【議院運営委員会】発熱外来不足が深刻/支援求める

 まん延防止等重点措置の期間延長にあたって、政府から報告を受け、質疑を行いました。

 私は、無料PCR検査で陽性が出ても保健所への電話がつながらず感染者と認定されていないケースや、大阪で新規感染者の登録に大幅な遅れが生じている実態をあげて、感染実態が正確に把握できていないのではないかと質問。

 山際大志郎経済再生担当相は「百点満点だとは思っていない。穴があるものと反省し、なくさないといけない」と答弁しました。

 私は、首都圏の医療機関で発熱外来に平日80人、休日明けは百数十人の患者が殺到するなど、診察を断らざるを得ない事態だと述べ、発熱外来が足りていないと指摘。政府は増やすとしているが、いくつ増やすのかと迫りました。

 「できるだけ増やすとしかいいようがない。発熱外来を増やしても、集中しているところが分散するわけではない」とする山際担当相。

 私は、患者を分散するために、増やすことが重要だと批判しました。

 そのうえで、一昨年秋に開始した発熱外来診療体制確保補助金で3万1千カ所から、診療報酬の特例加算に切り替え後の1年で4千カ所しか増えていない。発熱外来補助金を復活して、地域の医療機関の参加を増やせるように支援するべきだと要求。

 山際担当相は「今の体制で増やせるものを増やしていく」としか述べませんでした。

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「議事録」

<第208通常国会 2022年2月18日 議院運営委員会 第9号>

○塩川委員 日本共産党の塩川鉄也です。
 療養者数、重症者数、また死亡者数が増加をし、特に死亡者数は最悪を更新している深刻な事態であります。
 感染拡大の速度は鈍化が見られるということですが、新規感染者数の把握が実際どうなのか。
 埼玉県内のある男性は、無料のPCRセンターに行き、陽性の結果が出たので、保健所に電話をかけたがつながらない、結局、八十回以上かけたけれども保健所と連絡が取れなかったと言います。そのため、感染者と認定されていない。大阪の事例のように、HER―SYSに新規感染者数が入力できず、大幅な遅れが生じて深刻な事態となっていると言います。
 このように、感染実態が正確に把握できない実態があるのではないでしょうか。
○山際国務大臣 これは先ほども御答弁申し上げましたように、我々としては、百点満点だというふうには思っておりません。ですから、当然、今、塩川先生が具体的な事例を御披瀝いただきました、そのように穴があるものだということは、我々としては、反省もしておりますし、それをなくしていかなくてはいけないという思いでございます。
 しかし、どうしても、先ほども申し上げたように、全体としてはうまくいくようにつくってあったとしても、それを運用する現場にまで行けば、その現場に集中してかなりの感染が起きているなんということは当然起こり得るわけでございまして、それも踏まえておかなくてはいけないだろうというお叱りも受けるかもしれませんが、そこの部分を何とかうまく回るように努力をし続ける中で、全体像としてはそれほど間違ったものにはならないようにしていくということしかないのかなと思っております。
○塩川委員 首都圏のある医療機関にお話を聞きますと、発熱外来に患者が殺到しているということです。平日八十人、休日明けが百数十人。検査担当者の人は五週間連続休みなしということで、そのため、今後は検査を断らざるを得ない事態になっていると言います。陽性者の対応は医師が行うことになるので、県への連絡やHER―SYSへの入力など、四、五人の医師が張りついてやらざるを得ない。
 このように、発熱外来に患者が押し寄せる状況は変わっておらず、発熱外来が足りていません。政府はなり手を増やすとしていますが、現在三万五千か所の発熱外来は幾つまで増やす予定でしょうか。
○山際国務大臣 これは、できるだけ多くとしかちょっと言いようがないんですが、政府としても今先生がおっしゃったような問題意識は持っておりまして、どうしても集中するところに集中するというのはあるものですから、仮に発熱外来の数を増やしたとしても、その集中しているところが分散するということがあるかというと、そうでもないということもありますよね。
 ですから、全体としてどうすればうまく回るのかということを工夫しながら、しかし、発熱外来は、増やせるものなら増やせるだけ増やしたいという思いでございます。
○塩川委員 集中しているところを分散してもらうような、そういう点でも量としての発熱外来そのものを増やすことは重要で、一昨年秋に開始した発熱外来診療体制確保補助金の実施によって、昨年四月一日の時点で発熱外来は三万一千か所まで増えました。しかし、その後、この補助金を打ち切り、診療報酬の特例加算に切り替えた後の一年近くでは四千しか増えておりません。
 発熱外来補助金を復活して、地域の医療機関の参加を更に増やせるように支援すべきではないでしょうか。
○山際国務大臣 これも以前同じような質問をいただいたと思うんですが、発熱外来を一気に増やさなくてはいけないステージのときには、その一気に増やすことに対する補助を行ってまいりましたし、さらに、その他、院内での感染拡大を防ぎながら患者の診療をしていただくというような体制を整えるというステージに入っていたときには、それに対する補助をつけておりますし、また、新型コロナの疑い患者に対して、必要な感染予防策を講じた上で、外来診療を行った場合の診療報酬上の特別な措置の対応というのを今はやっております。
 ですから、そのステージ、ステージにおいて何が必要かということを考えながら、補助の中身を変えるということを今までやってまいりました。
 先ほども申し上げたように、まだそれでも逼迫している部分が一部あるということであれば、それに対しての対応が何かできないかということは考えておりますけれども、今のところ、今の体制で、増やせるものを増やしていくということで進んでいきたいというふうに思っております。
○塩川委員 確保補助金の廃止で増えていないんですから、復活することによって更に増やす、このことを求めて、質問を終わります。

【予算委員会】社会全体の賃上げに逆行/公務員の賃下げはやめよ

 岸田文雄首相が看板政策として賃上げを掲げる一方で、幅広い労働者の賃金に影響を与える公務員の賃下げを進めていることを告発し、賃上げの好循環を作るのならば公務の賃金引き下げはやめよと強調しました。

 岸田首相は自民党総裁選で、賃金が公的に決まるにもかかわらず報酬が十分でない職員の収入を思い切って増やすとして「公的価格を抜本的に見直す」と打ち出しました。2月から保育、介護などの分野で3%(月額9000円)の処遇改善が実施されます。

 私は、保育士の賃金は全産業平均と比べて9万円以上低く、引き上げは不十分だと指摘。さらに公立保育所の保育士の賃上げは、1月28日時点で申請のあった134自治体のうち、公立を対象としたのは34自治体のみだったことを確認し、なぜ自治体は消極的なのかと質問。

質問に使ったパネル(クリックで拡大します)

 まともに答えない岸田首相に対し、私は、理由を明らかにしなければ打開のしようがないと批判。自治体が消極的な理由として、2022年度の地方財政計画の給与関係経費をマイナス人勧を反映して2709億円も削減し、総務省からは地方公務員給与を人勧に基づき下げるよう通知まで出していることを指摘、一方で賃上げを要請しながら、他方で賃下げを要求する。やっていることが支離滅裂だと批判しました。

 私は、『公的価格の抜本見直し』というのなら賃金に係る最大の『公的価格』が人事院勧告に基づく公務員給与改定だと強調。人勧の影響は800万人近くの労働者に及ぶとして、「マイナス人勧に基づく公務員の賃下げは撤回せよ」と主張。

 岸田首相が「人勧は民間準拠だ。民間を含めて全体の賃上げが実現すれば、人勧の引き上げにつながる」と答えたのに対し、私は、過去、人勧を値切って賃下げを押し付けた事例はいくつもあると指摘。それを棚上げしてマイナス人勧は押し付ける。こういうやり方が公立保育所の保育士の賃上げを妨げることにもつながっているとして、民間の賃上げと公務の賃上げと好循環をつくることこそ政治の仕事だ。公務員の賃下げ押し付けはやめよと強調しました。


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論戦ハイライト/本気で賃上げ図っているのか/衆院予算委/塩川議員の追及

「しんぶん赤旗」2月19日・2面より

公立保育園賃上げ/わずか34自治体/人勧に基づく賃下げ撤回を

 日本共産党の塩川鉄也議員は18日の衆院予算委員会で、岸田首相の目玉政策である「公的価格」の見直しについて「やっていることが支離滅裂で、本気で賃上げしようとしているのか」と迫りました。

 保育士の賃金は全産業平均比で月額9万円以上低い(2020年賃金構造基本統計調査)のが実態です。政府は22年2月から9月の間、保育士などの賃金を月額9000円引き上げる処遇改善事業を進めています。

公定価格に左右

 塩川氏は「今回の取り組みでこの格差を解消するのか」と追及。岸田文雄首相が「女性保育士は全産業の女性の平均並みまで引き上がる」などと答弁しました。塩川氏は、女性の中での賃金格差の話ではなく男女一体での格差の解消を問うていると批判し「一桁少ないというのが現場の声だ」と指摘しました。その上で「本当に保育士の賃金は上がるのか」とただしました。

 保育士などの賃金は、国が定める「公定価格」に左右される仕組みとなっています。塩川氏は、保育士の賃金も公務員賃金に準じて算定されるため、22年度(21年度比)は公務員賃金が0.9%引き下げられたことが保育士の賃金に連動していると指摘しました。

 減額分に対応する額を上乗せしていると述べた岸田首相に、次のようにただしました。

 塩川 処遇改善事業を行う場合は穴埋め分も措置するとしているが、今回の事業を実施しないと、賃上げどころか引き下げられてしまうのではないか。

 野田聖子少子化担当相 夏の人事院勧告の状況を見つつ、10月以降も引き上げが維持されるよう対応を検討する。

 塩川 答えていない。本気で賃上げを図ろうとしているのか。政府の責任は重大だ。

800万人近く影響

 さらに塩川氏は、公立保育園で賃上げの動きになっていない実態を告発しました。

 処遇改善事業の第1回申請で、申請があった183自治体のうち公立保育園も賃上げするのは34自治体です。塩川氏は「5分の1しかない」と指摘し、自治体が賃上げに消極的な背景には、22年度地方財政計画で地方公務員の賃金にかかわる給与関係経費が減額されているからだと追及しました。

 岸田首相 予算・補助金等はしっかり措置している。まだ1回目。手続きの問題だ。

 塩川 答えていない。2600億円の処遇改善事業を行う一方で、22年度地方財政計画の給与関係経費は2709億円の削減だ。さらに昨年11月、総務副大臣通知で、地方公務員のボーナスも国家公務員にならって引き下げを行えと自治体に押し付けている。賃上げが進まないのは当然だ。

 塩川氏の批判に対し、岸田首相は否定できず、うなずくだけでした。塩川氏は、人勧が影響する労働者は800万人近くに及ぶことをあげ、「収入を上げるというなら、人勧に基づく賃下げを撤回すべきだ」と求めました。


