【内閣委員会】重要事項の決定は政府の一存/経済安保法案質疑

 経済安保法案の質疑に立ち、国会の関与は予算に関する最低限のものである一方、政省令への委任か所が138に上ることを内閣官房の答弁で明らかにし、政府への白紙委任だと言われても仕方がない、と批判しました。

 私は、法案の対象に災害や感染症、気候危機が含まれているかと質問。

 小林鷹之担当大臣は「ただちには含まれない」とあいまいな答弁。

 私は「国民の生存に必要不可欠」で「外部に過度に依存」している「特定重要物資」には、食料、衣服、エネルギーが含まれるかと質問。

 小林大臣は「基本指針で定めるので、現時点で予断を持って言及することは控える」と述べ、食糧、エネルギーは既存の法制度があることもふまえ検討するとして明らかにしませんでした。

 私は、さらに、法案では国家安全保障局の事務に安全保障に関して、経済政策の基本方針などを司ることを追加していることをあげ、外交・防衛政策と一体に、経済政策が運用されることになると指摘。土地利用規制法も経済安保の一環として位置付けられていることは重大だと批判しました。


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「議事録」

<第208通常国会 2022年3月23日 内閣委員会 第11号>

○塩川委員 日本共産党の塩川鉄也です。
 経済安保推進法案について質問をいたします。
 今日は、まず、フレームの点についてお尋ねいたします。
 本法案では、外部から行われる行為により国家及び国民の安全を害する行為という文言が何か所も使われております。ここで言う外部とは何なのかについて御説明ください。
○小林国務大臣 お答え申し上げます。
 外部から行われる国家及び国民の安全を害する行為とは、例えば、外国政府等の主体により行われる我が国の国家及び国民の安全を害する行為をいいます。
 例えば、基幹インフラにつきましては、二〇一五年に、ウクライナの変電所に対するサイバー攻撃によって大規模かつ長期にわたる停電が発生した事案などが発生いたしました。
 国家の関与の下、我が国に対してそのような攻撃が行われるとすれば、それは、外部から行われる国家及び国民の安全を害する行為に該当し得ると考えられるものでございます。
○塩川委員 外国政府によるという話でありました。
 そうしますと、外部から行われる行為、国家及び国民の安全を害する行為という点について言うと、例えば、自然災害ですとか感染症ですとか気候危機というのは、そういう形では含まれるというものではないということでしょうか。
○小林国務大臣 原則、外部というのは先ほど申し上げたとおりなんですけれども、一般論として申し上げますと、今委員から御指摘のございました災害あるいは感染症、気候危機といったような事象というのは、我が国の外部から行われる行為によって引き起こされたものとは考えにくいので、単にそうした事象のみでは、直ちにこの法案に言う外部から行われる国家国民の安全を害する行為には含まれないと考えられるというものでございます。
○塩川委員 それだけでは当てはまらないというお話であります。国民的な受け止めというのはいろいろ幅がありますので、そういった点での、法案が何を位置づけているのかというのを明らかにすることは重要だと考えます。
 それから、本法案で、政令、省令委任という箇所というのはかなり出てくるんですけれども、本法案における政省令への委任箇所数というのは全部で幾つなのか、この点、お答えください。
○小林国務大臣 お答え申し上げます。
 委任箇所の数は、作成される政令数で数えるか否かといった論点がありますが、確定的にお答えすることは困難でございまして、ただ、この法案において、政令という言葉は五十一回、省令を示す言葉、これは主務省令とか内閣府令という言葉がありますけれども、それは八十七回使用されております。
○塩川委員 政令で五十一回、省令、内閣府令や主務省令ということで八十七回ということですから、単純に足せば百三十八か所という点で、かなりの数に上るということであります。
 それ自身が、重要事項のほとんどが政省令事項になっているという点でも、こういった中身について、やはり、例えば政令の考え方などを示すということというのは是非やっていただきたいと思うんですが、その点、いかがでしょうか。
○木村政府参考人 お答え申し上げます。
 あらゆる事項を全て法律に規定いたしますということになりますれば、それ自身は大変困難であると考えてございます。加えまして、行政の複雑性でありますとか、あるいは行政に求められる機動性に対応するためには、必ずしも適切とは言い難い、このように考えてございます。
 下位法令への委任につきましては、委任事項の多寡ではなくて、委任事項の内容が重要でありますところ、一般的には、手続的な事項でありますとか、あるいは技術的な事項、事態の推移に応じ臨機に措置しなければならないことが予想される事項につきまして委任をすることがあるものと承知してございまして、本法におきましても同様の考え方で規定をさせていただいているところでございます。
 その上で、本法案の委任事項につきましては、例えば、物資につきましては要件を法律上明確に示す、事業につきましては、法律上の要件の下で、法律上に限定的に列挙する十四事業の中から定めることとする、技術分野につきましては、法律上の要件の下で、国際特許分類等をもって定めることといたしますなど、法律上、可能な限り明確化するように努めているところでございます。
 以上でございます。
○塩川委員 でも、そういう程度しか説明がないわけですから、大事なところが政令や省令に委任をされているという点についても考え方を示すということはあっていいわけで、今後、具体的な法案の中身というものの関係では、そういった政令についての考え方なども是非示していただきたいと思っております。
 このように政省令に委任される項目が非常に多い一方で、国会の関与の在り方、そういった点で、この法案において国会という言葉というのはほとんど出てこないんですけれども、本法案における国会関与の仕組みというのはどうなっているのか、この点について御説明ください。
○小林国務大臣 お答え申し上げます。
 御指摘の国会報告につきましては、サプライチェーンの強靱化に関する制度として、この法案の第三十四条第九項、そして第四十三条第二項におきまして、主務大臣が安定供給確保支援法人基金及び安定供給確保支援独立行政法人基金に係る業務に関する報告書の提出を受けたときは、基金における予算の執行状況を対外的に明らかにすることで執行の透明性を確保する観点から、これに意見を付して国会に報告しなければならない旨を規定しているところでございます。
○塩川委員 安定供給確保支援法人基金、また安定供給確保支援独立行政法人基金の業務報告書についての国会報告の義務という点だけであります。これは予算措置との関係がありますから、これについて国会への報告義務を課すということだろうと思います。法律で基金を設けるときに係る国会報告として行われるものであって、ある意味、最低限の規定でしかありません。
 重要事項が、多く政省令で、政府の一存で決まり、国会関与がほとんどないような、こういう仕組みというのは、率直に言って、政府にお任せ、白紙委任と言われても仕方ないんじゃないでしょうか。
○小林国務大臣 この法律の施行に当たりましては、安全保障を確保するための経済施策の全体に関わる事項を規定する基本方針を策定した上で、この基本方針に基づいて、四つの施策ごとに、有識者の意見を聞いた上で、各施策に固有の事項を規定する基本指針を策定することとしております。
 こうした基本方針や基本指針の策定に当たりましては、国会での御審議も十分に踏まえたものとしていかなければならないと考えております。また、この法律案の施行に必要な予算につきましては、予算審議の際に当然国会に御審議いただくこととなります。
 こうした形で、国会での御審議の内容も踏まえつつ、この法律案、成立しましたら適切に執行していきたいと考えているところであります。
○塩川委員 是非、審議を通じて明らかにしていただきたいと重ねて要望するものです。
 こういった法律が作られる場合、その執行体制の点ですけれども、現行の国家安全保障局経済班の役割はどういうものなのかについてまず御説明をいただけますか。
○泉政府参考人 お答え申し上げます。
 国家安全保障局は、国家安全保障に関する司令塔である国家安全保障会議の事務局として同会議を恒常的にサポートするとともに、国家安全保障に関する企画立案、総合調整等を行ってございます。そして、その中で経済班は、経済安全保障の確保が我が国の外交、安全保障上の喫緊の課題となっている中、経済分野における国家安全保障上の課題について俯瞰的、戦略的な対応を迅速かつ適切に行うべく、令和二年四月に設置され、安全保障と経済を横断する領域で生ずる様々な課題に対し、関係省庁と連携しながら、法制度の検討作業を進め、関連施策を推進しております。
○塩川委員 経済分野における国家安全保障上の課題について俯瞰的、戦略的な対応を迅速かつ適切に行うということで、外交・防衛政策と経済の一体的な推進、その点については、そういうことでよろしいですか。
○泉政府参考人 お答え申し上げます。
 御指摘のあった点、今回の法案でも関連はしております。今回の法案の附則において、内閣法そして国家安全保障会議設置法等の改正を行ってございます。
 具体的に申し上げますと、今回の法案の附則第九条でございまして、今回の法整備に合わせまして内閣法第十六条を改正いたしております。これは国家安全保障局の所掌を追加するものでございます。具体的には、国家安全保障に関する外交政策及び防衛政策に加えまして、国家安全保障に関する経済政策についても、その基本方針及び重要事項に関する企画立案及び総合調整を国家安全保障局の所掌の一つとして明示する、こういうものでございます。
 そして、附則の十条でございますけれども、国家安全保障会議設置法第二条を改正いたしまして、国家安全保障局の所掌と同様に、国家安全保障会議の審議事項を追加するものでございます。具体的には、国家安全保障に関する外交政策及び防衛政策に加えまして、国家安全保障に関する経済政策についても、同条第一項第十一号に定める審議事項の一つとして明示するというものでございます。
 そして、最後に附則の第十一条でございますが、内閣府設置法第四条を改正いたしまして、本法案の施行に必要な事務を内閣府の所掌に追加することとしております。行政各部の施策の統一に必要な総合調整等を行うこととするとともに、個別施策の実施及び推進に関する事務を行うこととする、こういうこととしてございます。
○塩川委員 附則の九条から十一条の説明がありました。本法案による内閣法の改正で、国家安全保障局の事務として、これまでの国家安全保障に関する外交政策、防衛政策に加えて、経済政策の基本方針に関する事務をつかさどることになるということですが、これは現行とこの法改正で何がどのように変わるということでしょうか。
○小林国務大臣 従来からNSS、国家安全保障局では、我が国の安全保障に関する外交政策及び防衛政策の基本方針並びにこれらの政策に関する重要事項として経済分野に関する事項についても企画立案、総合調整を行ってきたところでございます。
 今回の法改正によりまして経済政策が国家安全保障局の所掌の一つとして明示されることを踏まえまして、この法律案に基づいて実施する安全保障の確保に関する経済施策を含め、経済安全保障を強化するための取組を更に加速していくということでございます。
○塩川委員 国家安全保障政策として、外交政策、防衛政策、こういう政策と並んで経済政策が掲げられるようになる、国家安全保障政策として外交・防衛政策と一体に経済政策が運用されることになるということであります。
 そこで、附則の第九条と第十一条についての説明で、経済安全保障における国家安全保障局と経済安全保障を所掌する内閣府の関係、経済安全保障における国家安全保障局と内閣府の関係について説明をしてもらえますか。
○泉政府参考人 お答え申し上げます。
 今回の法律の施行を担う組織として、今般新たに内閣府に所掌事務を追加するということでございます。その上で、内閣官房においては、先ほど先生もおっしゃられたとおり、元々の総合調整機能を担っておりますので、国家安全保障に関する外交、防衛に加えて経済というものを明示する、こういう形になります。
 以上でございます。
○塩川委員 国家安全保障局は、今回の法律によって、経済安全保障全般の企画立案、総合調整の事務を担う。内閣府の方は、経済安保推進法の範囲内で、企画立案、総合調整の事務、内閣補助事務を行うとともに、経済安保推進法に基づく個別の事務、分担管理事務を行う。そういう整理ということでいいですか。
○泉政府参考人 お答え申し上げます。
 具体的に内閣府設置法をどういうふうに改正するかと申し上げますと、内閣府設置法の四条の第一項、そして第三項、両方の項を改正いたします。第三項については、おっしゃられましたとおり、分担管理事務として、今回の法案の施行に関する事務並びに安全保障の確保に関する経済施策の総合的かつ効果的な推進に関する事務、これを担わせるということでございますし、四条の第一項に関しましては、内閣補助事務として、行政各部の施策の統一に関する総合調整に関する事務、こういったものを担わせる。こういう所掌事務を二つ追加してございます。
○塩川委員 ですから、私の説明でいいということでよろしいですか。
○泉政府参考人 正確に申し上げますと、内閣府設置法四条の一項には、柱書きのところで、行政各部の施策の統一を図るために必要となる次に掲げる事項の企画立案……(塩川委員「国家安全保障局と内閣府の関係」と呼ぶ)
○上野委員長 済みません、指名してからお話をお願いします。
○泉政府参考人 それで、済みません、四条一項に書いてありまして、その中で、括弧書きがございまして、内閣官房が行う内閣法第十二条二項第二号に掲げる事務を除くという規定もございます。そこで入れ子のような形になっている、こういうことでございます。
○塩川委員 国家安全保障局は当然司令塔ということで位置づけられていて、その下で内閣府に必要な所掌の事務を担うところがあって、そこで内閣補助事務、分担管理事務を法律の範囲で行うという体制ということです。
 それで、実際に内閣府に置かれる組織というのは、今の経済安全法制の準備室が衣替えをして事に当たるということを元国家安全保障局長の北村滋さんがおっしゃっていたんですが、そういうことですかね。
○小林国務大臣 今回の法施行を行う組織につきましては、今般新たに内閣府に担わせることとしておりますが、具体的な体制についてはこれからということになろうかと思います。
○塩川委員 国家安全保障局は、重要土地等調査法、土地利用規制法に基づく政策の企画立案、総合調整を所掌してきました。この点、今回の法改正ではどうなるんでしょうか。
○泉政府参考人 お答え申し上げます。
 御指摘のありましたとおり、NSSにおいては、重要土地調査法の基本方針に関する企画立案というものを所掌してございました。その規定については内閣法に規定があったわけでございますけれども、今般、先ほど申し上げましたとおり、国家安全保障局の所掌事務として、国家安全保障に関する外交、防衛、経済というふうに書き改めたものでございますから、そこで読めるということで、引き続き、規定ぶりは直しますけれども、国家安全保障局において所掌する、こういうことでございます。変わりはない、こういうことでございます。
○塩川委員 これは、現行の条文が削除されて、当然、改正の方に外交政策、防衛政策と経済政策が入った、この国家安全保障局の事務として新たに位置づけられる経済政策の中で、重要土地等調査法の事務を読み込むということですか。
○木村政府参考人 お答え申し上げます。
 御指摘のとおりでございます。
○塩川委員 そうすると、重要土地等調査法というのは、経済安全保障の側面もあるということですね。
○木村政府参考人 お答え申し上げます。
 経済政策の面もございますが、外交、防衛に関する部分も含まれているもの、このように整理しているところでございます。
○塩川委員 重要土地等調査法、土地利用規制法が経済安全保障の一環として位置づけられているということであります。
