【倫理選挙特別委員会】河井買収事件/説明は果たされていない/政党助成制度の廃止を

 自民党の河井克行元法務大臣・案里夫妻の選挙買収事件に関連し、政党助成制度の廃止を呼びかけました。

 河井事件は、自民党本部から交付された政党助成金が買収の原資との疑いがあります。このことについて、岸田文雄総理大臣は「監査を経て報告書が出され、説明が果たされている」と答弁しています。

 私は、政党助成法では政党助成金の使途等報告書の監査は、領収書の保存や、報告書に収支が表示されているかを見るに過ぎないことを確認。また、国会議員政治団体の「政治資金監査」も、収入は監査対象にはならず、領収書の改ざんがあっても調査権限がなく、違法支出など支出の妥当性を評価するものではないことを確認し、このような監査をもって、適正に処理されているとか、説明がされていると言えるのかと迫りました。

 金子恭之総務大臣は「現状の制度でしっかり対応している」と強弁しました。

 また、私は、1995年の政党助成制度導入以降の交付総額と受け取った政党数を質問。

 総務省選挙部長が「約8540億円、45政党」と答えたのに対し、「消えていった政党が37もある」と指摘。

 政党助成制度の導入し企業・団体献金は禁止するとしていたが、2020年の企業・団体献金や政治資金パーティー収入が200億円にも上る実態を示し、こうした“2重取り”は厳しい批判が寄せられても仕方がない。わが党は、参院に政党助成法廃止法案を提出した。廃止の検討を各党に呼びかけたいと主張しました。


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「議事録」

<第208通常国会 2022年3月10日 政治倫理の確立及び公職選挙法改正に関する特別委員会 第3号>

○塩川委員 日本共産党の塩川鉄也です。
 今日は、選挙買収と政党助成金の問題について質問をいたします。
 河井元法務大臣が有罪となった選挙買収事件について、河井夫妻の陣営に対し、自民党本部から一億五千万円が提供され、そのうち一億二千万円が政党助成金でした。これが買収の原資になったのではないかという疑惑はいまだに明らかになっておりません。
 二月二十八日の参議院の予算委員会で、我が党の井上哲士議員が、公判での供述調書を示して、運動員買収の原資が、克行氏の自民党広島県第三選挙区支部から案里氏の広島県参議院選挙区第七支部に振り込まれた四千五百万円であり、この四千五百万円は党本部からの政党助成金であることを指摘をしました。
 その際、岸田総理は、政党助成金からは支払われてはいないという昨年九月の自民党本部の説明を引用して答弁しました。そして、公認会計士、税理士等の監査を経てこうした報告書が出されているわけでありますので、説明が果たされていると認識しておりますと述べました。
 監査を経ているというのが説明責任を果たしているという指摘をしておるわけですが、そこで、総務省に確認します。政党助成金における使途等報告書の監査について、政党助成法施行規則では、監査事項はどういうふうに規定しておりますか。
○森政府参考人 お答え申し上げます。
 政党交付金使途等報告書に係る監査事項について、政党助成法施行規則第二十条は、会計帳簿、領収書等及び残高証明等が保存されていること、会計帳簿には政党交付金に係る収支の状況が記載され、政党の会計責任者が当該会計帳簿を備えていること、使途等報告書は、会計帳簿等に基づいて収支の状況が表示されていること、領収書等を徴し難かった支出の明細書は、会計帳簿に基づいて記載されていることと規定をしております。
○塩川委員 今お答えがあったように、会計帳簿や領収書などが保存されているか、収支が報告書に表示をされているかといった外形的なことを確認しているにすぎません。これで説明が果たされているとはとても言えないものです。
 この政党助成金の使途等報告書の監査の問題だけではありません。河井夫妻が代表を務めた自民党の支部は国会議員関係政治団体でもありますので、政治資金監査も行われておりました。
 二〇〇七年の法改定で国会議員関係政治団体がつくられた際、プロの目を通すといって、弁護士、公認会計士、税理士の登録政治資金監査人によって政治資金監査を受ける制度が設けられました。この監査のマニュアルを作ったり、監査人の登録や研修を行っているのが政治資金適正化委員会であります。
 この政治資金適正化委員会が作った政治資金監査マニュアル、政治資金監査に関するQアンドAでは、記載漏れ、領収書などの改ざん、収入の監査や使途の妥当性の判断についての記載もあります。
 この政治資金監査に関するQアンドAでは、収入の記載漏れが発見され、支出についても記載漏れがあり、会計責任者は収支報告書を訂正しなかった場合、政治資金監査報告書ではどのように記載すべきかという問いに対して、このQアンドAではどのように答えておりますか。
○植村政府参考人 お答えいたします。
 御指摘のQアンドAの記述、7―三「収入・支出の記載漏れ」になります。
 収支報告書に支出の記載漏れがあり、会計責任者に指摘したにもかかわらず、収支報告書を訂正しなかった場合、法定の監査事項を確認できなかったものとして、別記にその旨を記載することが考えられますとあり、さらに、なお、政治資金監査は支出のみを対象とし、収入はその対象としてはいませんと記述しております。
○塩川委員 収入は対象とはしていないということで、収入に記載漏れがあったとしても、監査の対象ではないということであります。
 同じくQアンドAでは、「翌年への繰越額と現金預金残高とが一致しているかを確認する必要があるか。」との問いに対し、どのように答えておりますか。
○植村政府参考人 お答えいたします。
 同じくQアンドAの1―三「繰越額と現金預金残高」でございますが、「政治資金監査は支出のみを対象としていますので、翌年への繰越額の確認は求められていません。」と記述をしております。
○塩川委員 翌年の繰越額も監査の対象ではないということであります。
 同じくQアンドAでは、「明らかに記載が訂正又は消去された痕跡のある領収書等がある場合は、政治資金監査上、どのように取り扱えばよいのか。」との問いに、何と答えておりますか。
○植村政府参考人 お答えいたします。
 QアンドAの5―二十八「領収書等の改ざんの形跡」になりますが、「政治資金監査は、外形的・定型的に行われるものであり、登録政治資金監査人は、第三者に対する調査や資料要求を行う権限を付与されていません。そのような中で、明らかに記載が訂正又は消去された痕跡のある領収書等がある場合は、政治資金監査の信頼性を確保する観点から、当該領収書等が真正なものであることを会計責任者等に確認することとなります。」と記述をしております。
○塩川委員 外形的、定型的に行われるという政治資金監査であって、改ざんの形跡があっても、会計責任者に確認をするだけで、調査権限はないという仕組みであります。
 同じく、QアンドAでは、「政治資金監査の結果、政治団体に係る支出とは判断できない支出が分類されている場合、どのように対処すればよいのか。」との問いには、どのように答えておりますか。
○植村政府参考人 お答えいたします。
 同じく、QアンドAの1―五「使途の妥当性の判断」でございますけれども、「政治資金監査は、政治資金の使途の妥当性を評価するものではありません。これは、政治資金の透明性の向上を図りつつ、同時に、政治活動の自由の確保の要請にも応えるべく、国会における議論の結果、外形的・定型的な監査とすることで合意されたものです。」と記述をしております。
○塩川委員 政治資金監査は、政治資金の使途の妥当性を評価するものじゃないんだというふうに述べているわけです。
 今読み上げてもらいましたように、収入、繰越残高についても監査の対象外で、権限はない。領収書が改ざんされていても、調査する権限はない。調査対象の支出でも、おかしな支出、違法な支出であっても、使途の妥当性を評価するものではない。
 大臣にお尋ねしますが、こういった国会議員関係政治団体の政治資金監査制度は監査と言えるものなのかと率直に思いますが、大臣の認識を伺います。
○金子(恭)国務大臣 塩川委員にお答え申し上げます。
 今お答えしておりますとおり、政治資金監査は、支出の状況について外形的、定型的に確認を行うものですが、これは、政治資金の透明性の向上を図りつつ、同時に政治活動の自由の確保の要請にも応えるべく、与野党間の大変真摯な御議論の結果、今の制度になったものと承知をしております。
 いずれにしましても、政治資金監査の在り方に関することについては、各政党、各政治団体の政治活動の自由と密接に関連していることから、各党各会派において御議論いただくべき問題と考えております。
○塩川委員 今言ったような監査を踏まえて報告書が出されているので、説明が果たされていると言ったのが岸田総理なんですよ。
 でも、今言ったようなやり方で、本当に説明責任が果たされていると言えるのか。こういった監査をもって、適正に処理されているとか、ましてや説明はされているということは言えないんじゃないですか。疑惑は全く晴れていないと思いますが。
○金子(恭)国務大臣 先ほども申し上げましたように、与野党間の大変真摯な御議論の結果、今の制度になっております。現状の制度として、しっかりと対応しているものだと思います。
○塩川委員 岸田首相、自民党としてのこの問題についての説明責任は全く果たされていないということを改めて強調しておきます。
 しかも、河井夫妻の選挙買収事件だけではありません。自民党京都府連によるマネーロンダリングの疑惑の問題もあります。国会議員が、自らの選挙前に、京都府連を迂回して区議、市議に一人当たり五十万円を渡していたという疑惑であります。
 政治と金をめぐる重要な問題は、入りの問題であります。企業・団体献金の全面禁止、政党助成制度の廃止が、国民の政治不信を払拭する上で不可欠だと我が党は述べてまいりました。
 数字を確認します。一九九五年、政党助成制度導入以降、二〇二一年まで、政党交付金の総額は幾らになっているでしょうか。また、これまでに交付金を受け取った政党の数は幾つになるでしょうか。
○森政府参考人 お答え申し上げます。
 政党助成制度が創設をされました平成七年分から令和三年分までの二十七年間の政党交付金の交付総額、一千万円以下を四捨五入いたしますと、八千五百四十億円となっております。
 また、政党助成制度が創設された平成七年分から令和三年分までに政党交付金を受け取った政党は、四十五政党でございます。
○塩川委員 これまでに、八千五百四十億円、四十五政党ということでした。
 二〇二一年に政党交付金を受け取っている政党、そして、各党がこれまでに受け取った政党交付金額は幾らになるでしょうか。
○森政府参考人 お答え申し上げます。
 各党、二〇二一年に政党交付金を受け取っている政党がこれまでに受け取った政党交付金の総額、交付累計額につきましては、一千万円以下を四捨五入いたしますと、自由民主党四千八十九億円、公明党六百八十三億円、社会民主党三百七十四億円、立憲民主党百八億円、日本維新の会八十四億円、国民民主党二十九億円、れいわ新選組四億円、NHK受信料を支払わない国民を守る党四億円となっておるところでございます。
○塩川委員 自民党は、制度導入以来、これまでに四千八十九億円を受け取っているということで、全体の半分近くを占めております。この八千五百億円という巨額の税金を四十五の政党で山分けをしてきました。しかも、この間に消えていった政党が三十七もあるわけであります。
 日本共産党は、政党助成金を受け取っておりません。それは、支持する政党を持たない国民にも一律に献金を強制するものであり、思想信条の自由を侵すものだからであります。
 この政党助成金制度の導入をめぐって、当時、そもそも政党が税金に依存していいのかという議論が、導入を進めた側からもありました。政党助成金を入れるとしても、税金なのだから過度に依存しないようにしよう、上限を決めようという議論があり、細川総理と河野自民党総裁の合意では、上限は四割とすることになりましたが、法制化する際になって、この歯止めも、三分の二を上限ということで後退をいたしました。ところが、さらに、制度が施行された九五年十二月には、この歯止めさえも完全に削除する法改正が行われました。
 こうして、政党が幾ら税金に依存しようとも問わないという内容に変えてしまったという経緯があります。
 現状はどうか、お尋ねします。直近の二〇二〇年分で、各党の収入に占める政党交付金の依存率は何%でしょうか。
○森政府参考人 お答え申し上げます。
 直近の令和二年における各政党本部収入総額に占める政党交付金の割合を割合の高い順に申し上げますと、令和二年九月十一日に分割により解散した国民民主党八七・二%、日本維新の会八〇・二%、令和二年九月十四日に合併により解散した立憲民主党七七・〇%、自由民主党七一・七%、令和二年九月十五日に設立された立憲民主党五五・一%、NHK受信料を支払わない国民を守る党五三・五%、社会民主党四六・九%、令和二年九月十一日に設立された国民民主党三七・五%、れいわ新選組三六・一%、公明党二四・八%となっております。
○塩川委員 今お示しいただきましたように、各党とも政党助成金の依存の割合が高い。資金のうち、政党助成金が七割、八割を占める。まさに国営政党、官営政党と言われても仕方がありません。
 当初は、政党助成金の総額について五年後に見直しという規定もありましたが、何らの見直しもないまま、制度導入以降、一度も総額が減らされたことはありません。
 大臣にお尋ねしますが、元々、税金に過度に依存しないようにしようという趣旨というのが、政党助成金を導入する側の中でも議論がされてきた問題であったわけであります。今の現状というのは、率直に言って、これでいいのか、余りにも依存し過ぎる事態ではないのか、このことが問われていると思うんですが、大臣の認識を伺います。
○金子(恭)国務大臣 お答え申し上げます。
 政党助成制度は、政治改革について議論を積み重ねた結果、政策主体、政党本位の政治を目指すとの理念の下、政党の政治活動の経費を国民全体で負担していただくものであり、民主主義の発展に重要な意義を持つ制度であると認識をしております。
 一方で、政党の運営の当否は、最終的には選挙を通じた国民の審判に委ねるべきところであることから、政党がその運営においてどの程度政党交付金に依存するかの選択については、政党の自主性に委ねるのが適当であると思います。
 以上です。
○塩川委員 政党とはどうあるべきかというのが問われていると思います。
 政党は、憲法に保障された結社の自由、そして資金の上でも自前、自立してこそ成り立つものと言えます。自立しないで政党と言えるのか。その点でも、やはり、主権者の国民にその財政も依拠する、これが結社の自由を踏まえた政党の活動の基本だということが問われていると思います。
 そういう点でも、税金で党財政を賄うということになれば、やはり次第に国民の感覚、市民の感覚から離れていく、麻痺をして庶民の痛みが分からなくなる、こういうことも問われてくるのではないのかということを指摘をしなければなりません。
 もう一つ指摘をしなければいけないのが、四半世紀前に、リクルート疑獄などで金権腐敗政治の横行に国民的批判が高まり、企業・団体献金を禁止しようというのが国民の要求でした。
 当時、細川総理は、政党助成金の導入を求めつつ、政治腐敗事件が起きるたびに問題となる企業・団体献金については、腐敗のおそれのない中立的な公費による助成を導入することなどにより廃止の方向に踏み切ると、企業・団体献金の廃止を述べておりました。ところが、廃止するとしていた企業・団体献金はどうなったのか。
 確認しますが、政界全体の政治資金収入のうち企業・団体献金額、政治資金パーティーの収入額は、直近でそれぞれ幾らでしょうか。
○森政府参考人 お答えを申し上げます。
 令和二年分の総務大臣届出分と都道府県選挙管理委員会届出分を合計した全国分の収入額のうち、法人その他の団体からの寄附は八十億八千九百万円、政治資金パーティー収入額は百二十七億四百万円となっておるところでございます。
○塩川委員 政治資金パーティーも多くは企業、団体という実情もありますので、いわば二百億円に上るような金額が今なお行われている。このほかにも、政治団体からの寄附などもある。コロナ禍で減ったとはいっても、大変な金額であります。
 政治改革によって、政治家個人に対する企業・団体献金を禁止をしましたが、政党と、党の財布である政治資金団体が受け取るのは禁止をしませんでした。党支部は、政治家個人のいわば財布のように使われることになりました。これが今のような事態を招いております。
 大臣にお尋ねしますが、政党助成金も受け取る、企業・団体献金も受け取る、こういう二重取りが行われているような状況というのは、国民から厳しい批判が寄せられても仕方がない事態ではありませんか。これこそ改めるべきだと思いますが、いかがでしょうか。
○浜田委員長 金子総務大臣、時間が来ておりますので、手短にお願いいたします。
○金子(恭)国務大臣 先ほどから申し上げているように、政党助成制度とかあるいは政治資金の問題については、これまでも与野党、各党各会派で御議論いただいております。しっかりと、そういう意味では、今後とも御議論いただきたいというふうに思います。
○塩川委員 企業・団体献金はきっぱり禁止をする。我が党は、参議院に、政党助成法の廃止法案も提出をしております。是非とも、こういった問題を是正をする、広く各党にも呼びかけて取り組んでいきたい、このことを申し上げて、質問を終わります。

【内閣委員会】給与法改正案/公務員の給与引き下げやめよ

 国家公務員の給与2法案と国家公務員の育児休業法案について質疑と採決を行い、賛成多数で可決しました。日本共産党はボーナスを引き下げる一般職給与法案に反対、閣僚などの特別職給与を引き下げる特別職給与法と育休制度を改善する育児休業法案に賛成しました。

 私は、コロナの新たな変異種の感染拡大に加え、ロシアによるウクライナ侵略による原油高騰など厳しい経済情勢が続いていると指摘。この下での国家公務員の賃下げは、幅広い労働者の賃金に影響を与え、くらしと経済に大きな影響を与えると強調し、今やっていいのかとただしました。

 二之湯内閣府特命担当大臣は「引き下げは全体として数千億規模になる。これが消費に回らないのは大きな影響になるのではないか」と認めました。

 私は、民間準拠といって民間企業の給与が下げられたら公務員の給与も下げるのでは、経済の悪循環をもたらすと指摘。岸田政権は保育士の賃金については、国家公務員給与引き下げに準じて下がる公定価格の人件費分を穴埋めする措置を行っていることを指摘し、やればできるということだと強調し、「大きな影響を及ぼす公務員の賃下げは考えなすべきだ」と迫りました。

