【内閣委員会】信号機の音は命に係わる情報/視覚障害者の交通安全対策を

 視覚障害者の交通安全対策の強化を求めました。

 昨年12月、豊島区で視覚障害者男性が車にはねられ死亡した事故現場では、音響式信号機(ピヨピヨ、カッコー)がありながら、夜間から早朝は鳴らない設定になっていました。 

 全国で20万機ある信号の設置状況について確認すると。音響式信号機は1割の約2万機、横断歩道上に点字ブロックがあるエスコートゾーンは2000カ所で1%しか整備されていないことが警察庁の答弁で明らかになりました。(資料左下、クリックで拡大)

 警察庁は「地域住民の生活環境への影響を勘案し(設置を)判断している」「スマホで信号表示を知るシステムを開発した」と述べました。

 音響式信号機は
(1)横断歩道の場所
(2)信号の色
(3)横断歩道の方向がわかるもの
 視覚障害者のための音は、騒音ではなく命に係る情報だ。早朝夜間も信号機の音を切るのではなく音量調整など工夫して24時間対応にすべきだ。

 道路交通法7条が歩行者は信号に従う義務を課し、罰則も科している。信号を認識できなければ、その指示に従うこともできない。9割の信号で視覚障害者が認識できない状況を、警察は放置するのか――と質問。

 山本国家公安委員長は「視覚障害者の方の安全確保は我々の大きな責務。予算確保に努めたい」と答弁しました。

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「議事録」

<第198通常国会 2019年05月15日 内閣委員会 16号>

○塩川委員 日本共産党の塩川鉄也です。
 今もお話に出ましたけれども、大津における保育園児が被害を受ける交通事故、本当に痛ましい事故が起こって、ある意味で、歩行者にかかわる事故の問題、また生活道路における交通事故の問題というのが大きな課題になっていると認識をしております。
 そこで、交差点や生活道路など、歩行者の交通安全対策について、きょうは質問をいたします。
 最初に、視覚障害者の方の歩行時の交通安全対策についてお尋ねをいたします。
 このことについては、例えば、二〇一五年の十月に徳島市で、視覚障害者の男性が盲導犬を連れて歩道のない道路を歩いていたところ、道路から資材置場に入ろうとした、バック中の、後退中のトラックにはねられて、男性と盲導犬が死亡するという事故がありました。トラックの運転手が後方の安全確認を怠ったことに加えて、トラックにバック時に警報音を鳴らす装置が設置をされていたんですが、その電源が切られていて警報音が鳴らない状態だったということでした。
 また、昨年の十二月七日の早朝において、豊島区の駒込駅前にあります交差点、そこで視覚障害者の男性が道路を横断中にワゴン車にはねられて死亡いたしました。事故現場には音響式信号機がありましたが、午後七時から午前八時の時間帯は音が鳴らないように設定をされていたわけなんです。信号機は赤だったんです。しかし、視覚障害者の方は赤ということがわからなかった。いつも車の移動で把握するんですけれども、早朝、未明の時間ですから、車はほとんど通っていないということで判断が難しかったんだろうと思いますけれども、赤ということに気づかずに横断をしていてはねられたということなんです。
 これは警察庁に基本の話としてまずお聞きしたいんですけれども、このように視覚障害者の方にとっては歩行時の音というのはまさに命にもかかわる重要な情報ではないのかと思うんですが、その点についての認識をお伺いします。

○北村政府参考人 お答えを申し上げます。
 視覚に障害のある方々が交差点等におきまして安全に横断できる、また安全に通行できるということは極めて大切なことであると認識いたしております。
 警察におきましては、交差点の信号機に、例えば音響式信号機といいますが、横断時に音が出る信号機でありますとか、視覚に障害のある方々が押した場合に、白い押しボタン箱があるのを御存じかと存じますが、そういうボタンを押した場合に青時間が延長されるというような機能のある信号機の整備などを行い、またバリアフリー法の中での経路等に着目した、そういう安全施設の整備というものを行っているところでございます。

○塩川委員 音響式信号機というものもあるんだという話ですけれども、そこでちょっと数字の確認で教えてほしいんですが、そもそも全国に信号機というのは何カ所、何基あるのか。そのうち、今の答弁にありました音響式の信号機、音響機能のある信号機の数というのは幾つぐらいなのか。あわせて、いわゆる点字ブロックなんですけれども、横断歩道には点字ブロックというのがあるわけですよね。エスコートゾーンというのをつくることはできるわけですけれども、このエスコートゾーンというのは、では、全体の信号機のうち、どのぐらいの数、設置をされているのか。その三つについて説明いただけますか。

○北村政府参考人 お答えを申し上げます。
 全国の信号機の数でございますが、平成二十九年度末におきまして、信号機の整備数は約二十万八千基となってございます。このうち、信号が青である時間、歩行者用の信号が青である時間帯に音を出して知らせる、先ほど申し上げましたが、視覚障害者用付加装置がついているものが約二万基、全体の一割程度あるということでございます。この視覚障害者用付加装置のほかに、その他、音響機能による支援を行う装置が約四千基、また先ほど申し上げましたが、横断時間の延長機能による支援を行う装置が約八千基の信号機に付加、付加機能があるということでございます。
 また、お尋ねのありましたエスコートゾーン、横断歩道にバリアフリー対応といたしまして、点字誘導ブロックを敷いてその上を目の不自由な方が通れるようになっているものでございますが、このエスコートゾーンが整備されている交差点が約二千三百カ所ございますので、全体の信号機の交差点の一%強ということになるかと存じます。

○塩川委員 資料をお配りさせていただきました。一番後ろの四枚目のところにバリアフリー対応型信号機等の整備状況というのを都道府県別の数字で紹介がされております。一番左側にあるように、信号機の基数、合計では二十万基余り、それに対して音響機能のついているものは二万基強ということで、一番右側のエスコートゾーンは二千カ所余りですから、音響機能のついた信号機は全体の一割、横断歩道における点字誘導ブロックに相当するエスコートゾーンは一%ということで、極めて少ないわけです。
 私は、大事なことは何かと思っているんですけれども、視覚障害者の方にとっては、まずは横断歩道の場所がわかるということなんです。横断歩道があるかどうかということがまず認識ができるかどうか。その上で、その信号機が赤か青なのか、このことを確認できるということであり、さらには、横断歩道がどちらに行くのかということを、その横断歩道の方向がわかるということが極めて重要なわけです。その際に、音声が重要な情報となっているということであります。
 警察庁にお尋ねしますが、道路交通法の第七条においては、歩行者にも信号機の信号に従う義務を課している、また、これに違反すれば罰則もある、そういうものだと承知しておりますが、その点について確認したいと思います。

○北村政府参考人 お答えをいたします。
 道路交通法第七条におきましては、道路を通行する歩行者又は車両等は、信号機の表示する信号又は警察官の手信号等に従わなければならないという規定がございます。また、この規定に対する違反につきましては、第百二十一条におきまして罰則規定があるところでございます。

○塩川委員 山本国家公安委員長にお尋ねいたします。
 今答弁がありましたように、道路交通法の第七条において、歩行者などが信号機の信号に従う義務を課している、違反すれば罰則も科せられるといった際に、視覚障害者の方が信号機の信号を認識することができなければ、そもそも、その指示に従うこともできないわけなんです。ですから、視覚障害者の方が信号機の信号を認識する、このような機器の整備を行うということは、これは道路交通の管理者のいわば最低限の責任、責務ではないかと考えますが、お答えをいただきたい。

○山本国務大臣 お答えいたします。
 警察におきましては、道路を横断する視覚障害者の方々の利便性、それから安全性等を向上するため、各種施策を実施し、信号のある交差点における安全確保に努めているところでございます。
 具体的には、視覚障害者用付加装置等の整備を推進しているところでございますけれども、今後とも、従来からの取組や、新しく開発したスマートフォンにより信号の表示を音声で提供するシステムの整備を行い、視覚障害者の方が信号のある交差点を安全に横断できる環境を整備するように、警察をしっかりと指導してまいりたいと思っております。

○塩川委員 そもそも現状についての認識をお尋ねしたいんですけれども、二十万基の信号機に対して音響式の信号機というのは一割なんですよ。ですから、道交法の第七条できちっと信号機の信号を守りなさいと求めているのに、九割のところでは、視覚障害者の方がそのままでは認識できないといった状況になっているわけなんです。
 こういう現状を放置をするのかといったところが問われているんですが、もう一度お答えいただきたい。

○山本国務大臣 先ほど交通局長からも答弁させましたけれども、まさに視覚障害者の方々に判断できるような信号機をつくっていくということは極めて重要であるというふうに思っております。
 交通安全施設等の整備事業に関する国庫補助ですけれども、昨年度に比べて十億円の増額がなされたということでございまして、我々としても、全力を挙げてその予算獲得に取り組み、そして、交通安全施設等の整備事業に必要な体制を整えてまいりたいというふうに思っておるところでございます。

○塩川委員 抜本的な対策が必要だと。欧米諸国など、特にヨーロッパなどでは、歩行者に対しての交通安全対策をかなり進めて、この後お聞きしますけれども、速度抑制や交通量抑制などの対策も物理的な措置として行っているわけなんです。
 その際に、交差点における、やはり、このような音響つき信号機を設置をするということは、これは、法律で義務を課している以上、義務を課す側が当然整備しなければいけない最低限の責務だといった認識で事に当たる必要があるんだと。そのことについて、改めてお答えいただけませんか。

○山本国務大臣 もちろん、警察側といたしましては、歩行者の安全、特に視覚障害者の皆様方の安全を確保するということは極めて重要であり、それは我々の大きな責務である。その責務を果たすために、日々、予算も含めてでありますけれども、しっかりとした体制を整えていく、そういう覚悟を持って、これからも対応してまいりたいというふうに思っております。

○塩川委員 音響式信号機を抜本的にふやすといった点で、例えば目標を持って、いつまでに、どれだけ普及する、整備をする、そういうことは、持ちませんか。

○山本国務大臣 目標を持つということは大変重要なことだというふうに考えておりますけれども、これもまた、整備をしていく、まだ一割しかできておりませんから、あとの九割をどういうふうに迅速に対応していくかということ、これは我々にとって大きな課題であるというふうに考えております。

○塩川委員 ですから、課題ですから、どうするのかということなんですが、どうするんですか。

○山本国務大臣 今ほども申し上げましたけれども、しっかりと予算確保に努めて、そして、その結果として、早くにその責務を果たせるように、我々としては努力をしてまいりたいと思っております。

○塩川委員 そういう点でも、目標を持って整備計画をつくるということは強く求めたいと思っております。
 その上で、先ほど、冒頭で御紹介をいたしました豊島区の事故の事例ですけれども、夜間については音響信号機の音をとめるという対応になっているわけなんです。それは、近隣の住民の方への配慮ですとか、その辺の合意の話というのは当然あるんですが、しかし、先ほど言ったように、音で信号を判断するといったことを考えても、視覚障害者の団体の方などは、二十四時間対応をぜひやっていただきたいという強い要望があるわけですが、この点についてはどのように対応されるのか。

○北村政府参考人 お答え申し上げます。
 委員御指摘のとおり、音響式信号機の設置につきましては、視覚障害者の方々の御要望、必要性があります一方で、付近住民の方々の御理解が必要でございます。
 警察におきましては、その稼働時間、あるいは音量、ボリュームの大きさというものにつきまして、交差点ごとに、地域住民の方々の生活環境への影響、また視覚障害者の方の通行の状況等を勘案しながら判断しているところでございますけれども、私ども警察庁といたしましては、視覚障害者の方々が安全に道路を利用できる環境の整備、これが重要でございますので、できる限り、可能な限り、付近住民の方々の御理解が得られる形で都道府県警察を指導してまいりたいと考えております。
 また、先ほど、大臣の方から御説明ございましたけれども、街頭で大きな音が鳴るというものに加えまして、視覚障害者の方が手元に持つスマートフォンによりまして、視覚障害者の方々の手元で信号の表示を音声で知ることができるというシステムを新たに開発したところでございまして、今年度から整備を行ってまいりたい、そういう事業化を進めてまいりたいと考えてございます。

○塩川委員 スマホのお話があったんですけれども、これは、スマホ対応の信号機というのはどれぐらい設置されているんでしょうか。

○北村政府参考人 お答え申し上げます。
 現在は、設置はされておりません。開発して、今年度から導入してまいろうということでございまして、平成三十一年度におきましては、三つの県におきまして、七十四カ所、三千万円の補助事業で実施をし、その機能についての検証を進めて、さらなる整備につなげてまいりたいと思ってございます。

○塩川委員 検証作業中ということで、現状ではないと。そういった新たな対応というのは、いろいろ研究もし、工夫もしていくということは必要だろうと思います。
 同時に、スマホの場合でも、手元で音が鳴るというんですよ。だけれども、視覚障害者の方は、信号機の渡る方向などは、その信号機から音が出ることによって、交差点と認識もできる、渡る方向というのも認識できると。よくピヨピヨ、カッコーの話がありますけれども、ピヨピヨ、カッコーのピヨピヨも、手前で鳴っているのと向こうで鳴っているのを変えるとかという、カッコーを含めて、いろいろ工夫して警察もやっているわけですよね。しかし、手元で鳴ると、それがわからないんですよ。
 そういったニーズも含めて、視覚障害者の方の要望をしっかり受けとめた対応というのをぜひとってもらいたいと思いますし、この音響式信号機についてですが、視覚障害者の方のための音というのは、騒音じゃありません、命にかかわる音なんです。そういった点でも、いろいろな地域では、例えば五段階の音の調整もしながら工夫したりもしているんですよ。全く切る必要はないんじゃないのか、全く切ってしまうということなしでも対応できるんじゃないか、これはいろいろやりようはあると思うんですけれども、そういう工夫はできるんじゃないですか。

○北村政府参考人 お答え申し上げます。
 先ほど答弁の中でも、稼働時間、音量について交差点ごとにと申し上げましたのは、ただいま委員御指摘のとおり、音を消す時間帯がなるべく少ないようにということでありますとか、あるいは音量を下げてでも運用できるようにということで地元の住民の方々の御理解を得ようという努力は進めているところでございまして、こうした努力につきましては継続してまいる必要があると考えてございます。

○塩川委員 関連して、シグナルエイドという発信受信装置があるわけです。ですから、手元にそういう装置を持っていると、押すことによって、信号機の音が出る、あるいは区役所の場所が確認できる。こういったシグナルエイドに対応する音響式信号機の設置というのをぜひ進めてほしいという要望も寄せられておりますが、この点についてはどうでしょうか。

○北村政府参考人 お答え申し上げます。
 シグナルエイドにつきましては、信号機の青時間が延長できるというものが基本的な機能となってございます。一部には、それに対応して音声が鳴るような設定に変わる、押しボタンを押したのと同じような形になるというものもございますが、こうしたものも含めまして、視覚障害者の方々の安全な通行の確保ということを進めていくことは大事であると考えてございます。

○塩川委員 ぜひ、その普及を図るということで取り組んでいただきたい。
 最後に視覚障害者の関係のことでお尋ねしたいのは、こういった障害者の声を道路交通安全対策にしっかりと反映できる、そういう仕組みというのを具体的にやっていただきたい。その点で、山本大臣の方からも旗を振っていただいて、障害者の声を道路交通安全対策に反映できる、そういう仕組みをしっかりとつくり、対応していく、その点についてお答えいただけないでしょうか。

○山本国務大臣 委員おっしゃるように、視覚障害者の方々に対しても交通安全という観点から我々警察としてできることは全てやっていく、そんな気持ちを持って、これからも対応してまいりたいというふうに思っております。

○塩川委員 次に、生活道路における歩行者の安全確保対策の抜本的な強化を求めたいと思っております。
 山本大臣にお尋ねします。現在、春の全国交通安全運動の実施中でありますけれども、大津における事故というのは、歩行者の交通安全対策の抜本的な強化を求めるものであります。そういう点でも、交差点ですとか、通学路や生活道路の安全対策の必要性、まさに重要になっていると思いますが、この点についての大臣の認識を伺います。