 昨年、土地利用規制法の議論も行いまして、自衛隊や米軍基地、原発周辺及び国境離島の住民に対してプライバシー権や財産権等を侵害する違憲立法であり、重要事項が皆、政省令事項という政府への白紙委任立法だということで厳しく批判をされた法律であります。このような土地利用規制法が経済安全保障の一環として位置づけられているというのは、極めて重大だと言わざるを得ません。
 その上で、経済安全保障法制準備室長であった藤井敏彦氏の件についてお尋ねをいたします。
 国会に提出をされました、国家安全保障局への立入り申請許可証についてお尋ねをいたします。
 この立入り申請許可証について、五枚提出をされましたが、その訪問客というのはそれぞれどなたでしょうか。
○室田政府参考人 お答えを申し上げます。
 この立入り申請許可証につきましては、審議における要請を受けまして、藤井氏が直近三年で関わりのあった、不識庵で関わりのあった二十社のうち、私どもが今手元に残っております、令和二年、令和三年度の出入りの記録に残っている会社についての立入り許可証の写しでございます。
 具体的に申し上げますと、二十社のうち、二社、そして五件の立入りがあったということでございます。
○塩川委員 この二社というのはどの企業でしょうか。
○室田政府参考人 お答え申し上げます。
 大変申し訳ございませんけれども、不識庵と藤井氏の直近の関わり、二十社いずれも、現時点において社名を公表してほしくないということを申しておりますので、この二社が具体的にどの会社であるかということについては、現時点では差し控えさせていただく必要がございます。
○塩川委員 それはおかしいんじゃないでしょうか。
 この間、電機メーカーA社社員の国家安全保障局への出入りに関する調査結果というのがあって、この電機メーカーA社については日立製作所という形での答弁もあったところであります。ですから、この二社、五件のうちの二社に日立製作所は入っているということでいいんですよね。
○室田政府参考人 お答えを申し上げます。
 A社、電機メーカーA社が日立製作所であるということにつきましては、塩川先生からの度々の御要請がありまして、委員長の御指示に基づきまして、A社たる日立製作所と相談をした結果、A社が日立製作所であるということについては公表してもよいということの同意を得ましたので、公表させていただいた次第でございます。
 他方で、現時点で、二十社のいずれも、自分たちの名前を出してほしくないというふうに申しておりますので、先生御指摘の日立が二十社に含まれるのかという御質問にお答えするということは、二十社の一つのお名前を出すということになりますので、大変申し訳ないんですけれども、現時点では二十社のお名前を出すということはできないということで御理解いただければと思います。
○塩川委員 委員長、是非、この点をはっきり答えるように言ってもらえませんか。
○上野委員長 後刻、理事会で協議いたします。
○塩川委員 政府は、電機メーカーA社について、日立製作所と認めております。
 この立入り申請許可証、五枚出してもらったわけですけれども、そのうちの四枚は、この立場でいっても、A社関係者の来訪日、つまり、このA社は日立製作所となっているわけですから、日立製作所が来訪した日が令和三年の二月四日、三月十日、四月五日、四月八日となっています、その日付に対応するように、出された五枚のそれぞれの立入り申請許可証、うち四枚がこれに対応していますので、立入り申請許可証五枚のうち四枚は日立製作所社員の国家安全保障局への立入りということでいいですよね。
○室田政府参考人 お答え申し上げます。
 御指摘の四つの期日が一致しているという点につきましては、これは客観的事実としてそのとおりでございますけれども、繰り返しになって大変恐縮でございますが、日立製作所はA社が自分たちであるということは対外的に公表していいと言っていますけれども、二十社いずれも、まだ、二十社に自分たちが当たりますということについて同意をしてくださっておりませんので、その段階におきましては、私どもとして勝手にお名前を公表するということは難しいという点につきましては、改めて御理解ちょうだいできればと思います。
○塩川委員 こんな答弁をずっとやっている以上、まともな議論はできないじゃないですか。委員長もおかしいと思いませんか。
○上野委員長 室田審議官、的確な御答弁をお願いいたします。
○室田政府参考人 お答え申し上げます。
 二十社の中で、名前を出していいという会社が出てきたら、それはきちんと御報告させていただきたいと思いますが、今この瞬間で申し上げれば、二十社全て、名前を出してほしくないという状況でございますので、今ここで、私の一存で会社のお名前をお伝えするということはできないということについて、お願いをいたします。
○塩川委員 私、二十社全部を出せという話はそもそもしていないんですよ。電機メーカーA社が日立製作所でした、日立製作所が国家安全保障局に出入りをしていた、その際の立入り申請許可証の四枚について、ちょうどこの政府が出されているペーパーにある日付と合うようにこの申請証が出ているものだから、それは日立製作所ですよねという当たり前の確認をしているだけなので、日立製作所に関する話なんですけれども、その点、何で答えられないのか不思議でならない。委員長も不思議と思いませんか。
○上野委員長 相手方があることでございますので、そのような判断かと思います。
○室田政府参考人 お答えを申し上げます。
 日付が四つ全て同じであるということは、私も、そのとおりというふうなところでございますけれども、いずれにしましても、二十社の中で一社につきましてでも、その会社の御了承を得ないとやはり我々としてはお名前を出せないということでございますので、まさに、今、度々の御要請ございましたので、二十社全てとの関係で、相談をさせていただきたいというふうに思います。
○塩川委員 元々、二十社と関係ない話で私は聞いていたんですよ。元々、この電機メーカーA社の国家安全保障局への出入りについてのペーパーの話をしているわけで、これは直接、二十社の話と関係ないですから。A社が日立製作所と認めたということだから、この四回は日立製作所が来ているよね、単純にそういうことですよね。
○室田政府参考人 お答え申し上げます。
 A社が日立製作所であるということと、二十社の中に日立製作所が含まれているか否かという問題は、私どもとしては別の問題としてやってまいりました。
 日立製作所との関係においては、A社は日立製作所かという点については同意を得られております。他方で、二十社いずれも、大変、繰り返しになって恐縮でございますけれども、自分たちの名前が二十社の一つとして出るということに今のところ同意をしていないという状況、これも客観的事実としてございます。
 しかし、今、再三の御要請がありましたので、特定の一社ではなくて、我々としては二十社平等に扱う必要があると考えていますので、二十社全体につきまして、お名前を出していいかどうかについて事後に確認をさせていただきたいというふうに思います。
○塩川委員 それはそれで出してください。でも、二十社と関係ない話を聞いているんですよ、これ。
 皆さんが出した三月九日付の国家安全保障局のペーパーの中で、この電機メーカーA社の国家安全保障局の出入りの調査結果があります。この電機メーカーA社が日立製作所と認めました。だとしたら、日立製作所の来訪日に、令和三年の二月四日、三月十日、四月五日、四月八日、来ていますよね、日立製作所がこの日に来訪していますよねということは言えるでしょう。
○室田政府参考人 お答え申し上げます。
 私、今申し上げられますのは、三月九日に発表させていただきました、電機メーカーA社、すなわち日立製作所の国家安全保障局への出入りに関する調査結果といったことで、日立製作所は、令和三年二月四日、同年三月十日、同年四月五日、同年四月八日に国家安全保障局を来訪している、これは申し上げることができます。
○塩川委員 こういった短期間、二か月の間で四回も日立製作所の社員が藤井氏を訪ねて、国家安全保障局を来訪している。国家安全保障局というのは、こんなに頻繁に特定の民間企業が来訪するところなんでしょうか。
○室田政府参考人 お答え申し上げます。
 国家安全保障局におきましては、内規に基づきましての、外部の人間の出入りをきちんと規制をしておりますけれども、今の御質問、こんなに短い間に一つの会社が来るものなのかどうかということについて申し上げれば、必要があるときにはそういうこともあろうかと思いますし、必要がなければそんなに頻繁に来ないということは申し上げられるかと思います。
○塩川委員 どんな必要があったんでしょうか。
○室田政府参考人 お答えを申し上げます。
 A社、すなわち日立製作所との関係につきましては、日立製作所から聴取をした結果としては、話題は最近の経済状況等であったということで、より具体的に申しますと、藤井氏が専門にしておりますCSR、企業の社会的責任、あるいはESG、環境、社会、ガバナンスといった問題についての議論を行っていたということでございます。
 では、これは国家安全保障局として必要なことだったのかと言われれば、率直なところ、国家安全保障局としての本来業務ではないと思います。他方で、そのような本来業務でないお客さんが来てはならないというほど、我々としても厳しく規制をしているということでも必ずしもございませんし、私どもにとって重要なことは、そのような四回の会談において、法案の内容の漏えいであるとか不適切な職務上の便宜供与があったかどうかということでございますけれども、それについてはなかったということを先方からも確認しておりますし、その点について、結果として四回の訪問というものがあったということ自体が特段の問題であったというふうには考えておりません。
○塩川委員 この問題、しっかり明らかにしていただいた上でまたお尋ねしますけれども、基幹インフラ役務に係るような安定的な提供の確保の制度をつくる、そういったときに、この日立製作所の社員の人が上下水道分野や治水、利水分野などを領域とする水事業部の担当部長だったという点でも、経済安全保障との関わりがどうだったのかというのは明らかにする必要がある、これでは疑念を拭うことができないということを申し上げ、納得いく答弁ではないということを重ねて申し上げて、次の機会に譲ります。
 それから、サプライチェーンの関係ですけれども、特定重要物資ですが、この特定重要物資というのは何か。国民の生存に必要不可欠で、外部に過度に依存している食料や衣服やエネルギーというのは含まれるものでしょうか。
○小林国務大臣 この法案では、特定重要物資の指定に当たりましては、国民の生存に必要不可欠若しくは広く国民生活又は経済活動が依拠している重要な物資であることに加えまして、外部に過度に依存しているか又は依存するおそれがあること、それに加えまして、外部から行われる行為によりまして国家及び国民の安全を損なう行為を未然に防止する必要があること、そして、当該物資等の安定供給確保を図る必要が特に認められること、この四つの要件で絞り込むこととしております。
 この法案において、どのような物資を特定重要物資として指定するかということにつきましては、この指定の具体的な考え方、要件など基本的な考え方については、有識者の意見を聞いた上で、安定供給確保基本指針において定め、また、個別物資ごとに特定重要物資としての指定の必要性を判断していくため、現時点で予断を持って言及することは控えたいと思いますが、その際、特に、委員御指摘の食料やエネルギーに関しましては、既存の法的枠組みや政策体系で既に備蓄を始めとする安定供給確保のための措置が講じられているケースがあることも踏まえまして、本法案に基づき更なる安定供給確保のための措置を講ずる必要性があるか否かという点については、しっかりと検討していく必要があると考えております。
○塩川委員 食料、エネルギーもこの法案の対象となり得る、そういうこともあり得るということですか。
○小林国務大臣 先ほど、冒頭、四つ要件を申し上げたと思うんですけれども、そのうち最後の、当該物資等の安定供給確保を図る必要が特に認められるか否かという基準に照らして判断しなければなりません。今の時点で、この食料、エネルギーが必ず入るのかということについては申し上げることができません。
 今、先ほど言った、既存の法体系がある中で、四つ目の要件である安定供給確保を図る必要が特に認められるか否かという点について、しっかり検討していく必要があると考えております。
○塩川委員 なかなか一言でこうだということがお答えいただけない。政府への白紙委任と言われても仕方がないということを重ねて申し上げます。
 それから、供給確保計画の記載事項はどういうものなのか。その中身で、供給確保計画において取引先企業の情報も記載することになるんでしょうか。
○小林国務大臣 供給確保計画は、特定重要物資の安定供給確保に取り組もうとする事業者が、主務大臣、これは物資所管大臣ですけれども、この大臣の認定を受けるために作成するものです。
 この計画におきましては、例えば、安定供給確保を図ろうとする特定重要物資又は原材料の種類ですとか、供給能力、技術獲得などの目標、あるいは取組の具体的な実施内容、実施期間、また申請者が取組を行う際の組織や人員等の実施体制、また、例えば緊急時における供給体制の強化など需給逼迫時の対応、そして特定重要物資などの生産、輸入、販売の現状に関する情報などの事項を記載していただくことを想定しているところでございます。
 今委員から御指摘のあった取引先の件につきましては、生産、輸入、販売の現状として、この法案の第九条第三項第八号に掲げる事項として、供給確保計画に記載いただくことを想定しているところでございます。
○塩川委員 これは、第八号の方で、現状どうなっているという際に取引先の情報も書くことになりますねということと、今後の計画として出す第四号の方の取組の実施体制、そちらの方でも取引先の情報を出すというふうになるんでしょうかね。
○木村政府参考人 お答え申し上げます。
 取引先の情報につきましては、先ほど大臣から答弁させていただきましたように、法案の第九条第三項第八号に掲げます供給確保計画の作成者における当該特定重要物資等の調達及び供給又は使用の状況ということとして記載いただくということを想定してございます。
 以上でございます。
○塩川委員 第四号の取組の実施体制のところで取引先の情報を書くというようにはならない。
○木村政府参考人 お答え申し上げます。
 御指摘のございました第四号ではなく、第八号に掲げる事項として記載いただくということを想定してございます。
○塩川委員 いや、第八号は現状ですので、計画として、今後の話として、第四号に、取組の実施体制を書くとなっているから、これからの計画において、こういう取引先とやりますよ、そういった情報を提供するのかどうかということなんですけれども。
○泉政府参考人 重ねての説明になりますけれども、供給確保計画というのは、民間事業者の方がこういった取組をしたいといって主務大臣に提出する計画でございます。したがいまして、この四号というのは、申請者、こういう取組をするんですという申請者の方の組織、人員の体制、これを念頭に置いてございます。
 したがいまして、実際、物資についての取引先の情報云々というのは、何度も申し上げておりますとおり、八号、こちらに記載する、こういうことを念頭に置いております。
○塩川委員 企業秘密だったサプライチェーンを政府に報告することに今懸念の声が上がっているわけですけれども、その点については、大臣、どういうふうに受け止めておられますか。
○小林国務大臣 この法案に基づくサプライチェーンの調査は、当然、本法の施行に必要な限度で実施することとしているほか、国家公務員がサプライチェーン調査を通じて知った民間事業者の機微情報を漏らした場合には、通常の秘密漏えいよりも重い罰則を設けております。
 こうした中で情報管理体制を整備しておりまして、企業秘密が外部に漏えいすることがないように特に配慮しているところでございます。
○塩川委員 今までやっていないところまで踏み込むような対応ですので、懸念は拭えないということを申し上げて、また次の機会にしたいと思います。
 ありがとうございました。

群馬・伊勢崎市で演説会

 4月に市議選を控えた伊勢崎市で、日本共産党演説会。北島元雄・長谷田公子両市議と高橋たもつ参院群馬選挙区予定候補と訴え。

 健康センター・高齢者入浴施設の削減や支所の職員削減など市民サービス後退の市政。企業誘致に多額の予算を使いながら、地元中小企業振興策はわずかな金額。賛成ばかりの市議会の中で、市民の立場でものを言える党市議団の議席は貴重です。

