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ロシアのウクライナ侵略を糾弾、即時撤退を求め、国際社会の一致した行動への働きかけを!
物価高騰対策は、消費税減税こそ。食料品非課税を。社会保障改悪の中止、大幅賃上げを!
私は、経済安全保障法案に盛り込まれている「特定重要物資」の支援策で行政側の裁量権が広がることで「政官業の癒着をつくりだす構造だ」とただしました。
法案は、民間事業者が指定重要物資の安定供給のため、新たに生産設備をつくったり、在庫を積み増したり、生産技術や代替物質の研究開発を行う際、新設の「安定供給確保支援法人基金」の助成を受けることが可能としています。
私の質問に対し、政府はこの基金の規模や補助の上限などが未定であるとして明確にせず、重ねて支援法人の想定団体を質問したのに対し「技術的知見を有する団体。業界団体を想定」と認めました。
私は、政府の判断で指定した特定重要物資に特別な支援おこなうことには、特別扱いの懸念がついてまわると批判しました。
この間、政府はサプライチェーン関連の基金だけでも5~6千億円規模を造成。さらに、巨額の基金をつくり誘致した台湾の大手半導体企業TSMCの投資額は当初の8千億円から9800億円に増加しており、投資額の2分の1を助成するため補助金が増大する仕組みとなっています。
私は、これらが新基金にスライドすることもあり得るかと質問。
小林担当大臣は「区分経理することにしている」と答弁。
私は、TSMCの事例のように、天井知らずの巨額の補助が行われることがあってはならないと強調しました。
「議事録」
<第208通常国会 2022年4月1日 内閣委員会 第15号>
○塩川委員 日本共産党の塩川鉄也です。
経済安全保障推進法案について質問をいたします。
サプライチェーン、特定重要物資の関係でまずお尋ねいたします。
供給確保計画において、取引先企業情報の記載についてお尋ねをいたします。
法文の第九条第三項第八号に、「供給確保計画の作成者における当該特定重要物資等の調達及び供給又は使用の現状」とあります。現時点の取引先企業について、どのような情報を記載することになるのか。調達先や供給先、顧客の企業情報を全て提供するのか。その点について御説明ください。
○小林国務大臣 法案の第九条第三項第八号によって供給確保計画に記載していただく内容としましては、例えば、調達については、原材料をどの国から輸入しているのか、供給につきましては、どういった業種の企業が相手先かといったことが考えられます。
これらは調達の現状などに関する情報の提供を求めるものでございまして、民間事業者が行おうとする安定供給確保のための取組に応じて、供給確保計画の認定に必要な限度で記載していただくものでございます。したがいまして、一律に、調達先や供給先、顧客の企業情報の全ての提供を求めることは想定しているところではございません。
○塩川委員 もう一つ、第九条第三項第三号で、取組の内容及び実施期間、これから何をやりますかというこの部分ですけれども、ここにおいて、取引先企業の情報についてはどのようなことを記載するようになるんでしょうか。
○小林国務大臣 この第三項第三号ですけれども、取組内容の説明に必要な限りにおきまして、例えば生産基盤の整備を取組の内容とする場合に、調達先として原材料の輸入相手国などを記載していただくことを念頭に置いたものでございます。例えば生産基盤の整備を取組の内容とする場合には、供給先として供給先企業の主たる業種を記載していただくことなどが考えられるところであります。
○塩川委員 これ以外に、供給確保計画において取引先の情報を記載するようなことというのはあるんでしょうか。
○泉政府参考人 お答え申し上げます。
先ほど大臣から申し上げましたとおり、第九条第三項第三号、こちらで記載をさせていただこうと考えてございます。
それで、具体的にどこまで記載を求める必要があるのかというのは、今後、安定供給確保のための取組であることを確認するための必要性ですとか物資の特性なども踏まえて、詳細については今後検討していく、こういうことでございます。
○塩川委員 そういった供給確保計画を作る上でも、外部に過度に依存といった状況というのは誰がどのように判断するようになるのか。
○小林国務大臣 お答え申し上げます。
外部に過度に依存している場合というのは、供給が特定少数国に偏っていて、現状の依存状況では供給途絶発生時に支障を来す場合というものを想定しているところでございます。
具体的に、特定重要物資を指定するに当たりましては、内閣府及び物資所管省庁などが連携をして、例えば、特定国への依存度の大きさですとか、特定国の供給が途絶したときの他国からの代替確保の可能性ですとか、また、物資自体の代替可能性、国内での代替調達あるいは生産の容易性、そして、供給途絶が国民の生存又は国民経済、経済活動に与える影響、こうした観点から総合的に勘案いたしまして判断することを想定しているところでございます。
今後、基本指針の策定に向けて、要件の詳細について更に検討を進めてまいりたいと考えます。
○塩川委員 政府に、この点では、政省令を含めて基本指針等お任せというところでもありますので、総合的に勘案するということも含め、政府の恣意的な判断がまかり通るようなことがあってはならないということを申し上げておきます。
それから、本法案では、重要物資の安定供給確保のために、国内生産基盤の整備、供給源の多様化、備蓄、生産技術の開発、代替物資の開発など、民間事業者による多様な取組について物資の特性に応じて支援することとしています。
特徴的なことでいいんですが、それぞれどのような支援を想定しているのか。
○小林国務大臣 お答え申し上げます。
民間事業者の多様な取組につきまして、イメージを持って御審議いただくため、想定され得る支援内容を例示いたしますと、例えば、生産基盤の整備でございますと、供給能力向上のために新たな生産設備を整備すること、また、供給源の多様化でございますと、これまで特定の国に生産設備が集中していた場合などに、ほかの国に新たに生産設備を整備すること、また、備蓄でございますと、不測の事態に備えて在庫を積み増していくこと、そして、生産技術の開発や代替物資の開発でございますと、例えば研究開発や実用化の取組、こうした様々な取組に対する支援が想定され得るところでございます。
いずれにしても、今後、安定供給確保が図れるように、具体的な支援の内容を更に検討してまいります。
○塩川委員 そういう意味では、かなり多様な支援ということにつながってまいります。
一つ備蓄についてお尋ねしたいんですが、備蓄についてもこの法案で、例示としては新型インフル特措法についての備蓄の例示があるんですけれども、他の個別法でも備蓄を規定をしているものがあると思います。それがそもそもどのようなもので、今回の法案と、そういう備蓄を掲げて規定をしているような個別法との関係はどういうふうになるのか、その点、御説明いただけますか。
○小林国務大臣 お答え申し上げます。
既存の個別法に基づいて備蓄を行っている例といたしましては、今委員からは新型インフル特措法に言及がございましたが、これについては、抗インフルエンザウイルス薬やインフルエンザワクチン、こうしたものを備蓄をしている。そのほかにも、例えば食糧法に基づきまして備蓄を行っている米、また石油備蓄法に基づいて備蓄を行っている石油、こうしたものが既存の法令の対象としては挙げられるところです。
一方、この法案は、国民の生存や国民生活、経済活動にとりまして重要な物資の安定供給確保を図るための枠組みを業種横断的に措置するものでございますが、民間事業者に対する支援では安定供給確保が困難である場合に、国が前面に出ていく、国が自ら備蓄等の措置を講じることとしています。
なお、国が主体となって備蓄を行う場合には、主務大臣が指定する法人に備蓄に必要な施設の管理を委託することも可能なたてつけとなっています。その際に、委員から御質問ございました、既存の法令等に基づいて既に備蓄を行っている物資につきましては、そもそも、この法案によって更なる安定供給確保のための措置の必要性を認める場合でなければ特定重要物資として指定することはございませんが、仮に当該物資を特定重要物資に指定することがあったとしても、既に備蓄を実施していることから、この法案に基づいて別途備蓄を行うことは基本的には想定していないところでございます。
○塩川委員 このスキームでは、備蓄については、民間事業者が重要物資の安定供給確保のためにその手段の一つとして備蓄を行うということと同時に、国としても備蓄を行う場合というのがあると。特別な対策を講じる必要がある特定物資について国自らが対策に乗り出す、その一つとして備蓄の話が出たんですが、ここで言っている、主務大臣が指定する法人への委託という場合のこの法人は、この法律で規定している安定供給確保支援法人とは別ですか。
○泉政府参考人 お答え申し上げます。
法律の第四十五条に、施設管理委託者という規定がございます。したがいまして、第四十四条の方で、主務大臣が安定供給確保のために特別な措置というものを講じた場合に、それに対して、それを効果的に実施するために必要があると認めるときは、施設管理委託者として主務大臣が指定する法人というものに管理を委託することができる、こういうことでございます。
○塩川委員 この備蓄をめぐっては、例えば、過去、国家備蓄をめぐっての不正事件なども生じております。石油備蓄基地で使われる製品の受注でカルテルが結ばれたと公正取引委員会が認定をし、大手メーカー五社に対し排除措置命令が出された、こういった事例もあります。
こういう国家備蓄をめぐる話として、このような不正が起こらないということが言えるんでしょうか。
○小林国務大臣 当然、これは認定をするときに計画をしっかりと出してもらいますから、それをしっかりと精査した上でやりますので、そういうことにならないように丁寧に検討していきたいと思います。
○塩川委員 国の関与が大きくなる中で、癒着が拡大する懸念というのも大きくなるということを指摘するものです。
次に、安定供給確保支援法人についてですが、これはどのような業務を行うのか、また、具体的にはどのような団体を想定をしているのかについて御説明ください。
○小林国務大臣 お答え申し上げます。
安定供給確保支援法人についてですけれども、事業者が行う特定重要物資の安定供給確保のための取組を支援することをその業務としております。
具体的には、事業者が主務大臣の認定を受けた供給確保計画に沿って特定重要物資の安定供給確保に取り組むに際しまして、取組に必要な資金に充てる助成金の交付などの支援業務を行います。
現時点ではいかなる法人が指定されるかは決まっておりませんが、特定重要物資に関する技術的知見を有する一般社団法人等を指定することを想定しておりまして、主務大臣が要件に合致するかどうかを客観的に審査をし、適切に判断していくことになるものと認識をしております。
○塩川委員 特定重要物資に係る技術的知見を有するような団体ということになると、そんなにたくさんあるわけではないと思うので、既存の団体なのか、例えば業界団体とか、そういうものが想定されるということでしょうか。
○泉政府参考人 お答え申し上げます。
先ほど大臣からお話ししましたとおり、指定されるかは現時点では決まっておりませんが、想定されるものとしては、業界団体等も想定される、こういうふうに考えてございます。
○塩川委員 そういう意味では、業界団体という話になりますと、やはりその業界団体との特別な関係も生ずるということにもなってまいります。