○山本国務大臣 先日の大津での事故は、本当に痛ましいことになりました。二歳の園児の方が二人お亡くなりになりまして、御冥福をお祈りしたいと思いますし、また、負傷された方々の一日も早い回復をお祈り申し上げたいと思います。
 我が国の交通死亡事故、まさに、諸外国に比べますと、歩行者が犠牲になるということが大変多くなっておりまして、この対応、交通事故防止というものが極めて重要な課題であるというふうに認識をいたしております。
 今、春の交通安全運動というようなお話がございましたけれども、我々といたしましても、歩行者が犠牲となる交通事故を防止するために、交通安全教育や広報啓発、それから、指導取締り、交通安全施設の整備等々、実施してきたところでございますけれども、依然として、交差点やあるいは通学路において幼児や児童を含む歩行者が危険にさらされている現状を重く受けとめているところでございます。
 今後、関係機関、団体と連携しつつ、歩行者の安全を守るための取組、これを強力に推進するよう、警察を指導してまいりたいと思っております。

○塩川委員 今大臣の答弁にありましたように、日本は、欧米主要国に比べて、歩行者が犠牲となる事故が大変多いという大きな特徴があるわけです。
 資料の一枚目に、国別、状態別の高齢者の三十日以内の死者数についてのグラフを載せました。左側が歩行中で、左から二番目が自転車乗用中ですけれども、そういった死亡事故というのが、日本でいえば、合わせて五〇・九%と。それに対して、フランスは合計で二〇・八%、ドイツは二七・二%、イギリスは三〇・五%、アメリカは一八・二%ということで、歩行中、自転車乗用中の死者数が欧米主要国は二割から三割台なのに、日本は五割を超えているということで、極めて高い。歩行中、自転車乗用中の死亡事故の割合は、G7で最下位だということも紹介をされているところです。
 あわせて、下のグラフですけれども、生活道路における交通死亡事故件数の推移ですけれども、車道の幅員が五・五メートル未満、車がやっとすれ違えるような、歩行者がよけなくちゃならないような、そういう道路を生活道路としていますけれども、この生活道路においての事故を見たときに、もちろん全体とすれば死亡事故件数は減っている。しかし、その中で、生活道路とその他の道路を切り分けると、全体に占める生活道路の割合というのが、緑の折れ線グラフにあるように、傾向としてずっと高まっている。つまり、生活道路における事故というのが全体の中に占める割合がどんどんどんどん高まっているという現状にあるわけなんです。
 そういう点でも、生活道路における交通死亡事故が、このグラフでいえば、二〇〇六年の一四・八%が、二〇一八年一六・七%と上がってきているという点で、生活道路に対する対策というのが極めて重要だということを指摘せざるを得ません。
 そこで警察庁にお尋ねしますが、このような生活道路における人口当たりの事故件数の特徴について説明をしていただきたい。

○榊政府参考人 お答えを申し上げます。
 幅員五・五メートル未満の道路を対象に、人口十万人当たりの事故発生件数を年代別に集計をいたしますと、平成二十九年の死傷事故件数については小学生が最も多く、人口十万人当たり二十五・二件、死亡事故件数につきましては七十五歳以上の高齢者が最も多く、人口十万人当たり〇・四四件となってございます。

○塩川委員 資料の二枚目に、そのことを示すグラフを紹介しておきました。
 死傷事故件数では小学生が飛び抜けて多いんですね。あわせて、死亡事故ではやはり高齢の方、七十五歳以上の方が大変高いという点でも、子供や高齢者が歩行中の事故というのは極めて高いということが、ここにも見てとることができるわけです。
 そこで、交通安全対策を担当する宮腰大臣にお尋ねをいたします。
 政府は、交通安全対策基本法に基づき、交通の安全に関する総合的、長期的な施策の大綱である交通安全基本計画を作成し、各種施策を行っております。
 交通安全基本計画では、特に我が国では、欧米諸国と比較して交通事故に占める歩行者の割合が高くなっており、歩行者の安全確保を図ることが重要であると指摘をしております。
 生活道路の安全性を高めるという施策というのは道路交通安全施策の中でも最優先、最重点の課題ではないのか、この点についての大臣の認識をお伺いします。

○宮腰国務大臣 御指摘のとおり、我が国における交通事故死者数に占める歩行者あるいは自転車の割合は、一・五倍から二倍、欧米諸国と比較して高くなっております。このことを踏まえまして、現行の基本計画では、議員御指摘のとおり、「人優先の交通安全思想の下、歩道の整備等により歩行者の安全確保を図ることが重要である。」としております。
 その意義は、基本計画が、人命尊重の理念に基づき、交通事故がもたらす大きな社会的、経済的損失をも勘案して、究極的には交通事故のない社会を目指しているということにあります。
 生活道路を含めまして、今後とも、基本計画を踏まえ、関係省庁と連携しつつ、歩行者の安全にかかわる施策を推進してまいりたいというふうに考えております。

○塩川委員 歩行者の安全確保策を重視をして取り組むということが必要だという点で、高齢者や子供たちの安全確保のために生活道路の交通安全対策が極めて重要で、対策としては、車両の速度を抑制する、車両の量そのものを、交通量を抑制する、歩車分離と言われるような、歩行空間をしっかりと確保する、交差点対策をしっかりと行うということが中心的な話だろうと思っております。
 そういうのも、やはり一つは車両の速度の抑制というのが重要だというのは、衝突時の自動車の走行速度が歩行者にとって致命傷となる、そういった傾向というのはどういうときなのか、この点について確認したいと思います。

○北村政府参考人 お答え申し上げます。
 平成二十三年三月に警察庁における検討委員会が出しました報告書がございますけれども、その中では、自動車の走行速度が時速三十キロメートルを超えると歩行者が致命傷を負う確率が急激に高まる結果となっているというふうにされてございます。

○塩川委員 答弁にありましたように、資料の二枚目にWHOを出典とするグラフがあります。三十キロを境にして致命傷を受ける確率が非常に高まるという点で、速度抑制をしっかり図る。その場合に、その速度抑制というのを交通規制だけではなくて物理的なデバイスによって、物理的な手段によって確保するということがあわせて重要なわけです。
 そういう意味でも、きょうはもう時間がないのでこれ以上質問はできないわけですが、ハンプとか狭窄といった、資料の三枚目に紹介しているような、こういう物理的なデバイスをしっかりと設置をする。私は、そういった点でも予算の使い方を変えるべきだ、大型公共事業としての道路をどんどんつくるといったことを見直して、こういった生活道路についての交通安全対策に振り向けていく、安倍麻生道路なんかもうきっぱりとやめて、こういった生活道路の交通安全対策の予算措置を行えということを求めて、質問を終わります。

【「しんぶん赤旗」掲載】改定子ども・子育て支援法/“無償化”うたうが多くの危険

「しんぶん赤旗」5月11日付・3面より

 幼児教育・保育を一部「無償化」する改定子ども・子育て支援法が10日、参院本会議で成立しました。幼児教育・保育の「無償化」は、安倍晋三首相が2017年の総選挙前に選挙目的で打ち出したもので、今年10月からの実施を狙う消費税率10%への引き上げを財源としています。安倍政権は、幼児教育・保育の「無償化」をうたい、宣伝しようとしていますが、その中身は、子どもの権利を保障するためのものではなく、今後の無償化や保育施設の拡充を進める際にも消費税増税が迫られかねないなど、数多くの危険を含んでいます。

消費税増税痛みさらに

 消費税には、低所得者ほど重くのしかかる逆進性があり、経済的困難に苦しむ世帯をより一層追い詰める悪税です。そのうえ、保育料は所得に応じて傾斜配分されており、住民税非課税の一人親世帯などの保育料は免除されているため、低所得者層には「無償化」の恩恵は極めて限定的か全くなく、消費税増税による痛みだけが押し付けられることになります。

 さらに、安倍政権は幼児教育・保育の「無償化」の財源を消費税増税に求めているため今後、無償化や保育施策の拡充を進めるために、さらなる増税が迫られかねません。

 すべての子どもに、良質な幼児教育・保育を費用の負担なく提供するというなら、その財源は所得税や法人税などの応分負担で、公正な税制によって賄われる必要があります。

保育最低基準掘り崩す

 「無償化」の対象施設から、認可外保育施設の最低基準を満たさない悪質な施設も排除していないことも大問題です。安心・安全な保育の最低基準を掘り崩しかねません。

 安倍政権が2016年からスタートさせた企業主導型保育事業は、保育士のいっせい退職や定員割れによる閉園、助成金の不正受給などが相次ぎ発生し、政府でさえ「量の整備に重点が置かれ過ぎ、質の確保への意識が必ずしも十分ではなかった」(宮腰光寛少子化対策担当相、4月3日の衆院内閣委での日本共産党の塩川鉄也議員への答弁)と認めざるをえないほど、破たんが明らかになっています。

 ところが、改定法では、企業主導型保育事業よりもさらに緩い基準である認可外保育施設の基準さえ満たさない施設も、5年間の経過措置期間中は補助の対象となっています。

 7日の参院内閣委員会での参考人質疑では、保育事故で生後5カ月の娘を亡くした当事者から「基準に満たない施設や事業は『保育』として適切ではない」「保育内容の差をそのままにして全てを無償化の対象とすれば、国が『どれも同様に安全だ』とお墨付きを与えることになる」など疑問の声があがりました。

 保育制度は、政府・与党によって規制緩和路線が推し進められた結果、質・量ともに深刻な課題を抱えています。とりわけ、待機児童を解消するための認可保育所の整備、保育士の配置基準や処遇の改善は待ったなしの課題です。そうした課題に真正面から向き合わず、選挙目当ての「無償化」を無理やり優先させるだけでは、矛盾は拡大するだけです。

 日本共産党は、保育の質・量を確保しながら、保護者の負担軽減を進めるよう提案しています。

公的保育制度の後退に

 改定法では、「無償化」にかかる市町村の負担割合が対象施設によって異なります。私立保育所は国から2分の1補助が出るのに対し、公立保育所は市町村の10割負担となります。これでは、公立保育所が多いほど自治体の負担が増えることになります。

 保育経験を長年積み重ねてきた公立保育所は、研修や相談先、手のかかる困難事例の受け入れなど、保育の質を確保する上で重要な役割を果たしています。また、自治体の指導監督や巡回指導の人材の供給源としても欠かすことができません。

 ところが、公立保育所の運営費が一般財源化された2004年以降、公立保育所の施設数は激減。公立保育所に勤務する保育士数も過去14年間で8割に減少しています(グラフ)。このうえ、「無償化」でさらに市町村の負担を増やせば、民営化がさらに加速し、自治体が保育に責任をおう公的保育制度が後退することは避けられません。

給食実費化で現場混乱

 今回の「無償化」によって、これまで教育保育給付に含まれていた食材費が、公的給付から外されて実費徴収の対象となります。

 保育の現場からは「給食もおやつも保育の一環で、なぜここだけ切り出して『実費徴収』なのか」と批判の声が上がっています。さらに事務処理の負担も保育現場に押し付けられます。未納が起きるリスクも、それぞれの保育所が背負うことになりかねません。

 日本共産党の田村智子議員は9日の参院内閣委員会で、「施設や保育士の事務負担の重さが保育士不足の要因の一つと認めながら、何ら手当てをしないということは納得できない」と追及。しかし、宮腰担当相は「丁寧に周知説明を行い、円滑な実施に努める」というだけでまともに答弁できませんでした。

【「しんぶん赤旗」掲載】ドローン禁止拡大/基地の実態隠す悪法許されぬ

「しんぶん赤旗」5月11日付・2面・主張より

 小型無人機ドローンの飛行禁止の範囲を米軍や自衛隊の基地などにも広げる「ドローン飛行禁止法」改定案が衆院を通過し、来週にも参院での審議が始まろうとしています。改定案の狙いは、米軍や自衛隊に対するメディアの取材や市民らによる監視活動を規制することです。報道の自由や国民の知る権利を著しく侵害する法案は容認できません。

国民の知る権利侵害

 2016年制定のドローン飛行禁止法は、首相官邸や国会議事堂などの周辺上空をドローンが飛行することを禁止しました。今回の改定案は、飛行禁止の対象施設に「対象防衛関係施設」として米軍や自衛隊の基地などを加えます。

 「対象防衛関係施設」は防衛相が指定し、同施設の敷地・区域とその周囲おおむね300メートルの地域上空を飛行禁止にします。「テロ対策」が口実ですが、ドローンの飛行を一律に禁止していることからメディアの取材などを制限しようという狙いは明らかです。

 改定案の国会提出をめぐっては、全国の新聞社や通信社などが加盟する日本新聞協会が「立法化に強く反対」するとした意見書を政府に提出(2月8日)し、「特に、国内法が適用されない米軍への取材活動は大きく制約され、当局の発表に関する真偽の検証もできなくなる恐れが強く、国民の知る権利が大きく損なわれる」と強調していました。

 テレビやラジオの放送局が加盟する日本民間放送連盟も「実質的な報道規制につながるおそれがある」と「憂慮」を表明する意見書を発表しています。(同15日)

 重大なのは、飛行禁止の対象が自衛隊は陸上の施設なのに対し、米軍は施設にとどまらず提供水域・空域も含まれることです。日本共産党の塩川鉄也衆院議員の質問に防衛省が明らかにしました(4月12日、衆院内閣委員会)。まさに米軍のための「特別法」です。

 とりわけ、全国の米軍専用基地面積の7割が集中し、広大な提供水域・空域が存在する沖縄は、影響が深刻です。

 沖縄の地元紙・琉球新報(4月14日付)は「名護市の辺野古新基地建設現場は米軍キャンプ・シュワブと周辺の提供水域に囲まれ、報道機関のドローンは近寄れなくなる」と指摘します。さらに、埋め立て区域の護岸付近から汚水が漏れ出している様子を市民団体がドローンによる撮影で確認したことなどに触れ、「ドローン撮影を封じれば工事の進捗(しんちょく)や基地建設による環境破壊などの実態を隠すことになる」と批判しています。

 沖縄県などの自治体が、災害時の被害状況の確認や救助活動のためにドローンを飛ばすことも妨げられることになりかねません。

米軍の要求に応えて

 政府は、「対象防衛関係施設」の管理者(基地司令官など)の同意があればドローンの飛行は可能だとしています。しかし、キャンプ・シュワブなど米軍基地上空でのドローンの飛行禁止は、17年11月にハリス米太平洋軍司令官(当時)が小野寺五典防衛相(同)に直接要請したものであることが複数のメディアで報じられています。飛行の禁止を求めている米軍が同意を与えるはずがありません。

 米軍の要求に従い、基地の実態を国民の目から覆い隠そうとする悪法は撤回しかありません。

ハンセン病家族訴訟/差別・偏見の解消へ恒久対策の実現を/原告団・弁護団と懇談

 ハンセン病家族訴訟原告団・ハンセン病家族訴訟弁護団と日本共産党国会議員団の懇談会に出席。

 原告の方の訴えをお聞きしました。国の誤った政策がもたらした差別と偏見によって、つらい思いをしてきたと言います。家族と切り離されて暮らすつらさ、家族がばらばらにされたつらさを抱えて生きてきました。原告となることが家族のきずなを取り戻すということなのだと思いました。

 原告団のみなさんは、国の間違った隔離政策が、ハンセン病家族らに対しても違法な人権侵害だったことの責任を認め、謝罪すること、名誉回復措置と損害賠償を行うことを求めています。また、差別・偏見の解消に向けた取り組みや家族関係回復に向けた施策、継続的な協議といった恒久対策を要求しています。その実現のために力を合わせたい。


ハンセン病/国は責任を/家族訴訟原告団/党国会議員団に支援要請

「しんぶん赤旗」5月10日付・3面より

差別、偏見の被害訴え

 ハンセン病患者の子やきょうだいというだけで、国の誤った強制隔離政策によって深刻な差別、偏見を受けた元患者の家族が、国に謝罪や損害賠償を求めて裁判をたたかうハンセン病家族訴訟の原告団、弁護団は9日、国会内で日本共産党国会議員団と意見交換をしました。

 6月28日の熊本地裁での判決言い渡しを控え、国の加害責任を断罪する判決を勝ち取った上で控訴断念をめざす20人の原告が参加。宮里良子さん(75)=仮名=は、判決後の支援などを求める全面解決要求書を議員団に手渡し、「隔離と差別で、両親と一緒に暮らすことができませんでした。私たちはいつまでも差別を受けたくありません」と語り、国に責任を認めさせるため、ともにたたかってほしいと訴えました。

 匿名の原告3人が人生を狂わされた被害を語りました。沖縄の60代女性原告は、長兄の発病をきっかけに、仲が良かった友達から無視され、学校や地域で居場所をなくしたことを告白。夫にさえ死別するまで兄のことを隠し続けるしかなかった自分を今でも責め続けていると涙ながらに訴え、「こうした思いは私たちの代で終わりにしなければなりません」と話しました。

 共産党から穀田恵二、赤嶺政賢、塩川鉄也、畑野君枝、田村貴昭、清水忠史各衆院議員、井上哲士、仁比聡平、辰巳孝太郎、山添拓各参院議員が出席。18年前のハンセン病国賠訴訟で弁護団の一員だった仁比氏は、原告の勇気と決意に応え、「政治が解決の責任を果たすため全力を尽くしたい」とのべました。

 高橋千鶴子衆院議員、倉林明子、武田良介両参院議員の各秘書も出席しました。

米軍横田基地/外周道路建設工事現場を視察

 米軍横田基地の外周道路建設工事現場。国道16号に面した、基地の北西の部分に当たります。今日は休工で、重機やダンプカーが盛土の掘削場所に並べて置かれていました。

 ここの土砂が所沢通信基地に運び込まれています。一日120台、一年間にわたって搬出、搬入が行われます。

 横田基地では、外周道路工事とCV22オスプレイ施設の2期整備工事が一体で進められようとしています。特殊作戦部隊の拠点として、基地機能強化が行われていることは重大です。

埼玉・所沢/憲法記念日のリレートークに参加

 所沢駅東口で憲法記念日のリレートーク。所沢革新懇・「守ろう憲法・オール所沢」連絡会・野党共闘8区の会が毎年共催で実施しています。

 辺野古新基地建設阻止、オスプレイの配備撤回、米軍所沢通信基地への横田基地残土搬入の中止、日米地位協定の抜本改定を!