ウクライナ国旗のポスター/百軒以上で貼り出し/埼玉・川越市

 守屋ひろ子埼玉県議と地域の訪問活動。

 地元党支部がウクライナ国旗のポスターをつくり、ご近所に協力依頼。百軒以上の方が快く、貼り出してくれました。みなさん、手書きで「NO WAR」の言葉を添えて。

党と後援会の「春をよぶつどい」/埼玉・鶴ヶ島市

 鶴ヶ島市で、党と後援会の「春をよぶつどい」。

 ロシアのウクライナ侵略糾弾、コロナ対策、暮らし応援・大幅賃上げの政策を訴え、反戦平和100年の日本共産党の活動を紹介。参院選勝利を呼び掛け。

 懇談では、戦争反対、ウクライナ支援の活動に取り組みたいとの参加者のみなさんの熱意を感じました。

コロナ対策/埼玉県と国会議員のオンライン連絡会議

 コロナ対策に関する埼玉県と国会議員の連絡会議(オンライン)に出席。

 大野知事から埼玉県内の感染状況とこの間の取り組み、国への要望項目について説明があり、懇談。

 医療提供体制の充実や影響をうける事業者への支援、福祉・保育・教育関係の対策など、重要な課題が含まれています。

 しっかり受け止め、必要な対策に取り組んでいきたい。

福島・宮城県沖地震/党対策本部が初会合

 福島・宮城県沖地震の対策本部の会合。

 いわぶち友参院議員が福島県内の被災状況を報告。鉄道・道路・橋脚などインフラに大きな被害。

 ちょうど1年前にも同じ地域で大きな地震があり、また被害を受けている。

 宮城で調査中の高橋議員や地方議員らと連携して、被災者救援、災害復旧に全力をあげることを確認。

 

【内閣委員会】経済安保法案の疑念ぬぐえず/準備室長の官民癒着

 藤井敏彦元経済安保法制準備室長の懲戒処分に関し、政府の調査は限定的で、経済安保法案の妥当性の疑念はぬぐえないとして広く再調査を求めました。

 私は、同氏が過去5年間で61件の講演などで980万円の報酬を得ていたのに、うち利害関係者とされたのは経産省時代の担当分野だった5社のみと限定的だと指摘。国家安全保障局が作成した経済安保法案は、サプライチェーン、基幹インフラや先端重要技術、特許にも及びあらゆる産業に関わる、として広く再調査を迫りました。

 松野博一官房長官は「法案に関することで何らかの個人的な影響を藤井審議官が与えたことはなかった」と述べて再調査を拒否しました。

 私は、6年前から経済安保の企画立案、制度設計での藤井氏の関与が明らかなもと、法案の妥当性も疑念がぬぐえないと批判しました。


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「議事録」

<第208通常国会 2022年3月18日 内閣委員会 第10号>

○塩川委員 日本共産党の塩川鉄也です。
 先週に続いて、藤井敏彦元経済安保法制準備室長の問題について取り上げます。
 先週お尋ねをしたところで、大企業経営幹部向けのビジネススクールである不識庵におきまして、藤井氏が師範として関わった企業が過去三年間で二十社ということを明らかにしております。その中に電機メーカーA社が入るのかということをお聞きしたんですが、それが宿題になっておりますので、その点、まずお答えいただけますか。
○室田政府参考人 お答えを申し上げます。
 前回の塩川先生からの御質問で、二十社の中にA社が含まれているのかという点、及びA社とはどこの会社なのか、具体的なお名前も頂戴しましたけれども、その二ついただいていたかと思います。
 後者の、A社はどの会社かという点につきましては、委員長の御指示に従うということで、理事会協議事項となっているかと思います。後者につきましては、委員長の御指示に従いまして、A社との調整も進めておりますので、もう少しお待ちいただければと思います。
 他方、二十社がどこかというところ、A社が二十社に含まれるかという点につきましては、現時点で二十社全てが社名の公表ということはしてほしくないということを申しておりますので、その点については引き続きお答えを差し控えさせていただきたく存じます。
○塩川委員 基本的な点について明らかにしないで問題なかったという話にはならないわけで、こういう点でも、官房長官、改めて、しっかり、こちらの要望している資料を出していただく、その点、お約束いただけませんか。
○松野国務大臣 塩川先生にお答えをさせていただきます。
 情報公開法の趣旨にのっとりまして、委員長の指示に基づき対処させていただきたいと思います。
○塩川委員 この間、要求したものについて、資料要求してきた経緯について、本来であれば今日の質疑に間に合うような形で出されるべきものが、何か、一部のものについては委員会終了後に出すという話では、これは国会審議として誠実な対応とは言えないということを申し上げておきます。
 それで、資料要求という点では、この間、国家安全保障局に要請してきて、まだ出ていないんですけれども、藤井氏の懲戒処分のこの文章の中に出てきます国家安全保障局取扱注意文書等取扱規程、報道関係者との接触等に係る内規、これについて、まずは出していただきたいと思うんですが。
○室田政府参考人 お答えを申し上げます。
 国家安全保障局取扱注意文書等取扱規程は、国家安全保障局における取扱注意文書等の取扱いについての必要な事項を定めているものでございます。また、報道関係者との接触等につきましては、国家安全保障局の職員と報道関係者の接触についての報告等の手続を定めるものでございます。
 これらの文書につきましては、国家安全保障局のセキュリティーに関わる部分についての記述がございますので、それについての最小限の不開示処理を行った上で提出が可能と考えますけれども、いずれにいたしましても、委員長の御指示に従いまして対処させていただきたく存じます。
○塩川委員 非違行為の調査を行うというのがここで今出されてきた文章であるわけで、その際に、何が非違行為なのかという基本となるそういった内規等が出されないと、我々としても判断のしようがないわけで、一定の配慮ということはありつつも、しっかり出していただきたい。委員長、改めて要請します。
○上野委員長 はい、理事会で協議をいたします。
○塩川委員 それで、今回ので、贈与等報告書の関係についての部分ですが、藤井氏が講演を行っていた依頼先の中には経済産業省時代の利害関係者が五社含まれていたといいますけれども、これはどのような利害関係にあったんでしょうか。
○片岡政府参考人 お答え申し上げます。
 国家安全保障局の調査によりますれば、講演を行った企業の中に経済産業省在籍時の利害関係者が五社含まれていると承知しております。
 これら企業でございますけれども、藤井氏が、令和元年七月から十月の間、経済産業省製造産業局担当審議官に在籍していたときの担当業務に関連する企業であると承知してございます。これは、国家公務員倫理規程上、異動の日から起算して三年間は引き続き利害関係者であるとみなされると規定されていることによるものでございます。
 具体的には、藤井氏は、経産省製造産業局担当審議官といたしまして、製造業における通商案件あるいは自動車産業等を担当してございました。当該講演企業の中に藤井氏の担当分野を業務とする企業が含まれていたということでございます。
○塩川委員 ですから、過去三年間の職掌に関わって、その担当の範囲内での利害関係ということですから、極めて限定されているものということであります。
 製造産業局担当の審議官ということですから、製造産業に係る部分しかそもそも利害関係として認めないということでもありますので、全体がどうなっているのかといったことについては、この範囲では分からないということにもなります。
 この懲戒処分の文章の贈与等報告書等関係に係る事項の部分を見ますと、過去五年間で、六十一件の講演など、九百八十万円の報酬を受け取ったということについて書かれていますけれども、今言ったように、限定された話だけではなくて、元々、今回の経済安保推進法案というのは、サプライチェーンや基幹インフラや特許や官民技術協力のように、ある意味、あらゆる産業分野に及ぶわけですね。
 そういったことについて、この過去五年間の範囲での、調査で分かった六十一件の講演等、特定の企業との深い関わりなども出てきている。そういったときに、藤井氏がこれら関連企業に便宜供与を図ったかどうかの調査というのはされているんですか。
○室田政府参考人 お答えを申し上げます。
 御指摘が、過去五年間に藤井氏が講演を行った企業との関係で、便宜供与をしたり、あるいは供与を受けたか、こういう御趣旨の御質問というふうに理解をさせていただきましたけれども、私どもとして、確認ができた企業さん等々の関係につきましては、藤井氏に対して利益供与を行ったか、あるいは藤井氏から職務上の便宜供与があったかということについての確認はさせていただいておりますけれども、ちょっと今手元に資料がございませんが、いずれの企業からも、そのようなことはなかったというふうな回答を受けているというふうに認識をしております。
○塩川委員 本人の意見だけでよしとしたということですか。
○室田政府参考人 お答えを申し上げます。
 藤井氏本人への確認ではございません。藤井氏が講演を行った企業等に対して確認をした結果を申し上げたところでございます。
○塩川委員 藤井氏自身はどういうふうに言っているんですか。
○室田政府参考人 お答えを申し上げます。
 藤井氏本人も、職務上の便宜供与等は行っていないということを述べております。
○塩川委員 ですから、それが経産省の製造産業局担当の審議官の話だけであれば、極めて限定された話でありますから。そもそも、藤井氏がどういう関与をしてきたのかということについて、どこまで調査が及んでいるかというのは、非常に不透明と言わざるを得ません。
 この文書の中には、藤井氏は、経産省が執行する事業再構築補助金の申請に当たって特定事業者に便宜を図ろうとしていたと。ほかにも官民癒着が問われる事案があったのではないのかという懸念というのは浮かぶわけで、そういう点でも、何らかの便宜供与を図っていたのではないのかといった点について、広げてしっかりとした調査を行うことが必要だということを申し上げたい。
 サプライチェーンだけでも十四分野に及ぶのが経済安保推進法案であります。官房長官として、こういった全産業に関わる経済安保推進法案について、この藤井氏の影響がどうだったのかといった点で今回の調査では不十分ではないのかと考えますが、官房長官のお考えをお聞かせください。
○松野国務大臣 お答えをさせていただきます。
 調査内容に関しては政府参考人からお話をさせていただいておりますけれども、当該調査に関しましては藤井元審議官の非違行為に関する調査でございます。
 ただ、その中にあっても、法案関係に関することで何らかの個人的な影響を藤井元審議官が与えたことはなかったということでございますので、その点に関しては再調査の必要はないと考えております。
○塩川委員 元々、この半年とか一年とかの話じゃなくて、六年前からこの経済安保の議論というのはずっと積み上げてきているわけですから、そういったところに藤井氏が関わってきたことも明らかであるわけです。
 そういう意味でも、まさに企画立案、制度設計のところでどういう関与があったのか、なかったのか、この点がはっきりしない以上は、やはり法案の妥当性ということも疑念が拭えないということは申し上げておきたいと思います。再調査が必要だということを改めて求めておきます。
 その上で、官房長官にお尋ねしますが、藤井氏が国家安全保障局に籍を置いて経済班を担当し、また、それとの関係でも経済安保法制の準備室長の任に当たっていた、併任をしていたということです。この国家安全保障局の体制がどうなっているのか、また、藤井氏の担当の職掌、業務内容がどういうものか、こういうことについて御説明いただけますか。
○室田政府参考人 お答えを申し上げます。
 国家安全保障局は、国家安全保障会議の事務局として、国家安全保障会議を恒常的にサポートするという役割がまずございます。それとともに、国家安全保障に関しましての外交・防衛政策の基本方針、重要事項に関する企画立案、総合調整等を行っております。
 具体的な体制といたしましては、国家安全保障局長の主導の下に、次長が二名、内閣審議官が六名、うち二名が、現在、準備室に所属をしております。その下に七つの班と、現在、経済安全保障法制準備室というのがございます。
 経済班は、経済安全保障の確保が我が国の外交、安全保障上の喫緊の課題となっている中におきまして、経済分野における国家安全保障上の課題について俯瞰的、戦略的な対応を迅速かつ適切に行うべく、令和二年、二〇二〇年の四月に設置をされ、安全保障と経済を横断する領域で生じます様々な課題に対しまして、関係省庁と連携しながら、関連施策を推進するとともに、法制度の検討作業を行ってきたということでございます。
○塩川委員 七つの班の名称を教えてもらえますか。
○室田政府参考人 お答えを申し上げます。
 総括・調整班、政策第一班、政策第二班、政策第三班、戦略企画班、情報班、それに最後、経済班でございます。
○塩川委員 経済班以外のそれぞれの班のおおよその仕事の中身というのを簡単に説明してください。
○室田政府参考人 お答え申し上げます。
 ちょっと、突然の質問ですので、おおよその感じになりますけれども、お答えを申し上げます。
 総括・調整班は、局の官房事項、局の取りまとめ、国家安全保障会議の事務等を行います。政策一班は、米国との関係、欧州諸国との関係、豪州、インド等の関係、そういった地域についての外交・安全保障政策を扱います。政策二班は、中国、ロシア、韓国、北朝鮮、モンゴルとの関係についての外交・安保関係を扱います。政策三班は、その他の地域、例えば中東でありますとかアフリカでありますとか、そういった地域との外交・安保関係について扱います。戦略企画班は、例えばでございますが、今議論している三文書、国家安全保障戦略、防衛大綱、中期防といった安全保障政策の戦略的な企画立案を行います。情報班は、インテリジェンス部門との調整を行います。経済班につきましては、先ほど御答弁で申し上げたとおりでございます。
○塩川委員 終わりますけれども、今回の経済安保の法案の中に内閣法の改正も含まれまして、国家安全保障局の事務に国家安全保障に関する外交政策、防衛政策及び経済政策の基本方針の策定、こういったことが入ってきます。そうしますと、外交政策、防衛政策に加えて経済政策も一体的に企画立案、総合調整する。
 そういう中で、この藤井氏がどういう役割を果たしていたのか、便宜供与があったのか、なかったのか、こういった問題についてしっかりと明らかにするということが求められていることを申し上げて、質問を終わります。

【倫理選挙特別委員会】選挙権奪う時間短縮/投票所増が必要

 投票時間が20時まで延長されたものの、投票時間を繰り上げて閉鎖している投票所は、2021年総選挙時で全体の36.4%あります。投票所総数も、この25年間で6770カ所減り、4万6444カ所となっています。

 有権者の投票機会を奪わないよう、投票所そのものを増やし、投票時間の繰り上げを行わないようにする必要があると主張しました。

 私、選挙は民主主義の根幹であり、投票機会の保証なしに選挙権の保障はないと強調。投票時間繰り上げ投票所が94.6%の茨城県では、水戸市全域で1時間短縮していることをあげ、投票時間の繰り上げは、投票人の投票機会を奪うことになる、と批判しました。

 金子恭之総務大臣は「おっしゃる通り」「決して好ましいことではない」「厳正に対応するよう要請している」と答弁。そのうえで、期日前投票所の増設を促すと述べました。

 私は、ワゴン車などに投票機能を乗せてうごく『移動期日前投票所』は、高齢・障害がある方々に有用な制度としつつ、期日前投票が増えているから、投票日の投票所は現状のまま、減らし続けてよいとはならない。複数投票日とするなら、選挙期間の規定も見直すべきだと強調しました。