それと、必ずしもその業界団体でなくても可能なのか。いわゆる特定業界の事業者によって構成される団体、業界団体でなくても、安定供給確保支援法人に指定されるということはあるわけですね。
○木村政府参考人 お答え申し上げます。
先ほど来大臣から御答弁をさせていただいておりますけれども、特定重要物資に関する技術的な知見を有する団体ということでございますので、一般的な業界団体に限定する仕組みとはしておらないところでございます。
○塩川委員 安定供給確保支援法人に基金を造成するとありますけれども、この安定供給確保支援法人基金には、例えば、それぞれなんでしょうけれども、どのぐらいの基金を積み上げるということを考えているのか、その場合に、助成金の交付なども行うわけですが、その助成金の場合の例えば補助率とか助成金の額の条件とか上限とか、そういうのは定めがあるんでしょうか。
○木村政府参考人 お答え申し上げます。
特定重要物資は今後適切に決定をしていくということになってございますので、現時点におきまして、どのような規模の基金であるとか、あるいはその基金に基づく助成の条件等については決定しておらないということでございます。
以上でございます。
○塩川委員 政府はこの間、サプライチェーン関連の基金を造成してきました。例えば、サプライチェーン対策のための国内投資促進事業費補助金五千百六十八億円とか、先端半導体の国内生産拠点の確保六千百七十億円とか、ワクチン生産体制強化のためのバイオ医薬品製造拠点等整備事業二千二百七十三億円とか、当委員会でもそういう答弁もあったところですけれども、こういった既存のサプライチェーン関連の基金と今回の安定供給確保支援法人の基金とは、仕組み的には同じようなものというイメージでいいのかな。
○泉政府参考人 お答え申し上げます。
仕組み的にはとおっしゃいましたけれども、法律上は、第三十四条に安定供給確保支援法人基金という規定がございまして、これが何をするかと申しますと、安定確保支援業務について、これらの業務に要する費用に充てるための基金というふうに明記されてございます。
したがいまして、この法律に基づいて実施される安定供給確保支援業務に要する基金、要する財源について基金を設けるということでございまして、そのための基金になる、こういうことでございます。
○塩川委員 例えば、去年、5G促進法の議論の中で半導体工場についての建設の基金の造成があったわけですけれども、先端半導体の国内生産拠点の確保という基金について言えば、これはNEDOが管理をしているわけですけれども、今回のように、既存のこういった補助金、例えば先端半導体のそういった基金というのがそのままこの安定供給確保支援法人の基金にスライドをするとか、若干入り繰りがあったとしても、そういうこともこれは想定されるということなんでしょうか。
○小林国務大臣 これについては、基本的には区分経理をすることにしておりますので、5G法で造成した基金が、こちらの方の、この法律の枠組みの基金にそのままスライドするということは想定しておりません。
○塩川委員 スキームとして今後の制度設計をどうするかという話ですので、なかなか踏み込んでの話にはならないところですけれども。
安定供給確保支援独立行政法人ですけれども、これは、そもそも何で、どのような業務を担うのかについて、まず確認させてください。
○小林国務大臣 安定供給確保支援独立行政法人ですけれども、この独法の個別法で定める目的上、実施可能な範囲で、事業者が主務大臣の認定を受けた供給確保計画に沿って特定重要物資の安定供給確保に取り組むに際しまして、必要な資金に充てる助成金の交付などの業務を行うものであります。
具体的には、個別法で定める目的上、生産基盤の整備、そして生産技術開発などを支援できる独法といたしまして、今委員から言及がございました、いわゆるNEDOのほか、独立行政法人石油天然ガス・金属鉱物資源機構、いわゆるJOGMEC、また国立研究開発法人医薬基盤・健康・栄養研究所、いわゆる基盤研を別表に規定しておりまして、主務大臣がこれらの独法による支援が効果的と認める場合には安定供給確保支援独立行政法人に指定をして、安定供給確保のための業務を実施してもらうこととなります。
○塩川委員 それぞれ、この三つがどのような業務を担うのかという想定というか考え方があれば、教えてください。
○泉政府参考人 お答え申し上げます。
別表に書いてございます三つの独立行政法人でございますけれども、これにつきましては、なぜこの三つが選ばれているのかと申し上げますと、物資の生産の事業を所管する大臣がまず所管する独法であることということ、そしてその上で、この三つの独法が物資の実用化段階における研究開発の知見を有すること、そしてさらに、民間事業者による生産基盤の整備に対する支援が可能な独法であること、こういった観点から、この三つの独法を選んでおる、こういうことでございます。
○塩川委員 それを踏まえて、例えば、NEDOが半導体を担当するとか、JOGMECはレアアースとか、基盤研については医薬品とか、そういう考え方というのはあるんでしょうか。
○小林国務大臣 そういうものも想定し得るところではございますが、これは繰り返しになりますけれども、特定重要物資を決めるプロセスというのは、この法案が通った後、政令等を含めて、基本方針、基本指針を含めて、検討していくことになりますので、この場で予断を持ってお答えすることは差し控えさせていただければと思います。
○塩川委員 現状、NEDOについて、先端半導体の国内生産拠点の確保という形での基金が造成されています。区分経理ということですから、今回の法律に基づいて、別途そういった基金をつくれば、別なくくりで、別な経理でということでつくるというお話ではあるんでしょうけれども。
5G促進法の議論のときにもありましたが、TSMCとソニーの合弁会社が造る半導体工場、建設費が九千八百億円とも報道されておりまして、二分の一の補助ですから、上限がありませんので、ですから、当初四千億円と言われていたのが、建設費が膨らむというので、五千億円の補助とかということも言われているわけです。
こういったTSMCの事例のように、今回の法案に基づくような基金の造成というのが、天井知らずの巨額の補助ということにはならないのか。そういうことについてはどうお考えなんでしょうか。
○木村政府参考人 お答え申し上げます。
先ほども御答弁させていただきましたけれども、重要物資の指定、これからでございます。基本方針、基本指針に沿った形で、適正な、基金に基づく助成条件、これも検討してまいりたいと考えてございます。
以上でございます。
○塩川委員 既存のこのサプライチェーン関連の基金というのが、上限がないという基金なんかもあるものですから、そういった点で、どこまで膨らむのかといった危惧というのは当然浮かぶわけであります。
政府の判断によって指定した特定重要物資に特別な支援を行うということには特別扱いの懸念がついて回る、そういう点での癒着の懸念ということは拭えないと思うんですが、この点についてはいかがでしょうか。
○木村政府参考人 お答え申し上げます。
安定供給確保支援法人に対するガバナンスに関する御指摘だというふうに存じます。
この安定供給確保支援法人の行います業務は、その内容を法律で明記させていただいておりますほか、実際に業務を行うに当たりましては、業務規程を主務大臣の認可事項としてございます。そして、毎年度の事業報告書等も法律事項といたしまして事業年度終了後の報告、公表を定め、その他、区分経理規定や帳簿の保存のほか、必要な場合の主務大臣の監督命令規定や指定の取消し規定等も整備しているところでございまして、これらの規定を通じまして業務の適正かつ確実な実施を確保してまいりたいと考えてございます。
以上でございます。
○塩川委員 実際、補助金の額が大きく膨らんで、その中身について非常に裁量的なこと、過去、事件も起こってきたところを考えても、行政側の裁量権の広がりの中で政官業の癒着をつくり出す構図への懸念があることを指摘をして、今日は終わります。
ありがとうございました。
新聞「新埼玉」4月号より
塩川鉄也の国会から埼玉から
3月の倫理選挙特別委員会で、自民党の河井克行元法務大臣・案里夫妻の選挙買収事件に関連し、政党助成制度の廃止を呼びかけました。
河井事件は、自民党本部から交付された政党助成金が買収の原資との疑いがあります。
私は、1995年の政党助成制度導入以降の交付総額と受け取った政党数を質問。総務省選挙部長が「約8540億円、45政党」と答えだのに対し、「消えていった政党が37もある」と指摘。主要政党はどこも、政党助成金の依存率が7割から8割(国民87%・維新80%・立民77%・自民72%、2020年分)。これでは「国営政党」です。
政党助成制度を導入したとき、企業・団体献金は禁止するとしていましたが、2020年の企業・団体献金や政治資金パーティー収入が200億円にも上る実態を示し、「こうした“二重取り”は厳しい批判が寄せられても仕方がない。わが党は、参院に政党助成法廃止法案を提出した。廃止の検討を各党に呼びかけたい」と訴えました。
(衆議院議員・党国会対策委員長代理)
井原聰(東北大名誉教授)参考人は、法案の「特定重要技術」と「特許の非公開制度」に多くの問題があると陳述しました。
井原参考人は、「特定重要技術」の研究開発のために防衛省が研究者に「伴走支援」を行えば、「防衛・軍事研究推進になりかねない」と警鐘をならしました。
私は、競争的研究費を乱発すれば基礎研究がおろそかになると、井原参考人が指摘していることを紹介。政府の基礎研究軽視の問題と研究者の育成について質問。
井原参考人は「科学技術の基盤を育てなければ、社会課題に応える成果は生まれない」「自発性を育むには裾野の広い多様な研究の土壌が必要だ」と述べました。
また、井原参考人が法案の特許非公開による研究発表の差し止めなどについて、戦前の秘密特許が平和憲法になじまず廃止されたことなど問題を指摘していることについて、私が質問。
井原参考人は「特許制度は広く文化の問題だ。公開によって周りの研究者をはげますことになる」と述べました。
他の参考人からも、佐橋亮(東大准教授)参考人は、法案が曖昧であるため、基幹インフラの防衛で「民間企業等の負担が大きい」、サプライチェーンについても「罰則をもって営業秘密を含む情報を要求することは好ましくない」と述べました。
さらに、佐橋参考人は「若手研究者の研究環境が悪くなっている」と述べ、鈴木一人(東大教授)参考人も「理系だけでなく、文系の研究者も非常に苦労している」と訴えました。
経済安全保障法案に対する井原東北大学名誉教授の陳述(要旨)/衆院内閣委参考人質疑
「しんぶん赤旗」4月1日付・4面より
衆院内閣委員会が31日に行った参考人質疑での井原聰・東北大名誉教授の経済安全保障法案に対する陳述の要旨は以下の通りです。
法案の内容は政省令で示され、国会での議論が担保されていません。民主的側面からの工夫が必要です。
法案は、特定重要物資の安定供給などで「有事に備える」といいます。「有事」が何か語られず、国家安全保障戦略、防衛大綱、中期防衛整備計画との関係が不明なまま議論が進むことに非常に不安です。
米国防高等研究計画局(DARPA)に似せた組織設立の議論まで進んでいます。米国の「経済安全保障」の肝は防衛問題であり、防衛・軍事上の優位性、不可欠性をどう強化するつもりか、法案からは読み取れません。
法案は特定重要技術の研究開発のための大掛かりな「協議会」の設置を定めていますが、なぜ必要か不明です。防衛省が「伴走支援」すれば防衛・軍事研究推進になりかねません。