 入間基地、朝霞駐屯地での自衛隊海外派兵部隊化やめよ、海外で戦争する国づくりの9条改憲ストップを!

 憲法を生かす政治を実現しよう!

憲法記念日の宣伝行動/埼玉・川口駅、浦和駅前で訴え

 憲法記念日の宣伝行動。川口駅と浦和駅で、梅村さえこ前衆院議員・参院比例予定候補、伊藤岳参院埼玉選挙区予定候補、党市議団と一緒に訴えました。

 公文書の改ざん、統計偽装などによる国政私物化の安倍政治は、日本国憲法と相容れません。

 公文書とは「健全な民主主義の根幹を支える国民共有の知的資源」(公文書管理法第1条)です。統計とは「国民が合理的な意思決定を行うための基盤となる重要な情報」(統計法第1条)です。国民主権・民主主義を掲げる憲法をないがしろにする安倍政権が、憲法も私物化する改憲をめざしていることは断じて認められません!

 野党共闘の原点は、安倍政権が破壊した立憲主義を取り戻すことです。市民と野党の共闘を前進させ、参院選で安倍自公政権を退陣に追い込み、新しい政治を実現しよう!


安倍9条改憲阻止へ/各地で宣伝
塩川議員、梅村・伊藤岳参院予定候補/“危険な暴走”止める/埼玉

「しんぶん赤旗」5月8日付・首都圏版より

 日本共産党埼玉県委員会は3日、川口、さいたま両市で憲法記念日街頭演説を行い、塩川鉄也衆院議員や梅村さえこ参院比例予定候補、伊藤岳参院埼玉選挙区予定候補、党市議らが訴えました。

 梅村氏は、消費税増税反対の運動が安倍政権を追い詰めていると指摘し、「増税するなら、くらしに困っている庶民ではなく、アベノミクスで大もうけした人たちに応分の負担を。この声を全国津々浦々から広げていこう」と呼びかけました。

 伊藤氏は、安倍首相が改憲の理由として、自衛隊員の募集に自治体が協力しないことを挙げていることを批判し、「憲法に自衛隊を書き込もうとし、自衛隊員を集めるために若者の名簿の提供を自治体に強要する。徴兵制にもつながる危険な暴走が始まった」と強調しました。

 塩川氏は、参議院で野党共闘の原点となる安保法制=戦争法廃止法案を野党共同で提出したことなどを報告。「憲法をないがしろにする政治を改めようという国民の運動が野党共闘を前進させる力となったことは間違いない。この流れを大きく広げていこう」と訴えました。

 さいたま市での街頭演説に足を止め、家族3人で声援を送った女性=久喜市=は「消費税増税反対です。頑張ってほしい」と話しました。

 

埼玉県中央メーデーのパレードに参加

 埼玉県中央メーデーのパレードに参加。

 市民と野党の共闘を前進させよう!

 国会では、野党共闘の原点となった安保法制廃止法案を参議院に提出。そして、参院選候補者の一本化とともに、共通政策協議を開始。

 衆院補選の教訓を生かし、参院選に向けて、市民と野党の共闘を前進させ、安倍自公政権退陣の審判を下そう!

埼玉県中央メーデーで連帯のあいさつ

 埼玉県中央メーデーで、党を代表して連帯のあいさつ。

 うそとごまかし、国政私物化の安倍自公政権にさよならをしよう!

 長時間労働合法化の「働かせ方改悪」の具体化阻止。中小企業支援と一体に時給1500円以上、全国一律最賃制を。8時間働けば普通に暮らせる社会の実現を!

 消費税10%増税は今からでも中止できる。大企業と富裕層に応分の税の負担を!

 辺野古新基地建設阻止、普天間無条件撤去。オスプレイの訓練中止、配備撤回を。日米地位協定の抜本改定を!

 入間基地、朝霞駐屯地など、自衛隊の海外派兵部隊化を進める基地強化やめよ!

 海外で戦争する国づくりをすすめる9条改悪を許さず、憲法を活かす政治を実現しよう!


第90回メーデー/労働者の団結守りぬく/埼玉

「しんぶん赤旗」5月2日付・首都圏版より

 第90回埼玉県中央メーデーは1日、さいたま市の北浦和公園で開かれました。1700人が参加し、「働くものの団結で生活と権利を守ろう」と集会とデモを行いました。

 あいさつした伊藤稔実行委員長(埼労連議長)は、4月末に沖縄県の普天間基地や辺野古新基地建設現場に行ったと語り、現地の人たちが分断を乗り越えてたたかっていると報告。「私たちも労働者を分断する攻撃から、労働者の団結を守りぬくためにたたかってきた。勝利の秘訣(ひけつ)は、できるだけたくさんの人と手をつなぐことです」と述べました。

 日本共産党から、塩川鉄也衆院議員、伊藤岳参院埼玉選挙区予定候補らが参加。あいさつした塩川氏は「参院選に向けて市民と野党の共闘を大きく前進させ、安倍自公政権を退陣に追い込みましょう。新しい時代をつくるのは、市民の力です」と訴えました。

 埼玉弁護士会の黒田典子副会長、蕨市の頼高英雄市長、「オール埼玉総行動」の小出重義実行委貝長もあいさつしました。

 県内の私立小学校教員の男性(37)=さいたま市浦和区=は「職場でも長時間労働の人は多い。もっと教員を増やして余裕をもって子どもに向き合えるようにしてほしい」と話しました。

 

【新聞「新埼玉」掲載】安倍政権と対峙する「野党共闘の司令塔」

新聞「新埼玉」5月号より

 野党国会対策委員長連絡会(野国連)は、国会における野党共闘の司令塔です。会議には、立憲民主党、国民民主党、日本共産党、社会保障を立て直す国民会議、自由党、社会民主党の6野党・会派の国対委員長が出席。私も国対委員長代理として参加し、安倍政権と対峙する方針を練り上げています。

 被災者を傷つける桜田大臣の暴言に対しては、ただちに辞任を要求。安倍麻生道路に対する塚田国交副大臣の「そんたく発言」追及のために野党合同ヒアリングや現地調査を実施。また、辺野古新基地建設現場への合同調査を行い、沖縄3区補選の勝利をサポート。

 大阪12区補選の結果は、残念で悔しい思いでいっぱいですが、数十人の野党議員が駆けつけ、次につながるたたかいとなりました。さらに参議院では、野党共闘の原点となった安保法制廃止法案を共同提出しました。

 参院選に向けて、市民と野党の共闘を前進させ、安倍政権退陣の審判を下しましょう!

所沢市要請の土壌汚染調査なしで持ち込み/米軍所沢通信基地の残土堆積場所

 米軍所沢通信基地の残土堆積場所です。横田基地から運び込まれた残土は一部、ブルーシートに覆われています。入り口には散水車。

 所沢市が要請した国による土壌汚染調査も行わず、持ち込まれています。

 横田基地内の盛土の由来は何かと防衛省に聞いても、未だに「調査中」。

【内閣委員会】デジタル推進を口実にした行政サービス後退を批判

 行政の手続を原則オンライン化し「紙からデジタルへ」移行させる、デジタル手続法案についてただしました。

 マイナンバーカードを利用しコンビニでの住民票写し交付が可能になったことを理由に、東京都北区や練馬区で区民事務所分室や出張所が全廃となった。政府は、国民にデジタルを使いこなせと煽るだけで、ITやデジタルの対応が困難な人には、従来の窓口での対面による事務手続きがなくなることで利便性の後退が懸念される。

 また、富山県上市町議会では、日本共産党町議が「3人目の子どもの国保税の均等割りの免除、65歳以上の重度障害者の医療費窓口負担の償還払いを現物給付へ」と提案したのに対し、町長が、国が導入をすすめる「自治体クラウド」(複数自治体で情報システムを共有化し標準化)を採用しているため「町独自のシステムのカスタマイズはできない」と答弁している。

 総務省が自治体に「システムのカスタマイズ抑制等に関する基本方針」を通知していることは「地方自治の侵害」だ。自治体クラウド導入で、システムに業務を合わせるようになっており、住民の多様なニーズに応えることを棚上げにし、住民サービスの拡充の妨げになっている。

 総務省の佐々木審議官は「議会、首長が同意し、住民サービスの向上をするためのカスタマイズをしてはいけないという助言はしていない」と答えました。

衆議院TV・ビデオライブラリから見る


「議事録」(質疑)

<第198通常国会 2019年04月26日 内閣委員会 15号>

○塩川委員 日本共産党の塩川鉄也です。
 デジタル手続法案について質問をいたします。
 まず大臣に伺いますけれども、この法案は、行政手続に関する事務に用いる情報を書面からデジタルデータに転換をするものです。平井大臣も答弁の中で、紙からデジタルに移行するというふうに述べておられました。そうしますと、今後は、この行政手続に関する事務、業務においては紙は使わないということになるんでしょうか。

○平井国務大臣 本法案は、行政手続の利便性の向上を図り国民の負担を軽減するために国の行政機関に対してオンライン化の義務を課すものであり、紙による手続を否定し、申請者に対してオンライン申請を義務づけるものではありません。
 他方で、私はIT政策担当大臣として、全ての国民の皆さんにデジタルの利便性を実感していただき、将来的には行政サービスを全てデジタルで完結させる方向に向かわせたいとは考えております。
 このために、本法案においては、申請等に係る添付書類の省略やオンラインによる手数料の納付を可能とすることによりオンライン申請の利便性を向上させるとともに、高齢者等もデジタル技術を活用し、その恩恵を受けることができるようにするためのデジタルデバイド対策を講ずることとしています。
 このような取組を通じて、全ての利用者にとって利便性の高い行政サービスを実現しつつ、紙からデジタルへの転換を図っていくということであって、その場で全ての紙をなくすということを目的にしているわけではございません。

○塩川委員 紙を否定し、オンライン申請を義務づけるものではない、同時に、デジタルで手続が完結する、そういうものに向かっていきたいというお話です。
 それで、デジタルについては、やはり利便性の向上の面は当然あるわけですし、同時に、デジタルをめぐっては、セキュリティーの問題、あるいは議論にもなっているような個人情報保護の問題、またデジタルデバイドの問題も問われているわけです。ここに対しての対応策が実際どうなのかということが問われてくるわけであります。
 そういったときに、利便性の向上ということであれば、申請者、利用者にとって、デジタルも紙も両方使えるという状態が望ましいんじゃないかと思うんですが、どうでしょうか。

○平井国務大臣 ですから、国民との接点のところのインターフェースは、要するに、いきなりデジタルに全部踏み込んで、それにストレスを感じるような方々がたくさんいるようでは困るわけですね。ですから、そこらあたりを本当にうまく考えていかなきゃいけないし、デジタルにする場合には、そこにサポートする人たちがやはりいること。本来はデジタルも紙も一緒なんですけれども、結局デジタルの方が便利なのに、デジタルを便利だと感じない方々もいらっしゃると思うんです。そこのところをどのようにサポートすれば、一度やってしまえば必ずデジタルの方が便利だと感じていただける方がふえると思いますので、そこらあたりを社会全体で進めていくような、サポートする体制を総務省の方で御検討いただいているというふうに承知しております。

○塩川委員 ですから、サポートする人がいてデジタルの利用が進むようにするというのはわかるんですけれども、紙の利用も残すといったことは、それはもうなくなっちゃうということなんですか。

○平井国務大臣 紙を一気になくすというようなことは現実には非常に難しいと思います。
 今、例えば、ETCで高速道路を乗っていますけれども、どうしてもキャッシュで払いたいという人がいれば、払えるわけですよね。そのかわり、それは非常に不便だというふうに私は思います。
 ですから、これも、要するに、手続の種類にもよるんですが、必ず電子化で完結できるものを全てすぐにやるということではございません。

○塩川委員 でも、紙を残すということはないわけですね。

○向井政府参考人 この法律は、原則、オンラインを義務づけてはおりますけれども、紙をなくせということは一言も書いていないということでございまして、この法律上、紙の扱いについては触れられておりません。現状、今、手続自体は、オンラインは一部入っているにしても、紙のない手続というのはほぼないはずですが、その状態がどういうふうになっていくかというのは今後の社会の流れによって変わっていくものだと思いますけれども、今大臣の答弁にもありましたように、いきなりすぐに紙の手続がなくなるなんということはおよそ考えられないということでございますし、そんなことをすれば、恐らく、私どもとしても、やはりそういういろいろな批判が、耐えられないものだというふうに思います。
 こういうのは、やはり基本的には、国民の利便性の感覚というのが時代とともに変わっていくのに合わせてデジタルと紙というのを変えていく。現状は、私どもは、国民の感覚に比べてデジタルが余りにも進んでいない、政府部門は、というふうに考えております。

○塩川委員 すぐに紙をなくすということではない、将来的にはその方向に行くわけですけれども。そういう点でも、デジタルの活用も紙の活用も両方できるというのが、選択肢としても利用者の利便性にとっては望ましいのではないのか。
 そういうことを踏まえた上で、では、実際、政府はデジタルデバイド対策を行うということですが、先ほど大臣はサポートする人が必要というふうに言いましたけれども、デジタルがふえて、利用者に対してどういう取組を行うということなんでしょうか。

○向井政府参考人 いろいろな取組があろうかと思いますが、大臣が例示として挙げられましたのは、いわゆるデジタルサポーターと申しますか、以前はデジタル民生委員という言い方をしておりましたけれども、今、民生委員がいろいろな高齢者のサポートをしているようなこともございますけれども、そういうふうなまさにイメージだと考えていただきたいんですけれども、例えば、地域地域で、そういう中で、デジタルの能力にすぐれた方が、高齢者で疎い方にサポートしていくとかいうのもありますし、実は、マイナンバー制度で、マイナンバーの関係ではございますけれども、自治体にそういうタブレットを配りまして、それで、自治体の方で、例えば窓口でそういうデジタルデバイドの方の支援ということも考えられると思いますし、これらにつきましてはやはりいろいろな創意工夫をもってできるだけ支援していく。
 その上で、手続だけではなくて、やはりいろいろなデジタルのデバイスがございますので、スマホとか、そういうふうなものについてもなれ親しんでいっていただくと、そういうデジタルの恩恵というものが国民にできるだけ広く広がっていくというふうな、そういうふうなことにつながればいいなというふうに考えております。

○塩川委員 地域地域でサポートするということについて、国が何かやるというんじゃなくて、自治体とか、あるいは市民団体の方、そういった方にお願いするということなんでしょうかね。

○向井政府参考人 今の総務省の事業は国の予算で地域に支援をするということでございまして、実際にやるのは地域でございますけれども、国の予算でやるというふうなことであります。また、私どもがやっております、先ほどのタブレットの配付というのは国の予算でやっております。