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「議事録」

<第208通常国会 2022年3月17日 政治倫理の確立及び公職選挙法改正に関する特別委員会 第4号>

○塩川委員 日本共産党の塩川鉄也です。
 執行経費法案について質問をいたします。
 主権者国民の代表を選ぶ選挙は民主主義の根幹であり、公務員の選定、罷免権の行使という憲法上保障された国民主権と議会制民主主義上の原則に関わる重要な問題であります。国民の参政権行使を保障するには投票機会の保障は不可欠であり、これなしに選挙権の保障はありません。
 まず、投票時間を繰り上げる投票所についてお尋ねをします。
 一九九七年に投票時間が二十時までと延長されたにもかかわらず、その後、投票時間を繰り上げる投票所が増大をしております。九八年の参議院選挙では時間繰上げ投票所は六%程度だったのが、回数を経るごとにどんどんと割合が高くなっています。
 総務省にお聞きします。
 昨年の二〇二一年総選挙における、投票閉鎖時間を繰り上げている投票所が全投票所数に占める割合は、どれぐらいになっているでしょうか。
○森政府参考人 お答えいたします。
 昨年の衆議院議員総選挙において閉鎖時刻を繰り上げた投票所は一万六千九百二十三か所でございまして、投票所総数四万六千四百四十四か所に占める割合は三六・四%でございました。
○塩川委員 三六・四%。今では、三分の一、四割近い投票所で投票閉鎖時間の繰上げを行っております。
 この問題について、我々は、国民の基本的な権利である投票権の行使を制約することにつながるのではないかと、何度もこの場でも取り上げてまいりました。
 二〇一六年改定の際の質問のときに、十八歳選挙権が施行されるときに、若い人の投票行動を見ても、閉鎖時間の繰上げは逆行していると、我が党の穀田議員が指摘をしましたが、当時の高市総務大臣は、引き続きしっかりと要請していくとの答弁がありました。
 一九年改定の際にも、国政選挙や統一地方選挙のたびに、各選挙管理委員会に対して、投票所閉鎖時刻の繰上げについては、厳正に対処するよう要請をしている、繰り上げた時間に対しては、減額するというふうな措置を講じるとの答弁がありました。
 そこでお聞きしますが、一九年参議院選挙と二一年総選挙を比べて、繰上げ投票所数、繰上げ投票所の割合を共に減少させている都道府県は何団体になるでしょうか。
○森政府参考人 お答えいたします。
 令和三年の衆議院議員総選挙において、令和元年の参議院議員通常選挙から当該都道府県内の繰上げ投票所数と繰上げ投票所の割合が共に減少した都道府県は十九道県でございました。
○塩川委員 この間の要請もあり、このような繰上げ投票所数、繰上げ投票所の割合を共に減少させている都道府県は十九道県ということで、このように繰上げ投票所数を減らし、その割合を減少させているわけですが、ただ、投票所そのものを減少させていることが問題でもあります。
 一方で、繰上げ投票所を増やしている県があります。例えば茨城県は、繰上げ投票所の割合が九四・六%、全国で最も高い。しかも、水戸市全域で一時間の繰上げを行っております。また、栃木県は、一九年参議院選挙のときは二〇・五%でしたが、二一年総選挙では五九%。鹿沼市では、二一年総選挙から午後六時から七時までという繰上げが行われているということです。
 大臣にお尋ねいたします。
 このような、特に都市部での繰上げは、投票人の投票機会を奪うことになると思いますが、大臣の認識はいかがでしょうか。
○金子(恭)国務大臣 塩川委員にお答え申し上げます。
 投票所閉鎖時刻の繰上げについては、選挙人の投票に支障を来さないと認められる特別の事情のある場合に限り、市町村の選挙管理委員会の判断で行うことができるものとされております。地域の実情により、例えば、大半の選挙人が早めに投票を済ませていることなどを理由に繰り上げることがあると承知をしております。
 投票所の閉鎖時刻をむやみに繰り上げることは決して好ましいことではないと考えております。地域の実情により繰り上げる場合には、必要に応じて選挙人に対し十分な説明を行うことが重要と考えております。
○塩川委員 投票所の閉鎖時刻をむやみに繰り上げてしまうのは好ましいことではないとおっしゃいましたけれども、投票人の投票の機会を奪うことになるんじゃないのか、そこの認識を大臣もお持ちかということを改めて。
○金子(恭)国務大臣 おっしゃるとおりだと思います。
 ですから、投票所の閉鎖時刻をむやみに繰り上げることは決して好ましいことではないと考えておりますので、地域の実情により繰り上げる場合には、必要に応じて選挙人に対し十分な説明を行うことが重要だと考えております。
○塩川委員 以前、高市総務大臣でこのやり取りをしたときに、高市大臣は、こういった投票所の閉鎖時刻をむやみに繰り上げてしまうと、投票人の投票の機会を奪うことになると言っていた。それと同じ認識ということでよろしいですよね。
○金子(恭)国務大臣 おっしゃるとおりでございます。
○塩川委員 繰上げ投票所を増加させた茨城県選管は、繰上げする場合は有権者に十分に周知することと通知したと言い訳をしておりますが、繰上げによって、開票作業の深夜手当の削減でコストカットになったと述べている選管や、開票作業を早く出せるように、他の自治体と足並みをそろえる意味もあったと述べている選管があります。
 コストカットや開票作業の都合を挙げて有権者の投票機会の確保を後退させるようなことでいいのか。効率性重視で、有権者の投票権を制限しているという自覚がないことが問われていると思います。
 大臣にお尋ねしますが、このような繰上げ投票所の増加を食い止め、投票権を制限しないために、どのような対策を行うのか、この点についてお答えください。
○金子(恭)国務大臣 先ほど来御答弁しておりますとおり、総務省では、投票機会を広く確保する観点から、国政選挙や統一地方選挙に際し、各選挙管理委員会に対して、投票所閉鎖時刻の繰上げについて、選挙の行われる時期や地域の実情等を精査し、十分な検討を行った上で厳正に対応していただくことや、必要に応じ選挙人に対して十分に説明いただくことを要請しております。
 今後とも、引き続きこれらを各選挙管理委員会へ要請してまいります。
 また、移動支援の実施、期日前投票所の増設や移動期日前投票所の設置など、投票環境の向上策に工夫して取り組んでいただくよう促してまいります。
○塩川委員 是非、投票時間をしっかりと確保する、投票機会の確保という点での働きかけをしっかり行っていただきたいということです。
 次に、移動期日前投票所についてお尋ねをいたします。
 本案では、移動期日前投票所の設置に要する経費を措置するための規定を明文化しております。ワゴン車などに投票機能を乗せて動く移動期日前投票所は、東日本大震災の際の地方選挙で避難先を回るなど、活用されてきました。国政選挙では、一六年の参議院選挙で島根県浜田市が始めたとお聞きしております。
 総務省に確認します。二〇二一年総選挙では、どれだけの自治体が導入をし、何人が投票したんでしょうか。
○森政府参考人 お答えいたします。
 昨年の衆議院議員総選挙において移動期日前投票所を設置した自治体数は、二十八道県で五十九団体でございました。また、これらの団体で移動期日前投票所における投票者数は一万二千九百十人でございました。
○塩川委員 移動期日前投票所は、期日前投票所を複数設置するのが困難な過疎地などでの活用が進んでいますが、コロナ禍においても導入自治体が増加をしていることを、昨年五月の質疑でもお尋ねしました。
 我が党は、巡回投票制度こそ検討すべきと訴えております。ヨーロッパで実施されている国もあります。現行の移動期日前投票所は、あらかじめ投票場所を特定し、周知のため告示をした上で複数の地域を移動するもので、自宅など、個別の投票が難しい制度であります。選管が立会人と一緒に投票箱を持って車に乗り、施設や自宅など要望がある場所に行き、投票できる巡回投票が、コロナ禍であっても有効な手段だと考えております。
 その上で、移動期日前投票所は、高齢や障害で移動が困難な方々の投票機会の確保という点からも有用な制度と考えています。
 そこで、移動期日前投票所は過疎地だけでなく都市部においても活用することができるのか、どのように周知をしているのかを確認したいと思います。
○森政府参考人 お答えいたします。
 自動車を活用した移動期日前投票所は、投票所までの距離が遠い選挙人などの投票機会の確保の観点のほか、商業施設や駅前などの人が集まる施設で活用することで投票環境の向上を図る観点、大学や高校などで活用することで若者の政治意識の向上を図る観点、新型コロナウイルス感染症対策のため選挙人の分散を図る観点などからも有効な取組と考えられるところでございます。
 昨年の総選挙に際しては、各選挙管理委員会に対し、投票機会の幅広い確保の観点から有効な取組であると考えられるため、積極的な対応を講じるよう要請しており、高校に設置した例などの取組事例も周知をしたところでございます。
 さらに、現在、各選挙管理委員会における昨年の総選挙での様々な取組事例を調査しているところであり、今後、都市部でのいろいろな取組やその工夫点についても全国の選挙管理委員会に具体的に周知することで、新たな設置の検討が進むように積極的な取組を促してまいります。
○塩川委員 是非、移動期日前投票所の都市部における活用についても周知を図っていただきたい。
 ただ、言っておきたいのは、投票所そのものが減少していることが大問題だということであります。九六年と二一年の総選挙時の投票所の総数はそれぞれ幾つか、何か所減少したか、この点、確認します。
○森政府参考人 お答えいたします。
 一九九六年の衆議院議員総選挙における投票所総数は五万三千二百十四か所でございました。一方、昨年、二〇二一年の衆議院議員総選挙における投票所総数は四万六千四百四十四か所であり、六千七百七十か所減少しております。
○塩川委員 二十五年間で六千七百七十か所も減っております。先ほどの茨城県選管の例でいうと、期日前投票は午後八時まで、期日前投票所を増やしたと述べておりますが。
 大臣にお尋ねします。期日前投票が増えているから、投票日の投票所は現状のまま、あるいは減らし続けてもよいということにはならないと考えます。有権者の投票機会を奪わないよう、投票所そのものを増やし、閉鎖時間の繰上げを行わないようにする必要がある。大臣のお考えをお聞かせください。
○金子(恭)国務大臣 総務省では、国政選挙や統一地方選挙に際し、投票所からの距離や選挙人の数を踏まえた投票所の設置について、市町村の選挙管理委員会に対して要請をしてきているところでございます。
 投票所数については、過疎化による選挙人数の減少や、市町村合併などを契機とした投票区の見直しなどで減少してきているものと承知をしております。
 このため、総務省におきましては、投票所までの距離が遠い方などのための投票所への移動支援や、かつて投票所があった地域での期日前投票所や移動期日前投票所の設置など、選挙人の投票機会の確保に向けて取り組んでいただくよう要請をし、各選挙管理委員会におけるこれらの取組も増えてきているものと考えております。
 また、令和元年の公職選挙法改正において、投票立会人等の確保を容易にし、投票所の維持、確保の一助となるよう、投票管理者及び投票立会人の選任要件を緩和したところでございます。
 引き続き、各選挙管理委員会に対し、選挙人の投票機会の確保につながる施策を積極的に措置するよう要請するとともに、投票所閉鎖時刻の繰上げについても厳正な対応を要請してまいります。
○塩川委員 期日前投票所を進めるという話ですけれども、我が国の公選法は投票日当日投票所投票主義を取っております。
 以前、石田総務大臣は、期日前投票制度の導入は複数投票日制の採用を意味するものではないと答弁しています。さらに、公示日から投票日までを選挙期間と定めて、様々な制限の下での選挙運動を認めております。
 期日前投票を投票の柱とするならば選挙期間の規定も見直す必要がある、そのような検討なしに投票が増えている期日前投票の利便性の確保のみでは本末転倒になりかねないということを申し上げて、質問を終わります。

【内閣委員会】デジタル庁・多数の民間出身者/給与補てん把握せず/官民癒着の懸念

 国の行政手続きにおいて各府省庁の判断でインターネットバンキングやクレジットカードなどによる納付を認めるキャッシュレス納付法案について採決を行い、賛成多数で可決しました。日本共産党は、納付方法の選択肢を増やすものとして賛成しました。

 私は、採決に先立つ質疑で、法案を提出したデジタル庁は、平井卓也前デジタル担当相や幹部職員らがNTTから接待を受けていた問題などをあげ、国民の疑念を招く官民癒着が懸念される事態だと指摘し、デジタル庁の体制について確認。

 デジタル庁は、職員数は576人、うち民間出身者は194人、うち非常勤は184人と答えました。

 私は、出向元企業から給与補てんを受けている非常勤職員は何人いるのか、と質問。

 デジタル庁は「把握してない」と認めました。

 私は、デジタル庁で働いている給与よりも給与補てんとして民間から受け取る給与が多いこともありうると指摘し、出向元企業から給与を得ているのでは、公務の公正性に疑念が生じるのではないかと追及。

 牧島かれんデジタル担当相は「調達に関与する職員の兼業先の企業等は、原則として調達案件への参加を禁止している」と答弁。

 私は、出身企業と情報のやり取りをしないと誓約すれば適用除外となる抜け穴があると指摘し、そもそもデジタル庁におけるデジタル政策立案への関与に関する規制のルールがない。しっかりルールを作る必要があると主張しました。