「協議会」メンバーには守秘義務と罰則を科しており、「協議会」からの離脱が自由か否かは大きな問題です。ユネスコの「科学および科学研究者に関する勧告」に照らせば、研究者は自由な離脱や意見表明の権利と責任を罰則のために放棄しなければならなくなります。
野依良治氏は「学術研究に従事する者が、自らの内在的動機に基づき行う研究は尊重されるべきであり、これにより全体として研究の多様性が確保されるのである」と提起しました。研究の多様性こそ基盤です。国立大学協会の調査では、40歳未満の若手研究者の約60%がパートタイマーであり、常勤の若手研究者の母数を増やすことが喫緊の課題です。
法案が位置付けるシンクタンクによる「調査研究」が、人工知能(AI)で監視するような調査ならば、研究者が国家によって監視されかねません。
特許制度は、科学や技術の発達だけでなく、学術研究体制や産業や文化の一部です。
法案は秘密特許制度を導入し、事前審査を行うとしています。事前審査を忌避できる環境がつくられるのか、「特定重要技術」が軍民両用の場合、その特許が保全指定され産業化できない不利益を十全に補償されるのか、支払う側の国が損失額の査定を行うことで公正が保たれるのか、大きな問題が含まれています。
公開を原則とする特許制度に軍事機密を持ち込むことは矛盾です。
大学発ベンチャー・ビジネスがたくさん生まれ始め、特に宇宙・海洋、量子、電磁気、サイバー、センサー分野の先端分野での活動が盛んです。秘密特許や特定重要技術としての囲い込みが、この分野の成長を鈍化させることも危惧(きぐ)します。
多くの問題を「特定重要技術」と秘密特許の問題に見ることができる。抜本的な見直しを求めます。
「議事録」
<第208通常国会 2022年3月31日 内閣委員会 第14号>
○塩川委員 日本共産党の塩川鉄也です。
今日は、四人の参考人の皆様に貴重な御意見を賜り、ありがとうございます。
最初に、四人の参考人の方全員にお尋ねをしたいと思っております。
官民技術協力の関係で、先ほど鈴木参考人もちょっと触れておられましたが、セキュリティークリアランス、適性評価制度についてお尋ねしたいと思っています。
小林大臣は、今後の検討課題の一つと答弁をしておられます。セキュリティークリアランス、適性評価制度については、その必要性を訴える声とともに、プライバシーの侵害や学問の自由の侵害、また、労働者の不利益取扱いといった問題が生じるのではないのかといった懸念の声もあります。
このセキュリティークリアランス、適性評価制度への評価、課題ついて、それぞれお答えいただけないでしょうか。
○佐橋参考人 ありがとうございます。
セキュリティークリアランスは、今回の法案が残した課題の一つであるというふうに私も理解しております。
そういった中で、このセキュリティークリアランスというものは、今後、国際競争や、機微技術の取扱いに関して国際的な共同開発などに入るときに、民間でも非常に有用になってくると思います。
ただ、このときに考えなくてはいけないのは、国際的に通用する枠組みにするということでありまして、そのためには、かなり、背景調査を含めた綿密な制度設計というのが必要になってきます。
私は、もし導入するのであれば、本格的な導入、国際的に通用するものが必要であって、簡易的な形で導入するということではなく、そういったしっかりとした制度設計にしていただきたいと思っております。
○村山参考人 私の方は、国際共同技術開発プロジェクトにおける重要性というのをお話ししたいと思います。
というのは、経済安全保障で、民間がある技術をいかに安全保障だとか国の安全に使うかというのは非常に重要なんですけれども、それを国際的にもやらなきゃならないと思います。そのときに、相手がセキュリティークリアランスが要ると言った場合、今は、政府からはいけるんですけれども、民間企業はいけないんですよね。だから、民間企業がいいものを持っていて、それを生かそうと思っても、セキュリティークリアランスをクリアできていないから参加できないということがあるということですね。だから、国際的にもそれをクリアできないと、日本の民間技術が使えない。
実は、私の場合も、そういう会議に行った場合、セキュリティークリアランスがありませんので、やはり、出てくる資料が、おまえには見せないみたいなところが結構、黒塗りした部分しか見せられないということがあるんですよね。そうなると、やはり研究にも非常に支障を来すわけですから、国際的にそういうことをやるためには、やはり国際的な標準をクリアしておく必要があるかなというふうに思います。
○鈴木参考人 もう既に佐橋参考人それから村山参考人からお話しされたことと私も同意するところが多々ありますが、一つだけ。
今回の法案でシンクタンクの設立が議論されておりますけれども、こういったところでの情報収集、そして、例えばアメリカでいうとランドですとかエアロスペース・コーポレーションといった、こうした政府にかなり近い政策提言をするシンクタンクも、やはりセキュリティークリアランスを持つことによって政府との情報交換ですとかそういったことを行っていて、それが結果的に政策提言につながっているというようなこともありますので、その点も含めてセキュリティークリアランスの問題というのは考えていくべきではないかというふうに考えております。
○井原参考人 私は、原則反対でございます。
人権に関わるわけですが、当人だけではなくて、その背後に連なる関係者たちにも大きな影響を与えます。
これは、御承知のように、企業と共同研究しているときに、特許で関わるようなそういう研究をするときに、隣にいる人とも口が利けないような、そういう環境というのは幾らでも、現状でもあるんですね。面白いというのはおかしな発言ですが、ドクター論文の審査のときに、白紙になっているんですよ。そういうので、何が学問、あるいは、その分野の研究が進むんだろうかと。
これまでも、かなり際どい議論をしながらやってきたわけですね。だから、今ここで力と力というふうな形でこれを進めようとすると、どうしてもこういう問題で規制をしなきゃいけないという形になるので、私は、そうじゃなくて、国際協調的なそういう精神で、研究の分野でも大いにそういうことができるだろう、技術開発の分野でも、少なくても、そういう機微な議論にどれだけ関わったらいいのかということにもなるだろうと思います。
以上です。
○塩川委員 ありがとうございます。
次に、井原参考人にお尋ねをいたします。
井原参考人は科学史、技術史が御専門ということで、日本の、政府の科学技術政策の問題についてお尋ねしたいんですが、井原参考人は、大学や研究機関の研究者の七割が非正規の短期雇用の下に置かれており、政府の競争的研究費を申請するために目先の成果に追われる研究者が多数いることを指摘をしておられます。政府が社会実装を目指す研究費を乱発すれば、基礎研究がおろそかになり、研究基盤が掘り崩され、日本の基礎科学がしぼんでいくと述べておられます。
基礎研究を軽視をした政府のこの間の科学技術政策の実態、問題点についてお話をお聞きしたいと思います。
○井原参考人 ありがとうございます。
実は、第三期科学技術基本計画のフォローアップをしたときに、当時の理工系大学院の海外調査、比較研究というのをやらせてもらったことがありますが、研究の基盤的なところがどれだけ大事かということで、そんな経験を持っているものですから、これはやはり、先ほどもちらっと出ていたようですが、科学技術基盤、ここを育てないと、こういう研究やこういう課題を解決してほしいんだという、そういう社会的な課題はいっぱいあると思うんですが、はい、これやって、これやってというふうな形で、うまい成果というのは基本的には生まれないだろう、そんなふうに思っています。
そういう意味では、科学技術基本計画の中で、基盤研究をどう豊かにしていくか、そこのところはやはりもっと明瞭に提起しないといけないだろう。特に研究者の、今、先ほども委員が出されたように、全体の三割は常勤で、七割しか。常勤の先生がいない、物すごい多忙になっているわけですね。
だから、そういう意味で、そこのところをどうやって底上げしていくかということがやはり科学技術政策の根幹になっていないといけないだろう。それが、何しろ、課題がこんなにあって、お金はこれだけつけましたから研究をやってくださいといっても、なかなか成果が上がるものではないというふうに考えております。
以上です。
○塩川委員 ありがとうございます。
続けて、井原参考人にお尋ねいたします。
研究者の人材養成、人材育成のことですけれども、井原参考人は、科学技術の発展は、時の政府や企業等のためにのみ貢献するのではなく、人類の福祉と尊厳、人権を損なうことのない行動を研究者は求められている、協議会に囲い込み、各省庁が社会実装に向けて支援伴走する方式は人材養成にはならないと述べておられます。
この法案での官民技術協力が人材養成にならないというのはどういうことか、本来、人材養成に必要なことは何なのか、この点についてお教えください。
○井原参考人 端的に言いますと、今回話題になっている、省庁が支援伴走するというふうな形で、何しろ研究を社会的実装に持っていこうというふうにけしかけている。私から見ると、お尻をたたいて、早く研究しろというふうにしか見えなくて、研究者の自発的なアイデアが、そういうところで、やはり豊かな土壌がないと、どうしても出なくなっちゃう、実りが少ないというふうなことですね。
ここでちょっと野依さんの例を出させていただいて、やはり富士山の、裾野が広ければ高いものが当然できてくるわけで、その裾野を、どうやって多様な裾野をつくるかということが面白い研究や先端的な研究を生み出すポイントだというふうに思っています。
そういうわけで、ここで強調されている、何しろ、私から見ると、尻をたたいて、早く研究せいという、そういうやり方では恐らく人材は、一つの特定の課題の研究の人材はできる、でも、それで終わりになる、私に言わせると、これは消耗品になっちゃうんじゃないか、そういう思いがしております。
以上です。
○塩川委員 ありがとうございます。
もう一問、井原参考人にお尋ねをいたします。
特許制度の非公開の問題で、特許制度は科学や技術の発達の欠かせない制度として定着をしてきた、戦前の秘密特許は平和憲法になじまないとして廃止されたと述べ、法案の問題点として、特許非公開に関わる研究発表の差止め、技術開発の停滞を、配付されました資料の中でも指摘をしておられます。
このような特許制度の非公開の仕組みについての問題点について、補足して御説明いただくことがあれば、お願いをしたいと思います。
○井原参考人 ありがとうございます。
特許制度は、私もその資料に書いたとおりに、知的財産の問題、知財の問題だけではなくて、広く文化の問題だというふうに考えているんですね。
御承知の方もいるかもしれませんが、そこに書いてあるように、アインシュタインが冷蔵庫のある種の特許を取っていた。知っている方もおられるかもしれませんが、物すごく幅の広い研究の中から、えっ、そんな実用的なことを彼は考えていたのと。そういうものだと思うんですね。彼なんかがそんな特許を取ってどうするのかというふうに思うわけですが、でも、研究というのはそういうものですから。
ユニークな研究や何かが生まれてくる、それをやはり特許にして本人のプライオリティーや利益をきっちり守っていく、そのことが周りの人を励ましていく、そういう関係になっているわけで、それをやはり、特許は即公開ということで、あっ、もう特許を取られちゃっている、じゃ、次のところをやらなきゃと。でも、それが隠されていると、そこのところをやる人が出てくる。これは、戦時中、そうですよね。三本か四本、並行的に同じ研究がやられていた。そういうのをつくって競争に勝てますかという思いが私はして、やはり特許は公開が原則。