 二之湯大臣は、現状は厳しい経済情勢だと理解を示しながら「人事院勧告を尊重するのは政府方針だ」と答弁しました。


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「議事録」<質疑>

<第208通常国会 2022年3月9日 内閣委員会 第7号>

○塩川委員 日本共産党の塩川鉄也です。
 人事院にお尋ねをいたします。
 昨年十一月の給与関係閣僚会議で二之湯大臣は、人事院勧告は、国家公務員の給与のほか、地方公務員の給与や、病院、学校など民間被用者の給与にも事実上影響を及ぼしますと述べております。
 人勧はどれだけの人数の労働者に影響を及ぼすのか、この点について教えてください。
○川本政府特別補佐人 人事院の給与勧告は、給与法の適用を受ける一般職の国家公務員約二十八万人を対象として行っているものですが、その影響は、勧告に準拠している特別職の国家公務員のほか、地方公務員や独立行政法人などにも及ぶことから、これらを合わせると約三百七十万人に影響があるものと考えられます。
○塩川委員 二之湯大臣が、病院、学校などの給与にも事実上影響を及ぼしますと言っています。この人数というのはどんなものでしょうか。
○佐々木政府参考人 お答えいたします。
 人事院勧告の影響につきましては、先ほど総裁から御答弁申し上げたとおりでございまして、先生御指摘のとおり、給与勧告を参考に給与の改定を行っている民間というところがあるということは存じ上げておりますけれども、その具体的な数がどの程度なのかということについては承知しておりません。
 ただ、数値としてだけ申し上げれば、例えば、社会福祉関係で申し上げれば四十三万人ですとか、教育関係の幼稚園、認定こども園等で申し上げますと二十三万人ですとか、あるいは、医療、民間病院ですと百三十六万人というデータが、その分野で働いておられる方の人数という意味では、そういうデータがあるということは承知しております。
○塩川委員 これは、幼稚園以外の私立学校の人数とかも影響を受けるんじゃないですか。
○佐々木政府参考人 実際に民間事業所におきましてどのように給与を決定しているかというところまでは私どもとしては把握をしていないというところでございまして、他方、法令上、一般職国家公務員の給与に準拠ないしは一般職国家公務員の給与を考慮するとしているものということで、先ほど申し上げました三百七十万人という数字を申し上げたところでございます。
○塩川委員 法律で考慮すると書いてあるものは三百七十万は分かるんですが、それ以外に人勧を援用して給与に反映をしているといった労働者がたくさんいるというのは、今の説明だけでもプラスアルファで二百万人ぐらいの方がいらっしゃるということですし、私立学校の人も当然あるわけですし、更に言えば、公定価格の影響もあるわけですね。
 そこで、保育士や幼稚園教諭などの処遇は公定価格に基づいて算定されます。その公定価格の人件費は国家公務員の給与に準じて算定しています。人勧は保育士や幼稚園教諭の賃金にも大きな影響を及ぼすということですね。
○佐々木政府参考人 私ども、人事院勧告自身は直接は一般職の国家公務員を対象にしているということでございますので、直接の範疇としてはそこの中で、そこから事実上影響を及ぼすところがどの程度になるかというところについては、確かなところは、先ほど申し上げたような人数というところでございます。
○塩川委員 国家公務員の給与に準じて人件費を算定している公定価格ですから、その公定価格はまさに人勧を踏まえた国家公務員の給与に影響を受けているということははっきりしていますよね。
○佐々木政府参考人 お答えいたします。
 公定価格におきまして、国家公務員の給与の状況というものを踏まえておられるということは承知しておりますけれども、人事院勧告制度そのものと、それから公定価格の制度そのものはまた別の制度でございますので、そこのところについて、私どもとしては申し上げる立場にはないということでございます。
○塩川委員 人勧をベースにして広く給与に反映をするという仕組みが現在つくられているわけで、公定価格に基づき人件費が算定される労働者数は、保育士だけでも六十万人以上とも言われております。大変影響が大きい。ですから、研究者の方の試算などでも、人勧はおよそ七百七十万人の労働者の賃金にも影響を与えると言われています。
 人事院総裁にお尋ねしますが、マイナス人勧による賃下げというのは、暮らしにも経済にも大きな影響を及ぼす、慎重に判断することではないかと思うんですが、いかがでしょうか。
○川本政府特別補佐人 人事院は、国家公務員の給与について、国家公務員法の情勢適応の原則に基づいて、民間準拠により、その時々の民間賃金の情勢に合わせていくことを基本に勧告を行っております。
 公務員の給与はその時々の経済雇用情勢等を反映して、労使交渉などによって決定される民間給与に準拠することが最も合理的であり、納得を得られるものと考えております。
○塩川委員 労働者の皆さんは、やはり食べていくためのお給料ですから、生活を支えるお給料、生活給、この間、コロナ禍で民間も大きな影響を受けているわけで、それが下げられたから、では公務も下げるとなれば、これは生活給を保障するにもなり得ないものですし、経済の悪循環をもたらすことにもなるということを踏まえて、慎重に判断すべきことだということを改めて強調したいと思います。
 人勧の影響、及ぼす労働者数は多いという話をしましたけれども、保育士の話をしますと、全産業平均の労働者の月額賃金は四十・六万円ですが、保育士は三十一・二万円です。九万円の格差があります。マイナス人勧の影響で国家公務員給与が下がり、公定価格も下げられると、賃金格差が拡大することになります。
 マイナス人勧が賃金格差を拡大するような事態は避けるべきじゃないかと思うんですが、お考えをお聞かせください。
○川本政府特別補佐人 公定価格が保育士などの賃金の基礎となることは承知しておりますが、人事院の給与勧告は国家公務員の労働基本権制約の代償措置として行われるものであり、公定価格への影響については、政府において御検討されるべき事項であると理解しております。
○塩川委員 政府において検討すべき事項という立場であれば、一言、人事院として物を言う必要があるんじゃないかと思うんですよね。
 保育士の賃金が低いというのは、女性の多い職場、まさに男女の賃金格差、男女の賃金差別、これが反映されている側面もあるわけです。これをやはり引き上げようというのは、当然、政府としても方針を持っているわけで、この間のケア労働者に対しての公的価格の抜本的見直しということで、こういった公定価格の保育士や幼稚園教諭の方などに対しては、月額九千円、三%程度、これ自身も、頭割りにするともっと少なくなるという問題なんかも当然あるわけですけれども、実際に支給対象になるような方が非常に少ないというのも今明らかになってきつつありますけれども。
 賃金格差をやはり解消する必要があるのに、マイナス人勧が公定価格に反映をされて引き下げられて、かえって格差が広がるような事態になるのは、これは避けるようなことを政府として考えてくださいよというのは、人事院総裁として申し上げることはできないんでしょうか。
○佐々木政府参考人 先ほども申し上げましたとおり、人事院勧告そのものは、国家公務員の給与につきまして民間と合わせていくという考え方の下、これを実施しているものでございます。
 先生御承知のとおり、公務員給与につきましては様々な議論があるところでございますけれども、公務員給与について国民の御理解をいただく上でも、民間の賃金情勢の変化を、上がる場合も下がる場合も含めまして公務員給与に適切に反映させるということが重要であるということの考えの下に、勧告そのものは行っているというところでございます。
○塩川委員 岸田政権の公的価格の抜本的見直しでは、保育士や幼稚園教諭の賃上げを実施する際に、今回ここで議論しているボーナスの引下げ、この部分については下げずに穴埋めをするということをやっているわけなんですよ。マイナス人勧を反映した給与法によるボーナスの引下げ分については、こういった公定価格を対象とするような保育士、幼稚園教諭の方については穴埋めの措置をやって、更に九千円、三%程度の引上げと言っているんです。やればできるんじゃないかという話なんですよね。
 こういったことをしっかりやってくれと、マイナス人勧を反映した給与の引下げについては穴埋めをするということを現に政府もやっているんですから、こういう措置を今後も考えるべきだということは、人事院としても申し上げるべきことではありませんか。
○佐々木政府参考人 繰り返しになりますけれども、人事院の勧告そのものは、一般職の国家公務員全体を対象にして行っているものでございます。それについての勧告というものは、労働基本権制約の代償措置として、それはそれとして私どもとしてはやっていく必要があるというところでございます。
 その上で、公定価格の問題等につきましては、政府において御検討されるべき事項であるというふうに考えているところでございます。
○塩川委員 残念ですが、時間が参りましたので終わります。

 

<第208通常国会 2022年3月9日 内閣委員会 第7号>

○塩川委員 日本共産党の塩川鉄也です。
 給与法について質問をいたします。
 昨年十一月の給与関係閣僚会議で二之湯大臣は、人事院勧告は、国家公務員の給与のほか、地方公務員の給与や、病院、学校など民間被用者の給与にも事実上影響を及ぼします、国家公務員のボーナス引下げはコロナから回復途上にある我が国経済にマイナスの影響を与えることも念頭に置きつつ対応していくことも重要と述べています。
 そこで、二之湯大臣にお尋ねしますが、この国家公務員のボーナス引下げが我が国経済にマイナスの影響を与えるというのは、どういう影響を与えるということを認識しておられるんでしょうか。
○二之湯国務大臣 先ほども申しましたけれども、いわゆるボーナス、いわゆる期末手当の〇・一五分が、全体として数千億円の規模になるわけでございます。これが消費に回らないということが、非常に厳しい経済の下で大きな影響を与えるんじゃないかと。今回、幸いにいたしまして、政府の経済対策、あるいは公務員のこの期末手当の今年の六月での引下げということによって、そういう、経済が更に悪化するという懸念は払拭された、このように考えておるところでございます。
○塩川委員 消費に回らない大きな影響を与える、ただ、経済対策を打ったからそれでカバーをするというお話なんですが、直接国家公務員に関わるような経済対策というのは実際何があるのかという問題もあるわけですよね。
 加えて、今、ウクライナをめぐる深刻な情勢があります。エネルギー価格の高騰を始めとした国民生活へのマイナスの影響が大きく懸念をされる、こういう経済状況のときに、我が国経済にマイナスの影響を及ぼす国家公務員の賃下げ、それは広く多くの労働者にも影響を与える。これをやっていいのかということは改めて問われているんじゃないですか。
○二之湯国務大臣 国家公務員の給与は民間準拠ということであるわけでございますから、民間がよくなれば公務員の給料もよくなる、民間が非常に厳しいときには、それに準じて公務員も賃金を下げてもらうとかあるいは手当を減額する、こういうことはよく御理解をいただけるんじゃないか、このように思います。
 現下の、今、情勢が非常に厳しい中でございますけれども、お互いがそういう面で少しずつ負担を分かち合って、この厳しい時代を乗り切っていかなきゃならぬので、公務員も、そういう観点から、今回の措置をひとつ御理解をいただきたい。人事院勧告を尊重するということについては、何ら変わらないということでございますから。
○塩川委員 ですから、十一月、十二月の段階の判断というのはあるわけですけれども、今の段階での改めての判断が問われているんじゃないのか。
 当然、この先の見通しが非常に不透明な状況の中で、現に様々な物価高などの影響も出ているときに、経済にマイナスの影響を与えるこういった国家公務員の賃下げ、それは、国家公務員にとどまらず、地方公務員もあり、大臣自身がおっしゃったように、病院ですとか私立学校ですとか、そういったところにも大きな影響を及ぼす人勧、国家公務員の給与の改定。今の情勢の下で、大きな影響を及ぼすこういった賃下げをやるのかというのは、改めて考えるべきじゃないでしょうか。
○二之湯国務大臣 確かに、今委員おっしゃいましたように、内外の情勢が非常に厳しくなって諸物価が上がってくる、そういうときに期末手当を減額するのはいかがなものか。そういうのはよく私も理解できるわけでございますけれども、あくまでも、国家公務員の給与あるいは期末手当というのは人事院勧告を尊重するという、こういう政府の基本的な方針がございますから、六月にそれを減額させていただくという方針を取らせていただいたわけでございます。
○塩川委員 経済へのマイナスの影響を与えるといったことをしっかり踏まえて、この賃下げについては少なくとも行わないという決断というのはやはりあり得るというふうに思います。
 今、岸田政権におきましては、経済団体に対しても三%を超える賃上げを要請しているところであります。その一方で、公務員には賃下げを行う。賃上げを目指すという岸田政権においては、民間への賃上げを求めるとともに、公務の賃上げ、少なくとも賃下げはやめたらどうかと率直に思うところです。
 その点でいえば、人勧の影響というのはいろいろなところに及ぶということで、公定価格の話があります。
 公定価格について、例えば保育士の方などの給与というのは、国家公務員の給与に準じて人件費が出されます。当然のことながら、国家公務員の給与が引き下げられれば、公定価格の人件費部分も引き下げられてしまう。そういった悪影響というのは出てくるわけですよね。
 その際に、今回、政府の公的価格の抜本的見直しでは、保育士の方など、公定価格の方の労働者、マイナス人勧を反映をした賃下げ部分については、これは穴埋めの措置を取っているんですよ。ですから、マイナス人勧を反映しない措置を公定価格では取るということをやっているわけですから、やろうと思えばそういう施策というのは取れるんじゃないのかと思うんですが、そういうのも更に広げるといったことは考えませんか。
○二之湯国務大臣 繰り返しになりますけれども、民間との比較で国家公務員の給与を決定するということは、国家公務員の適正な処遇の確保と国民の理解を得るために妥当なものだと私どもは考えているわけでございます。人事院制度の勧告を尊重するというのは、これは我が国でもう定着したことになっておりますので、ひとつ御理解をいただきたいと思います。
 御指摘のケア労働者の処遇改善については、引き続き、公的価格評価検討委員会の中間整理も踏まえ、検討が進められていくものと承知をいたしておるところでございます。
○塩川委員 いや、ですから、公定価格については、今回の公的価格の抜本的見直しの施策の中で、マイナス人勧、国家公務員の給与の引下げ部分については穴埋めをする、その部分を積むという措置を取っているんですよ。だから、そこはやればできるんじゃないか、それを広げるということは可能じゃないですか。
○二之湯国務大臣 私の立場からいたしますと、国家公務員制度担当大臣といたしますと、今回は人事院勧告を尊重して法案を提出させていただきました。
 あとの、そういうケア労働者のことに関しましては、政府のいろいろな政策の中で考えるべきことだと思います。
○塩川委員 いや、ですから、人勧の実施と言いながらもこういった措置を取っているわけで、そこにはもちろん給与格差がある、一般の全産業平均に比べて保育士の方などの給与は低いという状況もあるということも当然あるわけですけれども、やればできる話なんですから、少なくとも賃金格差があるような職種におけるこういったマイナス人勧の押しつけはやめろということはやるべき話じゃないか、このことを申し上げます。
 それで、最後に、今年三月で定年退職した職員で引き続き四月から再任用される職員の方の六月支給の一時金からも今回の減額調整をすると聞いています。
 定年退職によって公務員の身分は消滅するのに、その職員の在職時の公務員の身分に付随する不利益措置を退職後まで引き継ぐ今回の措置は不当ではないかと考えますが、いかがですか。
○堀江政府参考人 お答えいたします。
 期末手当の支給額は、ボーナス支給の基準日より前の最大六か月間の在職期間を考慮して算出することとしております。現行制度上そうなっております。
 例えば、この六か月以内に退職して再採用された場合には、退職前の在職期間についても通算する仕組みとなっております。すなわち、一回退職するといった身分の継続性とは関係なく、六か月間の給与法適用職員としての在職期間を全体として評価、通算しておるわけでございます。
 今回の期末手当の減額調整に際しましても、このように、例えば、三月に定年退職して、その後再任用職員となる場合にも在職期間が通算されるわけでございますので、減額調整の対象としたところでございます。なお、この措置については人事院の見解も踏まえたものでございます。
○塩川委員 それは納得いくものではありません。再任用された場合に、新規採用者として扱われるわけです。例えば年次休暇などについても、新たに付与されて、定年前からの通算というのはないわけですよね。こっちの不利益の方だけを押しつける、こういったやり方というのは、これは理解は得られないと改めて強く指摘をして、質問を終わります。

 

「議事録」<反対討論>

<第208通常国会 2022年3月9日 内閣委員会 第7号>

○塩川委員 私は、日本共産党を代表して、国家公務員一般職給与法案に対し、反対の討論を行います。
 本案は、新型コロナウイルス感染拡大による経済状況が悪化する下、政府の自粛要請と不十分な補償の下、賃金が下がっている民間労働者の賃金に合わせて国家公務員の期末手当を引き下げるものです。
 人事院は、政府の責任やコロナの影響を一切考慮せず、民間準拠だけを理由に期末手当を引き下げる勧告を行いました。これは、国家公務員の労働基本権制約に対する代償措置としての役割を果たしておりません。本案は、国家公務員の生活給を保障せず、一方的に年収減を押しつけるものであり、反対です。
 また、減額調整の特例について、今年度末で定年退職する職員で引き続き四月から再任用される職員の一時金からも行おうとしています。定年退職によって公務員の身分は消滅しているにもかかわらず、在職時の公務員の身分に付随する不利益措置を退職後まで引き継ぐやり方は認められません。
 新型コロナウイルスの新たな変異種の感染拡大に加え、ロシアのウクライナ侵略に伴う経済への悪影響も懸念されます。この下での国家公務員の給与引下げは、約七百七十万人の労働者に大きな影響を与え、更に民間事業者にも波及して国民の消費を冷え込ませ、賃下げのスパイラルを一層強めるものです。岸田首相は、経済団体に三%を超える賃上げを要請しています。今求められているのは、労働者全体の賃上げです。
 岸田首相は、介護、保育、看護などケア労働者の賃上げといって公的価格の抜本的見直しを掲げていますが、公的価格の抜本見直しというのなら、最大の公的価格は国家公務員の給与であり、マイナス人勧の押しつけはやめるべきです。国民の生活と消費冷え込みに更なる追い打ちをかける給与引下げは認められません。
 特別職給与法案については、公務員の給与体系が内閣総理大臣、国務大臣、副大臣、政務官といった幹部職に厚いことから、今回の特別職の給与引下げは賛成とします。なお、特別職のうち秘書官の特別給を一般職に準じて引き下げることには反対です。
 また、国家公務員の育児休業法案については、国家公務員の育児休業を必要な時期に柔軟に取得しやすくし、非常勤職員についても休業を取得できる範囲を拡大するもので、賛成であります。
 以上、討論を終わります。

 

警察活動・警察組織改編は個人の権利と自由に影響/検討過程の資料提出を

 警察法改悪反対集会であいさつ。

 個人の権利と自由に影響を与える捜査等の警察活動・警察組織の改編は大変重いもの。警察庁に初めて捜査権限を付与するという大転換を行うのに、その理由もまともに説明しない。内部の検討過程の資料も出さないというのでは納得できません。

【「しんぶん赤旗」掲載】「一桁ちがう」賃上げ

「しんぶん赤旗」3月5日・首都圏版より

塩川鉄也 衆院議員/駆けある記

 日本共産党の国会論戦か反響を呼んでいます。医療や介護、保育、福祉分野の職員の賃金は「公的価格」と言って、国が大枠を決めます。このようなケア労働者の賃上げを掲げたのが岸田文雄首相。でも保育士は、全産業平均に比べて月額9万円も低いのに、賃上げは最大でも9千円。「一桁ちがう!」という声があがるのは当然です。

