埼玉/久喜市議選の告示で応援に

 久喜市議選(定数27、前回比3減)の告示。定数削減の中、現有4議席の実現をめざします。へいま益美、渡辺まさよ、石田としはる、杉野おさむの4人の候補者の応援に駆けつけました!

 小中学校教室にエアコン設置や固定資産税の取りすぎ5400万円返還、経済的に困難な家庭への入学準備金の入学前の支給など、豊かな実績をもつ議員団です。

 市の基金を活用して、国保税や水道基本料の引き下げを実現します!

 隠ぺい、改ざん、ねつ造、虚偽答弁の根っこには、安倍首相がいる。安倍政権を退陣に追い込んで、国政の私物化をただそう!


「しんぶん赤旗」4月17日付・首都圏版より
暮らし守る願い託して/埼玉・久喜/4候補訴え
 
 15日告示された埼玉県久喜市議選(定数27、3減、立候補31人)に立候補した、日本共産党の杉野おさむ(66)、渡辺まさよ(56)、石田としはる(70)、へいま益美(63)の現職4候補は第一声で、全員当選への決意を語りました。
 
 4候補は、介護保険料の引き上げなどに賛成し、市民に負担を押し付けてきた保守系・公明党の議員を批判。国民健康保険税・介護保険料の引き下げや学校給食費の無料化、18歳までの医療費無料化、循環バス・デマンドバスの改善などを実現すると述べ「暮らしを守る願いを共産党に託してください」と訴えました。
 
 塩川鉄也衆院議員が応援のマイクを握りました。
 

埼玉/西武鉄道・所沢駅前/「NO!オスプレイ!緊急アクション」に参加

 所沢駅東口で行われた「NO!オスプレイ!緊急アクション」に参加、あいさつしました。

 米軍横田基地へのオスプレイ配備に不安と怒りの声が広がっています。滑走路の延長線上に位置する入間・飯能・日高市の市長も、連名で声明を発表。市民の不安が払拭されていないと、政府の対応を批判しています。

 市民、自治体ぐるみの運動で、オスプレイ配備を撤回させましょう!


「しんぶん赤旗」4月20日付・首都圏版より
オスプレイいらない/所沢で緊急アクション/埼玉
 
 米空軍の特殊作戦用CV22オスプレイが米軍横田基地(東京都福生市など)に5日到着したことに対し、所沢駅前で14日、「NO! オスプレイ」緊急アクションが行われました。主催は同実行委員会。日本共産党の塩川鉄也衆院議員や伊藤岳参院埼玉選挙区候補、柳下礼子県議が参加しました。
 
 塩川氏は、今回のオスプレイ横田到着の情報が米軍から3月16日に通報されていたにもかかわらず、日米両政府は3週間も情報を隠ぺいしていたことに触れ、「安倍政権の隠ぺい体質がここにも表れている」と指摘しました。
 
 伊藤氏は、航空自衛隊入間基地(埼玉県狭山市・入間市)の拡張計画が持ち上がっていることに触れ、「横田基地へのオスプレイ到着も入間基地拡張計画も、2年前の安保法制のさらなる具体化だ」と訴えました。
 
 柳下氏は、県民はいつオスプレイが落ちてくるかわからないという不安でいっぱいだ、と指摘。「『オスプレイを飛ばすな』『オスプレイは日本に来るな』と共にがんばろう」と呼びかけました。
 
 緊急アクションには、市民らも参加。「オスプレイはいらない」と声を上げました。

【内閣委員会】米軍機への苦情受付/防衛省による情報開示の後退が判明

 防衛省がオスプレイを含む米軍機飛行の苦情に関する情報公開を、米側の運用方針に合わせて後退させたことについて追及しました。

 防衛省はこれまで、住民から米軍機飛行に関する苦情を受け付けた際、米軍に対して米軍機かどうかの確認を求め、その回答を得てきました。しかし、2017年8月以降、米軍機かどうかの確認をやめています。

 防衛省に対応を変えた理由をただすと、防衛省の深山延暁地方協力局長は「米軍が昨年8月以降、個別の米軍機の飛行の有無については、運用上の理由から原則として逐一明らかにしないとしたためだ」と答えました。

 米軍から回答しないと言われたら「はい。わかりました」と。沖縄だけでなく日本全国で米軍機の訓練による騒音被害がまかり通っている中で、こんなことで、国民の要求をふまえた日本政府としての役割が果たせるのかが問われている。

 菅官房長官は「引き続き米軍には配慮を求めていく」と述べるだけ。

 わたしは、米軍機であるかどうかを確認しないのか。「回答しない」などという米軍の対応を政府は放置するのか、と再三追及。

 防衛省は「今日、議員から指摘があったので、防衛省として再度、在日米軍に確認を求める」と答弁しました。

 しっかりと回答させるのは最低限のこと。米軍の危険な訓練飛行はきっぱりとやめさせるべきだ。

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「議事録」

<第196通常国会 2018年04月13日 内閣委員会 10号>

○塩川委員 日本共産党の塩川鉄也です。
 最初に、菅官房長官、お尋ねいたします。
 加計学園に係る愛媛県側の、柳瀬氏また藤原氏の面談記録の話ですけれども、愛媛県側はこの文書を認めたところであります。この旨、各役所に届けた、置いてきたという報道がありました。そのことについて、官房長官として確認させると。記者会見でもそういう説明をされ、この委員会でもおとといお答えになりました。
 農水省からそういう文書が出てきたということを聞いておりますけれども、農水省でどういうものが出てきたのか。また、ほかの役所はどうだったのか。現時点でわかっていることについて、まず御報告いただけますか。

○菅国務大臣 農水省については、報道されているような内容のものでありました。
 また、ほかの役所については調査中でありますけれども、現時点にはないということです。

○塩川委員 農水省について、農水大臣も記者会見で述べております。
 平成二十七年五月に獣医師法などを担当する部局に異動した職員が前の担当者から引き継いで受け取り、そのまま保有していたということでありますけれども、愛媛県の文書と農水省で見つかった文書については、県の対応についての部分で記述が違うということはあるということですけれども、柳瀬氏、藤原氏との面会記録は同じだと。そういう点で、いわば県の方が用途に応じて文書を使い分けているということであるということがそこにも示されているわけですが、しかし、二人との面談の記録そのものは共通をしているわけですね。
 官房長官、お聞きしますけれども、やはり二〇一五年の四月の二日に愛媛県職員らが柳瀬氏、藤原氏に面会をした事実というのは、農水省から出てきた文書においても更に裏づけられている、この事実は否定できないんじゃないですか。

○菅国務大臣 四月二日の事実関係については、昨年夏の閉会中審査において、既に国会の場で柳瀬元秘書官から答弁があったとおりであります。
 愛媛県が作成した文書、この評価について、政府としてはコメントする立場にないというふうに思います。
 いずれにしろ、政府としては、今後とも国民の疑念を招くことがないように、文書の正確性の確保、そのために努めてまいりたいと思います。

○塩川委員 コメントする立場にないというその答弁そのものが国民の疑念を招いているんですよ。国民の疑念を招かないようにするのであれば、この事実関係をきちっとただす必要がある。愛媛県側はこういう文書があるということを認め、実際、そういう文書というのが国の機関からも出てきたわけですから。
 この柳瀬氏の、記憶をたどる限りお会いしたことはございませんなんて、こんな一言で済むような話じゃないんですよ。こういったことについて、もともと、内閣官房にいた、そういった職員であるわけですから、その当時の首相秘書官としてのやりとりについて、当時の官房長官だった菅さんはしっかりと明らかにする責任というのは当然あるんじゃないですか。直接問いただす、そういうことをやはり官房長官としてやるべきじゃありませんか。

○菅国務大臣 愛媛県の文書に関する報道についても、柳瀬氏自身が、そうした発言をすることはあり得ないとのコメントを既に発出をいたしております。
 愛媛県が作成した文書の評価について、備忘録ということでありますけれども、国としてそこについてコメントする立場にないということは当然のことじゃないでしょうか。

○塩川委員 いや、農水省に届いているわけですよ。そういう要請として、県が来たということじゃないですか。そのことについて国側の対応がどうだったかということを改めて明らかにするというのが、農水省から文書が出てきた時点で問われているんじゃないですか。国側の、政府側の対応はどうだったのか。そのことについて明らかにする、そういう挙証責任が国の側にあるということが、文書の発見によって明らかじゃありませんか。

○菅国務大臣 今申し上げましたけれども、当該文書を農水省で受け取った経緯だとか、その後の文書の扱いなどについて、これについては承知をしておりません。
 いずれにしろ、愛媛県の職員が作成したと考えられる文書であり、その内容についてコメントすることは、そこは控えたいと思います。

○塩川委員 そういう姿勢というのが国民の疑念を招いている、一層国民の怒りを買っているということを正面から受けとめるべきです。
 真相解明のためにも私は参考人として柳瀬氏、藤原氏の要求をしましたけれども、かなえられておりません。引き続き要求すると同時に、やはりしっかりと事の次第を明らかにする上でも、このお二人の証人喚問というのは欠かせないと改めて要求したいと思います。
 そこで、こういった文書の問題に関連して、オスプレイを含む危険な米軍機飛行の実態を隠蔽しようとする動きについて取り上げたい。
 米軍横田基地へのオスプレイ配備について、二〇二〇年とされていたものが前倒しでこの四月に配備をされることになりました。墜落事故を繰り返すオスプレイの横田基地配備に不安と怒りの声が広がっています。
 日本政府は、三月の十六日に米軍からオスプレイの横田基地配備の通報を受けていたにもかかわらず、公表したのは四月の三日でした。政府は、米側からは公表に向けて調整が整うまでの間は日本側からの公表を控えるよう要請されていた、運用上の安全の問題もあるので四月の三日の公表となったなどと説明していますが、国民の安全よりも米軍のオスプレイの安全を優先するような、全く逆立ちした対応であります。国民が怒っているときに政府の都合を優先して、事実を隠そう、隠蔽しようという姿勢は断じて許されません。オスプレイ配備は撤回をすべきであります。
 さらに、オスプレイを含む米軍機の飛行に係る情報の開示が後退させられているという実態を指摘するものです。
 資料をお配りしております。これは、防衛省が作成をしたもので、上と下、二つありますけれども、上側の米軍機の飛行に係る苦情等受付状況表ということで、住民の方々から米軍機の飛行にかかわるような苦情を受け付けた場合に、そのことを記録をし、米側に対応を求める、その際に飛行の実態の回答を求める、こういうことを記録をした米軍機の飛行に係る苦情等受付状況表、これが昨年の七月まで行われていたんですが、下側の地方防衛局に寄せられた航空機騒音苦情一覧、八月以降はこうなっておりますけれども、この記載というのが大きく変更されております。
 防衛省にお尋ねをいたします。
 北関東防衛局が集計しましたこの上側の平成二十九年三月分の米軍機の飛行に係る苦情等受付状況表ですけれども、埼玉県内各地でオスプレイ飛行の苦情が、上から三つ、右の方から二つ目の欄、「苦情等の内容」にオスプレイの飛行が書かれておりますけれども、このようなオスプレイ飛行の苦情の受け付け状況です。
 防衛省は、住民のオスプレイ飛行についての苦情を受け付けた際に、米軍に対して米軍機かどうかの確認を求め、その回答をもらってきたんじゃありませんか。

○深山政府参考人 お答え申し上げます。
 委員御指摘のとおり、防衛省は、これまで、関係地方自治体等から米軍機の飛行が原因と思われる苦情等を受けた場合には、米軍に対し、飛行の有無などを照会してきたところです。照会の上、回答が得られたものにつきましては、御指摘のとおり、資料に記載しておりました。
 しかしながら、米軍は、昨年八月以降、個別の米軍機の飛行の有無などについては、運用上の理由等から原則として逐一明らかにしないとして、照会に対する回答が得られなくなったところでございます。
 そのため、我々防衛省といたしましては、昨年八月以降に受けた苦情等については、自衛隊内でまず確認をし、自衛隊機の飛行の該当がない苦情については、米軍機、民航機又はその他の航空機の飛行によるものと思われる苦情等として集計することとしました。
 様式の変更について御指摘がありましたが、こうしたこととなりましたので、地方防衛局から報告させる様式も、米軍の照会、ここは米軍が答えないと言明をしたということもありましたので、これを除いた形にしたということでございます。
 ただし、これは昨年の秋の時点では試行ということで実施をいたしました。
 その上で、米軍に対しては、当該集計表を通知した上で、これらの苦情等に配慮し、住民の方々に与える影響を最小限にとどめるように求めているところでございます。
 いずれにいたしましても、防衛省としては、米軍機の可能性がある地元の方々から寄せられた苦情などにつきましては、米軍に伝え、地元の方々の生活に与える影響を最小限にとどめるよう求める方針には何ら変更はございません。

○塩川委員 極めて重大ですよ。今までは米軍から回答を求めて実際に回答もとってきた。実際には答えなかったものもあるということでありますけれども。
 要するに、米軍機が低空飛行している。それこそ、空中一回転をするような、爆音が地面に響き渡るような、そんな米軍機の騒音被害というのは各地で繰り返されているわけで、そういった実態についてやめてほしいと。群馬県なんかでは、県立高校の入試の日に爆音を響かせて飛んでいるためにヒアリングのテストがもう台なしになったと県を挙げて怒っていた、こういう実態なんかがあるんですよ。
 そういったことについて、米軍かどうか回答を求めるのは当然であるわけで、それについて、米側から、もう回答しないよと言うので、ああ、そうですかと。そんなことで、日本の国民の声を踏まえた防衛省の対応が務まるのか。こんな米軍の対応を防衛省は容認するんですか。

○深山政府参考人 繰り返しになりますが、また、先生御指摘のとおり、今、入試の際の米軍機と思われる騒音についての苦情について御指摘がありましたが、我々といたしましても、群馬県のみならず、そうした苦情は多々聞いておるところであり、そのたびに米軍に対して対処を求めているところでございます。
 一方、本件につきましても、我々は、それで従うのかという御指摘がありましたけれども、米軍に対して引き続き回答するように求めたところでございますけれども、米軍の回答はこうしたものでございます。
 私どもは、さはさりながら、回答が得られなくても、いかなる苦情があったか、それは集計して、まとめて、先ほど申し上げましたように、米軍にも伝え対処を求めますし、また、資料をお出ししておりますけれども、お求めがあれば、こうした苦情があったということは当然お出しするということに姿勢は変わりありません。
 いずれにしても、米軍の可能性があるものについては、米軍に申し入れて対処してまいりたいと考えております。

○塩川委員 住民の苦情を米軍に届けるのは当たり前の話なんですよ。そのときに、やめてくれ、これを改めよということについてきちっと是正を行うためにも、米軍機かどうかの確認をしなきゃできないじゃないですか。それをやらないと。
 大体、日本の国土で、日本の国民が生活をしているところに爆音を響かせて米軍機が飛んで回るのに対して、それをやめさせる、その前提としての米軍機かどうかの確認もできないということ自身がおかしいじゃないですか。
 官房長官は、沖縄の基地負担軽減の担当でもあります。沖縄も深刻な実態であります。日本全国、こういった米軍機の訓練による被害というのがまかり通っているんですよ。そんなときに、米軍からの回答は今まであったのに、米軍の運用上の都合でということでもう回答しません、ああ、そうですか、わかりましたと。こんな対応で国民の声を代弁することができるのか、国民の要求をしっかりと踏まえる日本政府としての役割を果たせるのか、そのことがまさに問われていると思いますが、官房長官、ぜひお答えください。

○菅国務大臣 米軍機の運用等によって地元の皆さんの生活に与える影響を最小限にとどめるように取り組むということは、これは当然のことだというふうに思っています。また、寄せられたさまざまな苦情等についてはしっかり対応していかなきゃならないと考えています。
 引き続き、米軍機の飛行による住民等からの苦情等について、確実に米軍に伝達をして、今後の飛行運用への配慮を求めるなど、防衛省にしっかり対応させたいというふうに思います。

○塩川委員 私が尋ねているのは、米軍機かどうかの確認はしないのかと。確認をしない、米軍機として米軍側が回答しないということをそのまま放置をするのか、そこが問われているんですよ。
 その点どうですか。

○深山政府参考人 私どもも昨年夏までは回答が得られてきたということは先生にも申し上げましたし、表としてまとめたとおりです。ただ、今申し上げましたとおり、その後は明らかにできないという回答が来ているということも事実であります。
 ただ、その上で、きょう御指摘になりましたので、私からも再度、在日米軍に対しまして、この確認を求めたいと考えております。
 以上です。

○塩川委員 当然ですよ。しっかりと回答を求めて、回答させるということは、最低限の行うべき仕事です。
 米軍機の危険な訓練実態を隠蔽しようとするような話であり、住民の生活、安全よりも米軍の都合を優先する、こういった米軍機の横暴、勝手な訓練飛行を放置することは断じて許されないわけで、米軍機の危険な訓練飛行をきっぱりとやめさせる、沖縄や横田や、そして、日本全国でのオスプレイの配備は撤回をする、このことを強く求めて、質問を終わります。

「野党合同院内集会」に参加

 「隠ぺい、改ざん、ねつ造、圧力 安倍政権退陣へ 野党合同院内集会」に参加。会場いっぱいの参加者。

 日報隠ぺい、加計疑惑、厚労問題、森友問題、教育介入と、熱い焦点となっている問題について、先頭に立って追及してきた各党議員から報告。森友問題では、辰巳こうたろう議員が発言。安倍政権を退陣に追い込もうと訴えました!

【内閣委員会】ネットフリマ規制なし/古物営業法改定案を批判

 社会問題化している「フリマアプリ」による盗品売買の問題を取り上げました。

 2012年に登場した「メルカリ」などのネットフリマは、「ヤフオク」などのネットオークション(個人対個人取引)に匹敵する市場となっており、さらに拡大すると予測されています。

 警察庁の山下忠雄生活安全局長は、ネットオークションでの盗品処分が、12年の2552件から13年の1164件に半減していたことを明らかにしました。

 わたしは、落札期日まで取引が確定しないネットオークションに対し、ネットフリマは買い手が応じれば取引が成立し手軽に換金できる傾向があり、盗品売買がネットフリマに流れていると考えるのが自然だ、と指摘。

 そのうえで、同庁の「有識者会議」では検討されていたネットフリマへの法規制を古物営業法改定案に盛り込まなかった理由を質問。

 山下局長は「新しいビジネスの芽を法規制で摘むなとの意見が出て、自主規制に任せることになった」と説明しました。

 有識者委員にネットフリマ大手「楽天」の役員かおり、楽天が入っているから自主規制になったと言われても仕方がない。


「議事録」
<第196通常国会 2018年04月13日 内閣委員会 10号>

○塩川委員 日本共産党の塩川鉄也です。
 古物営業法改正案について質問いたします。
 最初に、小此木国家公安委員長にお尋ねいたします。
 そもそも、古物営業法、この目的は何なのか、この点について御説明をいただきたいと思います。

○小此木国務大臣 古物営業法は、同法第一条において「盗品等の売買の防止、速やかな発見等を図るため、古物営業に係る業務について必要な規制等を行い、もつて窃盗その他の犯罪の防止を図り、及びその被害の迅速な回復に資することを目的とする。」と規定されております。

○塩川委員 犯罪防止、盗品売買を防止するためにこの法律があるということであります。
 本案には、古物商は営業所のある都道府県ごとの許可となっているものを、本店がある都道府県で許可を得れば支店は届出でよいという見直しが入っています。都道府県ごとの許可制度について、昨年十二月の古物営業の在り方に関する有識者会議の報告書では、全国における営業展開が容易になることから、盗品売買の防止等を図るという法目的の達成が阻害されないようにと指摘をしております。
 こういった法目的との関係に照らすと、今回の規制緩和はなじむものなのかと思いますが、その点はいかがでしょうか。

○山下政府参考人 盗品等の売買の防止等という法目的を踏まえ、今回の改正におきまして許可制度の見直しを行うに当たりましても、各公安委員会がその管轄区域内に所在をする古物商に対し指導監督を行うことができるよう、許可を行う主たる営業所等の所在する都道府県の公安委員会以外の公安委員会におきましても、管轄区域内に所在する営業所に対し、指示、営業停止の行政処分等の指導監督を行うことができることとしております。
 さらに、関係府県の公安委員会が許可届出の内容や処分状況等の情報を共有し、効果的に監督を行うことができるよう、関係府県の公安委員会から国家公安委員会にこれらの情報を報告させ、国家公安委員会から各公安委員会に通報する制度を設けることとしております。
 また、営業の制限を緩和し、仮設店舗での古物の受取が可能とするに当たりましても、相手方の本人確認等といった盗品等の売買を防止するための措置を古物商に義務づけ、また、仮設店舗での古物の受取に当たって、その日時、場所を事前に届出させることとしておりまして、その届出に基づき、古物商による義務の履行状況を確認するなど、古物商に対する指導監督を適切に行っていくこととしております。
 このように、今回の法改正案につきましては、盗品等の売買防止等という法律の目的とのバランスを十分に考慮しながら立案するに至ったものでございます。