だから、よく、秘匿しなきゃいけない、僕も理解できるんですが、それはもっと違う工夫が必要だろうと。それは、企業ではそうやってずっとやられている。ノウハウをどうやって仕込むか、そういう工夫をしないで、手軽にこれでと。それは、ますますそういう分野を狭くしていっちゃうということになりますので。そういうふうに考えます。
以上です。
○塩川委員 ありがとうございます。
それでは、佐橋参考人にお尋ねいたします。
お話の中で、基幹インフラの防護のことがございました。必要性とともに、経済団体の負担が大きいというお話がございました。
どのような負担が生じ得るのか、その点についての心配といいますか、懸念というか、現場の声なども含めて御紹介いただけないでしょうか。
○佐橋参考人 ありがとうございます。
基幹インフラに関しては、結局のところ、ここに関しては事業者が負担をしなくてはいけないわけです。もちろん、事前相談などの機会はあるわけですが。ただ、やはり一番大きい負担感というのは、じゃ、どれを使ったらいいのかというのが明示されていないということに尽きるんだというふうに思います。
ですが、そういったことは、結局は、事前相談の運用に関わってくるというふうに思っておりまして、各省庁が窓口で受けるというふうに承知しておりますけれども、その事前相談をかなり真剣に運用していくことで負担感の軽減につながるというふうには思います。
○塩川委員 時間が参りました。ありがとうございました。
私は、経済安全保障法案が「指定基金」として想定している「経済安全保障重要技術育成プログラム」(2021年補正予算で計上)において、成果の「公的利用」には軍事技術が含まれるのかと質問。
小林鷹之担当大臣は「将来的に防衛省の判断で活用されることはあり得る」と答弁しました。
その上で、これまで研究開発において、秘密保護法を除いて、機密情報の保全措置を求める法的枠組みはなく、罰則による担保がなかったことを確認。今回、踏み込んだ情報保全策について、罰則までもうけるやり方では、研究活動に大きな制約を持ち込むことになると批判しました。
また、小林担当大臣が情報保全策に更なる策の追加を検討していることに関して、適正評価制度(政府保有の秘密情報の使用者に情報を扱う適性があるか判断)についても追及。
小林担当大臣が「個人の情報に対する調査を含む」と答弁していることについて、私が、個人情報に対する調査とはどういうものか、とただすと、小林担当大臣は「秘密保護法を踏まえる」と明言しました。
「議事録」
<第208通常国会 2022年3月30日 内閣委員会 第13号>
○塩川委員 日本共産党の塩川鉄也です。
経済安全保障推進法案について質問いたします。
今日は、官民技術協力の関連でお尋ねをいたします。
最初に、大臣、デュアルユース技術というのはそもそも何なのか、この点について御説明をお願いいたします。
○小林国務大臣 お答え申し上げます。
委員御質問のデュアルユース技術についてでございますけれども、必ずしも確固たる定義があるわけではございませんが、一般的には、民生にも軍事にも用いることが可能な技術を指すものと承知をしております。
例えば、国際的な輸出管理の枠組み、ワッセナー・アレンジメントですけれども、このワッセナーのアレンジメントにおきましては、例えば、工作機械、半導体、コンピューター、こうした貨物ですとか、その関連技術がデュアルユースに含まれておりまして、一般的に幅広い概念であると理解しています。
また、例えば、電車に乗る際のICカード、あるいは携帯電話に用いられる暗号技術につきましてもデュアルユースとして輸出管理の対象とされているなど、幅広い概念であるものと理解をしております。
○塩川委員 デュアルユース技術は、民生にも軍事にも用いられる技術。この点、昨年六月閣議決定の成長戦略実行計画におきまして、経済安全保障の推進の冒頭に、「経済成長と安全保障の両面から大きな可能性を有する、半導体、AI、量子、5G等のデュアルユース技術(軍事転用可能な民生技術)への関心が高まっている。」とあります。デュアルユース技術というのが、軍事転用可能な民生技術ということであります。
補正予算で計上されました経済安全保障重要技術育成プログラムですけれども、これは、国のニーズを実現する研究プロジェクトを実施するとしております。説明では、「研究成果は民生利用のみならず、成果の活用が見込まれる関係府省において公的利用につなげていくことを指向。」とありますけれども、この公的利用には軍事技術が含まれるということでよろしいでしょうか。
○小林国務大臣 お答え申し上げます。
経済安全保障重要技術育成プログラムですけれども、これは、経済安全保障の確保そして強化の観点から、委員今言及いただいたAI、量子、あるいは宇宙、海洋といった技術分野に関しまして、民生利用や公的利用への幅広い活用を目指して、先端的な重要技術の研究開発を進めるものでございます。
また、このプログラムの開発対象となる先端的な重要技術は多義性を有しておりまして、その成果としては、具体的製品の開発、試作に至る前までの段階の様々な分野、用途への活用可能性を有する技術の創出を目標としているところでございます。
したがいまして、防衛装備品を始めとする具体的製品の開発や、個別の政府インフラや防衛装備品などの特定のニーズのみを念頭に置いた研究開発を推進するものではございませんが、将来的に、例えば、得られた成果が、民間における用途のみならず、防衛省自らの判断によって活用されることはあり得ると考えております。
○塩川委員 防衛省の判断によって活用されることはあり得る。その点で、やはり、こういった研究プログラムにおいて、科学技術の軍事利用の側面が出てくるということであります。
そこで、協議会についてお尋ねをいたします。
経済安全保障重要技術育成プログラムについては、協議会の設置が必須となっております。また、ムーンショットなど国の資金により行われる特定重要技術の研究開発のプロジェクトについて、その資金を交付する関係府省の大臣が、研究開発の内容や進捗状況を踏まえ、研究開発に有用か、これまで提供できなかった機微な情報の共有等が適当と認められる場合に、特定重要技術開発基本指針に基づき協議会が設置をされる、こういう仕組みだということでよろしいでしょうか。
○小林国務大臣 その理解で正しいと思います。
○塩川委員 協議会では機微な情報の共有が行われるということになります。
経済安全保障法制に関する有識者会議では、先端技術の実装を進める意味では、警察、海保、防衛といった政府部門の具体的なニーズを研究者と結びつけていくことが非常に重要との議論がありました。
官民協議会は、防衛、軍事など政府側のニーズを研究者と結びつける場にもなるということでしょうか。
○小林国務大臣 官民協議会は、これまでも申し上げますとおり、政府からの、ある意味、一定の、協議会の構成員の方々の同意を得た上でですけれども、守秘義務がかかるということになっておりますので、そうした枠組みの中で、国のニーズというものを、しかるべき進捗状況などに応じて共有をしていくことになると想定しています。
○塩川委員 有識者会議にある、警察、海保、防衛といった国のニーズを研究者と結びつける場にもなるということであります。そういう意味では、科学技術の軍事利用の観点で、研究者を組み込む仕組みにもつながっていく。
そこで、官民で情報の交換などを行う協議会では、その構成員に安全管理措置を設けるとともに、国家公務員並びの守秘義務を課して、罰則による担保を行うなどの技術流出対策の措置を講じるといいます。
大臣、答弁でもおっしゃっておられたんですが、確認ですけれども、従来の研究開発では、秘密保護法を除き、政府が提供する機密性の高い情報に対して保全措置を求める法的枠組みはなく、守秘義務契約を締結する場合でも、罰則による担保はなかったということでよろしいでしょうか。
○小林国務大臣 委員の御理解でよろしいかと思います。
○塩川委員 そうしますと、罰則まで設けるやり方で、研究活動に大きな制約を持ち込むことになるんじゃないのか、こういう懸念が出てくるわけですが、その点はいかがでしょうか。
○木村政府参考人 お答え申し上げます。
今回は、協議会に参加される構成員の方には、守秘義務を前提として、政府の持っております機微な情報を共有させていただくということでございますけれども、この罰則につきましては、主な情報提供者となることが想定されております政府職員とのバランス、これを確保するということとともに、企業や研究者の方が萎縮して本法案の協議会の枠組みへの参加をちゅうちょすることのないようにという両方の観点を踏まえまして、国家公務員と同等の罰則を伴う守秘義務を課させていただく、このような枠組みにさせていただいているところでございます。
以上でございます。
○塩川委員 ですから、こういった罰則まで設けるやり方では、研究活動に大きな制約を持ち込むことになりはしないか、こういう懸念についてどうお答えされるのか。
○小林国務大臣 それは、何か協議会に自分の意思に反して入らなければいけないというものではなくて、あくまで、研究者代表の同意を前提に協議会というものが設けられます。
今回、守秘義務を設けることによって、今答弁にもありましたけれども、機微な情報、それは、国のニーズだけではなくて、サイバーのインシデント情報、あるいは、これまで国がやってきた研究開発の成果、様々なそういう情報をしっかりと円滑に安心して共有できることによって、先端技術の官民の協力した形での育成というものが逆に進んでいくというメリットがあるというふうに考えまして、今回、こういう枠組みを設けた次第であります。
○塩川委員 今、基礎研究の予算がどんどん減らされる中で、こういった特定の目的に沿った、国のニーズに基づく、同意を前提にしてといいますけれども、そういったプログラムの予算が拡充をしていく。こういう点での研究活動への不自由さの懸念、公開でこそ学問研究は発展する、このことを申し上げておきます。
次に、セキュリティークリアランス、適性評価制度の問題であります。
小林大臣は、セキュリティークリアランスについて、今後の検討課題と答弁をされています。このセキュリティークリアランス、適性評価制度とはどのようなものか、御説明ください。
○小林国務大臣 委員の質問にお答え申し上げます。
その前に、今委員がその前の質問で、研究開発の成果は公開をというふうなお話がありましたが、我々としても、この枠組みの中で、成果については公開を基本とするというふうに考えておりますので、その点は御理解いただければと思います。
その上で、セキュリティークリアランスですけれども、いわゆるセキュリティークリアランスにつきましては、主要国を中心に、諸外国では、機微技術に関するものを含め、主として政府が保有する秘密情報の保全等の観点から、秘密情報へのアクセス資格を有することを決定する制度として導入されているものと承知をしております。
我が国におきましては、特定秘密の保護に関する法律に基づいて、政府が保有する特定秘密の取扱いが見込まれる者に対しまして、第五章に適性評価とあるんですけれども、適性評価として、その者が特定秘密の取扱いの業務を行った場合にこれを漏らすおそれがないことについての評価が実施されていると承知をしております。