 岸田首相の「女性保育士の賃金は全産業の女性の平均並みまで引きあがる」という男女賃金格差を容認する答弁には厳しい声が。私が公立保育所の保育士が賃上げの対象外となっている実態を告発すると、「本当にその通り。現状を公にしてほしい」と激励か寄せられました。

 共産党の連続した追及を受けて、内閣府は通知を再発出し、公立施設も賃金改善の対象であり、申請期限の遅れにも柔軟に対応すると自治体に周知しました。党埼玉県委員会は、公立施設の賃上げを進めるため、保育士などの賃金改善に関するアンケート活動に取り組んでいます。

 そもそも岸田首相は、最大の「公的価格」である人事院勧告に基づく公務員賃金を引き下げようとしています。これが公立施設の賃上げを妨げています。マイナス人勧は撤回し、労働者全体の負上げを実現しましょう。

【内閣委員会】ケア労働者の賃上げ/国の責任で行え

 岸田文雄首相が看板政策として掲げるケア労働者の賃上げについて、国が責任を持って賃金格差を是正し、賃上げを進める取り組み行うことが重要だと迫りました。

 私は、保育士等処遇改善事業と放課後児童支援員処遇改善事業の申請状況について質問。

 内閣府は2月25日時点の経過的な数字として、保育所等については申請のあった市町村数は990、うち公立保育所を対象としているのは331、放課後児童クラブについては、申請のあった市町村数は778、うち公立の放課後児童クラブを対象としているのは249だと答弁。申請していない自治体数については、まだ申請を受付中だとして明らかにしませんでした。

 私は、申請しない自治体が一定数ある可能性を指摘したうえで、申請している自治体でも、公立を対象外としているところが3分の2ある。賃上げを促す取組が必要だと強調。

 野田聖子少子化担当相は「事務連絡で積極的な検討の依頼をしている。都道府県を通じて、申請していない市町村の意向を把握していきたい」と答えました。

 私は、総務省が昨年12月に出した公的部門における処遇改善についての通知は、主に会計年度任用職員に関するものだと指摘し、常勤職員への活用を促す働きかけを行えと追及。

 総務省は「地域における民間水準との均衡を踏まえ、各自治体で判断してほしい」と、やる気のない姿勢を示しました。

 私は、自治体からの財政措置を求める声に応える対策を行えと強調しました。

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「議事録」

<第208通常国会 2022年3月4日 内閣委員会 第6号>

○塩川委員 日本共産党の塩川鉄也です。
 ロシアによるウクライナの侵略は極めて重大であります。ロシア・プーチン政権によるウクライナ侵略を糾弾をし、ロシアの軍事行動の中止を強く求めるものであります。
 国連憲章では、主権の尊重、領土の保全、武力行使の禁止などを加盟国に義務づけており、ロシアの行動は国連憲章違反の侵略であります。核兵器で世界を恫喝するようなことを許してはなりません。ロシアの侵略を抑えるために、国際社会が一致して行動するときであり、経済制裁を始めとして、一番大事なのは国際世論を大きく広げていくということ、ロシア非難決議が過去最多の賛成百四十一か国で上がったということも極めて重要で、プーチンは侵略をやめよ、国連憲章を守れ、こういう一点での団結、国際社会の共同を進めていくということが求められていると思います。
 その上で、今、核共有の議論が出ておりますが、非核三原則を国是とする日本で、このような議論は容認できません。日本原水爆被害者団体協議会、日本被団協も、核共有の議論を掲げた日本維新の会の提言の撤回を求めております。核兵器の廃絶こそ日本が目指すべき道であり、その国際的な世論と運動の前進が生み出した核兵器禁止条約に日本が参加をする、この方向こそ求められているということを述べておきます。
 そこで、今日は、保育士や学童保育指導員の賃上げ政策について、野田大臣にお尋ねをいたします。
 岸田首相の下で、公定価格の抜本的見直しといって、診療報酬、介護報酬、子ども・子育て支援新制度の公定価格など、賃金の原資が公的に決められる労働者の賃上げを掲げました。国が責任を持って賃金格差を是正をし、賃上げを実現する取組を行うということが極めて重要であります。
 そこで、この取組の状況なんですけれども、月額九千円、三%の賃上げを図るという保育士・幼稚園教諭等処遇改善臨時特例事業の直近の申請状況についてであります。申請した自治体数、うち公立施設を対象に含めて申請した自治体数、そもそも申請しなかった自治体の数、これが分かるでしょうか。
○藤原政府参考人 お答え申し上げます。
 今般の処遇改善に係る交付金につきましては、御承知のとおり、第一回、一月二十八日、第二回、二月二十一日を交付の申請の期限としておりました。
 現在、二月二十五日までに保育所等について申請があった市町村数でお答え申し上げますと、九百九十市町村で申請がございました。そのうち、公立の保育所を対象に賃上げを行う予定としている市町村につきましては三百三十一市町村となってございます。
 なお、二月二十一日の交付の申請の期限は、緩やかに、少し遅れてもいいですよというふうに申し上げておりましたので、現在でも順次受け付けているところでございますので、申請をしなかった市町村数というのはちょっと現時点でお答えができないということでございますけれども、今の集まり具合を見ますと、最終的には、都道府県レベルでは全都道府県から申請をいただけるというふうな見込みは立っております。
○塩川委員 申請しない自治体数も一定数あるということなんでしょうか。
○藤原政府参考人 お答え申し上げます。
 第二回の二月二十一日の交付の申請の期限というふうなことを緩和をいたしまして、今現在もまだ受け付けておりまして、来ておりますので、四十七都道府県からの申請はそろうだろうというふうに思っております。
 ただ、そこの中身をよく見てみたときに、じゃ、各都道府県レベルで全市町村がその中に入っているかどうかということについては、現時点でその市町村数をお答えすることは難しいですが、今精査をしているところでございます。
○塩川委員 是非、申請していただきたい、賃上げの努力をお願いしたいと思っているわけですけれども、一定数の自治体で手を挙げないという話も聞いております。そして、申請した自治体数九百九十に対しても、公立公営で行うと言っているのはその三分の一の三百三十一しかないんですよ。公立の施設については申請の対象外にしているという状況があるということです。
 大臣にお尋ねしますが、これは余りにも少ないんじゃないのか、今後どうするお考えか、この点についてお答えいただけますか。
○野田国務大臣 数字の方は先ほど参考人から答弁がございました。現在、順次申請を受け付けているところです。
 申請した市町村数が少ないかどうかについては一概には言えませんけれども、今後の状況をよく見ていきたいと考えているところです。
○塩川委員 一概に申し上げにくいというふうにおっしゃいましたけれども、一つは、そもそも手を挙げていない自治体があるんじゃないかというところは、ちょっと数が分からないので、今の段階では、そういうのが少なくなることを求めていきたいと思うんですけれども、申請した自治体のうちで、民間の方はやるんだけれども公立についてはやりませんというのが三分の二もあるんですよ。それは余りにも少ないんじゃないかと思うんですが、そこの点についてはどうですか。
○藤原政府参考人 お答え申し上げます。
 申請があった、保育所、九百九十自治体のうち、公立保育所を挙げておられる市町村でいえば確かに三百三十一という状況でございます。
 公立保育所につきましては、給与俸給表ですとか、条例若しくは規則、様々な条件がございますし、一概に自治体の地方公務員の方の給与についてどうすべきというふうなことを我々の方から申し上げることは難しいですけれども、地方公務員の保育所についても積極的に検討いただきたいということは総務省と連携をしながらお知らせをしております。
 そういったことから、具体的に、先行して公務員について賃金を上げようとしておられる具体的な例も少しずつ分かってまいりましたので、そういった具体例を示しながら積極的な検討をお願いをするというふうなことを現在続けております。ただ、一義的には、最終的には、各自治体の御判断で、自治体自治体の給与の実態なども踏まえながら適切に御判断をいただくべきものというふうに考えてございます。
○塩川委員 是非、前に動くように取り組んでいただきたいと思っているんですが、今後の対策ということで、大臣、お考えになっていることがあれば是非お示しいただけませんか。
○野田国務大臣 今、参考人から対策を含めて話があったんですけれども、なお、公立施設の職員の賃金改善については、先ほど申し上げたとおり、内閣府としては具体的例を示しつつ積極的な検討を依頼するなど取組を行っているんですが、重ね重ねになりますが、第一義的には、各自治体において今回の処遇改善の趣旨をしっかり理解していただいた上で適切に御判断いただく、そういうふうに考えているところです。
○塩川委員 実態は思ったよりも少ないという状況で、是非ともこれを促す取組が重要だと思います。
 もう一つ、放課後児童支援員処遇改善臨時特例事業の直近の申請状況について、申請した自治体数、うち公立施設を対象に含めて申請した自治体数、そして申請しなかった自治体の数、分かるでしょうか。
○藤原政府参考人 放課後児童クラブにつきましては、申請があった市町村数は七百七十八市町村、これは同じく二月二十五日現在でございます。そのうち、公立の放課後児童クラブを対象に賃上げを行う予定としている市町村数は二百四十九ございます。
 なお、最終的に申請をしなかった市町村数は、先ほどと同じ状況ですので、まだ今も、現在受付中でございますので、申請しなかった市町村数ということをお答えすることは現時点では困難でございます。
○塩川委員 放課後児童支援員、学童クラブの指導員の方というのは、本当に子供に接した、専門職としてのお仕事を務めておられる方です。しかし、実態はワーキングプアと言われるような深刻な処遇の状況ということ、ここを大きく改善をするということこそ必要だと思うんです。
 この取組というのは非常にまだまだ不十分ではないかなと思うんですが、その点についての評価と、どうするのかということについて、大臣から答弁を求めたいと思います。
○野田国務大臣 放課後児童クラブの支援員の方、本当によくやっていただいて感謝をしております。
 この処遇改善については、先ほど申し上げた保育士等の処遇改善と同様に、まず、昨年十二月の都道府県等説明会の実施、そして概算による申請も可能であることの周知、さらに、事務連絡による公立施設の取組の具体例を示した上での積極的な検討の依頼など、取組をずっと行ってきたところであり、引き続き周知徹底に努めてまいります。
 今後の取組、さらに、その上で、内閣府においては都道府県を通じて補助金の交付申請の状況や申請をしていない市町村の意向把握をしっかりしてまいりたいと考えています。
 これは繰り返しですけれども、公立施設の職員の賃金改善については、第一義的には、各自治体において今回の処遇改善の趣旨を理解していただいた上で適切に御判断いただくものと考えています。
○塩川委員 総務省にお尋ねします。
 昨年十二月に総務省が発出をした、公的部門、保育等における処遇改善事業の実施状況についてというのが、これは一見すると会計年度任用職員に関する通知に見えるわけですね。やはり常勤職員、しっかりとこういった賃上げの対象なんだということをはっきりさせているわけですから、常勤職員への活用を促すような働きかけをしっかり行う必要があるんじゃないかと思うんですが、その点について総務省から御答弁を求めたいと思います。
○山越政府参考人 お答えいたします。
 内閣府における今般の処遇改善事業では、地方公務員の常勤、非常勤職員共に事業の対象となっていることを承知しておりまして、このことを踏まえて、総務省から昨年十二月二十四日付で発出した通知では、会計年度任用職員である保育士に限らず、常勤の保育士も含めた取扱いについて記載しているものでございます。
○塩川委員 その辺で常勤職員をしっかりと賃上げにつなげていく、こういった立場で、総務省として、その趣旨が伝わるような新たな通知を出すとか、一工夫するということは是非行っていただきたいと思うんですが。
○山越政府参考人 お答えいたします。
 先ほど申し上げましたとおり、昨年十二月二十四日付で発出した通知の対象は、会計年度任用職員のみならず、常勤の保育士も含めたものでございます。
 その上で補足をいたしますと、会計年度任用職員につきましては、職務経験や保育業務の専門性が考慮されておらず、給与水準が低い場合があるなど、多くの地方公共団体におきまして本事業を活用しての処遇改善について検討いただくべく余地があることが想定される一方で、地方公務員法上の常勤の保育士につきましては、一般行政職と同様の給与体系である地方公共団体が多く、全国平均で見ますと、民間保育士と比べると給与水準が高くなっている状況にございます。
 総務省としては、こうした全体的な状況認識の下、この通知による助言を発出したところでございます。
 いずれにしましても、地方公務員に係る本事業の活用につきましては、地域の実情に応じまして、各地方公共団体において、地方公務員法に基づき、各地域における民間等との給与水準の均衡も踏まえ、適切に御判断いただきたいと考えております。
○塩川委員 全国平均で見ると給与水準が高くなっているというのは、ちょっと私は受け止め難いんですけれども、実際、施設の調査で行ったときでも、民間と公務の保育士の賃金の差というのはほとんどないんですよ。そういう点では、一般の全産業に比べても極めて低いというのが保育士の置かれている状況ですから、そういった改善こそ必要だと思います。
 最後に、大臣にお尋ねします。
 今回の処遇改善の臨時特例事業というのは、申請期限が二月からの賃上げ実施を前提にしたものとなっています。ですから、この現状のままで推移すると結局やらないままで終わるようなところが多くなりはしないのかという懸念があるので、是非、これで打切りにしないで、これからでも賃上げに参加できるようなスキームを具体化をする必要があるんじゃないのか。この点について是非対応を求めたい。
○野田国務大臣 今回の処遇改善の交付金については、令和四年度に市町村から国に対して、令和三年度分も含めて交付申請を行うことも可能としています。
 一方、今回の令和三年度の補正予算による処遇改善は、昨年十一月の経済対策において、民間部門における春闘に向けた賃上げの議論に先んじて、本年二月から前倒しで実施することとしたものであることから、市町村が国に対していつ交付申請を行うかにかかわらず、私立の施設は二月分からの賃金改善を年度内に実際に行っていただくこと、公立施設は二月分からの賃金改善を行う条例案等を年度内に議会へ提出していることという補助要件としています。
 内閣府ではこれまでも、二月十七日に市町村に対して事務連絡を発出して、市町村からの国への交付申請については、管内の施設における処遇改善の実施見込みを基に概算による申請を行うことも可能としていることや、第二回申請期限である二月二十一日までの申請が難しい場合には個別に御相談いただきたいことも周知するとともに、補助金を活用して公立施設の処遇改善に取り組む市町村の具体例を示したところであり、引き続き、交付金の申請状況等を見つつ、積極的な検討を行うよう働きかけてまいります。
○塩川委員 公的価格の抜本的見直しと強調している国、公的に賃金が決まるこういったケア労働者の皆さんの賃上げを大きく図るというところで踏み出すということは極めて重要であるわけで、自治体からの財政負担を求める声もあるといったときに、それにしっかりと応える、対応策の検討も行うということを強く求めて、質問を終わります。

 

【議院運営委員会】人事官の所信質疑/国家公務員の賃下げ/賃上げに逆行

 政府が提示した国会同意人事案のうち、伊藤かつら人事官候補から所信を聴取しました。

 私は、岸田文雄首相がケア労働者の賃上げを掲げながら、保育士や幼稚園教諭などの賃下げにつながるマイナス人勧による国家公務員の賃下げを行うことは「矛盾しないか」と質問。

 伊藤氏は「経済全体への影響も考慮の一つとして入れる必要がある」と答えました。

 私は、政権中枢で民間企業からの出向者が、国の重点政策を企画立案する例が増えていると指摘。国家公務員の非常勤職員は兼業が可能で、出身企業から給与補てんを受けられることについて、公務の公正性に疑念が生じないかと質問しました。

 伊藤氏は「官民癒着の疑念を抱かれることの無いようにする必要がある」としつつ、「勤務の対価として給与を受け取ることがあり得る」と答え、容認する姿勢を示しました。

 さらに私は、デジタル庁について、職員600人のうち200人が民間企業に在職したまま非常勤で勤務していると指摘。委託事業の一社入札や相次ぐ随意契約など、不透明な契約が問題となっている時に、官民癒着が問われると質問。

