、重要公文書についてはしかるべき移管、公表を行っていくということが必要であります。
 最後に、事務総長それから衆議院法制局長にお尋ねしますが、こういった議員立法の立案過程や議員調査に係る立法調査文書についても、文書の管理、公開を図る必要があるんじゃないのか、この点について最後にお尋ねをいたします。

○岡田事務総長 お答えいたします。
 重ねての答弁になりますが、立法調査文書につきましては、まさに、先生方、議員や会派がどのように用いてきたか、そのようなことも十分に勘案をいたしまして、先生方の御意見もいただきながら、情報公開のあり方については考えてまいりたいと思います。

○橘法制局長 お答え申し上げます。
 事務総長、御答弁のとおりと存じます。

○塩川分科員 議員、会派間の御議論でということです。
 議院運営委員会の公文書館、憲政記念館の小委員会において、立法府の公文書の取扱いについても検討することになっております。ぜひ国会において、立法府の公文書管理、情報公開の議論を前に進めていきたいと申し上げて、終わります。
 ありがとうございました。

【決算行政監視委員会】新型コロナ/自粛と一体の補償こそ/感染拡大防止に必要

 新型コロナウイルス感染者の急増を受け、政府が検討している緊急事態宣言に関し、「自粛と一体の補償」を明確にすることが感染拡大防止に必要だと求めました。

 私は、現在、学校休校や外出自粛要請、イベント自粛要請など一連の感染拡大防止対策がすでにとられているなか、緊急事態宣言の発令で今までと違う措置が取られるのかとただしました。

 西村康稔経済再生担当相は、「改めて法律に基づいて自粛要請を行うことで、これまで以上に国民へ強いメッセージとして発出される」と答えました。

 私は、国民の理解と協力が一番のポイントだ。自粛要請によって経済的損失を被る事業者等に対する補償をしてこそ感染拡大防止対策が実効性あるものになる。ここを明確にすべきだ、と求めました。

 西村氏は、給付金の創設や無利子融資などの対策を挙げましたが、「国民一人ひとりの努力、自粛によって感染症を封じ込めるのが基本だ」として、「補償措置は難しい」と述べました。

 補償は感染症拡大防止対策として行う問題だ。密閉・密集・密接の『三つの密』の環境をつくらないためには、事業者へ補償して自粛してもらうことが重要だ。

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「議事録」

<第201通常国会 2020年4月6日 決算行政監視委員会第一分科会 1号>

○塩川分科員 日本共産党の塩川鉄也です。
 最初に、新型コロナウイルス感染症対策と特措法に基づく緊急事態宣言について、西村大臣に伺います。
 感染拡大防止、蔓延防止対策については、国民の皆さんに手洗いやマスク、三つの密の回避など自主的な行動が呼びかけられており、いわば国民の皆さんの理解と協力が欠かせません。既に、学校の休校や外出自粛要請、施設利用、イベントの自粛要請など、一連の対策がとられています。
 そこで、緊急事態宣言についてなんですけれども、今、緊急事態宣言の発動についてのいろいろな検討をしているという話になっています。その場合に、この緊急事態宣言が発動されることによって、感染防止対策について、今まで行ってきたことに加えてどのような取組が行えるようになるのか、その点についてまず教えていただけますか。

○西村国務大臣 お答えを申し上げます。
 緊急事態宣言を出すかどうかは、専門家の皆様が日々、今の国内の感染状況などを分析を行っており、私も連日その状況を確認し、御意見をいただいているところであります。専門家の意見、皆さんの御意見をしっかりお聞きをしながら適切に判断をしていきたいというふうに考えているところであります。
 その上で、仮に緊急事態宣言が発出されますと、都道府県知事にさまざまな権限が付与されます。例えば、四十五条第一項にありますけれども、外出の自粛要請であります。これは今も、私どもも一般的な要請として行っているところでありますけれども、各県の都道府県知事がそれぞれの状況に応じて外出の自粛あるいは不要不急の活動の自粛などを行っているところでありまして、これを改めて法律に基づいて自粛の要請を行うということで、ある意味でこれまで以上に強いメッセージとして発出されることになると思いますので、国民の皆さんにも一層のこうしたさまざまな、不要不急の活動の自粛など、求められることになるのではないかというふうに思います。
 あわせて、都道府県知事には、施設の使用制限についての要請もできます。これで要請に従われない場合は、指示そして公表という規定もございます。しかしながら、こういった指示についても罰則規定があるわけではございませんので、強制力が強いというものではございません。指示をしながらそれを公表することによって、国民の皆様の意識に訴えて活動を抑えていこう、感染の拡大を防止していこうという発想でございます。
 したがいまして、ちまたで言われるようなロックダウンのような、欧米で行われているロックダウンのようないわゆる都市封鎖、交通機関もとまり、外出も禁止され、外出すると罰則がかかるというふうなことができるわけではございません。仮に緊急事態宣言が発出された後でも、散歩をしたりジョギングしたりすることは当然ですし、スーパーや金融機関や、いわゆる町のライフラインに必要なインフラは動きますので、そういう意味で一段の、御指摘のあった三密を注意するとか、そういった活動を更に推し進めながら、国民全体でこれまで以上に努力をしてこの感染症を封じ込めていこう、そういうことになっていくものだというふうに思います。