○塩川委員 規制緩和とバランスをとりながら、指導監督を適切に行う措置をとるということであります。
 現状を確認したいんですが、複数の都道府県で古物商許可を得ている業者、主な大手業者はどんなところがあるのか、簡単に説明してもらえますか。

○山下政府参考人 複数の都道府県において許可を取得している古物商のうち、四十七全ての都道府県で許可を取得しているものにつきましては、例えば、中古車を取り扱うIDOM、カメラ等を取り扱うキタムラ、眼鏡等を取り扱う三城、また、画像機器等を取り扱うリコージャパンといったものがあるところでございます。

○塩川委員 ガリバーですとか、キタムラ、リコー、眼鏡の三城等々のお話がありました。
 リフォーム産業新聞社のリサイクル通信によりますと、昨年の七月ですが、年間中古売上高のトップはゲオ、次いでブックオフ、三位がコメ兵、四位がなんぼや、五位が大黒屋と、いずれも全国展開している企業ですけれども、この五社で二千五百億円近くの中古売上げがあります。
 今回の規制緩和で手続が簡素化をされてメリットを受けるのは、こういう全国展開をしている大手業者であります。お尋ねしますが、結局こういう大手業者のための規制緩和ということではありませんか。

○山下政府参考人 今回の許可制度の見直しにつきましては、委員御指摘の全国展開している事業者もそうでございますけれども、例えば、現在、ある一つの都道府県で許可を受けて事業を営んでいる事業者の方が、例えば隣県に営業所を展開しよう、こういった場合につきましても、これまでは許可をとらなければいけないということで、大変事務負担があったわけでございます。
 この制度改正が行われれば届出で足りるということでございますので、まさに中小規模の事業者にとりましてもメリットがあるものでございますし、昨年行いましたさまざまな事業者に対するヒアリングにおきましても、多くの中小の事業者からこういった制度の改正を望む声というものがあったものでございます。

○塩川委員 この規制緩和のそもそもの発信源は、未来投資戦略二〇一七において、二〇二〇年三月までに、規制改革推進会議行政手続部会決定に沿って、営業の許認可や社会保険に関する手続など、事業者負担の重い分野において、行政手続を行うために事業者が作業する期間について原則二〇%以上の削減を目指すと昨年六月に閣議決定をしているところにあります。
 本来の法の目的よりも行政手続コスト削減という理由で、大手を中心にメリットを受けるような規制緩和だと言わざるを得ません。
 次に、市場が拡大してきているインターネット上での取引について、現状を確認したいと思います。
 経済産業省にお尋ねいたしますが、ネットオークション市場の規模はどうなっているか、そのうちCツーCの市場規模はどうか、大手はどういうところか、その市場占有率とかわかれば教えてください。

○前田政府参考人 お答え申し上げます。  私どもは電子商取引に関する市場調査をやっておりますが、それによりますと、二〇一六年以前の推計値はございませんが、ネットオークション全体で一兆八百四十九億円、今議員御指摘のCツーCに限って申し上げれば三千四百五十八億円、こういう市場規模を推計しております。
 大手ということでございますけれども、現在、ヤフー株式会社が運営するオークションサイトでヤフオク、これが最大手であるというふうに認識しております。

○塩川委員 先ほど一兆八百四十九億円の市場規模、CツーCは三千四百五十八億円。ヤフオクということですけれども、ヤフオクが九割ぐらい占めているというふうに聞いております。
 次に、ネットフリーマーケット、フリマアプリの市場はどうなっているか、大手はどこか、その市場占有率がどのくらいか、その辺わかりますか。

○前田政府参考人 お答え申し上げます。
 先ほどの電子商取引に関する市場調査の推計では、三千五十二億円、二〇一六年の市場規模の推計でございます。
 そのうちの大手は、株式会社メルカリが運営するメルカリでございまして、市場は、推計いたしますと約五割、半分ぐらいではないかというふうに推計をしております。
 以上でございます。
○塩川委員 市場規模が三千五十二億円、五割がメルカリという話であります。非常に大手の市場占有率が高いということです。フリマアプリ、個人と個人が売買をする取引市場が、ネットオークションの個人対個人の取引に匹敵するほどの市場になっている。同じように今三千億ということになってきています。
 そういう意味では、フリマアプリの市場規模が非常に大きくふえてきているということが言えるわけですが、二〇一二年に初めてフリマアプリが登場してきた。この四年間で大きな市場規模を獲得したというのが特徴だと。「尚、フリマアプリの利用者は引き続き増加傾向にあるため、二〇一七年以降も市場規模はさらに拡大するものと予測される。」と、先ほど紹介していただいた経産省の市場調査でも取り上げているところです。
 ではお尋ねしますが、ネットオークション、フリマアプリでの盗品売買の検挙数の推移がどうなっているのか。統計をとり始めた初年の平成十六年は九百四件と聞いておりますけれども、それ以降の、ピークの平成二十一年以降の数字を、あと二十四、二十五と直近の二十九、そのぐらいの数字はわかりますか。ピークの二十一年と二十四年、二十五年、二十九年、お願いします。

○山下政府参考人 窃盗犯検挙件数における主たる盗品等の処分先のうち、委員お尋ねのインターネットオークションが処分先だった件数でございますけれども、平成十六年から統計をとり始めておりますけれども、ピークは平成二十一年の三千二十六件、平成二十四年が二千五百五十二件、平成二十六年が一千四百七十七件、昨年、平成二十九年は一千六百四十六件でございます。

○塩川委員 平成二十五年は一千百六十四件ですかね。今、二十六年の数字を言わなかったかな。ちょっと、二十五年の数字をもう一回確認。

○山下政府参考人 平成二十五年の件数は一千百六十四件でございます。

○塩川委員 フリマアプリについての調査はあるんでしょうか。

○山下政府参考人 フリーマーケットアプリ等が窃盗事件等の被害品の処分先として利用されている件数につきましては、統計を保有していないところでございます。今後、都道府県警察に対しまして、定期的に実態把握を求めてまいりたいと考えております。

○塩川委員 平成二十四年の二千五百五十二件が二十五年で千百六十四と大きく減っています。これは、ちょうどフリマアプリが登場した年なんですよね。ですから、ネットオークションからフリマアプリに流れているんじゃないかと考えるのが自然であります。
 しかも、経産省の市場調査で言っているように、今後もフリマアプリ市場が更に拡大するということになると、ネットオークションはあらかじめ決められた期日までは取引は確定しないけれども、フリマアプリの場合は、買い手が応じれば取引が成立をし、手軽に処分して換金したいという利用傾向があると、経産省の調査でも報告があります。盗品売買しやすいということになるのではないのか。フリマアプリでの盗品売買がニュースになっているのに、処分件数を調査していないということも極めて重大だと指摘をしておくものであります。
 今回、有識者会議ではフリマアプリ規制が議論されていましたが、今回の法案には盛り込まれなかった。それはなぜなんでしょうか。

○山下政府参考人 フリーマーケットアプリ等の大手運営事業者、いわゆるメルカリは、昨年十二月から、インターネットオークション事業者に課されている努力義務と同等の本人確認を自主的に開始をし、また、メルカリ以外の大手事業者も同様の措置の導入を検討しているものと承知をしております。
 また、メルカリにおきましては、本人確認以外にも、インターネットオークション事業者に課されている努力義務と同等の取引等に係る記録の作成、保存を自主的に行うとともに、出品されている商品への監視等に係る体制を強化するなど、盗品等の売買の防止に向けた対策を行っているものと承知をしております。
 昨年十二月の有識者会議の報告書では、最初から法規制をして新しいビジネスの芽を摘んでしまうということのないように配慮する必要があるという意見もあった上で、フリマアプリ等の運営業者及び業界におきまして自主的な取組を強化しつつあることなどから、まずは自主規制の状況を見守ることとし、自主規制のままでは盗品売買の防止等に関して十分な抑止効果が認められない場合に法規制を検討していくべきとされたことから、今回の改正案は、これを踏まえて起案をしたものでございます。

○塩川委員 自主規制を見守るという話ですけれども、フリマアプリの大手はメルカリですが、二位はどこかというと楽天なんですよ。今回の有識者会議のメンバーに楽天が入っているじゃないですか。そうすると、議論として自主規制というのが、まさにこの大手二社のうちの一角である楽天の要望に沿ったような中身になっている。こういった形が有識者会議で出されているというのに、やはりその妥当性についての疑念が起こるんじゃないのかと思うわけです。
 最後に大臣にお尋ねしますけれども、こういったように楽天が有識者会議のメンバーで入っているから、自主規制となったと言われても仕方がないんじゃないのか、国民の目から見て、成長戦略重視で、法の目的よりも規制緩和先にありきと疑惑を持たれても仕方がないのではないかと思いますが、いかがでしょうか。

○小此木国務大臣 規制のことについては、参議院でも議論をいただきました、指摘もございました。きょう、この委員会におきましても、今後も委員からの指摘もあろうかと思いますが、これは、国家公安委員会としても、関係省庁、警察がしっかりと連携をして監視、注視をしていく。有識者会議においては、今御指摘もありましたように、いろいろな角度から話が出てきています。今回その要請を受けたものでございますけれども、重ねて申し上げますけれども、私たちの監視、注視、これから必要になってくると思っております。

○塩川委員 政策決定過程に疑念が持たれないような対応というのを求めて、質問を終わります。

 

「安倍9条改憲NO! 3000万人署名提出行動」/党埼玉県委員会

 日本共産党埼玉県委員会の「安倍9条改憲NO! 3000万人署名提出行動」。

 各地の代表から30,233筆の署名を受けとりました。これまでに14万筆の署名が集まっています。梅村さえこさん、伊藤岳さんが同席しました。

 安倍政権を退陣に追い込むために、力を合わせましょう!

【内閣委員会】大規模火山噴火降灰対策/国の責任で行え

 大規模火山噴火による降灰被害対策について質問しました。

 降灰の影響について気象庁の資料(表↑)では「0.1mm積もるとぜんそくなどの症状の悪化。1mmで航空機や鉄道の運行不能の可能性、農作物への影響。1cm以上積もると一般車両での移動への影響、送電施設への付着で停電の可能性」などわずかな堆積でも被害は深刻だ。その認識を問いました。

 小此木八郎内閣府防災担当大臣は「移動手段が限定される。迅速な救助活動・交通対策など降灰時の対応力の向上を図っていくことが重要」と答えました。

 私は、『大規模火山災害対策への提言(2013)』の中で、国に対し、降灰対策の指針を作るよう求めている。その措置状況について質問。

 内閣府は「これから検討を進める」と答弁。

 5年も経っているのにまだ作っていない、と批判すると。内閣府は「今年度から富士山を想定した降灰対策の調査検討を行う」と答えました。

 大規模噴火のおそれのある火山は浅間山など他にも想定される。富士山に限定するのはおかしい。広域の降灰被害については、国の責任で、人もお金も出して対策するべきだ。

衆議院TV・ビデオライブラリから見る


「議事録」
<第196通常国会 2018年04月11日 内閣委員会 9号>

○塩川委員 それでは、次のテーマへ入りますので、官房長官や関係の部署の方は御退席いただいて結構です。
 次にお尋ねするのが火山災害対策、特に大規模降灰対策についてお尋ねをいたします。
 死傷者が出ました草津白根山の水蒸気噴火ですとか新燃岳の大きな噴火など、火山災害対策に国民的な関心が高まっております。二〇一三年に、内閣府防災のもと、広域的な火山防災対策に係る検討会が行われ、大規模火山災害対策への提言がまとめられました。
 提言では、環太平洋造山帯に位置し百十もの活火山を有する我が国では、古来幾度となく大規模な火山災害に見舞われており、その歴史を振り返ればいつの日か再び大規模な火山災害が発生することは避けられないであろう、特に東北地方太平洋沖地震発生後の日本列島は、同じく三陸沖で大きな地震が発生し火山活動が著しく活発であった九世紀の状況に似ているとの指摘もあり、今世紀中に大規模噴火など大規模な火山災害が発生してもおかしくないと述べております。
 そこで、お配りしました資料の一枚目をごらんいただきたいんですが、気象庁がつくりました降灰の影響と降灰量の関係という図であります。
 一番下の欄が、〇・一ミリから一ミリという降灰量の厚さにありますように、要するに、一ミリという降灰であっても、例えば、道路で白線が見えなくなる、あるいはJRの運休や滑走路が使えなくなる、こういう事態が生まれますし、稲作では一年間収穫が不可になるとか、家畜の中毒の可能性とか、ぜんそく患者の方の症状が悪化をする。一ミリから一センチであれば、「健康」のところに書かれていますように、喉や鼻への異常の訴え、慢性疾患者の健康問題が増加をするということで、わずか一ミリといっても大変大きな影響を与えるというのがこの大規模降灰の問題であります。
 健康、公共交通機関、農作物などに甚大な被害が及ぶこのような降灰ですけれども、内閣府にお尋ねをいたします。提言においてもこの大規模な降灰の影響について指摘をしておりますが、該当部分を紹介してもらえますか。

○伊丹政府参考人 お答えいたします。
 大規模火山対策への提言におきましては、大規模な降灰に備えて取り組むべき事項について、噴火口からの距離に応じまして、山麓から近郊地域、遠隔地域、そして地域共通の三つに分けて記載されているところでございます。
 具体的な内容といたしましては、主に、山麓から近郊地域につきましては、降灰を対象とした噴火警報の運用手法の設定、遠隔地域につきましては、降灰下で住民がとるべき対応に関する指針の作成や、除灰作業に関しまして関係機関と調整する仕組みの構築につきまして、そして、地域共通につきましては、降灰による産業構造や社会システムへの影響に関する調査研究の推進などが記載されております。

○塩川委員 質問に答えていないんですけれども。
 大規模な降灰の影響をどのように提言では指摘をしているのかということです。

○伊丹政府参考人 お答えいたします。
 大規模な降灰の発生につきましては、山麓におきまして数十センチ以上、都市部など遠隔地域でも数センチ以上の火山灰が堆積する可能性があるということでございまして、山麓では、降灰によりまして避難を強いられる、さらに、除灰作業が完了するまで避難が継続することで地域全体が機能不全に陥るおそれがある、道路につきましては、火山灰が〇・五ミリメートル程度堆積すれば一般車両での移動に影響が生じ、湿潤時には数ミリメートル、乾燥時には一から二センチメートル程度堆積すれば一般車両での避難が困難となる、そのため大規模降灰時には住民の避難などの移動手段が大幅に限定される、このような内容が記載されております。

○塩川委員 小此木大臣にお尋ねいたします。
 今、紹介もし、答弁にもありましたように、この大規模な噴火に伴う降灰というのが、健康や公共交通機関、また農作物などに大きな被害をもたらすということであります。
 ぜひ、大規模噴火による降灰の社会的な影響について大臣が率直に感じておられること、所感をお聞かせいただけないでしょうか。

○小此木国務大臣 塩川委員には、予算委員会におきましても火山について御質問をいただきました。
 本白根山、あるいは、昨年、ちょうど秋口ですけれども、霧島・新燃岳の噴火もございまして、いまだにまだレベルが低くない状況にあるところでありますので、おっしゃった観点から、国民の生活に与える影響は多々と思いますし、不安も残っているところだと思います。
 今、政府として一生懸命それに当たっているところであると思いますけれども、警察において、例えば降灰によって、住民の移動手段、こういったものは限定されるなどの影響があることも念頭に置きつつ、迅速的確な災害救助活動や交通対策が行われるよう降灰時の対応力の向上等を図っていくことが今私として重要なことであるというふうに思っております。
 今後とも、噴火に伴う各種警察活動が迅速的確に行えるように指導してまいりたいと思います。

○塩川委員 大臣からも、降灰の社会的な影響について、そういう中での移動手段が限定される、こういったことについての対策の必要性のお話がございました。
 内閣府防災にお尋ねしますが、では、この提言を具体的にどのように措置してきたのかということであります。特に大規模な降灰対策についてです。山麓のことはもちろん別途あるんですけれども、遠隔地域の対策として、提言では「国は、降灰下で住民が取るべき対応について指針を作成すべきである。」としておりますが、指針はつくりましたか。

○伊丹政府参考人 お答えいたします。
 遠隔地域において住民がとるべき対応に関する指針も含めました降灰対策の推進に向けましては、これまで、降灰が及ぼす影響や被害の想定手法等の調査検討を行ってきたところでございます。
 広域的な降灰への対策は重要な課題と認識しておりまして、今後は、これらの調査検討の成果を踏まえて、具体的な対策の検討を進めてまいりたいと考えております。

○塩川委員 いや、五年前の提言で、指針をつくると言っていたんですよ。書いてあるでしょう。五年前の提言で言っていた指針をつくったのかと聞いているんです。

○伊丹政府参考人 お答えいたします。
 これまで取り組んでおりましたのが、その指針の具体的検討作業の、いわば準備段階に相当するものでございますので、本年度におきまして、これまでの調査検討の成果を踏まえまして、都市機能が集積している地域を含めた大規模な降灰時の影響や対応策について検討することとしております。

○塩川委員 いや、ことしとか去年の話じゃないんですよ、提言が出ているのは。五年前なんだよ。五年前なのに、五年間も指針をつくらずに来たと。何でそんなことができるんだと。何でそんなことになっているのか。おかしいじゃないですか。その点を答えてください。

○伊丹政府参考人 お答えいたします。
 先生御指摘のとおり、提言なされた時期につきましてはおっしゃるとおりでございます。
 火山対策全般につきましては、御嶽山の噴火などへの対応ということで、活動火山対策特別措置法の改正、そして、それに伴います火山防災協議会あるいは避難計画策定、義務づけ、こういったことの取組も並行して行ってきていたところでございます。そのような時間経過の中で今に至っているというのが実情でございます。

○塩川委員 御嶽山の水蒸気噴火は、多くの方々が犠牲になられた。これを踏まえた対処措置としての火山対策特措法の改正というのは重要だと思います。そういう対策はしっかりやると言うんですけれども、並行してと言うけれども、並行していないじゃないですか。この五年間、具体的に指針をつくると決めていたのに、決めていたにもかかわらず五年間つくらないで来たということについての、私、やはり内閣府防災の責任が問われると思いますよ。こういったことについて曖昧にするということは許されないということを申し上げておくものです。
 今年度の予算事業として、広域噴火災害対策の検討が入っております。広域噴火災害時に国の各機関が行う具体的な防災対策の検討をモデル火山地域を設定して実施するとしておりますが、この広域噴火災害対策の検討というのはどういうものか、ここで挙げられているモデル火山地域というのはどこになるのか、このことについて説明してください。

○伊丹政府参考人 お答えいたします。
 具体的な検討内容というお尋ねでございましたけれども、先ほど答弁でも触れさせていただきましたが、都市機能が集積している地域も含めまして、大規模降灰時の影響、それからそれへの対応策、こういったことを具体的に検討していくこととしております。
 この検討に当たりましては、首都圏に大量の降灰をもたらした実績がございまして、その状況について多数の研究実績がございます富士山をモデルケースにして取り組んでまいりたいと考えております。

○塩川委員 大規模降灰時の影響を踏まえて、富士山を念頭に、予算措置、防災対策の検討を行うということです。
 資料の二枚目をごらんいただきたいんですが、これは、国も関与してつくりました、富士山ハザードマップ検討委員会の報告書です。これは二〇〇四年の六月ですけれども、そこに掲載してあります降灰可能性マップであります。降灰が、東京都心、二センチというところが入っておりますけれども、広範囲に降灰の被害が及ぶということがよくわかります。
 富士山などをモデル火山地域に設定して、広域噴火災害時に国の機関が行う具体的な防災対策の検討を行うというのが今回の予算措置ということであります。
 そこでお尋ねしますけれども、首都圏に大きな影響を及ぼすということでは、浅間山などもあるんですよね。偏西風の影響を大きく受けるという点では、西側の方の山ですから、富士山はもちろんのことですけれども、浅間山というのも、当然、首都圏、都心に大きな影響を及ぼすわけです。
 この浅間山の広域噴火災害対策というのはどうなっているのか。つまり、都心に影響を及ぼすような、そういった噴火、降灰を念頭に置いた、そういった調査、検討などが行われているんでしょうか。

○伊丹政府参考人 お答えいたします。
 浅間山に関しましては、現地の火山防災協議会を中心に検討が進められておりますけれども、現状におきましては、住宅が倒壊する危険が生じる一つの目安である降灰量、これが二十センチメートルということでございますが、これまでを念頭に置いてハザードマップを作成し、それをもとに防災対策をまず考えておる状況という状況でございます。