 伊藤氏は、「それぞれ担当の府省がルールを設定している」などと述べました。


「議事録」

<第208通常国会 2022年3月3日 議院運営委員会 第12号>

○塩川委員 日本共産党の塩川鉄也です。
 伊藤かつら参考人、今日はありがとうございます。
 最初に、人事官の仕事に求められるものということでお尋ねします。
 公務員は、憲法で全体の奉仕者と定められ、職務の遂行に当たっては中立公正性が強く求められます。このため、国家公務員法に基づき、人事行政に関する公正の確保及び国家公務員の利益の保護等に関する事務をつかさどる中立第三者機関として設けられたのが人事院であります。最も重要なのは、公務員の労働基本権制約の代償機能としての役割です。
 人事官は、こうした人事院の役割を自覚して、政府から独立して、中立の立場で職務を遂行することが求められているのではないでしょうか。
○伊藤参考人 公務の民主的、能率的な運営を保障することを目的とした国家公務員法において、おっしゃるように、人事院は、中央人事機関として、国民全体の奉仕者として、公務員の人事制度運用の公平性の確保、労働基本権が制約されている職員の利益保護という、憲法に由来する重要な役割を持っているというふうに認識しております。
 公務員の人事行政の中立公正性の確保として、内閣の所轄の下に独立性の高い中立的第三者機関としての人事院が設置されており、任免の基準の設定、採用試験、研修などを実施しながら、公務員が不偏不党、中立公正の立場で能率的に公務を遂行していくことを可能にしていくものというふうに承知しております。
 私も人事官としてこの責任を負うものということを理解しております。
○塩川委員 先ほどの質疑で、公務と民間の仕事の違いのお話がありました。民間は、リターンを求める、利益、利を求める、公務は、民主主義に基づき、全体の奉仕者として中立公正が求められると述べられました。
 そこで、お尋ねします。
 二〇〇〇年以降、官邸機能強化の下で、政権中枢の内閣官房や内閣府において、民間企業から出向してきた人が非常勤の国家公務員として勤務し、重点政策の企画立案を行っている事例が増加をしています。民間企業出身者の方が、非常勤ということで、その身分のまま公務で仕事をする。
 人事院が所管する官民人事交流法では、出身元企業の業務に従事することや給与補填を禁止するなど、公務の公正性を確保するための規制を定めています。一方、非常勤職員は、兼業が可能だということを理由に、出身企業からの給与補填を容認しています。
 公務で得た給与よりも、出向元企業から得る給与の方が多い場合もあり得ます。これでは、誰のために仕事をしているのか、公務の公正性に疑念が生じることになりはしないのか、この点についてのお考えをお聞かせください。
○伊藤参考人 非常勤職員に民間企業出身者を採用する場合には、公務の公正性を確保し、官民癒着等の疑念を抱かれることのないようにする必要がございます。非常勤職員についても、国家公務員としての各種服務規律が課されております。各府省において、服務規律を遵守させるとともに、職員の配置や従事する業務等に十分配慮するなど、適切な運用を図るよう、人事院としても引き続き制度を周知徹底していくことが必要であると考えます。
 また、非常勤職員についても公務の公正性を確保する必要がございますけれども、兼業として民間企業の業務に従事した場合、その勤務の対価として給与を受け取ることがあり得るのではないかということを考えます。非常勤職員については、勤務時間等において常勤職員との性格に違いがあることから、兼業等の取扱いについても違いが生じているのではないかなというふうに思いますが、いずれにしても、公平性それから透明性ということが重要であるということを承知しております。
○塩川委員 官民人事交流法でいろいろ規制があるのに、非常勤というだけでそれが適用されない、そこは問題はありはしないのか。
○伊藤参考人 そこは様々な御意見があろうかというふうに理解しております。また、同時に、例えばデジタル人材のように、ある特別な技能を持った方たちの力が公務として必要だ、これも事実でございます。ですので、様々な意見を伺いながら、先任の二人の人事官とも御相談しながら検討してまいりたいと思います。
○塩川委員 その点で、新たに六百人で発足したデジタル庁は、民間企業在籍者がその身分のまま非常勤職員として二百人勤務をしております。デジタル関連の委託事業でも、一者応札、随意契約ばかりとなっているなど、不透明な契約が問題となっているときに、デジタル事業の企画立案、総合調整を担うこういったデジタル庁、民間企業在籍者が多数勤務しているのでは、官民癒着が問われることになりはしないでしょうか。
○伊藤参考人 官民癒着はあってはならないことですので、そのような非常勤の国家公務員の採用に当たっては、それぞれの担当の府省がきちっとしたルールを設定しているというふうに理解しておりますし、人事院としても、そのルールが徹底されているのかどうか、常に気にしていく必要があるというふうに考えます。
○塩川委員 最後に、岸田総理は、経団連始め経済団体に、三%を超える賃上げを要請しています。その一方で、公務員については、マイナス人勧を踏まえた賃下げを行おうとしております。
 民間に賃上げを求めながら、参考人もおっしゃったように、コロナ禍で果たすべき役割は一層増していると述べている公務の賃金を引き下げるというのは大きな矛盾ではないかと考えますが、いかがでしょうか。
○伊藤参考人 公務員の給与基準というのは、その年々の情勢に合わせてきちっと調整されるべきであると考えます。
 今回の賃下げというのは昨年の人事院勧告に基づいたもので、六月のボーナスで、承認されれば適用されるというふうに伺っておりますが、また次の人事院勧告には、当然、その時々の情勢というのを反映することが重要であろうと考えます。
○塩川委員 終わります。ありがとうございました。

<自由質疑>

○塩川委員 日本共産党の塩川鉄也です。
 岸田総理は、公的価格の抜本的見直しとして、診療報酬、介護報酬、子ども・子育て支援新制度の公定価格など、賃金の原資が公的に決められるケア労働者の賃上げを掲げております。
 そのうち保育士や幼稚園教諭などの処遇は、公定価格に基づいて算定をされます。その公定価格の人件費は、国家公務員の給与に準じて算定をします。全産業平均の労働者の月額賃金は四十・六万円に対して、保育士は三十一・二万円、九万円の格差があります。マイナス人勧の影響で、国家公務員給与が下がり、公定価格も下げられると、賃金格差が拡大することになります。
 こういった矛盾は解消される必要があるのではないか。お考えをお聞かせください。
○伊藤参考人 国家公務員給与の水準というのは、人事院の毎年の勧告の中で御提案しております。そして、それはその時々の情勢をきちっと反映することが必要でございますし、その中で、今御意見がございましたように、経済全体への影響ということも考慮の一つとして入れる必要があるというふうに考えております。そして、ネットニュースなんかで拝見しますと、公務員給料は高過ぎるという御意見もあれば安過ぎるという御意見もあるようでございますので、それは真摯に勉強しながら、いい勧告ができるように努めてまいります。

【内閣委員会】戦後初めて警察庁に捜査権/警察庁直轄のサイバー隊創設

 戦後初めて警察庁に捜査権を与え、直属のサイバー特別捜査隊の創設を盛り込んだ警察法改正案について、警察庁の権限拡大は慎重に行う必要があり、その検討過程も不透明だと批判しました。

 私は、警察庁の部局改編が他の府省庁と異なり法律で定められているのは、警察の捜査が個人の権利と自由に多大な影響を与え、国会の関与と民主的統制のもとに置かれる必要があるためだと指摘。

 それなのに、今回のサイバー特捜隊創設の構想は昨年6月に小此木八郎前国家公安委員長から突如、記者会見で表明されたもので、政府の検討過程が一切不明だと批判。

 警察庁は昨年より前には検討していなかったことを認め、さらに、その後の検討過程すらも提出を拒否しました。私は、一向に明らかにしないのは許されないと厳しく批判しました。

 私は、構想が示される直前、骨太方針に経済安保が据えられ「インテリジェンス能力の強化」が盛り込まれたと指摘し、今回の法改正が経済安保のための体制強化ではないかと質問。

 警察庁は「経済安保『法案』と連動していない」と正面から答えませんでした。

 私は、経済安保に絡んだ警察捜査で深刻な人権侵害の事例が発生しており、その反省もなく、国民のプライバシー権、思想信条の自由が侵されかねないと批判し、戦前の人権侵害の反省から警察庁は捜査権を持たないという原則の転換は重大だと強調しました。

 衆院内閣委員会は同法案を採決し、共産党とれいわ新選組は反対しましたが、賛成多数で可決されました。


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「議事録」<質疑>

<第208通常国会 2022年3月2日 内閣委員会 第5号>

○塩川委員 日本共産党の塩川鉄也です。
 警察法改正案について質問いたします。
 二之湯委員長にお尋ねをいたします。
 霞が関、国の府省庁におきましては、部や局の改編は法定事項ではなく政令事項となっております。しかしながら、警察庁については法律で定めることが維持されておりますが、それはなぜでしょうか。
○二之湯国務大臣 お答えいたします。
 府省の内部部局の設置などについては、かつて各府省設置法等において定めていましたが、国の行政機関の組織編成の弾力化を図る観点から、昭和五十八年に、政令で規定することとされております。
 そうした中で、警察庁については、国家公安委員会の下に置かれる特別の機関であり、第一線において警察活動を行う都道府県警察の指揮監督を行う組織であるということを踏まえ、その内部部局である局や部の設置などについて国会の判断に委ねることが適当であると判断されたものと認識をしております。
 捜査などの警察活動は、個人の権利と自由に関わり、影響を与えるものであることから、このような警察活動を行う都道府県警察の指揮監督などを行う警察庁の局や部については、民主的統制の下で、国会の判断により法律で規定することとなっているものと承知しております。
○塩川委員 今お答えいただきましたように、個人の権利と自由に影響を与える、捜査等の警察活動に係る警察組織の改編は大変重いものであり、国会の関与、民主的統制の下で慎重な対応が求められるものであります。
 続けてお尋ねしますが、今回の法改正は、重大サイバー事案に対処するための警察の活動に関する規定の整備を行うものですが、その検討過程が全く分かりません。
 昨年六月、小此木国家公安委員長が、サイバー局の設置と、その下に捜査権を持つサイバー隊の設置を公表しました。
 政府内では、事前にどのような検討を行ったんでしょうか。
○二之湯国務大臣 サイバー空間における脅威に対処するための組織改正の必要性については、以前から警察庁において議論があったものと私は聞いております。
 その後、令和二年秋以降のデジタル庁創設に向けた動きなどを踏まえて、令和三年からは令和四年度の組織改正に向けて更に具体的な検討を行い、昨年六月の公表に至ったものと聞いております。
○塩川委員 令和三年から検討を行ったと言うんですけれども、その検討過程というのは、今までお出しいただいていないんですが。
○小島政府参考人 お答えいたします。
 具体的には、サイバー空間における脅威に対処する業務を所掌する部局や執行事務を行う部隊を設置する必要性、警察庁の警察官の職権の在り方、執行事務を行う部隊を設置する機関や場所、都道府県警察との関係等につきまして、警察庁内の関係各課が様々な観点から意見を出し合い、活発な議論が行われたというものでございます。
○塩川委員 ですから、その警察庁内の検討過程についての文書を出してくれと頼んだんですよ。出てきていないじゃないですか。
○小島政府参考人 お答えいたします。
 昨年六月に組織改編の概要を公表いたしましてから、るる御説明を申し上げているところでございます。
○塩川委員 いや、だから、昨年六月の小此木国家公安委員長の発表の前でどんな検討を行ったのかと。検討していたと言っているんですから、前でどういう検討を行ったのかというのを明らかにするのは当然じゃないですか。
○小島政府参考人 重ねて同じ答弁で恐縮でございますけれども、先ほど申し上げましたように、サイバー空間における脅威に関する情勢であるとか、あるいは警察庁の警察官の職権の在り方であるとか等々につきまして議論を交わしてきたものというものでございます。
○塩川委員 国会でやはり審議をするそういった法案の中身について、どういう検討を行ったのかという、その検討過程そのものも極めて重要なわけですよ。それについて出さないままで、これでお願いしますというわけにはいかないと言わざるを得ません。
 例えば、昨年三月に公表された警察庁の有識者会議、サイバーセキュリティ政策会議の報告書、去年の三月ですよ、警察庁内に置かれている有識者会議、政策会議においても全く触れられていないんですよ。
 あるいは、政府の司令塔となっているサイバーセキュリティー戦略二〇二一、この検討過程においても、昨年五月に戦略の骨子というのが大きく出ていました。その戦略の骨子、六月の直前ですよ、このサイバーセキュリティー戦略二〇二一の戦略の骨子にも一言も触れられていないんですよ。
 政府内で検討した形跡がないんじゃないですか。
○小島政府参考人 お答えいたします。
 検討の過程につきましては、行政文書の保存ルールに従って、適切に文書として保管をしてございます。
○塩川委員 保管じゃなくて、私は出してくれと言ったのに、一向に出さなかったじゃないですか。それでここに至っているわけですよ。こんな格好で、経緯も分からないまま、曖昧なまま、まともな議論ができないのは許されないと言わざるを得ません。
 私が指摘したいのは、小此木国家公安委員長の公表の直前にあったのは何かというと、自民党による政府骨太方針に向けた経済安保に関する提言であります。新国際秩序創造戦略本部、中間取りまとめであります。そこでは、経済安保体制の抜本的強化として、「関係府省庁において、専従の新規ポストの設置や抜本的な人員増強を含む更なる体制整備・予算措置が急務」とあります。これを受けて、骨太に経済安保が据えられ、インテリジェンス能力強化が掲げられました。
 今回の法改正は、このような経済安保を推進するための体制強化の一つということではありませんか。
○小島政府参考人 お答えいたします。
 サイバー事案に対処するための検討でございます。
○塩川委員 経済安保と関係、関与するのかしないのか。
○小島政府参考人 お答えいたします。
 今回の警察法改正につきましては、経済安全保障推進法案と制度的に連動するものではございません。
 サイバー警察とサイバー特別捜査隊が創設されることに伴い、重要インフラ等におけるサイバーセキュリティーに関する取組がより一層効果的になるように行うというものでございます。
○塩川委員 整合的に連動するものじゃない。セットのものじゃないということだと思いますけれども、でも、関与、関連は当然するわけですよね。
○小島政府参考人 警察におきましては、先端技術を有する企業や重要インフラ事業者に対するサイバー事案につきまして、犯罪の捜査や手口の分析を進めているというところでございます。
 その上で、こうした産業におけるサイバーセキュリティーの強化に資するため、捜査等で判明した事項につきまして、NISCを始めとする関係省庁とも可能な範囲で共有するなどの取組を進めているところであります。
 今回の警察法改正につきましては、先ほど申し上げたとおり、経済安全保障推進法案と制度的に連動するものではございませんが、サイバー警察局とサイバー特別捜査隊が創設されることに伴い、重要インフラ等におけるサイバーセキュリティーに関する取組をより一層効果的にするよう、改正をお願いしているものでございます。
○塩川委員 ですから、重要インフラ、基幹インフラの関係では、サイバーの方がしっかりやりますよという話ということであります。
 その点で、遡って、この自民党の新国際秩序創造戦略本部の経済安全保障戦略策定に向けた提言では、「政府において機微な技術を保有する民間企業や大学等との連携を強化する枠組みを構築し、民間企業における経済インテリジェンスの機能強化を図るべきである。更に、こうしたわが国自身による情報機能強化に加え、ファイブアイズへの参画を含む国際連携の深化やそのための体制を強化すべきである。」と述べています。
 こういったことを念頭にお尋ねしますが、小林経済安保担当大臣は、経済安全保障に関する機密情報の取扱資格者を政府が認定をする適性評価制度、セキュリティークリアランスについて、今後検討していくべき課題と述べておりますが、このようなセキュリティークリアランスに関与する組織につながりはしないのか。この点はどうでしょうか。
○小島政府参考人 お答えいたします。
 先ほども御答弁申し上げましたとおり、今回の警察法改正につきましては、経済安全保障推進法案と制度的に連動するものではございません。
○塩川委員 整合的に連動するものではない。関与、関連はするという話に取れます。
 時事などによると、政府は、適性評価制度、セキュリティークリアランスについて、この秋に法制化をする検討に入ったと報じております。
 民間人に対する適性評価制度は、ファイブアイズと呼ばれる枠組みで機密情報を共有している五か国などが導入をしております。適性評価は、家族や交友関係、資産、飲酒歴なども審査対象となるとされております。特定秘密保護法の拡大ではないかと個人情報保護に対する懸念の声も上がっております。
 今回の法案がこのような問題点とどのような関連があるのか。整合的に連動していないというだけでは、それでは説明を尽くしたことにはなりません。明確に答えず、冒頭申し上げましたように、検討過程が全く不透明であります。国会にまともに説明をしないままでは、民主的統制が利かない。この点でも極めて重大だと言わざるを得ません。
 そこで、二之湯国家公安委員長、お尋ねしますが、戦後の警察組織においては、犯罪の捜査等の警察活動は都道府県警察の任務とし、警察庁は警察運営、犯罪鑑識、犯罪統計などの所掌事務について都道府県警察を指揮監督する仕組みとなっている、このような認識でよろしいでしょうか。
○二之湯国務大臣 現在の警察法では、都道府県警察がその管轄の区域につき警察の責務を有しており、犯罪の捜査などの活動を行っております。その上で、警察法に規定する警察庁の所掌事務について警察庁長官が都道府県警察を指揮監督することとされております。
○塩川委員 戦後の出発点はこういう仕組みで、その後の警察法改正においても、警察庁について、個々の事件の個々の捜査の指揮は行っていない、一九五四年の改正ですとか、一九九六年の改正におきましても、具体的な捜査活動における個々の方針や方法の指揮を行うものではないと、警察庁が捜査権を持たないことを繰り返し答弁をしてまいりました。
 今回の法案はこの根本の原則を大きく覆す、転換をするものとなる、こういうことでよろしいでしょうか。
○二之湯国務大臣 今回の警察法改正案につきましては、最近におけるサイバーセキュリティーの脅威の深刻化に鑑み、重大サイバー事案について国の組織が直接捜査を行うことができるようになるわけでございます。今回の改正により警察庁が直接捜査を行うこととなりますが、これは重大サイバー事案に限ってという意味で、極めて例外的なものであり、都道府県警察がそれぞれの管轄区域について警察の責務を有することは何ら変更はなく、今後も犯罪の捜査などの活動は原則として都道府県警察が行い、警察庁長官が指揮監督することとなります。
○塩川委員 極めて例外的とは言いますけれども、基本の原則を転換するものとなるという点で、やはり戦後の警察組織においては、戦後のスタートにおきます、当時の片山総理が述べているように、警察力が国家の政治問題と絡んで、一部のために利用せられるという弊害を根本的に除去する、この立場から、警察庁、国の警察組織においては捜査権は持たない、これを基本としてきたわけであります。警察組織の民主的運営の基礎としてきた原則の転換は極めて重大だと言わなければなりません。
 現在も、警察の職権濫用による人権侵害が後を絶たない状況があります。この間報道されてきました経済安保に関わる冤罪事件があります。
 警視庁の公安部は、噴霧乾燥機、スプレードライヤーを中国にある企業に不正に輸出したとして、大川原化工機の社長ら三名を逮捕、無実の人を十一か月間も長期勾留しました。お一人の方はこの長期勾留中に体調が悪化をして亡くなられました。一度は起訴されたものの、輸出が規制されている製品に当たることを立証できず、公判期日の直前で異例の起訴取消しとなりました。
 立件ありきで証拠も不十分なまま逮捕、勾留した大川原化工機事件に対する反省、謝罪がありますか。
○二之湯国務大臣 お尋ねの件につきましては、警視庁が外国為替及び外国貿易法違反に当たるとして捜査を行い、東京地方検察庁が起訴した会社とその社長らを被告人とする不正輸出事件と聞いております。
 この事件については、昨年七月に東京地検、検察庁が公訴を取り消しており、その後、九月には、東京都と国に対する国家賠償請求訴訟が提起されております。
 現在、訴訟係属中でございますから、事件捜査の適否についてはコメントすることは差し控えさせていただきますが、警察において法と証拠に基づく適正な捜査が行われるよう、引き続き指導してまいりたいと考えております。
○塩川委員 国賠訴訟がされているというのは、検察や警察がわびていない、それはおかしいじゃないか、これが出発点なんですよ。本来、反省、謝罪があってしかるべきじゃないですか。そこのところを、是非、国家公安委員長としてお答えいただけませんか。
○二之湯国務大臣 繰り返しになりますけれども、現在、訴訟係属中でございますから、私としてコメントを差し控えさせていただきたいと思います。
○塩川委員 昨年の十二月に、東京地裁は、刑事補償計千百三十万円を支払うことを決定しました。刑事補償というのは、身体拘束された人が無罪となったときの補償制度であります。つまり、この事件は無罪ということが、地裁として明らかにし、刑事補償を行った。
 裁判長は、関係記録によれば、仮に起訴内容について審理が続いた場合に、無罪判決を受けるべきと認められる十分な理由があると述べたということです。これは、そのとおりですね。
○櫻澤政府参考人 答弁いたします。
 裁判で裁判長から発言があったこと等について、行政部署からコメントすることについては差し控えたいと考えております。
○塩川委員 当事者の皆さんが無罪だということも明らかにされております。無罪なんですよ。だとしたら、この不当な捜査、冤罪事件について反省、謝罪があってしかるべきじゃないですか。そういったことについて、国家公安委員長としてしかるべき対応、対策を取るべきじゃないですか。
○二之湯国務大臣 度々繰り返しになりますけれども、現在まだ係属中でございますから、この事件捜査の適否について私の感想を述べることは差し控えさせていただきたいと思います。
○塩川委員 警察組織を監督する立場の国家公安委員会の国家公安委員長なんですから、まさにそれが機能していないということを逆に示すようなことでいいのかと言わざるを得ません。
 こういったことについて真摯な反省、謝罪もなしに新たな体制強化を図るというのは、これは理解が得られないということも言わざるを得ません。そうじゃないですか。だって、まともな反省、謝罪がないんですよ、無罪だとされているのに。こういった問題についてしっかりとした対処があってこそ、その先に行くという話じゃないでしょうか。
 こういった問題について国家公安委員長がしかるべき対応をするということの表明もないままで、こういった、検討過程も曖昧なまま、資料も出さないといったことで、国会の民主的統制が必要だという、こういう警察法の組織改編の議論において、まともな前提を欠いているということを言わざるを得ません。
 人権侵害、プライバシー侵害に反省がない、こういった警察組織の権限拡大、体制の増強を図ることは認められないということを申し上げて、質問を終わります。