○塩川分科員 外出自粛要請とかはこれまでも行ってきたという話もありましたし、一連の自粛要請等々もあるわけですよね。それに加えて何か新しいことをやるのか、そういう仕組みになるのかどうか、そこはどうなんですか。

○西村国務大臣 繰り返しになりますけれども、例えば施設について、使用の制限であったり、あるいは、催物と法律上は書かれておりますけれども、いわゆるイベントの制限、停止であったり、こういったことについて知事は指示をできるということになります。もちろん、罰則があって強制力があるわけではありませんが、指示を行い、そして公表もできますので、そういったことで国民全体に働きかけることによって、こういった活動自粛を担保しながら感染の拡大を防止していく、国民全体で負担を分かち合いながら、そしてみんなが努力することによって感染拡大を防いでいこう、そういう法体系のもとでそういった措置がとられるようになるということであります。

○塩川分科員 イベントについての自粛の要請も既に一般的なということで行われてきているわけですから、もちろん法律に基づいての指示や公表とかいう手続はありますけれども、基本はやはり要請という形で、事業者側はそれは前向きに受けとめて対応されておられる現状だと思います。
 ですから、そうすると法律に基づいて行うという話になるわけですけれども、でも、そういう点では、緊急事態宣言に基づく権限の前に、二十四条に基づく都道府県対策本部長の権限というのもあるわけですよね。それを法律に基づくという形で行うことというのも、それはそれとして可能だと思うわけです。そういう意味でも、私はやはり、これまで以上に強いメッセージを伝えるというところがポイントであろうと思っています。
 そうした場合に、緊急事態宣言がこれまで以上に強いメッセージを伝えることになるといった場合に、先日、全国知事会の飯泉会長が西村大臣のところにお越しになったとお聞きしました。緊急事態の発動に当たっては、緊急事態措置の実施区域、実施期間、緊急事態の概要を公示することになるわけです。つまり、特定区域に対して一定期間の緊急事態措置が行われることになる。
 全国知事会の飯泉会長は、西村大臣との会談の際に、政府が緊急事態宣言を行う場合には、対象地域の住民がほかの地域に一斉に移動し感染を広げてしまうおそれがあるとして、適切な措置をとるよう要請したということですけれども、この件については大臣はどのように受けとめられたんでしょうか。

○西村国務大臣 今の点をお答えする前に、もう一点だけ、緊急事態宣言を発出した後のことなんですが、医療のことについて、都道府県知事は臨時の医療施設を設置することができるようになります。このときに、設置する際に、さまざまな手続を簡素化して医療施設をつくる。さらに、土地や建物も、同意を得るのが通常ですが、同意がなくともそういったものも使って医療機関にすることができますので、そしてそれには補償の措置が法律上ついておりますので、そういう意味で、医療体制をしっかり確保するということも、緊急事態宣言発出後は知事の権限として、自身の都道府県内で、医療の逼迫している状況を見ながらそういうことができるようになるということであります。
 そして、今御質問ありました、飯泉会長からの御指摘でありますけれども、まさに、大変そういった点、先ほど申し上げたようにロックダウンと誤解されている向きもありますので、仮に緊急事態宣言が発出されれば、その一定期間、都市封鎖のようになるんだったら、もう先にどこか地方に戻ろう、自分のふるさとに戻ろうとか、こういった動きが出てきかねない、これは大変私も危惧をしております。武漢でも、都市封鎖の前に多くの、百万人と言われていますけれども出たというふうに報道がされておりますし、イタリアでも同様のことが起こったというふうに聞いております。
 ですので、まずはロックダウンとは違うというところを丁寧に説明をしながら、通常の人と人との接触、これをできるだけ避けて活動を減らしていくということですけれども、仕事はできます。テレワークもできますし、時差出勤もできます。会社に行っても、距離をとりながら、会議をやるときも、人と人との距離をあける、あるいはテレビ会議でやる。さまざまな手法を通じて人と人との接触を避けながら活動はできますので、専門家の皆さんからも、いわゆるレストランとかカフェはそういうクラスターにはなっていないので、換気をやったり、ビュッフェはやめたり、距離をとるなどの工夫をしながら、通常どおり営業したらいいんじゃないかという御意見もいただいておるところであります。
 そういったことをしっかり説明をしながら、例えば、今大都市部でどんどんふえておりますので、大都市圏で緊急事態宣言が発出されるようなことになったとしても、慌てて別の地域に移る必要はございませんし、それがかえって、仮に若者がわあっと、じゃ、学校も休みだから田舎に戻ろうということで地方に移られますと、地方で、高齢者が多い中で、そこで感染が広がり、地方の方はまだ医療機関も十分な体制ができていない中でそういったことも起こりかねませんので、私ども、もうずっと説明してきているんですけれども、デマも飛んだりしながら、ロックダウンされるとかというふうなこともありました。
 そういったこととは違うということを丁寧に説明しながら、まさに飯泉知事とも共有したところでありますけれども、不要不急の活動を自粛するということと、仮に緊急事態宣言が出されたときのその意味とか、何が変わるのか何が変わらないのか、こういったことをしっかりと説明することの重要性、これを共有いたしておりますので、しっかりと発信しながら丁寧に説明をしていきたいというふうに考えております。