○塩川委員 今お答えいただいたのが資料の三枚目ですけれども、浅間山火山防災協議会が作成をしました大規模噴火のハザードマップということで、浅間山火山防災協議会は、大規模噴火を想定した火山ハザードマップの新規を作成した。これがこの図になるわけです。
 これを見ていただくと、青い円がありますけれども、内側から、五十センチ以上積もるおそれ、三十センチ以上積もるおそれ、二十センチ以上積もるおそれというのが範囲として示されているわけですけれども、何で二十センチなのか。先ほど見てもらった富士山のハザードマップは十センチ、二センチと入っているじゃないですか。ですから、当然、都心まで及ぶような降灰のハザードマップになっているんですよ。何で、浅間山の場合については二十センチのところで終わっているんですか。十センチとか二センチ、まさに一ミリでも影響を受けるわけですから。
 こういったことについて、何で浅間山のハザードマップには入っていないのか。

○伊丹政府参考人 お答えいたします。
 こうした火山ハザードマップに表示する、いわゆる降灰量についてでございますが、内閣府及び関係省庁では、念頭に置く被害や影響の程度を勘案して、各地の火山防災協議会において決めるということを指針の一つとして掲げて取り組んできております。
 浅間山の場合につきましては、先ほどの答弁でも触れさせていただきましたが、住宅が倒壊する危険が生じる一つの目安ということで、降灰量二十センチということを取り上げて整理をされているというふうに認識しております。

○塩川委員 それはおかしいじゃないですか。気象庁も言っているし、内閣府防災も、一ミリでも大きな影響を受けますよと言っているわけですから、当然、それを念頭に、このことしのいろいろな調査の予算もとっているし、指針ももちろんそういう趣旨でつくるべき話なんですよ。
 それなのに、何で、家屋が倒壊する、家屋が倒壊すること自身は極めて重大ですけれども、それにとどまるのか。農作物への影響だとか健康への影響とか、十センチ、二センチ、一センチ、入れればいいじゃないですか。そういうアドバイスをしなかったんですか。

○伊丹政府参考人 浅間山の火山ハザードマップにつきましては、まず、どういったことを念頭に置いて、あるいは影響を勘案して取り組むかということが、やはり地元の協議会での議論がベースになるところでございます。まず人命の尊重、確保ということで、避難、これに伴うところにまず取り組まれているというのが状況でございます。

○塩川委員 いや、それはわかるんですよ。それはわかるんです。だけれども、大規模噴火のハザードマップなんでしょう。大規模噴火については、降灰の被害は甚大に及ぶということは政府も言っているわけですから、何で、そういった十センチとか二センチというところまで入れないのか。
 結局、何でこうなっているかというと、この浅間山のハザードマップをつくっている協議会の自治体の範囲にハザードマップをとどめようという話があるわけですよ。いわばこのマップだけじゃなくて対策も必要ですから、そういう対策の部分で、いや、お隣の埼玉県とか栃木県とかいうところと調整がしていないものだから、結局は、群馬県、長野県を中心とした範囲のものにとどまっている。
 もちろん、群馬や長野の皆さんにとって必要なハザードマップなんです。しかし、大規模噴火のマップをつくるのであれば、首都圏に及ぶような、都心に影響が及ぶようなものをつくるべきなんですよ。そういうものをつくらないのは、結局、自治体任せに国がしているからじゃないですか。
 富士山の場合には、国が関与してつくっているんですよ。だったら浅間山だって、国がしっかりかかわって、人も出すし金も出して、首都圏に降灰被害が及ぶようなハザードマップをつくればいいじゃないですか。何でそんなことをやらないんですか。

○伊丹政府参考人 お答えいたします。
 広域的な降灰が及ぼす影響や対策、これについては深めた検討が必要だと認識しておりまして、先ほどの答弁でも触れましたけれども、今年度、富士山をまずモデルケースとして検討をして、具体的な内容を深めたい、このようなことでございます。
 浅間山につきましては、浅間山も含めた他の火山ということになろうかと思いますが、どのような取組を進めるかということに関しましては、関係機関とともに、こういった富士山をモデルケースにした検討結果も踏まえて、検討してまいりたいと考えております。

○塩川委員 自治体など関係機関のこういう努力を本当に生かしていくためにも、国は積極的に役割を果たす必要があるんですよ。大規模噴火の降灰対策について、国がしっかりとかかわったハザードマップをつくるし対策もつくる。五年間も指針を放置しているようなこと自身が重大問題だと、直ちに対策をとることを強く求めて、質問を終わります。

【内閣委員会】総理のご意向と符合/柳瀬氏発言を指摘

 「加計学園」の獣医学部新設は「首相案件」だとする柳瀬唯夫首相秘書官(当時)の発言が新たに明らかになった問題で、菅義偉官房長官にただしました。

 
  同学部新設は「首相案件」だという発言は、文部科学省の内部文書にある「総理のご意向」との藤原豊内閣府国家戦略特区担当審議官(当時)の発言とも、非常に符合する。安倍首相の関与を「否定できるか」とただす。
 
  菅氏は「すでに国会で総理が答弁したとおりだ」として、関与を認めませんでした。 
 
 利害関係者による審議や議決への参加を排除する国家戦略特区会議の基本方針に反して、加計孝太郎理事長を「腹心の友」とする安倍首相が、同学園の学部新設を決めた同会議の議長を務めてきた。藤原氏らが国家戦略特区の手法を提案したのは、安倍首相自身が国家戦略特区を「私自身が進み具合を監督する」制度として「強い政治力を用いて進める」と表明してきた。総理自身が進み具合を監督するために、国家戦略特区に切り替えたのが真相ではないかと追及しました。
 
 
 
 

「議事録」
<第196通常国会 2018年04月11日 内閣委員会 9号>

○塩川委員 日本共産党の塩川鉄也です。
 最初に、加計学園のいわゆる首相案件問題について質問をいたします。
 加計学園が愛媛県今治市に獣医学部を新設する計画をめぐって、二〇一五年四月、愛媛県や今治市の職員、学園幹部が柳瀬唯夫首相秘書官と藤原豊地方創生推進室次長らと面会した際の記録文書があると報道されました。中村時広愛媛県知事は、文書は会議に出席した県の職員が報告するため備忘録として書いたものと判明したと、県の職員が作成した文書であることを認めました。この文書は、国家戦略特区の説明資料として愛媛県が内閣府や文科省、農水省に配ったということを中村知事も認めているところです。
 官房長官にお尋ねいたします。政府として、この文書の存在を把握しておられますか。

○菅国務大臣 政府としては、そのような文書は承知をしておりません。
 報道を受けて、加計学園の獣医学部新設をめぐる愛媛県と関係府省庁、そのやりとりに関する文書については、昨日、事務の副長官から、報道のありました内閣府、文科省、農水省、厚労省の事務次官に対して、確認するよう指示をいたしました。現在、関係府省において速やかに確認を進めているところだというふうに考えています。

○塩川委員 中村知事は、文書は会議に出席した県の職員が報告するための備忘録として書いたものと判明したと述べたわけですけれども。
 愛媛県の方は、もうこの文書の内容を真正のものと認めているわけなんですよ。それについて、当然、一方の当事者である政府の方は、この文書の内容を認めるのか否定をするのか、その点、いかがですか。

○菅国務大臣 この点については、柳瀬元総理秘書官がコメントを出しているんじゃないでしょうか。そして、政府としては、現在、関係府省庁に速やかに確認を進めているところであります。

○塩川委員 柳瀬氏のコメントもそうですけれども、柳瀬氏の国会答弁が虚偽なんじゃないのかということが極めて問われているわけであります。
 文書では、柳瀬首相秘書官が本件は首相案件と述べたといいます。また、藤原氏が要請の内容は総理官邸から聞いていると述べたということです。これらの文書の文言は、文科省内で発見された文書において藤原氏が総理の御意向とか官邸の最高レベルが言っていることと発言していたということと、非常に符合しているわけであります。
 安倍総理が関与しているということを否定できるんでしょうか。

○菅国務大臣 総理が国会で答弁してきているとおりだと思っています。

○塩川委員 文書では、柳瀬首相秘書官が本件を首相案件と述べているわけです。
 国家戦略特区の仕組みですけれども、その基本方針では、直接の利害関係を有する議員については審議及び議決への不参加が規定をされています。加計学園の獣医学部新設の特区というのは、安倍首相の腹心の友の案件であります。このような首相案件の審議に安倍総理自身が議長として諮問会議に出席するということは、そもそもこの基本方針で規定をしていることに反することになるんじゃありませんか。

○村上政府参考人 お答え申し上げます。
 安倍総理が本件に関しまして利害関係人に相当するかどうかという点につきましては、単なる友人関係につきましては、これは該当しないというふうに整理をしてございます。
 いずれにしましても、それぞれのプロセスにおいて、適切に法にのっとり判断をして、合意を得てきたものというふうに理解してございます。

○塩川委員 この腹心の友との関係について、きょう予算委員会でも、川内議員、少しやりとりがありましたけれども、やはり非常に親しい関係の中でこの問題が出てきているということについて、この愛媛県が作成をした文書においても、その事実関係についても書かれているところであります。極めて重大な問題であります。
 そこで、さらに、官房長官にお尋ねしますけれども、二〇一五年四月時点で加計学園の獣医学部新設が首相案件という話であれば、昨年七月の衆議院予算委員会で、加計学園の獣医学部新設という意向を知ったのは加計が事業者に決まった昨年一月二十日だったという安倍総理の答弁もうそになるわけですけれども、こういったことについては官房長官はどのように考えておられますか。

○菅国務大臣 既に国会で総理が答弁したとおりであります。

○塩川委員 このことも含めて、予算の集中審議の中で明らかにされなければならない。総理の答弁として、この点はやはりしっかりただす必要があります。
 あわせて、柳瀬氏は国会答弁で、私の記憶をたどる限り今治市の方とお会いしたことはないと述べております。これ自身も、この文書との関係でいえば虚偽答弁となるのではないのか。また、国家戦略特区の主担当である藤原豊地方創生推進室次長は、これまでの事務的な構造改革特区とは異なり国家戦略特区の手法を使って突破口を開きたいと提案をしたということです。これは、藤原氏の、今治市に構造改革特区ではなく国家戦略特区で提案するよう示唆したということはないという過去の答弁がうそということになります。
 こういう点でも、虚偽答弁が問われるようなこの二人について、内閣官房、内閣府を所掌する官房長官として、柳瀬氏、藤原氏に事実関係をしっかりとただす、こういうことを行うべきではありませんか。

○菅国務大臣 所管は私ではありません。
 ただ、いずれにしろ、政府としてあのような文書の存在というのは承知をしていないということです。

○塩川委員 もともと二〇一五年の四月の時点であれば、首相秘書官であり、また内閣府における地方創生推進室の次長という立場ですから、内閣官房、内閣府のもとに置かれている、そういう担当者のかかわる問題ですから、それはやはり官房長官として、当時も菅官房長官であったわけですし、しっかりとただすということが必要じゃないでしょうか。改めて、いかがですか。

○菅国務大臣 いずれにしろ、政府としては、そうした文書は承知をしていないわけでありますし、愛媛県のことであります。そしてまた、柳瀬元総理秘書官も、きのうしっかりとみずからの考え方を、コメントを発表していることじゃないでしょうか。

○塩川委員 承知していないといっても、確認中だということも言っているわけですし、一方の当事者の愛媛県の方は、これはその内容を含めて県の職員がつくったものと認めているわけですから、これが事実でないんだということであれば、これは政府、国の方がしっかりと言うべき話なんですよ。そのことについてきちっと明らかにしないので、これでわかってくれという話にならないということを言わざるを得ません。
 首相秘書官として国家戦略特区を担当していた柳瀬氏は、現在国家戦略特区の方が勢いがあると述べたということですし、また、国家戦略特区の主担当である藤原豊地方創生推進室次長は、これまでの事務的な構造改革特区とは異なり国家戦略特区の手法を使って突破口を開きたいと提案をした。このように、国家戦略特区を強調するというのは、安倍総理御自身が国家戦略特区に入れ込んでいるからであります。
 安倍総理は、私が提案する国家戦略特区は規制改革の切り込み隊長である構造改革特区の考え方を更に面的なものへと進化させていく、このようなことを述べ、また、規制改革のショーケースとなる特区も総理大臣である私自身が進みぐあいを監督する国家戦略特区として強い政治力を用いて進めますと述べています。
 そういうことは、加計学園の獣医学部の建設というのは、総理自身が進みぐあいを監督するために、構造改革特区ではなく国家戦略特区に切りかえたというのが真相ということになるんじゃありませんか。官房長官、いかがですか。

○菅国務大臣 ただ、この問題は、もう何時間、何十時間か国会で答弁をしたことじゃなかったでしょうか。まさに、この改革を進めるために必要なことであったということは事実じゃないでしょうか。

○塩川委員 去年された議論がことしも行われている、防衛省の日報の問題もそうですし、森友学園の問題も同様なんですよ。一貫して疑惑が解明されていない、いや、逆に深まっているからこそ、こういう議論が積み重ねられているわけです。そういう事態を招いている大もとにあるのが安倍総理御本人なんじゃないでしょうか。そのことこそを今問われているわけで、安倍総理の国政の私物化だ、安倍総理の進退が問われる大問題だと言わざるを得ません。
 藤原氏や柳瀬氏、加計孝太郎氏の証人喚問をぜひとも求めていくことが必要ですし、こういった事態を招く、その根っこにある安倍総理におやめいただくということが今求められているということを述べて、委員長、ぜひ証人喚問について求めたいと思います。

○山際委員長 後ほど理事会で協議いたします。

埼玉/春日部市議選の告示で応援に

 春日部市議選の告示日。日本共産党は、松本ひろかず、並木としえ、卯月武彦、大野とし子、今尾やすのり、坂巻かつのりの6議席確保に全力を挙げています。5人の候補者の応援に駆けつけました! 

 
 小中学校の普通教室へのエアコン設置や市立医療センター建設など、豊かな実績をもつ議員団です。
 
  自民系・公明議員が国保税や介護保険料の値上げに賛成する中、きっぱりと反対を貫いたのが日本共産党。109億円の基金を活用して、国保税一人1万円の引き下げなど市民負担軽減を提案しています。 
 
 公文書に係る隠蔽、改ざん、ねつ造、虚偽答弁の根っこをたどれば、安倍首相に行き着く。国有地の安値売却への安倍首相夫妻の関与を消し去りたい。安倍首相の看板政策の働き方改革法案と9条改憲の邪魔はさせない。そのためには平然と嘘をつき、国民を無視する。これは、国家の私物化だ。 
 
 その打開は、安倍首相に辞めてもらうこと。野党共闘の前進に力を尽くす日本共産党の躍進で、安倍政権を退陣に追い込もう!

【内閣委員会】ホンダ工場閉鎖/大企業の社会的責任棚上げの産業政策を批判

 株式会社地域経済活性化支援機構法改正案を質疑、採決し、賛成多数で可決しました。日本共産党は反対しました。
 
 同法案は、地域経済活性化支援機構の業務を3年間延長するもの。同機構は地域未来投資促進法に基づく「地域経済牽引事業」=「稼ぐ力のある企業」のある企業に出資すると説明しています。
 
 政府は、地域経済牽引事業の一つである埼玉県の「埼玉県鶴ヶ島ジャンクション基本計画」に同意。その区域では産業集積の核となっているホンダ狭山工場の閉鎖が計画され、2021年度をめどに、寄居工場に集約するとしています。
 
 私は「寄居工場に行ける人ばかりではない」など不安の声が上がっていると指摘。
 
 厚生労働省は「狭山工場の約4600人の従業員の中には様々な事情で転勤できない方もいる」と認めました。
 
 ホンダは昨年10月に工場集約について記者発表して以降、まったく説明を行っていない。地域にきちんと説明するのはホンダが果たすべき最低限の責任だ。
 
 茂木敏充経済再生相は、「個別企業の経営判断について、コメントは控えたい」と述べました。
 
 ホンダが積み増した内部留保は国内4位の7兆4800億円に達している。黒字経営のホンダがなぜ、狭山工場を閉鎖しなければならないのか。多国籍企業の利益と、国民、地域経済の利益は一致しない。地域未来投資促進法で個別の企業へ支援を特化させるなど、大企業の社会的責任を棚上げし、産業集積、産地振興を投げ捨てているのが安倍政権の地域産業政策だ。
 
 
 

「議事録」(質疑)
<第196通常国会 2018年04月06日 内閣委員会 8号>

○塩川委員 日本共産党の塩川鉄也です。
 質問します。
 最初に内閣府に確認しますけれども、地域経済活性化支援機構は、今後の活動について、ファンド運営業務にて地域経済牽引事業を支援の対象の中心に置くと説明をしております。
 これは、安倍政権が進める未来投資戦略二〇一七において、機構の役割を、地域経済牽引事業について、地域経済活性化支援機構などを活用したリスクマネー供給促進を図ると位置づけたことによるもので、地域経済牽引事業、稼ぐ力のある個別の企業へ支援を特化する地域未来投資促進法を推し進める、そういう中で行われるものと承知していますが、よろしいですか。

○三井政府参考人 お答え申し上げます。
 先生御指摘のとおり、未来投資戦略二〇一七におきましては、地域金融機関と地域経済活性化支援機構との共同運営ファンドからのエクイティー資金の供給やハンズオン支援、機構から地域金融機関への専門家派遣を通じたノウハウの移転、浸透、日本人材機構の活用による人材支援等の取組の強化について、機構の機能発揮が期待されております。
 それから、地域未来投資促進法におきましては、地域経済牽引事業を促進する観点から、国、地方公共団体や、中小企業基盤整備機構と地域経済活性化支援機構との連携及び協力について規定がされているところでございます。
 なお、昨年十二月におきましては、経済産業省におきまして、地域経済牽引事業の担い手の候補として地域未来牽引企業二千百四十八社が選定されているところでございますけれども、そのうち十三社は既にこのREVICが運営するファンドからの投資先でございまして、こういうことも踏まえまして、しっかり機構としては関係機関と連携、協力しまして地域経済牽引事業の促進に貢献をしてまいりたいと存じます。

○塩川委員 地域経済牽引事業を促進するということでの話がありました。
 経産省ですかね、地域未来投資促進法に基づく埼玉県鶴ケ島ジャンクション基本計画というのがあります。この基本計画において、特に、当該区域の産業構造の特徴における自動車関連産業についてはどのように記載をしているでしょうか。

○田川政府参考人 お答えをいたします。
 御質問ございました埼玉県鶴ケ島ジャンクション周辺地域基本計画の中での自動車関連産業の記載でございますけれども、この中では、自動車関連産業のティア1からティア3まで幅広く裾野産業が立地し、製造業出荷額等では輸送用機械器具製造業が約二九%を占めているでございますとか、本区域には大手自動車メーカーとその傘下の取引企業等の輸送機械器具製造業が集積しているなどの記載がされているところでございます。

○塩川委員 埼玉県側の方で今段取りしていますこの埼玉県鶴ケ島ジャンクション基本計画というのは、埼玉県西部地域になりまして、そこには非常に自動車産業の集積があるということ、この自動車産業の集積がある埼玉県西部地域において、その集積の核となっているのがホンダの狭山工場であります。しかしながら、この狭山工場が閉鎖をすると発表されたことに、地元では大きなショックが広がっております。
 昨年の十月四日、狭山工場の閉鎖計画を発表したホンダは、二〇二一年までに狭山の完成車工場を寄居工場に移管をする、狭山工場の今後については地元の皆さんと、どのように活用するのがよいか、二〇二一年に向けて議論していきたい、我々の事業計画を含みながら展開していきたいなどとしております。
 しかしながら、それ以上の話が全く聞こえてこないんですね。昨年十月の記者発表以降、ホンダはこの中身について何の説明もしていないと承知をしているわけですけれども、大変大きな、地域への、経済においても果たしている役割は大きいですし、雇用でも大きな役割を果たしているわけです。
 こういったホンダ狭山工場の閉鎖計画について、経産省、厚労省はどのように把握しておられますか。

○上田政府参考人 お答え申し上げます。
 ホンダが埼玉県の狭山と寄居にあります完成車工場を二〇二一年度を目途に寄居工場に集約する旨、昨年十月に発表したということは承知をしているところでございます。
 電動化でありますとか自動運転といった新技術の急速な進展等により、自動車産業が大転換期に直面する中、日本の生産機能の強化のために、最新の技術機能を備える、生産機能を備える完成車工場に機能を集約していくということだというぐあいに理解をしております。
 ホンダによれば、狭山工場の従業員は寄居工場を中心に異動をしていただいて、これまで培ってきた生産ノウハウを最大限生かすということでございます。また、これまで操業の理解を得てきた地元自治体と対話をしながら対応を進めているというぐあいに聞いております。
 いずれにしましても、雇用や地域経済への影響につきましては、引き続き、その状況をしっかりと注視をしてまいりたいというぐあいに考えております。