「議事録」

<第208通常国会 2022年2月18 予算委員会 第16号>

○塩川委員 日本共産党の塩川鉄也です。
 今日は、岸田総理の看板政策の一つであります、公的価格の抜本的見直しについてお尋ねをいたします。
 岸田総理の自民党総裁選政策集には、「あなたの所得が増える「公的価格の抜本的見直し」」、看護師、介護士、幼稚園教諭、保育士など、賃金が公的に決まるにもかかわらず、仕事内容に比して報酬が十分でない皆様の収入を思い切って増やすため、公的価格評価検討委員会を設置し、公的価格を抜本的に見直すとあります。
 昨年十月の所信表明演説では、看護、介護、保育など、新型コロナ、そして少子高齢化への対応の最前線にいる皆さんの収入を増やしていきますと述べております。
 総理に伺います。
 賃金が公的に決まるというのは、どういうことでしょうか。
○山際国務大臣 委員御指摘のように、新しい資本主義を実現するために、保育、看護、介護等の分野において、その仕事に見合った適切な処遇が行われるように、賃金の引上げが持続的に行われる環境整備を行うというふうに我々としてはしております。
 その中で、今委員がお示しした、公的に決められるというのは、例えば、保育士の賃金に関して申し上げるならば、子ども・子育て支援新制度における公的価格など、サービスの対価等として各事業所に支払われる額でありまして、これを原資として、各事業所において保育士等の賃金が決められることになります。
 今般、収入を三%程度引き上げるために公的価格の引上げ等を行い、この引上げ分が確実に賃金の引上げに充てられるよう、措置を講じることとしております。
○塩川委員 保育士の話については、その公定価格で公的にサービスの対価が決定される、賃金の原資が公的に決められるということであります。
 看護職員、介護・障害福祉職員、保育士、幼稚園教諭等は、政府の関与によって賃金が左右されるという仕組みになっています。
 総理、お聞きしますが、保育士の賃上げについてです。
 二〇二〇年の賃金構造基本統計調査を見ると、全産業平均では月額四十・六万円ですが、保育士は三十一・二万円です。その賃金格差は月額九万円以上になります。
 今回の賃上げの取組によって、この格差を解消するんでしょうか。
○岸田内閣総理大臣 保育士の給与は他の職種に比べ低い状況にあり、その人材確保に向けて処遇改善に取り組む必要があると思います。
 このため、これまでの累次の処遇改善に加えて、新しい資本主義を起動するための分配戦略として、保育などの現場で働く方々の給与を三%程度、月額九千円程度引き上げることといたします。
 引上げに当たっては、それが継続的なものになるよう、補正予算により本年二月に前倒しして実施した上で、本年十月以降については、当初予算において、公的価格の見直し等により措置することとしております。これにより、女性保育士の賃金は、全産業の女性の平均並みまで引き上がることになると認識をしております。
○塩川委員 女性の中での賃金格差の話じゃなくて、男女一体とした中での賃金格差の解消という点で、保育士の場合では全産業と九万円以上の差が月額である。今言っているのは、三%、九千円、それも頭割りにするともっと少なくなるという点では、一桁少ないというのが現場の声であります。
 コロナ禍の保育現場で、子供たちの感染防止に細心の注意を払いながら、自らも感染しないように外出も控えるような暮らしを続けている、こういう仕事に報いることこそ必要だというのが元々の趣旨ではないでしょうか。
 その上で、本当に保育士の賃金が上がるのかという問題であります。
 保育の公定価格の算定に当たっては、人件費や事業費、管理費等について、各々対象となる費目を積み上げて算定しており、そのうち人件費の額については、国家公務員の給与に準じて算定をしています。
 来年度の公定価格の人件費は増えているんでしょうか。
○野田国務大臣 従来から、保育所等の公定価格における人件費は国家公務員の給与に準じて算定しており、令和四年度から公定価格の減額改定を行う予定でありますが、令和四年度以降も処遇改善の効果が継続するよう、令和三年度補正予算において、令和四年四月から九月までの間、公定価格の減額相当を含めて補助を行うこととしています。
 また、令和四年度十月以降についても、本年の人事院勧告の状況を見つつ、処遇の改善の効果が継続されるよう対応してまいります。
○塩川委員 来年度の公定価格の人件費は減っているということでいいですね。
○岸田内閣総理大臣 公定価格の人件費、これは国家公務員の給与に準じて算定しており、令和四年度から公定価格の減額改定を行うことが予定されているということであります。
 しかし、令和四年度以降も処遇改善の効果が継続するように、令和三年度補正予算において、令和四年四月から九月までの間、公的価格の減額相当額も含めて補助を行うということにしております。減額分もしっかり勘案した上で、その上にこの金額が今度出てくるようにしっかり措置を行うということであります。
 また、令和四年十月以降についても、本年夏の人事院勧告の状況も見つつ、処遇改善の効果が継続されるよう対応を検討してまいります。
○塩川委員 来年度の公定価格の人件費は減額となっています。
 そこで、パネルを用意いたしました。保育士の賃金改善率ということですが、実際には、近年ではマイナスとなっているのが現状です。保育士の賃金は、人事院勧告に準拠して、公務員賃金に準じて算定をされます。一番左の棒グラフ、二〇一九年度に比べて、左から二番目の二〇二〇年度は、公務員賃金が〇・三%引き下げられたために、保育士に係る人件費も引き下げられてしまいました。
 左上に書いたように、全産業の平均賃金月額四十・六万円に対して、保育士の平均賃金は三十一・二万円で、九・四万円も低いものです。大幅な賃上げこそ必要なのに、逆に引き下げてしまったというのは極めて重大であります。
 さらに、一番右の棒グラフにありますように、二〇二一年度に比べて、二〇二二年度、来年度は、やはり公務員賃金が〇・九%引き下げられるために、保育士に係る人件費も引き下げられています。そこで、さっき総理もお答えになったように、右から二番目のグラフ、三%、九千円引上げの処遇改善事業を行う場合は、公務員賃金引下げに準じた保育士の人件費引下げ分については減額対応措置を取るとしています。
 この三%、九千円引上げという処遇改善の臨時措置が実施されないと、公務員賃金に連動した公定価格に基づく保育士の賃金は、賃上げどころか引き下げられてしまうんじゃないでしょうか。つまり、この三%の臨時措置を実施しないということになると、そのまま減額分が反映をして、保育士の賃金が引き下げられることになるというのが実態として生まれるんじゃないですか。
○野田国務大臣 確かに、平成二十四年度からずっと、令和三年度までの十年間で、人事院勧告というのはプラスになったりマイナスになったり、そういうふうに出ていますけれども、今回の場合は、令和四年十月以降の対応についてだと思いますが、これは、本年の夏の人事院勧告の状況をしっかり見つつ、三%程度の引上げが維持されるよう対応を検討することになると考えているところです。
○塩川委員 答えていないんですけれども。
 賃金が公的に決まる仕組みである公定価格の人件費の減額によって、保育士の賃金が引き下げられる懸念があります。
 岸田総理は、新型コロナ、そして少子高齢化への対応の最前線にいて、しかし、仕事内容に比して報酬が十分でない皆様の収入を思い切って増やすと言っていたのに、本気で賃上げを図ろうとしているのか、政府の責任は極めて重大であります。
 この点で、本当に賃金が上がるのかということを、特に公立保育所で賃上げの動きになっていないと聞きます。お尋ねしますが、この公立保育所の職員について、賃上げを行うという自治体はどのぐらいになるんでしょうか。
○野田国務大臣 お答えいたします。
 今般の処遇改善に係る交付金の第一回交付申請において、保育所等について申請があった百八十三自治体のうち、公立保育所を対象に賃上げを行う予定の自治体数は三十四自治体となっています。この自治体数は第一回交付申請の状況の数字ですので、今後の第二回交付申請の状況をよく見ていきたいと考えております。
○塩川委員 第一回目の申請ということで、第二回は来週ということで締切りになるわけですけれども。
 実際、第一回の申請の状況を見ても、手を挙げている市町村の中で、民間は上げるかもしれないけれども公立は上げない、こういうところが、申請した全ての百八十三のうち、公立も対象とするというのは三十四自治体だった。五分の一でしかなかった。つまり、五分の四は、公立保育所は賃上げの対象にしないということを市町村が申請をしているという状況になっています。
 公立保育所での賃上げ実施は五分の一しかない。これでは、多くの公立保育所で賃上げが行われないことになります。なぜ自治体は賃上げに消極的なんでしょうか。総理、はっきりお答えください。
○野田国務大臣 お答えいたします。
 先ほど答弁いたしましたが、第一回交付申請において、保育所等について申請があった百八十三のうち三十四ということになっていますが、自治体が公立保育所の賃上げに消極的なのかどうかについては、今後の状況をよく見ていきたいと考えています。
 他方、地方公務員である公立施設の職員の賃金については、自治体によって、職種ごとや、会計年度任用職員の給与体系が様々であるとともに、賃金改善には給与条例の改正が必要な場合があり、地方議会の議決等に一定の時間を要すると承知しています。
 内閣府では、これまでも、昨年十二月の都道府県等の説明会で、公立施設の職員について今般の補助金の対象としていることを説明し、二月九日には、各施設における処遇改善の実施見込みに基づく概算による申請も可能であることなどを周知しており、こうしたことを自治体に御理解いただいた上で適切に御判断いただくものだと考えています。
 さらに、二月十七日に事務連絡を発出し、補助金の活用に取り組む市町村の具体例をお示しし、積極的に検討を行っていただくよう重ねて依頼したところであり、引き続き、理解を得られるよう取り組んでまいります。
○塩川委員 公立保育所をしっかりと賃上げしてほしいんですよ。だけれども、第一回目の申請で、公立保育所を上げるという自治体が五分の一しかないんですよ。それはなぜなのかということをきちっと深めなければ、打開のしようもないんじゃないですか。
 総理、なぜ五分の一しか公立保育所は上げないのか、その理由は何なのか。
○岸田内閣総理大臣 これは手続の問題でありますが、第二回、第三回、こうした申請は行われることになっていくと認識をしております。
○塩川委員 一回目に申請した市町村のうち、五分の一しか公立保育所は上げないと言っているんですよ。手続の話じゃないんです。既に百八十三の自治体において五分の一しかなかったということなんですから。なぜそうなのかということをはっきり見極めなければ、この問題についての解決が見えてこないというのは明らかです。
 私は、こういった五分の一しか公立保育所の賃上げをしないという状況に、国が示す二〇二二年度の地方財政計画において給与関係経費が減額となっているからじゃないですか。国の地財計画上、給与関係費が減額となっていることが、自治体が賃上げに消極的になっている理由をつくっているんじゃないですか。
○岸田内閣総理大臣 予算、この補助金等はしっかり措置しているわけでありますから、これは、自治体としっかり意思疎通を図った上で適切な対応を考えていただく、こうした環境をつくっていくことが重要であると考えます。
○塩川委員 いや、だから、国が示す地方財政計画において給与関係経費が減額されているから自治体が消極的なんじゃないかと言っているのに対して、お答えになっていないんですよ。
 ケア労働者の賃上げを目指すため、二千六百億円の処遇改善事業を行う、これは総理の目玉政策の財源措置ですけれども、他方で、地方財政計画の給与関係経費において、マイナス人勧を反映した給与法に基づく削減分は二千七百九億円になります。
 一方で二千六百億円の処遇改善事業を行いながら、他方でマイナス人勧を反映をした二千七百九億円の給与関係経費、地財計画、削減をしている。これでは賃上げが進まないのは当然じゃないでしょうか。お答えください。
○岸田内閣総理大臣 まず、先ほど来、再三説明しておりますように、人勧による減額分をしっかり手当てした上で、その上に、この三%、九千円の処遇改善、これを用意しているということであります。
 令和四年度十月以降についても、本年夏の人事院勧告の状況も見つつ、処遇改善の効果が継続されるよう対応を検討していきたいと思っています。
○塩川委員 ここのパネルにも示したように、三%の上乗せ、人勧のマイナス分の減額対応、穴埋めということを行うというのが総理の施策として挙げているわけですけれども、公立保育園については手を挙げていないところが多いということが一回目の申請ではっきりしたんですよ。それはまさに、地財計画上、給与関係経費を減らしているという国の施策の下で、自治体が消極的になっている理由じゃないかということを述べているわけですけれども、そういうことについてお答えがない。否定しないということですね。
 もう一つ、昨年十一月に総務省が発出をした、「地方公務員の給与改定等に関する取扱いについて」では、国家公務員に倣って昨年度分のボーナス引下げを行いという自治体への通知を出しています。国が自治体に賃下げを押しつけている、こういう下で、自治体が公立保育園における賃上げの措置に消極的になっているということが示されているわけであります。
 一方で賃上げを要請しながら、他方で賃下げを要求する。やっていることが支離滅裂であります。本気で賃上げをする気がないということであります。
 総理にお尋ねしますが、この問題の大本にあるのが人事院勧告による給与引下げであります。この人事院勧告による給与の引下げこそやめるべきであります。賃金に係る最大の公的価格が、人事院勧告に基づく給与法による公務員給与改定であります。公的価格の抜本的見直しというのであれば、マイナス人勧をやめることこそ、賃上げのために行う仕事じゃありませんか。
 人勧が影響する労働者というのは、公務員に限られません。公務公共サービスに従事する労働者は八百万人近くに及びます。公的価格の抜本的見直しというなら、コロナ禍で奮闘している保健師など保健所職員や、看護師、保育士の賃金も引き下げることになる、人勧に基づく給与法による賃下げこそ、撤回をすべきではありませんか。
○岸田内閣総理大臣 まず、人事院勧告自体は、民間に準拠する形で、制度としてこの取決めが続けられています。こうした考え方は一つ重要であると思います。
 そして、申し上げている保育士の処遇につきましては、人勧による減額分もしっかり補填した上で、更にその上に三%、約九千円の上乗せをする、こうした取組を用意しているということであります。
 保育士の処遇を考えた場合に、こうした賃金の上乗せ、これは大変重要な取組であり、政府としてもしっかり予算を用意して、結果を出していきたいと考えています。
○塩川委員 民間準拠といいますけれども、過去、人勧を値切って賃下げを押しつけた例というのは幾つもあるんですよ。そんなことは棚上げにして、民間準拠だということでマイナス人勧を押しつけるということが公立保育所における賃上げを妨げることにもなっているということへの、そもそもの反省が必要だということを言わざるを得ません。
 今回の処遇改善事業においては、保育士などの公定価格でマイナス人勧の穴埋め措置を取る、総理もお答えになったとおりであります。こういった措置を公務員全体に対しても広げていく。そもそもマイナスの人勧を撤回する。だって、社会全体で賃上げをしようと言っているんでしょう。社会全体で賃上げを行おうと言っているんじゃないですか。マイナス人勧をやめるということ。
 岸田総理は、経団連始め経済三団体に三%を超える賃上げを要請しています。民間に賃上げを求めるならば、まずは公務の賃下げを撤回して、賃上げの道筋こそつけるべきではありませんか。
○岸田内閣総理大臣 人勧につきましては、民間準拠だということを先ほど申し上げました。だからこそ、国が率先して民間の賃上げの呼び水となるべく環境整備をすることが大事だということを再三申し上げてきているわけであります。
 民間も含めて全体の賃上げが実現したならば、人勧においても引上げということにつながっていく、全体の引上げにつながっていく、こうした環境ができ上がっていくと考えます。
○塩川委員 全体として賃上げを行うときに、民間に対しても三%を超える賃上げをお願いしたいと要請をして、その呼び水として、今言ったエッセンシャルワーカーなどについての三%、九千円という話が出てくるわけですけれども、そうであれば、そもそも賃上げの好循環をつくるんだったら、公務での賃金の引下げをやめる必要があるんじゃないのかと。賃金の公務のマイナス、これをやらなければ、結果とすれば、賃金の好循環に逆行することになる、このことこそ問われているということを言わなければなりません。改めて、賃上げの道筋をつけるべきだと。
 過去、人勧を値切った例というのは幾らでもあると言いました。一方で、今回のように減額対応するようなこともやっているんですから、同じようなことをやればいいじゃないですか。この機会に、まさに八百万人に影響を与えるような、労働者に賃下げを押しつける、こういったマイナス人勧は撤回をして、民間の賃上げと公務の賃上げと好循環をつくることこそ政治の仕事だ、人への投資というなら公務員への賃下げを押しつけるのはやめるべきだということを強く申し上げて、質問を終わります。