 

「議事録」<反対討論>

<第208通常国会 2022年3月2日 内閣委員会 第5号>

○塩川委員 私は、日本共産党を代表して、警察法改正案に反対の討論を行います。
 本案は、戦後初めて国の機関である警察庁に捜査権限を付与、警察庁直轄のサイバー特別捜査隊を設置するものです。
 個人の権利と自由に影響を与える、捜査等の警察活動、警察組織の改編は大変重いものであり、国会の関与、民主的統制の下で慎重であるべきです。
 サイバー特別捜査隊の設置は、昨年六月二十四日の小此木国家公安委員会委員長の記者会見で突如示されたものです。それ以前には、サイバー特別捜査隊が必要だとする警察庁の文書は示されておりません。今日の質疑でも、政府内での検討過程は明らかにされませんでした。
 警察庁に捜査権限を付与し、権限を拡大するという大転換を図るにもかかわらず、組織の在り方に関する議論の内容を曖昧にしたままでは、本案に同意することはできません。
 本案の重大サイバー事案の定義には具体的な線引きがなく、恣意的に警察庁が権限行使する可能性があります。今日の質疑でも指摘したように、強大な権限を持ったサイバー特別捜査隊が経済安全保障の分野に関わるようになることは明白です。経済安全保障の名の下で、不正輸出を捏造し、三人を逮捕した大川原化工機事件のように、警察による人権侵害が起きています。その反省もないままに、このような部隊をつくることは、国民への監視、プライバシー、思想信条の自由の侵害への懸念が拭えません。
 日本の警察は、都道府県警察が捜査を行い、警察庁は指揮監督のみとしています。これは、戦前の警察が、政府の意向により、国民の人権や自由を侵害してきた反省を踏まえたものです。警察力が国家の政治問題と絡んで、一部のために利用せられるという弊害を根本的に除去することが、警察改革の基本です。
 以上、反対討論を終わります。

【議院運営委員会】発熱外来不足が深刻/支援求める

 まん延防止等重点措置の期間延長にあたって、政府から報告を受け、質疑を行いました。

 私は、無料PCR検査で陽性が出ても保健所への電話がつながらず感染者と認定されていないケースや、大阪で新規感染者の登録に大幅な遅れが生じている実態をあげて、感染実態が正確に把握できていないのではないかと質問。

 山際大志郎経済再生担当相は「百点満点だとは思っていない。穴があるものと反省し、なくさないといけない」と答弁しました。

 私は、首都圏の医療機関で発熱外来に平日80人、休日明けは百数十人の患者が殺到するなど、診察を断らざるを得ない事態だと述べ、発熱外来が足りていないと指摘。政府は増やすとしているが、いくつ増やすのかと迫りました。

 「できるだけ増やすとしかいいようがない。発熱外来を増やしても、集中しているところが分散するわけではない」とする山際担当相。

 私は、患者を分散するために、増やすことが重要だと批判しました。

 そのうえで、一昨年秋に開始した発熱外来診療体制確保補助金で3万1千カ所から、診療報酬の特例加算に切り替え後の1年で4千カ所しか増えていない。発熱外来補助金を復活して、地域の医療機関の参加を増やせるように支援するべきだと要求。

 山際担当相は「今の体制で増やせるものを増やしていく」としか述べませんでした。

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「議事録」

<第208通常国会 2022年2月18日 議院運営委員会 第9号>

○塩川委員 日本共産党の塩川鉄也です。
 療養者数、重症者数、また死亡者数が増加をし、特に死亡者数は最悪を更新している深刻な事態であります。
 感染拡大の速度は鈍化が見られるということですが、新規感染者数の把握が実際どうなのか。
 埼玉県内のある男性は、無料のPCRセンターに行き、陽性の結果が出たので、保健所に電話をかけたがつながらない、結局、八十回以上かけたけれども保健所と連絡が取れなかったと言います。そのため、感染者と認定されていない。大阪の事例のように、HER―SYSに新規感染者数が入力できず、大幅な遅れが生じて深刻な事態となっていると言います。
 このように、感染実態が正確に把握できない実態があるのではないでしょうか。
○山際国務大臣 これは先ほども御答弁申し上げましたように、我々としては、百点満点だというふうには思っておりません。ですから、当然、今、塩川先生が具体的な事例を御披瀝いただきました、そのように穴があるものだということは、我々としては、反省もしておりますし、それをなくしていかなくてはいけないという思いでございます。
 しかし、どうしても、先ほども申し上げたように、全体としてはうまくいくようにつくってあったとしても、それを運用する現場にまで行けば、その現場に集中してかなりの感染が起きているなんということは当然起こり得るわけでございまして、それも踏まえておかなくてはいけないだろうというお叱りも受けるかもしれませんが、そこの部分を何とかうまく回るように努力をし続ける中で、全体像としてはそれほど間違ったものにはならないようにしていくということしかないのかなと思っております。
○塩川委員 首都圏のある医療機関にお話を聞きますと、発熱外来に患者が殺到しているということです。平日八十人、休日明けが百数十人。検査担当者の人は五週間連続休みなしということで、そのため、今後は検査を断らざるを得ない事態になっていると言います。陽性者の対応は医師が行うことになるので、県への連絡やHER―SYSへの入力など、四、五人の医師が張りついてやらざるを得ない。
 このように、発熱外来に患者が押し寄せる状況は変わっておらず、発熱外来が足りていません。政府はなり手を増やすとしていますが、現在三万五千か所の発熱外来は幾つまで増やす予定でしょうか。
○山際国務大臣 これは、できるだけ多くとしかちょっと言いようがないんですが、政府としても今先生がおっしゃったような問題意識は持っておりまして、どうしても集中するところに集中するというのはあるものですから、仮に発熱外来の数を増やしたとしても、その集中しているところが分散するということがあるかというと、そうでもないということもありますよね。
 ですから、全体としてどうすればうまく回るのかということを工夫しながら、しかし、発熱外来は、増やせるものなら増やせるだけ増やしたいという思いでございます。
○塩川委員 集中しているところを分散してもらうような、そういう点でも量としての発熱外来そのものを増やすことは重要で、一昨年秋に開始した発熱外来診療体制確保補助金の実施によって、昨年四月一日の時点で発熱外来は三万一千か所まで増えました。しかし、その後、この補助金を打ち切り、診療報酬の特例加算に切り替えた後の一年近くでは四千しか増えておりません。
 発熱外来補助金を復活して、地域の医療機関の参加を更に増やせるように支援すべきではないでしょうか。
○山際国務大臣 これも以前同じような質問をいただいたと思うんですが、発熱外来を一気に増やさなくてはいけないステージのときには、その一気に増やすことに対する補助を行ってまいりましたし、さらに、その他、院内での感染拡大を防ぎながら患者の診療をしていただくというような体制を整えるというステージに入っていたときには、それに対する補助をつけておりますし、また、新型コロナの疑い患者に対して、必要な感染予防策を講じた上で、外来診療を行った場合の診療報酬上の特別な措置の対応というのを今はやっております。
 ですから、そのステージ、ステージにおいて何が必要かということを考えながら、補助の中身を変えるということを今までやってまいりました。
 先ほども申し上げたように、まだそれでも逼迫している部分が一部あるということであれば、それに対しての対応が何かできないかということは考えておりますけれども、今のところ、今の体制で、増やせるものを増やしていくということで進んでいきたいというふうに思っております。
○塩川委員 確保補助金の廃止で増えていないんですから、復活することによって更に増やす、このことを求めて、質問を終わります。

【予算委員会】社会全体の賃上げに逆行/公務員の賃下げはやめよ

 岸田文雄首相が看板政策として賃上げを掲げる一方で、幅広い労働者の賃金に影響を与える公務員の賃下げを進めていることを告発し、賃上げの好循環を作るのならば公務の賃金引き下げはやめよと強調しました。

 岸田首相は自民党総裁選で、賃金が公的に決まるにもかかわらず報酬が十分でない職員の収入を思い切って増やすとして「公的価格を抜本的に見直す」と打ち出しました。2月から保育、介護などの分野で3%(月額9000円)の処遇改善が実施されます。

 私は、保育士の賃金は全産業平均と比べて9万円以上低く、引き上げは不十分だと指摘。さらに公立保育所の保育士の賃上げは、1月28日時点で申請のあった134自治体のうち、公立を対象としたのは34自治体のみだったことを確認し、なぜ自治体は消極的なのかと質問。

質問に使ったパネル(クリックで拡大します)

 まともに答えない岸田首相に対し、私は、理由を明らかにしなければ打開のしようがないと批判。自治体が消極的な理由として、2022年度の地方財政計画の給与関係経費をマイナス人勧を反映して2709億円も削減し、総務省からは地方公務員給与を人勧に基づき下げるよう通知まで出していることを指摘、一方で賃上げを要請しながら、他方で賃下げを要求する。やっていることが支離滅裂だと批判しました。

 私は、『公的価格の抜本見直し』というのなら賃金に係る最大の『公的価格』が人事院勧告に基づく公務員給与改定だと強調。人勧の影響は800万人近くの労働者に及ぶとして、「マイナス人勧に基づく公務員の賃下げは撤回せよ」と主張。

 岸田首相が「人勧は民間準拠だ。民間を含めて全体の賃上げが実現すれば、人勧の引き上げにつながる」と答えたのに対し、私は、過去、人勧を値切って賃下げを押し付けた事例はいくつもあると指摘。それを棚上げしてマイナス人勧は押し付ける。こういうやり方が公立保育所の保育士の賃上げを妨げることにもつながっているとして、民間の賃上げと公務の賃上げと好循環をつくることこそ政治の仕事だ。公務員の賃下げ押し付けはやめよと強調しました。


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論戦ハイライト/本気で賃上げ図っているのか/衆院予算委/塩川議員の追及

「しんぶん赤旗」2月19日・2面より

公立保育園賃上げ/わずか34自治体/人勧に基づく賃下げ撤回を

 日本共産党の塩川鉄也議員は18日の衆院予算委員会で、岸田首相の目玉政策である「公的価格」の見直しについて「やっていることが支離滅裂で、本気で賃上げしようとしているのか」と迫りました。

 保育士の賃金は全産業平均比で月額9万円以上低い(2020年賃金構造基本統計調査)のが実態です。政府は22年2月から9月の間、保育士などの賃金を月額9000円引き上げる処遇改善事業を進めています。

公定価格に左右

 塩川氏は「今回の取り組みでこの格差を解消するのか」と追及。岸田文雄首相が「女性保育士は全産業の女性の平均並みまで引き上がる」などと答弁しました。塩川氏は、女性の中での賃金格差の話ではなく男女一体での格差の解消を問うていると批判し「一桁少ないというのが現場の声だ」と指摘しました。その上で「本当に保育士の賃金は上がるのか」とただしました。

 保育士などの賃金は、国が定める「公定価格」に左右される仕組みとなっています。塩川氏は、保育士の賃金も公務員賃金に準じて算定されるため、22年度(21年度比)は公務員賃金が0.9%引き下げられたことが保育士の賃金に連動していると指摘しました。

 減額分に対応する額を上乗せしていると述べた岸田首相に、次のようにただしました。

 塩川 処遇改善事業を行う場合は穴埋め分も措置するとしているが、今回の事業を実施しないと、賃上げどころか引き下げられてしまうのではないか。

 野田聖子少子化担当相 夏の人事院勧告の状況を見つつ、10月以降も引き上げが維持されるよう対応を検討する。

 塩川 答えていない。本気で賃上げを図ろうとしているのか。政府の責任は重大だ。

800万人近く影響

 さらに塩川氏は、公立保育園で賃上げの動きになっていない実態を告発しました。

 処遇改善事業の第1回申請で、申請があった183自治体のうち公立保育園も賃上げするのは34自治体です。塩川氏は「5分の1しかない」と指摘し、自治体が賃上げに消極的な背景には、22年度地方財政計画で地方公務員の賃金にかかわる給与関係経費が減額されているからだと追及しました。

 岸田首相 予算・補助金等はしっかり措置している。まだ1回目。手続きの問題だ。

 塩川 答えていない。2600億円の処遇改善事業を行う一方で、22年度地方財政計画の給与関係経費は2709億円の削減だ。さらに昨年11月、総務副大臣通知で、地方公務員のボーナスも国家公務員にならって引き下げを行えと自治体に押し付けている。賃上げが進まないのは当然だ。

 塩川氏の批判に対し、岸田首相は否定できず、うなずくだけでした。塩川氏は、人勧が影響する労働者は800万人近くに及ぶことをあげ、「収入を上げるというなら、人勧に基づく賃下げを撤回すべきだ」と求めました。