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「議事録」

<第208通常国会 2022年3月16日 内閣委員会 第6号>

○塩川委員 日本共産党の塩川鉄也です。
 キャッシュレス法案について質問をいたします。
 本法案は、国の行政手続での納付において、当該手続に関する法令の規定にかかわらず、各府省庁の判断でインターネットバンキングやクレジットカード、電子マネー、コンビニ決済などによる支払いを可能とするものであります。
 大臣にまず確認ですけれども、この法案は、従来の現金や印紙による支払いを廃止するものではなく、支払いに係る国民の選択肢を増やすもの、そういうことでよろしいでしょうか。
○牧島国務大臣 本法案は、従来の現金や印紙による納付方法を廃止するものではなく、納付方法の選択肢を増やすことで利用者の利便性の向上を図るものであります。
○塩川委員 国民、利用者の選択肢を増やすということであります。
 同時に、このようなキャッシュレスにおきまして、システム障害の影響の問題が懸念をされます。
 一昨日、国税電子申告・納税システム、e―Taxに接続障害が起きて、昨日も障害が継続をしているということもありました。確定申告書が送信しにくい状況となっているということでした。
 このように、システム障害が起きたときに、今回の法改正による納付に伴い納付者が不利益を被ることがないようにどのように対応するのか、この点についてお答えいただきたいと思います。
○牧島国務大臣 システム障害が生じて指定納付受託者が納付することができない場合において、これがやむを得ない理由に該当すると認められる場合には、今回のe―Taxの事案もそうでございますが、制度所管官庁において納付期限を延長するなどの必要な措置が取られるものと考えております。
 また、指定納付受託者が主務省令で定める指定日までにシステム障害等により納付することができなかった場合においても、主務省令で必要な対応が取られるよう、デジタル庁として主務省令のモデル例を作成して、各府省庁において必要な対応を取っていただけるように働きかけてまいりたいと存じます。
○塩川委員 納付者にとって不利益がないような、そういう措置に万全を期していただきたいと思います。
 今回の法案は、デジタル庁が発足して初めての法案ということでもあります。改めて、デジタル庁の組織の在り方について質問をいたします。
 昨年、赤石デジタル審議官や向井IT総合戦略室室長代理、そして平井デジタル担当大臣らがIT大手のNTTから接待を受けていたことが問題となりました。赤石デジタル審議官らは処分を受けました。
 また、デジタル庁の前身であるIT総合戦略室が関与したオリパラアプリをめぐって、IT室の幹部職員らが他社の見積り内容を別の会社に漏らしていたことや、このシステム発注によって、システム開発に関与した幹部職員自らが利益を得ようとしていたことなどが問題となりました。国民の疑念を招く官民癒着が懸念される事態があります。
 そこで、デジタル庁の組織構成について質問をいたします。
 デジタル庁の実員は何人か、総数及びグループ別の人数を示していただきたい。
○山本政府参考人 お答えいたします。
 令和四年一月一日における、デジタル庁におけるグループ別の職員の数をお答え申し上げます。
 四つのグループを設けておりまして、戦略・組織グループが二百二十六名、デジタル社会共通機能グループが百七十七名、国民向けサービスグループが七十五名、省庁業務サービスグループが八十八名となってございます。
○塩川委員 四つのグループの上にも組織があるわけですけれども、総数で何人かを教えてもらえますか。
○山本政府参考人 合計いたしますと五百六十六名ということになるものでございます。
○塩川委員 四つのグループで五百六十六、四つのグループの合計。
○山本政府参考人 お答えいたします。
 今申し上げた四つのグループの数字を足し合わせたものが五百六十六名でございます。
○塩川委員 デジタル監やデジタル審議官やCDO、CPOとか、そういった人を含めると総数で何人かを確認したいんですけれども。
○山本政府参考人 お答えいたします。
 デジタル監始め幹部を加えますと五百七十六名になるものと存じます。失礼いたしました。
○塩川委員 何か八月末の時点で五百九十人ほどと聞いているんですけれども、まあ六百人ぐらいの人数ということで。ちょっと、グループ別で聞くとごちゃごちゃしますので、もう一回、トータルの数字で教えてほしいんですが、その六百人近くのうち民間出身者の人数が何人か、それは総数でいいので、常勤と非常勤の別で教えてもらえますか。
○山本政府参考人 お答えいたします。
 事前の御質問がグループ別だったので、まずグループ別でお答えを申し上げたいと思います。
 まず、戦略・組織グループにおきましては、民間出身者の数として、常勤職員の数が三名、非常勤職員の数が四十八名。デジタル社会共通機能グループでは、常勤職員が一名、非常勤職員が九十二名。国民向けサービスグループでは、常勤職員が五名、非常勤職員が三十三名。省庁業務グループは、常勤職員の数が一名、非常勤職員の数が十一名。
 常勤職員については合計が十名、非常勤については百八十四名、足し合わせて百九十四名と承知しております。
○塩川委員 六百人中、民間の方が二百人ということで、その民間の方の大半が非常勤職員ということであります。
 この職員のうち、兼業している方というのは何人ぐらいなんでしょうか。
○山本政府参考人 お答えいたします。
 国家公務員や常勤の民間出身職員も含めたデジタル庁の職員のうち、民間企業と兼業していたり、また、これに加えて、官民人事交流制度に基づき民間企業から交流採用されていたり、また、無償で団体役員の地位に就いている方など、これらの方々がおられまして、これらを含めて、民間企業と一定の関係を有する職員の人数として、私どもとしては約百七十名というふうに承知しております。
○塩川委員 その方々は、兼業が可能な非常勤の職員、民間出身の非常勤職員の方がその大半ということでよろしいでしょうかね。
○山本政府参考人 お答えいたします。
 委員からの御質問は、民間企業から給与を得ている方がどの程度かという数かと思いますけれども、今申し上げました約百七十名につきましては、先ほど申し上げましたように、民間団体で無償で役員となっている方、またフリーランスで自ら事業を営んでいる方、こういった方を全て含んでいる数となっておりますので、その内訳については把握をしてございません。
○塩川委員 そうすると、兼業している民間の非常勤職員のうち出向元企業から給与をもらっている人はどのぐらいか、そういうのは把握していませんか。
○山本政府参考人 お答えいたします。
 今委員御質問の形では把握をしてございません。
 繰り返しになりますけれども、民間から来られている職員で、民間企業との関係については様々な形がございますので、今委員御指摘の形を含めて幅広く把握をしているものが、先ほど申し上げました約百七十名ということになってございます。
○塩川委員 昨年、オリパラアプリをめぐる騒動の中で、デジタル庁の調達ガバナンスについて報告書もまとめ、対策も取ったわけであります。
 こういったデジタル庁の調達ガバナンスの一環として、民間人材の採用時に兼業先の情報などを登録させることになっているわけですよね。ですから、出向元企業から給与を得ているかどうかというのは、これは把握しているんじゃないですか。
○山本政府参考人 お答えいたします。
 委員御指摘のとおり、私ども、入札制限等のルールをデジタル庁で設けておりまして、それに関連する形で、民間の職員をデジタル庁に採用する際に、今委員御指摘のとおり、兼業先については登録を求めております。
 先ほど、登録を求めている内容については、非常勤の職員として民間企業と兼業している場合もあれば、フリーランスの方もあれば、例えば団体で無償で役員になっている方、これらを幅広く登録していただくこととしておりますので、この間の区別、内訳については今現在把握をしておりませんで、全体として把握をしているという状況でございます。
○塩川委員 大臣にお尋ねしますけれども、デジタル庁の調達において、利益相反を防ぐ観点から、採用時に利益相反行為に関与しないという誓約を提出をし、出身企業には入札制限を行うとされているわけですよね。
 そういった際に、その出向元企業からどの程度の給与を得ているのか。つまり、デジタル庁で働いているお給料よりも民間からもらっているお給料が多いということだって当然想定をされるわけで、そういったときに、出向元企業から給与を得ているということでは公務の公正性に疑念が生じるのではないかと思うんですが、その点はどうでしょうか。
○牧島国務大臣 民間企業では大変幅広い知見をお持ちの方もおられますので、こうした人材の知見を積極的に活用することは必要であると考えておりますが、一方で、今御指摘あったとおり、公務の公正性に疑念を抱かれることがないよう十分留意をするということも必要だと考えております。
 民間から採用された職員についても、公正な職務の遂行の維持、職務専念義務の確保、公務の信用保持の観点から、守秘義務、信用失墜行為の禁止など、国家公務員法の服務に関する規定が適用されております。
 また、公正な予算執行を確保していくことは当然でありますので、調達の公平性を確保するため、調達に関与する職員の兼業先等企業及びその親会社、子会社は原則として当該調達案件への参加を禁止するとする独自のルールを設けております。
 こうした取組を行いつつ、公務の公正性に疑念が生じる事案の発生防止に努めてまいりたいと存じます。
○塩川委員 今、出身企業については入札制限を行うという話もありましたけれども、出身企業と情報のやり取りをしないと誓約すれば適用除外として応札を認めるという抜け穴もあります。
 昨年九月のデジタル庁のコンプライアンス委員会では、入札制限制度の適用除外について、委員の方から、企業が本当に落札したいという案件であれば、誰が誰とどのような接触したかは隠蔽するであろうし、容易にできてしまう、不公正性を疑われる状況を避けるため、入札に参加する可能性が高い企業の兼業職員は最初から携わらないなど、調達業務に関する問題点を指摘する意見があったということを真摯に受け止めるべきだと思います。
 時間が参りましたので。調達に関するルール、極めて抜け穴がある、不十分ではありますけれども、そもそもデジタル庁におけるデジタル政策立案への関与に関する規制のルールがないんです。だから、企画立案についていろいろ民間ベースで要望なりがあるような場合について、それを規制するルールがない、そういうところこそしっかりとルールをつくる必要があるということを申し上げて、質問を終わります。

栃木県那珂川町で野外演説会

 4月に町議選のある栃木県那珂川町で野外演説会。川俣よしまさ町議と岡村恵子参院栃木選挙区予定候補と訴え。

 前回初当選の川俣よしまさ町議は、生ゴミ堆肥化「コンポスト」の購入補助、就学援助制度のお知らせの全保護者配布の実現など、暮らし応援の政治に全力。

 コロナ禍とウクライナ危機が暮らしと営業を直撃、消費税は減税を!

 大企業優遇税制で積み上がった内部留保への課税で、中小企業の賃上げ支援を!

栃木県高根沢町で街頭演説

 4月に町議選のある栃木県高根沢町で街頭演説。森ひろ子町議、岡村恵子参院栃木選挙区予定候補と訴え。

 唯一の女性議員、質問回数トップの森ひろ子町議は、子ども医療費の高校3年までの無料化や学校給食費の減免、高齢者の安否確認を兼ねた配食サービスの実施など、豊かな実績。なくてはならない議席です。

 ロシアのウクライナ侵略を糾弾し、軍事行動の中止、撤退を求める。憲法9条を持つ日本として、自衛隊の装備品でなく、食料・医薬品・衛生用品・防寒具など非軍事の支援に全力を!

 ロシアの侵略をやめさせるために、国際社会が結束して行動を。国連総会のロシア非難決議に棄権・退席した47ヵ国への働きかけを!

【内閣委員会】経済安保準備室長の懲戒処分/徹底調査を

 経済安全保障法制準備室長を事実上更迭された藤井敏彦氏の懲戒処分について、過去に遡った徹底調査を求めました。

 私は、藤井氏が大企業経営幹部向けのビジネススクール「不識庵」の師範として9年間も違法に兼業を続け、多くの企業と秘密裏に関わっていたことは重大だと指摘。

 不識庵のゼミ生で日立製作所の水事業部門の担当部長だった社員が、国家安全保障局に出入りしていたとの報道をあげ「経済安保法案では、基幹インフラ役務の安定的な提供の確保に関する制度を創設しようとしており、その対象の一つが水道事業だ。法案に影響を及ぼす癒着はなかったのか」とただしました。