JMITUの国会要請行動を激励

 JMITU(日本金属製造情報通信労働組合)の国会要請行動を激励。

 全国一律最低賃金制度の創設、時給1500円以上の実現を求めるとともに、最低賃金の引き上げを円滑に実施するため、中小企業・小規模事業所への特別補助を行うとともに、原材料費と人件費が価格に適正に反映される仕組みを総合的に整備することを求めています。大事な提案です。

【内閣委員会】公立保育所の保育士処遇改善事業/実施申請は5分の1以下

 ケア労働者の処遇改善について、しっかりとした賃上げにつながるよう迫りました。

 政府は、今年2月から保育士等・幼稚園教諭、介護・障害福祉職員などの賃金を収入の3%(月額9000円)引き上げる処遇改善事業を進めています。

 私は、賃上げ額が一桁違うとの現場の声を受け止めよと強調。

 山際大志郎担当大臣は「謙虚に受け止めなければならない」と答えました。

 私は、申請手続きが進んでいない自治体があると指摘し、自治体から国への申請期限である2月21日以降も申請を受け付けるかと質問。

 内閣府は「少し遅れて提出があった場合でも柔軟に対応する」と答えました。

 私が、公立保育所の職員の賃上げを行う自治体数について質問したのに対し、内閣府は、1月28日時点での経過的な状況であるとしながらも、申請があった183自治体のうち公立保育所を対象としているのは34自治体のみだったと明らかにしました。

 私は、かなり少ない。コロナ対応の最前線で働く職員の賃上げに、さらに踏み込んだ対応が必要だと指摘。

 野田聖子少子化担当大臣が「公であろうと私であろうと関係なく取り組んでいただきたいと願っている」と答えた。

 私は、賃上げに消極的な背景に、地方行革、自治体リストラの影響がある。国の財政的保証を明確にせよと強調したうえで、全産業平均と比べ、月額9万円の差がある保育士の賃金格差をいつまでに解消するのかと迫りました。

 野田大臣は「公的価格評価検討委員会でしっかりやっていく」と述べるにとどまりました。

 私は、保育士の賃金改善は人事院勧告に準拠した部分が多く、昨年度はマイナス0.3%だったとして、処遇改善どころか保育士に賃下げを強いていると批判。マイナス人勧は公定価格に反映させないよう求めました。