「議事録」

<第208通常国会 2022年2月18 予算委員会 第16号>

○塩川委員 日本共産党の塩川鉄也です。
 今日は、岸田総理の看板政策の一つであります、公的価格の抜本的見直しについてお尋ねをいたします。
 岸田総理の自民党総裁選政策集には、「あなたの所得が増える「公的価格の抜本的見直し」」、看護師、介護士、幼稚園教諭、保育士など、賃金が公的に決まるにもかかわらず、仕事内容に比して報酬が十分でない皆様の収入を思い切って増やすため、公的価格評価検討委員会を設置し、公的価格を抜本的に見直すとあります。
 昨年十月の所信表明演説では、看護、介護、保育など、新型コロナ、そして少子高齢化への対応の最前線にいる皆さんの収入を増やしていきますと述べております。
 総理に伺います。
 賃金が公的に決まるというのは、どういうことでしょうか。
○山際国務大臣 委員御指摘のように、新しい資本主義を実現するために、保育、看護、介護等の分野において、その仕事に見合った適切な処遇が行われるように、賃金の引上げが持続的に行われる環境整備を行うというふうに我々としてはしております。
 その中で、今委員がお示しした、公的に決められるというのは、例えば、保育士の賃金に関して申し上げるならば、子ども・子育て支援新制度における公的価格など、サービスの対価等として各事業所に支払われる額でありまして、これを原資として、各事業所において保育士等の賃金が決められることになります。
 今般、収入を三%程度引き上げるために公的価格の引上げ等を行い、この引上げ分が確実に賃金の引上げに充てられるよう、措置を講じることとしております。
○塩川委員 保育士の話については、その公定価格で公的にサービスの対価が決定される、賃金の原資が公的に決められるということであります。
 看護職員、介護・障害福祉職員、保育士、幼稚園教諭等は、政府の関与によって賃金が左右されるという仕組みになっています。
 総理、お聞きしますが、保育士の賃上げについてです。
 二〇二〇年の賃金構造基本統計調査を見ると、全産業平均では月額四十・六万円ですが、保育士は三十一・二万円です。その賃金格差は月額九万円以上になります。
 今回の賃上げの取組によって、この格差を解消するんでしょうか。
○岸田内閣総理大臣 保育士の給与は他の職種に比べ低い状況にあり、その人材確保に向けて処遇改善に取り組む必要があると思います。
 このため、これまでの累次の処遇改善に加えて、新しい資本主義を起動するための分配戦略として、保育などの現場で働く方々の給与を三%程度、月額九千円程度引き上げることといたします。
 引上げに当たっては、それが継続的なものになるよう、補正予算により本年二月に前倒しして実施した上で、本年十月以降については、当初予算において、公的価格の見直し等により措置することとしております。これにより、女性保育士の賃金は、全産業の女性の平均並みまで引き上がることになると認識をしております。
○塩川委員 女性の中での賃金格差の話じゃなくて、男女一体とした中での賃金格差の解消という点で、保育士の場合では全産業と九万円以上の差が月額である。今言っているのは、三%、九千円、それも頭割りにするともっと少なくなるという点では、一桁少ないというのが現場の声であります。
 コロナ禍の保育現場で、子供たちの感染防止に細心の注意を払いながら、自らも感染しないように外出も控えるような暮らしを続けている、こういう仕事に報いることこそ必要だというのが元々の趣旨ではないでしょうか。
 その上で、本当に保育士の賃金が上がるのかという問題であります。
 保育の公定価格の算定に当たっては、人件費や事業費、管理費等について、各々対象となる費目を積み上げて算定しており、そのうち人件費の額については、国家公務員の給与に準じて算定をしています。
 来年度の公定価格の人件費は増えているんでしょうか。
○野田国務大臣 従来から、保育所等の公定価格における人件費は国家公務員の給与に準じて算定しており、令和四年度から公定価格の減額改定を行う予定でありますが、令和四年度以降も処遇改善の効果が継続するよう、令和三年度補正予算において、令和四年四月から九月までの間、公定価格の減額相当を含めて補助を行うこととしています。
 また、令和四年度十月以降についても、本年の人事院勧告の状況を見つつ、処遇の改善の効果が継続されるよう対応してまいります。
○塩川委員 来年度の公定価格の人件費は減っているということでいいですね。
○岸田内閣総理大臣 公定価格の人件費、これは国家公務員の給与に準じて算定しており、令和四年度から公定価格の減額改定を行うことが予定されているということであります。
 しかし、令和四年度以降も処遇改善の効果が継続するように、令和三年度補正予算において、令和四年四月から九月までの間、公的価格の減額相当額も含めて補助を行うということにしております。減額分もしっかり勘案した上で、その上にこの金額が今度出てくるようにしっかり措置を行うということであります。
 また、令和四年十月以降についても、本年夏の人事院勧告の状況も見つつ、処遇改善の効果が継続されるよう対応を検討してまいります。
○塩川委員 来年度の公定価格の人件費は減額となっています。
 そこで、パネルを用意いたしました。保育士の賃金改善率ということですが、実際には、近年ではマイナスとなっているのが現状です。保育士の賃金は、人事院勧告に準拠して、公務員賃金に準じて算定をされます。一番左の棒グラフ、二〇一九年度に比べて、左から二番目の二〇二〇年度は、公務員賃金が〇・三%引き下げられたために、保育士に係る人件費も引き下げられてしまいました。
 左上に書いたように、全産業の平均賃金月額四十・六万円に対して、保育士の平均賃金は三十一・二万円で、九・四万円も低いものです。大幅な賃上げこそ必要なのに、逆に引き下げてしまったというのは極めて重大であります。
 さらに、一番右の棒グラフにありますように、二〇二一年度に比べて、二〇二二年度、来年度は、やはり公務員賃金が〇・九%引き下げられるために、保育士に係る人件費も引き下げられています。そこで、さっき総理もお答えになったように、右から二番目のグラフ、三%、九千円引上げの処遇改善事業を行う場合は、公務員賃金引下げに準じた保育士の人件費引下げ分については減額対応措置を取るとしています。
 この三%、九千円引上げという処遇改善の臨時措置が実施されないと、公務員賃金に連動した公定価格に基づく保育士の賃金は、賃上げどころか引き下げられてしまうんじゃないでしょうか。つまり、この三%の臨時措置を実施しないということになると、そのまま減額分が反映をして、保育士の賃金が引き下げられることになるというのが実態として生まれるんじゃないですか。
○野田国務大臣 確かに、平成二十四年度からずっと、令和三年度までの十年間で、人事院勧告というのはプラスになったりマイナスになったり、そういうふうに出ていますけれども、今回の場合は、令和四年十月以降の対応についてだと思いますが、これは、本年の夏の人事院勧告の状況をしっかり見つつ、三%程度の引上げが維持されるよう対応を検討することになると考えているところです。
○塩川委員 答えていないんですけれども。
 賃金が公的に決まる仕組みである公定価格の人件費の減額によって、保育士の賃金が引き下げられる懸念があります。
 岸田総理は、新型コロナ、そして少子高齢化への対応の最前線にいて、しかし、仕事内容に比して報酬が十分でない皆様の収入を思い切って増やすと言っていたのに、本気で賃上げを図ろうとしているのか、政府の責任は極めて重大であります。
 この点で、本当に賃金が上がるのかということを、特に公立保育所で賃上げの動きになっていないと聞きます。お尋ねしますが、この公立保育所の職員について、賃上げを行うという自治体はどのぐらいになるんでしょうか。
○野田国務大臣 お答えいたします。
 今般の処遇改善に係る交付金の第一回交付申請において、保育所等について申請があった百八十三自治体のうち、公立保育所を対象に賃上げを行う予定の自治体数は三十四自治体となっています。この自治体数は第一回交付申請の状況の数字ですので、今後の第二回交付申請の状況をよく見ていきたいと考えております。
○塩川委員 第一回目の申請ということで、第二回は来週ということで締切りになるわけですけれども。
 実際、第一回の申請の状況を見ても、手を挙げている市町村の中で、民間は上げるかもしれないけれども公立は上げない、こういうところが、申請した全ての百八十三のうち、公立も対象とするというのは三十四自治体だった。五分の一でしかなかった。つまり、五分の四は、公立保育所は賃上げの対象にしないということを市町村が申請をしているという状況になっています。
 公立保育所での賃上げ実施は五分の一しかない。これでは、多くの公立保育所で賃上げが行われないことになります。なぜ自治体は賃上げに消極的なんでしょうか。総理、はっきりお答えください。
○野田国務大臣 お答えいたします。
 先ほど答弁いたしましたが、第一回交付申請において、保育所等について申請があった百八十三のうち三十四ということになっていますが、自治体が公立保育所の賃上げに消極的なのかどうかについては、今後の状況をよく見ていきたいと考えています。
 他方、地方公務員である公立施設の職員の賃金については、自治体によって、職種ごとや、会計年度任用職員の給与体系が様々であるとともに、賃金改善には給与条例の改正が必要な場合があり、地方議会の議決等に一定の時間を要すると承知しています。
 内閣府では、これまでも、昨年十二月の都道府県等の説明会で、公立施設の職員について今般の補助金の対象としていることを説明し、二月九日には、各施設における処遇改善の実施見込みに基づく概算による申請も可能であることなどを周知しており、こうしたことを自治体に御理解いただいた上で適切に御判断いただくものだと考えています。
 さらに、二月十七日に事務連絡を発出し、補助金の活用に取り組む市町村の具体例をお示しし、積極的に検討を行っていただくよう重ねて依頼したところであり、引き続き、理解を得られるよう取り組んでまいります。
○塩川委員 公立保育所をしっかりと賃上げしてほしいんですよ。だけれども、第一回目の申請で、公立保育所を上げるという自治体が五分の一しかないんですよ。それはなぜなのかということをきちっと深めなければ、打開のしようもないんじゃないですか。
 総理、なぜ五分の一しか公立保育所は上げないのか、その理由は何なのか。
○岸田内閣総理大臣 これは手続の問題でありますが、第二回、第三回、こうした申請は行われることになっていくと認識をしております。
○塩川委員 一回目に申請した市町村のうち、五分の一しか公立保育所は上げないと言っているんですよ。手続の話じゃないんです。既に百八十三の自治体において五分の一しかなかったということなんですから。なぜそうなのかということをはっきり見極めなければ、この問題についての解決が見えてこないというのは明らかです。
 私は、こういった五分の一しか公立保育所の賃上げをしないという状況に、国が示す二〇二二年度の地方財政計画において給与関係経費が減額となっているからじゃないですか。国の地財計画上、給与関係費が減額となっていることが、自治体が賃上げに消極的になっている理由をつくっているんじゃないですか。
○岸田内閣総理大臣 予算、この補助金等はしっかり措置しているわけでありますから、これは、自治体としっかり意思疎通を図った上で適切な対応を考えていただく、こうした環境をつくっていくことが重要であると考えます。
○塩川委員 いや、だから、国が示す地方財政計画において給与関係経費が減額されているから自治体が消極的なんじゃないかと言っているのに対して、お答えになっていないんですよ。
 ケア労働者の賃上げを目指すため、二千六百億円の処遇改善事業を行う、これは総理の目玉政策の財源措置ですけれども、他方で、地方財政計画の給与関係経費において、マイナス人勧を反映した給与法に基づく削減分は二千七百九億円になります。
 一方で二千六百億円の処遇改善事業を行いながら、他方でマイナス人勧を反映をした二千七百九億円の給与関係経費、地財計画、削減をしている。これでは賃上げが進まないのは当然じゃないでしょうか。お答えください。
○岸田内閣総理大臣 まず、先ほど来、再三説明しておりますように、人勧による減額分をしっかり手当てした上で、その上に、この三%、九千円の処遇改善、これを用意しているということであります。
 令和四年度十月以降についても、本年夏の人事院勧告の状況も見つつ、処遇改善の効果が継続されるよう対応を検討していきたいと思っています。
○塩川委員 ここのパネルにも示したように、三%の上乗せ、人勧のマイナス分の減額対応、穴埋めということを行うというのが総理の施策として挙げているわけですけれども、公立保育園については手を挙げていないところが多いということが一回目の申請ではっきりしたんですよ。それはまさに、地財計画上、給与関係経費を減らしているという国の施策の下で、自治体が消極的になっている理由じゃないかということを述べているわけですけれども、そういうことについてお答えがない。否定しないということですね。
 もう一つ、昨年十一月に総務省が発出をした、「地方公務員の給与改定等に関する取扱いについて」では、国家公務員に倣って昨年度分のボーナス引下げを行いという自治体への通知を出しています。国が自治体に賃下げを押しつけている、こういう下で、自治体が公立保育園における賃上げの措置に消極的になっているということが示されているわけであります。
 一方で賃上げを要請しながら、他方で賃下げを要求する。やっていることが支離滅裂であります。本気で賃上げをする気がないということであります。
 総理にお尋ねしますが、この問題の大本にあるのが人事院勧告による給与引下げであります。この人事院勧告による給与の引下げこそやめるべきであります。賃金に係る最大の公的価格が、人事院勧告に基づく給与法による公務員給与改定であります。公的価格の抜本的見直しというのであれば、マイナス人勧をやめることこそ、賃上げのために行う仕事じゃありませんか。
 人勧が影響する労働者というのは、公務員に限られません。公務公共サービスに従事する労働者は八百万人近くに及びます。公的価格の抜本的見直しというなら、コロナ禍で奮闘している保健師など保健所職員や、看護師、保育士の賃金も引き下げることになる、人勧に基づく給与法による賃下げこそ、撤回をすべきではありませんか。
○岸田内閣総理大臣 まず、人事院勧告自体は、民間に準拠する形で、制度としてこの取決めが続けられています。こうした考え方は一つ重要であると思います。
 そして、申し上げている保育士の処遇につきましては、人勧による減額分もしっかり補填した上で、更にその上に三%、約九千円の上乗せをする、こうした取組を用意しているということであります。
 保育士の処遇を考えた場合に、こうした賃金の上乗せ、これは大変重要な取組であり、政府としてもしっかり予算を用意して、結果を出していきたいと考えています。
○塩川委員 民間準拠といいますけれども、過去、人勧を値切って賃下げを押しつけた例というのは幾つもあるんですよ。そんなことは棚上げにして、民間準拠だということでマイナス人勧を押しつけるということが公立保育所における賃上げを妨げることにもなっているということへの、そもそもの反省が必要だということを言わざるを得ません。
 今回の処遇改善事業においては、保育士などの公定価格でマイナス人勧の穴埋め措置を取る、総理もお答えになったとおりであります。こういった措置を公務員全体に対しても広げていく。そもそもマイナスの人勧を撤回する。だって、社会全体で賃上げをしようと言っているんでしょう。社会全体で賃上げを行おうと言っているんじゃないですか。マイナス人勧をやめるということ。
 岸田総理は、経団連始め経済三団体に三%を超える賃上げを要請しています。民間に賃上げを求めるならば、まずは公務の賃下げを撤回して、賃上げの道筋こそつけるべきではありませんか。
○岸田内閣総理大臣 人勧につきましては、民間準拠だということを先ほど申し上げました。だからこそ、国が率先して民間の賃上げの呼び水となるべく環境整備をすることが大事だということを再三申し上げてきているわけであります。
 民間も含めて全体の賃上げが実現したならば、人勧においても引上げということにつながっていく、全体の引上げにつながっていく、こうした環境ができ上がっていくと考えます。
○塩川委員 全体として賃上げを行うときに、民間に対しても三%を超える賃上げをお願いしたいと要請をして、その呼び水として、今言ったエッセンシャルワーカーなどについての三%、九千円という話が出てくるわけですけれども、そうであれば、そもそも賃上げの好循環をつくるんだったら、公務での賃金の引下げをやめる必要があるんじゃないのかと。賃金の公務のマイナス、これをやらなければ、結果とすれば、賃金の好循環に逆行することになる、このことこそ問われているということを言わなければなりません。改めて、賃上げの道筋をつけるべきだと。
 過去、人勧を値切った例というのは幾らでもあると言いました。一方で、今回のように減額対応するようなこともやっているんですから、同じようなことをやればいいじゃないですか。この機会に、まさに八百万人に影響を与えるような、労働者に賃下げを押しつける、こういったマイナス人勧は撤回をして、民間の賃上げと公務の賃上げと好循環をつくることこそ政治の仕事だ、人への投資というなら公務員への賃下げを押しつけるのはやめるべきだということを強く申し上げて、質問を終わります。

JMITUの国会要請行動を激励

 JMITU(日本金属製造情報通信労働組合)の国会要請行動を激励。

 全国一律最低賃金制度の創設、時給1500円以上の実現を求めるとともに、最低賃金の引き上げを円滑に実施するため、中小企業・小規模事業所への特別補助を行うとともに、原材料費と人件費が価格に適正に反映される仕組みを総合的に整備することを求めています。大事な提案です。

【内閣委員会】公立保育所の保育士処遇改善事業/実施申請は5分の1以下

 ケア労働者の処遇改善について、しっかりとした賃上げにつながるよう迫りました。

 政府は、今年2月から保育士等・幼稚園教諭、介護・障害福祉職員などの賃金を収入の3%(月額9000円)引き上げる処遇改善事業を進めています。

 私は、賃上げ額が一桁違うとの現場の声を受け止めよと強調。

 山際大志郎担当大臣は「謙虚に受け止めなければならない」と答えました。

 私は、申請手続きが進んでいない自治体があると指摘し、自治体から国への申請期限である2月21日以降も申請を受け付けるかと質問。

 内閣府は「少し遅れて提出があった場合でも柔軟に対応する」と答えました。

 私が、公立保育所の職員の賃上げを行う自治体数について質問したのに対し、内閣府は、1月28日時点での経過的な状況であるとしながらも、申請があった183自治体のうち公立保育所を対象としているのは34自治体のみだったと明らかにしました。

 私は、かなり少ない。コロナ対応の最前線で働く職員の賃上げに、さらに踏み込んだ対応が必要だと指摘。

 野田聖子少子化担当大臣が「公であろうと私であろうと関係なく取り組んでいただきたいと願っている」と答えた。

 私は、賃上げに消極的な背景に、地方行革、自治体リストラの影響がある。国の財政的保証を明確にせよと強調したうえで、全産業平均と比べ、月額9万円の差がある保育士の賃金格差をいつまでに解消するのかと迫りました。

 野田大臣は「公的価格評価検討委員会でしっかりやっていく」と述べるにとどまりました。

 私は、保育士の賃金改善は人事院勧告に準拠した部分が多く、昨年度はマイナス0.3%だったとして、処遇改善どころか保育士に賃下げを強いていると批判。マイナス人勧は公定価格に反映させないよう求めました。