○塩川委員 今お答えいただきましたように、セキュリティークリアランス、適性評価制度は、政府が保有する機微情報、秘密情報を取り扱わせようとする者について、秘密情報を取り扱う適性を有するかを判断する制度であります。秘密保護法においては、特定秘密を漏えいするおそれがないと認められた者のみに特定秘密の取扱いの業務を行わせる適性評価制度が導入をされています。
そこで、今回の経済安全保障の推進法案に係り、経済安全保障の取組として、政府は、このセキュリティークリアランスについてはどのような検討を行ってきたんでしょうか。
○小林国務大臣 お答え申し上げます。
いわゆるセキュリティークリアランス制度につきましては、各国との共同研究などを民間部門も含めて進めていく上で、我が国でもクリアランスを取得できないかといった声があることは承知をしております。実際、この委員会の審議の場でも幾つかの党からそういう声もいただきました。
他方、クリアランス制度につきましては、個人の情報に対する調査を含むものであって、こうした制度に対する国民の理解の醸成の度合い、そして海外においてクリアランスの取得を要請される具体的事例の検証などをまずは踏まえた上で、今後の検討課題の一つになり得るものと認識をしております。
まず、今回のこの法案の中におきましても、技術流出対策の防止という観点からは、先ほど議論になっていたこの協議会の枠組みというものを設けさせていただいておりますけれども、お尋ねのセキュリティークリアランスにつきましては、これまでも海外の制度の状況について調査を行ってきたほか、現在、海外においてクリアランスの取得を要請される具体的事例の把握を行っているところでございます。
○塩川委員 海外の調査を行ってきたという点でのお話だったんですけれども、経済安全保障法制に関する有識者会議においては、このセキュリティークリアランスについてはどのような議論が行われたんでしょうか。
○小林国務大臣 お答え申し上げます。
経済安保法制に向けた有識者会議、これは、十六回に及ぶ議論の中で、セキュリティークリアランスについて一部言及があったのは事実でございます。
具体的には、特許非公開に関する分野別の検討会合におきまして、非公開とされた特許出願を取り扱う職員として、クリアランスを受けた者が関与するのが重要ではないかとの意見がございましたが、その後、この法制にクリアランスを含むべきとの議論にはならず、この有識者会議の提言にも含まれなかったことから、今回の法案には反映されていないところであります。
○塩川委員 このセキュリティークリアランスの政府における検討の状況ですけれども、有識者会議では盛り込むべきという議論にはならなかったという話ですけれども、経産省にお尋ねします。
二〇一九年の経産省産構審通商・貿易分科会安全保障貿易管理小委員会の中間報告ですけれども、我が国の情報保全に係る制度としては、特定秘密保護法に基づく特定秘密やMDA秘密保護法に基づくMDA秘密があるが、これらに該当しない機微技術に係る情報については制度が不十分であるとして、機微技術に関する国際共同研究開発に我が国企業が参加できないという指摘もあり、産業保全に関する今後の対応について検討すべきとしております。
この中で、セキュリティークリアランスについてはどのように記載をされておりますか。
○風木政府参考人 お答えいたします。
御指摘の二〇一九年の中間報告でございますが、安全保障貿易管理小委員会における同年の有識者の御議論を取りまとめたものです。
この中では、技術流出防止策だけで技術優位性を確保することには限界があり、機微技術情報を把握する取組や、技術優位性を伸ばし脆弱性を解消する取組も必要とされているところであります。
その上で、日本が機微技術に関する国際共同研究開発のパートナーとして受け入れてもらえるよう諸外国との情報保全対策の同等性確保が必要とされており、セキュリティークリアランスを含む産業保全について、今後の対応について検討すべきと記載されているところです。
○塩川委員 セキュリティークリアランスを含む産業保全についての検討を行うという話です。
機微情報の情報保全のため、セキュリティークリアランスを含む産業保全の対策を検討することを求めたといった中間報告でしたが、経産省としては、その後どのように対応されたんでしょうか。
○風木政府参考人 経済産業省においては、この報告書を出した後に、私どもが承知しているのは、二〇二〇年の統合イノベーション戦略の中に、一部、諸外国との連携が可能な形での重要な技術情報を取り扱う者への資格付与の在り方を検討すべき、こういう記載がされたと承知しております。
○塩川委員 統合イノベーション戦略二〇二〇で、「諸外国との連携が可能な形での重要な技術情報を取り扱う者への資格付与の在り方を検討。」とあります。
この統合イノベーション戦略二〇二〇を踏まえて、政府としてはどのような検討を行ってきたんでしょうか。
○小林国務大臣 先ほどお答え申し上げましたけれども、このいわゆるセキュリティークリアランスにつきましては、海外の制度の状況について調査を行ってきたほか、現在、海外においてクリアランスの取得を要請される具体的事例の把握を行っているところであります。
○塩川委員 元々、政府での検討と同時に自民党としての検討をしてきているというのを承知をしております。二〇二一年五月の自民党新国際秩序創造戦略本部の骨太に向けた提言でも、セキュリティークリアランス制度を提案をしております。政府・与党内でセキュリティークリアランスの検討が積み重ねられてきたわけであります。
そこで、大臣にお尋ねしますが、小林大臣は、セキュリティークリアランスとは個人の情報に対する調査を含むものと先ほども答弁をされました。個人情報に対する調査というのはどのようなものでしょうか。
○小林国務大臣 お答え申し上げます。
私がいわゆるセキュリティークリアランスにつきまして個人の情報に対する調査を含むものと申し上げたのは、諸外国の例や我が国の特定秘密保護法に基づく適性評価制度を踏まえて、これら諸制度の調査が個人の情報に対するものを含むことから、あくまでも一般論として申し上げたものでございます。
これまでも答弁申し上げておりますが、海外においてクリアランスの取得を要請される具体的事例の検証などをまずは踏まえる必要があると考えておりまして、現時点で、どのような調査を行うかといった具体的な検討には至っておりません。
○塩川委員 諸外国や特定秘密保護法の適性評価制度を踏まえての検討ということで、個人の情報に対する調査というのが、諸外国や特定秘密保護法の適性評価制度を踏まえたものというお話でした。
そうしますと、秘密保護法の適性評価制度に準じてこの機微技術に関するセキュリティークリアランスを検討しているということでよろしいでしょうかね。
○小林国務大臣 今申し上げましたけれども、現時点で、どのような調査を行うかといったことも含めて、具体的な検討には至っていないということを申し上げたいと思います。
○塩川委員 秘密保護法の適性評価制度を踏まえたものということが前提といいますか、念頭に置いてということでよろしいですかね。
○木村政府参考人 お答え申し上げます。
重ねて大臣から御答弁申し上げておりますけれども、セキュリティークリアランスについては、これまで海外の制度の状況について調査を行ってきましたほか、海外においてクリアランスの取得を要請される具体的な事例の把握を行っているところでございますので、その具体的な制度の在り方についてはいまだ検討はしておらないということでございます。
以上でございます。
○塩川委員 内閣情報調査室のトップの内閣情報官を務め、また国家安全保障局長だった北村滋氏の著作に「情報と国家」というのがありますけれども、その中で、秘密保護法はあくまで国家内部に存する秘密の保全に主眼が置かれている、民間企業において生成された機微情報を保護する仕組みにはなっていない、今後民間事業者を対象とした機密取扱いの資格制度の導入が急がれることとなろうと書かれておりますが、このことは御承知でしょうか。
○小林国務大臣 このことというのは、済みません、どのことをおっしゃっているのか、明確におっしゃっていただければと思います。
○塩川委員 北村滋氏の「情報と国家」の中の記載において、秘密保護法はあくまで国家内部に存する秘密の保全に主眼が置かれている、民間企業において生成された機微情報を保護する仕組みには現行なっていない、今後民間事業者を対象とした機密取扱いの資格制度の導入が急がれることとなろうと書かれていることについては、承知はしておられるか。
○小林国務大臣 私自身も北村氏のその著書については拝読しておりますので、承知をしております。
○塩川委員 この方向で、いわば、秘密保護法の適性評価制度にとどまらず、民間事業者を対象とした適性評価制度の検討を行っていくというお立場ということで。確認です。
○小林国務大臣 先ほどから申し上げているとおり、海外においてクリアランスの取得を要請される具体的事例の検証などをまずは踏まえる必要があると思っておりまして、現時点で、どのような調査を行うかといったことを含めまして、具体的な検討には全く至っておりません。
○塩川委員 秘密保護法の適性評価制度を踏まえてというお話がありました。
そこで、秘密保護法の適性評価制度における調査事項というのはどういうものなのかを説明してください。
○小林国務大臣 お答え申し上げます。
適性評価のために調査する事項は、特定秘密保護法第十二条第二項に規定されております。全て明確に申し上げますけれども、まず、特定有害活動及びテロリズムとの関係に関する事項、二つ目として犯罪及び懲戒の経歴に関する事項、三つ目として情報の取扱いに係る非違の経歴に関する事項、四つ目として薬物の乱用及び影響に関する事項、五つ目として精神疾患に関する事項、六つ目として飲酒についての節度に関する事項、七つ目として信用状態その他の経済的な状況に関する事項、これらについて調査を行い、当該調査の結果に基づき、その者が特定秘密の取扱いの業務を行った場合にこれを漏らすおそれがないことについての評価を実施するものでございます。
○塩川委員 秘密保護法の適性評価制度における調査事項には、犯罪及び懲戒の経歴や薬物の乱用、影響に関する事項、飲酒についての節度に関する事項、精神疾患に関する事項、信用状態その他の経済的な状況に関する事項という点でいえば、非常にセンシティブな情報というのが含まれているわけであります。
大臣は、クリアランス制度に対して、国民の理解の醸成の度合いなどを踏まえた上で、今後の検討課題の一つと述べておりますが、こういった非常にセンシティブな個人情報を調査事項とするということについて、やはり国民の懸念の声があるということはお考えでしょうか。
○小林国務大臣 正確に申し上げますと、今後の検討の課題になり得ると申し上げているところであります。
○塩川委員 実際に検討していく際に、こういった個人情報についての懸念の声が国民にあるということについては、念頭に置かれておられるでしょうか。
○小林国務大臣 例えばセキュリティークリアランスによる個人情報保護に関する懸念についてどう考えるかという形でお答えをさせていただきますと、諸外国の例を見ますと、いわゆるセキュリティークリアランス制度には個人の情報に対する詳細な調査が含まれておりまして、こうした制度に対する国民の理解の醸成の度合いを十分に検証する必要があると私は考えております。