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「議事録」

<第208通常国会 2021年2月9日 内閣委員会 第3号>

○塩川委員 それでは、続いて、岸田政権におきまして、賃上げの取組の一つとして、公的価格に基づく賃上げの話、ケア労働者の処遇改善事業に取り組んでいる、昨年の補正予算で措置されたものですけれども、この点についてお尋ねをしたいと思います。
 昨年十一月十九日のコロナ克服・新時代開拓のための経済対策の公的部門における分配機能の強化等において、「看護、介護、保育、幼児教育など、新型コロナウイルス感染症への対応と少子高齢化への対応が重なる最前線において働く方々の収入の引上げを含め、全ての職員を対象に公的価格の在り方を抜本的に見直す。民間部門における春闘に向けた賃上げの議論に先んじて、保育士等・幼稚園教諭、介護・障害福祉職員を対象に、賃上げ効果が継続される取組を行うことを前提として、収入を三%程度(月額九千円)引き上げるための措置を、来年二月から前倒しで実施する。」とあります。
 山際大臣でよろしいんでしょうか。この収入三%程度引上げという、この三%というのは、どういう意味、なぜ三%なのか、この点について御説明ください。
○山際国務大臣 これは今委員が御発言の中で御説明いただきましたように、新しい経済対策の中において、春闘、まさに今やっているところですけれども、これに先んじて賃上げを、社会全体の雰囲気として、していこう、そういう中において、その賃上げのペースが、どうしてもここのところ民間も含めて下がってきているということに鑑みて、まずは隗より始めよということで、政府ができる部分として、公的部門にいらっしゃる方々の賃金を上げていこうというところで決まってきたものというふうに承知しております。
○塩川委員 賃上げペースが下がってきている、まず隗より始めよということで、公務において、この分野で引上げをしようと。その三%という意味というのは、どうなんですかね。
○山際国務大臣 これは、社会情勢等々もしっかり見ながら、総合的に判断して三%ということになりました。
○塩川委員 いや、分からないんですけれども。もうちょっと言葉を足して説明していただけませんか。
○山際国務大臣 先生の意図しているところは酌み取っているつもりではいるんですけれども、社会情勢を鑑みてということは、先ほども申し上げたように、民間全体も含めて賃上げのペースがここのところで、コロナ感染症ということもあり、下がってきているということを見て、これを賃上げをするという回復基調に乗せていくというようなことを考えていかないといけない、そういうコンセプトに基づいて、その中において、いろいろ総合的に判断をした中で三%ということが決まったということでございます。
○塩川委員 これは、あれですかね、そうすると、まず隗より始めよという言い方であれば、民間でも三%以上やってほしい、そういう趣旨が込められているということでしょうかね。
○山際国務大臣 春闘を、我々の方で、民間の話ですから、私たちの方でいわゆる官製春闘のような形で何か物事をしていただきたいということではなくて、今までの流れを一気に反転させたい、こういう思いで、その中で、現実的にできる部分というのも当然探らなきゃいけませんし、他の業種等々も含めて全体の流れというものを見る中で、我々として、できるところからまずやろうということで決めたことでございますので。
 総理からは、民間の皆様方にも、業績を回復されているそういう企業の皆様方は、三%を超える、三%程度のと言いましたか、賃上げを期待するということでございますので、それを要請するというわけではなくて、全体の雰囲気を一気に反転させるということを、まずは私たちがやれるところからやりたいという趣旨でございます。
○塩川委員 そういった賃上げの好循環につながるような方向での取組ということが極めて重要だと思います。
 その際に、同時に、ケア労働者の方々の賃金というのが全産業平均に比べても低いと言われるような中で、率直に言って、その現場の方からは、三%、九千円というのでは一桁違うという声というのは出るわけですね。そういった声については、どうお答えになりますか。
○山際国務大臣 それは謙虚に受け止めなくてはいけないと思っております。これまでも、公的部門にお勤めの皆様方の賃金というものに関して累次、少しずつですけれども、上げさせていただいてきたという経緯は委員も御案内のとおりでございます。今回でそれが十分かと言われれば、そうではないという現場の意見があるということも我々承知しております。
 その中で、現実的にやれることをしっかりやっていこう、こんなことで、今回はこの三%、まずはやらせていただきたいということで決定したわけでございます。
○塩川委員 まあ、まずは一歩という話で、次の取組につながるようなものにしていくということは当然必要なんですが、今回のスキームで賃上げの対象となる労働者は何人なのか、そのうち公立施設の職員というのは含むのかどうか、その辺の大枠について御説明ください。
○藤原政府参考人 お答え申し上げます。
 私ども内閣府の方からは、内閣府所管の令和三年度補正予算において、今般の処遇改善に係る保育所や幼稚園等の予算積算上の職員数でございますけれども、常勤換算で約七十一万人分、このうち公立分が約二十万人分となってございます。
 また、放課後児童クラブの職員数でございますけれども、基となる厚労省の調査で公立、私立を分けて集計していないために、全体の人数というふうになりますけれども、常勤換算で約十二万人分というふうになってございます。
○森政府参考人 文部科学省が実施いたします補助事業におきましては、国立大学附属幼稚園について約五百名、それから私立幼稚園のうち私学助成の交付を受ける幼稚園について約五万二千名の教員を対象としているところでございます。
○岸本政府参考人 厚生労働省からお答えいたします。
 賃上げの対象者数でございますが、まず、保育分野のうち、厚生労働省が予算の執行を行う社会的養護関係施設の職員は、予算上、常勤換算で約三万人、このうち公営施設の職員は約二千人となってございます。
 また、その他の分野の対象者数でございますが、予算上、常勤換算の人数としまして、介護職員が約百三十八万人、障害福祉職員が約五十七万人、看護職員が約五十七万人となっております。
 なお、これらの職員につきましては、公務労働者の数を把握してございません。
○塩川委員 ありがとうございます。
 これを積み上げると、単純な積み上げで三百四十三万人程度になると思います。その中には公務の労働者も含まれているということで、当然、常勤換算で計算していますから、実際に支給の対象となる方は、その他の調理に当たっているような方なども含めてもう少し広がるので、実際の賃上げに関わる労働者数は更に大きくなると思います。しっかりと賃上げにつながれば、少なくない影響を及ぼすということは言えると思います。
 そこで、実際に、この申請の手続なんですけれども、動き始めていて、自治体から国への申請期限というのが二月の二十一日となっていますけれども、いろいろ現場の声を聞きますと、民間施設や高齢者施設の申請手続が進んでいないというふうに聞くわけです。
 これは、二月二十一日は一つの節目で、二月二十一日以降も実際には申請の受付が可能、実際に支援の対象をしっかり広げるということがポイントだと思いますから、二月二十一日で、後はもう全部駄目という対応はしないでほしいんですが、その点、どうでしょうか。
○藤原政府参考人 お答え申し上げます。
 令和三年度補正予算で措置をされました処遇改善に係る補助金でございますけれども、今年度中に保育所等に対しまして資金を交付できるように、令和三年度における国への交付申請の期限につきましては、先ほど委員から御紹介ありましたとおり、一月の二十八日も第一回の交付の期限がございますけれども、もう一回、二月の二十一日というふうに設定をしているところでございます。
 今回の処遇改善では、各保育所等におきまして三月までに実際に賃金改善を行っていただくということを補助要件としているわけですが、市町村から国への申請について言いますと、管内の保育所等における処遇改善の実施見込みに基づいて、概算による申請ということを行うことも可能としております。
 このため、市町村が定めた期限までに施設から申請がないということを理由にして、三月までに処遇改善の取組を行うにもかかわらず、一律に補助の対象外とすることは適当ではないというふうに考えております。
 こういったことから、市町村に対して、ただいま申し上げましたような趣旨をきちんと周知をし、柔軟に適切に対応いただくように働きかけを行っていきたいと考えております。
○塩川委員 ですから、施設から市町村へという点で、なかなか作業そのものも大変で間に合いませんと、一週間ぐらい前にそういうのを設定しているような場合も多いでしょうから、そういう場合については概算で市町村から国へということはあると思うんですが、その際でも、二月の二十一日で、全部それ以降は受け付けませんという対応でいいのかという点はどうでしょうか。
○藤原政府参考人 内閣府における、ただいま申し上げました二月二十一日という期限につきましても、もちろん、無制限にというわけにはいきませんけれども、いろいろな自治体の御事情もおありでしょうから、状況を見て、少し遅れて提出があった場合でも対応できるように、国としても柔軟に対応していきたいと思っております。
○塩川委員 とにかく、賃上げにつながるような作業ということで、いろいろな現場の遅れも見越しながら、しかるべき手続を対応いただきたいということです。
 それで、埼玉県にお聞きしますと、市町村に対して、民間施設で事業者が申請しない場合に、その理由を把握をすることを求めています。やはり賃上げにつながるような取組を行ってもらいたいという趣旨でいったときに、手を挙げないような場合について、なぜなんですかといったことを確認するという作業を埼玉県としては行うということにしているんですけれども、こういった点について、国としても、やはり現場の実態を把握する必要があるんじゃないのか。
 申請者が申請しない理由があれば、それも把握をして、それに対しての改善策を取るといったことも国として考える必要があるんじゃないかと思うんですが、その点はどうですか。
○藤原政府参考人 今回の処遇改善の補助金、非常に重要な、大切な補助金であるというふうに考えております。これをできるだけ全国の保育所等において御活用いただけるように、我々、しっかり周知なり手続の弾力化なりしているところでございます。
 委員がおっしゃったような、個々の施設について国が直接意向を把握するというところまではなかなか難しいかと思いますが、先ほど申し上げましたように、そもそも、自治体から国に対しては、まず概算で請求をしていいですよというふうにしておりますので、こういったことをしっかり周知をして、適切に自治体において対処いただくように、周知なり取組、働きかけなりをしていきたいというふうに考えてございます。
○塩川委員 その点、周知方、しっかり求めたいと思います。
 それから、公立の施設の関係なんですが、特に保育園でお尋ねしていますけれども、公立保育園等の職員について賃上げを行う自治体というのはどのぐらいになりそうか、そういう見込みというのは国としてはお持ちですか。
○藤原政府参考人 お答え申し上げます。
 今般の処遇改善に係る交付金でございますけれども、まだ申請が、まず一回目の一月の申請しかございませんので、第一回交付申請の状況ということで、あくまで経過的な状況ではございますけれども、その段階で保育所等について申請がありました自治体が百八十三自治体ありまして、そのうち、公立の保育所も対象にしますよというふうな内容になっておった自治体については三十四自治体でございました。
 まだ第一回目の状況ですので、今後の状況をよく見ていきたいと思います。
○塩川委員 第一回目について、公立保育園の職員の賃上げを行う自治体というのは百八十三分の三十四。これはかなり少ないんじゃないかと思うんですが、その点についての認識はいかがですか。
○藤原政府参考人 お答え申し上げます。
 まずもって、第一回目に、一番最初の段階で出してこられた自治体ですので、またこの先よく周知なりしていきたいと思いますが、今回、公立施設についても補助金の対象にしているという趣旨についてはしっかり御説明をし、各自治体で適切に御判断いただきたいというふうに考えております。
 一方、やはり、地方公務員である公立施設の職員の給与を上げるということになりますと、御承知のとおり、条例ですとか規則の改正、それを地方議会の議決を伴うというふうに、一定の手続に時間を要するというふうな特殊性があるということも事実でございます。
 このため、内閣府では、二月分からの賃金改善を行うという条例改正案などを年度内に議会に提出いただいている場合には、実際の支給が四月以降となる場合であっても、今般の処遇改善の補助対象にすることとしております。
 また、国に対する交付申請に当たっても、公立施設も含めまして、処遇改善の各保育所の実施見込みに基づき、先ほど申し上げました、概算で申請していいですよというふうなことですとか、こういった柔軟な取扱いもしております。
 また、一方、総務省の方からも、公立施設の職員の賃金改善の取組の例を通知をいただきまして、働きかけをしていただいているところでございます。
 このように、内閣府では、総務省の御協力もいただきながら、公立施設の職員についても賃金改善を実施いただけるように取り組んでいるところであり、引き続き、周知についてしっかりと行っていきたいというふうに考えております。
○塩川委員 一応、条例が年度内にということで、ぎりぎりまで対応するということは認めますよと。そういうスキームの話は分かります。ただ、この百八十三分の三十四しか公立保育園の賃上げをしないという、この賃上げしないという自治体がどういう理由なのかというのは、つかんでおられますか。
○藤原政府参考人 私ども、まだあくまでも経過的な状況でございましたので、個別に幾つかの自治体に、どういうふうな意向を持っておられるかとか、どういうふうな条例改正を考えていらっしゃるのかということを個別に自治体からお聞きしているような事例はございますけれども、包括的、網羅的に状況を把握しているということではございません。
○塩川委員 二月の二十一日で、また当然、一つの締切りで来るわけですから、実際それがどの程度なのかというのもあります。ですから、公立保育園での保育士の賃上げについて消極的だという傾向というのが大きくあるようであれば、それを解消するような手だてというのは必要だと思います。
 私がお尋ねしたある政令市においては、公立保育園職員の三%引上げについて、二月からの実施になっているわけですけれども、二月からは考えていない、その後どうするかは検討中だ、病院職員の引上げも考えていないというお話でした。もちろん、非常勤の会計年度任用職員も同様だということですが。
 こういった実態をしっかり把握する必要があるんじゃないかと思うんですが、改めて、いかがですか。
○藤原政府参考人 お答え申し上げます。