○塩川委員 そうすると、経済的事情でIT機器が持てないという方に対しては、そのIT機器を配るという政策になるんですか。

○向井政府参考人 IT機器を配置しているのは自治体に配置しているので、個人に配置することにはなかなかならないと思います。ただ、いろいろな施策の中で、いろいろなケース・バイ・ケースにおいて考えられるというふうには思います。
 それが、デジタルデバイドというのが例えば公的な事業にかかわるような人だったら、それは例えばそういう人に対してもそういうふうな支援をするということも、個人とは言えませんけれども、そういうシステムに対する支援ということもあろうかとは思いますけれども、それらについてやはりケース・バイ・ケースで考えるべきものだと思います。

○塩川委員 ですから、経済的事情でIT機器を取得できないような人について、デジタルで手続してくださいというのは困難だと思うんですが、そういったデジタル機器の入手が経済的事情で困難な人に対してはIT機器を配るということはあるんですか。そういった方々はどうするんですか。

○向井政府参考人 お答えいたします。
 基本的には、やはり自治体の窓口とか、そういうところに置くというのが基本になろうかと思います。それを更に超えてどういうふうにやっていくかというのはやはりケース・バイ・ケースで考えますけれども、一律にそういうのを配るというふうなことにはなかなかならないのではないかと思います。

○塩川委員 そうすると、いずれにしても、自治体の窓口に行くという手続でいえば紙の手続と基本は同じになってくる話で、それはそういうことですよね。

○向井政府参考人 一般的には、デジタルと対面というふうな対比で物がしゃべられますけれども、実は、対面でもデジタルと紙がありますし、遠隔でもデジタルと紙があります。遠隔の場合の紙というのは郵送です。
 それで、対面は、基本的には、今、ほとんどの場合、紙で行われていますけれども、先ほどの答弁で申し上げましたとおり、例えば、マイナンバーカードでピッとやることによりまして、住所、氏名とかが全部相手先のファイルに入りますので、したがって、そういう、紙で一々書いて出す、窓口に行って出すというのではなくて、窓口のところでデジタルということも十分にあり得るということは考えられます。
 そういう意味でのデジタルに、来ていただくというのが便利なのかどうかという問題はとりあえずはおいておいて、まず、考え方としては、対面か、来るか来ないかがデジタル、書面ではなくて、それぞれに書面とデジタルがあって、それをデジタル化していくことも大事だというふうに思います。
 その上で、そういうデジタルデバイドについては、今おっしゃったような、例えば低所得で買えないというふうな方に関してどうするかについては、むしろ、デジタルの問題として捉えるのか、それとも低所得者に何をするかという問題として捉えるか、両方あろうかと思いますけれども、必ずしも、デジタルの方から捉えた場合に、じゃ、一律に全部配れというふうにはなかなかならないのではないかと思います。

○塩川委員 まあ、そういうことなんでしょう。
 ですから、基本は、デジタルに習熟していただきたいということでの働きかけをしようというのが今の政府のデジタルデバイドの対策ということになるわけです。ですから、私の方は紙も残した方がいいんじゃないかと思うわけですけれども、今の政府の施策的には、デジタルデバイドに、習熟してください、国民にデジタルを使いこなしてくださいということを求めるということです。
 ですから、今、遠隔と対面の話がありましたけれども、郵送はわかるんですけれども、遠隔という点ではね。でも、対面の場合というのの重要性というのは、この間強調されているというのは、要は、単なる手続だけじゃなくて、それそのものが、相談もしたいということも含まれているわけですよね、行政手続そのものを全部習熟しているわけではないので。それをデジタルでやるかどうか以前に、その手続そのものについてどうなっているのかといったことについて、やはり相談もしたいということも含めての窓口の意味合いがあるといった際に、デジタルの場合でそれがどういうふうに対応できるのかという問題というのは出てくるだろうと思います。
 ですから、デジタル対応が困難な人にとっては、従来の書面、あるいは窓口での対面による事務手続が今後はずっとなくなっていくということによる利便性の後退が懸念をされるということで、窓口の話でいったときにも、この間、自治体の窓口がどんどん減らされているという問題もあるんですよね。それが、コンビニ等でマイナンバーカード利用による住民票の写しの交付が可能となったといったことを理由にというか口実にというか、自治体の窓口が減らされている例というのが出てくるわけです。
 例えば、東京都の北区は、マイナンバー制度の導入による各種証明書のコンビニ交付サービスの開始を理由に、二〇一八年九月末に七つの区民事務所分室の全廃を行いました。戸籍や住民票、印鑑証明などの発行や各種収納事務を取り扱い、年間事務処理件数は十万件に及ぶというこの分室の廃止は、区民サービスの重大な後退ということで批判が寄せられております。
 我が党の区議会議員の八巻区議などが紹介していますが、王子の区民事務所は、年度がわりの繁忙期、この時期というのは五時間待ちとかになる、そのために、近くにある滝西分室が廃止となるとさらなる混雑が予想される、そういう事態になるということで、北区はマイナンバーカードを使えばコンビニで住民票などを取得できると宣伝していますが、高齢者や障害者などがコンビニでマイナンバーカードを使いこなすのは大変だということも批判が出ています。
 総務省として、こういった批判をどう受けとめておられますか。

○北崎政府参考人 お答えいたします。
 コンビニ交付は、全国のコンビニで、平日、休日を問わず早朝から深夜まで、住民票の写しなど各種証明書を手軽に取得することができるサービスでありまして、住民の利便性の向上のみならず、行政コストの削減にも資するツールとして、平成二十二年二月からサービスを開始したものでございます。今日まで、当該サービスの導入団体及び証明書の交付の枚数は年々増加しておりまして、交付する証明書の範囲についても徐々に拡大してきているところでございます。
 コンビニ交付の導入に当たって、従来の窓口事務との役割分担をどのように考えるかは、当該市区町村において適切に判断されているものと考えておりますが、総務省としては、コンビニ交付サービスの利便性等のさらなる向上を図りつつ、一層の普及を推進してまいりたいと考えております。

○塩川委員 コンビニと役所の窓口の役割分担という話じゃなくて、やはり窓口が減っているということが住民サービスの後退になっているといったところが問われているわけで、その点については、今のお答えでは説明になっていないわけです。
 同じように練馬区でも、二〇一七年三月から、十一カ所あった区の出張所が廃止をされました。出張所に続いて、いろいろな手続の文書の自動交付機も廃止ということで、我が党の区議団によりますと、区は、郵便局での証明書の交付やマイナンバーカードを使ったコンビニ交付で利便性が向上したと正当化をしていますが、区議団が実施をしました区民アンケートでは、約四割の区民の方から、出張所の廃止で不便になったという声が上がっているわけです。
 自治体では、行政手続のデジタル化を理由に、行政サービス、窓口サービスなどの利便性が後退する事態が起きていることで、こういったことが国で起きないということが言えるんでしょうか。

○平井国務大臣 このデジタルガバメントの推進というのは、要するに、利用者中心の行政サービスを実現するためであって、効率化による人員削減を目的としたものではありません。
 委員のお話を聞いておりますと、委員は、デジタル化のメリットということを認めた上で、その使い方に問題があるというふうにお話しになっているんだと思います。ですから、デジタルがだめだとはおっしゃっていない。そうであれば、そこのところは一緒なんですが、それから先のアプローチのやり方だと思います。
 逆に言うと、デジタルの恩恵を本当に全ての人に届けられない、つまり、デジタルにアクセスできないというようなハンディが、逆にそれが問題だと私は思うんです。
 結局、そういうケースの場合、私、地元の自治会で、スマートフォンを持っていない方々にその場で頼まれて、何人か、スマートフォンでマイナンバーカードの申請を私がその場でやってあげました。そうしたら、それは便利。彼らは所有していたわけではありません。たまたま私がそこにスマホを持っていて、彼らが通知カードを持っていたという状況の中で、そういうことも実現すると。
 つまりは、そういうものを所有するということではなくて、デジタルサービスの入り口にアクセスするということだと思うんです。その機会をできるだけふやしていくために、社会全体で協力していきましょうというのが、基本的なデジタルデバイド解消のための方向だと思いまして、平たく言えば、助け合っていこうねということ、それを基本にしたいというふうに考えているわけでございます。

○塩川委員 そうはいっても、このデジタル手続法を通じて行政の効率化を図るという面があるわけですよね。そういう点がこういった形であらわれているんだといった点を指摘しているわけです。利便性の向上といった点が、実際には行政の効率化ということが前面に出ることによって、結果とすれば利便性の後退になっているんじゃないのか、こういうことが国でも同様に起きる懸念はないのかといった問題というのは、これは論点として重要な問題だと考えています。
 ですから、デジタルは、基本は、習熟してくださいと求めるという点でいえば、自己責任を求めるような形であるわけで、窓口における対面業務の重要性を改めて認識すべきだということを申し上げたいと思います。
 それで、今回の法案では、デジタルを活用した行政の推進のため、情報システム整備計画を作成するとしています。これのポイントは何でしょうか。これまでのデジタル・ガバメント実行計画や各府省デジタル・ガバメント中長期計画とどこが違うんでしょうか。

○向井政府参考人 お答えいたします。
 今回の、まさに情報システム整備計画は、より具体的に、こういう事務のこういう手続について、情報システムをこういうふうな感じで整備して、いついつまでにするというふうなものでございまして、より細かく、しかも、BPRとかあるいは手法とかを細かく定めたようなものになるというふうに想定してございます。

○塩川委員 オンライン整備の義務や添付書類撤廃などを法定化をする、そういう中身を盛り込んでいくということですかね。同時に、府省別の計画とは違って、内閣総理大臣が作成する、実際にはIT室が担当するということで、府省縦割りを排すといった趣旨があると承知しているんですが、よろしいですか。

○向井政府参考人 縦割りを排すという意味で、御指摘のとおりでございます。

○塩川委員 内閣官房のIT室が全体を統括をするということで、政府全体の総合調整機能を持つ内閣官房、政府CIOを中心とするIT室において、政府における情報システム調達に係る予算の要求から執行までを一元的に管理するといったことも、ことしの二月のデジタル・ガバメント閣僚会議でも出されているところです。ですから、予算についての要求、執行までを一元的に管理をする、そういう仕組みになっていくということでしょうか。

○向井政府参考人 お答えいたします。
 現在まさに、官房長官をヘッドに、官房長官の指示を受けて、内閣官房を中心に、各府省集まって検討しているところでございますけれども、方向性といたしましては、先生の御指摘のとおり、これまでばらばらに予算に計上し、ばらばらに予算を執行していたというところが、やはり、これまでのシステム構築でいろいろなものが標準化できなかった理由の一つではないか、大きな原因ではないかというふうに考えております。
 もちろん、どこまで計上し、どこまで執行していく、執行というのも、具体的な執行までやるのかというのはさすがに難しいとは思っておりますけれども、ほとんど、例えば仕様書を作成するところまでは少なくとも内閣官房で相当のコントロールをきかせる必要があると思っておりまして、そうすることによりまして、調達が一元化して効率化するというのは、費用を削減する、安く、いいものを調達できるとともに、システムの標準化とかそういうものも進めていけるのではないかというふうに考えております。

○塩川委員 附則の第九条の検討条項にそういう中身が入っているということですので、そういう趣旨として承知をしているところです。IT室が予算の要求から配分まで一元的に管理することになります。
 そこで、大臣に伺いたいんですが、おとといの質疑で指摘をしましたように、IT室には営利企業から給与補填を受けている出向者が多数在籍をしておられるわけです。私、そういう点でも官民癒着の批判は免れないわけで、この公務の公正性の確保に疑念のあるIT室で予算の要求から執行まで一元的に管理することには重大な懸念を覚えるんですが、大臣はどのようにお考えでしょうか。

○平井国務大臣 前回も答弁をさせていただいておりますが、公務の公正性に疑念を抱かれることがないように十分に留意する必要があって、今回、新しい取組ですし、それぞれ職員が入りますと調達制限にも入りますし、企業も必ずしもハッピーではないんですね。
 それでも、今、全体のシステムを変えていかなきゃいけないということなので、このような形で我々が一元化を受けて、もともと各省庁がちゃんとした調達をできているんだったら、こんなことはしていないわけです。ですから、このサイロに陥った調達というものが国民にとって大きなマイナスなので、ここは、初めてのやり方ですけれども一元化して、そして、新しい知見を持った人たちにも協力してもらって、この窮地を乗り切りたいというような取組だと考えていただければと思います。

○塩川委員 公務の公正性の確保に疑念が生じないようにというんですが、今私が指摘しているように、給与補填というやり方そのものが疑念を生じているわけで、そういった問題をおいたまま、じゃ、信頼してくださいというふうにならないということであります。実際、この間、情報システム予算が増額の一途をたどっているわけで、IT室が司令塔となって、情報システム整備の計画や予算要求、執行の一元的な管理が行われることで、この官民癒着の疑念が一層深まるということを指摘せざるを得ません。
 そこで、次に自治体の関係なんですが、今回の法案は、地方自治体にも紙からデジタルへの転換を求めるというものになるということでよろしいでしょうか。

○向井政府参考人 これまでの答弁でもございましたように、国は義務、自治体につきましては努力義務というふうになってございます。

○塩川委員 努力義務ということです。
 法文の第五条第一項には、「国の行政機関等は、情報システム整備計画に従って情報システムを整備しなければならない。」とあります。自治体は、この規定に基づき講ずる措置に準じて、必要な措置を講ずるよう努めなければならないと第五条第四項でなっています。
 そうしますと、自治体に対して、国の情報システム整備計画に準じるような計画の作成を求めていくということになるんでしょうか。

○向井政府参考人 お答えいたします。
 官民データ活用計画と似たような構造になっておりますけれども、いずれにしても、自治体には努力義務というのがかかっておりますので、それについては自治体が努力していただくということになりますけれども、当然のことながら、国はサポートする必要があると思っておりまして、私どもとしては、各自治体にそういう計画をつくっていただけるような環境をつくるとともに、助言等のお手伝いをさせていただきたいというふうに思っています。

○平井国務大臣 このデジタル手続法案においては、地方公共団体については、先ほど話がありましたとおり、オンライン化を義務化せず、それぞれの事情や能力を踏まえてオンライン化を進めていけるように努力義務というふうにしているんですが、地方公共団体に対する支援策については、現在でも、例えば自治体クラウド導入に対する交付税措置、自治体のシステムの共同利用化を前提とした業務改革に対する補助金の交付等を実施しているところであります。
 また、デジタル技術を積極的に活用して先進的な取組を行っている地方自治体の取組を積極的に横展開し、全国的に広げていくことも、我が国全体の、地方自治全体のデジタル化を効率かつ効果的に進めるためには、有効な手段の一つというふうに考えています。
 このような事例も参考にしながら、今後、政府として積極的に取り組む地方自治体を厚く支援することにより、地方のデジタル化を進めてまいりたいと考えております。

○塩川委員 私が聞いているのは、国の情報システム整備計画に準じて、自治体にも計画の作成というのをつくってくださいよと求めるんでしょうかということなんです。

○向井政府参考人 法律上、努力義務はございますので、私どもとしては、そういう法律上、努力義務があることを示した上で、自治体に、つくっていく、そういう努力をしていただけるようにお願いしていくということだと思います。

○塩川委員 総務省でもいいんですけれども、では、どういう計画をつくってくださいというふうになるんでしょうかね。

○向井政府参考人 国に準じてということでございますので、まず、国の計画をつくった上で、何らかのひな形を示すような形で、こういうふうなものというのは一応お示しした上でつくっていただくというふうな、そういうふうな手続になるのではないかと想定されます。

○塩川委員 先ほど大臣の答弁の中にも自治体クラウドの話がありました。いろいろな共同利用についての補助金というのがあるんですが、複数の自治体でシステムを統合して使用するといった事例なんかが既に進んでいるわけです。
 この自治体クラウドの導入についてお聞きしますが、国は、自治体のデジタル化を進めるために、複数の自治体で情報システムを共有し、標準化する自治体クラウドの導入を推進しています。
 骨太方針二〇一八には、「自治体クラウドの一層の推進に向け、各団体はクラウド導入等の計画を策定し、国は進捗を管理する。」とあります。ですから、国の情報システム整備計画に準じて各自治体はクラウド導入計画の策定ということを、国として促していくということになるんですか。

○佐々木政府参考人 地方自治体において情報化、デジタル化を進めるためには、クラウドは極めて有効な手法だと考えております。また、クラウドをすることによって共同化も非常に容易に取り組むことができるということで、これまでも自治体においてクラウド化、特に共同の自治体クラウド化をお願いする、そういうことを財政的な支援も含めて行ってきたところでございます。