 内閣官房は「個社の利益の反映が可能な条文構造ではない」などと弁明しました。

 私は2016年ごろから自民党の甘利明議員を中心にしたルール形成戦略議員連盟などが経済安保の骨格をつくり、藤井氏も深く関わってきたことを指摘。

 小林鷹之経済安保担当大臣は「法案の準備が本格化したのは昨年」と問題を矮小化しました。

 私は直近3年間だけではなく、事業者の便宜をはかることがなかったのかを過去に遡って調査すべきだと求めました。


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「議事録」

<第208通常国会 2022年3月11日 内閣委員会 第8号>

○塩川委員 日本共産党の塩川鉄也です。
 今日は、藤井敏彦元国家安全保障局内閣審議官、経済安保法制準備室長の懲戒処分に係る報告書をめぐる問題について質問をいたします。
 最初に、官房長官にお尋ねいたします。
 この藤井氏については、多数の非違行為が明らかとなりました。このような多くの違反行為があったにもかかわらず、経産省や防衛装備庁、国家安全保障局において、周りのスタッフの人は、上司含めて、何にも気づかなかったんでしょうか。
○松野国務大臣 塩川先生にお答えをさせていただきます。
 藤井氏の不識庵における違法な兼業は二〇一三年から行われていましたが、今般明らかになりました。この間、経済産業省、防衛装備庁、国家安全保障局在任中、藤井氏の違法な兼業に気づかなかったことは、結果として大変遺憾であります。
 内閣総理大臣から国家安全保障局長に対し、また、経済産業大臣から経産次官に対し、厳重に注意をしたところであります。
 政府としては、今後、国家公務員の服務指導を更に徹底してまいりたいと考えております。
○塩川委員 気づかないというのは、にわかに信じ難い話であります。
 今回、国家安全保障局が主体となって調査ということですけれども、当然のことながら、元々は経済産業省の人間でありますし、防衛装備庁でも官房審議官を務めていた。
 経済産業省や防衛省では、これはちゃんと調査したんでしょうか。
○片岡政府参考人 お答え申し上げます。
 経済産業省におきましても、国家安全保障局と同様に、藤井氏本人に対する聴取を始めまして、関係者への問合せ、関係者から提供いただいた情報の内容確認などを行っております。
 当該調査の中で、経産省在籍時に、兼業につきまして、四年間で総額約八百十万円の報酬を受けていました。また、少なくとも二十件の講演や執筆を行いまして、総額約三百八十万円の報酬などを受け取りながら、国家公務員倫理法第六条に定める贈与等報告書の提出を行っていなかったということが確認されてございます。
 加えまして、これら講演につきまして、経済産業省の内規で定める、職務に関連する内容について講演する場合の上司への確認行為、これを行っておらず、また、講演を行っていた依頼先の中には利害関係者が一社含まれていたところ、当該利害関係者から依頼のあった講演については所定の事前の承認を得ていなかったということを確認してございます。
○川崎政府参考人 お答えいたします。
 防衛省、防衛装備庁といたしましては、藤井氏が防衛装備庁に在籍した期間における公用タクシー券の利用状況の確認、部外発表手続の確認、贈与等報告書の確認など、必要な調査を行いました。
 その結果、藤井氏が必要な兼業手続を経ずに報酬を受けて兼業を行っていたことや、贈与等報告書の提出を行っていなかったことが認められましたので、その調査結果を経済産業省に通知をいたしました。
○塩川委員 防衛装備庁の官房審議官なんかも当然所掌のところがあるわけですけれども、例えば、そういったところではどういった事業者との関わりがあったのか、こういった問題などについては、直接調べるということは聞いておりません。兼業届とか、あるいは贈与等報告書の範囲の話であって、この点でも徹底した調査が必要だということを言わなければなりません。
 それで、大企業経営幹部向けのビジネススクールであります不識庵におきまして、藤井氏が師範として関わった企業との関係についてお尋ねをします。
 兼業は九年間も続けていたのに、なぜ三年間に限った調査なんでしょうか。
○室田政府参考人 お答えを申し上げます。
 今般の藤井氏をめぐります調査の中心は、国家安全保障局在任中の藤井氏の行動にあったというふうに考えておりました。このことから、藤井氏が国家安全保障局に在任をしておりました期間、すなわち令和元年の十月から今までということを念頭に、直近三年間の調査を行ったということでございます。
○塩川委員 いや、国家安全保障局に限る必要はないわけですよ。
 この九年間にわたって不識庵において師範をしていた、そういった中では、ゼミ生というのは名立たる大企業の経営幹部の皆さんですから、どういった関係だったのかといったことについて、便宜供与とかがなかったのかということなどは、過去に遡って調べる必要があるんじゃないですか。防衛装備庁や経済産業省とか、何で調べないんですか。
○室田政府参考人 お答えを申し上げます。
 繰り返しになって大変恐縮でございますけれども、今般の藤井氏をめぐる調査の中心は、国家安全保障局在任期間中であったというのは事実でございます。そういった中におきまして、国家安全保障局を中心とした調査を行ったということも事実でございます。
 不識庵という会社から様々な情報を自発的にいただくという中での調査でございましたので、私ども、直近の三年間という、藤井氏が国家安全保障局にいた期間を中心の調査をさせていただいたということでございます。
○塩川委員 国家安全保障局の時代に限る必要はないんですよ。
 非違行為があったというんだったら、その全体はどこまで影響を及ぼしたのかということについて、過去に遡ってちゃんと調査を行え、今の調査じゃ極めて不十分だということを指摘をしておきます。
 それで、出された資料の中に、電機メーカーA社についての文書も出ております。この電機メーカーA社というのも、この藤井氏が師範をしていた相手方のゼミ生に、相手方に含まれているということでよろしいでしょうか。
○室田政府参考人 お答えを申し上げます。
 藤井氏と関係のございました、直近三年間での関係のございました二十社につきましては、不識庵の方から自発的な提出ということで二十社の名前をいただきました。その二十社の名前、私ども承知をしております。
 他方で、当該企業等は本件に関して法令違反を行っているということではございません。企業の名前を明らかにすることによりまして当該企業の経済活動に不利益を及ぼすおそれがあることから、当該企業の同意のない形で企業名を明らかにすることは差し控えさせていただきたいと思います。
 また、御指摘の電機メーカーA社ということでございますが、この電機メーカーA社がこれら二十社に含まれるかということにつきましても、同様にお答えを差し控えさせていただきたいと思います。
○塩川委員 出発点は週刊誌報道で調査を始めているわけですよ。そういった中で、この電機メーカーA社社員の国家安全保障局への出入りに関する調査結果も行っているんですよね。
○室田政府参考人 御指摘の週刊誌の報道は、週刊文春、本年二月二十四日号のことかと思います。私どもも、その週刊誌については読みました。そして、調査に当たりまして参考にさせていただいております。
○塩川委員 週刊文春で出ている、このいわゆる電機メーカーA社について、国家安全保障局への出入りがあったといったことについての調査なわけですよね。そのときに、こういった企業が、不識庵における師範をしていた藤井氏の下のゼミ生だったかどうかというのを報道されているわけですよ。
 電機メーカーA社がここで言っているような二十社の中に入るのかどうかというのは、週刊誌報道を踏まえた調査であれば、当然答えることができる話じゃないですか。もう一回。
○室田政府参考人 お答えを申し上げます。
 二十社の内訳、企業名につきましては、先ほども申し上げましたとおり、企業名を明らかにすることによりまして当該企業の経済活動に不利益を及ぼすというおそれがあるということで、差し控えさせていただきたいと思っております。
 他方で、塩川先生御指摘の点でございます先ほどの週刊誌報道、私どももきちんと読ませていただいております。それを基にした調査を行っているということでございますので、週刊誌の報道の内容と私どもの調査の内容が全く関係ないということまで申すつもりはございません。
 他方で、A社につきましては非常に積極的に協力をいただきまして、そのおかげで調査が進んだということもございます。そういった中におきまして、A社を含めまして、二十社に入るかどうかを別にいたしましても、様々な企業さんからの調査、いただいております。その調査の協力ということを踏まえましても、当該企業さんの経済活動に不利益を及ぼすという観点から、企業様の同意がない形で政府として企業名を発表させていただくということは差し控えさせていただきたいというふうに考えております。
○塩川委員 それはおかしいじゃないですか。積極的に協力するような立場であれば、やはり、名前を出して潔白を証明する、そういうのが本来求められる話であるわけです。かえって、こういうふうに隠すと、何かやましいことがあるんじゃないかという話になるじゃないですか。
 少なくとも、この電機メーカーA社について、国家安全保障局への出入りをしているといった企業として週刊誌報道されている。そういう企業の社員が、この藤井氏の師範としてやっている不識庵におけるゼミ生だったという報道がされているんですから、この二十社の中に電機メーカーA社が入るということははっきりしているんじゃないですか。
○室田政府参考人 お答え申し上げます。
 A社の社名が何であるかということにつきましては、繰り返しになりますけれども、A社の同意なく開示をするということは私ども差し控えなければならないと思っております。
 他方で、再三の御質問をいただいておりますので、委員長からの御指示があれば、A社と相談をさせていただきたいというふうに思います。
○塩川委員 じゃ、現段階でA社に、明らかにしてもいいよというやり取りはしていないということなんですか。
○室田政府参考人 お答えを申し上げます。
 A社とは連絡を取りながら国会への対応をさせていただいております。
 現時点におきましては、A社側から、A社の名前を公表することは差し控えてほしいというふうな要請を受けております。
○塩川委員 週刊誌報道で出されているように、電機メーカーA社がゼミ生だったというのは報道されているわけですから、その事実関係の確認という最低限の話ですから、それすら答えられないで、何でまともな調査をやったと言えるのか、このことが厳しく問われているところであります。
 この出されている資料の中で、電機メーカーA社の業種分類、この業種分類でありますけれども、電機メーカーA社が二十社のうちに入っていると認めないから、ちょっと分類ということでは聞けないということですけれども、週刊誌報道で出されている名称というのは日立製作所ですよ。そういったときに、直接のゼミ生だった方が、上下水道分野や治水、利水分野などを領域とする水事業部の担当部長だという話であります。
 ということになると、経済安保推進法案においては、まさに基幹インフラ役務の安定的な提供の確保に関する制度の創設に関わる対象事業、対象分野の一つが水道事業であるわけで、率直に言って、法案に影響がなかったと言えるのかと思うんですが、いかがですか。
○三貝政府参考人 御質問にお答え申し上げます。
 まず、法案においては、特定の個社の利益を反映した規定ではなく、またそういった法文構造にはなっておりません。
 まず、本法案におきましては、個別具体の事業者を規律する箇所は基幹インフラパートではございますけれども、規律対象となる具体的な事業者は、法案の成立後に、まず政令で対象事業を絞り込み、また、閣議決定される基本方針を踏まえ、省令で指定基準を定めた上で、指定基準に該当する事業者を個別に指定することとしております。
 個社の利益を反映することが可能な条文構造にはなっていないことは申し上げます。
○塩川委員 重要設備の供給者や維持管理等の受託業者に該当するような場合であれば、当然、経済安保推進法の影響を受けるわけです。自分の会社、自分の事業がどんな影響が与えられるのか先回りして情報を得たい、対策も取りたいといったことというのは当然起こり得る話であって、法案に影響を及ぼすような癒着がなかったと言えるのかどうかというのは個別に見ないと分からないんじゃないですか。そういう調査はしたんですか。
○室田政府参考人 お答えを申し上げます。
 個別の調査という意味で申しますと、A社が訪問をした際の話題につきましては調査をいたしております。その際の調査の結果として申し上げますと、経済上の諸課題というようなことであったということで、これは報告書にも書かせていただいております。
 具体的なところをもう少し申し上げさせていただきますと、経済、経営の情勢におきまして、藤井氏が個人的に専門にしておりますCSR、企業の社会的責任の話題でありますとか、あるいはESG、環境、社会、ガバナンスと経営の関係ですとか、そういったことについての藤井氏の知見を得るということが話題の中心だったというふうに私ども確認させていただいております。
 いずれにいたしましても、その時期、本年の二月から四月にかけての時期は、まだ法案の作業は全く本格化しておりませんで、法案がどういう中身になるかということも全く分からない状況でございましたので、そもそも物理的に法案の内容について話をすることはできない状況であったというふうに考えておりますし、実際に我々が確認したところで、法案の内容が話されたということはないということを確認させていただいております。
○塩川委員 法案について言えば、その骨格の議論というのはずっとその前からやっているわけですよ。二〇一六年ぐらいから、これは、自民党の中でも議員連盟もできて、ルール形成戦略議員連盟などを始めとして、甘利議員を中心にこういった議論が行われてきたわけですよね。この文書の中でも、多摩大学のルール形成戦略研究所、ここにおいても、國分教授との関係でも文書が出ていますけれども、藤井氏の関わりも出ていますし、また、甘利議員はこの研究所の顧問も務めておられる、そういう経緯というのがあるわけですよね。
 その辺は小林大臣はよく御存じだと思うんですが、甘利大臣が早い時期から経済安保法制の取組をしてこられ、それとの関係で藤井氏もその実務にも関わってきた、そういった関係ということはよく御存じですよね。
○小林国務大臣 お答え申し上げます。
 まず、今、ルール形成戦略研究所、多摩大学の話が出ましたので申し上げますと、藤井氏につきましては、この多摩大学のルール形成戦略研究所の客員教授を無報酬で務めていたものと承知しています。また、多摩大学のホームページによれば、甘利議員はこの研究所のシニアフェローを務めているとのことでございます。また、國分教授は、自民党の経済安全保障対策本部及びその前身である新国際秩序創造戦略本部においてアドバイザーを務めていると承知をしております。
 今回の法制との関係で申し上げますと、法案につきましては、藤井氏は、準備室の一員として、国家安全保障局や法制準備室の幹部とともに、自民党の経済安保対策本部と必要に応じてやり取りを行っていて、今、甘利議員はその本部の座長を務めておりますので、法制全般について説明や意見交換を行っております。
 法案につきましては、この準備室が、経済団体などはもとより、甘利議員に限らず、与党の部会のメンバーなどを中心に、様々な方との説明、意見交換を重ねて策定したものでございます。
 こうしたやり取りというのは、議会制民主主義のプロセスの下では当然行われるべきものでございますので、藤井元室長を含めて、甘利議員に対する説明や意見交換もその一環として行われたものであると考えております。
 先ほど政府参考人からの答弁にありましたとおり、この法制が本格化したのは、まさに昨年の十月頃から加速をしまして、法制の準備室が立ち上がったのは昨年の十一月でございますので、そういう時系列の下で捉えていただけたらと考えます。
○塩川委員 小林大臣も関わってこられているからよく御承知だと思いますけれども、やはり甘利議員中心に、この自民党のルール形成戦略議員連盟や新国際秩序創造戦略本部、こういうところがまさに経済安保の骨格をつくってきているわけですよ。そういうときに深く関わってきたのが藤井氏であるわけで、それが様々な事業者の便宜を図るような、そういったことがなかったのかを過去に遡ってしっかりと調べるべきだ。こんな不十分な調査では納得いかない。引き続き徹底調査を求める。さっき言っていたような、是非A社についてはしっかりと明らかにしていただきたいということも求め、質問を終わります。

【倫理選挙特別委員会】河井買収事件/説明は果たされていない/政党助成制度の廃止を

 自民党の河井克行元法務大臣・案里夫妻の選挙買収事件に関連し、政党助成制度の廃止を呼びかけました。

 河井事件は、自民党本部から交付された政党助成金が買収の原資との疑いがあります。このことについて、岸田文雄総理大臣は「監査を経て報告書が出され、説明が果たされている」と答弁しています。

 私は、政党助成法では政党助成金の使途等報告書の監査は、領収書の保存や、報告書に収支が表示されているかを見るに過ぎないことを確認。また、国会議員政治団体の「政治資金監査」も、収入は監査対象にはならず、領収書の改ざんがあっても調査権限がなく、違法支出など支出の妥当性を評価するものではないことを確認し、このような監査をもって、適正に処理されているとか、説明がされていると言えるのかと迫りました。

 金子恭之総務大臣は「現状の制度でしっかり対応している」と強弁しました。

 また、私は、1995年の政党助成制度導入以降の交付総額と受け取った政党数を質問。

 総務省選挙部長が「約8540億円、45政党」と答えたのに対し、「消えていった政党が37もある」と指摘。

 政党助成制度の導入し企業・団体献金は禁止するとしていたが、2020年の企業・団体献金や政治資金パーティー収入が200億円にも上る実態を示し、こうした“2重取り”は厳しい批判が寄せられても仕方がない。わが党は、参院に政党助成法廃止法案を提出した。廃止の検討を各党に呼びかけたいと主張しました。