 地方公務員である公立施設の職員の賃金につきましては、自治体によって、職種ごとですとか、それから会計年度任用職員の給与体系ですとか、様々だろうというふうに承知をしておりますので、基本的には、内閣府としては、先ほど申し上げましたような、柔軟な対応をしているよということをしっかりお伝えをし、その自治体、自治体で適切に御判断をいただくということをお願いをしたいというふうに考えております。
 第二回目の交付期限を見極めて、どのぐらい出るかということもよく見たいと思いますし、実際にそうやって上がってきた自治体の中で、どのような対応をして処遇改善に取り組まれるのかということは、幾つかの自治体の取組などを把握をするとか、少し工夫はしてみたいと思いますけれども、いずれにしても、自治体においてしっかり適切に御判断いただけるような周知について取り組んでいきたいというふうに考えております。
○塩川委員 ある政令市にお聞きしたときに、何で引上げを検討しないのかという理由として、三つぐらい言っていたんですけれども、一つは、公立保育所職員の年収は民間よりも高いので、直ちに処遇改善は必要ないということとか、二つ目は、ほかの政令市に確認したところ、前向きなところが少なかった、他市との均衡を考えた、こんなことを言っていましたし、三点目は、どうしても人事院の勧告制度がありますので、人事委員会の勧告を受けて、この間、賃金については対応してきたけれども、今のところ人事委員会から意見はないということもあり、こういったことを考慮して、引上げを検討しないというふうにしたという話なんですが。
 しかし、公立保育所の保育士も全産業平均と比べたら賃金が低いことには変わりありませんし、仕事内容に比して報酬が十分でないという、岸田政権でのケア労働者の賃上げのこういう立場に立っても、こういったケア労働者の賃上げに後ろ向きというのは極めて残念なことであります。
 また、今回の三%の引上げは人勧制度そのものと関係ないので、何か人事委員会を持ち出して話をするようなことでもないわけです。
 結局、賃上げをしない理由を探しているような話になっちゃうんじゃないかなと思っていて、ここのところをやはりよく工夫もして、公立保育所における保育士の賃上げを図るといったことを一歩進めるような取組が必要じゃないかと。
 この点で、どうでしょう、野田大臣、山際大臣、どちらが担当なのかよく分からないんですが。
○山際国務大臣 モメンタムは先生のおっしゃるとおりで、賃上げをみんなでしよう、そういう社会の雰囲気をつくらなくてはいけないというのが我々岸田政権における、岸田内閣における方向性ですから、できればそれにそぐう形で、様々部署部署ありますが、いろいろな理由もありましょうけれども、その中で、その方向で、みんなで賃金を上げられる方向で進んでいただければと思っております。
 何ができるかというのは、担当の部署とも相談をしたいと思います。
○塩川委員 野田大臣にも一言いただきたいんですが、保育士の賃金が低いというのは、やはり女性が多い職場という、男女の賃金格差のその側面もあります。
 そういった男女差別の解消の取組の一環としても、こういった女性が従事することの多いケア労働者の賃上げをしっかりと図るということが極めて重要であると思いますので、この点でやはり、特に、今言った公立保育所の保育士の賃上げについて消極的な自治体が多いという現状を踏まえて、もう一歩踏み込んだ対応をしっかり取る必要があるんじゃないのか。
 野田大臣、いかがでしょうか。
○野田国務大臣 私の担当は専ら、保育士等ということなんですけれども、今、山際大臣がおっしゃったように、この取組は何かというと、全ての皆さんの賃金を上げることで、人への投資、どの仕事に就いていても、やはり賃金を上げて、生活又は子供への手当て等を豊かにしていくことで厳しいこの経済情勢を乗り越えていこうという趣旨とするならば、それが公であろうと私であろうと、職種関係なく、とりわけ、今このコロナ禍の中で重要視されているエッセンシャルワーカーも実は大多数が女性なんですね、看護師さんを始めとして。さらに、保育士とか介護士さんもほとんど女性が担っているケースが多いわけで、そこがやはり実はずっと見落とされてきたのかな、この長い歴史の中では。
 でも、ようやく平成二十五年あたりから、やはり子供に関してしっかり取り組まなきゃいけないということで保育士さんたちの処遇改善が始まっていて、少しずつ、この厳しい賃金、低賃金、賃金が伸びない中ですけれども、今般、累次、月額最大八万四千円までは乗せ上げてきましたので、引き続き、保育士さんそのものの生活だけではなくて、保育士さんあってやはり子供たちの健やかな育ちがあるという、今の新しい子供政策の下でも、公的だとか私的だとかそういう話ではなく取り組んでいただければと願っています。
○塩川委員 この点、ですから、本当に現場の実情に即して何ができるのかというのをしっかり対応することが必要だと思っています。
 自治体が消極的な気持ちになるのも分かるというか、背景としてあるのが、やはり三位一体も含めて、地方行革あるいは自治体リストラ、こういった動きの中で、地方財政措置がしっかり対応してくれるのかといったのがやはり大きくあると思います。
 二月から九月は少なくとも十分の十の補助でやりますけれども、十月以降については地方交付税措置ですねといった場合に、しかるべき措置は総務省として取っているという話ではあるんだけれども、本当かみたいな話というのが自治体側にあるわけで、この点も含めて、公立の保育所の保育士の賃上げにつながるような地方財政措置をしっかり行うということを、自治体にも納得いくような形で示すということは必要なんじゃないのか。この点、野田大臣、どうですか。
○野田国務大臣 繰り返しになりますけれども、国の方では、新しい資本主義を起動するために、まずは保育などの現場で働く方々の給与の引上げを行うわけで、これは国ができる範囲の中で先駆けて取り組むと。それで、引き続きいろいろな、公定価格の問題点が、これまで、人事院勧告があると下がるとか、そういういろいろなことがあったけれども、そもそもやはりこういう介護、障害、保育、幼稚園というのは低かったので、それをやはりきちっと、増加するであろうということで処遇改善をしていこうということが、公的価格評価検討委員会、この中間整理において、特に二〇二〇年代にこうした取組に注力すべきとされていることを踏まえて、国はもとより、全てのそういう関係の人たちが適正な水準まで賃金が引き上がるよう、関係の大臣たちと連携して取り組んでいくべきだと私は思います。
○塩川委員 その点で、公的価格評価検討委員会を設置をして、具体化をしたアウトプットも行われてきているわけですけれども、岸田総理が自民党の総裁選の施策として、看護師、介護士、幼稚園教諭、保育士など、賃金が公的に決まるにもかかわらず、仕事内容に比して報酬が十分でない皆様の収入を思い切って増やすために、公的価格評価検討委員会を設置をし、公的価格を抜本的に見直すと訴えていたわけであります。
 仕事内容に比して報酬が十分でない皆様の収入を思い切って増やす、エッセンシャルワーカーの方。そうであれば、保育士の方、保育労働者の方でいえば、全産業労働者平均が年収四百八十七万円、一方、保育の労働者は年収が三百七十四万円です。厚労省の二〇二〇年の賃金構造基本統計調査に基づくと、月額九万円の格差になります。この九万円の格差を解消することこそ目指すべき目標であって、この格差をいつまでに解消するのか。この点、野田大臣、どうでしょうか。
○野田国務大臣 繰り返しになりますけれども、今委員がおっしゃっているとおり、保育士始めこういう職種の方たちが他の職種に比べて非常に賃金が低い状況にある、そしてまた、人材確保に向けて処遇改善をしていくということはもう明らかで、これは、先ほど申し上げたように、平成二十五年ぐらいから累次の処遇改善というのをしっかり行ってきて、現在のところ、今日までで月額最大八万四千円までは二十五年から上げることができてきたわけですね。
 しかし、まだまだ足りないということで、これから、岸田政権の新しい資本主義を起動するための分配戦略として、更にまた保育などの現場で働く方々の給与の引上げを行います。そして、引き上げるけれども、これが継続的なものになるように、補正予算ではまず前倒しを実施していますし、本年十月以降については、公定価格の見直し等によりきちっと措置をすることにしています。
 先ほどの話のとおり、公的価格評価検討委員会においては、やはりきちっと注力していくということが明らかになっていますので、しっかりやっていくということを決めているところであります。
○塩川委員 資料をお配りいたしました。先ほど野田大臣も御説明いただきました保育士の処遇改善のことが分かるグラフですけれども、これを見ていただいて、一番右側のグラフが令和二年度と令和三年度に当たります。これは、下側のオレンジ部分のところが人事院勧告に準拠した改善部分なんですよね。全体に占める人勧に準拠した改善部分が非常に大きいというのもこれで見て取れるんですが。
 人勧に準拠した、改善になっていればプラスなんだけれども、マイナスの場合があるわけですよ。令和二年度はマイナス〇・三%なんですよね。そうすると、保育士については、処遇改善しましょうと言っているんだけれども、実際には、人勧に準拠したマイナスが反映されて、逆に減っているという状況になっているわけです。処遇改善どころか、保育士に賃下げを強いることになっています。
 このマイナス人勧による賃下げを押しつけるということは、そもそも岸田政権が言っている、こういった保育士を始めとしたエッセンシャルワーカーの方の収入を思い切って増やす取組に逆行するんじゃないでしょうか。
○山際国務大臣 これは、ほかの分野で、特に公的な分野で働いていらっしゃる方々にも人勧は利いてくるわけですから、全てに言えることです。しかも、それはタイムラグがあるわけですね、先生御案内のように。ですから、悩ましい部分であるというのは、そうかもしれません。
 一方で、それだけで物事を見ていくわけではないので、先ほどから何度も申し上げているように、政権としてどういう意識でいるのかということをきちんとお示しし続けることが大事だと思っているんです。
 我々としては、まずは三%というので賃上げを実施させていただいて、それはマイナス要因として人勧というのがあるというのは承知しておりますけれども、ですから、先ほども、まずは三%からやらせていただいてという言葉を使ったのであって、これからも持続してこの賃上げのモメンタムが維持できるようなそういう状況をつくっていきたい、それが岸田政権としての方向性なんだということを先ほどから申し上げているわけでございます。
○塩川委員 いや、ですから、格差解消しましょう、保育士の賃上げを図りましょうと言っているときに、人勧のマイナスを反映して引き下げることはないでしょうということなんですよね。
 でも、今回、このケア労働者の処遇改善事業におきましては、保育士等、新制度に基づく労働者の方については、人勧に基づく給与法に従うマイナス分については、これは補助制度で穴埋めをするわけです。マイナスをゼロにして、その上に九千円乗せるという仕組みになっているんですよ。
 ある意味、やればできるんじゃないかという話だと思うんですけれども、こういった穴埋め措置を継続的に行えばいいんじゃないですか。
○野田国務大臣 先ほど来お話があるように、人事院勧告に依拠した改善部分というのが多いわけで、御承知のように、公定価格というのは積み上げ方式、人件費、事業費、管理費についてそれぞれ対象となる費目を積み上げて算定する積み上げ方式を採用していて、人件費については国家公務員の給与に準じて算定しています。
 ですから、おっしゃるとおり、従来から人事院勧告に伴う国家公務員の給与の改定内容について、プラス改定の場合もマイナス改定の場合も保育士等の人件費に反映してきている。今回は、令和三年人事院勧告では、ボーナスを〇・一五月分引き下げる内容ということで、国家公務員の対応を踏まえて、令和四年度から公定価格の人件費については〇・九%の減額改定を行う予定です。
 一方で、今お話があったように、今般、三%程度、月額九千円の処遇改善を実施するに当たり、令和四年四月以降も三%の処遇改善となるよう、令和三年度補正予算において、令和四年四月から九月までの間の公定価格の人事院勧告影響分の減額相当分、今お話があったマイナス九%相当を含めて補助を行うことにしています。
 いずれにしても、処遇改善の取組が保育等の現場に行き渡るように取り組んでまいりますし、今後、十月以降の対応についても、本年の夏の人事院勧告の状況を見つつ、三%程度の引上げがきちっと維持されるよう対応を検討していくつもりです。
○塩川委員 ですから、人勧に伴うマイナス分を今回は補助して埋めているわけですよ。
 ですから、今後、公定価格で人勧の反映を入れるというんだけれども、プラスは反映するのは分かりますよ。格差を広げるようなマイナスの部分は、もうやめたらどうですか。そういう仕組みにこそしておく方がいいんじゃないですか。
○藤原政府参考人 お答え申し上げます。
 保育所に支払われる公定価格、これは御承知のとおり、子ども・子育て支援制度において告示で示している公定価格でございますが、この単価につきましては、保育、幼稚園等の子ども・子育て支援法による公定価格については積み上げ方式を採用しているわけでございます。
 このうちの人件費を国家公務員の給与に準じて算定をしているということですので、人勧がプラスのときはそのとおりプラスにしますし、マイナス改定のときはマイナス改定というふうにさせていただいていると。
 トータルで見れば、この十年間で、プラス改定六回、マイナス改定二回、改定なし二回となっておりまして、単純に合計しますとプラス七・八%の改善が実現できている。そういった積み上げ方式による効果ということもあることも事実でございます。
 今後、先々のことをお答えすることは非常に難しいことでございますし、年度年度の予算編成での予算確保という点もあるので、先々のことをお答えすることは難しいですが、今申し上げましたような積み上げ方式によって効果がある、改善に対して効果が今あるということも事実でございますし、私ども、子ども・子育て会議の報告書、対応方針においても、公定価格の設定方法について積み上げ方式を維持すべきであるというふうな方針も示されておりますので、まずはこの三%の引上げ、今回の三%の引上げを、しっかり率を上げていくということで取り組みたいと思います。
 その後のことについては、ちょっと今私どもの方からお答えすることは困難ではありますが、処遇改善、非常に重要な政策課題だということは重々承知をしておりますので、適切に対応していきたいというふうに考えております。
○塩川委員 人勧を値切るということは、過去、政権が何度もやってきているんですよ。それを我々は反対してきたけれども、プラスはちゃんと反映するけれどもマイナスは反映しないということだって、やる気になればできる話なので、こういったマイナス人勧部分については公定価格に反映するなといった原則を作って、それに基づいて対応するということを求めて、質問を終わります。