○小林政府参考人 お答え申し上げます。
 従業員の方、現在、約四千六百人ほどいらっしゃるというふうに承知をしております。
 会社の方の方針といたしましては、集約をされる寄居工場を中心に異動を行うというふうに聞いておるところでございますが、御家庭の事情等によって転勤できない従業員の方等を含め、雇用への影響につきまして、管轄側の、埼玉労働局でございますが、そちらの方で情報収集を行っておるところでございます。

○塩川委員 経産省に確認しますけれども、寄居工場において、今お話があったように電動化とか自動運転とか、そういうのはわかるんですけれども、狭山工場の方をどうするんだということについて何にも説明がないのはおかしいんじゃないかと思うんですが、その点はどうですか。

○上田政府参考人 お答え申し上げます。
 ホンダの方も、これまでの操業に理解を得てきた地元自治体としっかり対話をしながら対応を進めているというぐあいに聞いておりますし、ホンダの方からも、雇用や地域経済への影響を最小限に抑えるように対応を図っているというぐあいに聞いておりますので、引き続き、その状況をしっかり注視をしていきたいというぐあいに思っております。

○塩川委員 いや、だから、その説明が全くないんですよ。それはおかしいと言わざるを得ません。
 従業員は寄居工場を中心に異動するというお話がありましたし、厚労省の方は、転勤できない従業員のこととか、そういうような点での懸念もあるという情報収集の話もありました。
 会社は四千六百人の雇用は守ると言いますけれども、同じ埼玉県内でも四十一キロも離れているのがこの寄居工場です。みんな行けるとは限らない。寄居にそもそも受け入れるだけの仕事があるのかとか、寄居までは遠くて通えないという声も寄せられておりますし、寄居工場を中心にと言われていますので、会社は鈴鹿製作所の従業員をふやす予定とも説明をしており、三重県への異動もある。こんなことになれば、子育てや介護のことなどを考えると、とても心配であります。
 期間従業員の雇用は守られるのか。数百社に上る下請、関連企業の仕事と雇用は大丈夫なのか。最寄りの新狭山駅前のホテル利用者の九割はホンダ関係者だとお聞きしました。地域の商店、飲食店はどうなるのか。ホンダに土地を貸している地権者の方も大きな影響が予想されます。その地域とともに生きるというのがホンダの経営方針だったはずであります。
 厚労省に質問しますが、大量離職者が発生する可能性があり、雇用調整の規模が大きく、地域経済に対する影響の程度が甚大である場合には、雇用対策本部を設置するとしています。雇用対策本部を設置する考えはありませんか。

○小林政府参考人 お答え申し上げます。
 雇用対策本部でございますけれども、雇用調整の規模が大きく、地域経済、雇用への影響が懸念される場合に、自治体あるいは関係団体と連携しながら再就職支援を行うために、必要に応じて設置をしておるものでございます。
 本件でございますが、必要がもちろんございますれば雇用対策本部を設置するということになってくるわけでございますが、現時点におきましては、必要な情報収集を行っておる段階でございます。
 いずれにいたしましても、地方公共団体等と連携をしながら、地域における雇用の維持、安定のために必要となる支援というのを機動的に行っていくようにしてまいりたいというふうに思います。

○塩川委員 雇用に影響が出ないのが当然いいわけで、そういうことこそ我々はホンダに求めますけれども、今言ったように、四千六百人の雇用に影響が出るという問題があるんだから、それに対してどう構えるのかというのは厚労省として当然のことじゃないですか。こういうことについてしっかりやるべきだということを申し上げたい。
 大臣にお尋ねをいたします。
 今やりとりしましたように、ホンダの狭山工場閉鎖というのが雇用や地域経済に大きな影響がある。この点について、ホンダの方は、四千六百人の雇用は守ると言いながらも、実際に異動が可能なのかという心配の声もありますし、地域経済がどうなるかということについては、表の話では何も出てこないわけですよね。こういった労働者や取引先や地元自治体、地域住民にきちんと説明するというのは、ホンダが果たすべき最低限の責任であって、その説明責任が果たされていない。
 大臣、ホンダの企業としての社会的責任、問われているんじゃないでしょうか。

○茂木国務大臣 事実関係につきましては、経済産業省そしてまた厚生労働省の方から答弁させていただいたところでありますが、個別企業の経営判断につきまして、私の立場でコメントすることは控えたいと思います。

○塩川委員 いやいやいや、茂木大臣は、経済産業大臣のときにホンダのお話をされていましたよね。ホンダ寄居工場もマザー工場として新たに建設をするということでお話もされておられました。まさに個別企業の話をされていたわけですから。
 そのマザー工場を寄居につくったのはいいけれども、今度は狭山工場の方を閉鎖するという話ですから、こういった問題について、一企業の話であっても大きな社会的責任を持つホンダのこういう工場の閉鎖計画について、大臣としてのしっかりとした所感をお聞きしたいと思うのは当然じゃないでしょうか。改めて。

○茂木国務大臣 当時、日本の企業がグローバル展開をする中で、本来マザー工場として日本に持っていた工場がかなり老朽化をして、業界では、マザー工場ではなくてグランドマザー工場だ、こんなふうに呼ばれる状況が生まれる中で、新規投資をする。やはり日本に基幹となるような工場をつくるということは業界全体としても日本経済全体としても望ましいことである、そういう文脈の中で申し上げたわけでありまして、ホンダがどうしている、日産がどうしている、トヨタがどうすべきだ、こういう文脈では申し上げておりません。

○塩川委員 いや、あのときのやりとりというのは、ホンダの寄居工場の話を私がしたときに、「一旦つくり始めたのをとめたんです。」と大臣がおっしゃって、「ところが、安倍政権になって、新しいアベノミクスのもとで国内も変わっていくということで、世界の中心になるようなマザー工場をホンダもつくるようになってきた。」、アベノミクスの成果だということを言っているんですよ。
 マザー工場をつくったらアベノミクスの成果で、じゃ、狭山工場閉鎖というのはアベノミクスの結果じゃないんですか。こういうことについて、閉鎖の問題についてどんな影響があるのかについて、当然大臣としての所感があってしかるべきじゃないですか。

○茂木国務大臣 私、議事録を見ておりませんが、当時の記憶でお話を申し上げていますが、全体の文脈として申し上げると、私が先ほど言ったように、日本に基幹の工場ができていく、こういう状況は望ましいことだ、こういう文脈の中で申し上げていると思います。

○塩川委員 ホンダは、二〇〇六年に寄居工場建設計画を明らかにしたときに、狭山工場を最新鋭の生産拠点にイノベーションすると発表もしていたわけです。その話はどこに行っちゃったんだと。
 ホンダはこの間、売上げ、収益をふやし続けて、内部留保も積み増して、その額は、国内でトヨタ、三菱UFJ、NTTに次いで第四位、七兆四千八百億円となっています。黒字経営のホンダが、なぜ狭山の完成車工場を閉鎖しなければならないのか。
 中国など外国でもうけるから国内の工場は閉鎖するなどというのでは納得いかないわけで、多国籍企業の利益と国民、地域経済の利益が一致しなくなっている、そういう中での多国籍企業への利益を優先するようなアベノミクスのあり方そのものが問われているということを申し上げておきたい。
 大企業の雇用と地域経済への社会的責任を棚上げにし、産業集積、産地振興を投げ捨てているのが安倍政権の地域産業政策の実態だということを指摘して、質問を終わります。


「議事録」(反対討論)
<第196通常国会 2018年04月06日 内閣委員会 8号>

○塩川委員 私は、日本共産党を代表して、株式会社地域経済活性化支援機構法の一部を改正する法律案に対し、反対の討論を行います。
 地域経済活性化支援機構は、二〇〇九年に株式会社企業再生支援機構法に基づき株式会社企業再生支援機構として設立され、その後、二〇一三年に現行の機構に改組されました。
 企業再生支援機構は、事業再生を行う民間事業者に出資支援を行うことを業務とするもので、我が党は、本来、再生事業者や金融機関が負うべきリスクを税金によって肩がわりするものだと批判し、設置に反対しました。
 実際に、再生機構が支援した日本航空等の再建においては、機構の目的に、雇用の安定等に配慮との規定があるにもかかわらず、従業員の不当解雇や不当労働行為を行うなどの問題を引き起こしています。
 二〇一三年に、株式会社地域経済活性化支援機構法によって、機構が改組され、地域経済活性化に資する事業活動支援が追加されました。その後、二〇一四年にはファンド運営業務の範囲が拡大されるなど、金融機関等が負うべきリスクを税金によって肩がわりする危険を高めてきました。
 本法案は、税金を原資とする出資によって、特定企業を支援し、金融機関が負うべきリスクを肩がわりする機構の業務である事業再生支援事業、地域活性化ファンドの運営事業等を延長するものです。
 特に、内閣府は、機構の今後の活動について、ファンド運営業務にて地域経済牽引事業を支援の対象の中心に置くと説明しています。
 これは、安倍政権の未来投資戦略において、機構の役割を、地域経済牽引事業について、地域経済活性化支援機構などを利用したリスクマネー供給促進を図ると位置づけたことによるもので、地域経済牽引事業、稼ぐ力のある個別の企業へ支援を特化する地域未来投資促進法を推し進めるものです。
 機構は、地域経済活性化という名目で、稼ぐ力のある特定、個別の企業に税金を原資として出資、投資しています。こうした業務は、金融機関、投資機関が行えばよいことで、政府出資、保証を受けている機構が延長して行う業務ではありません。
 以上、本法案に対し反対を表明し、討論を終わります。

【内閣委員会】指導員処遇改善こそ/学童保育には専門性

 学童保育指導員の処遇改善について質問しました。

 
  指導員の高い専門性に見合った処遇改善が必要だ。厚生労働省が行っている「処遇改善事業」「キャリアアップ処遇改善事業」の市町村における利用実績が20%に届いていない理由について問う。  
 
 厚労省の成田裕紀・大臣官房審議官は、財政上の理由などをあげました。
 
  松山政司・少子化対策担当相は「処遇改善は大変重要。(財政上の支援措置は)今後の検討課題としたい」と答弁しました。 
 
 地方分権改革の中で、職員の配置基準について「従うべき基準」から「参酌基準」への緩和を検討していることは、専門性に見合った処遇改善の取り組みに逆行するものだと批判し、政府の認識を問いました。
 
  成田氏は「安全性などの一定の担保が必要」、松山担当相は「質の確保は重要だ」と答弁しました。
 
  職員の配置基準は国が自治体を縛っているものではない。子どもたちの安全を確保するために、国民が行政を縛っているのであり、それを後退させるのは許されない。
 
 
 

「議事録」
<第196通常国会 2018年04月04日 内閣委員会 7号>

○塩川委員 

 次に、関連して、子ども・子育て支援制度の一環でもあります学童保育について、特にその指導員の処遇改善の問題について質問をいたします。
 学童保育の今の詰め込みの現状が大変深刻でもあります。そういうのとあわせて、指導員の確保というのは大変に困難な状況になっているというのが率直なところで、私は埼玉の所沢が地元ですけれども、地元の学童保育の指導員の方が東京の方に行ってしまわれたということなんかも含めて、非常に確保をするのに苦労されているという話というのはたくさん耳にするわけであります。
 こういった学童保育について、やはり多くの関係者の方々は、保育所並みの支援体制、これを実現をしてほしいということで繰り返し要望もされ、この間の法改正などで、こういった学童保育の位置づけについて、専門性をきちっと備えたものという立場での取組になってきているというのも、関係者の皆さんの御努力の結果でもあると思います。
 その上で、そうはいっても、現状は、なかなか、学童保育の指導員の確保も困難となっている。
 それに関連して、厚労省の施策について幾つかお尋ねをいたします。
 一つは、放課後児童支援員等処遇改善事業というのがありますけれども、この事業というのはどういう内容なのか、説明をいただけますか。

○成田政府参考人 お答え申し上げます。
 放課後児童支援員等処遇改善事業は、放課後児童支援員等の処遇の改善と、開所時間の延長を図るために、平成二十六年度に放課後児童クラブ開所時間延長支援事業として創設し、放課後児童クラブの運営費の基本分に対する加算として実施しているものでございます。
 この事業は、平日は十八時半を超えて開所していること、家庭、学校等との連絡及び情報交換等を行っていること、平成二十五年度の賃金に対する改善を行っていることなどを要件として、非常勤職員も含めた賃金改善に必要な費用や常勤職員を新たに配置するための追加費用を補助するものでございます。

○塩川委員 十八時半を超えて開所する、そういう放課後児童クラブ、学童保育を支援をしていこうということで、これは今、保育園は延長保育があります。ですから、保育園で延長保育で預けている親御さんにすれば、学童保育でもそういった延長保育をお願いしたい、それを促すという点での財政措置としての処遇改善事業でもあるわけです。
 こういった放課後児童支援員等処遇改善事業の実施状況というのはどうなっているんでしょうか。分母の市町村数が幾つかというのとあわせて、実施の状況を教えてもらえますか。

○成田政府参考人 お答え申し上げます。
 平成二十九年度におきましては、二百九十七市区町村で実施しているところでございます。放課後児童クラブ実施自治体数が千六百十九でございますので、一八・三%となります。

○塩川委員 ですから、まだ二割に及ばないという状況であります。
 これは、利用が進まないのはどういうことなのか、何かつかんでおられますか。

○成田政府参考人 放課後児童支援員等処遇改善事業等の活用が進んでいない要因としては、平日十八時半以降に開所しているクラブが全体の五五%にとどまっていること、自治体内の他の職員との均衡を考えると児童クラブの職員のみを処遇改善することが難しいこと、自治体での予算措置が難しいことが考えられるところでございます。
 厚生労働省といたしましては、放課後児童支援員の処遇改善は重要であると考えており、各自治体に対して、各種会議の場を通じて本事業について説明し、積極的な活用を促してまいりたいと考えております。

○塩川委員 十八時半以降開所していないという事業所もあるということですけれども、その辺もいろいろ聞くと、そもそも市町村の条例で十八時半までとなっているということで、そうなんだと言うんだけれども、ニーズが違うわけですし、現に、そういった学童保育でも十九時までやっているようなところなんかもあるんですよね。そういう点でも、ほかの自治体の職員との均衡の話ですとか、あるいは予算措置が難しいという、やはり金目の面というのが問われるんじゃないかと率直に思っているところです。
 埼玉県の学童保育連絡協議会の方にお話をお聞きしましたら、県内の自治体のアンケート調査を行っていると、やはり、こういった条例の話、六時半までとなっている条例の話ですとか、財政上の理由としてこの処遇改善事業を利用していないという回答が多かったということでもありますので、この点をやはりどうするのかというのが問われてまいります。
 もう一つお聞きしたい事業が放課後児童支援員キャリアアップ処遇改善事業ですけれども、これはどのような事業でしょうか。

○成田政府参考人 お答え申し上げます。
 放課後児童支援員キャリアアップ処遇改善事業は、放課後児童支援員の処遇改善及び資質の確保、向上を図るため、勤続年数と研修実績に応じ処遇改善を図る事業でございます。
 具体的には、経験年数がおおむね十年以上で一定の研修を修了した事業所長的立場にある支援員を対象に月額約三万円、年額三十七・七万円の改善を、経験年数がおおむね五年以上で一定の研修を修了した者を対象に月額約二万円、年額二十五・一万円の改善を、これ以外の支援員を対象に月額約一万円、年額十二・五万円の処遇改善を図るものでございます。

○塩川委員 勤続年数や研修実績等、あと、その学童保育に果たしている役割というところに着目をして賃金改善に要する費用を補助するということですけれども、この放課後児童支援員キャリアアップ処遇改善事業の実施状況はどうなっているでしょうか。

○成田政府参考人 お答え申し上げます。
 平成二十九年度におきましては、二百十三市区町村で実施しているところでございます。

○塩川委員 全体の分母との関係でいうと、何%ぐらいになるんですか。

○成田政府参考人 お答え申し上げます。
 一三・二%になります。
○塩川委員 まだまだその数字が少ないというのは、どういう理由なんでしょうか。

○成田政府参考人 お答え申し上げます。
 放課後児童支援員キャリアアップ処遇改善事業の活用が進んでいない要因といたしましては、放課後児童支援員等処遇改善等事業と同様でございますけれども、自治体内での他の職員との均衡を考えると児童クラブの職員のみを処遇改善することが難しいこと、自治体内での予算措置が難しいこと等が考えられるところでございます。
 これにつきましても、繰り返しでございますが、厚生労働省といたしましては、放課後児童支援員の処遇改善が重要であると考えており、各自治体に対して各種会議の場を通じて本事業について説明し、積極的な活用を促してまいりたいと考えております。

○塩川委員 同じように、他の職員との均衡ですとか予算措置が難しいという話が出ているということですけれども、同様にやはり、埼玉の学童保育連絡協議会の方の自治体アンケート調査では、財政上の理由を指摘をしているということと、公立公営の学童保育の場合に、実際、非常勤であるがためにそもそも昇給制度がないものだから、キャリアアップを使うまでもないというか、使う余地がないというか、そういう状況なんかもあるんですよね。他の職員との均衡といっても、やはり非常勤の形態とかというのがネックになっているというのが前提だと思います。
 そこにこそ、やはり打開をしていく必要があるんじゃないのかということで、厚労省に重ねてお尋ねしますけれども、学童保育の指導員の仕事というのは、子供を預かる教員や保育士と同様に、専門性を持った仕事であります。学童保育の職員は、そういった特別な専門性が求められているのではありませんか。

○成田政府参考人 お答え申し上げます。
 放課後児童支援員の職務に伴う専門性につきましては、平成二十七年三月に定めました放課後児童クラブ運営指針におきまして、放課後児童支援員は、豊かな人間性と倫理観を備え、常に自己研さんに励みながら必要な知識と技能を持って育成支援に当たる役割を担うとともに、関係機関と連携して子供にとって適切な養育環境が得られるよう支援する役割を担うと整理しているように、放課後児童支援員には放課後児童クラブを運営する上で必要となる専門性が必要であると認識しております。

○塩川委員 この放課後児童支援員の方というのは専門性が必要だという話であります。やはりそこに着目をして、その専門性にふさわしい処遇改善を図っていくということこそ求められているということで、もともと、地方の自治体における運動から学童保育は進んでまいりました。
 そういう中で、例えば埼玉県などでガイドラインをつくって、そういうのも参考にしながら、国としてもガイドラインの制定や法定化の話なんかにもつながってきているわけなんです。
 そういう意味では、まさに今は国の仕事として、どうやはり学童保育を前に進めていくのかというので積極的な役割を果たすことが必要だということが求められていると思います。
 そこで、大臣にお尋ねをいたします。
 今のお話、答弁にありましたように、学童保育、やはり専門性が必要なんだ、それにふさわしい処遇改善こそ求められているときで、大臣の立場から、この専門性に見合った学童保育の指導員の皆さんの処遇改善を進めるために、市町村にぜひ、どういう働きかけができるのか考えていただいて、やっていただきたいんですが、どんな働きかけをしていただけるでしょうか。

○松山国務大臣 ただいま厚生労働省より答弁がありましたとおり、放課後児童クラブの処遇改善事業の実施、これについては、現状では市町村によって取組にかなり差があるという状況であると認識しております。
 放課後児童クラブの質の向上を図る観点から、放課後児童支援員の処遇の改善は大変重要であると考えております。
 今後とも、厚生労働省と連携しながら、あらゆる機会を捉えて市町村への働きをしっかり行ってまいりたいと思います。

○塩川委員 今、こういった処遇改善の事業をめぐって市町村の実情を確認してきたわけですけれども、そういった際に、やはり専門性にふさわしい職員として処遇する、非常勤ではやはり専門性を発揮するに至らないという点では、非常勤の方の力もかりながらも本当に常勤にしていく、そういった形での支援というのを賃金面、処遇改善で行っていくと同時に、そのためにも、市町村における財政措置の話がありまして、子ども・子育て支援制度に基づいて、内閣府経由で制度上も市町村に三分の一の補助を行っているのが、今紹介をした処遇改善事業やキャリアアップの事業でもあるわけで、こういった市町村への補助率の引上げなど財政上の支援をとる、そういうことも含めて検討する必要があるのではないのかと率直に思いますが、いかがですか。

○小野田政府参考人 お答えいたします。
 子ども・子育て支援をしっかりと進めていく上では、自治体は非常に重要な役割を担っていただいておりますので、補助率のかさ上げというのがすぐにというわけにはなかなかいかない、いろいろな課題もありますけれども、いずれにしましても、国、自治体、連携しながら、しっかり子ども・子育てに取り組んでいきたいと思ってございます。

○塩川委員 国、自治体連携はもちろん結構ですし、やはりこういった支援制度を国としてあらゆる機会を通じて利用を促すということはぜひやっていただきたいんですけれども、やはりそういう点でも財政上の措置が必要なんじゃないのか。
 ぜひそういう点での、大臣として、前に進めるということであれば、財政上の措置についてもぜひ具体的に検討いただきたいと思いますが、いかがですか。