諸外国の例や特定秘密保護法の適性評価の調査項目を例とすれば、機微な情報にアクセスするポストへの異動や国際共同研究などを行うに先立ちまして、通常は上司などに報告義務のない犯歴、薬物やアルコールの依存症歴、また精神疾患、信用状態その他の経済的状況などのセンシティブな個人情報を報告させて調査することとなっておりまして、本人の同意を得るとはいえ、そうした調査に応じることとなることへの理解ですとか、あるいは、その評価対象者のみならず、関わりが深い家族や同居人についても特定有害活動やテロリズムとの関係について調査することへの理解、調査の結果、クリアランスが与えられなかった者が企業や研究機関内に生まれることへの理解などが社会一般に醸成される度合いというものを検証していく必要があるものと考えております。
○塩川委員 そういう点でも、家族や同居人への調査なども含めて行われるという点でも、このセキュリティークリアランスが、プライバシー侵害の重大な危惧が生じる、こういうことは拭えないということを申し上げておきますし、本人が不同意の場合ですとか、クリアランスが否定や撤回された場合の不利益取扱いの問題というのも当然あると思うんですね。そういったことなども視野に入っておられるのか。
○小林国務大臣 お答え申し上げます。
特定秘密の指定及びその解除並びに適性評価の実施に関しまして統一的な運用を図るための基準におきまして、適性評価は、特定秘密の取扱いの業務を行った際に特定秘密を漏らすおそれがないことについての評価であり、人事評価又はその他の能力の実証を行うものではなく、人事評価のために適性評価の結果を利用等してはならないこととされております。特定秘密の保護以外の目的で利用されることは禁じられております。
なお、適性評価の実施に同意しなかった者や、適性評価の結果、特定秘密を漏らすおそれがないと認められなかった者は、特定秘密を取り扱わない部署に配置換えされたり、特定秘密を取り扱う部署には配置されなかったりすることにはなりますが、これは特定秘密の保護のための措置であって、不利益な取扱いには当たらないと認識をしております。
○塩川委員 そこは異見のあるところだと思います。
時間ですので終わりますが、セキュリティークリアランスは、今言った労働者の不利益取扱いなどの問題、プライバシーの侵害や学問研究の自由の侵害の問題が生じる。そういった秘密保護法、そもそもその前提となっている秘密保護法が、秘密の範囲は政府が決めて、国民には何が秘密かも秘密だ。国民の知る権利や報道の自由を奪う。今回の経済安全保障推進法案の官民技術協力は、経済安全保障推進法案において秘密保護法制を拡大することにつながる、そういう問題があるということを指摘をして、質問を終わります。
経済安保法案の質疑に立ち、国会の関与は予算に関する最低限のものである一方、政省令への委任か所が138に上ることを内閣官房の答弁で明らかにし、政府への白紙委任だと言われても仕方がない、と批判しました。
私は、法案の対象に災害や感染症、気候危機が含まれているかと質問。
小林鷹之担当大臣は「ただちには含まれない」とあいまいな答弁。
私は「国民の生存に必要不可欠」で「外部に過度に依存」している「特定重要物資」には、食料、衣服、エネルギーが含まれるかと質問。
小林大臣は「基本指針で定めるので、現時点で予断を持って言及することは控える」と述べ、食糧、エネルギーは既存の法制度があることもふまえ検討するとして明らかにしませんでした。
私は、さらに、法案では国家安全保障局の事務に安全保障に関して、経済政策の基本方針などを司ることを追加していることをあげ、外交・防衛政策と一体に、経済政策が運用されることになると指摘。土地利用規制法も経済安保の一環として位置付けられていることは重大だと批判しました。
「議事録」
<第208通常国会 2022年3月23日 内閣委員会 第11号>
○塩川委員 日本共産党の塩川鉄也です。
経済安保推進法案について質問をいたします。
今日は、まず、フレームの点についてお尋ねいたします。
本法案では、外部から行われる行為により国家及び国民の安全を害する行為という文言が何か所も使われております。ここで言う外部とは何なのかについて御説明ください。
○小林国務大臣 お答え申し上げます。
外部から行われる国家及び国民の安全を害する行為とは、例えば、外国政府等の主体により行われる我が国の国家及び国民の安全を害する行為をいいます。
例えば、基幹インフラにつきましては、二〇一五年に、ウクライナの変電所に対するサイバー攻撃によって大規模かつ長期にわたる停電が発生した事案などが発生いたしました。
国家の関与の下、我が国に対してそのような攻撃が行われるとすれば、それは、外部から行われる国家及び国民の安全を害する行為に該当し得ると考えられるものでございます。
○塩川委員 外国政府によるという話でありました。
そうしますと、外部から行われる行為、国家及び国民の安全を害する行為という点について言うと、例えば、自然災害ですとか感染症ですとか気候危機というのは、そういう形では含まれるというものではないということでしょうか。
○小林国務大臣 原則、外部というのは先ほど申し上げたとおりなんですけれども、一般論として申し上げますと、今委員から御指摘のございました災害あるいは感染症、気候危機といったような事象というのは、我が国の外部から行われる行為によって引き起こされたものとは考えにくいので、単にそうした事象のみでは、直ちにこの法案に言う外部から行われる国家国民の安全を害する行為には含まれないと考えられるというものでございます。
○塩川委員 それだけでは当てはまらないというお話であります。国民的な受け止めというのはいろいろ幅がありますので、そういった点での、法案が何を位置づけているのかというのを明らかにすることは重要だと考えます。
それから、本法案で、政令、省令委任という箇所というのはかなり出てくるんですけれども、本法案における政省令への委任箇所数というのは全部で幾つなのか、この点、お答えください。
○小林国務大臣 お答え申し上げます。
委任箇所の数は、作成される政令数で数えるか否かといった論点がありますが、確定的にお答えすることは困難でございまして、ただ、この法案において、政令という言葉は五十一回、省令を示す言葉、これは主務省令とか内閣府令という言葉がありますけれども、それは八十七回使用されております。
○塩川委員 政令で五十一回、省令、内閣府令や主務省令ということで八十七回ということですから、単純に足せば百三十八か所という点で、かなりの数に上るということであります。
それ自身が、重要事項のほとんどが政省令事項になっているという点でも、こういった中身について、やはり、例えば政令の考え方などを示すということというのは是非やっていただきたいと思うんですが、その点、いかがでしょうか。
○木村政府参考人 お答え申し上げます。
あらゆる事項を全て法律に規定いたしますということになりますれば、それ自身は大変困難であると考えてございます。加えまして、行政の複雑性でありますとか、あるいは行政に求められる機動性に対応するためには、必ずしも適切とは言い難い、このように考えてございます。
下位法令への委任につきましては、委任事項の多寡ではなくて、委任事項の内容が重要でありますところ、一般的には、手続的な事項でありますとか、あるいは技術的な事項、事態の推移に応じ臨機に措置しなければならないことが予想される事項につきまして委任をすることがあるものと承知してございまして、本法におきましても同様の考え方で規定をさせていただいているところでございます。
その上で、本法案の委任事項につきましては、例えば、物資につきましては要件を法律上明確に示す、事業につきましては、法律上の要件の下で、法律上に限定的に列挙する十四事業の中から定めることとする、技術分野につきましては、法律上の要件の下で、国際特許分類等をもって定めることといたしますなど、法律上、可能な限り明確化するように努めているところでございます。
以上でございます。
○塩川委員 でも、そういう程度しか説明がないわけですから、大事なところが政令や省令に委任をされているという点についても考え方を示すということはあっていいわけで、今後、具体的な法案の中身というものの関係では、そういった政令についての考え方なども是非示していただきたいと思っております。
このように政省令に委任される項目が非常に多い一方で、国会の関与の在り方、そういった点で、この法案において国会という言葉というのはほとんど出てこないんですけれども、本法案における国会関与の仕組みというのはどうなっているのか、この点について御説明ください。
○小林国務大臣 お答え申し上げます。
御指摘の国会報告につきましては、サプライチェーンの強靱化に関する制度として、この法案の第三十四条第九項、そして第四十三条第二項におきまして、主務大臣が安定供給確保支援法人基金及び安定供給確保支援独立行政法人基金に係る業務に関する報告書の提出を受けたときは、基金における予算の執行状況を対外的に明らかにすることで執行の透明性を確保する観点から、これに意見を付して国会に報告しなければならない旨を規定しているところでございます。
○塩川委員 安定供給確保支援法人基金、また安定供給確保支援独立行政法人基金の業務報告書についての国会報告の義務という点だけであります。これは予算措置との関係がありますから、これについて国会への報告義務を課すということだろうと思います。法律で基金を設けるときに係る国会報告として行われるものであって、ある意味、最低限の規定でしかありません。
重要事項が、多く政省令で、政府の一存で決まり、国会関与がほとんどないような、こういう仕組みというのは、率直に言って、政府にお任せ、白紙委任と言われても仕方ないんじゃないでしょうか。
○小林国務大臣 この法律の施行に当たりましては、安全保障を確保するための経済施策の全体に関わる事項を規定する基本方針を策定した上で、この基本方針に基づいて、四つの施策ごとに、有識者の意見を聞いた上で、各施策に固有の事項を規定する基本指針を策定することとしております。
こうした基本方針や基本指針の策定に当たりましては、国会での御審議も十分に踏まえたものとしていかなければならないと考えております。また、この法律案の施行に必要な予算につきましては、予算審議の際に当然国会に御審議いただくこととなります。
こうした形で、国会での御審議の内容も踏まえつつ、この法律案、成立しましたら適切に執行していきたいと考えているところであります。
○塩川委員 是非、審議を通じて明らかにしていただきたいと重ねて要望するものです。
こういった法律が作られる場合、その執行体制の点ですけれども、現行の国家安全保障局経済班の役割はどういうものなのかについてまず御説明をいただけますか。
○泉政府参考人 お答え申し上げます。
国家安全保障局は、国家安全保障に関する司令塔である国家安全保障会議の事務局として同会議を恒常的にサポートするとともに、国家安全保障に関する企画立案、総合調整等を行ってございます。そして、その中で経済班は、経済安全保障の確保が我が国の外交、安全保障上の喫緊の課題となっている中、経済分野における国家安全保障上の課題について俯瞰的、戦略的な対応を迅速かつ適切に行うべく、令和二年四月に設置され、安全保障と経済を横断する領域で生ずる様々な課題に対し、関係省庁と連携しながら、法制度の検討作業を進め、関連施策を推進しております。
○塩川委員 経済分野における国家安全保障上の課題について俯瞰的、戦略的な対応を迅速かつ適切に行うということで、外交・防衛政策と経済の一体的な推進、その点については、そういうことでよろしいですか。
○泉政府参考人 お答え申し上げます。
御指摘のあった点、今回の法案でも関連はしております。今回の法案の附則において、内閣法そして国家安全保障会議設置法等の改正を行ってございます。