○塩川委員 ですから、骨太方針に、クラウド導入計画の策定を自治体に求め、国が進捗を管理するとあるものだから、今回の法案に言う国の計画に準じて自治体によろしくというのは、このクラウドの導入計画も含むんですか。

○佐々木政府参考人 法案自体の中身についてはIT室に確認していただきたいとは思うんですが、今回の計画というのは、これまでのクラウド計画とは違うものでございます。今回、国が制定するやり方、国が取り組むやり方に準じてということですので、その準じるという側面において違ってくるということだろうと考えております。

○塩川委員 内閣官房にお聞きしますが、要するに、クラウドが自治体にお願いするという計画の中に入らないということですか。

○向井政府参考人 現状、それは未定でございます。

○塩川委員 未定ということですから、骨太方針では、そういう形で計画をつくってくださいよ、国が進捗状況をきちっと管理するというふうになっているわけです。そういった点でも、自治体に自治体クラウドの導入計画をどんどん進めようという姿勢がここにあらわれています。
 それで、政府のIT戦略では、クラウド導入市区町村が平成二十九年度末で一千団体を達成したので、平成三十五年度末までにクラウド導入団体数について約千六百団体となるよう取り組むとしています。国が音頭をとって自治体のクラウド導入を促進してきました。
 そこでお尋ねしますが、自治体クラウドについてはさまざまな批判があります。例えば、富山県上市町の場合ですけれども、我が党の町会議員さんが三人目の子供の国保税の均等割の免除、また六十五歳以上の重度障害者の医療費窓口負担の償還払いを現物給付にと具体的な提案を議会で行ったところ、町長が、自治体クラウドを採用しており町独自のシステムのカスタマイズはできないということで、できませんという答弁を行ったということなんです。
 ですから、自治体クラウドによって、行政の仕事内容をシステムに合わせることとなり、自治体独自の行政サービスの提供が阻害されているんじゃないでしょうか。

○佐々木政府参考人 御指摘された富山県上市町における議会でのやりとりということは、同町のホームページにおいて確認したところでございます。
 同町長の議会答弁そのものについての個別のコメントは差し控えさせていただきたいのですが、総務省としては、クラウドについても、パッケージソフトに対するカスタマイズは行わないことを原則とすべきという基本方針を、助言という形で示しております。
 ただ、その方針の中では、住民サービスの維持向上等の観点からパッケージ機能による対応では不十分である場合であって、カスタマイズ以外の代替措置で対応することが困難であるなどの事由がある場合には、カスタマイズを行うこともやむを得ないという助言をさせていただいているところでございます。
 カスタマイズそのものにつきましては、むしろ、効率化の原則とか共同処理のメリットを出す意味でできるだけ控えた方がいいというのは当然ですが、個々の具体的なケースにおいて、どうしてもカスタマイズしないとそういう住民サービスの向上ができない、いけないという場合には当然許容されているというふうに総務省としては助言しているところでございます。

○塩川委員 ですから、今言ったのも、カスタマイズ以外の代替措置がない場合にはカスタマイズ、これを変更するということがあるという話なんですけれども、でも、それは、今言ったような、三人目の子供さんが生まれたときに、均等割がかかるわけですよ、人頭税みたいなものですから、あれは。家族がふえたら、均等割、一人何万円を払うというのは、家族が生まれて、お祝いじゃなくて、ペナルティーをかけるような制度ですから、これはおかしいという話になるわけで、そういった措置がとれないんですかというものについて、いや、カスタマイズを抑制していますからという話というのはおかしい。
 かわりの措置をとるというんだけれども、そもそもそういう減免の措置をとればいいわけで、それが妨げられるということ自身が、自治体のまさに住民自治を発揮をする、住民の福祉の増進を図るという自治体の本来の業務に大きな障害をもたらすものと言わざるを得ません。
 今の答弁にもありましたけれども、総務省は、自治体に対して、地方公共団体の自治体クラウド導入における情報システムのカスタマイズ抑制等に関する基本方針という通知を発出しています。ですから、そこの中で、地方公共団体の情報システムについては、現在、複数団体で共同利用する自治体クラウドの取組を推進しているが、情報システムにカスタマイズを加えようとすれば、団体間の調整が必要となり、その結果、自治体クラウドの導入を阻害する要因となるほか、追加的な情報システム経費の発生や情報システムの稼働の不安定化というリスクにもつながるとして、パッケージソフトに対するカスタマイズは行わないことを原則とすべきと求めているわけです。
 地方クラウドを推進する国がカスタマイズを抑制することを求めていることは、私は地方自治の侵害だと言わざるを得ません。この自治体クラウドによって、業務の効率化を優先して、システムに業務を合わせるようになっているわけです。ですから、住民の多様なニーズに応えることを棚上げをして、住民サービス拡充の障害になっている。そういった点でも、本来、多様な地域に多様な自治体が存在しているわけで、この自治体クラウドはその自治体の多様性を損なうものとなっているという点は極めて重大だと言わざるを得ません。
 この点について、総務省、どうですか。

○佐々木政府参考人 委員御指摘の論点については、カスタマイズの中身の定義の問題だと思います。
 我々として、地方自治体が、議会、首長が同意して、住民サービスの向上をしたいという判断をした場合に、そのカスタマイズ、それに伴うシステムの改修を行ってはいけないという助言はしていないところでございます。

○塩川委員 複数の自治体で自治体クラウドをつくってくださいと促して、地方財政措置も行っているわけです。その結果として、多様な自治体の多様性が損なわれるような事態になっていること自身が大問題だと言わざるを得ません。
 市区町村における情報システム経費というのは、今どのぐらいになるんでしょうか。

○佐々木政府参考人 総務省において実施した調査では、平成二十九年度当初予算における全市区町村の情報システムの経費は四千七百八十六億円となっております。
 今後、こうした調査を継続し、その推移を把握してまいりたいと考えております。

○塩川委員 平成二十九年度当初予算における市区町村の情報システム経費は四千七百八十六億円と。これは、把握したのはこれが初めてということで、今後把握していくと。
 今後ふえる見込みということでしょうかね。

○佐々木政府参考人 現時点で、ふえるか減るかということは、私は答えることができませんが、IT化を進めるということについては、ITの設備投資を行うということでもございますので、その経費の中身を分析してみて、維持管理に要するコストを効率化する。ただし、IT化の推進に要する経費はどんどん進めていくということもあろうかと思っております。
 ただ、今後どうなるかは、この時点で私がどうだということは、今、言える状況にはございません。

○塩川委員 国の場合、この四年間は、整備も運用もどんどんどんどん、ずっとふえているわけですよね。ですから、そういった点で、この先どうなるのかといったときに、自治体においても、国が自治体クラウド導入の計画を各団体に策定することを求め、その進捗を管理するということが骨太方針に出ているわけですから、こういった方針を徹底する上で、こういった自治体クラウドを促進する、結果とすると情報システム経費が膨らんでいくという点でも、IT室の批判も行いましたが、新たなIT公共事業といったことも問われてくるのではないのかということを指摘しておくものです。
 それで、続いて、AIに係る諸課題についてお尋ねをいたします。
 大臣にお聞きしますが、IT戦略の文書の中に、AI技術の研究開発と社会実装の項があります。そこでは、AIが生み出す成果の品質基準を設けるか否か、AIが現在の労働産業構造にどのような影響を与えるか、AIの下す判断の倫理上の扱い、そして、AIの判断結果に対する責任の所在など、今後、AIの社会実装が進むに伴い生じると思われるさまざまな課題についても、今後、検討していくことが必要であるとしています。
 このようなAIに係るさまざまな課題について、大臣、どのように認識しておられるかもぜひお聞きしたいし、どこでどのような検討を行っているのかについて教えていただけますか。

○平井国務大臣 今、まさにAIは、世界各国が投資をして、競争状態、開発イノベーションで競争状態にあるんですが、我々日本の立ち位置は、やはり倫理とか基本原則をちゃんと踏まえた上で、今回のAIというのは社会実装を伴うものなので、そこは日本流にきっちりやりたいというのが基本スタンスです。
 その上で、AIの社会実装の重要性に鑑みて、昨年策定されたIT戦略において、AI活用の重要性と今後必要となる検討課題を提示しています。
 具体的には、AIがもたらす倫理上の課題については、人間中心のAI社会原則会議において、AIの品質基準や高付加価値サービスへの構造転換などに関する社会実装に向けたさまざまな課題については、AI戦略に関する有識者会議において、AI判断結果に対する責任の所在については、例えば自動運転における事故時の責任に関しては、IT総合戦略本部のもとの道路交通ワーキンググループなど、各分野において検討が進められています。
 引き続きこれらの会議等で議論を進めまして、高齢化社会が進む我が国において、国民が安心して生活できるよう、AIの社会実装をしていきたい、そのように考えています。

○塩川委員 それぞれの分野で検討が進んでいるというお話です。自動運転の話ですとか倫理上の扱いなど、人間中心のAI原則のその場での議論の話にもありました。
 やはりAIをめぐっては、この間、報道も随分ふえていますし、最近の日経を見ると、その記事がずっと続いているものですから、おもしろく読んでいるところです。
 アリペイの話なんかもありましたが、アリペイAIによる信用力スコアというのが、融資ですとか与信ですとか、住居の賃貸とか、裁判などにも、さまざまな場面で使われているなんということも言われているところです。日本でも、ソフトバンクが新卒採用のエントリーシートの評価にAIのプロファイリングを用いるということなんかもされておりました。
 そこでお尋ねしたいんですが、大臣も紹介されました統合イノベーション戦略推進会議決定の人間中心のAI原則では、
 AIは、社会を良くするために使うことも可能であれば、望ましくない目的達成のために使われたり、無自覚に不適切に使われたりすることもありうる。
と指摘をしています。
 人間に期待される能力、役割について記述をしているわけですが、
 AIの長所・短所をよく理解しており、とりわけAIの情報リソースとなるデータ、アルゴリズム、又はその双方にはバイアスが含まれること及びそれらを望ましくない目的のために利用する者がいることを認識する能力を人々が持つことが重要である。なお、データのバイアスには、主として統計的バイアス、社会の様態によって生じるバイアス及びAI利用者の悪意によるバイアスの三種類があることを認識していることが望まれる。
 こういった、AIに係る、人間にそれをどう理解をするのかといったことが問われているという課題があるんですが、このことについて大臣はどのようにお考えかというのと、こういったバイアスが問題となるような事例というのは、どんなものが具体的に挙げればあるのか、その点を御紹介いただけますか。

○平井国務大臣 データのバイアスによって人々の差別につながる事例については、人間中心のAI社会原則の検討会議においても、人種や肌の色によって、年齢等の認識率、精度に大きな開き、誤差があったという事例が紹介されていると承知しています。
 また、ある企業の人材採用システムの学習データが、男性中心の応募者や合格者のデータにより学習されたものであったことから、男性の方が採用に適した人材であると判断したという例が報道されていると承知しています。
 まず、人々の差別や不利益をこうむらないようにするための最も基本的かつ重要な打ち手は教育ではないかと我々考えておりまして、人間中心のAI社会原則において、教育、リテラシーの法則、データにバイアスが含まれることや使い方によってはバイアスを生じさせる可能性があるということなどを理解することの必要性があるというふうに思います。
 それを受けて、現在検討中のAI戦略では、全ての国民が、デジタル社会の読み書きそろばんとして、数理、データサイエンス、AIに関するリテラシーを身につけるための教育改革について検討しています。
 加えて、技術的な対策として、AI戦略では、収集するビッグデータの偏りや誤りなどを検知して品質保証に資する基盤技術の確立や、データ品質を担保するための指標や測定方法等に関する国際基準の提案について取り組む方向で検討しています。
 日本は、AI倫理原則というものを今まで主導してきたし、これからも、その価値観を共有する国々と一緒になって進めていきたいというふうに考えます。
 AIをこれから実装するときに、今後、AIに振り回されたり、こんなはずじゃなかったというような社会にならないように、そこは原則をきっちりつくってから社会実装を進めるべきだと考えています。

○塩川委員 今大臣が紹介されたのはきょうの日経新聞でちょうど出ていましたけれども、みずほ銀行がソフトバンクと共同出資をしたジェイスコアの記事が出ていたわけですけれども、個人向けの融資の判断にAIを用いる業務を開始したところ、年収や職業など他の条件が同じでも、性別を男性から女性にするだけでスコアが下がるという指摘があった。結果として、いろいろ悩んだんだけれども、性別の影響を弱める修正に踏み切ったと。
 要するに、AIの側には、では本当に因果関係があるのかというのはわからないわけですよね。そこのところが今言ったバイアスの問題として出てくるというのは、これは、そういったバイアスがあるよという認識を我々がしっかり身につけるということはもちろん重要だと思います、教育の話、リテラシーの話なんですけれども、いや、そもそもそれだけでいいのかという問題も問われてくるんだと思うんですよね。
 そういった影響についてどうしていくのか。この点は、もう既にアメリカの問題なんかも紹介されていましたけれども、どうするんですか。

○平井国務大臣 AIが社会の大きな話題になるというのは、これで三回目なんですね。第三次AIブームと言っていいのかと思います。ただ、前回の二回と違うのは、相当いろいろなものが進んだ、AIに関して。ディープラーニングであったり、テキストでもそうです。
 そういう状況の中で、一方で、社会実装しているところはもうしているんですね。AIというものの定義の範囲が、例えば、出店するときの最適化とか売上予測とか、要するに、今言っているAIという言葉の範囲が物すごく広くなっているんです。そういうことを考えると、社会実装というのは、もうとめられる状態では全くありません。
 ですから、日本は、人間生活に大きく影響する使い方のものに関して誤らないように、社会原則そして倫理の問題を、リーダーシップをとりながら取りまとめていきたい。これは、世界的に、日本が問題提起して取りまとめていきたいと考えています。

○塩川委員 やはりディープラーニングは転機だと思いますけれども、ビッグデータそしてAIという形で、それが、日本の場合にはIoTも含めてこれを活用しようということを戦略としているわけですけれども、やはり問われているのは、AIによって、さまざまな差別、不利益が生じ得るといった問題が出てくるわけです。
 これも、だから、つい最近の日経の報道で、アメリカのロサンゼルス市警は、二〇一一年から使用している犯罪予測システムについて、データの使い方を見直すということを明らかにしたということでした。AIが過去の捜査情報を分析し、犯罪を起こしやすい人物や地域を示した。犯罪は一部で減ったけれども、黒人などへの過剰な取締りにつながったと指摘をされた。過去の捜査に人種差別の影響があり、差別を再生産したと批判を呼んだわけです。ですから、アメリカでは、ビッグデータに基づくAIプロファイリングが、マイノリティーに対する差別や排除を助長するという認識も広がっているところです。
 ですから、その点で、今大臣がお話しになったのが、人間中心のAI原則の話をされました。企業や民間などについても、そういった見地でしっかり取り組んでくださいよという働きかけをする、G20もありますから、これも国際的にも示していきたいということなんですけれども、要は、そういうレベルでいいのかというところが問われているんじゃないでしょうか。
 実際、そういったバイアスによって、不当な差別や不利益をこうむることがないような取組をどうしていくのか、これは真剣に考える必要があると思うんですが、どうでしょうか。

○平井国務大臣 その問題には、十分に我々は問題意識を持っておりまして、有識者の皆さんと議論しながら、また各国の方々も、こちらに来られると私も面談しますけれども、やはり、AIの社会実装とその影の部分、データのバイアスの話というのは共通の問題意識です。
 ですから、これはやはり、話し合いながらルールを決めていくというのが望ましい方向だと私は思っております。

○塩川委員 その点では、やはり、プライバシー確保をどう図るかというところでのルールづくりが問われているんだと思うんです。
 統合イノベーション戦略推進会議決定の人間中心のAI原則でも、原則を幾つか並べて、そのうちの一つの「プライバシー確保の原則」では、「AIを前提とした社会においては、個人の行動などに関するデータから、政治的立場、経済状況、趣味・嗜好等が高精度で推定できることがある。これは、重要性・要配慮性に応じて、単なる個人情報を扱う以上の慎重さが求められる場合があることを意味する。パーソナルデータが本人の望まない形で流通したり、利用されたりすることによって、個人が不利益を受けることのないよう、」「パーソナルデータを扱わなければならない。」とあります。
 その方策の一つとして、「本人が実質的な関与ができる仕組みを持つべきである。」という指摘をしているんですが、これはやはり、個人情報保護法の改正を含めてしっかりとした対応をとる必要があるんじゃないかと思うんですが、大臣、もしお考えあれば。