○松山国務大臣 御指摘のとおり、大変重要な課題だと思っておりますので、しっかり受けとめて、今後の検討課題とさせていただきます。

○塩川委員 実際に、なかなか現状で困難な状況にあるときに、今言ったように、やはり人手不足が本当に深刻なんですよ。それをやはり本当に改善するとしたら処遇改善しかないわけで、専門性の発揮をする、それにふさわしいような労働条件を確保していく、そのためにも、市町村の背中を押すという点での財政措置についてもしっかりと対応していただくということを強く求めておくものであります。
 そういう意味で、学童保育において今重大な問題となっているのが、地方分権の改革の流れの中で、この人員配置基準などについての見直しの話が出ているということであります。閣議決定された文章の中にも、こういった学童保育の指導員の配置基準について、現行は従うべき基準であるものを、参酌基準へと緩和するということについて検討するということが閣議決定で決められているということでありますけれども、率直に言って、何でこんなことを今行うのか、おかしいじゃないかと思うわけであります。
 厚労省としては、こういった、今議論が出されているこの配置基準についての変更、これはどのように受けとめておられますか。

○成田政府参考人 お答え申し上げます。
 御指摘いただきました従うべき基準に関する参酌化に関する御提案につきましては、子供の安全性等、一定の質の担保を行いつつ、登録児童数が少ない場合、地域の人口が少ない場合など、地域の特性によっては継続的に放課後児童クラブの運営が難しいという状況が生じていることもあることから、引き続き、地方分権の議論の場で検討することとされたものでございます。
 厚生労働省といたしましては、現在行っております放課後児童対策に関する専門委員会での放課後児童クラブの量の拡充、質の確保、役割とメニューの充実など、今後の対策についての御議論も踏まえ、引き続き、地方分権の議論の場での検討に適切に対応してまいりたいと考えております。

○塩川委員 厚労省としては、この放課後児童支援員の員数に関する従うべき基準というのは、子供の安全性の確保にとって不可欠な要件だと受けとめているのか、受けとめていないのか、その点について、厚労省としての立場をもう一回聞かせてもらえますか。

○成田政府参考人 今回の御議論は、子供の安全性等、一定の質の担保を行いつつ、どのようにしていくかということについて検討が行われるというふうに理解しております。

○塩川委員 ですから、従うべき基準とすることが本来だというのが厚労省としての立場ということですよね。

○成田政府参考人 繰り返しになりますけれども、閣議決定を受けまして、子供の安全性等の一定の質の担保を行いつつ、そうは申しましてもいろいろな状態が生じていることもございますので、引き続き、地方分権の議論の場で検討されるということになっておりますので、厚生労働省といたしましても適切に対応してまいりたいと考えております。

○塩川委員 子供の安全性の確保のため不可欠だという立場であることには変わりがないんですよね。もちろん、地方分権で議論はするんだけれども、厚労省の立場はそうだということでいいですか。

○成田政府参考人 子供の安全性等、一定の質の担保を行うことは必要であると考えております。

○塩川委員 ですから、厚労省でも、専門委員会でそういう議論をしているわけですよ。ですから、まさにそういった専門性を必要とする学童保育の指導員のあり方について、より専門性を発揮するような仕事としてどうしていくのかという議論を厚労省内で議論しているときに、地方分権などといって横から話を持ってくるというのは全く認められないという話であります。
 本当に、保育の現場もそうですけれども、学童保育の現場でも、今詰め込みも重大になっているようなときに、その詰め込みの解消のような施設建設を行うのと、あわせてやはり処遇改善につながる取組こそ求められているのに、職員の配置基準について、従うべき基準を参酌基準へと緩和するというのは断じて認められるものではありません。
 松山大臣にお尋ねしますけれども、地方分権改革の中で、職員の配置基準について、従うべき基準を参酌基準へと緩和をする、こういうことについて検討するとなっているわけですけれども、大臣もお認めになっている、専門性に見合った処遇改善の取組に逆行するものと言わざるを得ないのが地方分権での議論ではありませんか。

○松山国務大臣 御指摘の地方分権の議論については承知をしているところでございますが、いずれにしましても、児童の安全、安心な居場所を確保するということで、放課後児童クラブの質の確保を図るということは極めて重要であるというふうに認識をいたしておりますので、厚労省などがしっかり取り組むよう、私としても注視しながら、そして連携をとってまいりたいと思います。

○塩川委員 いずれにしろというのは話をそらすときのワードですから、答えていただきたいんですが、今の地方分権改革の中で、職員の配置基準について、従うべき基準を参酌基準へと緩和するというのは専門性に見合った処遇改善の取組に逆行するんじゃないのか、この点についてもう一回お答えください。

○松山国務大臣 厚労省が答弁したとおりに、この質の確保を図ることは極めて重要でありますので、私としてもしっかり取り組んでまいりたいと思います。

○塩川委員 地方分権改革の議論が私はおかしいと思っているのは、国が地方を縛る、この国の地方への縛りを取り払うのが地方分権改革だというんですよ。
 もちろん、そういう面もないとは言えない。しかし、この保育士の配置基準のような安全の問題、ふさわしい保育の内容を確保する、そういう基準を従うべき基準としているのは、何も国が地方を従えさせるためにやっているんじゃないんですよ。国が地方を縛っているんじゃないんです。これは、国民、住民、保護者が、まさに自分の子供たちのためにその安全をしっかりと守る、そのために従うべき基準としているわけで、国民、住民、保護者が国と地方自治体、行政を縛っているというのがこの基準なんですよ。
 それを取り払うというのはとんでもない。国民の安全を損なうものを、そういう基準を取り払うというのは、地方分権改革の名のもとにやっていること自身が間違っているんですよ。こういう議論をしっかりしなくちゃいけない。松山大臣もそう思いませんか。

○松山国務大臣 委員の御指摘を踏まえて、厚労省が適切にしっかりと進めていくものと承知しております。

○塩川委員 専門職にふさわしい処遇改善に取り組んでこそ、人手不足の解消につながりますし、学童保育の改善につながるということを改めて強調して、質問を終わります。

【内閣委員会】子ども子育て支援法案についての集中審議

 子ども子育て支援法案は、与党の審議・採決強行によって、野党の質疑は一度も行われませんでした。野党の要求により、子ども子育て支援法に関する集中審議が実現しました。

 私は、法律案要綱の誤りについて追及。子ども子育て支援法改正案の法律案要綱において、「市町村子ども・子育て支援事業計画」と記載すべきところを「市町村子ども・子育て支援計画」としていたことについて、誤りではないかと質問。

 松山大臣は「可能な限り簡素化し、わかりやすく説明するということだったが、そうなっていないという指摘は真摯に受け止めたい」と答弁。

 私は「誤りを誤りと認めない政府の態度が、国会と政府の信頼関係を損ない、国民の政府不信を大きくするものとなっている。いまからでも誤りを認め反省すべきだ」と指摘しました。

 また、2016年度からスタートした企業主導型保育事業について質問。児童育成協会の立ち入り調査で、職員の配置や保育内容について改善すべき事項が多数あることを確認。保育士の人数が足りていない時間帯があるとか、昼寝の際にうつぶせ寝にさせたままだった、給食のアレルギー対応のマニュアルがなかったなど問題点が指摘されています。

 認可外であり、保育所よりも職員資格等の面で緩和されているとか、設置や運営に市町村の関与が少ない。企業主導型保育事業は、保育料が応能負担ではない。低所得者世帯が利用できない可能性があるなど問題点を指摘しました。

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「議事録」
<第196通常国会 2018年04月04日 内閣委員会 7号>

○塩川委員 日本共産党の塩川鉄也です。
 この委員会におきましては、政府の国会に提出する文書が改ざんをされていた、こういうことに対して議論の前提が損なわれているという野党の主張、要求、それを棚上げにして審議を一方的に行った、そういう中での不正常な状況が生まれた、その正常化の過程ということで、きょうは、質問ができなかった子ども・子育て支援法改正案の内容、また少子化対策に関連して質問をしたいと思います。
 最初に、この子ども・子育て支援法改正案の法律案要綱の誤りについてお尋ねをいたします。
 子ども・子育て支援法改正案の法律案の要綱において、市町村子ども・子育て支援事業計画と記載すべきところを市町村子ども・子育て支援計画としていたことについて、誤りではないかと指摘をしました。そのことについて、内閣府のまとめた見解を読み上げていただけますか。

○小野田政府参考人 読み上げさせていただきます。
 子ども・子育て支援法上の市町村子ども・子育て支援事業計画という名称について、今回の法律案要綱において市町村子ども・子育て支援計画という名称を用いているのは、可能な限り簡素化し、わかりやすく説明するという法律案要綱の観点によるものであり、他の法律案要綱においても、一部を省略したり言いかえたりする例は複数見られるところです。
 他方、国の基本指針では市町村子ども・子育て支援事業計画という表現を用いており、また、地方自治体において、他の子供にかかわる計画と一体として、子ども・子育て支援計画という名称を策定している例も見られるところ、簡素化、わかりやすさにつながっていないとの御指摘をいただいたことについては、真摯に受けとめているところです。
 三月二十日の衆議院内閣委員会理事懇談会において、当該表現が不正確ではないかとの御指摘、地方自治体の中には、子ども・子育て支援計画として、子供にかかわる二つ以上の計画を一体として策定している例もあること、子ども・子育て支援法に基づく施策等を記述するものとして、閣議決定されている少子化社会対策白書では略称として事業計画と記載していること、これまでの子ども・子育て支援法に係る法律案要綱には市町村子ども・子育て支援計画との記載はないこと、をいただいたことは重く受けとめているところであり、今後、法律案要綱を作成するに当たっては、このような御指摘をいただくことのないよう、より適切な表現を用いるよう配慮してまいります。

○塩川委員 わかりやすく説明するということで、事業という言葉だけを落とすということだったわけですけれども。
 大体、法案を読むときには、まず法律案要綱に目を通す、その上で条文を見ますけれども、法律案要綱に子ども・子育て支援計画とあるところを、条文には子ども・子育て支援事業計画となっていて、この子ども・子育て支援計画と子ども・子育て支援事業計画は別物なのかどうなのかとまず最初に困惑したというのが率直なところであるわけです。
 実際には、わかりやすく説明するどころか、かえって誤解を与えるものになっていたというのが実態だということです。
 具体的にお尋ねをします。
 内閣府は、地方自治体の中には、子ども・子育て支援事業計画について、子ども・子育て支援計画と表記している例があると指摘をしています。内閣府が私に対して示したのは、甲府市と大阪市の事例でありました。
 この二つの自治体の子ども・子育て支援計画というのは、子ども・子育て支援法に基づく市町村子ども・子育て支援事業計画を指すのですか。

○小野田政府参考人 お答えいたします。
 地方自治体の中には、子ども・子育て支援計画という名称の計画を策定している例がございますが、これらの計画につきましては、市町村子ども・子育て支援事業計画と他の子供にかかわる計画を一体のものとして策定しているものであり、市町村子ども・子育て支援事業計画と一致するものではございませんが、市町村子ども・子育て支援事業計画に必要な事項は包含しているものと考えてございます。

○塩川委員 いや、小野田さんは私に説明に来たときに、甲府市とそれから大阪市の事例を紹介をして、この市町村の子ども・子育て支援事業計画のところは支援計画となっていますと言ったじゃないですか。違うでしょう。

○小野田政府参考人 お答えいたします。
 言葉足らずで、まことに申しわけございませんでした。
 例えば、甲府市もお示しさせていただきましたけれども、甲府市は、子ども・子育て支援法に基づいて市町村が策定する子ども・子育て支援事業計画と、改正次世代育成支援対策推進法に基づく次世代育成支援行動計画を一体のものとして策定しますということになってございまして、恐縮でございますが、我々としましては、子ども・子育て支援事業計画がその中に包含されているということでちょっと御説明をさせていただきましたが、言葉足らずでございました。

○塩川委員 いや、言葉足らずじゃなくて、説明そのものが間違っているんですよ。
 二つの法律のそれぞれの計画を一本にしたものを甲府市も大阪市も子ども・子育て支援計画としていたんですよ。何でこれが、子ども・子育て支援法に基づく子ども・子育て支援事業計画をわかりやすく説明した例になるんですか。違うでしょう。

○小野田政府参考人 御答弁させていただきます。
 恐縮でございます、繰り返しになりますけれども、その自治体の計画の中に市町村子ども・子育て支援事業計画に必要な事項が含まれている、包含されているということで御説明をさせていただいた次第でございます。

○塩川委員 逆に言うと、支援計画となっている、それが子ども・子育て支援法に基づく事業計画だけかと思ったら次世代育成の方も入っているわけだから、これはかえって混乱するのは当たり前じゃないですか。何でそんな説明が通るのか。とんでもない話ですよ。
 その上で、この法律案の要綱そのものは、閣議決定したものではありません、内閣府が作成をした文書ですけれども、この子ども・子育て支援制度について、閣議決定した文書としては少子化対策白書があります。これまでの少子化対策白書において、子ども・子育て支援計画という名称は使われているんですか、わかりやすく説明するということで。

○小野田政府参考人 お答えいたします。
 現時点では確認できておりません。

○塩川委員 確認って、問いで投げているわけですよ。
 実際に子ども・子育て支援法に基づく子ども・子育て支援事業計画についての記載を見れば、平成二十六年度以降だと思いますけれども、二十六年度版、二十七年度版、二十八年度版に、子ども・子育て支援計画という用語で書いているというものはあるんですか。

○小野田政府参考人 その範囲内ではございません。

○塩川委員 では、その前にはあるんですか。

○小野田政府参考人 お答えいたします。
 確認できてございません。恐らくないと認識してございます。

○塩川委員 ですから、閣議決定されている少子化対策白書においては、子ども・子育て支援事業計画は、子ども・子育て支援事業計画と書いてあるか、又は子ども・子育て支援事業計画(以下「事業計画」という。)という略称で書いているんですよ。どこにも、子ども・子育て支援計画というのは、閣議決定した文書にはないんですよ。それが何でわかりやすく説明することになるのか。この点でも極めて重大です。
 そもそも、これまでの子ども・子育て支援法の、改正案を含めて出された法案について、その法律案の要綱に、市町村子ども・子育て支援計画を、市町村子ども・子育て支援事業計画をわかりやすく説明する用語として用いた例というのはあるんですか。

○小野田政府参考人 お答えいたします。
 市町村子ども・子育て支援事業計画は、平成二十四年に制定されました子ども・子育て支援法により初めて規定されたものでございます。その後、企業主導型保育の創設等を主たる内容とし、平成二十八年に子ども・子育て支援法の改正を行いましたが、平成二十四年の法制定時、平成二十八年の法改正時のいずれにおいても、子ども・子育て支援計画と表記した例はございません。

○塩川委員 大臣にお尋ねします。
 今、確認をしたように、地方で、子ども・子育て支援事業計画について、子ども・子育て支援計画というわかりやすい説明で書いているという例はあると言ったんだけれども、それは二つの法律に基づく二つの計画を一緒にしているもので、だから、これを子ども・子育て支援法に基づく事業計画のわかりやすい説明なんと言ったら、かえって混乱するのは当たり前じゃないですか。閣議決定した文書でも子ども・子育て支援事業計画とあるわけですし、過去の子ども・子育て支援法の法案についての法律案要綱でもそういう用語の説明はないわけです。
 これはもう率直に、わかりやすいどころか誤解を招くしかなかったわけですから、誤りは誤りとして、素直に認めたらどうかと思いますが、いかがですか。

○松山国務大臣 お答えいたします。
 今回の法律案要綱におきましては、可能な限り簡素化し、わかりやすく説明するということから、こういう名称を使ったということでございますが、しかし、先生御指摘のように、簡素化、わかりやすさにつながっていないという、御指摘いただいたことについては、真摯に受けとめているところでございます。
 今後、法律案要綱作成に当たっては、このような指摘をいただくことのないように、より適切に表現を用いるよう配慮してまいります。

○塩川委員 誤りは誤りとして認めるということでこそ、信頼をかち得るということが言えると思います。
 この国会、冒頭で言いましたように、国会に出した文書を改ざんして持ってくる、まさに国会の行政監視機能、これを冒涜するようなことが行われてきたわけで、国会と政府の関係が問われているんですよ。今回のこの白表紙につけている法律案の要綱については、まさに国会への説明のペーパーとして出されているもので、それが間違っているのを間違いとも認めないという態度でいいのかということが問われなければなりませんし、こういった、誤りを誤りと認めない政府の態度というのが国会と政府の信頼関係を損ない、国民の政府不信を大きくするものとなっているということを厳しく指摘をしなければならない。今からでも誤りを認めて、反省すべきものであります。
 加えるならば、今後、法案としてもう既に出されているPFI法案の要綱にも間違いがあったという話ですから、何をやっているのかと。極めて重大だということは厳しく指摘をしておかなければなりません。
 それでは次に、企業主導型保育事業についてお尋ねをいたします。
 二〇一六年度からスタートした企業主導型保育事業でありますけれども、その運営形態についてもさまざまな意見も寄せられているところであります。
 この企業主導型保育事業について、どのように保育の質を確保するのか、この点について御説明ください。

○小野田政府参考人 お答えいたします。
 子供の健やかな育ちを図るためには、保育の質の確保は非常に重要と認識してございます。企業主導型保育施設につきましては、児童福祉法に基づく認可外保育施設として、都道府県が原則年一回以上、立入調査などを行っております。
 また、企業主導型保育事業の実務を担う公益財団法人児童育成協会におきまして、全ての施設を対象に原則年一回、立入調査をしてございます。さらには、通報等を受け、必要に応じ抜き打ち調査を行ったり、午睡、お昼寝時の抜き打ち調査を実施してございます。
 これらにより、保育の実施状況などを確認し、改善が必要な施設に対しましては、改善報告を求めるとともに、しっかりと指導を行っているところでございます。
 今後とも、こうした立入調査などを通じまして、保育の質の確保が図られるよう取り組んでまいります。

○塩川委員 立入調査、抜き打ち調査、そういう中での改善報告を求めることや指導を行うということであります。
 ここで、二〇一七年度の上半期において、この児童育成協会における立入調査の実施状況が報告をされております。この児童育成協会の立入調査の実施状況の内容について、説明をしていただけますか。

○小野田政府参考人 お答えいたします。
 企業主導型保育施設につきましては、先ほど申し上げましたとおり、年一回、全ての施設に立入調査を行うこととしており、平成二十九年度四月から九月までの上半期に、まず四百三十二施設に立入調査を実施いたしました。その結果、三百三施設に対し、職員配置や保育内容に関しまして、改善すべき項目を文書で指摘をしたところでございます。
 主な指摘事項といたしましては、保育計画等の整備をすることなどがございますが、文書指摘に対しては、全ての施設から改善報告が提出されているところでございます。指摘事項に対するフォローアップを含め、しっかりと指導を行ってまいりたいと考えてございます。

○塩川委員 ちょっと数字の確認で、そもそも、その分母となる施設が幾つで、そのうち立入調査をやったのが四百三十二と言いましたかね。ちょっと、もう一回確認を。

○小野田政府参考人 お答えいたします。
 企業主導型保育事業は二十八年度から始まった制度でございまして、事実上は、その運営は二十九年度から始まっているところでございます。
 二十九年度中に運営している施設は八百二十四施設ございまして、原則年一回の立入りということでございますので、この八百二十四施設が対象になってきます。そのうち、先ほど申し上げました上半期には四百三十二施設、割合では五二・四%でございますが、四百三十二施設に対しまして立入調査を実施したということでございます。

○塩川委員 そういった主な指摘事項として、保育計画等を整備することとかという話もありました。乳幼児の健康診断を実施することですとか、嘱託医との契約を締結することなども挙げられているんですが、そうはいっても、この四百二十三のうち三百三施設について改善すべき項目を文書で示したということでいいますと、七割の施設には改善すべき項目を示しているということで、保育の質の問題についての懸念の声が上がるのではないかと思うんですが、この点についてはどのように受けとめておられるのか。

○小野田政府参考人 お答えいたします。
 確かに、三百三施設というのは、決して少ない数ではないというふうに認識してございます。
 繰り返しでございますけれども、指摘事項につきましては、全ての施設から改善報告が提出されているところであります。指摘事項についてはしっかりと今後もフォローアップをしてまいりたいと思いますし、今後とも、まさにしっかりと立入調査も含めてやっていくこと、また、その結果をしっかりと公表していくこと、こうしたことに心がけたいと思ってございます。

○塩川委員 大臣にお尋ねいたします。
 今言った、保育の質の低下への懸念の声が上がっている。保育士の人数が足りていない時間帯があるですとか、昼寝の際にうつ伏せ寝にさせたままだったとか、給食のアレルギー対応のマニュアルがなかったなどの問題点が指摘をされたといいます。改めて、こういった懸念に対して、大臣としてどのように受けとめておられるのかをお尋ねしたいと思います。