具体的に申し上げますと、今回の法案の附則第九条でございまして、今回の法整備に合わせまして内閣法第十六条を改正いたしております。これは国家安全保障局の所掌を追加するものでございます。具体的には、国家安全保障に関する外交政策及び防衛政策に加えまして、国家安全保障に関する経済政策についても、その基本方針及び重要事項に関する企画立案及び総合調整を国家安全保障局の所掌の一つとして明示する、こういうものでございます。
そして、附則の十条でございますけれども、国家安全保障会議設置法第二条を改正いたしまして、国家安全保障局の所掌と同様に、国家安全保障会議の審議事項を追加するものでございます。具体的には、国家安全保障に関する外交政策及び防衛政策に加えまして、国家安全保障に関する経済政策についても、同条第一項第十一号に定める審議事項の一つとして明示するというものでございます。
そして、最後に附則の第十一条でございますが、内閣府設置法第四条を改正いたしまして、本法案の施行に必要な事務を内閣府の所掌に追加することとしております。行政各部の施策の統一に必要な総合調整等を行うこととするとともに、個別施策の実施及び推進に関する事務を行うこととする、こういうこととしてございます。
○塩川委員 附則の九条から十一条の説明がありました。本法案による内閣法の改正で、国家安全保障局の事務として、これまでの国家安全保障に関する外交政策、防衛政策に加えて、経済政策の基本方針に関する事務をつかさどることになるということですが、これは現行とこの法改正で何がどのように変わるということでしょうか。
○小林国務大臣 従来からNSS、国家安全保障局では、我が国の安全保障に関する外交政策及び防衛政策の基本方針並びにこれらの政策に関する重要事項として経済分野に関する事項についても企画立案、総合調整を行ってきたところでございます。
今回の法改正によりまして経済政策が国家安全保障局の所掌の一つとして明示されることを踏まえまして、この法律案に基づいて実施する安全保障の確保に関する経済施策を含め、経済安全保障を強化するための取組を更に加速していくということでございます。
○塩川委員 国家安全保障政策として、外交政策、防衛政策、こういう政策と並んで経済政策が掲げられるようになる、国家安全保障政策として外交・防衛政策と一体に経済政策が運用されることになるということであります。
そこで、附則の第九条と第十一条についての説明で、経済安全保障における国家安全保障局と経済安全保障を所掌する内閣府の関係、経済安全保障における国家安全保障局と内閣府の関係について説明をしてもらえますか。
○泉政府参考人 お答え申し上げます。
今回の法律の施行を担う組織として、今般新たに内閣府に所掌事務を追加するということでございます。その上で、内閣官房においては、先ほど先生もおっしゃられたとおり、元々の総合調整機能を担っておりますので、国家安全保障に関する外交、防衛に加えて経済というものを明示する、こういう形になります。
以上でございます。
○塩川委員 国家安全保障局は、今回の法律によって、経済安全保障全般の企画立案、総合調整の事務を担う。内閣府の方は、経済安保推進法の範囲内で、企画立案、総合調整の事務、内閣補助事務を行うとともに、経済安保推進法に基づく個別の事務、分担管理事務を行う。そういう整理ということでいいですか。
○泉政府参考人 お答え申し上げます。
具体的に内閣府設置法をどういうふうに改正するかと申し上げますと、内閣府設置法の四条の第一項、そして第三項、両方の項を改正いたします。第三項については、おっしゃられましたとおり、分担管理事務として、今回の法案の施行に関する事務並びに安全保障の確保に関する経済施策の総合的かつ効果的な推進に関する事務、これを担わせるということでございますし、四条の第一項に関しましては、内閣補助事務として、行政各部の施策の統一に関する総合調整に関する事務、こういったものを担わせる。こういう所掌事務を二つ追加してございます。
○塩川委員 ですから、私の説明でいいということでよろしいですか。
○泉政府参考人 正確に申し上げますと、内閣府設置法四条の一項には、柱書きのところで、行政各部の施策の統一を図るために必要となる次に掲げる事項の企画立案……(塩川委員「国家安全保障局と内閣府の関係」と呼ぶ)
○上野委員長 済みません、指名してからお話をお願いします。
○泉政府参考人 それで、済みません、四条一項に書いてありまして、その中で、括弧書きがございまして、内閣官房が行う内閣法第十二条二項第二号に掲げる事務を除くという規定もございます。そこで入れ子のような形になっている、こういうことでございます。
○塩川委員 国家安全保障局は当然司令塔ということで位置づけられていて、その下で内閣府に必要な所掌の事務を担うところがあって、そこで内閣補助事務、分担管理事務を法律の範囲で行うという体制ということです。
それで、実際に内閣府に置かれる組織というのは、今の経済安全法制の準備室が衣替えをして事に当たるということを元国家安全保障局長の北村滋さんがおっしゃっていたんですが、そういうことですかね。
○小林国務大臣 今回の法施行を行う組織につきましては、今般新たに内閣府に担わせることとしておりますが、具体的な体制についてはこれからということになろうかと思います。
○塩川委員 国家安全保障局は、重要土地等調査法、土地利用規制法に基づく政策の企画立案、総合調整を所掌してきました。この点、今回の法改正ではどうなるんでしょうか。
○泉政府参考人 お答え申し上げます。
御指摘のありましたとおり、NSSにおいては、重要土地調査法の基本方針に関する企画立案というものを所掌してございました。その規定については内閣法に規定があったわけでございますけれども、今般、先ほど申し上げましたとおり、国家安全保障局の所掌事務として、国家安全保障に関する外交、防衛、経済というふうに書き改めたものでございますから、そこで読めるということで、引き続き、規定ぶりは直しますけれども、国家安全保障局において所掌する、こういうことでございます。変わりはない、こういうことでございます。
○塩川委員 これは、現行の条文が削除されて、当然、改正の方に外交政策、防衛政策と経済政策が入った、この国家安全保障局の事務として新たに位置づけられる経済政策の中で、重要土地等調査法の事務を読み込むということですか。
○木村政府参考人 お答え申し上げます。
御指摘のとおりでございます。
○塩川委員 そうすると、重要土地等調査法というのは、経済安全保障の側面もあるということですね。
○木村政府参考人 お答え申し上げます。
経済政策の面もございますが、外交、防衛に関する部分も含まれているもの、このように整理しているところでございます。
○塩川委員 重要土地等調査法、土地利用規制法が経済安全保障の一環として位置づけられているということであります。
昨年、土地利用規制法の議論も行いまして、自衛隊や米軍基地、原発周辺及び国境離島の住民に対してプライバシー権や財産権等を侵害する違憲立法であり、重要事項が皆、政省令事項という政府への白紙委任立法だということで厳しく批判をされた法律であります。このような土地利用規制法が経済安全保障の一環として位置づけられているというのは、極めて重大だと言わざるを得ません。
その上で、経済安全保障法制準備室長であった藤井敏彦氏の件についてお尋ねをいたします。
国会に提出をされました、国家安全保障局への立入り申請許可証についてお尋ねをいたします。
この立入り申請許可証について、五枚提出をされましたが、その訪問客というのはそれぞれどなたでしょうか。
○室田政府参考人 お答えを申し上げます。
この立入り申請許可証につきましては、審議における要請を受けまして、藤井氏が直近三年で関わりのあった、不識庵で関わりのあった二十社のうち、私どもが今手元に残っております、令和二年、令和三年度の出入りの記録に残っている会社についての立入り許可証の写しでございます。
具体的に申し上げますと、二十社のうち、二社、そして五件の立入りがあったということでございます。
○塩川委員 この二社というのはどの企業でしょうか。
○室田政府参考人 お答え申し上げます。
大変申し訳ございませんけれども、不識庵と藤井氏の直近の関わり、二十社いずれも、現時点において社名を公表してほしくないということを申しておりますので、この二社が具体的にどの会社であるかということについては、現時点では差し控えさせていただく必要がございます。
○塩川委員 それはおかしいんじゃないでしょうか。
この間、電機メーカーA社社員の国家安全保障局への出入りに関する調査結果というのがあって、この電機メーカーA社については日立製作所という形での答弁もあったところであります。ですから、この二社、五件のうちの二社に日立製作所は入っているということでいいんですよね。
○室田政府参考人 お答えを申し上げます。
A社、電機メーカーA社が日立製作所であるということにつきましては、塩川先生からの度々の御要請がありまして、委員長の御指示に基づきまして、A社たる日立製作所と相談をした結果、A社が日立製作所であるということについては公表してもよいということの同意を得ましたので、公表させていただいた次第でございます。
他方で、現時点で、二十社のいずれも、自分たちの名前を出してほしくないというふうに申しておりますので、先生御指摘の日立が二十社に含まれるのかという御質問にお答えするということは、二十社の一つのお名前を出すということになりますので、大変申し訳ないんですけれども、現時点では二十社のお名前を出すということはできないということで御理解いただければと思います。
○塩川委員 委員長、是非、この点をはっきり答えるように言ってもらえませんか。
○上野委員長 後刻、理事会で協議いたします。
○塩川委員 政府は、電機メーカーA社について、日立製作所と認めております。
この立入り申請許可証、五枚出してもらったわけですけれども、そのうちの四枚は、この立場でいっても、A社関係者の来訪日、つまり、このA社は日立製作所となっているわけですから、日立製作所が来訪した日が令和三年の二月四日、三月十日、四月五日、四月八日となっています、その日付に対応するように、出された五枚のそれぞれの立入り申請許可証、うち四枚がこれに対応していますので、立入り申請許可証五枚のうち四枚は日立製作所社員の国家安全保障局への立入りということでいいですよね。
○室田政府参考人 お答え申し上げます。
御指摘の四つの期日が一致しているという点につきましては、これは客観的事実としてそのとおりでございますけれども、繰り返しになって大変恐縮でございますが、日立製作所はA社が自分たちであるということは対外的に公表していいと言っていますけれども、二十社いずれも、まだ、二十社に自分たちが当たりますということについて同意をしてくださっておりませんので、その段階におきましては、私どもとして勝手にお名前を公表するということは難しいという点につきましては、改めて御理解ちょうだいできればと思います。
○塩川委員 こんな答弁をずっとやっている以上、まともな議論はできないじゃないですか。委員長もおかしいと思いませんか。
○上野委員長 室田審議官、的確な御答弁をお願いいたします。
○室田政府参考人 お答え申し上げます。
二十社の中で、名前を出していいという会社が出てきたら、それはきちんと御報告させていただきたいと思いますが、今この瞬間で申し上げれば、二十社全て、名前を出してほしくないという状況でございますので、今ここで、私の一存で会社のお名前をお伝えするということはできないということについて、お願いをいたします。