○平井国務大臣 個人情報保護法の改正は私の所管ではありませんが、人間中心のAI社会原則においては、プライバシーの確保のために必要な関係者間の基本的な共通認識として、「パーソナルデータを利用するAIは、当該データのプライバシーにかかわる部分については、正確性・正当性の確保及び本人が実質的な関与ができる仕組みを持つべきである。」とされています。「実質的な関与」とは、例えば、パーソナルデータを保有する者が、個人からの請求に応じてその利用を停止したり、媒体から消去することなどが考えられます。
 パーソナルデータは、その重要性、要配慮性に応じて適切な保護をされる必要がありますが、具体的な関与の方法については、今後、企業実務の観点も考慮しつつ、利活用と保護のバランスを図りながら、政府と産業界が一体となって、各利用分野の個別事情に応じてきめ細やかに検討される必要があると考えているところでございます。

○塩川委員 個人情報保護法所管の個人情報保護委員会にお尋ねしますが、今、三年ごとの見直しの検討を行って、つい先日、昨日ですか、中間整理を出したところです。その議論の中でも、こういった個人情報保護をめぐる国内外の動向でEUのGDPRの例を紹介して、忘れられる権利、また、プロファイリングに関する規定などを紹介していたところです。
 ぜひ、こういった忘れられる権利などをしっかりと規定することが必要だと思うんですが、この点でGDPRはどう対応しているのか、日本の個人情報保護法、今、この中間整理ではどうしようと思っているのか、それを教えてもらえますか。

○其田政府参考人 お答え申し上げます。
 お尋ねのありましたEUのGDPRにおきましては、消去権について第十七条で規定しているというふうに承知をしております。具体的には、個人データが収集された目的等との関係で必要がなくなった場合、データ主体が同意を撤回し、かつ、その取扱いのための法的根拠がほかに存在しない場合など一定の場合には、データ主体が自己に関する個人データを消去させる権利を持ち、また、データの管理者が個人データを消去すべき義務を負うものと承知をしております。
 一方で、我が国の個人情報保護法でも、個人データの取扱いに係る本人の関与等について一定の規定が設けられております。
 具体的には、第二十九条において、保有個人データの内容が事実でないときは、本人は、個人情報取扱事業者に対し、内容の訂正、追加又は削除を求めることができる。
 また、三十条一項におきまして、第十六条の利用目的に関する規定に違反しているとき、又は、十七条の規定に違反して不正に取得されている場合には、本人は、個人情報取扱事業者に対し、利用停止等を求めることができるとされております。
 さらに、第十九条において、個人情報取扱事業者は、個人データを利用する必要がなくなったときは、当該個人データを遅滞なく消去するよう努めなければならないとされております。
 先ほど御指摘をいただきました、昨日公表いたしました個人情報保護法のいわゆる三年ごと見直しに係る検討の中間整理におきまして、利用停止等を含む個人情報に関する個人の権利のあり方についても個別検討項目として取り上げております。
 忘れられる権利や利用停止権につきましては、現行の個人情報保護法上、利用停止や消去の請求ができる場合が、不正取得等、一定の場合に限定されておりますけれども、消費者の声として対象の拡大について要望が強いということも踏まえまして、今後、実務の観点も考慮しながら検討してまいりたいと思います。

○塩川委員 時間が参りましたので終わりますが、委員会の議論でも、今回の見直しの中で個人の権利のあり方についての重要課題は削除、利用停止だと思う、消費者側からは自分の個人情報を事業者が削除、利用停止しないことへの強い不満があると。今も紹介がありましたけれども、そういった点で、忘れられる権利の拡大を図るべきだと指摘をしているわけです。しかし、四月二十五日付の日経報道では、企業にデータの完全削除を強いる忘れられる権利などは導入を先送りした、これは、背景にあるのは、経団連が一連の規制強化には慎重な検討が必要だとする声明を発表した、こういうことも例示をしています。
 プライバシーの権利保障などの個人情報保護よりも企業利益を優先する、こういうことがあってはならないということを申し上げて、質問を終わります。


「議事録」(反対討論)

<第198通常国会 2019年04月26日 内閣委員会 15号>

○塩川委員 私は、日本共産党を代表して、デジタル手続法案に反対の討論を行います。
 本案は、行政の手続や業務に用いる情報を紙からデジタルデータへと転換し、オンライン化を原則として、利便性の向上、行政の効率化を図るというものです。
 しかし、利便性向上というものの、障害者や高齢者などデジタルを使いこなすことが困難な条件や環境にある人、経済的事情でIT機器が利用できない人などへの具体的な対策は、デジタルに習熟せよと求めるものです。従来の書面、窓口での対面による手続がなくなっていくことによる利便性後退の懸念は拭えません。
 実際、マイナンバーカードの利用拡大を理由に窓口を廃止する自治体の事例もあります。住民にとって行政サービスが後退する事態が生じており、デジタル転換による行政の効率化を口実に、同じようなことが更に広がることになりかねません。
 今回の法案は、地方自治体に対して努力義務を課しています。この間、政府は、一番身近な行政サービスの窓口である自治体に対して、マイナンバーカード導入に伴うデジタル化や複数の自治体でシステムを共有し標準化する自治体クラウドの導入を推進してきました。
 自治体クラウドによって、システムに行政の仕事内容を合わせることが目的となり、自治体独自のサービスが抑制されている事態があることも明らかとなりました。地方自治体の多様性をなくし、自治体の自立性を失わせることは、住民の福祉の増進を図ることを基本とした地方自治体の住民自治、団体自治を侵害するものと言わなければなりません。
 さらに、行政手続オンライン化に必要となるマイナンバーカードについて、政府は、マイナンバーカードのICチップを使うときは暗証番号が必要になるから、ほかの人には使えないと宣伝しておきながら、暗証番号入力を要しない方式で利用できる方法を入れ込み、更に通知カードを廃止して、マイナンバーカードへの移行を促進しています。
 政府が幾ら宣伝しても、国民の不安は拭えず、利便性もないことから、普及率がいまだ一割という状況で、マイナンバーカード制度は失敗しているのは明らかです。
 マイナンバーそのものの問題点もさることながら、このようにして、国民にマイナンバーカードを押しつけるやり方はやめるべきです。
 以上、申し述べ、反対討論を終わります。

【内閣委員会】航空自衛隊基地内に米軍への提供施設/目的を追及/進む米軍と自衛隊の一体化

 航空自衛隊入間基地や那覇基地で進む日米軍事一体化について質問しました。

 埼玉県にある空自入間基地内に、日米地位協定に基づき米軍に提供されている「FAC3013横田飛行場」と「FAC3050入間飛行場」という二つの施設及び区域がある。

 「FAC3013横田飛行場」のうち、日米地位協定2条1項a(米軍が専用で使用する施設及び区域)に基づいて米軍に提供されている7平方メートルについて、その使用目的と置かれている場所を質問。

 防衛省は「日米間において情報共有を図る目的で、米軍の通信機器を設置するため。置かれている場所は防空指令所(DC)」と答えました。

 さらに、設置された米軍の通信機器は、JADGEシステム(空自の自動警戒管制システム。防空及び弾道ミサイル対処における一元的な指揮統制を行う中核的なシステム)の運用開始と関連があるのか、と質問。

 防衛省は「その通りだ」と答えました。

 また、入間基地以外で防空指令所(DC)がある三沢、春日、那覇基地では、米側に通信機器の設置場所を提供しているのか、と質問。

 防衛省は「通信機器を設置する目的で提供しているものはないが、那覇基地において、2-1-aに基づいて事務室として60平方メートルを提供している」と答えました。

 60平方メートルの利用目的について質問すると。

 防衛省が「細部については承知していない」と答えなかった。

 2-1-aというのは常時使用だ。自衛隊基地内で米軍との一体的な運用がなされているのに、明らかにしない。日米地位協定の在り方そのものが問われている。

 JADGEシステムは、弾道ミサイル対処のためイージスアショアとも連接される。イージスアショアの配備が予定されている秋田県と山口県では、地元から配備反対の声が挙がっている。米太平洋軍のハリス司令官が「イージスアショアは米海軍や太平洋艦隊の負荷の一部を軽減する」と述べている。

 アメリカの軍事戦略に日本が組み込まれる形で、米軍と自衛隊が一体化をしている点でも、一連の動きは看過できない。

衆議院TV・ビデオライブラリから見る


「議事録」

<第198通常国会 2018年04月24日 内閣委員会 14号>

○塩川委員 日本共産党の塩川鉄也です。
 きょうは行政のデジタル化の集中ということで、最初に、この前の質問のときに、平井大臣に政府CIOポータルの改善ということをお願いしまして、早速直しが入っていたということで、少しは見やすくなったなと思っておりますので、ありがとうございました。
 それで、きょうはまず最初に、行政のデジタル化ということですので、防衛省・自衛隊のデジタル化ということに関連して、自衛隊の自動警戒管制システム、いわゆるジャッジシステムについてお尋ねをいたします。
 航空自衛隊入間基地における日米地位協定に基づく米軍提供施設についてまずお聞きします。
 入間基地内には、FAC三〇一三横田飛行場とFAC三〇五〇入間飛行場と二つの提供施設が置かれています。米軍の同じ提供施設なのに、同じ入間基地内に二つに分けて設置されている、提供されている。この使い分けをしている理由は何なのかについてまず教えてください。

○中村政府参考人 お答え申し上げます。
 一般に、日米地位協定に基づきまして米軍に施設・区域を提供する際には、既に提供されている施設・区域内に新たな建物などを追加して提供する場合には、この施設・区域の一部として追加提供しているところでございます。また、米軍が自衛隊などの施設の一部を使用する場合に、それが機能的にほかの米軍施設・区域の付随施設と位置づけられる場合には、その本体となっている米軍施設・区域の一部として追加提供しているところでございます。委員御指摘の入間基地の中にございます横田飛行場がそれに該当してくるということになろうかと思います。
 このような考え方を踏まえまして、航空自衛隊入間基地におきましては、横田飛行場の付随施設と位置づけられる施設について、横田飛行場の一部として追加提供を行っているところでございます。
    〔委員長退席、松本(剛)委員長代理着席〕

○塩川委員 そうしますと、航空自衛隊入間基地なんだけれども、横田飛行場という名称がついている。その横田飛行場となっている施設・区域の提供については、横田基地に付随する施設、横田基地の機能の一部として提供しているという説明であったわけです。
 それ以外に、入間飛行場という名称のついている提供施設・区域もあるわけですが、こっちの方は訓練想定とかそういうことになるんでしょうか。

○中村政府参考人 お答え申し上げます。
 入間基地においてFAC三〇五〇入間飛行場として提供しているものは、土地ですとか工作物ということで、訓練などに使用しているというところでございます。

○塩川委員 入間飛行場という名称で米軍に提供している施設・区域については、飛行場の災害復旧訓練施設として提供しているというふうに承知しているんですが、それでよろしいですか。

○中村政府参考人 お答え申し上げます。
 委員御指摘のとおりで相違ございません。

○塩川委員 米軍に提供している施設・区域、日米地位協定に基づき提供している施設・区域については、入間基地内においては、入間基地内の施設を飛行場における災害復旧訓練施設として提供しているんだけれども、横田飛行場の方は、横田基地の一部として、付随施設として機能するものを提供しているということになるわけです。
 提供施設の中でも区分があって、米軍による一時使用の扱いとなる二4(b)と、米軍が専用で使用する二1(a)が存在をします。この中で、横田飛行場の二1(a)で提供している施設・区域に七平米と言われる部分があるんですけれども、ここの使用目的というのは何になるんでしょうか。

○中村政府参考人 お答え申し上げます。
 委員御指摘の施設につきましては、日米間において情報共有を図る目的で、米軍の通信機器を設置するために、地位協定第二条第一項(a)の規定に基づき米軍に提供しているものでございます。

○塩川委員 日米間において情報共有を図る目的で米側の通信機器を設置する、そのスペースとして提供しているということなんですけれども、この通信機器が設置をされている場所というのは、現状、自衛隊が何のために使用している場所になるんですか。

○中村政府参考人 お答え申し上げます。
 委員御指摘の施設でございますけれども、入間基地の西側に所在をします庁舎の一部を提供しているものでございます。航空自衛隊は、この庁舎を主に、中部航空方面隊司令部ですとか中部防空管制群、こういった部隊が事務室などとして使用しているものでございます。

○塩川委員 その中には防空指令所、ディレクションセンターとかがあるんですけれども、その防空指令所の中に置かれているのではありませんか。

○中村政府参考人 お答え申し上げます。
 御指摘の庁舎の一部の事務室につきましては、防空指揮所としての機能を有しているものでございます。

○塩川委員 防空指揮所。ディレクションセンターということでいいのかな。(中村政府参考人「さようでございます」と呼ぶ)はい。ディレクションセンター、防空指令所として使用している部分だということですけれども、そうしますと、入間基地の中に警戒管制のスペースがあって、そこに防空指令所という形で、弾道ミサイル防衛ですとか航空機対処ということでの情報を収集して、それに対しての対処を行うという場所になっているわけですけれども、そういった自衛隊の施設内に、七平米、米軍側に提供している、通信機器を設置をしている。その場所には米軍の要員というのは配置をされているんですか。

○中村政府参考人 お答え申し上げます。
 米側は、米軍の軍人軍属が常駐しているか否かを含めまして、個別の基地に所属する軍人軍属に関する情報を明らかにはしておりません。したがいまして、御質問に対しまして防衛省として回答することは差し控えさせていただきます。

○塩川委員 米軍基地内の話だったらまだしも、航空自衛隊の基地内なんですよ。航空自衛隊の基地の中に米軍のスタッフがいる、いないか、すぐ確認できるんじゃないですか。

○中村政府参考人 お答え申し上げます。
 先ほども御答弁したところで恐縮でございますけれども、米軍は、米軍の軍人軍属が常駐しているか否かを含めまして、個別の基地に所属する軍人軍属に関する情報を明らかにしてございませんので、防衛省としてそういった御質問に対して回答することは差し控えさせていただきます。

○塩川委員 米軍のやることは何でもかんでも運用にかかわることだからお答えを差し控えたい、そういう話では、何をやっているか実態がわからないわけですよ。
 実際、自衛隊の基地の中で米軍が活動しているわけですから、そういった日米の軍事面での一体化というのはどういうふうになっているのかというのはやはりきちっと我々としてもただしていかなくちゃいけないわけで、そういったことについて、自衛隊基地内の話なのにわからないというのは答弁としては本当に納得できないところであるわけです。
 そうすると、そういった通信機器設置のために七平米が提供されているというところなんですが、提供した時期というのが二〇〇九年六月十二日です。日米合同委員会が追加提供を承認しているんですが、これはちょうど自動警戒管制システム、ジャッジが運用を開始される時期にも当たるわけですけれども、米軍に提供している通信機器を設置しているスペースというのはジャッジシステムと連携、連接をしている、そういう場所ということでよろしいでしょうか。

○小波政府参考人 お答えいたします。
 ただいま、入間基地内において日米地位協定第二条第一項(a)に基づき米側へ提供された施設には、日米間において情報共有を図る目的で米軍の通信機器を設置しています。この通信機器は防空に関する情報を日米間で交換するために空自の防空システムであるジャッジシステムと連接しているところでございまして、委員御指摘のとおりでございます。

○塩川委員 ジャッジシステムと連接しているということですけれども、この自動警戒管制システム、ジャッジというのはどういうものなのかについて簡単に説明していただけますか。

○小波政府参考人 お答えいたします。
 委員御指摘のジャッジ、いわゆる自動警戒管制システムは、我が国の防空及び弾道ミサイル対処における一元的な指揮統制を行うに当たり中核となるシステムでございます。ネットワークを介しまして日本全国各地のレーダーサイト及び各自衛隊が有する各種システムと連接しており、その主要な機能といたしましては、警戒管制レーダー、早期警戒管制機等が捕捉した目標情報を集約し、航跡情報を作成し、追尾、探知した目標の敵味方を識別、データリンク等を介して兵器割当て、要撃管制に関する指示の伝達などを行うことが可能なものでございます。

○塩川委員 全国各地のレーダーが捉えた航空機などの情報を一元的に処理をして対領空侵犯措置や防空戦闘に必要な指示を戦闘機などに提供するほか、弾道ミサイル対処においてペトリオットやレーダーなどを統制し、指揮統制、通信機能の中核となるシステムだということで承知をしております。
 先ほど言った入間基地内で提供している七平米については、防空に関する情報についてジャッジでの連接の話だったんですが、そうすると、弾道ミサイル対処の方は入っていないという整理なんでしょうかね。