○塩川分科員 やはり緊急事態宣言の発動の場合に、今言ったような、さまざまな誤解とおっしゃるような、そういう状況というのは当然想定され、強いメッセージであればあるほどそういった誤解を与えるようなことがないような対応が求められているわけで、私は、一連の懸念についてしっかり受けとめるべきだと思いますし、慎重に対応すべきだと思っています。
 その上で、やはり国民の皆さんが本当に理解と協力をしてもらうということが一番のポイントであるわけで、そういったときに、この三つの密といったハイリスクの場所を避けることが必要であり、そういった場となるような店舗やイベントをやはり休業、休止をするということがそれを保障することになるわけです。
 そうなると、例えば、先日のテレビ番組で、ノーベル賞を受賞した山中伸弥京都大学教授が、緊急事態宣言が出た場合に飲食店の休業補償が重要だと指摘をし、これを受けて専門家会議の尾身茂副座長も、夜の町などハイリスクな場所に行かないことを要請し、そこの施設の使用を制限するときに、国の責任で同時に経済的支援をする決断が重要になる、そうしないと、一方的に要請しても実効が伴わないと述べておられました。
 ですから、コロナ感染拡大を防止するための外出自粛要請や休校の要請、イベント自粛要請によって経済的損失をこうむる事業者等に対する補償を行ってこそ、感染拡大防止対策が実効性あるものになるんじゃないのか、ここを明確にすべきではないのか、このように考えますが、いかがでしょうか。

○西村国務大臣 まず大前提として、この法律の法体系が、先ほども申し上げたように、罰則などの強制力を伴うそういう強い措置が入っておりません。施設の利用制限、利用停止にしても指示でありまして、それに対しての強制力はない、公表するということでとどめているわけであります。それとのバランスも含めて、それに対する補償の措置が書かれていないわけであります。
 先ほど申し上げたように、医療機関の設置で、同意なくして、同意があってもなくてもなんですが、施設、建物や土地を使うときには補償の措置が書かれております。あるいは、検疫のために宿泊施設を使う、今いろいろ進められていますけれども、そういったことのときには補償措置がついております。ですけれども、この緩やかな措置である施設の利用制限、これについては法律上書かれておりません。
 これをどう考えたらいいのか私もずっと頭を悩ませてきたところでありますけれども、法体系全体が、自粛もあくまで要請しか法律上はできませんので、外出自粛も、国民一人一人が自覚をしてそれで努力をしていく、その積み重ね、全体として、国民、国全体が一丸となってそうした努力を積み重ねることによって、そしてまた負担も分かち合いながら、この感染症を防いでいこう、拡大を防止していこう、そういう法体系であるように認識を私自身は今しております。
 そうした中で、なかなかさまざまな事業がある中で補償措置というのは難しいんですけれども、しかし大変厳しい状況に置かれているのはもう間違いありませんし、ヒアリングも行ってまいりました。切実な声をお聞きをしてまいりました。
 ですので、私どもとしては、個人に対する給付金、三十万円の給付金、これはもう職種を問わず、本当に生活が苦しくなった人、一定の基準はつくることになりますけれども、しかし厳しい状況に置かれている方は、職種を問わず全ての業種で、働いている方について対象にこれはやっていくつもりでございます。
 それから、中小企業、零細企業についても、個人事業主も含めて、いろいろなイベントの自粛、あるいは飲食店も、個人事業主がやっておられる方もおられると思います、こうした方々に対しても一定の助成金、給付金を創設しようということで、今最後の詰めを行っているところでございます。
 あわせて、さまざまな、公共料金の延納を認めるとか、あるいは無利子融資を今度広げていくことも考えておりますし、それから税金も延滞税なしで猶予するとか、あるいは固定資産税なども軽減することも考えております。さまざまなこうした税制の猶予、軽減措置も考えておりますし、働き方については、雇用調整助成金を要件を拡大して、中小企業の場合は十分の九まで、解雇しない場合はお出しをするということにしております。
 こういったことを、全体を見て、全体の支援を通じて、何とか踏ん張っていただけるように支援をしていきたいと思いますし、終息した後には大々的なキャンペーンで、イベントや飲食や観光や地方経済、本当に苦しんでおられる方々にしっかりと、今までの分も挽回できるぐらいの、そうしたV字回復できるような経済対策を考えているところでございます。

○塩川分科員 いや、所得が落ち込む、経営が落ち込む、そういった場合についての支援策、これはこれで考える必要があると思うんですけれども、感染症対策として行うといった問題なんですよ。
 つまり、三つの密を避けます、そういった事業者があるわけですよね。大臣の方でも、ライブハウスですとかスポーツジムとか例示もされておられるわけです。そういった事業者に、そこに行くような人たちが、その場が開いていなければそもそも行くこともないわけですから、自粛をしてもらうといったときに、感染症対策の実効性を上げるために、こういう自粛を求める事業者に対して、当面お休みください、ついては一定額、一定割合の補償をしますと、ここをはっきりさせることが感染症対策としては有効なんじゃないのかということなんですけれども、そこについてはいかがですか。