○松山国務大臣 先ほど、政府参考人からも答弁させていただきましたけれども、全ての施設に原則として年に一回の立入調査、あるいは通報等を受けた抜き打ち調査、あるいは午睡時の抜き打ち調査など実施をしているところですが、御指摘のように、七割のところで指摘されたということでございました。文書の指摘を行った施設については、既に全ての施設において改善報告がなされておりますが、さらに、この改善報告の受領にとどまることなく、指摘事項が改善しているかどうかを確認する観点からも、改善すべき指摘の多かった施設などについては、必要に応じて抜き打ち調査を実施することといたしております。
 引き続き、この企業主導型保育事業における保育の質の確保にしっかりと努めてまいりたいと思います。

○塩川委員 企業主導型については、認可外であり、保育所よりも職員資格等の面で緩和がされているとか、設置や運営に市町村の関与が限られている問題、企業主導型保育事業については保育料が応能負担ではない、そういった問題で低所得者世帯が利用しにくい可能性も出ている、そういう点での運営面、安全面での懸念もある、こういった点についてやはり率直に指摘をしなければならないということを申し上げておくものであります。今回の法改正によってこれを更に広げるということについての率直な懸念というのを申し上げておくものです。
 その上で、この企業主導型保育事業の地域枠の定員については、国の基本方針を改正をし、市町村が確保すべき整備量に含めることができるとする予定と聞いていますけれども、この辺はどのようになっているんでしょうか。

○小野田政府参考人 お答えいたします。
 この四月から、企業主導型保育事業のうち地域枠、これは地域のお子様の受入れ枠でございますけれども、この地域枠につきましては、自治体の事業計画の中に入れて、全体を自治体の方で管理していくということができるというふうにさせていただいたところでございます。

○塩川委員 大臣にお尋ねしますけれども、この企業主導型保育事業の地域枠の定員について保育の受皿整備に含めることができるといいますけれども、一方で、児童福祉法二十四条三項に基づく市町村の利用調整の対象外でもあると。市町村の保育の実施義務というのがこれで十分果たされるのか、形骸化しはしないのかと率直に思いますが、この点についての大臣の考えをお聞かせください。

○小野田政府参考人 お答えいたします。
 私どもといたしましては、できるということではございますけれども、市町村の計画の中に地域枠を入れることができるということになった関係で、自治体と企業主導型保育事業を展開する事業主あるいは協会との間の連携が一層進む、情報交換が一層進むというふうに考えてございます。

○塩川委員 保育の実施義務を果たせるのか、その際に、その整備量の増に含めるんだけれども、それについて直接市町村の関与するものではないという中で市町村の保育実施義務が果たされるのかという懸念について、大臣としてのお考えをお聞かせください。

○松山国務大臣 地域枠を設けているところでありますが、自治体としっかり連携をその辺はとって、また、今年度から自治体での事業計画を設けていきますので、その事業計画に沿って連携して取り組んでいきたいと思っております。

○塩川委員 関連して、待機児童対策協議会の問題です。
 この協議会を今度法定化をするということでありますけれども、もともとその議論のスタートの一つとなっているのが、あの規制改革推進会議での議論だったわけであります。保育の分野での市町村の上乗せ基準の見直しを議論をする、そういう場として協議会の設置を掲げる、そういう規制改革推進会議での提案があったわけですが、今回法定化をする協議会で、このような規制改革推進会議で挙げている市町村の上乗せ基準の見直しを議論をするということになるんでしょうか。

○成田政府参考人 お答え申し上げます。
 改正されました子ども・子育て支援法におきましては、昨年十一月の規制改革推進会議の第二次答申を踏まえ、保育園等の広域利用の推進など待機児童解消等の取組について都道府県が関係市区町村等と協議する場を設置できる旨を盛り込んでおります。
 答申では、協議会において市区町村が独自に定める人員配置基準等の検証を行うことも協議事項の一つとして盛り込まれておりますが、協議会での具体的な協議事項は、地域の実情に応じて各協議会においてお決めいただくものでございます。

○塩川委員 自治体の判断ということですけれども、しかし、厚労省そのものが通知を発出をして、このような市町村の上乗せ基準の見直しを要請しているわけですけれども、それによって引き下げた自治体というのはあるんでしょうか。

○成田政府参考人 お答え申し上げます。
 平成二十八年三月の緊急対策では、国の定める基準を上回る人員配置基準や面積基準を設定している市区町村において、国の基準を上回る部分を活用して、一人でも多くの児童を受け入れるよう、市区町村に対して要請したところでございます。
 この要請につきましては、国の定める人員配置等を満たしていることが前提であり、市区町村が保育の質を確保しながら、地域の待機児童の状況とあわせ考え、一人でも多くの子供の認可保育園への入所を可能にするという趣旨で行ったものでございます。
 これにつきまして、平成二十八年十月時点の調査では、緊急対策に参加している四百一市区町村のうち、百五十二市区町村において国の最低基準を上回る人員配置基準が設定されており、緊急対策の要請以降に、国の人員配置基準を上回る部分を活用して子供の受入れを実施した自治体はないと承知しております。また、同調査では、四百一市区町村のうち、百五十六市区町村において国の最低基準を上回る面積基準が設定されており、緊急対策の要請以降に、国の面積基準を上回る部分を活用して子供の受入れを実施した自治体はないと承知しております。

○塩川委員 こういった引下げを行った自治体はないということですけれども、なぜなんでしょうか。

○成田政府参考人 お答え申し上げます。
 緊急対策の要請以降に、国の人員配置基準を上回る部分を活用して子供の受入れ体制を実施した自治体がなかったのは、保育の質の低下への懸念など、各自治体が地域の実情を踏まえ判断した結果と考えております。

○塩川委員 保育の質の低下への懸念があるから、そういう国の要請であっても受けられませんよということであるわけです。そういったときに、また規制改革推進会議がこれを押しつけるようなやり方というのはとんでもない話であって、こういった保育の質が下がる基準の見直しは断じて認められるものではありません。
 そのような場に使うような協議会というのは当然認められないということも改めて指摘をしておくものであります。

【倫理選挙特別委員会】福島県議選特例法案について質疑

 議員立法で提出された福島県議選特例法案について質疑、わが党の修正案を提出した。

 原発事故で国の避難指示による住民避難が続いている状況に鑑み、福島県議会議員の選挙区について特例措置を講じてほしいという福島県議会からの要望を重く受け止めている。

 国勢調査人口と選挙人名簿の基礎となる住民基本台帳人口との間のかい離に対処するため、特例法を立法することは必要だ。自民党らが提出した法案の問題点を指摘し、わが党の修正案を提示した。


「議事録」(質疑)
<第196通常国会 2018年04月04日 政治倫理の確立及び公職選挙法改正に関する特別委員会 2号>

○塩川委員 日本共産党の塩川鉄也です。
 福島県議会議員選挙の選挙区特例法案について質問をいたします。
 日本国憲法は、国民主権、議会制民主主義の基本理念のもと、主権者たる国民が政治に参加する手段として選挙制度を位置づけております。また、地方自治は、選挙によって住民の意思が示されることで、住民の意思に基づき、自治体みずからの意思と責任を持って役割を果たしていくことを明記しております。
 憲法上の権利行使にとっても、住民の意思を議会、首長に反映した地方自治を行うためにも、選挙が重要であることは言うまでもありません。
 そこで質問ですが、まず、本案を提出する趣旨、目的は何かという点です。
 二〇一七年五月に、福島県議会から、原発事故で国の避難指示による住民避難が続いている状況に鑑み、福島県議会議員の選挙区について特例措置を講じてほしいという要望をいただきました。この要望を重く受けとめております。
 現状の双葉郡選挙区は、五万五千人の有権者が投票やまた被選挙権の行使ができ、そのもととなっている住民基本台帳人口は六万五千人で、直近の国調人口のほぼゼロに近い数字と大きく乖離をしているわけであります。公選法では直近の国勢調査に基づいて選挙区設定と定数配分をすることが定められておりますが、直近の国調の人口では実態に合っておりません。
 そこでお尋ねしますが、直近の国調の人口では実態に合っていないので、実態に基づく人口を用いるための特例を講じる必要があるということは、各党とも認識が一致しているのではないかと思いますが、この点を確認したいと思います。

○谷議員 私、震災復興の委員長ですので、余り、答弁は遠慮していたんですけれども、塩川委員おっしゃるとおり、何らかの特例を法律、特例法で手当てしなければならないという点は、共産党も含めて各党一致していると思います。

○塩川委員 実態に基づく人口を用いるための特例を講じることが必要だという点については、この点、各党とも異論はないところだと思っております。
 このことを踏まえてお尋ねしますけれども、そもそも住民や有権者の実態に基づく人口を用いるための特例を講じることが、今回の立法の土台であると考えております。
 そこで、続けてお尋ねしますが、提出者の逢沢一郎自民党選挙制度調査会長は、法案提出に当たり、ツイッターにおいて、復興、住民の帰還を進める福島県双葉郡の県議定数を確保する法案と発信をしておられます。
 事務方では、双葉郡選挙区定数二維持のための法案ではないと整理していると述べておりますが、これでは双葉郡定数二維持のための法案ととられるのではないのか。なぜ、双葉郡の強制合区阻止、定数二維持を趣旨とした法律にしていないのか。このことを正面から趣旨とすると、憲法九十五条の住民投票を伴う特別法としなければならず、これを回避するためということになるのではないでしょうか。

○逢沢議員 委員御指摘のように、本法律案は、福島第一原子力発電所の事故による災害が発生をいたしまして、国による避難指示が出された避難指示区域等において多数の住民が住民票を残したまま避難をすることを余儀なくされておることにより、国勢調査人口と選挙人名簿の基礎となる住民基本台帳人口との間に大きな乖離が生ずるという異例の状況を受けたものであります。中でも、特に委員御指摘の双葉郡につきましては、平成二十七年の国勢調査人口の七千三百三十三人が、平成二十二年の国勢調査人口七万二千八百二十二人に比べ九割減となっております。平成二十七年国勢調査人口を基礎といたしますと選挙区や定数を維持することができないというのは、厳然たる事実であります。
 このような状況を踏まえ、既存の法制度との整合性を確保しつつ、原発事故の避難指示区域等において特例人口を用いることができるようにして、もって県議会において当該地域の代表を確保しようとするものであります。
 当該地域の住民の声を県政に十二分に反映をさせることができるようになるものと考えております。御理解をいただけるものと承知をいたしております。

○塩川委員 公明新聞を拝見しますと、「福島県内の一部市町村の声を県政に十分反映させることが目的。」と述べておられます。地方自治にとって、住民の意思を自治体に反映させることは極めて重要であり、その中心的役割を果たすのが地方議員であり、意思決定機関としての議会の役割だと考えます。
 議会は、一部の住民の声だけ十分に反映させればいいというものではありません。この一部市町村の声を十分に反映させることが目的という意図、この公明新聞の報道ではありますけれども、この点について、お聞きできないでしょうか。

○佐藤(茂)議員 塩川委員の御質問にお答えいたします。
 今御引用いただいたのは、三月三十日の公明新聞でございますが、その引用いただいた部分の前段がございまして、「同法案は、東京電力福島第一原発事故による避難指示で人口が激減した、福島県内の一部市町村の声を県政に十分反映させることが目的。」である、こういうように記載をしているわけでございます。
 これは、先ほど逢沢委員も述べられていたんですけれども、やはり、今回の法の目的にも関係するんですけれども、国による避難指示が出された避難指示区域等において、多数の住民が住民票を残したまま避難することを余儀なくされていることによって、この国勢調査人口と選挙人名簿の基礎となる住民基本台帳人口の間に大きな乖離が生じているという、この異例の状況を受ける中で、放置しておくと、この双葉郡を始め避難指定区域の幾つかの中で、県議会において当該地域の代表を確保できなくなる、こういう事態を避けるためにも、今回、特例人口を用いることができるようにして、もって県議会において当該地域の代表を確保しようとするものであって、これによって、当該地域の住民の声を県政に十分に反映させることができるようにするのが今回の法目的である、そういう趣旨のことをこの公明新聞では記事として述べさせていただいているということを御理解いただきたいと思います。

○塩川委員 今答弁にもありましたように、やはり、国調人口と、選挙人名簿のもととなるその住民基本台帳人口に大きな乖離がある、これはやはり、その人口の実態に合わせたものにしていくことが必要なんだ、この点での特例を設けることが必要だ。ですから、何か定数二を維持するのが先にあるような話ではそもそもないということは指摘をしなければなりません。
 参政権、国民主権、地方自治の観点から、そういった定数二ありきというのは問題がある。住民、有権者の実態に基づく人口を用いるための特例を講じるということが立法措置の土台であるべきだということを、重ねて申し上げておくものであります。
 次に、我が国の選挙制度は、憲法で、普通選挙、平等選挙を宣言し、公職選挙法で人口比例に基づく選挙区設定、定数配分を原則としております。その基礎となる人口は同一のものであることは大前提だ。
 そこでお尋ねしますが、同一選挙でありながら一部の区域だけ特例人口を用いるという、このダブルスタンダードというのは、平等選挙の原則と異なるのではありませんか。

○根本(匠)議員 まず本法案の趣旨はもう御説明があったとおりであります。
 この法案の趣旨、これは繰り返しになりますが、福島第一原子力発電所の事故による災害が発生し、国による避難指示が出された避難指示区域等においては、多数の住民が住民票を残したまま避難することを余儀なくされている、この異例の状況を受けて、公職選挙法の特例を定めるものであります。このような状況にある地域に限って特例人口を適用することにより、この異例の状況に対処しようとする、これが本法案の趣旨であります。
 選挙制度の分野においては、従来から一貫して国勢調査人口を用いてまいりました。その特例を設けるに当たっては、必要な範囲に限って補正しつつも、国勢調査人口を用いるという基本的な考え方は、これだけは、これはできるだけ維持すべきであると考えております。本法案では、その意味で、特例人口の適用範囲を最小限に絞り込むこととしたものであります。
 今、選挙の原則という御指摘もありました。公職選挙法上は、国勢調査人口を用いるというのが、いわば原則であります。そして、これに加えて、地方選挙においては、地方住民の声を反映するため、地域の代表を確保するというのも大切な原則であると考えております。公選法の原則を維持しつつも、この異例の状況に対応するために、最小限の範囲で特例人口の適用を認めることとしたものであります。

○塩川委員 ですから、国調人口を用いる、その特例の部分を小さくという趣旨でおっしゃるんですけれども、でも、同一の選挙なんですから、同一の選挙において二つの人口基準を設けるというあり方がいいのかということで質問をしているわけです。
 地域代表という話もありましたけれども、県議は地域代表の役割があるから、じゃ、この平等選挙の原則を外れてもよいという話は、理にかなっていないと思います。
 公選法は、国会議員とは異なり、県議の地域代表の役割を鑑みて、一定の一票の格差を許容しているのであって、人口比例というのは原則であります。あらかじめかさ上げした人口で定数配分するということを想定するものではないということも申し上げておきたいと思います。
 東日本大震災、原発事故による福島県の避難者の方、多数まだいらっしゃる。住民票を残したまま県内外に避難をしておられます。県内避難者の方々も数多くおられ、一部の区域だけ特例人口を用いると、例えば、浪江町から福島市に避難をしておられる方、住民の方は、浪江町と福島市の両方の人口に含まれる。つまり、住民票を残している、ですから住基台帳に記載がされている浪江町でカウントされ、しかし、国調では現に居住している方ですから、そこでもカウントをされるというダブルカウントになるということであります。
 一方、特例人口を用いない区域でも、住民票を残したまま避難しておられる方もいるわけですが、こういった自主避難者は県内の国調人口にはカウントされていないということにもなります。
 そこで、質問ですが、この法案では、一部は特例でかさ上げした人口、ある地域はダブルカウントで水増しをした人口、一方で、他の地域は自主避難者が目減りした人口、こういう形で、人口基準のあり方として、それぞればらばらになることになってしまうんじゃないのか。この点については、どのように受けとめておられますか。

○金子(恵)議員 お答えいたします。
 いわゆるダブルカウントについての御質問がまずあったんですが、本法案では、特例人口を用いる地域を限定いたしました。それは、特例人口の適用範囲を必要最小限に絞り込むことが、国勢調査人口を用いるという公職選挙法の原則に忠実であり、また、原発事故の避難指示区域等の状況に鑑みて特例を設けるという本法案の趣旨に合うと考えたからでございます。
 委員御指摘の点ももちろん考慮いたしましたが、その上で、今申し上げました公職選挙法の原則等を重視して、特例の適用を必要最小限に絞り、それ以外の市町村については、公職選挙法上、本来用いるべき国勢調査人口を用いることにしたということを御理解いただきたいというふうに思います。
 自主避難者についての配慮ということでございますけれども、特例人口を用いない区域からの避難者の数がその地域の人口に適切に反映されているのかとの御指摘がありました。
 この点、本法案の共通の事情を背景とするものとして、いわゆる避難住民事務処理特例法が既に制定されていますので、本法案では、同法における指定市町村の枠組みをそのまま引用し、同法の指定市町村からの避難者にまず着目しているという状況であります。
 その上で、本法案については、避難指示により住民票を残したまま多数の住民が避難した地域に限って特例人口を用い、それ以外の地域については原則どおり国勢調査人口を用いることにしております。これにより、公職選挙法の原則を忠実に踏まえつつ、全体として県議会において適切な定数配分を確保できると考えております。
 その意味で、法的な整合性を維持しながら、避難者の方々を含めた住民の適切な代表を確保できると考えたところでございます。

○塩川委員 特例は狭い方がいいという趣旨でお話をされておられるわけですが、そういう意味でも特例は限定的であるべきだと。福島県議選という一つの選挙でありながら、一部の区域だけ別の人口を用いて異なる基準にするということは、特例に特例を重ねるようなものではないのか。
 被災地に着目をしての事務処理特例法の話が今ありました。福島県議会の関係者の方からお話を聞いた際に、事務処理特例法も限定的なもので、屋内退避は入っていないとか、避難を受けた人がそのまま指定市町村というものではないとか、福島県全域が被災地ではないのかという声もいただいているところです。
 事務処理特例法の、指定市町村から選んだ市町村だけを被災地と見るような話というのは、県民の理解を得られるのかどうか、その点についてはいかがでしょうか。

○根本(匠)議員 特例人口を用いる対象となる市町村を指定市町村のうち条例で定める市町村としたのは、繰り返しになりますが、公職選挙法の原則である国勢調査人口を用いることがどうしても適切であるとは言えない市町村に限って、必要最小限の範囲で特例人口を用いることとしたためであります。
 これは、本法案と共通の事情を背景にするものとして、ただいま金子議員からも話がありましたが、原発事故の被災地からの避難者を対象とする避難住民事務処理特例法が制定されておりますので、まず、同法における指定市町村の枠組みをそのまま引用することとしています。まず前段として、そのまま引用する。そして、いわば原発事故の被災地ともいうべき指定市町村に着目して、その上で、国勢調査人口の減少率が著しいという基準を加味して特例人口を用いる対象となる市町村を定めるということであって、決して特例人口を用いる市町村のみを被災地として見るという考え方に立ったものではありません。
 また、福島県議会の最新の要望書、これは県議会全体としての最新の要望書、この要望書においては、避難指示があった区域で、平成二十七年国勢調査の人口が平成二十二年国勢調査の人口を著しく下回る結果となった区域において、特例の通知を当該区域の人口とみなすことを可能とする臨時特例法を今通常国会において速やかに制定していただきますよう特段の御配慮をお願いいたしますと。要は、県民の声を代表する県議会からもこのような要望書をいただいておりますということをつけ加えたいと思います。

○平沢委員長 塩川君、時間が来ましたので、手短にお願いします。

○塩川委員 最後にお尋ねしますが、同一の選挙にダブルスタンダードを持ち込むということは、平等選挙の原則を崩すものと言わなければなりません。平等選挙の原則は議会の民主的正統性の基盤であり、これが崩れては、地方自治も崩れてしまいかねない。参政権、国民主権、地方自治の観点から見れば、本案の問題点を解消し、特例人口を福島県全域で適用することが、選挙の一貫性を貫き、福島県民の意思を議会に反映させることになると考えますが、この点についてお答えをいただきたいと思います。