【内閣委員会】予算書の説明資料、過去最多の誤りについて質問

 今国会に提出されている、政府が予算を提出する際の説明資料である各目明細書に、誤りがあった問題について質問しました。

 私は、今回、総務省・法務省・文部科学省・国土交通省の4省で誤りがあり、過去最大で、きわめて重大だと強調。

 財務省は、各目明細書の誤りが、平成以降5件、報告されていることを明らかにしたうえで、これら誤りがあった年は、年末や年始に衆院解散総選挙が行われていたことを認めました。

 私は、今回はどんな事情があったのかと質問。

 財務省は、今回の当初予算の閣議決定から国会提出までの日程は24日間であったと答弁。

 私は、24日間での提出は過去最短であったことを指摘し、政権の都合で無理な日程を押し付けたことが誤りの大本にあると強調。昨年の通常国会では法案の誤りが合計181件あったが、その教訓が生かされていない、と批判しました。

 松野博一官房長官は、誤りがあったことについてお詫びを述べ、「同じような誤りが発生しないよう、再発防止策を検討していく」と答えました。

 私は、この間、実務を担ってきた公務員が減らされてきた影響が出ていると指摘した上で、必要な人員の配置など、再発防止策をしっかりと取るべきだと主張しました。


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「議事録」

<第208通常国会 2021年2月9日 内閣委員会 第3号>

○塩川委員 次に、予算書、各目明細書の間違いについて松野官房長官にお尋ねをいたします。
 各目明細書は、予算書の説明資料として、予算が国会に提出されたら直ちに財務大臣に送付しなければならないものであります。国会提出義務づけの文書に準ずる予算関連文書として国会に提出をされてきました。
 その各目明細書が、総務省、法務省、文科省、国交省の四省で間違いがありました。こんな、四省も各目明細書に間違いがあったのは過去最多であります。極めて重大な問題だと思いますが、その点についての官房長官の認識を伺います。
○松野国務大臣 お答えをいたします。
 今般、各省庁所管予算の各目明細書について、総務省、法務省、文部科学省、国土交通省の四省の所管予算の各目明細書の記載に誤りがあったところであり、大変遺憾であり、おわびを申し上げます。
 今般の誤りの背景等を分析をし、同じような誤りが発生しないよう、財務省と各省庁とが連携をし、再発防止策を検討してまいりたいと考えております。
○塩川委員 その中では、例えば総務省における各目明細書では、統計委員会委員の手当の部分が欠落をするといった、予算審議にも影響を及ぼす中身だったという点でも重大であります。
 財務省の方に事実関係の確認をいたしますが、過去も各目明細書の間違いが数件あります。平成以降、各目明細書に誤りがあった事例というのは何件でしょうか。
○坂本政府参考人 お答え申し上げます。
 平成以降、各目明細書の誤りが報告されたのは五件ございます。
○塩川委員 この五件のうち、補正予算が一つあって、当初予算は四件ということになります。
 当初予算のうち二件は、国会への提出日が二月の二十八日と、通常一月中に提出される当初予算が大変遅れていたというときでありました。
 このように、二月二十八日という、提出日が遅れた理由というのは何だったんでしょうか。
○坂本政府参考人 お答え申し上げます。
 御指摘のとおり、平成二年度予算、それから二十五年度予算、この二回の予算に関わる各目明細書に誤りがあったわけでございますが、こちらの予算の提出日が例年より遅うございました。これは、年末ないし年始に衆議院の解散・総選挙が行われたことによるものと承知してございます。
○塩川委員 一九九〇年度の当初予算は、海部内閣のときで、二月の十八日に総選挙がありました。ですから、総選挙前に暫定予算を組んで、総選挙が行われ、当初予算がその後、二月二十八日に提出をされたという経緯があった。非常にイレギュラーな事態だったわけであります。
 それから、二〇一三年度の当初予算は、十二月十六日の総選挙で第二次安倍政権が発足をして、予算編成が遅れて二月の二十八日に提出となった。
 過去、当初予算で各目明細書に誤りがあった事例の二つというのが、こういう非常にイレギュラーな事態の中で、役所の対応も大変だったということが背景にあると思います。
 いずれもイレギュラーな事態が背景にあっての誤りだったという点でいうと、今回はどういう事情があったんでしょうか。
○坂本政府参考人 お答え申し上げます。
 今般の各目明細書の記載誤りの原因につきましては、関係省庁から、入力のミス、あるいは確認作業を怠っていたということとの報告を受けてございますが、いずれにしましても、今後、今般の誤りの背景等をよく分析いたしまして、同じような誤りが発生しないよう、再発防止策をしっかり検討してまいりたいと考えてございます。
○塩川委員 四省で誤りがあるという過去最多のミスだったわけですけれども、今回の場合というのは、当初予算の閣議決定から国会への提出までの期間が過去最短だったんじゃないですか。
○坂本政府参考人 お答え申し上げます。
 今般、当初予算の概算閣議から提出までの日数でございますけれども、二十四日間でございます。これは、例えば平成六年度の場合には、平成六年二月十五日から三月四日までの十七日間ということで、今回よりも短かった例はございます。
○塩川委員 それもイレギュラーなときですけれども、この二十四日間というのが、そういう点でいえば、通常のサイクルでいったときに、非常に、一番短期間だったということは明らかですよね。
○坂本政府参考人 お答え申し上げます。
 今回、二十四日間ということでございます。同様の例で申しますと、例えば、平成二十年度の予算編成、二十五日間、平成十年度予算編成、二十五日間、平成十一年度予算編成、二十五日間といったような、類似の期間のものもございます。
○塩川委員 いずれも最短という、日数が二十四日間という点でありますと、やはり、政権の都合で政治日程を決めた、こういうことが多くの間違いを発生する大本にあったんじゃないのか、その点は、官房長官としての認識はいかがですか。
○松野国務大臣 お答えをいたします。
 これまで、各目明細書の誤りが報告された事例においては、例年と比較をして、概算決定から予算を提出するまでの期間が長かった事例もあり、予算の国会提出日程と何らかの関係があるとは言えないのではないかと考えていますが、いずれにしても、今後、誤りの背景等を分析をして、同じような誤りが発生しないよう再発防止策を検討してまいりたいと考えております。
○塩川委員 政権の政治日程で無理な作業を押しつけないようにというのが基本であります。
 昨年の通常国会では、法案の誤りが問題になりました。閣法において合計百八十一件もの誤りがあった。そのうち案文が十四か所もあったという点でも、極めて重大でありました。
 こういった昨年の通常国会での法案の誤り、間違いの教訓が生かされなかったのか、この点はどうでしょうか。
○坂本政府参考人 お答え申し上げます。
 昨年の通常国会におきまして、各府省庁提出の法律案及び参考資料に多数の誤りが発生したことを受けまして、同年三月に、内閣官房副長官を長とします法案誤り等再発防止プロジェクトチームを発足させ、同年六月、誤りの内容や原因等を踏まえまして、複層的なチェック体制の充実、ノウハウの蓄積、周知徹底などの再発防止策が取りまとめられたものと承知してございます。
 各目明細書につきましては、法案とは作成過程の業務フローなどが異なりますが、いずれにせよ、国会に提出する資料の誤りが本年においても発生したということは大変遺憾であると考えてございます。
 今後、今般の事案を受けまして、誤りが発生した経緯、原因など、背景をよく確認、分析いたしますとともに、それを踏まえまして再発防止策を検討してまいりたいと考えてございますが、検討に当たりましては、昨年取りまとめた法案誤りについての再発防止策についても、参考とすべき点はしっかりと参考にしてまいりたいと考えてございます。
○塩川委員 今回、文科省で各目明細書の間違いがあったという点でも、私も拝見しましたけれども、非常に分かりにくいといいますか、よく見つけたと思うような誤りもあったわけですけれども、これも、ベテランの職員の人が自分の担当以外のところをチェックをした中でその誤りを発見したということがありまして、去年の法案間違いというのも、ベテランの職員の人からすれば考えられないような誤りもあったという点で、率直に言って、霞が関において、実務を担ってきたベテランの公務員が減っている、この間の公務員削減のマイナスの影響が出ている、このことを指摘せざるを得ません。必要な人員の配置など、再発防止策をしっかり取っていただきたい、このことを改めて求めておくものであります。
 ここまでで、官房長官と関係の政府参考人の方は御退席いただいて結構です。
○上野委員長 松野長官、御退席ください。また、御関係の政府参考人の皆さんも御退席をお願いいたします。

【内閣委員会】経済安保準備室長の更迭/国会への報告は当然

 内閣官房の経済安全保障室長であった藤井俊彦・内閣審議官(国家安全保障局)が事実上更迭されたことについて、質問しました。

 私は、松野博一官房長官が会見などで「処分につながる可能性がある行為を把握した」と発言したことについて、週刊文春の報道によると私企業で働き、報酬を得ていた疑いがあると指摘。

 藤井氏が出席した私企業の集まりに、所属省庁の利害関係者がいたと報じたれていることに対し、企業に対して様々な規制や支援措置を行う法案との関係で、利害関係者との対応がどうだったのか、きわめて重要・重大だと質しました。

 松野官房長官は、国家安全保障局の内規に違反していたことを確認したことを認めたうえで、「事実関係の確認、調査中であり、答えは差し控える」と述べるにとどまりました。

 私は、国会に報告するのは当然だと強調し、国会として、しっかりと行政監視機能を発揮していきたいと表明しました。


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「議事録」

<第208通常国会 2021年2月9日 内閣委員会 第3号>

○塩川委員 日本共産党の塩川鉄也です。
 最初に、松野官房長官に確認したいことがあるんですが、今日の午前中の予算委員会での質疑もあり、また記者会見でも説明もされました藤井敏彦経済安保法制準備室室長、国家安全保障局担当内閣審議官の件についてであります。
 松野官房長官、処分につながる可能性のある行為を把握したとして、その職が解かれて、出向元の経産省に戻ったということなんですけれども、これは、どのような行為を行ったのかについて御説明いただけないでしょうか。
○松野国務大臣 塩川先生にお答えをさせていただきます。
 御指摘の案件に関しましては、現在、事実関係の確認、調査中でございますので、お答えは差し控えさせていただきたいと思います。
○塩川委員 週刊文春の報道によりますと、兼業届を出さずに私企業で働き報酬を得ていた疑いがあるということですけれども、こういった事実関係についても把握をされるということでしょうか。
○松野国務大臣 先ほどお答えをしたとおりでございますけれども、国家安全保障局の内規手続に対して届出を怠った等が確認をされておりますが、これ以上の詳細は、確認、調査中でございますので、お答えを差し控えさせていただきたいと思います。
○塩川委員 内規手続の届出を怠ったということであります。
 この藤井氏が出席をした私企業の集まりには、所属省庁の利害関係者がいたとの報道もあります。こういった点については、経済安保の推進法というのが、企業に対して様々な規制策や、また支援措置を行うという法案という点で、その法案作成に当たっての実務の責任者だったのは藤井氏ということでもありますので、こういった、企業に対する規制や支援措置を伴うような法案との関係で、利害関係者の対応がどうだったのか、こういったことは極めて重要、重大な点でありますので、国会にその旨報告をいただけますか。
○松野国務大臣 先ほどお話を申し上げましたとおり、事実関係の確認、調査を実施していくこととしておりまして、今後判明した事実に基づき適切に対処していきたいと考えております。
○塩川委員 是非、国会にも報告いただくのは当然のことだと思いますけれども、この点について、国会としてのしっかりとした行政監視機能の発揮を果たしていきたいと思っております。

【「しんぶん赤旗」掲載】文通費/与野党が協議/塩川・井上氏出席/「成り立ち議論を」/初会合

「しんぶん赤旗」2月9日・2面より

 文書通信交通滞在費(文通費)をめぐる与野党協議会(座長・御法川信英自民党国対委員長代理)の初会合が8日、国会内で開かれました。衆参両院の6党(自民、公明、立民、維新、国民、共産)の代表が出席し、月2回程度協議を行い、今国会中に結論を出すことなどを確認しました。日本共産党からは塩川鉄也国対委員長代理、井上哲士参院国対委員長が出席しました。

 各党の出席者が意見表明し、塩川氏は、在京議員の滞在費など国民の理解が得られない文通費の在り方について、日本共産党は見直しを求めてきたと発言。「この間議論になっている日割りや使途、返納と公開のルールづくりについて、結論を出すべきだ」と述べました。

 その上で、「文通費は議会制民主主義を支える行政監視機能を果たすための必要経費であり、こうした立場で議論を行うことが大事だ」と主張。文通費の成り立ちを含め共通認識にする機会をつくる必要があると提起しました。

 井上氏は、参院改革協議会で文通費等の歴史的経緯について参考人質疑を行ったことを紹介し、「文通費とはそもそもどういうものなのか、専門家の意見を聞いて共通認識にする場が必要ではないか」と求めました。御法川座長は、次回はそうした場を持ちたいとの考えを示しました。

 また塩川氏は、「少数会派にも参加する機会をつくる必要がある」と指摘。他党からも少数会派の意見を反映することが必要だとの意見が出され、方法を検討することになりました。