○西村国務大臣 御指摘のように、感染症対策としては、さまざまな活動を減らしていくこと、特に、三密につながるような空間を避けること、場所を避けること、そして特に最近では、大きな声を上げたり呼気を荒げるようなスポーツ、卓球とか剣道なども感染者が出ております、こういったことに注意していただくということが何より大事であります。
 繰り返しになりますけれども、この法律の体系全体で、そういったことも頭に置きながらこの法律は当然できているわけでありますけれども、要請と指示まででありまして、そこから公表があって、その先は、罰則を伴う強制力はない、その全体のバランスの中で補償措置も書かれていないということであります。
 もちろん、この法体系全体について、感染症法との関係も含めて、私は、これは全てが終息して落ちついたときに、今回のこの経験を生かして、教訓として、何をしていけばいいのか、もう一度全体として、法体系そして施策を含めて、これはしっかりと検証して見直していければというふうに考えております。

○塩川分科員 別に私は、特措法のスキームの枠の中でどうしろという話をそもそもしていないわけで、特措法に限界がありますよと。
 その上で、感染症対策の実効性を上げるために、自粛を求める事業者に対して補償を行って、店を閉じてください、お休みくださいと言うのが有効でしょうと。大臣、午前中でもおっしゃっておられたようなスポーツジムだとかライブハウスについて、お休みください、補償しますよと言うことが、そういった三密の場をつくらないことにつながるわけですから、そういうことをやる方が非常にわかりやすく、実効性があるんじゃないのか。改めていかがですか。

○西村国務大臣 正確に申し上げますと、スポーツジム、ライブハウスを、もう営業を停止してください、もちろんいろいろ、クラスターになっているということを含めて、さまざまな通知なり、気をつけてくださいというようなこともやっていますけれども、基本的には、国民の一人一人の努力、自粛によって、活動の自粛によって、全体で感染症を封じ込めようというのが基本的な発想であります。この法律もそうですし、今我々が取り組んでいるのは、全体に外出自粛要請、不要不急の活動を減らすこと、これをお願いしているわけでありまして、基本的にはこうした国民の努力の中で進めていくというのが基本的な考え方であります。
 もちろん、今後、都道府県知事が、緊急事態宣言が発出、もしされれば、その後はそうした施設に対して、施設の利用の停止、これも要請、指示ができるようになりますけれども、その段階でもちろん協力に応じていただくのが、もしそうなれば望ましいわけでありますけれども、全体としてこれは、営業をしていくのに、踏ん張っていただくのに必要な対策をしっかり講じて、補償という、何か一つ一つ算定をしてそれについて補償するということではありませんけれども、実態として、事業が継続していけるように、無利子融資、それから助成金、それからさまざまな、税とか社会保険料の延納を認める、それから免除をする、あるいは雇用調整助成金もあります、こういったこと全体でしっかりと事業が継続していけるように支援をしていきたいというふうに考えております。

○塩川分科員 自粛要請の話は、やはり強いメッセージとなる以上は、停止に近いような形で事業者にとってみれば受けとめざるを得ないわけですよね。
 ですから、自粛という場合に、一般的に国民の理解と協力に基づく取組ということと、やはり、三密を避けるという中で、そういった環境をつくらないという点での事業者側の営業の問題があるわけで、こっちの方はしっかりとした補償がない。補償をすることで、店を閉じてもらって、国民の皆さんがそういう場に行く機会そのものをつくらないような整理を行っていく、ここが一番のポイントだと思うので、私は、やはりそこに踏み出すというか、そこを明確にすることが感染拡大防止対策として今極めて重要だ、感染拡大防止対策の実効性を上げるためには、こういった自粛要請と補償を一体で行うことが必要だということを重ねて申し上げておきます。

埼玉・坂戸市議選の告示/日本共産党の現有4議席確保を

 坂戸市議選告示。宮坂ひろゆき候補、あらい文雄候補の応援に駆けつけました!

 鈴木ともゆき候補、平瀬としひさ候補とともに、日本共産党は現有4議席確保をめざします。

 中学3年までの子ども医療費無料化、小中学校教室へのエアコン設置、第3子からの学校給食費無料化など豊かな実績。

 高すぎる国保税は引き下げを。均等割(年29,000円)の子ども分は廃止を。

 コロナ対策として、迅速な医療体制の整備と医療機関への財政支援を。自粛要請と補償は一体で行ってこそ。

 そして消費税の5%への引き下げを!

 

【本会議】新型コロナ対策/医療体制の確保、自粛と補償を一体で

 新型コロナウイルス感染症対策。対策を進めるためには、情報を積極的に公開し、政府判断の根拠と展望を示すべきだ。一方的に自粛と協力を求めるだけでは、国民の理解は得られない。問われているのは政府の信頼だ。国民の命と健康を守る医療体制の確保と、自粛要請と補償を一体で行うよう安倍晋三首相に求めました。

 私は、医療体制の崩壊を防ぐために、最優先の課題である医療従事者の感染・院内感染の拡大防止、感染が広がっている大都市の対策について質問。感染者の把握なしに感染防止対策はない。検査体制の抜本的拡充を要求しました。さらに、医療・介護・福祉の現場の感染予防の利用抑制に伴う減収を損失補てんすべきだ、と主張しました。

 また、コロナ危機から国民の暮らしと営業を守るため、自粛要請による収入減少を補償し、安心して休業できるようにすることこそ、実効ある感染症防止対策となる。雇用形態を問わず、賃金・収入の8割を補償し、新型コロナを理由とした解雇などを行わないように対策を講じるよう求めました。

