第185 臨時国会 2013/10/15~2013/12/8 日付:2014-01-04 |
1)汚染水対策
8月20日福島原発で、タンクから300トンの汚染水漏れが発生。汚染水対策が重大、緊急の課題となった。私は経産委の各党理事に申し入れ、閉会中審査開催を要求。衆院では9月12日の現地視察後、27日に東電に対する質疑、30日に政府に対する質疑が実現した。
原発敷地内の地下深い透水層から港湾外の外洋に汚染水がもれているのではないかと指摘すると、広瀬東電社長は「深いところの調査はこれから」と答弁。外洋への影響は「完全にブロックされている」とした安倍首相の主張は成り立たないということが明らかになった。実際12月になって、深い透水層も汚染されていることが明らかになり、最悪を想定した汚染水対策の重要性が鮮明となった。(9月27日、経産委員会)
2)再稼動準備をやめ、原発事故収束へ人員を集中することを要求
柏崎刈羽原発の再稼働準備を進める東京電力の姿勢をただし、福島第1原発事故の収束と汚染水対策に全力をあげるよう求めた。
柏崎刈羽原発の東電社員の在籍者数が原発事故前の2011年3月と現在(13年10月時点)で1100人と全く変わっていない一方、福島第2原発の社員が700人から500人へ減少している。東電の山口博副社長は「新規制基準に適合した形で安全対策を着実に進めるための要員を確保しなければならない」と述べ、柏崎刈羽原発の再稼働にむけた準備に人員を投入していることを正当化した。
再稼働準備の作業が事故収束・汚染水対策の妨げになっている。再稼働の準備をやめれば、福島第1原発の要員を増やすことができる。山口副社長は「福島第1原発には必要な人員は必要な時間に投入し、適切に対応していきたい」と言い逃れた。それで本気で解決する立場なのかと批判。
茂木敏充経産大臣に対しては、柏崎刈羽原発の人員を事故収束に回すよう東電を指導するよう要求。茂木大臣は事故収束を「最優先」と言いながら、「電力需給の安定に万全を期す」と述べ、東電と同様、原発再稼働を進める姿勢を際立たせた。(11月1日、経産委員会)
3)福島原発構内作業員の賃上げを要求
福島第1原発敷地内で働く下請け作業員の危険手当が少ない実態を示し、元請け会社に手当支払いを義務づける契約を東電に結ばせるべきだと主張。
環境省主管の原発敷地外での除染作業には「特殊勤務手当(危険手当)」として1日当たり1万円が支給され、人事院の基準では、「被曝(ひばく)の危険性、高放射線量下の作業」などの“著しい特殊性”により、原子炉建屋内作業に4万円、敷地内の他の作業に1万3300円の特殊勤務手当の支給が定められている。
一方で、東電発注の2次、3次下請け作業員には1万円前後、なかには7000円の日当しか支払われていない事例がある。「作業員確保が困難だ」(広瀬直己社長)という事態は、少ない賃金が原因だ。作業する方々にしっかり支給することこそ必要だ。
広瀬社長は、下請け作業員に対するアンケートでも危険手当が「加算されている」と回答した人が51・2%にすぎないと認めながら、「各社各様の仕方がある」と発注者責任を放棄した。
環境省が危険手当を「外出し」で除染作業員に手渡す契約を業者と結んでおり、同様のことは、東電がやろうと思えばできる。“国が前面に出る”と言うなら、こういうことを東電に求めるべきだと要求。(10月30日・11月6日・11月8日、経産委員会)
11月8日、東京電力は「福島第1原子力発電所の緊急安全対策」を発表したなかで、作業員の日当の割り増し分(危険手当)を1日当たり1万円から2万円に増額するとした。増額は12月以降に発注した同原発内の作業に適用するとしている。広瀬東電社長は「元請にもお願いして、東電からの(増額した)1万円が正しく下まで届くよう徹底してもらいたい」と記者会見で述べた。
その記者会見後の経産委員会(11月8日)で「作業員に適正な労賃が渡るような働きかけを」と政府に要求。茂木経産大臣は「労働環境の整備に取り組む」と答弁。(11月9日付「活動日記」の赤旗記事参照)
さらに11月20日の経産委員会で東電の石崎副社長に質問。1万円を2万円に引上げた趣旨を聞くと、「(作業員に対して、増額した)分が渡るということを期待して公表した」と答弁。
私が確実に賃上げにつながるよう、作業員の賃金の実額を把握するアンケートの実施を求めると、石崎副社長は「そういった点も含めて、検討、努力していきたい」と述べた。
引き続き、賃上げをかちとるまで取り組んでいきたい。
4)メガバンクの貸し手責任を追及
政府による汚染水対策への税金投入を批判。「税金投入は、東電の汚染者負担原則に反し、汚染水対策に東電が責任を負うという枠組みが破たんしたことを意味している」と指摘、東電の破たん処理を要求。茂木経産大臣は、東電を破たん処理すれば「賠償が十分に払われなくなる可能性もある」と強弁。私は、東電の経営責任、株主責任、メガバンクの貸し手責任を問うことを求めた。(9月30日、経産委員会)
原発事故直後に東京電力へ無担保融資を行ってきた三井住友銀行をはじめとする金融機関が、昨年8月以降の新たな融資と資金供与の大半を“取りはぐれ”のない担保付き債権の「私募債」に置き換えさせている実態を明らかにし、貸し手責任を追及。
同事故の収束や賠償、東電経営再建などの方針を盛り込み政府が認定した「総合特別事業計画」に基づき、東電は資金協力の継続を金融機関に要請している。
会計検査院は質問に対し、「信託受託者」が東電の社債を引き受け、これを担保に金融機関が東電に実質的な一般担保付き融資を行うという「信託スキーム」の存在を明らかにした。
「信託スキーム」による「私募債」は「一般担保付きの社債に相当するものか」と質問。東電の石崎芳行副社長も「おっしゃるとおりだ」と認めた。
事故直後の2011年3月末までに金融機関が東電に供与した無担保融資残高3兆5146億円が、今年3月末には2兆8481億円に減り、一般担保付き私募債の残高は逆に7264億円に達している。原発事故で東電への貸し手責任が問われる金融機関が、自らへの弁済を原発事故被害者への賠償よりも優先していることになる。国民、ましてや被害者の理解は得られない。「信託スキーム」の検証と総括を政府に要求した。(11月20日、経産委員会)
5)福島原発事故問題で東芝副会長にメーカー責任を問う
産業競争力強化法案の参考人質疑で、経団連副会長の東芝・佐々木則夫副会長に、原発輸出のトップセールスを推進する政府方針について質問。佐々木氏は「世界標準の安全性を確保した上で確実に輸出していく。トップセールスという意味での国際展開の拡大は非常に必要」と述べた。
原発輸出を強調して経済財政諮問会議で再稼働を主張している佐々木氏に対し、福島第1原発で炉心溶融事故を起こした原子炉メーカーの責任として、炉心の状況や事故原因の究明について把握しているのかと追及。佐々木氏は、「溶融した炉心を実際に見ているわけではないので、言いにくい」と述べ、事故原因についても「大きな原因についてはとらえられている。それを確認する作業が残っている」と答えた。
事故原因が真に究明されたとは言えない段階で原発再稼働も輸出もやるべきではない。(11月12日、経産委員会)