○國重議員 委員御指摘のように、県内全域で特例人口を用いて次の県議会選挙という特定の選挙の中での整合性をとっていくという考え方も、一つのお考えではないかと思います。
 本法案の検討段階においてこうした点ももちろん考慮に入れていたところではありますが、公職選挙法などの既存の法体系との整合性という観点を重視するという判断で、避難指示区域等に限定して特例人口を用いることができるようにしたものであります。
 県内全域で特例人口を用いることとした場合、本法案が原発事故による避難指示によって国勢調査人口と住民基本台帳人口の間に大きな乖離が生じている地域があることを契機として特例を定めるものであって、こうした地域以外にも特例人口を適用するのは本法案の趣旨を超えるのではないかといったことや、選挙制度の分野においては従来から一貫して国勢調査人口を用いてきたところであり、その特例を設けるに当たっては、必要な部分は補正しつつも、基本的な考え方はできるだけ一貫させ、例外は必要最小限とすべきではないかといった点が課題となるとも考えたところであります。
 このような理由から、特例人口の適用範囲は必要最小限に限り、それ以外の地域では国勢調査人口を用いることとしておりますが、これによって、国勢調査人口を用いるという公職選挙法の原則を維持しつつも、全体として福島県民の意思を議会に反映することができるような適切な定数配分が確保できるものと考えているところであります。

○塩川委員 福島県議選という同一の選挙で人口基準が二つというのは、これはいかがかというところが出発点で、それを土台に本来考える措置ではないのか。我が党としては修正案を提出するつもりであります。
 以上で終わります。


「議事録」(修正案の提案理由説明)
<第196通常国会 2018年04月04日 政治倫理の確立及び公職選挙法改正に関する特別委員会 2号>

○塩川委員 東日本大震災における原子力発電所の事故による災害に対処するための避難住民に係る事務処理の特例及び住所移転者に係る措置に関する法律に規定する指定都道府県の議会の議員の選挙区に関する臨時特例法案に対する修正案の提案理由説明を行います。
 ただいま議題となりました修正案について、日本共産党を代表し、その理由、内容を御説明申し上げます。
 我々は、国の避難指示による住民避難が続いている状況に鑑み福島県議会議員の選挙区について特例措置を講じてほしいという福島県議会の要望を重く受けとめております。すなわち、国勢調査人口と選挙人名簿の基礎となる住民基本台帳人口との間の乖離に対処するため、特例法を立法する必要があるという認識は、原案提出者とも共有しております。
 ただし、選挙区及び定数のあり方は、住民の代表をどう選ぶかという選挙権のあり方の基本にもかかわる問題です。このことからすれば、公職選挙法が原則としている人口比例に基づく定数配分の基礎となる人口は、同一の選挙においては、全ての地域で同一の基準であるべきです。この点、原案は、同一の選挙でありながら、定数配分の基礎となる人口に異なる基準を用いるものであり、また、二〇一五年国勢調査人口が二〇一〇年国勢調査人口を著しく下回る市町村とは何かについて、明確な基準があるのかとの懸念もあります。
 そこで、本修正案においては、人口の特例の適用対象となる区域について、二〇一五年国勢調査人口が二〇一〇年国勢調査人口を著しく下回る市町村の区域に限らず、指定都道府県の全域とすることとしております。
 以上が、本修正案の提案の理由及び内容であります。
 何とぞ委員各位の御賛同をお願い申し上げます。


「議事録」(修正案)
<第196通常国会 2018年04月04日 政治倫理の確立及び公職選挙法改正に関する特別委員会 2号>

[東日本大震災における原子力発電所の事故による災害に耐処するための避難住民に係る事務処理の特例及び住所移転者に係る措置に関する法律に規定する指定都道府県の議会の議員の選挙区に関する臨時特例法案に対する修正案]

 東日本大震災における。原子力発電所の事故による災害に対処するための避難住民に係る事務処理の特例及び住所移転者に係る措置に関する法律に規定する指定都道府県の議会の議員の選挙区に関する臨時特例法案の一部を次のように修正する。
 第二条中「をいい、「指定市町村」とは、同条第一項に規定する指定市町村」を削る。
 第三条第一項中「指定市町村であって平成二十七年の国勢調査の結果による人口が平成二十二年の国勢調査の結果による人口を著しく下回るものとして当該条例で定めるもの」を「市町村」に、「、同年」を「、平成二十二年」に改め、同条第三項中「又は当該条例で定める指定市町村」及び「又は指定市町村」を削る。

【内閣委員会】内閣人事局の廃止要求/幹部人事一元管理を批判

 「森友学園」への国有地処分に関する公文書改ざんの背景に官邸による幹部人事一元管理があるとして、内閣人事局の廃止を求めました。 

 
 幹部職員任用は同局が一元管理し、最終的に首相と官房長官、各閣僚が「任免協議」で決定。内閣官房は、「官職の適性」と「採用昇任等基本方針」が同協議での判断基準だと説明しています。  
 
 「官職の適性」とは何かとの質問に、内閣官房は「個々の具体的な官職に必要な能力」だと説明。 
 
 それでは客観的な基準とは言えない。任用の過程がブラックボックスだ。総理や官房長官の恣意的な人事運用になりかねない。
 
  また、同方針にある「縦割り行政の弊害排除」について、同局設置時の担当閣僚だった稲田朋美氏が「岩盤規制」は省庁縦割りが原因だとして、「規制を排除した官僚」を登用する仕組みを求めたことを示し、「これが内閣人事局か」と質問。  
 
 内閣官房は「そのようなこともある」と認め、菅義偉官房長官は「政権が掲げる改革政策に協力する公務員を登用するのは当然だ」と開き直りました。
 
  官邸による幹部人事の一元管理は、安倍晋三首相夫妻の「お友だち」を特別扱いし、財界要求の規制緩和を推進する官僚機構をつくる。憲法が規定する『全体の奉仕者』としての公務員制度を壊す内閣人事局は廃止すべきだ。
 
 
 

「議事録」
<第196通常国会 2018年03月30日 内閣委員会 6号>

○塩川委員 日本共産党の塩川鉄也です。
 森友学園事件に係る公文書の改ざん事件ですけれども、安倍総理の、私や妻が関係していたら、総理もやめる、国会議員もやめる、こういう答弁が公文書改ざんの契機となったのではないのかという疑念は拭えません。
 幹部人事の一元管理のもとで、官邸の意向に逆らえない、あるいは追随する事態が生じているのではないのか。二〇一四年五月三十日に発足した、国家公務員の人事管理に関する戦略的中枢機能を担うとされ、幹部人事の一元管理を行っているのが内閣人事局であります。府省の部長、審議官級以上の人事、六百八十人以上を管轄しております。
 官房長官にお尋ねをいたします。この幹部職員人事の一元管理の趣旨と具体的な内容についてお答えください。

○原政府参考人 お答え申し上げます。
 幹部人事一元管理制度は、内閣の重要政策に応じた戦略的人事配置を実現し、縦割り行政の弊害を排除して各府省一体となった行政運営を確保することを目的に、平成二十六年の国家公務員法改正により導入されたものでございます。
 幹部人事一元管理に係る具体的な手続は、大きく分けて、適格性審査と任免協議の二つのプロセスから行われることとされております。
 まず、適格性審査でございます。
 任命権者である各大臣が行った人事評価結果等の客観的資料に基づき、あらかじめ定められた客観的な基準に照らし、官房長官が当該職員の幹部候補者名簿への記載の可否について判断を行うことを基本としており、当該審査は公平中立に行われる仕組みとなってございます。
 次に、その後の任免協議についてでございます。
 各大臣が幹部候補者名簿に記載された者の中から人事案を作成し、当該人事案について総理及び官房長官と協議し、その結果に基づいて人事案を決定することとなっており、複数の視点から人事案がチェックされ、中立性、公平性が担保される仕組みとなってございます。

○塩川委員 適格性審査の話と任免協議の話がありました。
 任免協議についてですけれども、幹部職員を任免する際に、あらかじめ適格性審査を経て幹部候補者名簿に掲載されている者の中から任命権者たる各大臣が作成した人事案について、内閣総理大臣及び官房長官と協議を行うということです。
 官房長官、お聞きしますけれども、総理、長官から任命権者に対して協議を求めることが可能となっていますが、官房長官にお尋ねしますが、この任免協議に際しては人事検討会議を開催すると承知をしておりますけれども、この人事検討会議というのはどういうことを行うのでしょうか、直接の担当省で。どうぞ。

○原政府参考人 お答え申し上げます。
 人事検討会議は、任免協議等に関し、内閣として適切に対応するため、内閣官房長官及び三副長官を構成員として内閣官房長官が開催するものでございます。
 以上でございます。

○塩川委員 官房長官が主宰をして、三副長官によって構成をされるということでありますけれども、この人事検討会議について、開催頻度ですとか、任免協議の手順とか、こういうのは具体的にはどういうふうになっているんでしょうか。

○菅国務大臣 基本的な考え方について、私から御説明させていただきたいと思います。
 先ほど来申し上げていますけれども、まず、任命権者、これは大臣であります。大臣は、そこで人事評価をします。大臣は、全体を、各省庁を、そこは掌握しているわけでありますから。その大臣の人事評価を受けて、適格性審査、幹部候補者の名簿作成、ここまで人事局でやるわけでありまして、そして、任命権者である大臣が任用候補者を選抜をするわけであります。ですから、基本的には大臣の比重が極めて大きいということも御理解いただけると思います。
 そして、その後に任免協議をやるわけでありますけれども、そこで人事検討会議、当然、総理、官房長官、そして最終的には任命権者である大臣ともここで御報告をしながら行うわけでありまして、総理が了承した時点で閣議等にかけて、その任命権者である大臣から任命をすると。
 ですから、今申し上げました人事検討会議というのは、大臣が任用候補者を選抜した後で、その全体の方針、例えば女性登用何%だとか、各省庁交流とか、いろいろな人事についての、事前に方針をつくりますから、そうしたことの中で官房長官、三副長官、人事局長でそうしたことを行うということであります。

○塩川委員 適格性審査の実施、幹部候補者名簿の作成、まあ、ここまで人事局が行って、そこからの任免協議については人事検討会議で行うということで、官房長官が主宰をし、三副長官で行うということです。
 それで、ちょっとその辺をもう少し詳しく教えてほしいんですが、任命権者たる各大臣が作成した人事案について、この人事検討会議で任免協議を行って、総理に報告をし、その後、総理の了承を得たら閣議の決定を経て、その人事について任命権者の大臣が執行する、この流れはそういうことでよろしいんでしょうか。

○菅国務大臣 基本的にそういう考えであります。
 その任免協議自体においても、当然そこは任命権者である大臣とも、人事検討会議で、外すというんですか、そういうときは当然大臣と協議をするという形になるわけでありますけれども、今日までそういうことはありません。

○塩川委員 この任免協議について、先ほど、大臣の選抜の後で任免協議を行う際に、女性の比率の話ですとか、あるいは府省間の人事交流とか、そういう観点も踏まえてというお話もありました。
 その点、この任免協議はどのような判断基準に基づいて行われるのかについて確認をしたいんですが。

○原政府参考人 お答え申し上げます。
 任免協議の手続は、任命権者である大臣が、あらかじめ客観的基準に基づく適格性審査を経て幹部候補者名簿に記載されている者の中から、これもあらかじめ閣議決定されております採用昇任等基本方針等において定める内閣の重要政策に応じた能力・実績主義による人事配置や女性職員の登用の推進といった指針に沿って人事案を作成し、内閣総理大臣と官房長官に協議を行い、その結果に基づき人事案を決定するもので、複数の視点から人事案がチェックされ、中立性、公平性が担保される仕組みとなってございます。
 なお、適格性審査の客観的基準でございますが、これは、全府省に共通する職制上の段階に応じて行われる能力評価及び業績評価を用いて、過去及び直近の評価結果によって適格、不適格を判定するものであります。
 また、あらかじめ閣議決定しております採用昇任等基本方針、これには、主なポイントといたしましては、女性登用の一層の推進、府省間の人事交流の一層の推進、採用職種にとらわれない登用の推進、内閣官房、他府省、海外、地方など、多様な勤務経験を有する者の登用の推進、こういうことがあらかじめ決定されてございます。
 また、任免協議においては、個々の人事案について、それぞれの官職ごとに求められる専門的な知識や経験等の有無を考慮した適性に基づき判断を行っている、こういうことでございます。

○塩川委員 任免協議においてはということでお聞きしていますので、そうすると、政府全体の人事方針であるこの採用昇任等基本方針、それと官職の適性に基づいてということであるわけですけれども、この官職の適性というのはどのように評価しているんですか。

○原政府参考人 お答え申し上げます。
 まさに、それぞれの官職ごとに求められる専門的な知識経験等の有無を考慮して判断をする、こういうことでございます。

○塩川委員 具体的な官職について、それが務まるかどうかの能力を見るというお話ですけれども、なかなかよくわからない話であります。客観的な基準というふうに示されているわけではない。
 それと、政府全体の人事方針であるこの採用昇任等基本方針ですけれども、幹部職への任用に関する指針を見ますと、「内閣の重要政策に応じた戦略的人材配置を実現し、縦割り行政の弊害を排除して各府省一体となった行政運営を確保できるよう、幹部職員人事の一元管理が導入されたことを踏まえ、政策課題への取組方針とその実現のための人事配置との関係を明確にし、適材適所の任用を行うものとする。」とあるんですけれども、これよりも何か、もう少し詳しく具体的に、指標ですとか項目とかを示されているものはあるんですか。

○原政府参考人 お答え申し上げます。
 今御指摘いただきました平成二十六年六月二十四日の閣議決定の基本方針に記載しております。それ以上の詳細な方針等はございません。

○塩川委員 詳細なものはないということであります。
 それで、官房長官にお尋ねしますけれども、先ほどちょっと関連してお話がありましたが、この任免協議によって任命権者の人事案を拒否した事例というのはあるんでしょうか。

○菅国務大臣 それはなかったと思っています。

○塩川委員 その辺がよくわからないところで、例えば、二〇一七年六月三日の毎日で、二〇一五年夏の総務省の幹部人事で、高市総務大臣がある幹部の昇格を提案したが、菅官房長官はそれだけは許さないと拒否、この幹部は菅氏が主導したふるさと納税創設をめぐる規制緩和に反対していたという報道がありますけれども、これは事実ですか。

○菅国務大臣 全く事実無根であります。

○塩川委員 実際に、この任免協議において、任命権者の人事案を拒否する、それは受け入れられませんねという判断基準というのは、実際にはどういうふうにされておられるんですか。

○原政府参考人 お答え申し上げます。
 任免協議の手続は、先ほども申し上げましたが、任命権者である各大臣が、あらかじめ、客観的基準に基づく適格性審査を経て、幹部候補者名簿に記載されている者の中から、先ほども出ましたが、閣議決定されております採用昇任等基本方針等において定める、内閣の重要政策に応じた能力・実績主義による人事配置や女性職員の登用の推進といった方針に沿って人事案を作成し、内閣総理大臣と官房長官に協議を行い、その結果に基づき、人事案を決定するものであり、複数の視点から人事案がチェックされ、中立性、公平性が担保される仕組みとなってございます。
 したがいまして、客観的基準を満たさない者は基本的に幹部候補者にはなれず、また、採用昇任等基本方針の趣旨等に沿わない人事案は適切な人事案ではないということになるということでございます。

○塩川委員 ですから、名簿に載っている人で、この人がいいですよと大臣が出してきたときに、実際に任免協議で話をするときには、先ほど紹介していた採用昇任等基本方針の幹部職への任用に関する指針で、これは四行ぐらいしか書いていないわけですよね。それは個々の事例での判断ということですから、実際の任免協議において何か客観的な基準があるというのではなくて、実際には、そこでの判断というのが、いろいろな要素が入り得るということが見てとれるわけであります。
 例えば大臣が上げてくるような幹部人事の案について、複数の名前を出してくる、そういうことというのもあるんですか。

○菅国務大臣 現実的にはほとんどないと思います。

○塩川委員 そうすると、実際に上がってきたものについて、官房長官として、いわば、今、話をしているような指針に基づいてといった場合に、なかなか、具体的な指標があるわけでもないと。非常に幅のある判断ということになるわけですけれども、実際には、そこはどういうふうに考えておられるんですか。

○菅国務大臣 人事局があります。人事局でそこは事前に調整をするというふうに思っています。

○塩川委員 ですから、客観的かどうかというのはまた評価がありますけれども、客観的な基準で上げてくるということでの前段階の整理は人事局でしますよということですけれども、最終的には任免協議においての判断ということで、人事検討会議があり、総理に報告して、承認を受けての閣議決定という流れという場合に、任免協議における議論がどうかというところについての具体的な基準、指標というのが示されていない。それはまさに個々に判断ということですから、非常にそこの部分が、やはり幹部の任用に当たって、その過程が外から見えない、ブラックボックスということを言わざるを得ません。
 これは、拝見したいろいろな文書の中で、例えば内閣官房副長官を務めた古川貞二郎氏は、内閣人事局を設置した二〇一四年の国公法改正に厳しい批判を寄せておられて、この改正が、公務員の志や心情がどれだけ考慮されたか疑問だと。最大の問題は、内閣人事局の創設によって、官僚に対する政治家の恣意的人事が行われるおそれが高くなることで、これは絶対にあってはならないことだと述べておられますが、こういう指摘については、長官はどのように受けとめておられますか。

○菅国務大臣 今、全て承知の上のいろいろな、そういう質問なんだろうというふうに思います。
 かつては、事務次官会合、ここを通らなければ閣議にかけることができない、そういう時代もありました。委員も御承知だと思います。
 まさに議院内閣制というのは、どうしても官僚がそれぞれ、国益なくして省益とか、そういう考え方で行われる危険性というのがあるわけであります。大統領制であれば、それは大統領がかわれば全部かわってしまう、局長クラスは。
 そういう中で、今回、私どもの人事局制度というのは、この議院内閣制の弊害をなくし、そして、国民から負託を受けた政治によって、その政策に向いている、賛同をされる、そうした公務員を評価するというんですかね、従来の、官僚が物事を決めるということではなくて、やはり政務が決める、方向性を出す、そういうことであります。

○塩川委員 先ほど言ったように、人事検討会議のやりとりというのが客観的な指標とかということではなくて、個々に判断という点でいうと、やはりその過程が見えてこないブラックボックスだと。そこに総理や官房長官による恣意的な人事運用になりかねないという懸念の声はあるわけで、私もそう思っております。
 もう一つ、別の観点からお聞きしたいんですが、この採用昇任等基本方針の、幹部職への任用に関する指針で、先ほども紹介しましたが、縦割り行政の弊害の排除というのがあります。先ほど長官もおっしゃっておられましたけれども、省益、その弊害という話だったわけですけれども、この縦割り行政の弊害の排除というのはどういうものを指しているんでしょうか。

○原政府参考人 お答え申し上げます。
 グローバル化や情報化の進展等により経済社会情勢が激しく変化する中で、複雑高度化するさまざまな行政課題に対して政府として迅速かつ的確に対応していくためには、これまでの省庁の枠組みだけではなく、各省庁に横串を刺して、政府が一体となって取り組んでいくことが求められる場合がふえてございます。
 例えばということでございますと、農林水産業の輸出力強化を戦略的に確実に進めるための攻めの農業ということがございます。こういう政策をより強力に推進するということを狙いまして、平成二十八年に農水省、経産省の局長級の人事交流、こういうことがございます。
 また、例えば、二〇二〇年に東京で開催されますオリンピック、パラリンピック、これもまさに国を挙げて、全省庁的に取り組む課題でございます。
 内閣官房に関係省庁の優秀な職員を集めて一体となった職務に当たっている、こういうことでございます。

○塩川委員 この内閣人事局をつくる国公法の改正の際に幹部人事一元管理の議論を担っていたのが当時の担当大臣だった稲田大臣ですけれども、稲田大臣は、その当時に、縦割り行政の弊害の排除について、きちんと規制を排除した官僚が登用される仕組みが必要だと述べていました。
 過去、稲田大臣の記者会見等々の発言でも、規制改革との関係で、岩盤のような規制を排除する、そういう幹部が登用される仕組みが必要だということを述べておられるんですが、きちんと規制を排除した官僚が登用される仕組みというのが幹部人事の一元管理ということですね。

○原政府参考人 今御指摘にあったような視点が国の重要政策であるという場合は、そのようなこともあろうかと思います。

○塩川委員 例えば、二〇一三年六月二十五日の稲田大臣の記者会見では、規制改革会議を見ていても、やはりこの縦割り行政の弊害というのは排除しなければならない、なぜこんなに岩盤のような規制がいつまでも残っているのかというと、やはり省庁ごとの縦割りがあって、なかなかその規制を取り払うことのインセンティブが働かない。省庁を横断した形の人事をやるということは、縦割り行政の弊害を除去することについて非常に有益だと述べています。
 縦割り行政の弊害を排除するとして行う幹部人事の一元管理というのは、岩盤規制を取り除く官僚が登用される仕組みをつくるということになります。
 そこでお尋ねしますけれども、安倍政権は、雇用や医療、農業などの分野を岩盤規制といって、産業競争力会議や規制改革推進会議、国家戦略特区諮問会議などを使って規制緩和を推進しようとしてまいりました。この間の問題となっております労働者の長時間労働、過労死を招く裁量労働制の拡大や残業代ゼロ法案、我々が指摘をしてきた高度プロフェッショナル制度なども、労働者、労働組合の反対を押し切って、これらの会議体を使い、内閣官房、内閣府主導で推進をしてきました。その内閣官房、内閣府に多数の各省の幹部がいわば集められて、こういったものを推進をしてきているわけであります。
 長官にお尋ねしますけれども、この幹部人事の一元管理というのは、内閣官房、内閣府を中心にして、こういった労働の問題のような国民の暮らしを守るためのルール、規制を排除することに熱心な幹部を登用するということを目指すものになっているんじゃありませんか。