 さらに、消費税5%への減税を。特措法に基づく緊急事態宣言は、発動要件を明確にし、経済損失に対する補償措置、人権侵害に対する救済措置を図ることが不可欠だ。

 安倍首相は「前例にとらわれない思い切った対策を総動員し、感染の拡大が抑制され、社会的不安が払しょくされた段階では一気に日本経済をV字回復させていく」などと答えました。

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 本会議で行った新型コロナウイルス感染症対策の特措法に基づく政府対策本部の設置と、東京五輪・パラリンピックの延期についての安倍晋三首相の報告に対する質問要旨は以下の通りです。

 新型コロナ感染症が広がる中で、国民は、健康と暮らしに不安を募らせています。政府が国民の理解と協力を得て対策を進めるには、現状と対策についての情報を積極的に公開し、政府判断の科学的根拠と展望を示すべきです。

 今、大事なことは、感染症対策に全力を挙げている医療現場を支え、医療体制の崩壊を防ぐことです。医療従事者を感染から守り、院内感染の拡大を防止するためのマスクや防護服などの確保はどうなっているのか。

 感染が広がっている大都市の対策が重要であり、ピーク時の患者想定数に対する病床数や医療機器の確保はどうなっているのか。

 感染者の把握なしに感染防止対策はありません。検査体制、クラスター対策を果たせるよう保健所の人員、予算とも抜本的な拡充を図るべきです。抗体検査も、速やかかつ大規模に実施すべきです。

 一般医療機関の病床を大規模に確保するためには、病床確保に伴う減収分を穴埋めする財政措置が不可欠です。

 公立・公的医療機関が再編・統合され急性期病床が大幅削減となる地域医療構想をただちに撤回すべきです。

 現状でも経営が厳しく、人材不足も深刻な介護施設や障害者施設、作業所や訪問看護事業所などの利用抑制に伴う減収への損失補てんに踏み出すべきです。

 コロナ危機から国民の暮らしと営業を守るため、自粛要請と補償を一体で行うことこそ、実効ある感染症防止対策となる。政府の施策はそうしたものなのか。外出自粛要請、休校要請、イベント自粛要請で経済的損失を被る事業者等に、損失補てんを行うべきです。

 雇用形態を問わず、賃金、収入の8割を補償すること、新型コロナを理由とした解雇、雇い止め、派遣切り、内定取り消し、採用繰り延べを行わないように対策を講じるべきです。