○塩川委員 私、二十社全部を出せという話はそもそもしていないんですよ。電機メーカーA社が日立製作所でした、日立製作所が国家安全保障局に出入りをしていた、その際の立入り申請許可証の四枚について、ちょうどこの政府が出されているペーパーにある日付と合うようにこの申請証が出ているものだから、それは日立製作所ですよねという当たり前の確認をしているだけなので、日立製作所に関する話なんですけれども、その点、何で答えられないのか不思議でならない。委員長も不思議と思いませんか。
○上野委員長 相手方があることでございますので、そのような判断かと思います。
○室田政府参考人 お答えを申し上げます。
日付が四つ全て同じであるということは、私も、そのとおりというふうなところでございますけれども、いずれにしましても、二十社の中で一社につきましてでも、その会社の御了承を得ないとやはり我々としてはお名前を出せないということでございますので、まさに、今、度々の御要請ございましたので、二十社全てとの関係で、相談をさせていただきたいというふうに思います。
○塩川委員 元々、二十社と関係ない話で私は聞いていたんですよ。元々、この電機メーカーA社の国家安全保障局への出入りについてのペーパーの話をしているわけで、これは直接、二十社の話と関係ないですから。A社が日立製作所と認めたということだから、この四回は日立製作所が来ているよね、単純にそういうことですよね。
○室田政府参考人 お答え申し上げます。
A社が日立製作所であるということと、二十社の中に日立製作所が含まれているか否かという問題は、私どもとしては別の問題としてやってまいりました。
日立製作所との関係においては、A社は日立製作所かという点については同意を得られております。他方で、二十社いずれも、大変、繰り返しになって恐縮でございますけれども、自分たちの名前が二十社の一つとして出るということに今のところ同意をしていないという状況、これも客観的事実としてございます。
しかし、今、再三の御要請がありましたので、特定の一社ではなくて、我々としては二十社平等に扱う必要があると考えていますので、二十社全体につきまして、お名前を出していいかどうかについて事後に確認をさせていただきたいというふうに思います。
○塩川委員 それはそれで出してください。でも、二十社と関係ない話を聞いているんですよ、これ。
皆さんが出した三月九日付の国家安全保障局のペーパーの中で、この電機メーカーA社の国家安全保障局の出入りの調査結果があります。この電機メーカーA社が日立製作所と認めました。だとしたら、日立製作所の来訪日に、令和三年の二月四日、三月十日、四月五日、四月八日、来ていますよね、日立製作所がこの日に来訪していますよねということは言えるでしょう。
○室田政府参考人 お答え申し上げます。
私、今申し上げられますのは、三月九日に発表させていただきました、電機メーカーA社、すなわち日立製作所の国家安全保障局への出入りに関する調査結果といったことで、日立製作所は、令和三年二月四日、同年三月十日、同年四月五日、同年四月八日に国家安全保障局を来訪している、これは申し上げることができます。
○塩川委員 こういった短期間、二か月の間で四回も日立製作所の社員が藤井氏を訪ねて、国家安全保障局を来訪している。国家安全保障局というのは、こんなに頻繁に特定の民間企業が来訪するところなんでしょうか。
○室田政府参考人 お答え申し上げます。
国家安全保障局におきましては、内規に基づきましての、外部の人間の出入りをきちんと規制をしておりますけれども、今の御質問、こんなに短い間に一つの会社が来るものなのかどうかということについて申し上げれば、必要があるときにはそういうこともあろうかと思いますし、必要がなければそんなに頻繁に来ないということは申し上げられるかと思います。
○塩川委員 どんな必要があったんでしょうか。
○室田政府参考人 お答えを申し上げます。
A社、すなわち日立製作所との関係につきましては、日立製作所から聴取をした結果としては、話題は最近の経済状況等であったということで、より具体的に申しますと、藤井氏が専門にしておりますCSR、企業の社会的責任、あるいはESG、環境、社会、ガバナンスといった問題についての議論を行っていたということでございます。
では、これは国家安全保障局として必要なことだったのかと言われれば、率直なところ、国家安全保障局としての本来業務ではないと思います。他方で、そのような本来業務でないお客さんが来てはならないというほど、我々としても厳しく規制をしているということでも必ずしもございませんし、私どもにとって重要なことは、そのような四回の会談において、法案の内容の漏えいであるとか不適切な職務上の便宜供与があったかどうかということでございますけれども、それについてはなかったということを先方からも確認しておりますし、その点について、結果として四回の訪問というものがあったということ自体が特段の問題であったというふうには考えておりません。
○塩川委員 この問題、しっかり明らかにしていただいた上でまたお尋ねしますけれども、基幹インフラ役務に係るような安定的な提供の確保の制度をつくる、そういったときに、この日立製作所の社員の人が上下水道分野や治水、利水分野などを領域とする水事業部の担当部長だったという点でも、経済安全保障との関わりがどうだったのかというのは明らかにする必要がある、これでは疑念を拭うことができないということを申し上げ、納得いく答弁ではないということを重ねて申し上げて、次の機会に譲ります。
それから、サプライチェーンの関係ですけれども、特定重要物資ですが、この特定重要物資というのは何か。国民の生存に必要不可欠で、外部に過度に依存している食料や衣服やエネルギーというのは含まれるものでしょうか。
○小林国務大臣 この法案では、特定重要物資の指定に当たりましては、国民の生存に必要不可欠若しくは広く国民生活又は経済活動が依拠している重要な物資であることに加えまして、外部に過度に依存しているか又は依存するおそれがあること、それに加えまして、外部から行われる行為によりまして国家及び国民の安全を損なう行為を未然に防止する必要があること、そして、当該物資等の安定供給確保を図る必要が特に認められること、この四つの要件で絞り込むこととしております。
この法案において、どのような物資を特定重要物資として指定するかということにつきましては、この指定の具体的な考え方、要件など基本的な考え方については、有識者の意見を聞いた上で、安定供給確保基本指針において定め、また、個別物資ごとに特定重要物資としての指定の必要性を判断していくため、現時点で予断を持って言及することは控えたいと思いますが、その際、特に、委員御指摘の食料やエネルギーに関しましては、既存の法的枠組みや政策体系で既に備蓄を始めとする安定供給確保のための措置が講じられているケースがあることも踏まえまして、本法案に基づき更なる安定供給確保のための措置を講ずる必要性があるか否かという点については、しっかりと検討していく必要があると考えております。
○塩川委員 食料、エネルギーもこの法案の対象となり得る、そういうこともあり得るということですか。
○小林国務大臣 先ほど、冒頭、四つ要件を申し上げたと思うんですけれども、そのうち最後の、当該物資等の安定供給確保を図る必要が特に認められるか否かという基準に照らして判断しなければなりません。今の時点で、この食料、エネルギーが必ず入るのかということについては申し上げることができません。
今、先ほど言った、既存の法体系がある中で、四つ目の要件である安定供給確保を図る必要が特に認められるか否かという点について、しっかり検討していく必要があると考えております。
○塩川委員 なかなか一言でこうだということがお答えいただけない。政府への白紙委任と言われても仕方がないということを重ねて申し上げます。
それから、供給確保計画の記載事項はどういうものなのか。その中身で、供給確保計画において取引先企業の情報も記載することになるんでしょうか。
○小林国務大臣 供給確保計画は、特定重要物資の安定供給確保に取り組もうとする事業者が、主務大臣、これは物資所管大臣ですけれども、この大臣の認定を受けるために作成するものです。
この計画におきましては、例えば、安定供給確保を図ろうとする特定重要物資又は原材料の種類ですとか、供給能力、技術獲得などの目標、あるいは取組の具体的な実施内容、実施期間、また申請者が取組を行う際の組織や人員等の実施体制、また、例えば緊急時における供給体制の強化など需給逼迫時の対応、そして特定重要物資などの生産、輸入、販売の現状に関する情報などの事項を記載していただくことを想定しているところでございます。
今委員から御指摘のあった取引先の件につきましては、生産、輸入、販売の現状として、この法案の第九条第三項第八号に掲げる事項として、供給確保計画に記載いただくことを想定しているところでございます。
○塩川委員 これは、第八号の方で、現状どうなっているという際に取引先の情報も書くことになりますねということと、今後の計画として出す第四号の方の取組の実施体制、そちらの方でも取引先の情報を出すというふうになるんでしょうかね。
○木村政府参考人 お答え申し上げます。
取引先の情報につきましては、先ほど大臣から答弁させていただきましたように、法案の第九条第三項第八号に掲げます供給確保計画の作成者における当該特定重要物資等の調達及び供給又は使用の状況ということとして記載いただくということを想定してございます。
以上でございます。
○塩川委員 第四号の取組の実施体制のところで取引先の情報を書くというようにはならない。
○木村政府参考人 お答え申し上げます。
御指摘のございました第四号ではなく、第八号に掲げる事項として記載いただくということを想定してございます。
○塩川委員 いや、第八号は現状ですので、計画として、今後の話として、第四号に、取組の実施体制を書くとなっているから、これからの計画において、こういう取引先とやりますよ、そういった情報を提供するのかどうかということなんですけれども。
○泉政府参考人 重ねての説明になりますけれども、供給確保計画というのは、民間事業者の方がこういった取組をしたいといって主務大臣に提出する計画でございます。したがいまして、この四号というのは、申請者、こういう取組をするんですという申請者の方の組織、人員の体制、これを念頭に置いてございます。
したがいまして、実際、物資についての取引先の情報云々というのは、何度も申し上げておりますとおり、八号、こちらに記載する、こういうことを念頭に置いております。
○塩川委員 企業秘密だったサプライチェーンを政府に報告することに今懸念の声が上がっているわけですけれども、その点については、大臣、どういうふうに受け止めておられますか。
○小林国務大臣 この法案に基づくサプライチェーンの調査は、当然、本法の施行に必要な限度で実施することとしているほか、国家公務員がサプライチェーン調査を通じて知った民間事業者の機微情報を漏らした場合には、通常の秘密漏えいよりも重い罰則を設けております。
こうした中で情報管理体制を整備しておりまして、企業秘密が外部に漏えいすることがないように特に配慮しているところでございます。
○塩川委員 今までやっていないところまで踏み込むような対応ですので、懸念は拭えないということを申し上げて、また次の機会にしたいと思います。
ありがとうございました。