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「議事録」

<第208通常国会 2022年3月10日 政治倫理の確立及び公職選挙法改正に関する特別委員会 第3号>

○塩川委員 日本共産党の塩川鉄也です。
 今日は、選挙買収と政党助成金の問題について質問をいたします。
 河井元法務大臣が有罪となった選挙買収事件について、河井夫妻の陣営に対し、自民党本部から一億五千万円が提供され、そのうち一億二千万円が政党助成金でした。これが買収の原資になったのではないかという疑惑はいまだに明らかになっておりません。
 二月二十八日の参議院の予算委員会で、我が党の井上哲士議員が、公判での供述調書を示して、運動員買収の原資が、克行氏の自民党広島県第三選挙区支部から案里氏の広島県参議院選挙区第七支部に振り込まれた四千五百万円であり、この四千五百万円は党本部からの政党助成金であることを指摘をしました。
 その際、岸田総理は、政党助成金からは支払われてはいないという昨年九月の自民党本部の説明を引用して答弁しました。そして、公認会計士、税理士等の監査を経てこうした報告書が出されているわけでありますので、説明が果たされていると認識しておりますと述べました。
 監査を経ているというのが説明責任を果たしているという指摘をしておるわけですが、そこで、総務省に確認します。政党助成金における使途等報告書の監査について、政党助成法施行規則では、監査事項はどういうふうに規定しておりますか。
○森政府参考人 お答え申し上げます。
 政党交付金使途等報告書に係る監査事項について、政党助成法施行規則第二十条は、会計帳簿、領収書等及び残高証明等が保存されていること、会計帳簿には政党交付金に係る収支の状況が記載され、政党の会計責任者が当該会計帳簿を備えていること、使途等報告書は、会計帳簿等に基づいて収支の状況が表示されていること、領収書等を徴し難かった支出の明細書は、会計帳簿に基づいて記載されていることと規定をしております。
○塩川委員 今お答えがあったように、会計帳簿や領収書などが保存されているか、収支が報告書に表示をされているかといった外形的なことを確認しているにすぎません。これで説明が果たされているとはとても言えないものです。
 この政党助成金の使途等報告書の監査の問題だけではありません。河井夫妻が代表を務めた自民党の支部は国会議員関係政治団体でもありますので、政治資金監査も行われておりました。
 二〇〇七年の法改定で国会議員関係政治団体がつくられた際、プロの目を通すといって、弁護士、公認会計士、税理士の登録政治資金監査人によって政治資金監査を受ける制度が設けられました。この監査のマニュアルを作ったり、監査人の登録や研修を行っているのが政治資金適正化委員会であります。
 この政治資金適正化委員会が作った政治資金監査マニュアル、政治資金監査に関するQアンドAでは、記載漏れ、領収書などの改ざん、収入の監査や使途の妥当性の判断についての記載もあります。
 この政治資金監査に関するQアンドAでは、収入の記載漏れが発見され、支出についても記載漏れがあり、会計責任者は収支報告書を訂正しなかった場合、政治資金監査報告書ではどのように記載すべきかという問いに対して、このQアンドAではどのように答えておりますか。
○植村政府参考人 お答えいたします。
 御指摘のQアンドAの記述、7―三「収入・支出の記載漏れ」になります。
 収支報告書に支出の記載漏れがあり、会計責任者に指摘したにもかかわらず、収支報告書を訂正しなかった場合、法定の監査事項を確認できなかったものとして、別記にその旨を記載することが考えられますとあり、さらに、なお、政治資金監査は支出のみを対象とし、収入はその対象としてはいませんと記述しております。
○塩川委員 収入は対象とはしていないということで、収入に記載漏れがあったとしても、監査の対象ではないということであります。
 同じくQアンドAでは、「翌年への繰越額と現金預金残高とが一致しているかを確認する必要があるか。」との問いに対し、どのように答えておりますか。
○植村政府参考人 お答えいたします。
 同じくQアンドAの1―三「繰越額と現金預金残高」でございますが、「政治資金監査は支出のみを対象としていますので、翌年への繰越額の確認は求められていません。」と記述をしております。
○塩川委員 翌年の繰越額も監査の対象ではないということであります。
 同じくQアンドAでは、「明らかに記載が訂正又は消去された痕跡のある領収書等がある場合は、政治資金監査上、どのように取り扱えばよいのか。」との問いに、何と答えておりますか。
○植村政府参考人 お答えいたします。
 QアンドAの5―二十八「領収書等の改ざんの形跡」になりますが、「政治資金監査は、外形的・定型的に行われるものであり、登録政治資金監査人は、第三者に対する調査や資料要求を行う権限を付与されていません。そのような中で、明らかに記載が訂正又は消去された痕跡のある領収書等がある場合は、政治資金監査の信頼性を確保する観点から、当該領収書等が真正なものであることを会計責任者等に確認することとなります。」と記述をしております。
○塩川委員 外形的、定型的に行われるという政治資金監査であって、改ざんの形跡があっても、会計責任者に確認をするだけで、調査権限はないという仕組みであります。
 同じく、QアンドAでは、「政治資金監査の結果、政治団体に係る支出とは判断できない支出が分類されている場合、どのように対処すればよいのか。」との問いには、どのように答えておりますか。
○植村政府参考人 お答えいたします。
 同じく、QアンドAの1―五「使途の妥当性の判断」でございますけれども、「政治資金監査は、政治資金の使途の妥当性を評価するものではありません。これは、政治資金の透明性の向上を図りつつ、同時に、政治活動の自由の確保の要請にも応えるべく、国会における議論の結果、外形的・定型的な監査とすることで合意されたものです。」と記述をしております。
○塩川委員 政治資金監査は、政治資金の使途の妥当性を評価するものじゃないんだというふうに述べているわけです。
 今読み上げてもらいましたように、収入、繰越残高についても監査の対象外で、権限はない。領収書が改ざんされていても、調査する権限はない。調査対象の支出でも、おかしな支出、違法な支出であっても、使途の妥当性を評価するものではない。
 大臣にお尋ねしますが、こういった国会議員関係政治団体の政治資金監査制度は監査と言えるものなのかと率直に思いますが、大臣の認識を伺います。
○金子(恭)国務大臣 塩川委員にお答え申し上げます。
 今お答えしておりますとおり、政治資金監査は、支出の状況について外形的、定型的に確認を行うものですが、これは、政治資金の透明性の向上を図りつつ、同時に政治活動の自由の確保の要請にも応えるべく、与野党間の大変真摯な御議論の結果、今の制度になったものと承知をしております。
 いずれにしましても、政治資金監査の在り方に関することについては、各政党、各政治団体の政治活動の自由と密接に関連していることから、各党各会派において御議論いただくべき問題と考えております。
○塩川委員 今言ったような監査を踏まえて報告書が出されているので、説明が果たされていると言ったのが岸田総理なんですよ。
 でも、今言ったようなやり方で、本当に説明責任が果たされていると言えるのか。こういった監査をもって、適正に処理されているとか、ましてや説明はされているということは言えないんじゃないですか。疑惑は全く晴れていないと思いますが。
○金子(恭)国務大臣 先ほども申し上げましたように、与野党間の大変真摯な御議論の結果、今の制度になっております。現状の制度として、しっかりと対応しているものだと思います。
○塩川委員 岸田首相、自民党としてのこの問題についての説明責任は全く果たされていないということを改めて強調しておきます。
 しかも、河井夫妻の選挙買収事件だけではありません。自民党京都府連によるマネーロンダリングの疑惑の問題もあります。国会議員が、自らの選挙前に、京都府連を迂回して区議、市議に一人当たり五十万円を渡していたという疑惑であります。
 政治と金をめぐる重要な問題は、入りの問題であります。企業・団体献金の全面禁止、政党助成制度の廃止が、国民の政治不信を払拭する上で不可欠だと我が党は述べてまいりました。
 数字を確認します。一九九五年、政党助成制度導入以降、二〇二一年まで、政党交付金の総額は幾らになっているでしょうか。また、これまでに交付金を受け取った政党の数は幾つになるでしょうか。
○森政府参考人 お答え申し上げます。
 政党助成制度が創設をされました平成七年分から令和三年分までの二十七年間の政党交付金の交付総額、一千万円以下を四捨五入いたしますと、八千五百四十億円となっております。
 また、政党助成制度が創設された平成七年分から令和三年分までに政党交付金を受け取った政党は、四十五政党でございます。
○塩川委員 これまでに、八千五百四十億円、四十五政党ということでした。
 二〇二一年に政党交付金を受け取っている政党、そして、各党がこれまでに受け取った政党交付金額は幾らになるでしょうか。
○森政府参考人 お答え申し上げます。
 各党、二〇二一年に政党交付金を受け取っている政党がこれまでに受け取った政党交付金の総額、交付累計額につきましては、一千万円以下を四捨五入いたしますと、自由民主党四千八十九億円、公明党六百八十三億円、社会民主党三百七十四億円、立憲民主党百八億円、日本維新の会八十四億円、国民民主党二十九億円、れいわ新選組四億円、NHK受信料を支払わない国民を守る党四億円となっておるところでございます。
○塩川委員 自民党は、制度導入以来、これまでに四千八十九億円を受け取っているということで、全体の半分近くを占めております。この八千五百億円という巨額の税金を四十五の政党で山分けをしてきました。しかも、この間に消えていった政党が三十七もあるわけであります。
 日本共産党は、政党助成金を受け取っておりません。それは、支持する政党を持たない国民にも一律に献金を強制するものであり、思想信条の自由を侵すものだからであります。
 この政党助成金制度の導入をめぐって、当時、そもそも政党が税金に依存していいのかという議論が、導入を進めた側からもありました。政党助成金を入れるとしても、税金なのだから過度に依存しないようにしよう、上限を決めようという議論があり、細川総理と河野自民党総裁の合意では、上限は四割とすることになりましたが、法制化する際になって、この歯止めも、三分の二を上限ということで後退をいたしました。ところが、さらに、制度が施行された九五年十二月には、この歯止めさえも完全に削除する法改正が行われました。
 こうして、政党が幾ら税金に依存しようとも問わないという内容に変えてしまったという経緯があります。
 現状はどうか、お尋ねします。直近の二〇二〇年分で、各党の収入に占める政党交付金の依存率は何%でしょうか。
○森政府参考人 お答え申し上げます。
 直近の令和二年における各政党本部収入総額に占める政党交付金の割合を割合の高い順に申し上げますと、令和二年九月十一日に分割により解散した国民民主党八七・二%、日本維新の会八〇・二%、令和二年九月十四日に合併により解散した立憲民主党七七・〇%、自由民主党七一・七%、令和二年九月十五日に設立された立憲民主党五五・一%、NHK受信料を支払わない国民を守る党五三・五%、社会民主党四六・九%、令和二年九月十一日に設立された国民民主党三七・五%、れいわ新選組三六・一%、公明党二四・八%となっております。
○塩川委員 今お示しいただきましたように、各党とも政党助成金の依存の割合が高い。資金のうち、政党助成金が七割、八割を占める。まさに国営政党、官営政党と言われても仕方がありません。
 当初は、政党助成金の総額について五年後に見直しという規定もありましたが、何らの見直しもないまま、制度導入以降、一度も総額が減らされたことはありません。
 大臣にお尋ねしますが、元々、税金に過度に依存しないようにしようという趣旨というのが、政党助成金を導入する側の中でも議論がされてきた問題であったわけであります。今の現状というのは、率直に言って、これでいいのか、余りにも依存し過ぎる事態ではないのか、このことが問われていると思うんですが、大臣の認識を伺います。
○金子(恭)国務大臣 お答え申し上げます。
 政党助成制度は、政治改革について議論を積み重ねた結果、政策主体、政党本位の政治を目指すとの理念の下、政党の政治活動の経費を国民全体で負担していただくものであり、民主主義の発展に重要な意義を持つ制度であると認識をしております。
 一方で、政党の運営の当否は、最終的には選挙を通じた国民の審判に委ねるべきところであることから、政党がその運営においてどの程度政党交付金に依存するかの選択については、政党の自主性に委ねるのが適当であると思います。
 以上です。
○塩川委員 政党とはどうあるべきかというのが問われていると思います。
 政党は、憲法に保障された結社の自由、そして資金の上でも自前、自立してこそ成り立つものと言えます。自立しないで政党と言えるのか。その点でも、やはり、主権者の国民にその財政も依拠する、これが結社の自由を踏まえた政党の活動の基本だということが問われていると思います。
 そういう点でも、税金で党財政を賄うということになれば、やはり次第に国民の感覚、市民の感覚から離れていく、麻痺をして庶民の痛みが分からなくなる、こういうことも問われてくるのではないのかということを指摘をしなければなりません。
 もう一つ指摘をしなければいけないのが、四半世紀前に、リクルート疑獄などで金権腐敗政治の横行に国民的批判が高まり、企業・団体献金を禁止しようというのが国民の要求でした。
 当時、細川総理は、政党助成金の導入を求めつつ、政治腐敗事件が起きるたびに問題となる企業・団体献金については、腐敗のおそれのない中立的な公費による助成を導入することなどにより廃止の方向に踏み切ると、企業・団体献金の廃止を述べておりました。ところが、廃止するとしていた企業・団体献金はどうなったのか。
 確認しますが、政界全体の政治資金収入のうち企業・団体献金額、政治資金パーティーの収入額は、直近でそれぞれ幾らでしょうか。
○森政府参考人 お答えを申し上げます。
 令和二年分の総務大臣届出分と都道府県選挙管理委員会届出分を合計した全国分の収入額のうち、法人その他の団体からの寄附は八十億八千九百万円、政治資金パーティー収入額は百二十七億四百万円となっておるところでございます。
○塩川委員 政治資金パーティーも多くは企業、団体という実情もありますので、いわば二百億円に上るような金額が今なお行われている。このほかにも、政治団体からの寄附などもある。コロナ禍で減ったとはいっても、大変な金額であります。
 政治改革によって、政治家個人に対する企業・団体献金を禁止をしましたが、政党と、党の財布である政治資金団体が受け取るのは禁止をしませんでした。党支部は、政治家個人のいわば財布のように使われることになりました。これが今のような事態を招いております。
 大臣にお尋ねしますが、政党助成金も受け取る、企業・団体献金も受け取る、こういう二重取りが行われているような状況というのは、国民から厳しい批判が寄せられても仕方がない事態ではありませんか。これこそ改めるべきだと思いますが、いかがでしょうか。
○浜田委員長 金子総務大臣、時間が来ておりますので、手短にお願いいたします。
○金子(恭)国務大臣 先ほどから申し上げているように、政党助成制度とかあるいは政治資金の問題については、これまでも与野党、各党各会派で御議論いただいております。しっかりと、そういう意味では、今後とも御議論いただきたいというふうに思います。
○塩川委員 企業・団体献金はきっぱり禁止をする。我が党は、参議院に、政党助成法の廃止法案も提出をしております。是非とも、こういった問題を是正をする、広く各党にも呼びかけて取り組んでいきたい、このことを申し上げて、質問を終わります。

【内閣委員会】給与法改正案/公務員の給与引き下げやめよ

 国家公務員の給与2法案と国家公務員の育児休業法案について質疑と採決を行い、賛成多数で可決しました。日本共産党はボーナスを引き下げる一般職給与法案に反対、閣僚などの特別職給与を引き下げる特別職給与法と育休制度を改善する育児休業法案に賛成しました。

 私は、コロナの新たな変異種の感染拡大に加え、ロシアによるウクライナ侵略による原油高騰など厳しい経済情勢が続いていると指摘。この下での国家公務員の賃下げは、幅広い労働者の賃金に影響を与え、くらしと経済に大きな影響を与えると強調し、今やっていいのかとただしました。

 二之湯内閣府特命担当大臣は「引き下げは全体として数千億規模になる。これが消費に回らないのは大きな影響になるのではないか」と認めました。

 私は、民間準拠といって民間企業の給与が下げられたら公務員の給与も下げるのでは、経済の悪循環をもたらすと指摘。岸田政権は保育士の賃金については、国家公務員給与引き下げに準じて下がる公定価格の人件費分を穴埋めする措置を行っていることを指摘し、やればできるということだと強調し、「大きな影響を及ぼす公務員の賃下げは考えなすべきだ」と迫りました。