 中小・小規模事業者に、無利子無担保の融資を速やかに実行するとともに、固定費への直接助成を行うべきです。イベント・公演などの中止に伴う必要経費の補てんを求めます。

 今年度予算を組み直し、5G減税、カジノ予算、軍事費などは見直して、コロナ対応の財源を確保すべきです。

 今こそ消費税を、5%へ減税すべきです。

 特措法に基づく緊急事態宣言に盛り込まれた私権制限は、憲法に保障された基本的人権を制約し、経済活動にも大きな影響をもたらすものであり、慎重であるべきです。

 専門家の科学的知見を踏まえた宣言発動要件を明確にするとともに、私権制限による経済的損失に対する補償措置を行い、人権侵害に対する救済措置を図ることが不可欠です。


「議事録」

<第201通常国会 2020年4月2日 本会議 14号>

○塩川鉄也君 日本共産党を代表して、新型コロナウイルス感染症対策について、安倍総理に質問いたします。(拍手)
 感染が広がる中で、国民は、感染への不安、長引く自粛への不安など、健康と暮らしに大きな不安を募らせています。政府が国民の理解と協力を得て対策を進めるためには、コロナ感染症の現状と対策についての情報を積極的に公開し、国民にきちんと説明し、政府の判断の科学的根拠と展望を示すことです。一方的に自粛と協力を求めるだけでは国民の理解は得られません。問われているのは政府の信頼性であります。
 そこで、大きく二つただしたい。
 第一は、国民の命と健康を守る医療体制です。
 今、最も大事なことは、感染症対策に全力を挙げている医療現場をしっかりと支え、何としても医療体制の崩壊を防ぐことです。
 医療従事者を感染から守り、院内感染の拡大を防止することは、最優先の課題です。感染防護用品であるマスク、ゴーグル、ガウン、防護服、消毒液など、全く足りていません。必要数を確保するためにどのような取組を行っているのですか。
 とりわけ感染が広がっている大都市の対策が重要です。東京、大阪におけるピーク時の入院患者、重症患者を何人と想定して対策を立てているのか、それに必要な病床数は幾つであり、現在確保されているのは幾つなのか、軽症者の隔離施設はどう確保するのか、重症患者の病床確保のために人工呼吸器など必要な医療機器の迅速な確保はどうなっているのか、お答えください。
 次に、検査体制です。
 感染者の把握なしに、感染防止対策はありません。医師が必要だと判断すれば、帰国者・接触者相談センターを介さずともPCR検査を受けられる体制をつくるべきです。公衆衛生を担う保健所が検査体制、クラスター対策を果たすことのできるように、人員、予算とも抜本的な拡充を図るべきではありませんか。
 また、イギリスなどで実施している抗体検査についても、速やかに、かつ大規模に実施すべきではありませんか。答弁を求めます。
 さらに、医療機関への対策です。
 一般医療機関での病床を大規模に確保するためには、病床確保に伴う減収分を穴埋めする財政措置が不可欠であります。
 政府が進める地域医療構想によって、公立・公的医療機関が再編統合され、感染症にも対応する急性期病床が大幅に削減されようとしています。この地域医療構想は直ちに撤回をすべきです。
 加えて、介護施設、障害者施設、作業所や訪問看護事業所など、医療、介護、福祉の現場は、政府の社会保障費抑制政策のもとで、現状でも経営が厳しく、人材不足も深刻です。その上、今回の新型コロナによって、倒産、廃業に追い込まれようとしています。施設、事業所を絶対に破綻させないため、感染予防の利用抑制に伴う減収については損失補填に踏み出すべきではありませんか。
 第二に、コロナ危機から国民の暮らしと営業を守るため、自粛要請と補償を一体で行うことが重要です。
 感染拡大を抑止するための外出自粛要請、休校要請、イベント自粛要請によって経済的損失をこうむる事業者等に対して、損失補填を行うべきです。収入減少を補償し、安心して休業できるようにしてこそ、実効ある感染症防止対策となるのではありませんか。
 政府が言う中小・小規模事業者及び生活困窮者に対する新たな給付金とは、そうしたものとなるのでしょうか。
 安倍総理は、先週の会見で、経済において一番大切な使命は雇用を守ることと表明しました。雇用を守るためには、雇用形態を問わず、賃金、収入の八割を補償することが必要です。また、新型コロナを理由とした解雇、雇いどめ、派遣切り、内定取消し、採用繰延べなどを行わないように対策を講じるべきです。
 中小・小規模事業者に対しては、無利子無担保の融資を速やかに実行するとともに、税、社会保険料の減免、家賃、光熱費、リース代など固定費への直接助成を行い、倒産、廃業を何としても食いとめるべきです。イベント、公演などの中止に伴う必要経費を補填することを強く求めます。
 先日成立した今年度予算も組み直すべきです。5G減税、カジノ予算、軍事費など、不要不急の税財政措置は見直して、コロナ対応の財源を確保すべきではありませんか。
 安倍総理は、新型コロナの経済への影響に対して、リーマン・ショックの規模を上回る対策をとると述べました。昨年、リーマン級の経済危機でないといって消費税増税をしたのが安倍総理です。だったら、今、消費税は五%へ減税すべきではありませんか。
 オリンピック、パラリンピックの一年延期についてお聞きします。
 これは、新型コロナ感染症が一年以内に終息することを前提としていますが、そうした判断の科学的根拠を示していただきたい。
 最後に、特措法に基づく緊急事態宣言は、外出自粛の要請、学校、保育所、老人福祉施設の使用制限、停止の要請、指示、さまざまなイベント等に対する使用制限、停止の要請、指示、臨時医療施設開設のための土地の強制使用も可能となるものです。こうした私権制限は、憲法に保障された移動の自由や集会の自由、表現の自由といった基本的人権を制約し、経済活動にも大きな影響をもたらすものであり、慎重であるべきです。
 宣言を発動する場合には、専門家による科学的知見を踏まえた宣言発動の要件を明確にすることを求めるとともに、私権制限による経済的損失に対する補償措置を行い、人権侵害に対する救済措置を図ることが不可欠だということを強く求めて、質問を終わります。

【新聞「新埼玉」掲載】新型コロナ、大胆かつきめ細かい支援を

新聞「新埼玉」4月号より

塩川鉄也の国会から埼玉から

 川越市内の商店街で、新型コロナウイルス感染症による営業への影響を調査。

 多数の観光客で賑わう一番街でも「買い物をしてくれる外国人観光客や中高年の顧客が来てくれない。売上げが2~3割落ちている」。駅前の居酒屋では「2月なかば以降、客は半分以下。一日2、3人のときもあった。金を借りたとしてもいつ返せるか」。外国観光客の多い旅館はキャンセルが相次ぎ、悲鳴が上かっています。

 一方、住宅街のケーキ屋さんでは「今はそんなに影響は感じていないが、今後どうなっていくのか不安」と話していました。

 消費の落ち込みは深刻です。業種によって影響も違うため、大胆かつきめ細かい支援が求められます。まずは生き延びるための融資を。負担軽減へ税金・社会保険料の猶予・減免を。そして給付金など減収補填のための財政措置を。

 何よりも、コロナ流行前から消費を落ち込ませた消費税増税はやめて、5%への減税の実現を。

(衆議院議員・党国会対策委員長代理)

埼玉・松伏町/吉田俊一・平野ちほ町議と街頭から訴え

 目前に迫った松伏町議選。吉田俊一・平野ちほ町議と訴えました。

 松伏町議団は、一昨年の暑い夏の直後から小中学校教室へのエアコン設置に取り組んできました。

 文科省に直接、直談判して補助金増額を要請し、町議会でも働きかけて、1年前倒しでエアコン設置を実現しました。

 外出・イベント自粛などコロナ対策の実効性を確保するためにも、影響を受ける労働者・事業者に休業補償の実施を!

土壌汚染、市街地での訓練飛行/米軍所沢通信基地全面返還の実現を

 米軍所沢通信基地内には、横田基地の外周道路建設の残土が搬入され、積み上げられたままとなっている。所沢市の中心部を勝手に残土置き場に使っている。

 しかも横田基地では、有害物質(PFOS、PFOA)による土壌汚染が問題となっているのに、所沢市の土壌調査の要求に米軍も防衛省も応じようとしない。

 また、住宅や学校、病院が密集している基地上空で、米軍ヘリやオスプレイの訓練飛行が繰り返されてきた。

 米軍の好き勝手を許してきた日米地位協定の抜本改定が必要だ。そして基地全面返還の実現を!