○小波政府参考人 お答えいたします。
 ただいまお答えいたしましたことの繰り返しになるんですけれども、いわゆるジャッジは、我が国の防空及び弾道ミサイル対処における一元的な指揮統制を行うに当たり中核となるシステムでございますので、特に区別をしているわけではございません。
    〔松本(剛)委員長代理退席、委員長着席〕

○塩川委員 先ほど七平米の説明のときに防空に関する情報という言い方をしたからBMDが入っていないのかなと思ったんだけれども、そういうことじゃないということですね。

○小波政府参考人 ただいま委員御指摘のとおりでございまして、特に区別はしておりません。

○塩川委員 一元的に航空機対処と同時にBMD対処も行うという仕組みに米軍の通信機器のシステムが連接しているということです。
 もともと米軍横田基地の中に、今、航空自衛隊の航空総隊司令部があって、こういったジャッジについてはそこで全国一本でやっているものですから、そのレベルでも横田で米軍との連携には当然なっているわけですけれども、それ以外に、外に出て、航空自衛隊の入間基地まで米軍の区域が置かれているという理由というのが、今までの説明でも納得のいく話というのは出ていないわけであります。
 それで、このジャッジについてなんですが、我が国の航空作戦や弾道ミサイル防衛の中核となる全国規模の指揮統制システムになっているわけですけれども、航空作戦管制所及び四カ所の防空指令所、ディレクションセンターで二十四時間運用しているということです。
 入間基地以外で防空指令所のある三沢、春日、那覇においては米側に通信機器の設置場所を提供しているんでしょうか。

○中村政府参考人 お答え申し上げます。
 委員お尋ねの米軍の通信機器というものが自衛隊のジャッジと連接をしている機器ということであれば、航空自衛隊三沢基地、春日基地及び那覇基地にはそのような機器はございません。

○塩川委員 それで、少し事前にお話を伺ったときには、今言ったように、ジャッジに連接をしている通信機器の設置ということを目的としての提供はないということは今お答えいただいたことなんですが、それとは別に、那覇基地において事務室として六十平米を提供しているというふうに聞いているんですけれども、そのとおりでよいか。提供しているということであれば、その理由は何かについて確認をしたいと思います。

○中村政府参考人 お答え申し上げます。
 委員御指摘のとおり、航空自衛隊那覇基地におきましては、地位協定第二条一項(a)に基づくものとしまして、事務所、事務室として使用する目的で、建物一棟、六十平米を提供しているところでございます。

○塩川委員 その事務室は何に使っているんですか。

○中村政府参考人 お答え申し上げます。
 使用目的としましては一般の事務所ということでございまして、それ以上の細部については承知をしておりません。

○塩川委員 二1(a)というのは常時使用ですから、一時借り上げとかそういう話じゃないので訓練とかではないわけです。そういった形で実際に自衛隊の基地の中でも米軍との軍事的な一体的な運用というのは行われているわけなんだけれども、そういうことについて明らかにしないといったところでも日米地位協定のあり方そのものが問われていると思っております。
 それで、ジャッジについてなんですけれども、航空機対処とともに弾道ミサイル対処を行うということですから、当然イージス・アショアと連接をするということになりますね。

○小波政府参考人 お答えいたします。
 委員御指摘のとおり、ジャッジは、防空のみならず、弾道ミサイル対処においても一元的な指揮統制を行うに当たり中核となるシステムであり、弾道ミサイル対処に当たるPAC3やイージス艦ともネットワークを介して連接することが可能でございます。
 今後導入されますイージス・アショアに関しましても、弾道ミサイル対処の一元的な指揮統制を行う観点から、ジャッジと連接することを考えているところでございます。

○塩川委員 防衛省がイージス・アショア配備を予定している秋田県と山口県では、地元から配備反対の声が広がっています。
 二月二十七日付の秋田魁新報は、日本が巨大イージス艦にという見出しの記事を書いています。アメリカのシンクタンク、戦略国際問題研究所は、昨年の五月に、日本の地上イージス導入に関するリポートを発表しているということで、表題は「太平洋の盾 巨大なイージス艦としての日本」。昔、不沈空母発言というのがありましたけれども、巨大なイージス艦としての日本という表題のリポートでは、米国本土を脅かすミサイルに対し、前方に配備されたレーダーの役割を果たし得る、太平洋の西端にある日本に地上イージスが配備されれば、米国主導の安全保障体制にとっての盾になるという意味合いだということです。
 結局、このイージス・アショアというのはアメリカのためのものになるんじゃありませんか。

○深澤政府参考人 お答え申し上げます。
 我が国の弾道ミサイル防衛システムの性能、能力、配置等につきましては、あくまでも我が国領域を防護する観点から決定されているものでございます。
 イージス・アショアの配備候補地につきましても、防護範囲を分析した結果、秋田県付近と山口県付近に配備した場合、最もバランスよく我が国全域を防護できると考えているところでございます。
 このような分析を踏まえつつ、更に、遮蔽物の有無や地形、インフラといった条件も加味して自衛隊施設を対象とした検討をした結果といたしまして、秋田県の新屋演習場と山口県のむつみ演習場を配備候補地としているところでございまして、あくまでも我が国全域を防護する観点から選定したもので、アメリカを防護するといったこととは関係がございません。

○塩川委員 もともと秋田などでも随分議論になっているというのは、朝鮮半島、北朝鮮を想定して、そこからミサイルが出た場合に、秋田の上空を通り越してその先にあるのはハワイだ、山口の上空を飛び越してその先にあるのはグアム、こういったことが前提になっているという批判の声が上がっているわけです。こういった点での配備先の問題点というのが指摘をされている。
 あと、アメリカ太平洋軍のハリス司令官は、昨年二月二十四日の下院軍事委員会の公聴会で、この日本のイージス・アショア導入による効果について問われて、アメリカ海軍や太平洋艦隊がBMDの任務において直面している負荷の一部を軽減することになるだろう、艦船を持ち場から離して他の場所に投入することができるだろうと証言をしています。
 こういった発言を見ても、このようなアメリカの要望に応えるものになるイージス・アショア導入というのは、日本防衛ということでは説明がつかないんじゃないでしょうか。

○深澤政府参考人 お答え申し上げます。
 イージス・アショアを含みます我が国の弾道ミサイル防衛システムにつきましては、あくまでも我が国の領域を防護する観点から導入を決定しているものでございます。
 また、我が国に対します弾道ミサイルの脅威に対しましては、米軍もイージス艦を我が国に展開するなど、日米間で緊密に連携して対処することといたしてございます。
 このため、これまでも、発射された弾道ミサイルを探知、追尾した情報などは双方向で常時リアルタイムに共有することといたしておりまして、こうした情報共有のあり方につきましては、イージス・アショアの導入によっても変わるものではございません。

○塩川委員 アメリカの軍事戦略に日本が組み込まれるという形で米軍と自衛隊が一体化をしている。そういった点でもこの間の一連の動きというのは看過できないということを申し上げておきます。

【内閣委員会】政府の中枢に非常勤職員/出向元から給与補てん/官民癒着の疑念

 内閣官房IT総合戦略室における官民癒着の問題について質問しました。

 政府の説明によれば、IT戦略室の実員数153人のうち、NTTや富士通など民間企業からの出向者の非常勤職員は76人います(19年1月1日時点)。

●非常勤職員の待遇と給与補てん
 「出向者」の給与について確認すると、内閣官房は「係長クラスで年収約230万円。課長補佐クラスで270万円(年間240日勤務の場合)」と答弁しました。

 出向者は出向元企業から給与補てんを受けているのではないか、と質問。

 内閣官房は否定しませんでした。

●政府の情報システム運用経費の受注実績
 政府の情報システムの運用経費受注実績(2017年度)上位の企業グループ、受注額合計、全体に占める割合を質問。

 内閣官房はNTTグループ1044億円(25%)、富士通グループ661億円(16%)、日立グループ558億円(11%)、三菱グループ337億円(9%)、NECグループ335億円(8%)と答弁し、上位5グループで全体の4分の3を占めることが明らかになりました。

●給与補てんと官民癒着への批判
 情報システム関連事業の受注企業出身者が、出身企業から給与補てんを受けて、政策の企画立案を行うIT戦略室に勤務しているのは、官民癒着の批判を免れない、と追及。

 平井卓也IT政策担当相は「情報システムの受注実績のある企業出身者は、その担当としないなど規制をかけている」と答弁しました。

 癒着の疑念をよぶ根幹は給与の補てん。この問題にメスを入れることが必要だ。

衆議院TV・ビデオライブラリから見る


「議事録」

<第198通常国会 2018年04月24日 内閣委員会 14号>

○塩川委員 それでは、IT戦略についてお尋ねをいたします。
 世界最先端デジタル国家創造宣言・官民データ活用推進基本計画、IT戦略についてですが、このIT戦略の文章を見ていて、「抜本改革推進のための体制拡充と機能強化」の項目が挙がっている。これは、この前のときに平井大臣に冒頭のところでお尋ねをしたところの続きになるわけですけれども、IT総合戦略本部を支える事務局である内閣官房情報通信技術総合戦略室、IT総合戦略室の規模が不十分であり、外部人材登用に当たっての処遇にも課題があるとの指摘がされており、IT総合戦略室の機能と体制の強化に向け、平成三十年度から順次、関係省庁からの人的資源の貢献などの一層の協力を得るとともに、外部のすぐれた人材の活用のための所要の処遇改善などの環境整備について検討を行うとあります。
 このIT総合戦略室の規模が不十分とはどういうことかという質問に対して、平井大臣は、ITやデータ、セキュリティーなどに関する最先端の知見を持つ人材の確保が必要だけれども、専門家は引く手あまただし、役所の給料が安いことが課題だという答弁でございました。
 そこで、事務方にお尋ねしますが、IT総合戦略室の機能と体制の強化に向け、平成三十年度、つまり昨年度から順次、関係省庁からの人的資源の貢献などの一層の協力を得るとあるわけですが、これはどうするものだったのか、実際どうしたのか、その点についてお答えいただけますか。

○向井政府参考人 お答えいたします。
 IT総合戦略室は、昨年、平成三十年でございますが、六月に閣議決定されたIT戦略や未来投資戦略、骨太の方針に基づきまして、政府情報システム予算・調達の一元化を含めたプロジェクト管理の強化に向けた検討や、引っ越し等のワンストップ化加速など、我が国のデジタル化を大きく前進させるプロジェクトを実施することとなっております。
 このように業務が質、量ともに増大する中、関係省庁による協力を要請いたしまして、昨年の夏の異動期には、室長代理、いわゆる副CIO、私もそうですが、ここで答弁しているIT室は皆、私以外の人間はそのときに来た人間でございますが、室長代理である幹部職員を含む計十三名の職員、また、平成三十一年に入ってからも、管理職を含む計六名の職員をIT総合戦略室に新たに入っていただいたところでございます。

○塩川委員 内閣官房が企画立案、総合調整を行うということで、各府省から人を集める。聞くところによると人狩りというそうですけれども、送り出す役所の方はなかなか大変な思いで送り出しているという点で、人を集めてやっているという話になるわけです。
 もう一つ、これは役所の中の話ですけれども、外部人材登用に当たっての処遇にも課題があるという指摘で、この前の大臣の答弁でも給料の話があったわけですけれども、ここで言っている外部人材というのはどなたを指しているのか。政府のCIO補佐官もありますし、民間企業からの出向者ということでIT室の資料にもあるわけですけれども、この外部人材というのはどの範囲の方を指しているのか、その上で、処遇にも課題があるというその課題は何かについてお聞きします。

○二宮政府参考人 お答え申し上げます。
 先般の内閣委員会で大臣から御答弁申し上げましたとおり、IT総合戦略室の業務を遂行していくに当たりまして、社会全体のデジタル化に対応するありとあらゆる最先端の知見が必要となってきているところでございまして、省庁の出身者の知見だけでは対応が難しいという課題認識のもと、IT戦略におきまして、外部のすぐれた人材の活用について検討を行うとしたものでございます。
 ここで申し上げますすぐれた外部人材と申しますのは、データやセキュリティーを含め、情報通信技術についての最先端の専門的な知見を有する人材を指しているところでございまして、現行制度のもとで申し上げますと、政府CIO補佐官が該当するものと考えているところでございます。

○塩川委員 最先端の専門知見を有する方ということで、政府のCIO補佐官を指しているという話ですけれども、そうしますと、民間企業からの出向者の方もかなりの人数いらっしゃるんですが、その方たちというのはどういう理由でいらっしゃっているんでしょうか。

○二宮政府参考人 お答え申し上げます。
 今申し上げましたとおり、ITの分野は非常に変化が激しゅうございまして、さまざまな民間の知見も含めて、ともに協働しながら作業を進めることでよりよい成果を上げていくということが重要でございまして、政府の職員のみでは必ずしも十分でないところを、それを補う意味で民間の方々の御協力を仰いでいるところでございます。

○塩川委員 そういう点では、政府の職員だけでは足りない、補う意味合いで、変化の激しいこういう分野での民間の知見が必要だということです。
 それで、戻るんですけれども、外部人材という点で、政府CIO補佐官の話だということでお話があったわけですが、外部のすぐれた人材の活用のための所要の処遇改善などの環境整備について検討を行うとあるんですけれども、これはどうしているんでしょうか。

○二宮政府参考人 お答え申し上げます。
 政府CIO補佐官といたしましては、クラウドを始めとした最先端の情報システムの設計、開発、プロジェクトマネジメントといった専門性を有する人材が採用されているところでございます。
 その給与体系には一定の幅がございますので、私どもの取組といたしましては、非常勤職員の給与の号俸を更に上げることなどにつきまして、関係機関と連携して検討を進め、よりよい人材が確保できるように努めているところでございます。

○塩川委員 ということは非常勤なんですよね。ですから、今の高度ITの専門家と言われる政府CIO補佐官の身分や待遇について確認したいんですけれども、政府CIO補佐官の身分は非常勤ということでよろしいか、報酬はどのように定めておられるのか、それを今回見直すということであればどうすることになっているのか、その点について説明していただけますか。

○二宮政府参考人 お答え申し上げます。
 委員御指摘のとおり、政府CIO補佐官は非常勤の国家公務員でございます。その給与につきましては三段階ほどございまして、初任の政府CIO補佐官の給与は、一日当たりでは四万三百四十円。なお、年収につきましては、補佐官の勤務日数は個々人で異なりますが、一律には申し上げることが難しいところではございますけれども、仮に週五日勤務で年間の勤務日数を二百四十日というふうに単純の計算をいたしますと、約九百七十万円ほどでございます。

○塩川委員 これは、号俸を更に上げていく、何かそれはもう具体的にされているんですか。

○二宮政府参考人 お答え申し上げます。
 今申し上げましたとおり、号俸は三段階ございまして、その三段階ごとに一定数の補佐官が張りついているということでございますけれども、これは当然、裏側には予算が関係してございますので、それぞれの号俸の補佐官の数をふやすべく、関係機関と連携しながら検討を進めているというところでございます。

○塩川委員 最先端の知見をお持ちの方が九百七十万というのは、この妥当性はいかがかというのは率直に思うわけですけれども、政府CIO補佐官の方は、もともとの所属先の企業、役員の方なんかも当然いらっしゃると思うんですけれども、その身分を持って非常勤で働いているということになるんでしょうかね。

○二宮政府参考人 お答え申し上げます。
 非常勤と申しましても、企業若しくは事業体に属して業務を行っている方もいらっしゃれば、独立して若しくは単独で政府CIOとして御貢献いただいている方もいらっしゃいます。人によって異なります。

○塩川委員 人によって異なるけれども、企業に所属している方もいらっしゃるということです。
 次に、民間企業からの出向者という方がいらっしゃるわけですけれども、その方の身分は非常勤ということでよろしいか、給与はどんな状況なのか、この点についてお答えいただけますか。

○二宮政府参考人 お答え申し上げます。
 委員御指摘のとおり、民間出身の参事官補佐や主査につきましては、非常勤の国家公務員でございます。
 その給与水準でございますけれども、参事官補佐の給与は一日当たり一万一千百五十円、主査の給与は一日当たり九千七百五十円、年収につきましては、仮に週五日勤務で年間の勤務日数を二百四十日ということで単純計算をさせていただきますと、参事官補佐で約二百七十万円、主査で約二百三十万円でございます。