【議院運営員会】オミクロンに対応した基本的対処方針に見直しを

 まんえん防止等重点措置の対象に和歌山県を追加するにあたって、政府から報告を受け、質疑を行いました。

 私は、現在の緊急事態宣言発出の判断基準は、昨年11月のコロナ対策分科会提言を踏まえたものだ。オミクロン株の特徴に対応した宣言の発出基準や、それ基づく基本的対処方針の改定が必要だと指摘。

 山際大志郎担当大臣は、4日に同分科会を開き、感染する場所が飲食店から子どもや高齢者のいる場所に変わってきていることを含めて議論し「成案を得たものは対処方針に反映させたい」と答えました。

 私は、学校や幼稚園、保育所などの感染拡大について、保健所が直ちに対応できない場合でも、行政検査で全員のPCR検査ができるようにすべきだと追及。

 山際大臣が、まん延防止措置が出された地域では、事業者が自ら濃厚接触者等のリストを保健所に提示し、保健所が認定すれば行政検査として実施できると答えました。

 私は「現場ではそうなっていない」と指摘し、対応を求めました。


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「議事録」

<第208通常国会 2022年2月3日 議院運営委員会 第6号>

○塩川委員 日本共産党の塩川鉄也です。
 オミクロン株の感染拡大、医療逼迫状況が進む中で、緊急事態宣言発出の議論が行われております。ただ、現在の緊急事態宣言発出の判断基準は、昨年十一月のコロナ対策分科会提言を踏まえたものであります。その後、オミクロン株が急拡大をしております。オミクロン株の特徴に対応した緊急事態宣言の発出基準を示すべきではないかと思いますが、いかがでしょうか。
○山際国務大臣 これも繰り返しの御答弁になるんですけれども、私たちは、昨年十一月に全体像をお示しする中で、医療の逼迫度合いというものに力点を置いて物事を考える、そういう、ある意味、定性的な哲学でこれまでやらせていただいております。それが、デルタ株からオミクロン株に優位な株というのが変わってきたとしても、我々としては、その基準そのもの、その哲学そのものを変える必要はないと思っております。
 すなわち、何を私たちは目指すかというと、コロナウイルス感染症に限りませんが、感染症そのものをゼロにするということはどだい無理ですから、感染症と共存しながら、いかに私たちの正常な経済社会活動というものを維持、継続していくかということに力点を置いて進んでいかなくてはいけないわけでございます。そのときの一番大切な点は医療が逼迫しないことだということを昨年の全体像でお示ししたわけなんです。
 その状況は何も変わっておりませんので、オミクロン株が今はやっている状況にありますけれども、その哲学に基づいて様々運用をさせていただいているということでございます。
○塩川委員 医療の逼迫状況という場合においても、やはりオミクロン株ならではの特徴も当然反映されているわけですから、オミクロン株の特徴に対応した医療の逼迫状況を念頭に置いたような緊急事態宣言発出の要件ですとか、それに基づく基本的対処方針の改定は必要ではないかと思いますが、いかがですか。
○山際国務大臣 それは、先生おっしゃるとおりだと思います。
 先ほども少し御説明申し上げましたが、重症化率は低いんですが、しかし、元々持っていらっしゃる原疾患を増幅させるということがオミクロン株の場合は大分見られています。ですから、心臓病をお持ちの方はその症状が重くなられたり、あるいは糖尿病の方は糖尿病の症状が重くなられたりということで、それが医療に負荷をかけているということは間違いないんです。ですから、これはデルタ株までのときとは大分状況が違いますから、そのことも私たちは念頭に置いて、これから蔓延防止等重点措置でいろいろなことを運用する中で見ておかなくてはいけないものとして、注意深く見ております。
 実際に、感染力が強いということも分かっております。ですから、倍加時間と言われるような、次の方にうつしていく時間も非常に短いということで、逆に、それが隔離をするときの期間を短くしてもいいという根拠になっていて、十四日から七日にするということで、できるだけ柔軟に対応しようということでやっておりますけれども、その哲学そのものは、先生がおっしゃったとおり、柔軟にオミクロン株に合わせて、経済活動ができるだけ維持できるようにということも念頭に置きながら、やらせていただいているということでございます。
○塩川委員 昨日、今日、答弁の中で、コロナ分科会を開催するというのがあるんですが、それを踏まえて緊急事態宣言の発出基準やあるいは対処方針の見直し、そういうことは考えているということですか。
○山際国務大臣 緊急事態までどのような形になるかということは予断を持って申し上げられませんが、二月四日、あしたですね、コロナ対策分科会は開きます。
 その場において、オミクロン株の特性というものがどういうものかということは当然専門家の皆様方の中で議論されて、先ほども申し上げましたが、感染する場所が飲食店から子供たちがいる場所あるいは高齢者のいらっしゃる場所にどんどん変わってきているというようなことも踏まえて、それらを総合的にあしたの分科会では御議論いただくということになります。
 そうなりますと、そこで何らか、当然、正論を得る形になると思うんです。正論を得たものに関しては、速やかに基本的対処方針に反映させたいと思います。
○塩川委員 学校、保育園の話もありました。
 学校、幼稚園、保育所等で感染が拡大しております。学校、幼稚園、保育所などで感染者が発生した場合に、保健所が直ちに対応できないような場合でも行政検査で全員のPCR検査ができるように措置する必要があると思います。知恵を出していただきたいと思うんですが。
○山際国務大臣 実は、これはもう既にやれるような仕組みになってございます。
 少し御説明申し上げますが、保健所業務の逼迫等により積極的疫学調査を行うことが困難である場合に、必要な行政検査が迅速に行われるよう、保健所自らが聞き取りにより濃厚接触者の範囲の特定を行わずとも、陽性者が確認された学校、幼稚園、保育所等を含む事業所が、自ら濃厚接触者等の候補範囲を特定し、そのリストを保健所に提示することによって、保健所が適切と認定した範囲において、行政検査として必要な検査を実施することも可能というふうに今も既になってございます。
 これは厚労省からお示ししているんですが、先生から御指摘いただいたことも踏まえて、より利活用していただけるように、周知を徹底させたいと思っております。
○塩川委員 現場ではなかなかそうなっていないというのが実態でありますので、本当にそれが可能なのかというところも含めて、しっかりとした対応方を求めたいと思います。
 発熱外来の補助金を是非とも復活して、地域の医療機関が積極的に参加できるように支援すべきではないでしょうか。
○山際国務大臣 これは、発熱外来を増やしていくための工夫として、補助金というものをこれまで使ってまいりました。御案内のように、三・五万か所、今発熱外来があるわけですね。増えたわけです。今度は、そこに対して、確実に発熱患者に対して診療が実施されるように、感染対策に係る費用への補助を行ってまいりました。そして、今度は、新型コロナの疑い患者に対して、必要な感染予防策を講じた上で、外来診療を行った場合の診療報酬上の特例的な対応、これを拡充しております。
 何を言いたいかと申し上げますと、まさに柔軟に対応してきて、発熱外来の数が少ないときは、それを増やすようにするための施策として補助金を用意し、数がそろってきたならば、それがきちんと本当に運用できるかどうかというところに対して補助を出し、そして、今なお、実際に疑いの患者さんを診たときに、その方々に対しての上乗せといいましょうか、診療報酬上の特例的な措置を行うという形で、そのときそのときに必要なものに対して適切に手当てをしてきたということでございます。これからも、その視点で必要なものを手当てしてまいりたいと思っております。
○塩川委員 現場の実態は違っていまして、検査の診療報酬引下げで、積極的に検査を行っている医療機関が赤字になる、押しとどめるような状況になっているというのをしっかりと見た改善策こそ必要であります。
 あと、米軍関係者について、基地外居住者の感染情報は日本側に提供されているのか、この点について御説明ください。
○山際国務大臣 米軍関係者の新型コロナ感染事案につきましても、これは在日米軍と緊密に連携しておりまして、日米合同委員会合意に基づいて、米側から適切に連絡は受けてございます。
 この中で、例えば、二〇一三年の日米合同委員会合意に基づいて、在日米軍の各病院の責任者とその地域を所管する日本の保健所長との間で、特定の感染症につき相互に通報すること、又は、広範な防疫措置が必要になった場合には、相互に緊密に協力し、必要な措置を取ることとされておりまして、感染症が発見された場合には、直ちに日本の保健所に対し通報が行われ、日米の衛生当局間で対応を協議しております。
 この中には、基地の外に住んでいらっしゃる方々というのも含まれてございます。
 引き続き、在日米軍が感染防止のために厳格な措置を徹底するとともに、緊密な情報共有を確保すべく、その時々の状況を踏まえ、在日米軍と連携して、適切に対応してまいります。
○塩川委員 現場はそうなっていないということを改めてお伝えし、しっかりとした改善策を求めるとともに、大本にある日米地位協定こそ改定をすべきだということを申し上げて、質問を終わります。

【議院運営委員会】新疆ウイグル等の人権決議を議決、議運委員会で意見表明

 衆院本会議で「新疆ウイグル等における深刻な人権状況に対する決議」が、日本共産党を含む賛成多数で議決しました。

 決議は、新疆ウイグル、チベット、南モンゴル、香港等での信教の自由への侵害や、強制収監等について国際社会から「人権状況への懸念が示されている」と指摘するにとどめた不十分な内容です。

 このため、日本共産党は提案者にならず、賛成の態度を取りました。

 本会議に先立つ議院運営委員会で、発言を行いました。以下、発言要旨です。


 新疆ウイグル等における深刻な人権状況に対する決議について、一言申し上げます。

 香港での民主化を求める市民への弾圧や新疆ウイグル自治区での少数民族への抑圧、強制収容をはじめとした中国政府による人権侵害・抑圧は、世界人権宣言、国際人権規約、ウイーン宣言など国際的な人権保障の取り決めに反するものです。しかし、今回の決議では、これらの点が明らかではありません。中国政府による深刻な人権侵害に対する非難決議とすることを明確にすべきです。

 そして日本政府が、中国政府に対して、国際法に基づく冷静な外交批判によって、人権侵害の是正を働きかけることを求めるものです。

 以上、発言とします。

オール埼玉総行動の埼玉12区の会の宣伝行動

  オール埼玉総行動の「埼玉12区の会」の宣伝行動(熊谷駅北口)に参加。小出実行委員長はじめ、後援団体の埼玉弁護士会・連合埼玉・埼労連、立憲民主党・日本共産党・社民党のあいさつ・メッセージがありました。

 私は、コロナ禍での後手後手の政権対応を批判するとともに、野党が国民・事業者支援策を掲げ実現してきたことを紹介。

 総選挙の野党共通政策では、従来の医療費削減政策の転換、医療・公衆衛生の整備、エッセンシャルワーカーの待遇改善、コロナ禍で打撃を受けた人や事業者への万全の財政支援を要求。まさに喫緊の課題です。

 岸田首相の敵基地攻撃能力の保有の議論は、軍事対軍事の悪循環を生み出すもの。野党共通政策が掲げた「平和憲法の精神に基づき、総合的な安全保障の手段を追求し、アジアにおける平和の創出のためにあらゆる外交努力を行う」ことこそめざすべき道です。

埼玉・春日部市/庄和地域の新春のつどい

 春日部庄和地域の新春のつどい。

 4月の市議選で現有6議席確保をめざし、大野とし子市議が決意表明。春バスなど地域交通網の充実、学校トイレの洋式化、自校方式の学校給食の実施など、庄和地域の市民要望実現を訴え。