米軍所沢通信基地内を貫く「東西連絡道路」開通/埼玉・所沢市

 米軍所沢通信基地内を貫く「東西連絡道路」開通記念式典に出席。

 所沢市は「米軍基地全面返還は市民の願い」をスローガンに掲げ、所沢通信基地の早期全面返還に取り組んできた。

 その一環として「東西連絡道路」用地の返還が日米間で合意され、この度完成に至った。

 学校、病院などへのアクセスが改善し、交通の利便性が向上。まちづくりにも資するものとなる。

 国による多額の地元負担の要求を国会で追及し、不当な支払いの見直しなどを行ってきた。

 基地全面返還に向けて、引き続き取り組んでいきたい。

【議院運営委員会】内閣機能拡大を正当化/公取委員長候補

 政府が提示している国会同意人事案のうち公正取引委員会委員長候補者の古谷一之内閣官房副長官補から所信を聴取しました。

 私は、2001年の中央省庁再編以降、内閣官房、内閣府の機能が拡大強化され、このことが、公文書の改ざん、ねつ造、隠ぺいなどの不祥事につながったのではないか、と指摘。

 古谷氏は、「総理の発議権をフルに使って」企画、調整、立案していることは「積極的に評価をしていただいている」と、さまざまな弊害を生じさせている機能強化を正当化しました。

 私が、19年6月に閣議決定された「成長戦略実行計画」には「独禁当局はデジタル市場についての知見が弱い」とされていることへの認識を問うと、古谷氏は「評価できない」と答えました。

 公取委に注文をつけるような内閣のもとでつくられたデジタル市場競争本部の事務責任者が古谷氏であった。官邸の中枢で政策立案・総合調整を担う立場だった人が独禁当局の責任者となるのは公取委の『職権行使の独立性』に疑問符がつく。

 


「議事録」

<第201通常国会 2020年3月25日 議院運営委員会 14号>

○塩川委員 日本共産党の塩川鉄也です。
 内閣官房副長官補として、二〇一三年以降、長らく政権中枢で活動してきた古谷参考人にお尋ねをいたします。
 中央省庁再編以降、総理の権限強化を始めとして、内閣の重要政策の企画立案や総合調整機能を持つ内閣官房、内閣府の拡大強化が図られてまいりました。こういった官邸機能強化がさまざまな弊害も生じさせているのではないのか、公文書の改ざんや捏造、隠蔽などの不祥事につながったのではないのか。中にいて率直にどのようにお感じか、お尋ねします。

○古谷参考人 大変難しい質問をいただきました。
 現に内閣官房でまだ副長官補として仕事をしておりますので、余り申し上げることはないんですけれども、大きな時代の変化といいますか、やはり日本が、先ほども申し上げましたが、人口減少、少子高齢化、成熟社会になった中で、行政もいろいろな政策面について大きな改革あるいは変革をしていかなければいけない状況にこの時代はあると私は認識しております。
 こういう中で、二〇〇〇年に中央省庁改革が行われまして、総理大臣の発議権というものもつくられました。そういう意味で、今、官邸主導ですとかいろいろな言い方をされますけれども、内閣が各省庁との間で、いわば総理の発議権をフルに使っていろいろな企画、調整、立案をしているということは、私は、中におりまして、大変口幅ったいですけれども、積極的に評価をしていただいていいのではないかなというふうに考えながら仕事をしておるところでございます。
 きょうの私からのコメントはそこまでにさせていただきます。

○塩川委員 公正取引委員会の採用案内パンフレットを拝見しますと、「公正取引委員会は、」「厳格な中立性と高度の専門性が必要とされることから、職権行使の独立性が法定され、他からの指揮監督を受けることなく職務を遂行します。」とあります。
 古谷参考人の、この職権行使の独立性についての御認識を伺いたいと思います。

○古谷参考人 御指摘のとおり、独禁法二十八条で、公取は独立してその職権を行使するというふうになっております。独立行政委員会という位置づけでございまして、ほかから指揮監督を受けることなく、独立で、まさに自由で公正な競争環境を確保する仕事という崇高な使命が公取にはあるんだというふうに思っております。
 私自身は、内閣官房で、先ほど申し上げましたように、各省のあまた調整事をやっておりますけれども、公取委員長に仮に選任されましたならば、この独立して職権を行使するということを心に定めて仕事をさせていただきたいというふうに思っております。

○塩川委員 二〇一九年六月閣議決定の成長戦略実行計画のデジタル市場のルール整備の項には、「独禁当局は、デジタル市場についての知見が弱いこともあり、十分な勘案ができていないとの指摘がある。」とあります。
 この点は、古谷参考人も同じ認識でしょうか。

○古谷参考人 現在の公正取引委員会にデジタル分野の知見が足りないかどうか、そこはちょっと私は評価はできませんけれども、先ほども申し上げましたように、公取という競争当局とは別に、内閣官房にデジタル市場競争本部というものを設置いたしまして、デジタル分野の専門家にも来ていただいて、今、関係省庁で横断的なデジタル分野の競争環境整備についての議論を行っております。
 こうした取組は、諸外国、主要国でもデジタル分野の議論をする際に用いている手法でございまして、こうした横断的な議論の中に、今後、競争当局としての公取も、まさにそれを執行し実行していく役割を担っていくわけでありますので、専門的な知見を高めるよう、組織の力を強くしながら、積極的に加わっていくということが必要になってくるんだろうというふうに思っております。