 二之湯大臣は、現状は厳しい経済情勢だと理解を示しながら「人事院勧告を尊重するのは政府方針だ」と答弁しました。


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「議事録」<質疑>

<第208通常国会 2022年3月9日 内閣委員会 第7号>

○塩川委員 日本共産党の塩川鉄也です。
 人事院にお尋ねをいたします。
 昨年十一月の給与関係閣僚会議で二之湯大臣は、人事院勧告は、国家公務員の給与のほか、地方公務員の給与や、病院、学校など民間被用者の給与にも事実上影響を及ぼしますと述べております。
 人勧はどれだけの人数の労働者に影響を及ぼすのか、この点について教えてください。
○川本政府特別補佐人 人事院の給与勧告は、給与法の適用を受ける一般職の国家公務員約二十八万人を対象として行っているものですが、その影響は、勧告に準拠している特別職の国家公務員のほか、地方公務員や独立行政法人などにも及ぶことから、これらを合わせると約三百七十万人に影響があるものと考えられます。
○塩川委員 二之湯大臣が、病院、学校などの給与にも事実上影響を及ぼしますと言っています。この人数というのはどんなものでしょうか。
○佐々木政府参考人 お答えいたします。
 人事院勧告の影響につきましては、先ほど総裁から御答弁申し上げたとおりでございまして、先生御指摘のとおり、給与勧告を参考に給与の改定を行っている民間というところがあるということは存じ上げておりますけれども、その具体的な数がどの程度なのかということについては承知しておりません。
 ただ、数値としてだけ申し上げれば、例えば、社会福祉関係で申し上げれば四十三万人ですとか、教育関係の幼稚園、認定こども園等で申し上げますと二十三万人ですとか、あるいは、医療、民間病院ですと百三十六万人というデータが、その分野で働いておられる方の人数という意味では、そういうデータがあるということは承知しております。
○塩川委員 これは、幼稚園以外の私立学校の人数とかも影響を受けるんじゃないですか。
○佐々木政府参考人 実際に民間事業所におきましてどのように給与を決定しているかというところまでは私どもとしては把握をしていないというところでございまして、他方、法令上、一般職国家公務員の給与に準拠ないしは一般職国家公務員の給与を考慮するとしているものということで、先ほど申し上げました三百七十万人という数字を申し上げたところでございます。
○塩川委員 法律で考慮すると書いてあるものは三百七十万は分かるんですが、それ以外に人勧を援用して給与に反映をしているといった労働者がたくさんいるというのは、今の説明だけでもプラスアルファで二百万人ぐらいの方がいらっしゃるということですし、私立学校の人も当然あるわけですし、更に言えば、公定価格の影響もあるわけですね。
 そこで、保育士や幼稚園教諭などの処遇は公定価格に基づいて算定されます。その公定価格の人件費は国家公務員の給与に準じて算定しています。人勧は保育士や幼稚園教諭の賃金にも大きな影響を及ぼすということですね。
○佐々木政府参考人 私ども、人事院勧告自身は直接は一般職の国家公務員を対象にしているということでございますので、直接の範疇としてはそこの中で、そこから事実上影響を及ぼすところがどの程度になるかというところについては、確かなところは、先ほど申し上げたような人数というところでございます。
○塩川委員 国家公務員の給与に準じて人件費を算定している公定価格ですから、その公定価格はまさに人勧を踏まえた国家公務員の給与に影響を受けているということははっきりしていますよね。
○佐々木政府参考人 お答えいたします。
 公定価格におきまして、国家公務員の給与の状況というものを踏まえておられるということは承知しておりますけれども、人事院勧告制度そのものと、それから公定価格の制度そのものはまた別の制度でございますので、そこのところについて、私どもとしては申し上げる立場にはないということでございます。
○塩川委員 人勧をベースにして広く給与に反映をするという仕組みが現在つくられているわけで、公定価格に基づき人件費が算定される労働者数は、保育士だけでも六十万人以上とも言われております。大変影響が大きい。ですから、研究者の方の試算などでも、人勧はおよそ七百七十万人の労働者の賃金にも影響を与えると言われています。
 人事院総裁にお尋ねしますが、マイナス人勧による賃下げというのは、暮らしにも経済にも大きな影響を及ぼす、慎重に判断することではないかと思うんですが、いかがでしょうか。
○川本政府特別補佐人 人事院は、国家公務員の給与について、国家公務員法の情勢適応の原則に基づいて、民間準拠により、その時々の民間賃金の情勢に合わせていくことを基本に勧告を行っております。
 公務員の給与はその時々の経済雇用情勢等を反映して、労使交渉などによって決定される民間給与に準拠することが最も合理的であり、納得を得られるものと考えております。
○塩川委員 労働者の皆さんは、やはり食べていくためのお給料ですから、生活を支えるお給料、生活給、この間、コロナ禍で民間も大きな影響を受けているわけで、それが下げられたから、では公務も下げるとなれば、これは生活給を保障するにもなり得ないものですし、経済の悪循環をもたらすことにもなるということを踏まえて、慎重に判断すべきことだということを改めて強調したいと思います。
 人勧の影響、及ぼす労働者数は多いという話をしましたけれども、保育士の話をしますと、全産業平均の労働者の月額賃金は四十・六万円ですが、保育士は三十一・二万円です。九万円の格差があります。マイナス人勧の影響で国家公務員給与が下がり、公定価格も下げられると、賃金格差が拡大することになります。
 マイナス人勧が賃金格差を拡大するような事態は避けるべきじゃないかと思うんですが、お考えをお聞かせください。
○川本政府特別補佐人 公定価格が保育士などの賃金の基礎となることは承知しておりますが、人事院の給与勧告は国家公務員の労働基本権制約の代償措置として行われるものであり、公定価格への影響については、政府において御検討されるべき事項であると理解しております。
○塩川委員 政府において検討すべき事項という立場であれば、一言、人事院として物を言う必要があるんじゃないかと思うんですよね。
 保育士の賃金が低いというのは、女性の多い職場、まさに男女の賃金格差、男女の賃金差別、これが反映されている側面もあるわけです。これをやはり引き上げようというのは、当然、政府としても方針を持っているわけで、この間のケア労働者に対しての公的価格の抜本的見直しということで、こういった公定価格の保育士や幼稚園教諭の方などに対しては、月額九千円、三%程度、これ自身も、頭割りにするともっと少なくなるという問題なんかも当然あるわけですけれども、実際に支給対象になるような方が非常に少ないというのも今明らかになってきつつありますけれども。
 賃金格差をやはり解消する必要があるのに、マイナス人勧が公定価格に反映をされて引き下げられて、かえって格差が広がるような事態になるのは、これは避けるようなことを政府として考えてくださいよというのは、人事院総裁として申し上げることはできないんでしょうか。
○佐々木政府参考人 先ほども申し上げましたとおり、人事院勧告そのものは、国家公務員の給与につきまして民間と合わせていくという考え方の下、これを実施しているものでございます。
 先生御承知のとおり、公務員給与につきましては様々な議論があるところでございますけれども、公務員給与について国民の御理解をいただく上でも、民間の賃金情勢の変化を、上がる場合も下がる場合も含めまして公務員給与に適切に反映させるということが重要であるということの考えの下に、勧告そのものは行っているというところでございます。
○塩川委員 岸田政権の公的価格の抜本的見直しでは、保育士や幼稚園教諭の賃上げを実施する際に、今回ここで議論しているボーナスの引下げ、この部分については下げずに穴埋めをするということをやっているわけなんですよ。マイナス人勧を反映した給与法によるボーナスの引下げ分については、こういった公定価格を対象とするような保育士、幼稚園教諭の方については穴埋めの措置をやって、更に九千円、三%程度の引上げと言っているんです。やればできるんじゃないかという話なんですよね。
 こういったことをしっかりやってくれと、マイナス人勧を反映した給与の引下げについては穴埋めをするということを現に政府もやっているんですから、こういう措置を今後も考えるべきだということは、人事院としても申し上げるべきことではありませんか。
○佐々木政府参考人 繰り返しになりますけれども、人事院の勧告そのものは、一般職の国家公務員全体を対象にして行っているものでございます。それについての勧告というものは、労働基本権制約の代償措置として、それはそれとして私どもとしてはやっていく必要があるというところでございます。
 その上で、公定価格の問題等につきましては、政府において御検討されるべき事項であるというふうに考えているところでございます。
○塩川委員 残念ですが、時間が参りましたので終わります。

 

<第208通常国会 2022年3月9日 内閣委員会 第7号>

○塩川委員 日本共産党の塩川鉄也です。
 給与法について質問をいたします。
 昨年十一月の給与関係閣僚会議で二之湯大臣は、人事院勧告は、国家公務員の給与のほか、地方公務員の給与や、病院、学校など民間被用者の給与にも事実上影響を及ぼします、国家公務員のボーナス引下げはコロナから回復途上にある我が国経済にマイナスの影響を与えることも念頭に置きつつ対応していくことも重要と述べています。
 そこで、二之湯大臣にお尋ねしますが、この国家公務員のボーナス引下げが我が国経済にマイナスの影響を与えるというのは、どういう影響を与えるということを認識しておられるんでしょうか。
○二之湯国務大臣 先ほども申しましたけれども、いわゆるボーナス、いわゆる期末手当の〇・一五分が、全体として数千億円の規模になるわけでございます。これが消費に回らないということが、非常に厳しい経済の下で大きな影響を与えるんじゃないかと。今回、幸いにいたしまして、政府の経済対策、あるいは公務員のこの期末手当の今年の六月での引下げということによって、そういう、経済が更に悪化するという懸念は払拭された、このように考えておるところでございます。
○塩川委員 消費に回らない大きな影響を与える、ただ、経済対策を打ったからそれでカバーをするというお話なんですが、直接国家公務員に関わるような経済対策というのは実際何があるのかという問題もあるわけですよね。
 加えて、今、ウクライナをめぐる深刻な情勢があります。エネルギー価格の高騰を始めとした国民生活へのマイナスの影響が大きく懸念をされる、こういう経済状況のときに、我が国経済にマイナスの影響を及ぼす国家公務員の賃下げ、それは広く多くの労働者にも影響を与える。これをやっていいのかということは改めて問われているんじゃないですか。
○二之湯国務大臣 国家公務員の給与は民間準拠ということであるわけでございますから、民間がよくなれば公務員の給料もよくなる、民間が非常に厳しいときには、それに準じて公務員も賃金を下げてもらうとかあるいは手当を減額する、こういうことはよく御理解をいただけるんじゃないか、このように思います。
 現下の、今、情勢が非常に厳しい中でございますけれども、お互いがそういう面で少しずつ負担を分かち合って、この厳しい時代を乗り切っていかなきゃならぬので、公務員も、そういう観点から、今回の措置をひとつ御理解をいただきたい。人事院勧告を尊重するということについては、何ら変わらないということでございますから。
○塩川委員 ですから、十一月、十二月の段階の判断というのはあるわけですけれども、今の段階での改めての判断が問われているんじゃないのか。
 当然、この先の見通しが非常に不透明な状況の中で、現に様々な物価高などの影響も出ているときに、経済にマイナスの影響を与えるこういった国家公務員の賃下げ、それは、国家公務員にとどまらず、地方公務員もあり、大臣自身がおっしゃったように、病院ですとか私立学校ですとか、そういったところにも大きな影響を及ぼす人勧、国家公務員の給与の改定。今の情勢の下で、大きな影響を及ぼすこういった賃下げをやるのかというのは、改めて考えるべきじゃないでしょうか。
○二之湯国務大臣 確かに、今委員おっしゃいましたように、内外の情勢が非常に厳しくなって諸物価が上がってくる、そういうときに期末手当を減額するのはいかがなものか。そういうのはよく私も理解できるわけでございますけれども、あくまでも、国家公務員の給与あるいは期末手当というのは人事院勧告を尊重するという、こういう政府の基本的な方針がございますから、六月にそれを減額させていただくという方針を取らせていただいたわけでございます。
○塩川委員 経済へのマイナスの影響を与えるといったことをしっかり踏まえて、この賃下げについては少なくとも行わないという決断というのはやはりあり得るというふうに思います。
 今、岸田政権におきましては、経済団体に対しても三%を超える賃上げを要請しているところであります。その一方で、公務員には賃下げを行う。賃上げを目指すという岸田政権においては、民間への賃上げを求めるとともに、公務の賃上げ、少なくとも賃下げはやめたらどうかと率直に思うところです。
 その点でいえば、人勧の影響というのはいろいろなところに及ぶということで、公定価格の話があります。
 公定価格について、例えば保育士の方などの給与というのは、国家公務員の給与に準じて人件費が出されます。当然のことながら、国家公務員の給与が引き下げられれば、公定価格の人件費部分も引き下げられてしまう。そういった悪影響というのは出てくるわけですよね。
 その際に、今回、政府の公的価格の抜本的見直しでは、保育士の方など、公定価格の方の労働者、マイナス人勧を反映をした賃下げ部分については、これは穴埋めの措置を取っているんですよ。ですから、マイナス人勧を反映しない措置を公定価格では取るということをやっているわけですから、やろうと思えばそういう施策というのは取れるんじゃないのかと思うんですが、そういうのも更に広げるといったことは考えませんか。
○二之湯国務大臣 繰り返しになりますけれども、民間との比較で国家公務員の給与を決定するということは、国家公務員の適正な処遇の確保と国民の理解を得るために妥当なものだと私どもは考えているわけでございます。人事院制度の勧告を尊重するというのは、これは我が国でもう定着したことになっておりますので、ひとつ御理解をいただきたいと思います。
 御指摘のケア労働者の処遇改善については、引き続き、公的価格評価検討委員会の中間整理も踏まえ、検討が進められていくものと承知をいたしておるところでございます。
○塩川委員 いや、ですから、公定価格については、今回の公的価格の抜本的見直しの施策の中で、マイナス人勧、国家公務員の給与の引下げ部分については穴埋めをする、その部分を積むという措置を取っているんですよ。だから、そこはやればできるんじゃないか、それを広げるということは可能じゃないですか。
○二之湯国務大臣 私の立場からいたしますと、国家公務員制度担当大臣といたしますと、今回は人事院勧告を尊重して法案を提出させていただきました。
 あとの、そういうケア労働者のことに関しましては、政府のいろいろな政策の中で考えるべきことだと思います。
○塩川委員 いや、ですから、人勧の実施と言いながらもこういった措置を取っているわけで、そこにはもちろん給与格差がある、一般の全産業平均に比べて保育士の方などの給与は低いという状況もあるということも当然あるわけですけれども、やればできる話なんですから、少なくとも賃金格差があるような職種におけるこういったマイナス人勧の押しつけはやめろということはやるべき話じゃないか、このことを申し上げます。
 それで、最後に、今年三月で定年退職した職員で引き続き四月から再任用される職員の方の六月支給の一時金からも今回の減額調整をすると聞いています。
 定年退職によって公務員の身分は消滅するのに、その職員の在職時の公務員の身分に付随する不利益措置を退職後まで引き継ぐ今回の措置は不当ではないかと考えますが、いかがですか。
○堀江政府参考人 お答えいたします。
 期末手当の支給額は、ボーナス支給の基準日より前の最大六か月間の在職期間を考慮して算出することとしております。現行制度上そうなっております。
 例えば、この六か月以内に退職して再採用された場合には、退職前の在職期間についても通算する仕組みとなっております。すなわち、一回退職するといった身分の継続性とは関係なく、六か月間の給与法適用職員としての在職期間を全体として評価、通算しておるわけでございます。
 今回の期末手当の減額調整に際しましても、このように、例えば、三月に定年退職して、その後再任用職員となる場合にも在職期間が通算されるわけでございますので、減額調整の対象としたところでございます。なお、この措置については人事院の見解も踏まえたものでございます。
○塩川委員 それは納得いくものではありません。再任用された場合に、新規採用者として扱われるわけです。例えば年次休暇などについても、新たに付与されて、定年前からの通算というのはないわけですよね。こっちの不利益の方だけを押しつける、こういったやり方というのは、これは理解は得られないと改めて強く指摘をして、質問を終わります。

 

「議事録」<反対討論>

<第208通常国会 2022年3月9日 内閣委員会 第7号>

○塩川委員 私は、日本共産党を代表して、国家公務員一般職給与法案に対し、反対の討論を行います。
 本案は、新型コロナウイルス感染拡大による経済状況が悪化する下、政府の自粛要請と不十分な補償の下、賃金が下がっている民間労働者の賃金に合わせて国家公務員の期末手当を引き下げるものです。
 人事院は、政府の責任やコロナの影響を一切考慮せず、民間準拠だけを理由に期末手当を引き下げる勧告を行いました。これは、国家公務員の労働基本権制約に対する代償措置としての役割を果たしておりません。本案は、国家公務員の生活給を保障せず、一方的に年収減を押しつけるものであり、反対です。
 また、減額調整の特例について、今年度末で定年退職する職員で引き続き四月から再任用される職員の一時金からも行おうとしています。定年退職によって公務員の身分は消滅しているにもかかわらず、在職時の公務員の身分に付随する不利益措置を退職後まで引き継ぐやり方は認められません。
 新型コロナウイルスの新たな変異種の感染拡大に加え、ロシアのウクライナ侵略に伴う経済への悪影響も懸念されます。この下での国家公務員の給与引下げは、約七百七十万人の労働者に大きな影響を与え、更に民間事業者にも波及して国民の消費を冷え込ませ、賃下げのスパイラルを一層強めるものです。岸田首相は、経済団体に三%を超える賃上げを要請しています。今求められているのは、労働者全体の賃上げです。
 岸田首相は、介護、保育、看護などケア労働者の賃上げといって公的価格の抜本的見直しを掲げていますが、公的価格の抜本見直しというのなら、最大の公的価格は国家公務員の給与であり、マイナス人勧の押しつけはやめるべきです。国民の生活と消費冷え込みに更なる追い打ちをかける給与引下げは認められません。
 特別職給与法案については、公務員の給与体系が内閣総理大臣、国務大臣、副大臣、政務官といった幹部職に厚いことから、今回の特別職の給与引下げは賛成とします。なお、特別職のうち秘書官の特別給を一般職に準じて引き下げることには反対です。
 また、国家公務員の育児休業法案については、国家公務員の育児休業を必要な時期に柔軟に取得しやすくし、非常勤職員についても休業を取得できる範囲を拡大するもので、賛成であります。
 以上、討論を終わります。

 

警察活動・警察組織改編は個人の権利と自由に影響/検討過程の資料提出を

 警察法改悪反対集会であいさつ。

 個人の権利と自由に影響を与える捜査等の警察活動・警察組織の改編は大変重いもの。警察庁に初めて捜査権限を付与するという大転換を行うのに、その理由もまともに説明しない。内部の検討過程の資料も出さないというのでは納得できません。