○塩川委員 ですから、課長補佐、係長クラスということですけれども、単純に言って、年収ベースでいうと二百五十万円前後という話になるわけですね。
 年収が二百三十万とか二百七十万という方なんですけれども、出向者ということですから、出向元企業に在籍をしているわけです。そうしますと、出身企業から給与の補填を受けているんでしょうか。出向元企業で勤務する、そういうことも行っているんでしょうか。

○二宮政府参考人 お答え申し上げます。
 民間出身者が出向元の企業から給与を受けているかどうかにつきましては、当室としては把握をしてございません。
 また、勤務時間以外において出向元の企業で勤務をしているかどうかについても把握をしておりませんけれども、非常勤職員につきましては、制度上、兼業を行うことは可能と認識してございます。
 なお、いずれにしましても、当室での勤務時間の前後など、勤務時間外につきましても、非常勤職員を含めた職員には、兼職の有無にかかわらず、公正な職務の遂行の維持、公務の信用保持の観点から、守秘義務、信用失墜行為の禁止など、国家公務員法の服務に関する規定が適用されてございまして、その遵守を徹底することで適正な運用の確保を行っているところでございます。

○塩川委員 もう一回ちょっと戻るんですけれども、出向者ということなので、出向元企業に在籍をしているわけですね。

○二宮政府参考人 御指摘のとおりでございます。

○塩川委員 そうしますと、出向元企業にすれば、大事な社員をIT室に送るということになるわけですよ。そういったときに、あんたの給料は向こうの非常勤職員の二百三十万円ですよというのは余りにもつれない話であって、そもそもそんなことで行くかという話は当然出るわけですね。ですから、当然それは、会社側にすれば、非常勤職員の給与ともともとの出向元企業における給与の差分を補填する措置というのは行っているのが普通ですよね。そう思いませんか。

○二宮政府参考人 お答え申し上げます。
 繰り返しになりますけれども、民間出身者が出向元の企業から給与を受けているかどうかにつきましては、私どもIT室としては把握してございません。

○塩川委員 これは、やはり誰からお給料をもらっているかは一番肝心なところなんですよ。この実態だと、公務、IT室、役所からもらっているものよりも、実際には企業側から補填を受けている方が大きいという実態というのが推測されるわけですね。その場合に公務の公正性がどうなのかということが問われてくるわけです。
 そこで、非常勤の場合には兼業が可能だという説明でしたけれども、内閣人事局に聞きますが、非常勤で兼業が認められる理由というのは何なんでしょうか。

○植田政府参考人 お答えいたします。
 常勤職員が報酬を得て兼業を行う場合には、国家公務員法第百四条に基づき、各省各庁の長及び内閣総理大臣の許可を要することとされておりますが、一方で、非常勤職員については、従事する職務や勤務条件も多様であるところでありますけれども、総じて勤務が臨時的であり、勤務時間の設定や職務の内容などから職務専念義務などに与える影響が比較的少ないと考えられることから、国家公務員法第百四条の適用がないこととしているところでございます。

○塩川委員 臨時的、職務専念義務の程度が低いという話ですけれども、実際には内閣官房の内閣官房副長官補のもとにある分室のまさに筆頭格になっているIT室なわけですよ。そのIT室というのは、まさに企画立案、総合調整なんです。単なる補助事務じゃないんですよ。補助事務じゃない。
 そういう点でも、非常に基幹的な中枢の業務を担っている人たちなんですよね。そういう人たちが実際には出向元企業から受けている報酬の方が大きいといった場合に、公務の公正性が問われるんじゃないかという問題が出てくるわけです。
 それで、人事院にお尋ねいたします。
 このように、出向元企業の身分を持ちながら公務で働く、こういうスキームについては、官民人事交流制度の交流採用、雇用継続型というのがあるわけです。この制度における服務や給与に関する規制はどうなっているのか、そして、その理由は何なのかについて説明してください。

○鈴木政府参考人 お答え申し上げます。
 官民人事交流法に基づきます交流採用でございますけれども、人材の育成と組織の活性化を目的として行われているものでございます。その公正性や透明性の確保を図りつつ、円滑な交流に資するような仕組みということでつくっておるところでございます。
 具体的に申し上げますと、外部有識者で構成される交流審査会の意見を聞きまして、許認可関係のある企業との交流制限などを定めた交流基準を設けてございますほか、人事交流の実施に当たりましては、参加企業の公募などによる公正な手続、交流元企業と密接な関係にある官職への配置制限、給与補填の禁止などの制限を課すとともに、交流状況につきまして国会及び内閣に対する年次報告などを行っているところでございます。
 こういった仕組みの理由につきましては、先ほど申し上げましたように、交流の公正性や透明性を確保するということでございます。

○塩川委員 今言ったように、出向元企業の身分を持ったまま公務で働く場合というのは、制度上は、官民人事交流制度の交流採用、雇用継続型となります。その場合に条件をつけている。もちろん許認可にかかわるような業務の官職につくことの禁止とかもあるんですが、出向元企業からの給与補填の禁止と言っているんですよね。そこが重要なポイントなんです。なぜそうかというと、公務の公正性の確保なんですよ。
 あわせて、この官民人事交流制度の交流採用、雇用継続型の場合は、出向元企業で働くということはできるんですか。

○鈴木政府参考人 お答え申し上げます。
 交流採用職員については、国の職務に従事するということでございますので、交流元企業の仕事をするということはできません。

○塩川委員 ですから、ここのところはわかりませんけれども、非常勤職員は五時間四十五分なんです、一日。ですから、朝、出勤前とか出勤の後とかを含めて、出向元企業との関係はどうなのかという点というのはまだ疑念としてありますし、何よりも、出向元企業から給与の補填を受けないというのがそもそもの官民人事交流制度のスキームになっている。
 大臣にお尋ねしますけれども、今言ったように、人事院が答弁しました官民人事交流制度と今回の非常勤職員の扱いの話ですけれども、民間企業に所属して国の機関で働いている点で同じなのに、一方の官民人事交流制度では、出身企業で勤務することや給与を受けることは禁止をされているわけですが、他方、政府の中枢である内閣官房で企画立案に参画をする非常勤職員の場合は、出身企業で働くことや給与を受け取ることについての制約がない。これはやはり制度上おかしいんじゃないか、公務の公正性に疑念が生じる事態ではないかと考えますが、大臣はいかがですか。

○平井国務大臣 まず、今のように最先端のプロジェクトに多くの人間が必要になる場合、各府省からの出向者だけでは足りず、政府CIOを含む民間出身の人材の参画を得ながら推進していくということだと思います。
 御指摘のとおり、民間の非常勤職員を受け入れることは、公務の公平性に疑念を抱かれることがないように十分留意することがやはり重要だと思います。
 そのため、IT総合戦略室においては、非常勤職員の採用に当たり、まず、国家公務員法の服務に関する規定に上乗せする形で、採用後、当該非常勤職員が現在又は過去二年間に属していた事業者については、当該非常勤職員が妥当性評価及び助言を行う調達案件には入札できない、政府情報システムの受注実績のある企業の出身者はその担当としないなどの厳格なルールを運用しております。
 ですから、出す方の企業にしてみても、出したら自分の企業にとってはマイナスになるというケースも十分にあるわけです。ですから、そこらのところは、さりとて、若い人たちはこういう最先端の現場で新しいプロジェクトに参画したいという意欲を持っていただける方々もおり、そういう方々と今現場をつくっているというふうに私は認識をしております。

○塩川委員 いろいろなルールをつくりました、上乗せもしていますという話なんですけれども、一番根幹は給与の話なんですよ。給与が実際にはその大半が出向元企業からもらっているといった際に、官民人事交流制度の方では、それは公務の公正性の確保にとっては問題だから、出向元からもらうことはだめよとしているわけです。
 それと対比をしても、まさに最先端の業務をやっているわけですから、そういった点で、出向元企業との実質的な官民癒着みたいな実態が起こり得るのではないのかといったことを懸念されるような給与の補填の仕組みを排除していないということ自身に、やはりこれは官民癒着の批判というのは免れないんじゃないでしょうか。

○二宮政府参考人 お答え申し上げます。
 大臣からの答弁の繰り返しになりますけれども、私どもIT総合戦略室におきましては、国家公務員法の服務にのっとるということは当然のことといたしまして、それに加える形で、調達案件に関連するような親元企業がある場合には、その出向者に対してはそういった業務につかせないというようなこと、さらには、受注実績のあるような企業の出身者にも政府情報システムの担当にはさせないというような、ある意味付加的な条件をつけて採用しているところでございますので、御懸念は当たらないものと考えてございます。

○塩川委員 一番の給与の話のところはお答えがないわけで、そこで疑念が生じるわけですから、そこのところをどうするのかといったことなしに、公務の公正性の確保ができたということにならない、癒着の批判というのは免れないということは申し上げておきます。
 その関連で、情報システム関連予算について数字を確認したいんですが、情報システム関連予算の整備経費と運用等経費について、二〇一五年度から二〇一九年度の予算の推移を確認したいと思います。

○二宮政府参考人 お答え申し上げます。
 情報システム関係予算は整備経費、運用等経費などから構成されているところでございますが、これまでの経費の推移につきましては、平成二十七年度から三十一年度までの整備経費が千三百八十九億円、千二百九十三億円、千四百五十八億円、千八百七十一億円、千九百三十九億円でございます。運用等経費につきましては、三千九百七十六億円、四千九十七億円、四千百七十六億円、四千三百十一億円、四千五百八十五億円でございます。

○塩川委員 この四年間で整備経費は一・四倍、運用等経費は一・二倍にふえているわけです。情報システム関連予算はどんどんふえているということなんです。これはこの先も同じような感じになるんでしょうかね。

○二宮政府参考人 お答え申し上げます。
 今後につきましては、行政のデジタル化がより一層進められる一方で、既存の経費の圧縮に努めていくこととしておるところでございますので、経費全体の見通しについて現時点で明確にお答えをすることは困難でございますけれども、引き続き、適切な情報システム関係予算となるように政府全体として対応してまいりたいと存じます。

○塩川委員 見通しについては確たるものはないということですけれども、実際、内訳がどうかということを教えてほしいんですが、例えば二〇一七年度の運用等経費が十億円以上の情報システムにかかわる行政事業レビューの抽出調査がありますけれども、この抽出一覧に基づいて、受注実績の上位五社の企業名と、受注額の合計と、全体に占める割合を確認したいと思います。

○二宮政府参考人 お答え申し上げます。
 上位五社は、NTTデータ、九百二十億円、二二%。富士通、六百六十一億円、一六%。日立製作所、四百四十億円、一一%。三菱電機、三百三十七億円、八%。日本電気、三百三十五億円、八%となってございます。

○塩川委員 上位五社で全体の三分の二を占めるという規模になります。
 これは企業グループでの数字というのは出せますかね。

○二宮政府参考人 お答え申し上げます。
 グループの帰属につきましては必ずしも明確でないところもございますけれども、前者の関係を整理するということではなく、支出額の合計の九〇%を占めます十七社について可能な範囲で整理したところを御紹介申し上げます。
 NTTグループ、千四十四億円、二五%。富士通グループ、六百六十一億円、一六%。日立グループ、五百五十八億円、一四%。三菱グループ、三百三十七億円、八%。NECグループ、三百三十五億円、八%でございます。

○塩川委員 ですから、上位五社のグループで合計すると四分の三相当になるわけです。
 先ほど言ったように、給与の補填を受けている。実態はどうかというのは検証が必要ですけれども、給与の補填を受けるという中での公務の公正性について疑念が生じるといった事態について考えたときに、情報システム関連事業の受注企業の出身者が出身企業から給与補填を受けてIT戦略室に勤務しているというのは、やはり率直に国民から見て官民癒着という批判は免れないのではないかと思いますが、大臣、改めてお答えいただけますか。

○平井国務大臣 公務の公平性に疑念を抱かれることのないようにしていくことが非常に今後とも重要だと思います。
 ただし、この分野の人材というのはそんなにふんだんにいるわけではないので、その中で規律をつくっていくというのに我々は大変知恵を使っているところでございます。
 そのあたりのことも今後とも疑念を抱かれないようにちゃんとやっていきたい、そのように思います。

○塩川委員 国民の不信を招くことがないような対応こそ求められているということを申し上げます。
 それと、関連して、内閣人事局にお尋ねしますが、内閣官房と内閣府における民間企業から非常勤で受け入れている職員数について、二〇〇一年度と二〇一八年度の人数を教えていただけますか。

○植田政府参考人 お答えいたします。
 内閣人事局などで調査いたしました民間から国への職員の受入れ状況におきましては、二〇〇一年八月十五日現在の非常勤職員は、内閣官房二十七人、内閣府五十六人でございまして、二〇一八年十月一日現在の非常勤職員は、内閣官房百七十五人、内閣府百六十七人となっているところでございます。

○塩川委員 省庁再編で新しい仕組みができた。当委員会でも内閣官房、内閣府の機能強化の問題を指摘をしましたけれども、二〇〇一年度から二〇一八年度の間で、内閣官房における民間企業から非常勤で受け入れている職員数は五倍にふえ、内閣府においては三倍という数字になっています。
 この数字は内閣人事局のところでホームページ上も確認できるんですけれども、個人名が特定されるような企業名は公表、集計していないというふうにお聞きしたんですが、それはそういうことでいいんですかね。

○植田政府参考人 大変申しわけございません。手元に資料がございませんので、後ほど御報告させていただきたいと存じます。

○塩川委員 IT室における非常勤職員の方の確認をしたときに、非常勤職員の人数と出身元企業の一覧と、数が合わなかったんですよ。民間企業からの非常勤職員の方が七十六人だったかな、それに対して、出身企業を書いているんですけれども、サイト上にも載っているんですが、それをIT室で切り出してもらったら五十ぐらいだったんですよね。差があるんですよ。その差は何だと言ったら、いや、個人名が特定されるような企業名だともうこの人となっちゃうから、それは外しているんだという説明が、これは内閣官房内閣人事局の指示なのかな、そういう仕組みで行われていると聞いたんですけれども、その事実関係を確認したいんですが。

○二宮政府参考人 お答え申し上げます。
 IT室から御説明申し上げた事実関係でございますけれども、政府CIO補佐官につきましては、特に個人名に結びつきやすい企業等、個人の企業とかいうことだとすれば特定されることになるわけでございますので、そういったものは省かせて、除かせていただいてございます。

○塩川委員 個人名が特定されるような企業名は外しているから、その人が非常勤でいるということも外しているということになるわけですよね。

○二宮政府参考人 お答え申し上げます。
 数につきましてはカウントしてございます。

○塩川委員 それで、確認してほしいんですが、内閣人事局が民間からの受入れ状況の一覧表をつくっているじゃないですか。あの中で、官房副長官補のところには百二十二人となっているんですよ、昨年の十月の時点のは。それも、私は企業名も数えましたが、百二十二でした。複数来ている人は二とか三とか書いてあるんですよ。だから対応しているんです、企業名。
 だから、個人名が推定されるような企業名のところを外しているとなったら、同じように非常勤の職員の数も外していないと合わないんですよ。そうじゃないんですか。

○二宮政府参考人 お答え申し上げます。
 内閣人事局の方の集計の仕方につきましては承知をしておりませんので、確認させていただいて回答させていただければと思います。

○塩川委員 確認して後で教えてください。
 最後に一問、内閣人事局、内閣官房にお尋ねしますが、こういったように、政策の企画立案や総合調整機能を担う内閣の中枢機関である内閣官房と内閣府において、民間企業に籍を置く非常勤職員が急増しています。公務の公正性に疑念が生じる事態であって、こういった内閣官房などの企画立案に従事する非常勤職員について官民癒着防止の規制を設ける考えはありませんか。

○植田政府参考人 お答えいたします。
 政府においては、複雑専門化する国の重要政策課題に対応するために、民間の専門的な知見を有する方の活用を進めてきておりまして、このため、内閣官房等においても、非常勤職員を含め、積極的にこれら職員の採用を行ってきているところでございます。
 非常勤職員の採用に当たっては、公務の公正性を確保するために原則公募とするとともに、服務規律の遵守や当該職員の配置、業務などに配慮しつつ、適切な人事運用に努めることとしておりまして、引き続き公務の公正性が損なわれることのないように努めてまいりたいというふうに思います。

○塩川委員 給与の補填という根幹問題にきちっとメスを入れるということが必要だということを申し上げて、きょうのところは質問を終わります。