○菅国務大臣 まず、政権というのは、国民に対して実現をしたい政策を掲げて選挙に臨んで、多くの国民の御理解を得て負託を受けた政党が政権をとるわけであります。ですから、国民に約束した政策を誠実に実行に移す責任が政党にはあるわけであります。
 そういう中で、例えば私たち安倍政権というのは、経済再生最優先で選挙を戦わせていただきました。そして、アベノミクスという三本の矢を矢継ぎ早に放つ。また、改革については、例えばインバウンド、八百三十万人だったのが一挙に約二千八百七十万人までふえました。インバウンドがこれだけふえたという一つの大きな要因というのは、まさにビザの緩和。これはまさに岩盤だったんです。こうしたものを政治の力でビザ緩和をする。あるいは、免税品も限られていましたけれども、これも大幅に拡充をしました。
 こうしたことによって、一兆一千億円の消費だったのが、去年は四兆四千億円ぐらいまでになっていますから、こうしたことというのは一つの大きな成果だというふうに思いますし、農業もそうです。農業改革も総理は徹底して行っております。例えば、四十二年間続いた減反制度を見直しをしました。さらに、農業の大規模化ということにも今着手をしております。そして、守る農業から攻める農業。
 そういう中で、まさにそうした改革方向に理解を示す、公務員の中立性や公平性が損なわれないような中で幹部人事を行って、そうした政策に協力をいただいていける公務員を登用するという、ある意味では当然のことじゃないでしょうか。

○塩川委員 いや、労働時間規制はどうなのかという話なんですよ。長時間労働、過労死を招くような労働時間の規制の緩和を行うということについて、これを主導的にやっているのは内閣官房であり内閣府であるわけですよね。そこに、岩盤規制を取り除くという仕組みの中でそういう方向を打ち出してきているのが安倍政権でありますし、そのために使う人材を内閣官房や内閣府に引き上げていくというのが、幹部人事の一元管理が実際にやっている中身なんじゃないですか。労働時間規制についてはどうですか。

○菅国務大臣 今回、国会で成立を私たちはお願いしようとしているこの働き方改革、罰則つきの長時間労働の規制というのを今回初めてさせていただきますし、同一労働同一賃金もそうじゃなかったでしょうか。あるいは、みずからの働く時間帯も成果主義の中で行っていく。こうしたことは、長時間労働というのはなくしていくという中の法案を、これはまた別の問題として出させていただきますから、そういう中で御議論をすることが大事だと思います。

○塩川委員 労働組合や労働者が反対の中で強行しようとしているのがこの労働時間規制の緩和であるわけで、こういうのを推進するようなのが今の幹部人事の一元管理のもとでの内閣人事局のやってきていることだということを厳しく指摘をしなければなりません。
 最後に、国家公務員の再就職の関係でも、直接の担当は官房長官だと承知をしております。再就職等監視委員会がありますが、第一次安倍政権が天下りを自由化した際につくった仕組みであります。
 これも私は国会でも取り上げてまいりましたけれども、国交省の組織ぐるみの天下りあっせん問題を指摘をして、再就職監視委員会はそれを取り上げたわけですが、私が示したわたりですとか玉突き、固定ポスト、こういった人事について、二十一ポストにわたる玉突き人事を指摘したのに、二ポストしか違法性を認定しなかったのが監視委員会の現状であって、機能していないというのは明らかであります。
 この間、再就職等監視委員会は、二〇一七年の一月に文科省の天下り事案の調査結果を発表しましたが、事件発覚のきっかけは大学からの情報提供を受けたものであり、同委員会が主体的に行動して摘発したものじゃありません。
 その後の経緯を見ても、前川潰しに政治利用したという疑念は拭えないわけで、幹部人事の一元管理体制を担う内閣人事局と一体で、再就職監視委員会は公務員を退職後も管理するために利用されているんじゃないのか、このことを厳しく問われなければならないと思います。
 幹部人事の一元管理が、官邸による恣意的な介入を可能とするものであり、モリカケ問題のように、安倍首相夫妻のお友達を特別扱いする仕組みとなり、財界が要求し、労働者が反対をしている労働や医療などの規制緩和を推進するための官僚機構をつくるというものだと。
 憲法が規定する全体の奉仕者としての公務員のあり方を変質させる、中立公正の公務員制度を壊す内閣人事局は廃止をし、民主的な公務員制度への改革を強く求めて、質問を終わります。

 

【内閣委員会】公文書改ざん/11閣僚に認識ただす/徹底した真相究明を

 学校法人「森友学園」との国有地取引に関する決裁文書の改ざんについて11閣僚の認識をただし、徹底した真相究明を求めました。

 
  国会の資料要求に対して改ざんした公文書を提出したのは、政府が国会を欺いた極めて重大な問題だ。国会が行政監視機能を果たすには十分な調査と情報収集が不可欠だ。公文書改ざんにより、国会の国政調査権を冒とくし、行政監視機能を妨害した認識はあるか、と問いました。 
 
 野田聖子総務相、加藤勝信厚労相、小此木八郎国家公安委員長、福井照沖縄・北方相、松山政司1億総活躍相、梶山弘志地方創生相、鈴木俊一五輪相は、国会の求めに対して改ざんした公文書を出したのは重大な問題だとの認識を示しました。
 
  一方、菅義偉官房長官は「結果として国会審議を混乱させた」「行政への信頼を揺るがしかねない事態」と述べるだけ。  
 
 私が5回にわたって追及しても、まともに答えませんでしたが、各大臣の答弁を聞いてようやく「そのような認識だ」と答弁しました。
 
  茂木敏充経済再生相も、3回目の質問に「(各大臣と)同じ認識だ」と答えました。  上川陽子法務相はこれまで「答弁を差し控える」としていましたが、初めて「重大な問題」と答えました。 
 
 森友公文書の一部を保有し、問題の当事者である国土交通省の石井啓一大臣は、他の大臣と同様に「大きな問題だ」と述べるにとどまりました。
 
  佐川宣寿前財務省理財局長への証人喚問で疑惑がいっそう深まった。真相究明のため、安倍晋三首相の妻の昭恵氏ら関係者の証人喚問と予算委員会での集中審議を求めました。
 
 

「議事録」
<第196通常国会 2018年03月30日 内閣委員会 6号>

○塩川委員 日本共産党の塩川鉄也です。
 内閣委員会における大臣所信質疑を行わせていただきます。
 この内閣委員会におきましては、この間、非常に異常な委員会運営が行われてきた。本来、三月の頭で行われるはずだった大臣所信質疑、野党分を飛ばし、また、子ども・子育て支援法の委員会質疑また本会議での質疑、採決、本会議の採決を含めて、野党の出席のないまま強行されたという経緯、極めて、過去にも前例がないような、前代未聞の暴挙と言わなければなりません。
 一昨日ときょう、残された野党分の大臣所信質疑が行われることになりました。いわば、内閣委員会は、いまだ正常化の途上であります。
 こういった異常な国会運営の大もとに、政府による公文書改ざん事件があるわけです。この点についての大臣の考えを伺いたい。
 一昨日の内閣委員会の冒頭、山際内閣委員長は、今回の決裁文書の改ざん事件について、今般の財務省決裁文書書換え事案は、国会の国政調査権を冒涜し、国会と行政との信頼関係を損なうだけでなく、民主主義の根幹を揺るがし、国民の行政に対する信頼をも損なうものであると発言をされたのは、極めて重要であります。
 三権分立のもとで国会が政府に対する監視機能を果たすことは、国民の負託を受けた国会が行うべき重要な責務であります。行政監視機能を果たすためには、十分な調査と情報の収集が不可欠であります。それなのに、森友公文書改ざん事件では、国会からの資料要求に対して、政府が公文書を改ざんして提出をした。
 それでは、まず菅官房長官にお尋ねをしますが、国会の国政調査権を冒涜した、そういう認識はお持ちですか。

○菅国務大臣 国政調査権というのは、まさに憲法に規定されている国会の権能であって、政府としても重要と考え、国会の資料要求に対してはできる限りの対応をすべきであると考えております。
 いずれにしろ、政府としては、今後、国会の御要請にできる限り丁寧に対応していく必要があると思っています。

○塩川委員 お答えになっていません。
 今回の事案についてどう考えるかというのを聞いているんですよ。一般論の話じゃないんです。
 いずれにせよというので話をそらすのが官房長官のいつもの答弁ですけれども、要するに、国会の行政監視機能、国会の国政調査権を妨害したという認識があるのか、この改ざん事件において。その点、お答えいただけますか。

○菅国務大臣 書き換えた文書を国会に提出したことで、結果として国会の審議を混乱させたことについては、大変遺憾なことであると思っています。

○塩川委員 結果として国会審議を混乱させたという話じゃないんですよ。
 なぜ混乱したか。つまり、まともな審議ができないということで野党が審議に応じられないとしたというのは、そもそも国会の国政調査権、行政監視機能の土台となる政府からの提出資料が、書き換えられたと言われますけれども、改ざんをされたということが問題なわけで、そもそも国政調査権を妨害した認識があるかどうかということをお聞きしているんですが。もう一回。

○菅国務大臣 今申し上げましたように、まさに今回の文書の書換えについては、行政全体に対する信頼を揺るがしかねない事態であり、まさにこうした文書を国会に提出したことで国会の審議を混乱させた、このことについては極めて遺憾であるというふうに思いますし、また、全容が明らかになった段階において、このような事態が再発しないよう、信頼回復に向けて全力で取り組んでまいりたいというふうに思います。

○塩川委員 納得いく話ではありません。
 この国会からの要請に対して、いわば改ざんした文書を提出したということについての、その結果として混乱の話なんですよ。その改ざんした文書を出したことが問題だった、そういう認識はないんですか。

○菅国務大臣 今申し上げましたけれども、こうした書換えについて、行政全体に対する信頼を揺るがしかねない事態であって、政府として、国民の皆さんから厳しい目が向けられていることを真摯に受けとめ、なぜこんなことが起きたのか全容を解明する、そして、明らかになった段階においては、このような事態が再発しないよう、信頼回復に向けて必要な対応策をしっかりとっていきたいというふうに思います。
 結果、書き換えた文書を国会に提出したことで国会の審議が混乱したことについては、大変遺憾だと考えます。

○塩川委員 国会と政府との関係を聞いているわけです。国会を冒涜した、そういう受けとめはありますか。

○菅国務大臣 国会の審議を混乱させた、そしてまた、こうしたことに対しては大変遺憾だと考えておりますし、政府としては、全容が明らかになった段階において、このような事態が再発しないように、信頼回復に向けて必要な対応をしっかりとっていきたいというふうに思います。

○塩川委員 納得いくものではありません。
 時間の関係もありますから、きょうお越しの内閣委員会所掌にかかわる大臣にそれぞれ伺っていきます。
 今、菅官房長官にもお尋ねしましたが、今回の森友の公文書の改ざん事件、この並びの順番でまずお答えいただこうと思いますから、じゃ、茂木大臣。
 森友公文書改ざん事件では、国会からの資料要求に対して政府が公文書を改ざんして提出をした。これを、国会の国政調査権を冒涜した、そういう認識はお持ちですか。

○茂木国務大臣 今回の件は、国民の行政への信頼を大きく揺るがす事案だと重く受けとめております。真相究明を進め、事実関係を明らかにし、国民及び国民から負託を受けた国会に対してしっかりと説明をし、また、このようなことが二度と起こらないように、再発防止策を徹底する必要があると考えております。

○塩川委員 国会と政府との関係を聞いているんです。もちろん、国民との関係で信頼を損ねるような重大な事態というのは当然のことでありますけれども、国会の行政監視機能、国政調査権を侵害する、国会を冒涜する、そういう事態だったのではないのかという認識について、もう一回。

○茂木国務大臣 国民から負託を受けた国会に対してしっかりと事実関係を説明する必要がある、このようにお答えを申し上げました。

○塩川委員 納得いくものじゃありませんが、ちょっと一通りと思いますので、野田大臣、いかがですか。

○野田国務大臣 お答えいたします。
 法令を遵守し、適正に事務を執行することは、行政として当然のことです。このたびの財務省の決裁文書の書換えにより、行政全体の信頼が損なわれる事態となったことは、大変残念です。
 また、国会における御審議のために必要な資料の提供が求められた場合には行政として真摯に対応すべきであり、国会の御要請に対し書き換えた文書を提出したことは大きな問題があると考えています。
 真相をしっかり究明するとともに、このような事態が再発しないよう、信頼回復に向けて必要な対応を行うべきであり、私も内閣の一員としてしっかり取り組んでいきたいと考えています。
 いずれにせよ、私が担当する分野については、国会の御要請にはできるだけ丁寧に対応していくとともに、国民の信頼が得られるよう、丁寧な説明に努めていきたいと思います。

○塩川委員 国会に対して事実ではない文書を提出したことは大変な問題だというお話がありました。
 梶山大臣。

○梶山国務大臣 国会における質疑というものが民主主義そのものであるという点に鑑みますと、国会からの求めに対して書き換えた決裁文書を提出したことは重大な問題であると考えております。

○塩川委員 石井大臣、お願いします。

○石井国務大臣 このたびの決裁文書の書換えによりまして行政全体の信頼が損なわれたことについては、大変遺憾に思っております。
 また、国会の御要請に対し書き換えた文書を提出したことは大変大きな問題であると認識をしております。
 政府としては、国会の御要請にできる限り丁寧に対応していく必要があると考えております。

○塩川委員 鈴木大臣、お願いします。

○鈴木国務大臣 財務省における文書の書換えにつきましては、行政全体に対する信頼を揺るがしかねない事態であり、書き換えた文書を国会に提出したことは重大な問題であると考えております。
 私といたしましても、国民の負託を受けた国会からの御要請には可能な限り丁寧に対応するとともに、国民の信頼を得られるよう、できる限り丁寧な説明を行ってまいる所存であります。

○塩川委員 小此木大臣、お願いします。

○小此木国務大臣 国会の委員会からの要求を受けて提出する資料については、書換えがなされるようなことはあってはならない話だと認識しています。
 また、今回の事態を閣僚の一人として重く受けとめておりまして、総理からの公文書管理に関する指示をしっかりと踏まえて、国民の信頼回復に努めていかなきゃならないものと考えております。
 いずれにせよ、国会の要請にできる限り丁寧に対応していくよう、引き続き指導してまいりますし、私もその気持ちでおります。

○塩川委員 今回の事案について、国会の国政調査権の侵害、行政監視機能を妨害した、そういう認識はお持ちですか。

○小此木国務大臣 今回の事態のことについて、閣僚の一人として重く受けとめておりまして、あってはならないことであると認識しています。

○塩川委員 上川大臣、お願いします。

○上川国務大臣 国会からの求めに対し書き換えた文書を提出したことは、重大な問題であると認識しております。
 決裁文書の書換えにつきましては、現在財務省で調査中であり、全容が明らかになった段階におきまして、国民の皆様から信頼が得られるよう、財務省において丁寧に説明が行われるものと思います。
 いずれにせよ、国権の最高機関である国会から資料の提出を求められた場合には、これを重く受けとめ、誠実に対応すべきものと考えております。

○塩川委員 松山大臣、お願いします。

○松山国務大臣 このたびの決裁文書の書換えによりまして行政全体の信頼が損なわれたことについては、大変遺憾に思っているところでございます。
 また、国会の御要請に対し書き換えた文書を提出したことは大変な問題であると認識いたしております。
 全容が明らかになった段階において、このような事態が再発しないよう、信頼回復に向けて必要な対応を行う必要がございます。
 いずれにせよ、政府として、国会の御要請にはできるだけ丁寧に対応していくとともに、国民の信頼を得られるよう、できる限り丁寧な説明を行う必要があると考えております。

○塩川委員 福井大臣、お願いします。

○福井国務大臣 国会における質疑というものが、先生先ほどからおっしゃっていただいていますように、民主主義そのものであるという点に鑑みますと、国会からの求めに対して書き換えた決裁文書を提出したということは大変重大な問題であるというふうに考えている次第でございます。

○塩川委員 加藤大臣、最後に一言。

○加藤国務大臣 今回の決裁文書の書換え、もう今各大臣が言われたように、行政全体の信頼が損なわれたということで、大変遺憾に思っております。
 また、国会の要請に対して書き換えた文書を提出するということはあってはならない問題だというふうに考えております。

○塩川委員 菅官房長官に改めてお尋ねいたします。
 各大臣、若干いろいろばらつきはありますけれども、国会の要請に対して書き換えた文書を提出したことは重大な問題、大変な問題という認識は当然示されているわけですが、官房長官もその認識をお持ちですか。

○菅国務大臣 先ほど来答弁をさせていただいていますように、そのような認識であります。

○塩川委員 茂木大臣も同様でしょうか。

○茂木国務大臣 私も同じ認識を持っております。

○塩川委員 国会と政府との関係、政府が国会を欺いた問題について、それぞれ問われているわけであります。
 行政監視機能を果たすべき国会に対して、行政側が要求された公文書を改ざんして国会に提出したということは極めて重大な話であり、この間、議論がされていますように、いわゆる憲法六十二条の国会の国政調査権、「両議院は、各々国政に関する調査を行ひ、これに関して、証人の出頭及び証言並びに記録の提出を要求することができる。」これは、国会は、選挙された国民の代表として、立法、政府、行政に対する統制、財政に対する統制など、国政全般にわたる強い権限を持つわけで、こうした権限を行使するためには、十分な調査や情報の収集を行うことが不可欠であります。
 また、「内閣は、行政権の行使について、国会に対し連帯して責任を負ふ。」と憲法六十六条の三項にうたわれているように、国会での審議において、国会議員から批判や質問を受け、答弁を行うことを通じて、内閣の責任、これは政治責任、説明責任が問われることになるわけであります。
 冒頭紹介しましたように、山際委員長が発言をされましたように、国会の国政調査権を冒涜し、国会と行政との信頼関係を損なうだけでなく、民主主義の根幹を揺るがし、国民の行政に対する信頼をも損なう、このことを改めて政府の方に強く求めていくものであります。
 残りの時間で、公文書管理担当の梶山大臣にお尋ねをいたします。
 加藤大臣は、後ろの時間、厚労委員会ということですので、退席いただいて結構です。
 そもそも公文書とは何なのかということについて、梶山大臣、お答えいただけますか。

○梶山国務大臣 公文書につきましては、過去から現在、そして未来へと国の歴史や文化を引き継いでいくとともに、行政の適正かつ効率的な運営を実現し、現在と将来の国民への説明責任を全うする上においても重要なインフラであると考えております。
 公文書管理法第一条では、公文書等は、国及び独立行政法人等の諸活動や歴史的事実の記録であり、健全な民主主義の根幹を支える国民共有の知的資源として、主権者である国民が主体的に利用し得るものであると規定をしているところであります。

○塩川委員 公文書とは健全な民主主義の根幹を支える国民共有の知的資源、こういう角度を国民主権との観点でどう捉えるのか。国民主権の立場から公文書とはどういう意味があるのか、この点についてお答えいただけますか。

○梶山国務大臣 民主主義の根幹は、国民が正確な情報に自由にアクセスをし、それに基づいて判断を行い、主権を行使することにあると考えておりまして、まさに、その意味において、公文書等は、健全な民主主義の根幹を支える基本インフラであるとともに、国民共有の知的資源であります。
 こうした趣旨を踏まえて、公文書管理法第一条において、主権者たる国民の立場に立って、公文書等が国民共有の知的資源であり、国民が主体的に利用し得るものと位置づけることによって、公文書管理に携わる行政の立場のみならず、公文書等を利用する国民の立場についても、公文書管理法上、明文化しているものと承知をしているところであります。

○塩川委員 今答弁ありましたように、国民主権の立場からいったときに、公文書というのが、一つ、国民共有の知的資源、つまり国民共有の財産だ、あわせて、国民が主体的に利用し得る、それはまさに国民の知る権利を保障する。
 今回の改ざんというのは、国民の皆さんにとっていえば、国民の財産が侵害をされ、そして国民の知る権利が侵害をされた、そういう重大な問題であるわけで、国会の国政調査権、行政監視機能を侵害された、こういう問題とあわせて、極めて重大なこのような事案について、その真相の解明ということが強く求められているわけであります。
 佐川氏の証人喚問で疑惑が一層深まったというのが実態であります。真相究明が求められております。予算の集中審議や、迫田元理財局長、谷査恵子氏、そして安倍昭恵氏の証人喚問をぜひ実現をする、このことを強く求めて、質問を終わります。