○塩川委員 閣議決定したこういう成長戦略実行計画において、独禁当局はデジタル市場についての知見が弱いと断定するような話が出ているわけで、それを踏まえると、現状の公取の体制がどうなのか。デジタル市場の知見が弱いということを踏まえて、どのような人員や体制の強化を図る必要があると考えるのか、その点についてはいかがでしょうか。

○古谷参考人 やはりデジタル経済、デジタル社会になりますと、知識や情報の変化のスピードも大変大きいものがございますので、それについていくというのは大変だろうと思います。
 したがいまして、公取が、内部にいる公取の職員に当然いろいろな研修をして知恵をつけていくということは大事だと思いますけれども、それだけではなくて、やはり外部の人材を登用するとか、関係省庁との人事交流を活発にするとか、そういうこともやりながら、やはり組織としての対応力を高めていくということを考えていく必要があるというふうに思っております。

○塩川委員 海外の独禁当局と比べても、やはり人員体制が極めて小さいのではないのか。いろいろな人事の交流ですとか外部人材の登用の話がありましたけれども、そもそも公取の人員体制を大幅にふやす、そういうことについてのお考えはいかがですか。

○古谷参考人 それも必要だと思います。
 杉本委員長のもとでかなり人員もふやしてきておられるというふうに聞いておりますけれども、公取の今の体制の実態をつぶさに今後聞いた上で、人員の増強、組織の増強ということについても検討させていただければと思っております。

○塩川委員 公正取引委員会の知見が不十分だという認識を踏まえて、成長戦略実行計画においては、内閣官房にデジタル市場の競争状況の評価等を行う専門組織としてデジタル市場競争本部を創設するとしました。古谷さんのお話にもあったとおりであります。その事務局組織の、デジタル市場競争本部事務局の事務局長が古谷副長官補ということであります。
 やはり、いろいろ公取に注文をつけるような内閣のもとで新たにつくられたデジタル市場競争本部、その事務局の責任者をやっておられる古谷参考人が、いわば官邸の中枢で企画立案や総合調整を担う立場だった人が独禁当局の責任者となるのは、公正取引委員会の職権行使の独立性に疑問符がつかないかと思うわけですが、その点、いかがでしょうか。

○古谷参考人 私は、きょう、内閣総理大臣から候補者として選考されてここに参っておりますので、私がふさわしいかどうか、私の方から申し上げるのは難しいですけれども、先ほども申し上げましたように、デジタル市場の競争環境を整備していくという問題については、公取、競争当局を含めていろいろなところがかかわってくる話になると思いますので、これは、個人情報保護委員会とか消費者庁、経産省、総務省、いろいろなところと一緒になって議論しております。そういう中で、公取が果たすべき役割というのはあると思います。
 今、内閣官房でそうした調整業務を主として私はやっておりますけれども、一番最初の御質問に戻りますが、公取は独立して仕事をするということでございますので、公取の委員長になりました場合には、きちっとそこは切り分けて職務に当たらなければいけないと思っております。
 私は、これまでいろいろな行政官として仕事をしてまいりましたけれども、それぞれ与えられた職責を一所懸命と思ってやってきたつもりでございます。今後もそうしていきたいというふうに考えております。

○塩川委員 終わります。

===自由質疑===

○塩川委員 日本共産党の塩川鉄也です。
 古谷参考人もかかわってこられたデジタルプラットフォーマー取引透明化法案についてお尋ねします。
 巨大IT企業に対して取引の透明性と公正性の向上を求めるという法案ですが、事業者の自主性に委ねることが基本となっており、中小企業いじめや違反行為の規制が十分にできるのか、また、情報開示の命令違反に罰金が百万円以下など規制の実効性を担保する措置が弱いのではないか、さらには、法律の執行をIT産業を育成する立場の経産省が担うという仕組みですので、踏み込んだ監視と規制ができるのか疑問だ、このように思いますが、古谷参考人はどのように評価しておられるでしょうか。

○古谷参考人 今回提出をして御審議をお願いしております取引透明化法案、これは先ほども申し上げましたけれども、やはり、デジタルプラットフォームというのは、これからの経済にとって、イノベーションをして進めていく上で期待の持てる分野でもございます。一方で、デジタルプラットフォームにかかわるいろいろな事業者が不当な不利益や負担を負ってはいけない、そういうバランスの中で議論をしてまいりました。
 いろいろな御議論はあろうかと思いますけれども、これは経産省が所管をして一定の義務づけはいたしますけれども、どうしても独禁法違反が疑われるような場合には、そういう事案については公取委員会の方に独禁法に基づく対処を要請できるといったような規定になっております。ここは、取引透明化法案とうまくタイアップをして、独禁法の厳正な適用というものに心がけてまいりたいというふうに思っております。
 デジタルプラットフォームをめぐる競争環境の議論というのは、私はまだ道半ばだと思っております。これからいろいろな御議論を踏まえながら深めていかなければいけない課題だという認識もいたしております。