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「議事録」

<第208通常国会 2021年2月9日 内閣委員会 第3号>

○塩川委員 それでは、続いて、岸田政権におきまして、賃上げの取組の一つとして、公的価格に基づく賃上げの話、ケア労働者の処遇改善事業に取り組んでいる、昨年の補正予算で措置されたものですけれども、この点についてお尋ねをしたいと思います。
 昨年十一月十九日のコロナ克服・新時代開拓のための経済対策の公的部門における分配機能の強化等において、「看護、介護、保育、幼児教育など、新型コロナウイルス感染症への対応と少子高齢化への対応が重なる最前線において働く方々の収入の引上げを含め、全ての職員を対象に公的価格の在り方を抜本的に見直す。民間部門における春闘に向けた賃上げの議論に先んじて、保育士等・幼稚園教諭、介護・障害福祉職員を対象に、賃上げ効果が継続される取組を行うことを前提として、収入を三%程度(月額九千円)引き上げるための措置を、来年二月から前倒しで実施する。」とあります。
 山際大臣でよろしいんでしょうか。この収入三%程度引上げという、この三%というのは、どういう意味、なぜ三%なのか、この点について御説明ください。
○山際国務大臣 これは今委員が御発言の中で御説明いただきましたように、新しい経済対策の中において、春闘、まさに今やっているところですけれども、これに先んじて賃上げを、社会全体の雰囲気として、していこう、そういう中において、その賃上げのペースが、どうしてもここのところ民間も含めて下がってきているということに鑑みて、まずは隗より始めよということで、政府ができる部分として、公的部門にいらっしゃる方々の賃金を上げていこうというところで決まってきたものというふうに承知しております。
○塩川委員 賃上げペースが下がってきている、まず隗より始めよということで、公務において、この分野で引上げをしようと。その三%という意味というのは、どうなんですかね。
○山際国務大臣 これは、社会情勢等々もしっかり見ながら、総合的に判断して三%ということになりました。
○塩川委員 いや、分からないんですけれども。もうちょっと言葉を足して説明していただけませんか。
○山際国務大臣 先生の意図しているところは酌み取っているつもりではいるんですけれども、社会情勢を鑑みてということは、先ほども申し上げたように、民間全体も含めて賃上げのペースがここのところで、コロナ感染症ということもあり、下がってきているということを見て、これを賃上げをするという回復基調に乗せていくというようなことを考えていかないといけない、そういうコンセプトに基づいて、その中において、いろいろ総合的に判断をした中で三%ということが決まったということでございます。
○塩川委員 これは、あれですかね、そうすると、まず隗より始めよという言い方であれば、民間でも三%以上やってほしい、そういう趣旨が込められているということでしょうかね。
○山際国務大臣 春闘を、我々の方で、民間の話ですから、私たちの方でいわゆる官製春闘のような形で何か物事をしていただきたいということではなくて、今までの流れを一気に反転させたい、こういう思いで、その中で、現実的にできる部分というのも当然探らなきゃいけませんし、他の業種等々も含めて全体の流れというものを見る中で、我々として、できるところからまずやろうということで決めたことでございますので。
 総理からは、民間の皆様方にも、業績を回復されているそういう企業の皆様方は、三%を超える、三%程度のと言いましたか、賃上げを期待するということでございますので、それを要請するというわけではなくて、全体の雰囲気を一気に反転させるということを、まずは私たちがやれるところからやりたいという趣旨でございます。
○塩川委員 そういった賃上げの好循環につながるような方向での取組ということが極めて重要だと思います。
 その際に、同時に、ケア労働者の方々の賃金というのが全産業平均に比べても低いと言われるような中で、率直に言って、その現場の方からは、三%、九千円というのでは一桁違うという声というのは出るわけですね。そういった声については、どうお答えになりますか。
○山際国務大臣 それは謙虚に受け止めなくてはいけないと思っております。これまでも、公的部門にお勤めの皆様方の賃金というものに関して累次、少しずつですけれども、上げさせていただいてきたという経緯は委員も御案内のとおりでございます。今回でそれが十分かと言われれば、そうではないという現場の意見があるということも我々承知しております。
 その中で、現実的にやれることをしっかりやっていこう、こんなことで、今回はこの三%、まずはやらせていただきたいということで決定したわけでございます。
○塩川委員 まあ、まずは一歩という話で、次の取組につながるようなものにしていくということは当然必要なんですが、今回のスキームで賃上げの対象となる労働者は何人なのか、そのうち公立施設の職員というのは含むのかどうか、その辺の大枠について御説明ください。
○藤原政府参考人 お答え申し上げます。
 私ども内閣府の方からは、内閣府所管の令和三年度補正予算において、今般の処遇改善に係る保育所や幼稚園等の予算積算上の職員数でございますけれども、常勤換算で約七十一万人分、このうち公立分が約二十万人分となってございます。
 また、放課後児童クラブの職員数でございますけれども、基となる厚労省の調査で公立、私立を分けて集計していないために、全体の人数というふうになりますけれども、常勤換算で約十二万人分というふうになってございます。
○森政府参考人 文部科学省が実施いたします補助事業におきましては、国立大学附属幼稚園について約五百名、それから私立幼稚園のうち私学助成の交付を受ける幼稚園について約五万二千名の教員を対象としているところでございます。
○岸本政府参考人 厚生労働省からお答えいたします。
 賃上げの対象者数でございますが、まず、保育分野のうち、厚生労働省が予算の執行を行う社会的養護関係施設の職員は、予算上、常勤換算で約三万人、このうち公営施設の職員は約二千人となってございます。
 また、その他の分野の対象者数でございますが、予算上、常勤換算の人数としまして、介護職員が約百三十八万人、障害福祉職員が約五十七万人、看護職員が約五十七万人となっております。
 なお、これらの職員につきましては、公務労働者の数を把握してございません。
○塩川委員 ありがとうございます。
 これを積み上げると、単純な積み上げで三百四十三万人程度になると思います。その中には公務の労働者も含まれているということで、当然、常勤換算で計算していますから、実際に支給の対象となる方は、その他の調理に当たっているような方なども含めてもう少し広がるので、実際の賃上げに関わる労働者数は更に大きくなると思います。しっかりと賃上げにつながれば、少なくない影響を及ぼすということは言えると思います。
 そこで、実際に、この申請の手続なんですけれども、動き始めていて、自治体から国への申請期限というのが二月の二十一日となっていますけれども、いろいろ現場の声を聞きますと、民間施設や高齢者施設の申請手続が進んでいないというふうに聞くわけです。
 これは、二月二十一日は一つの節目で、二月二十一日以降も実際には申請の受付が可能、実際に支援の対象をしっかり広げるということがポイントだと思いますから、二月二十一日で、後はもう全部駄目という対応はしないでほしいんですが、その点、どうでしょうか。
○藤原政府参考人 お答え申し上げます。
 令和三年度補正予算で措置をされました処遇改善に係る補助金でございますけれども、今年度中に保育所等に対しまして資金を交付できるように、令和三年度における国への交付申請の期限につきましては、先ほど委員から御紹介ありましたとおり、一月の二十八日も第一回の交付の期限がございますけれども、もう一回、二月の二十一日というふうに設定をしているところでございます。
 今回の処遇改善では、各保育所等におきまして三月までに実際に賃金改善を行っていただくということを補助要件としているわけですが、市町村から国への申請について言いますと、管内の保育所等における処遇改善の実施見込みに基づいて、概算による申請ということを行うことも可能としております。
 このため、市町村が定めた期限までに施設から申請がないということを理由にして、三月までに処遇改善の取組を行うにもかかわらず、一律に補助の対象外とすることは適当ではないというふうに考えております。
 こういったことから、市町村に対して、ただいま申し上げましたような趣旨をきちんと周知をし、柔軟に適切に対応いただくように働きかけを行っていきたいと考えております。
○塩川委員 ですから、施設から市町村へという点で、なかなか作業そのものも大変で間に合いませんと、一週間ぐらい前にそういうのを設定しているような場合も多いでしょうから、そういう場合については概算で市町村から国へということはあると思うんですが、その際でも、二月の二十一日で、全部それ以降は受け付けませんという対応でいいのかという点はどうでしょうか。
○藤原政府参考人 内閣府における、ただいま申し上げました二月二十一日という期限につきましても、もちろん、無制限にというわけにはいきませんけれども、いろいろな自治体の御事情もおありでしょうから、状況を見て、少し遅れて提出があった場合でも対応できるように、国としても柔軟に対応していきたいと思っております。
○塩川委員 とにかく、賃上げにつながるような作業ということで、いろいろな現場の遅れも見越しながら、しかるべき手続を対応いただきたいということです。
 それで、埼玉県にお聞きしますと、市町村に対して、民間施設で事業者が申請しない場合に、その理由を把握をすることを求めています。やはり賃上げにつながるような取組を行ってもらいたいという趣旨でいったときに、手を挙げないような場合について、なぜなんですかといったことを確認するという作業を埼玉県としては行うということにしているんですけれども、こういった点について、国としても、やはり現場の実態を把握する必要があるんじゃないのか。
 申請者が申請しない理由があれば、それも把握をして、それに対しての改善策を取るといったことも国として考える必要があるんじゃないかと思うんですが、その点はどうですか。
○藤原政府参考人 今回の処遇改善の補助金、非常に重要な、大切な補助金であるというふうに考えております。これをできるだけ全国の保育所等において御活用いただけるように、我々、しっかり周知なり手続の弾力化なりしているところでございます。
 委員がおっしゃったような、個々の施設について国が直接意向を把握するというところまではなかなか難しいかと思いますが、先ほど申し上げましたように、そもそも、自治体から国に対しては、まず概算で請求をしていいですよというふうにしておりますので、こういったことをしっかり周知をして、適切に自治体において対処いただくように、周知なり取組、働きかけなりをしていきたいというふうに考えてございます。
○塩川委員 その点、周知方、しっかり求めたいと思います。
 それから、公立の施設の関係なんですが、特に保育園でお尋ねしていますけれども、公立保育園等の職員について賃上げを行う自治体というのはどのぐらいになりそうか、そういう見込みというのは国としてはお持ちですか。
○藤原政府参考人 お答え申し上げます。
 今般の処遇改善に係る交付金でございますけれども、まだ申請が、まず一回目の一月の申請しかございませんので、第一回交付申請の状況ということで、あくまで経過的な状況ではございますけれども、その段階で保育所等について申請がありました自治体が百八十三自治体ありまして、そのうち、公立の保育所も対象にしますよというふうな内容になっておった自治体については三十四自治体でございました。
 まだ第一回目の状況ですので、今後の状況をよく見ていきたいと思います。
○塩川委員 第一回目について、公立保育園の職員の賃上げを行う自治体というのは百八十三分の三十四。これはかなり少ないんじゃないかと思うんですが、その点についての認識はいかがですか。
○藤原政府参考人 お答え申し上げます。
 まずもって、第一回目に、一番最初の段階で出してこられた自治体ですので、またこの先よく周知なりしていきたいと思いますが、今回、公立施設についても補助金の対象にしているという趣旨についてはしっかり御説明をし、各自治体で適切に御判断いただきたいというふうに考えております。
 一方、やはり、地方公務員である公立施設の職員の給与を上げるということになりますと、御承知のとおり、条例ですとか規則の改正、それを地方議会の議決を伴うというふうに、一定の手続に時間を要するというふうな特殊性があるということも事実でございます。
 このため、内閣府では、二月分からの賃金改善を行うという条例改正案などを年度内に議会に提出いただいている場合には、実際の支給が四月以降となる場合であっても、今般の処遇改善の補助対象にすることとしております。
 また、国に対する交付申請に当たっても、公立施設も含めまして、処遇改善の各保育所の実施見込みに基づき、先ほど申し上げました、概算で申請していいですよというふうなことですとか、こういった柔軟な取扱いもしております。
 また、一方、総務省の方からも、公立施設の職員の賃金改善の取組の例を通知をいただきまして、働きかけをしていただいているところでございます。
 このように、内閣府では、総務省の御協力もいただきながら、公立施設の職員についても賃金改善を実施いただけるように取り組んでいるところであり、引き続き、周知についてしっかりと行っていきたいというふうに考えております。
○塩川委員 一応、条例が年度内にということで、ぎりぎりまで対応するということは認めますよと。そういうスキームの話は分かります。ただ、この百八十三分の三十四しか公立保育園の賃上げをしないという、この賃上げしないという自治体がどういう理由なのかというのは、つかんでおられますか。
○藤原政府参考人 私ども、まだあくまでも経過的な状況でございましたので、個別に幾つかの自治体に、どういうふうな意向を持っておられるかとか、どういうふうな条例改正を考えていらっしゃるのかということを個別に自治体からお聞きしているような事例はございますけれども、包括的、網羅的に状況を把握しているということではございません。
○塩川委員 二月の二十一日で、また当然、一つの締切りで来るわけですから、実際それがどの程度なのかというのもあります。ですから、公立保育園での保育士の賃上げについて消極的だという傾向というのが大きくあるようであれば、それを解消するような手だてというのは必要だと思います。
 私がお尋ねしたある政令市においては、公立保育園職員の三%引上げについて、二月からの実施になっているわけですけれども、二月からは考えていない、その後どうするかは検討中だ、病院職員の引上げも考えていないというお話でした。もちろん、非常勤の会計年度任用職員も同様だということですが。
 こういった実態をしっかり把握する必要があるんじゃないかと思うんですが、改めて、いかがですか。
○藤原政府参考人 お答え申し上げます。
 地方公務員である公立施設の職員の賃金につきましては、自治体によって、職種ごとですとか、それから会計年度任用職員の給与体系ですとか、様々だろうというふうに承知をしておりますので、基本的には、内閣府としては、先ほど申し上げましたような、柔軟な対応をしているよということをしっかりお伝えをし、その自治体、自治体で適切に御判断をいただくということをお願いをしたいというふうに考えております。
 第二回目の交付期限を見極めて、どのぐらい出るかということもよく見たいと思いますし、実際にそうやって上がってきた自治体の中で、どのような対応をして処遇改善に取り組まれるのかということは、幾つかの自治体の取組などを把握をするとか、少し工夫はしてみたいと思いますけれども、いずれにしても、自治体においてしっかり適切に御判断いただけるような周知について取り組んでいきたいというふうに考えております。
○塩川委員 ある政令市にお聞きしたときに、何で引上げを検討しないのかという理由として、三つぐらい言っていたんですけれども、一つは、公立保育所職員の年収は民間よりも高いので、直ちに処遇改善は必要ないということとか、二つ目は、ほかの政令市に確認したところ、前向きなところが少なかった、他市との均衡を考えた、こんなことを言っていましたし、三点目は、どうしても人事院の勧告制度がありますので、人事委員会の勧告を受けて、この間、賃金については対応してきたけれども、今のところ人事委員会から意見はないということもあり、こういったことを考慮して、引上げを検討しないというふうにしたという話なんですが。
 しかし、公立保育所の保育士も全産業平均と比べたら賃金が低いことには変わりありませんし、仕事内容に比して報酬が十分でないという、岸田政権でのケア労働者の賃上げのこういう立場に立っても、こういったケア労働者の賃上げに後ろ向きというのは極めて残念なことであります。
 また、今回の三%の引上げは人勧制度そのものと関係ないので、何か人事委員会を持ち出して話をするようなことでもないわけです。
 結局、賃上げをしない理由を探しているような話になっちゃうんじゃないかなと思っていて、ここのところをやはりよく工夫もして、公立保育所における保育士の賃上げを図るといったことを一歩進めるような取組が必要じゃないかと。
 この点で、どうでしょう、野田大臣、山際大臣、どちらが担当なのかよく分からないんですが。
○山際国務大臣 モメンタムは先生のおっしゃるとおりで、賃上げをみんなでしよう、そういう社会の雰囲気をつくらなくてはいけないというのが我々岸田政権における、岸田内閣における方向性ですから、できればそれにそぐう形で、様々部署部署ありますが、いろいろな理由もありましょうけれども、その中で、その方向で、みんなで賃金を上げられる方向で進んでいただければと思っております。
 何ができるかというのは、担当の部署とも相談をしたいと思います。
○塩川委員 野田大臣にも一言いただきたいんですが、保育士の賃金が低いというのは、やはり女性が多い職場という、男女の賃金格差のその側面もあります。
 そういった男女差別の解消の取組の一環としても、こういった女性が従事することの多いケア労働者の賃上げをしっかりと図るということが極めて重要であると思いますので、この点でやはり、特に、今言った公立保育所の保育士の賃上げについて消極的な自治体が多いという現状を踏まえて、もう一歩踏み込んだ対応をしっかり取る必要があるんじゃないのか。
 野田大臣、いかがでしょうか。
○野田国務大臣 私の担当は専ら、保育士等ということなんですけれども、今、山際大臣がおっしゃったように、この取組は何かというと、全ての皆さんの賃金を上げることで、人への投資、どの仕事に就いていても、やはり賃金を上げて、生活又は子供への手当て等を豊かにしていくことで厳しいこの経済情勢を乗り越えていこうという趣旨とするならば、それが公であろうと私であろうと、職種関係なく、とりわけ、今このコロナ禍の中で重要視されているエッセンシャルワーカーも実は大多数が女性なんですね、看護師さんを始めとして。さらに、保育士とか介護士さんもほとんど女性が担っているケースが多いわけで、そこがやはり実はずっと見落とされてきたのかな、この長い歴史の中では。
 でも、ようやく平成二十五年あたりから、やはり子供に関してしっかり取り組まなきゃいけないということで保育士さんたちの処遇改善が始まっていて、少しずつ、この厳しい賃金、低賃金、賃金が伸びない中ですけれども、今般、累次、月額最大八万四千円までは乗せ上げてきましたので、引き続き、保育士さんそのものの生活だけではなくて、保育士さんあってやはり子供たちの健やかな育ちがあるという、今の新しい子供政策の下でも、公的だとか私的だとかそういう話ではなく取り組んでいただければと願っています。
○塩川委員 この点、ですから、本当に現場の実情に即して何ができるのかというのをしっかり対応することが必要だと思っています。
 自治体が消極的な気持ちになるのも分かるというか、背景としてあるのが、やはり三位一体も含めて、地方行革あるいは自治体リストラ、こういった動きの中で、地方財政措置がしっかり対応してくれるのかといったのがやはり大きくあると思います。
 二月から九月は少なくとも十分の十の補助でやりますけれども、十月以降については地方交付税措置ですねといった場合に、しかるべき措置は総務省として取っているという話ではあるんだけれども、本当かみたいな話というのが自治体側にあるわけで、この点も含めて、公立の保育所の保育士の賃上げにつながるような地方財政措置をしっかり行うということを、自治体にも納得いくような形で示すということは必要なんじゃないのか。この点、野田大臣、どうですか。
○野田国務大臣 繰り返しになりますけれども、国の方では、新しい資本主義を起動するために、まずは保育などの現場で働く方々の給与の引上げを行うわけで、これは国ができる範囲の中で先駆けて取り組むと。それで、引き続きいろいろな、公定価格の問題点が、これまで、人事院勧告があると下がるとか、そういういろいろなことがあったけれども、そもそもやはりこういう介護、障害、保育、幼稚園というのは低かったので、それをやはりきちっと、増加するであろうということで処遇改善をしていこうということが、公的価格評価検討委員会、この中間整理において、特に二〇二〇年代にこうした取組に注力すべきとされていることを踏まえて、国はもとより、全てのそういう関係の人たちが適正な水準まで賃金が引き上がるよう、関係の大臣たちと連携して取り組んでいくべきだと私は思います。
○塩川委員 その点で、公的価格評価検討委員会を設置をして、具体化をしたアウトプットも行われてきているわけですけれども、岸田総理が自民党の総裁選の施策として、看護師、介護士、幼稚園教諭、保育士など、賃金が公的に決まるにもかかわらず、仕事内容に比して報酬が十分でない皆様の収入を思い切って増やすために、公的価格評価検討委員会を設置をし、公的価格を抜本的に見直すと訴えていたわけであります。
 仕事内容に比して報酬が十分でない皆様の収入を思い切って増やす、エッセンシャルワーカーの方。そうであれば、保育士の方、保育労働者の方でいえば、全産業労働者平均が年収四百八十七万円、一方、保育の労働者は年収が三百七十四万円です。厚労省の二〇二〇年の賃金構造基本統計調査に基づくと、月額九万円の格差になります。この九万円の格差を解消することこそ目指すべき目標であって、この格差をいつまでに解消するのか。この点、野田大臣、どうでしょうか。
○野田国務大臣 繰り返しになりますけれども、今委員がおっしゃっているとおり、保育士始めこういう職種の方たちが他の職種に比べて非常に賃金が低い状況にある、そしてまた、人材確保に向けて処遇改善をしていくということはもう明らかで、これは、先ほど申し上げたように、平成二十五年ぐらいから累次の処遇改善というのをしっかり行ってきて、現在のところ、今日までで月額最大八万四千円までは二十五年から上げることができてきたわけですね。
 しかし、まだまだ足りないということで、これから、岸田政権の新しい資本主義を起動するための分配戦略として、更にまた保育などの現場で働く方々の給与の引上げを行います。そして、引き上げるけれども、これが継続的なものになるように、補正予算ではまず前倒しを実施していますし、本年十月以降については、公定価格の見直し等によりきちっと措置をすることにしています。
 先ほどの話のとおり、公的価格評価検討委員会においては、やはりきちっと注力していくということが明らかになっていますので、しっかりやっていくということを決めているところであります。
○塩川委員 資料をお配りいたしました。先ほど野田大臣も御説明いただきました保育士の処遇改善のことが分かるグラフですけれども、これを見ていただいて、一番右側のグラフが令和二年度と令和三年度に当たります。これは、下側のオレンジ部分のところが人事院勧告に準拠した改善部分なんですよね。全体に占める人勧に準拠した改善部分が非常に大きいというのもこれで見て取れるんですが。
 人勧に準拠した、改善になっていればプラスなんだけれども、マイナスの場合があるわけですよ。令和二年度はマイナス〇・三%なんですよね。そうすると、保育士については、処遇改善しましょうと言っているんだけれども、実際には、人勧に準拠したマイナスが反映されて、逆に減っているという状況になっているわけです。処遇改善どころか、保育士に賃下げを強いることになっています。
 このマイナス人勧による賃下げを押しつけるということは、そもそも岸田政権が言っている、こういった保育士を始めとしたエッセンシャルワーカーの方の収入を思い切って増やす取組に逆行するんじゃないでしょうか。
○山際国務大臣 これは、ほかの分野で、特に公的な分野で働いていらっしゃる方々にも人勧は利いてくるわけですから、全てに言えることです。しかも、それはタイムラグがあるわけですね、先生御案内のように。ですから、悩ましい部分であるというのは、そうかもしれません。
 一方で、それだけで物事を見ていくわけではないので、先ほどから何度も申し上げているように、政権としてどういう意識でいるのかということをきちんとお示しし続けることが大事だと思っているんです。
 我々としては、まずは三%というので賃上げを実施させていただいて、それはマイナス要因として人勧というのがあるというのは承知しておりますけれども、ですから、先ほども、まずは三%からやらせていただいてという言葉を使ったのであって、これからも持続してこの賃上げのモメンタムが維持できるようなそういう状況をつくっていきたい、それが岸田政権としての方向性なんだということを先ほどから申し上げているわけでございます。
○塩川委員 いや、ですから、格差解消しましょう、保育士の賃上げを図りましょうと言っているときに、人勧のマイナスを反映して引き下げることはないでしょうということなんですよね。
 でも、今回、このケア労働者の処遇改善事業におきましては、保育士等、新制度に基づく労働者の方については、人勧に基づく給与法に従うマイナス分については、これは補助制度で穴埋めをするわけです。マイナスをゼロにして、その上に九千円乗せるという仕組みになっているんですよ。
 ある意味、やればできるんじゃないかという話だと思うんですけれども、こういった穴埋め措置を継続的に行えばいいんじゃないですか。
○野田国務大臣 先ほど来お話があるように、人事院勧告に依拠した改善部分というのが多いわけで、御承知のように、公定価格というのは積み上げ方式、人件費、事業費、管理費についてそれぞれ対象となる費目を積み上げて算定する積み上げ方式を採用していて、人件費については国家公務員の給与に準じて算定しています。
 ですから、おっしゃるとおり、従来から人事院勧告に伴う国家公務員の給与の改定内容について、プラス改定の場合もマイナス改定の場合も保育士等の人件費に反映してきている。今回は、令和三年人事院勧告では、ボーナスを〇・一五月分引き下げる内容ということで、国家公務員の対応を踏まえて、令和四年度から公定価格の人件費については〇・九%の減額改定を行う予定です。
 一方で、今お話があったように、今般、三%程度、月額九千円の処遇改善を実施するに当たり、令和四年四月以降も三%の処遇改善となるよう、令和三年度補正予算において、令和四年四月から九月までの間の公定価格の人事院勧告影響分の減額相当分、今お話があったマイナス九%相当を含めて補助を行うことにしています。
 いずれにしても、処遇改善の取組が保育等の現場に行き渡るように取り組んでまいりますし、今後、十月以降の対応についても、本年の夏の人事院勧告の状況を見つつ、三%程度の引上げがきちっと維持されるよう対応を検討していくつもりです。
○塩川委員 ですから、人勧に伴うマイナス分を今回は補助して埋めているわけですよ。
 ですから、今後、公定価格で人勧の反映を入れるというんだけれども、プラスは反映するのは分かりますよ。格差を広げるようなマイナスの部分は、もうやめたらどうですか。そういう仕組みにこそしておく方がいいんじゃないですか。
○藤原政府参考人 お答え申し上げます。
 保育所に支払われる公定価格、これは御承知のとおり、子ども・子育て支援制度において告示で示している公定価格でございますが、この単価につきましては、保育、幼稚園等の子ども・子育て支援法による公定価格については積み上げ方式を採用しているわけでございます。
 このうちの人件費を国家公務員の給与に準じて算定をしているということですので、人勧がプラスのときはそのとおりプラスにしますし、マイナス改定のときはマイナス改定というふうにさせていただいていると。
 トータルで見れば、この十年間で、プラス改定六回、マイナス改定二回、改定なし二回となっておりまして、単純に合計しますとプラス七・八%の改善が実現できている。そういった積み上げ方式による効果ということもあることも事実でございます。
 今後、先々のことをお答えすることは非常に難しいことでございますし、年度年度の予算編成での予算確保という点もあるので、先々のことをお答えすることは難しいですが、今申し上げましたような積み上げ方式によって効果がある、改善に対して効果が今あるということも事実でございますし、私ども、子ども・子育て会議の報告書、対応方針においても、公定価格の設定方法について積み上げ方式を維持すべきであるというふうな方針も示されておりますので、まずはこの三%の引上げ、今回の三%の引上げを、しっかり率を上げていくということで取り組みたいと思います。
 その後のことについては、ちょっと今私どもの方からお答えすることは困難ではありますが、処遇改善、非常に重要な政策課題だということは重々承知をしておりますので、適切に対応していきたいというふうに考えております。
○塩川委員 人勧を値切るということは、過去、政権が何度もやってきているんですよ。それを我々は反対してきたけれども、プラスはちゃんと反映するけれどもマイナスは反映しないということだって、やる気になればできる話なので、こういったマイナス人勧部分については公定価格に反映するなといった原則を作って、それに基づいて対応するということを求めて、質問を終わります。