 国に対し、ワクチン3回目接種の迅速化、大規模検査、発熱外来補助金復活など地域医療全体への支援、事業者支援など、コロナ対策に万全を期すことを求めたい。

【議院運営委員会】まん延防止等重点措置拡大/米軍感染情報の提供を

 まん延防止等重点措置の対象区域を拡大(1都12県を追加)するにあたって、政府から報告を受け、質疑を行いました。新型コロナウイルスのオミクロン株の急拡大で、全国の感染者数は過去最多、病床使用率も急上昇しているにもかかわらず、岸田文雄首相は出席しませんでした。

 私は、オミクロン株については専門家の科学的知見を踏まえた対策が重要だと指摘。山際大志郎コロナ担当大臣はこれまで一回も専門家との合同記者会見を行っておらず、岸田首相も専門家を会見に同席させない方向だと報じられていることについて、科学的知見を踏まえた対策と丁寧な説明、発信が必要だ、と強調しました。

 私は在日米軍基地での感染拡大は、基地ごとの新規感染者数・感染者総数が政府のホームページで公表されていない。と指摘するとともに、玉城デニー沖縄県知事からの「在日米軍の基地外居住者の感染情報が県に提供されていない」との訴えを紹介。感染情報の共有もままならない状況を作り出し、米軍に特権的な地位を与える日米地位協定の見直しを求めました。

 山際大臣は「日米地位協定に基づく日米合同委員会で話し合っている」と開き直りました。

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「議事録」

<第208回国会 2022年1月19日 議院運営委員会 第2号>

○塩川委員 日本共産党の塩川鉄也です。
 急速に感染拡大をしているオミクロン株については、専門家の科学的知見を踏まえた対策と丁寧な説明、発信が必要であります。
 前のコロナ担当の西村大臣は、基本的対処方針分科会の尾身会長と三十回の合同記者会見を行い、国民への説明を行ってきました。山際大臣はまだ一回も行っていないと承知していますが、これはどういうことでしょうか。
○山際国務大臣 私が大臣に就任させていただいたときは、本当に日本全体にとって運のいいことに、コロナ感染症が相当下火の状況にございましたので、当然、必要なときに必要なことをやるというのが私たちのスタンスでございますので、尾身先生と共同記者会見をしなくてはいけない状況にはなかったということだと御理解いただければと思います。
 一方で、今、オミクロン株がこのような状況になっていますから、相当密にコミュニケーションを取っておりますので、必要とあれば、またそういう機会も出てこようと思います。
○塩川委員 岸田総理は、専門家の意見を聞きながら最新の知見に基づく対応を進めると述べていますが、十八日の新聞報道で、首相は記者会見に尾身氏は同席させない方向で、情報発信の切り分けを狙うとありましたが、切り分けというのを決めているんでしょうか。
○山際国務大臣 済みません、ちょっと今、質問の意味が少し分からなかったので、もう一度言ってもらっていいですか。
○塩川委員 尾身氏と同席しないということで、情報発信の切り分けを狙うという報道があるんですが、それは事実ですか。
○山際国務大臣 私、そのことは承知しておりませんが、内閣全体としては、先ほどお答え申し上げたように、必要なときに必要な発信をしなくてはいけないということでございますので、もし尾身さんと一緒に記者会見をする必要が出てくれば、当然、それは総理でいらっしゃろうが私であろうがやることになる、そう御理解いただいていいと思います。
○塩川委員 国民への丁寧な説明、発信を求めたいと思います。
 事業者支援についてお尋ねします。
 中小企業、個人事業主、フリーランスに、持続化給付金、家賃支援給付金を是非再支給していただきたい。そして、コロナ危機を乗り越えるまで継続的に支援すべきだと考えますが、いかがでしょうか。
○山際国務大臣 これは先ほども御答弁申し上げたんですが、事業復活支援金そのもののスキームは、今まで、今、塩川先生がおっしゃったようなことも包含するぐらいに、相当な額を、五か月間を一括して支給するという制度になっておりまして、それをまず利活用していただくというのが第一だというふうに私たちは考えております。
 その上で、注意深く経済の状況というものを我々は見ていかなくちゃいけないと思いますから、更に何か必要な支援策というものがあれば、それはちゅうちょなく考えてやっていかなくてはいけないと思います。
○塩川委員 現場の強い要望を受け止めていただきたい。
 次に、医療提供体制で、全国知事会の緊急提言にもあります、医療従事者を派遣することに伴い休床、休棟が生じる医療機関へ休床補償を行うための経費を緊急包括支援交付金の対象とするということについてはどうでしょうか。
○山際国務大臣 緊急包括支援交付金の内数として、先生が今おっしゃっていたような、医療従事者を派遣するときに派遣元にそれを支給するというスキームがもう既にございますので、それを利活用していただくということでございますが、さらに、派遣先医療機関に臨時の医療施設あるいは入院待機ステーションも対象に含めることにしましたので、そちらに派遣される方々に対して、派遣元の方に支給されるというふうに御理解いただければと思います。
○塩川委員 休床補償でこそしっかりとした体制が取れるということを強く強調します。
 次に、米軍感染拡大の実態把握ですが、是非、米軍基地ごとに新規感染者数だけではなく感染者総数も明らかにする、これは定期的な公表が必要だと思いますが、いかがですか。
○山際国務大臣 この場で、今分かっていることを発表した方がいいですか。我々としては、何か不透明なことがあるとは思っておりませんので、米軍の方からも報告があるたびにきちんと公表していると思いますので、その御指摘も踏まえて、定期的にというのがどの程度かということは別にして、報告はさせていただきたいと思っております。
○塩川委員 ホームページ上などには見て取れないところでありますので、しっかりとした公表のルールを作っていただきたいと思いますし、基地外の居住者の感染情報は沖縄県に提供されていないという問題もあります。
 こういう点での対応方を求めたいと思っていますし、玉城知事が訴えています、米軍に特権的な地位を与え、感染情報の共有もままならない状況をつくり出している日米地位協定がもたらす構造的な問題だという危機意識が政府にあるのか。このことを強く求めたいと思いますが、一言いただいて、終わります。
○山際国務大臣 我々としては、むしろ、日米地位協定というものに基づいて、日米合同委員会というもので感染症拡大に関する保健衛生のことに関してもしっかり今話合いを持っているところでございまして、それを継続して行っていくということが、一番リアリティーのあるといいましょうか、一番現場に即した形になるというふうに思っております。
○塩川委員 大穴を空けている地位協定こそ見直すべきだということを申し上げて、終わります。

【「しんぶん赤旗」掲載】新春随想/米軍の横暴止めるため

「しんぶん赤旗」1月19日・首都圏版より

 昨年末、栃木県鹿沼市で、オスプレイの飛行実態調査を行いました。

 「鹿沼市民の会」が把握したオスプレイの飛行情報は、米軍横田基地にオスプレイが配備された2018年夏以降の約3年間で140件以上に及びます。山間地から平野部にかけて、南西-北東方向に往復するように飛び、独特の音と振動によって、夜間も頻繁に飛行していることがわかりました。米軍被害に関する情報開示が後退する中、市民の監視行動は極めて重要です。

 桐生平和委員会の苦情情報や埼玉県開示のオスプレイ飛行記録などと突合すると、米軍横田基地のCV22オスプレイが、横田―桐生―鹿沼―三沢というルートで飛行している実態が浮かび上かってきました。横田基地を午後出発して三沢基地に行き、そのまま夜には横田基地へと戻ってきます。

 横田-三沢間のオスプレイの通常飛行時間は1時間半ほどなのに、3時間もかけて飛行していました。わざわざ山間部に“寄り道”して、低空・夜間飛行を行っています。重大事故を繰り返すオスプレイの危険な訓練飛行は認められません。

 横田基地に近い私の自宅の上も、オスプレイが飛んでいます。米軍の横暴勝手を追及する国会論戦に取り組みたい。その思いで、お正月の空を見上げています。

【「しんぶん赤旗」掲載】女性天皇は憲法に照らして合理性持つ

「しんぶん赤旗」1月19日・2面より

「皇位継承問題」有識者会議報告/小池書記局長が会見

 衆参両院の各党・各会派の代表者は18日、衆院議長公邸で、「天皇の退位等に関する皇室典範特例法案に対する付帯決議」に基づく「皇位継承問題」有識者会議の報告書について、政府の説明を聴取しました。日本共産党からは小池晃書記局長、穀田恵二国対委員長、塩川鉄也国対委員長代理、田村智子副委員長・政策委員長が出席しました。

 説明を受けた後、小池氏は、国会内で記者会見し、有識者会議の報告について日本共産党の立場を述べました。小池氏は「有識者会議の報告は、天皇の制度は男系男子によって継承されるべきだということが、事実上、『不動の原則』になっている」と指摘。「日本共産党は、天皇の制度は、憲法の精神に基づいて議論、検討すべきだという見地から、これまでも退位に関する問題などで発言してきた。日本国憲法では、第1条で、天皇について『日本国の象徴』『日本国民統合の象徴』と規定している。この憲法の規定に照らせば、多様な性を持つ人々によって構成されている日本国民の統合の『象徴』である天皇を、男性に限定する合理的理由はどこにもない。女性天皇を認めることは、日本国憲法の条項と精神に照らして合理性を持つと考える。女系天皇も同じ理由から認められるべきだというのが、日本共産党としての基本的な立場だ」と述べました。

 そのうえで、小池氏は「国会の付帯決議では、女性宮家の創設について、重要な課題であることに鑑み、検討を行い、すみやかに国会に報告することとしており、女性天皇、女系天皇について報告することを求めていた。にもかかわらず、今回の有識者会議の報告は、女性天皇、女系天皇について検討しなかった。むしろ逆に男系男子を事実上、『不動の原則』とする報告書になっている。これは、この報告の大きな問題点として指摘せざるを得ない」と強調。「これから国会の中で、各党・各会派で議論されることになるかと思うが、日本共産党としては今述べた立場で、この議論には臨んでいきたい」と述べました。

岸田首相の施政方針演説を聞いて

 「コロナ対策は最優先課題」という岸田首相だが、水際対策に大穴を開けていた米軍特権の日米地位協定改定は全く要求しない。あまりにもなさけない。

 「格差や貧困の拡大」を指摘しながら、その対策としての賃上げについては、赤字の中小企業は対象外となる賃上げ税制を強調するだけ。最低賃金は「千円」ではなく、中小企業支援と一体に時給1500円こそ必要。「新自由主義の弊害を乗り越える」というなら、非正規拡大など雇用破壊をもたらした労働分野の規制緩和の見直しこそ行え。

 「格差や貧困の拡大」是正に欠かせない税制については全く触れない。大企業・富裕層への応分の税の負担を求めるとともに、庶民と中小業者いじめの消費税は5%への引き下げこそ行うべき。

 ジェンダー平等の取組みでは、男女賃金格差是正について「企業の開示ルール見直し」を掲げたが、開示や格差解消計画の義務付けに踏み出すのか不透明。選択的夫婦別姓については視野の外だ。

 「深刻化した気候変動問題」への対応が、石炭火発と「革新原子力」の推進というのでは、気候危機は打開できない。

 岸田首相は「沖縄の歴史に思いを致す」と言いながら、辺野古への米軍基地建設を押し付ける。核兵器禁止条約には全く触れず、憲法違反の「敵基地攻撃能力の保有」の検討を進め、改憲議論を「歓迎」する。

 米国言いなりの政治の転換を図るとき。ASEANのような平和の枠組みを活用、発展させて、東アジアを平和と協力の地域にしていくための憲法9条を生かした平和外交を。

 「国民の声に耳を傾ける」といいつつ、国民が真相究明を求める森友問題、桜を見る会、河井選挙買収事件、学術会議会員任命拒否問題などは言及なし。国交省統計不正問題は、「お詫び」の一言はあっても、統計法違反、公文書管理法違反について語らないのでは、国民の信頼は得られない。

 国会論戦を通じて、政治転換の方向を示しながら、岸田政権を徹底追及していきたい。