【内閣委員会】予算書の説明資料、過去最多の誤りについて質問

 今国会に提出されている、政府が予算を提出する際の説明資料である各目明細書に、誤りがあった問題について質問しました。

 私は、今回、総務省・法務省・文部科学省・国土交通省の4省で誤りがあり、過去最大で、きわめて重大だと強調。

 財務省は、各目明細書の誤りが、平成以降5件、報告されていることを明らかにしたうえで、これら誤りがあった年は、年末や年始に衆院解散総選挙が行われていたことを認めました。

 私は、今回はどんな事情があったのかと質問。

 財務省は、今回の当初予算の閣議決定から国会提出までの日程は24日間であったと答弁。

 私は、24日間での提出は過去最短であったことを指摘し、政権の都合で無理な日程を押し付けたことが誤りの大本にあると強調。昨年の通常国会では法案の誤りが合計181件あったが、その教訓が生かされていない、と批判しました。

 松野博一官房長官は、誤りがあったことについてお詫びを述べ、「同じような誤りが発生しないよう、再発防止策を検討していく」と答えました。

 私は、この間、実務を担ってきた公務員が減らされてきた影響が出ていると指摘した上で、必要な人員の配置など、再発防止策をしっかりと取るべきだと主張しました。


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「議事録」

<第208通常国会 2021年2月9日 内閣委員会 第3号>

○塩川委員 次に、予算書、各目明細書の間違いについて松野官房長官にお尋ねをいたします。
 各目明細書は、予算書の説明資料として、予算が国会に提出されたら直ちに財務大臣に送付しなければならないものであります。国会提出義務づけの文書に準ずる予算関連文書として国会に提出をされてきました。
 その各目明細書が、総務省、法務省、文科省、国交省の四省で間違いがありました。こんな、四省も各目明細書に間違いがあったのは過去最多であります。極めて重大な問題だと思いますが、その点についての官房長官の認識を伺います。
○松野国務大臣 お答えをいたします。
 今般、各省庁所管予算の各目明細書について、総務省、法務省、文部科学省、国土交通省の四省の所管予算の各目明細書の記載に誤りがあったところであり、大変遺憾であり、おわびを申し上げます。
 今般の誤りの背景等を分析をし、同じような誤りが発生しないよう、財務省と各省庁とが連携をし、再発防止策を検討してまいりたいと考えております。
○塩川委員 その中では、例えば総務省における各目明細書では、統計委員会委員の手当の部分が欠落をするといった、予算審議にも影響を及ぼす中身だったという点でも重大であります。
 財務省の方に事実関係の確認をいたしますが、過去も各目明細書の間違いが数件あります。平成以降、各目明細書に誤りがあった事例というのは何件でしょうか。
○坂本政府参考人 お答え申し上げます。
 平成以降、各目明細書の誤りが報告されたのは五件ございます。
○塩川委員 この五件のうち、補正予算が一つあって、当初予算は四件ということになります。
 当初予算のうち二件は、国会への提出日が二月の二十八日と、通常一月中に提出される当初予算が大変遅れていたというときでありました。
 このように、二月二十八日という、提出日が遅れた理由というのは何だったんでしょうか。
○坂本政府参考人 お答え申し上げます。
 御指摘のとおり、平成二年度予算、それから二十五年度予算、この二回の予算に関わる各目明細書に誤りがあったわけでございますが、こちらの予算の提出日が例年より遅うございました。これは、年末ないし年始に衆議院の解散・総選挙が行われたことによるものと承知してございます。
○塩川委員 一九九〇年度の当初予算は、海部内閣のときで、二月の十八日に総選挙がありました。ですから、総選挙前に暫定予算を組んで、総選挙が行われ、当初予算がその後、二月二十八日に提出をされたという経緯があった。非常にイレギュラーな事態だったわけであります。
 それから、二〇一三年度の当初予算は、十二月十六日の総選挙で第二次安倍政権が発足をして、予算編成が遅れて二月の二十八日に提出となった。
 過去、当初予算で各目明細書に誤りがあった事例の二つというのが、こういう非常にイレギュラーな事態の中で、役所の対応も大変だったということが背景にあると思います。
 いずれもイレギュラーな事態が背景にあっての誤りだったという点でいうと、今回はどういう事情があったんでしょうか。
○坂本政府参考人 お答え申し上げます。
 今般の各目明細書の記載誤りの原因につきましては、関係省庁から、入力のミス、あるいは確認作業を怠っていたということとの報告を受けてございますが、いずれにしましても、今後、今般の誤りの背景等をよく分析いたしまして、同じような誤りが発生しないよう、再発防止策をしっかり検討してまいりたいと考えてございます。
○塩川委員 四省で誤りがあるという過去最多のミスだったわけですけれども、今回の場合というのは、当初予算の閣議決定から国会への提出までの期間が過去最短だったんじゃないですか。
○坂本政府参考人 お答え申し上げます。
 今般、当初予算の概算閣議から提出までの日数でございますけれども、二十四日間でございます。これは、例えば平成六年度の場合には、平成六年二月十五日から三月四日までの十七日間ということで、今回よりも短かった例はございます。
○塩川委員 それもイレギュラーなときですけれども、この二十四日間というのが、そういう点でいえば、通常のサイクルでいったときに、非常に、一番短期間だったということは明らかですよね。
○坂本政府参考人 お答え申し上げます。
 今回、二十四日間ということでございます。同様の例で申しますと、例えば、平成二十年度の予算編成、二十五日間、平成十年度予算編成、二十五日間、平成十一年度予算編成、二十五日間といったような、類似の期間のものもございます。
○塩川委員 いずれも最短という、日数が二十四日間という点でありますと、やはり、政権の都合で政治日程を決めた、こういうことが多くの間違いを発生する大本にあったんじゃないのか、その点は、官房長官としての認識はいかがですか。
○松野国務大臣 お答えをいたします。
 これまで、各目明細書の誤りが報告された事例においては、例年と比較をして、概算決定から予算を提出するまでの期間が長かった事例もあり、予算の国会提出日程と何らかの関係があるとは言えないのではないかと考えていますが、いずれにしても、今後、誤りの背景等を分析をして、同じような誤りが発生しないよう再発防止策を検討してまいりたいと考えております。
○塩川委員 政権の政治日程で無理な作業を押しつけないようにというのが基本であります。
 昨年の通常国会では、法案の誤りが問題になりました。閣法において合計百八十一件もの誤りがあった。そのうち案文が十四か所もあったという点でも、極めて重大でありました。
 こういった昨年の通常国会での法案の誤り、間違いの教訓が生かされなかったのか、この点はどうでしょうか。
○坂本政府参考人 お答え申し上げます。
 昨年の通常国会におきまして、各府省庁提出の法律案及び参考資料に多数の誤りが発生したことを受けまして、同年三月に、内閣官房副長官を長とします法案誤り等再発防止プロジェクトチームを発足させ、同年六月、誤りの内容や原因等を踏まえまして、複層的なチェック体制の充実、ノウハウの蓄積、周知徹底などの再発防止策が取りまとめられたものと承知してございます。
 各目明細書につきましては、法案とは作成過程の業務フローなどが異なりますが、いずれにせよ、国会に提出する資料の誤りが本年においても発生したということは大変遺憾であると考えてございます。
 今後、今般の事案を受けまして、誤りが発生した経緯、原因など、背景をよく確認、分析いたしますとともに、それを踏まえまして再発防止策を検討してまいりたいと考えてございますが、検討に当たりましては、昨年取りまとめた法案誤りについての再発防止策についても、参考とすべき点はしっかりと参考にしてまいりたいと考えてございます。
○塩川委員 今回、文科省で各目明細書の間違いがあったという点でも、私も拝見しましたけれども、非常に分かりにくいといいますか、よく見つけたと思うような誤りもあったわけですけれども、これも、ベテランの職員の人が自分の担当以外のところをチェックをした中でその誤りを発見したということがありまして、去年の法案間違いというのも、ベテランの職員の人からすれば考えられないような誤りもあったという点で、率直に言って、霞が関において、実務を担ってきたベテランの公務員が減っている、この間の公務員削減のマイナスの影響が出ている、このことを指摘せざるを得ません。必要な人員の配置など、再発防止策をしっかり取っていただきたい、このことを改めて求めておくものであります。
 ここまでで、官房長官と関係の政府参考人の方は御退席いただいて結構です。
○上野委員長 松野長官、御退席ください。また、御関係の政府参考人の皆さんも御退席をお願いいたします。

【内閣委員会】経済安保準備室長の更迭/国会への報告は当然

 内閣官房の経済安全保障室長であった藤井俊彦・内閣審議官(国家安全保障局)が事実上更迭されたことについて、質問しました。

 私は、松野博一官房長官が会見などで「処分につながる可能性がある行為を把握した」と発言したことについて、週刊文春の報道によると私企業で働き、報酬を得ていた疑いがあると指摘。

 藤井氏が出席した私企業の集まりに、所属省庁の利害関係者がいたと報じたれていることに対し、企業に対して様々な規制や支援措置を行う法案との関係で、利害関係者との対応がどうだったのか、きわめて重要・重大だと質しました。

 松野官房長官は、国家安全保障局の内規に違反していたことを確認したことを認めたうえで、「事実関係の確認、調査中であり、答えは差し控える」と述べるにとどまりました。

 私は、国会に報告するのは当然だと強調し、国会として、しっかりと行政監視機能を発揮していきたいと表明しました。


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「議事録」

<第208通常国会 2021年2月9日 内閣委員会 第3号>

○塩川委員 日本共産党の塩川鉄也です。
 最初に、松野官房長官に確認したいことがあるんですが、今日の午前中の予算委員会での質疑もあり、また記者会見でも説明もされました藤井敏彦経済安保法制準備室室長、国家安全保障局担当内閣審議官の件についてであります。
 松野官房長官、処分につながる可能性のある行為を把握したとして、その職が解かれて、出向元の経産省に戻ったということなんですけれども、これは、どのような行為を行ったのかについて御説明いただけないでしょうか。
○松野国務大臣 塩川先生にお答えをさせていただきます。
 御指摘の案件に関しましては、現在、事実関係の確認、調査中でございますので、お答えは差し控えさせていただきたいと思います。
○塩川委員 週刊文春の報道によりますと、兼業届を出さずに私企業で働き報酬を得ていた疑いがあるということですけれども、こういった事実関係についても把握をされるということでしょうか。
○松野国務大臣 先ほどお答えをしたとおりでございますけれども、国家安全保障局の内規手続に対して届出を怠った等が確認をされておりますが、これ以上の詳細は、確認、調査中でございますので、お答えを差し控えさせていただきたいと思います。
○塩川委員 内規手続の届出を怠ったということであります。
 この藤井氏が出席をした私企業の集まりには、所属省庁の利害関係者がいたとの報道もあります。こういった点については、経済安保の推進法というのが、企業に対して様々な規制策や、また支援措置を行うという法案という点で、その法案作成に当たっての実務の責任者だったのは藤井氏ということでもありますので、こういった、企業に対する規制や支援措置を伴うような法案との関係で、利害関係者の対応がどうだったのか、こういったことは極めて重要、重大な点でありますので、国会にその旨報告をいただけますか。
○松野国務大臣 先ほどお話を申し上げましたとおり、事実関係の確認、調査を実施していくこととしておりまして、今後判明した事実に基づき適切に対処していきたいと考えております。
○塩川委員 是非、国会にも報告いただくのは当然のことだと思いますけれども、この点について、国会としてのしっかりとした行政監視機能の発揮を果たしていきたいと思っております。

【「しんぶん赤旗」掲載】文通費/与野党が協議/塩川・井上氏出席/「成り立ち議論を」/初会合

「しんぶん赤旗」2月9日・2面より

 文書通信交通滞在費(文通費)をめぐる与野党協議会(座長・御法川信英自民党国対委員長代理)の初会合が8日、国会内で開かれました。衆参両院の6党(自民、公明、立民、維新、国民、共産)の代表が出席し、月2回程度協議を行い、今国会中に結論を出すことなどを確認しました。日本共産党からは塩川鉄也国対委員長代理、井上哲士参院国対委員長が出席しました。

 各党の出席者が意見表明し、塩川氏は、在京議員の滞在費など国民の理解が得られない文通費の在り方について、日本共産党は見直しを求めてきたと発言。「この間議論になっている日割りや使途、返納と公開のルールづくりについて、結論を出すべきだ」と述べました。

 その上で、「文通費は議会制民主主義を支える行政監視機能を果たすための必要経費であり、こうした立場で議論を行うことが大事だ」と主張。文通費の成り立ちを含め共通認識にする機会をつくる必要があると提起しました。

 井上氏は、参院改革協議会で文通費等の歴史的経緯について参考人質疑を行ったことを紹介し、「文通費とはそもそもどういうものなのか、専門家の意見を聞いて共通認識にする場が必要ではないか」と求めました。御法川座長は、次回はそうした場を持ちたいとの考えを示しました。

 また塩川氏は、「少数会派にも参加する機会をつくる必要がある」と指摘。他党からも少数会派の意見を反映することが必要だとの意見が出され、方法を検討することになりました。